ここは明確スイーツ研究部!

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1:モンブラン:2017/01/27(金) 22:06

文才とかないですけど、
見てくださったら嬉しいです。

35:モンブラン:2017/02/09(木) 17:34

>>33-34
アテナさん、ありがとうございます!
とても嬉しいです。
返信遅れてすみません!

アテナさんも書こうと思ってます?
では、今から作る、ここに来てください!

[モンブランとアテナのリレー小説]

ここで、ふたりでリレー小説しませんか?
ここでは、感想くらいにしておいて。
いかがですか?
イヤだったらいいですよ。
返信いただいたら、スレ作るかどうか決めようと思います!

真美ちゃんのこと、褒めていただいてありがとうございます!
アテナさんは男の子の中で誰が好きですか?

36:モンブラン:2017/02/10(金) 19:49

3.彦宮学園名物時計
「由里歌、部活の仮入部の紙を出しちゃったの。悪いけど、部活行くね」
「行ってら〜」
「ファイトだ由里歌!」
「頑張ってね!」
由里歌ちゃんは仮入部の部活に行き、残ったわたし、晴奈ちゃん、陽茉理ちゃんと帰ることになった。
「ねえねえ、明明後日(しあさって)、彦宮学園名物の時計が生まれた日だったよね?」
突然陽茉理ちゃんが切り出した。

彦宮学園名物の時計ーーー彦宮時計は、その名の通り、彦宮学園の名物の時計なんだ。
伝説的に伝わっている話によると、時計職人が、100年かけて作ったんだって。
世代、世代、世代…
と、いろいろな人が作った時計が完成した日が明明後日なの。

「あぁ〜、すっかり忘れてたよ。で、彦宮時計がどうしたのさ」
晴奈ちゃんがすぐさま反応する。
陽茉理ちゃんは、胸を張って彦宮時計の話を始めた。
「わたしのお姉ちゃん、梨歩佳姉と、梨萌佳姉の話によるとだよ?」
うんうん。
「彦宮時計が一度盗まれたことがあるらしいの」
へ〜、ふむふむ。
「怪盗でね、一応戻ってきたらしいけど、加工されていたらしいの。そんな時計には、怪盗の涙がついていたって言ってた」
涙がついていたの?
「その涙で、調べた結果、怪盗日本(ジャパン)ということが分かったそうよ。その涙、かなり貴重で、より貴重な時計になったそうよ」
彦宮時計に、そんな歴史があっただなんて。
「陽茉理、それ、ジャパンが仕掛けてくるんでしょ?明明後日」
「晴奈ちゃん、よく分かったよね。明明後日に盗むと、ジャパンから予告状が届いているみたいよ」
晴奈ちゃんも、情報早〜い
陽茉理ちゃんも、怪盗日本なんて、情報得るの早いな〜
「わたしこっちだから。バイバイ」
「バイバイ」「バイバイ」
陽茉理ちゃんと方向が別れて、すぐ晴奈ちゃんとも別れた。
家に向かって歩いていくと、大きな黒の車がわたしの隣に停まった。

37:モンブラン:2017/02/10(金) 20:05

4.怒れること
「あら?真美ちゃんじゃないの。ひとりぼっちなのね。晴奈たちは?」
「え?」

この人は、彦宮美華(ヒコミヤ ミカ)ちゃん。
お金持ちで、毎日送り迎えがある。
クラスの女子リーダーで、お祖父さんが彦宮学園の校長先生なのだ。
先生すら、美華ちゃんに逆らうことはできない。
とても大きい存在なのだ。

「あらぁ〜?もしかして嫌われた?ごめぇ〜ん、こんなこと聞いてぇ〜」
美華ちゃん、悪口にしか聞こえないんだけど、やっぱり悪口なの?
すると、美華ちゃんは薄い笑みを浮かべた。
「彦宮学園の名物、彦宮時計。真美ちゃんに差し上げましょうか?わたしが持っているのよ。どう、いる?」
美華ちゃんが車の中から言うと、車の中に乗っている人が言う。
「美華お嬢様、おやめください。こんなブスなお方とお話するとは、なんということを。彦宮時計も差し上げてはなりませぬぞ」
ブスとはなんだ、ブスとは!!!
「あら、じい。もちろんよ。彦宮時計を渡す相手が真美ちゃんですって?差し上げるわけないではないか」
ちょっと、美華ちゃん!?
ヒドイ、ヒドすぎるから。
「あの、彦宮時計なんていりません。失礼ですが、わたし帰ります!」
もう、なんなのよ!?!?

38:モンブラン:2017/02/11(土) 08:19

5.明スイ活躍
「あらぁ〜、はいはい。今帰ってきたところですぅ」
ママが電話相手にキラキラした顔で話している。
わたしは、明確ゼミのカバンを持って、明確ゼミに向かおうとした。
すると、急いでママが呼び止めた。
「真美にこんな友達がいたのねぇ」
美華ちゃんじゃないよね!?
一体誰なのよ。
「もしもし。真美ですが」
「真美ぃ!!!」
って!坂宮かぁ!!!
「一体何の用なのよ。明確ゼミ行かなきゃならないの。後にして」
わたしが電話を切ろうとすると、坂宮が大きな声を出して止めた。
もう、用件は何なのよ!
「隅木田から集合がかかった。放課後談話室な」
明スイの集合がかかったのね!
なんなら、早く言えばいいのにさ!

「失礼します。多田本真美です」
談話室に入ると、いつもの席にみんなが座っていた。
ここの談話室、中学生の棟にあるから遠いんだよね。
坂宮、なのに早いなあ。
「今日集めた理由は、明スイの活躍があんまりないということだ。あれから、やってください!と依頼がたくさん来ている」
依頼まで来ているのね!
矢本くんが続ける。
「依頼を、ひとつひとつ数えてみても、全てできる量ではない」
明スイは信頼されてるのね。
いいことだ。うんうん。
「どうすべきかということで集まってもらったんだ」
そういうことだったのね。
すると、坂宮が手を挙げる。
「俺に教えてくれねえか?その依頼」
「わたしも見てみたい」
隅木田くんの小さなメモ帳を取り出した。
メモ帳に書いたのかな?
「真美ちゃんと見てみて」
ええっと…

名前:尾崎 桃音 オザキ モモネ
友達の夏那の誕生日パーティーがしたい。

名前:尾崎 桃乃 オザキ モモノ
おばあちゃんの死んでしまった日に、天国のおばあちゃんにケーキを渡したい。

(超たくさんあって…)

名前:宝雨 姫子 タカラウ ヒメコ
誕生日パーティー(自分)の大きいケーキが食べたい。

すご〜い、たくさん!

39:モンブラン:2017/02/11(土) 17:01

6.聡日ちゃん
「たくさんの方が書いてくださっていますね」
わたしが呟くと、隅木田くんが小さな紙を取り出した。
「この紙が、坂宮の学校の子だよね?雲野聡日(クモノ サトカ)ちゃん」
すると、坂宮は目をそらした。
あんまりいい関係じゃないのかな?
隅木田くんも矢本くんも気付いたのか、黙って紙を見つめる。
少し時間が経って、坂宮は紙を取り上げた。
「聡日の依頼は断れ」
「どうして断るんだよ。聡日ちゃんも平等な依頼人だろ?」
そうだよ、坂宮は何でも勝手すぎ。
ちゃんと言わないもの。
「俺の幼なじみなんだ、聡日」
かわいい名前。
幼なじみなのに断るなんて。
「今日、喧嘩したんだよ。内容は…俺のサッカーの立ち位置が変わったからなんだ!」
えええ!?
そんなことで喧嘩!?
「俺の立ち位置、聡日気に入ってて、変わったら許さないって」
強い気持ちだね。
でも、どうして許さないんだろ?
別に変わったくらい、大きいことじゃないのに。
「お前らには関係ないだろ。聡日は入れるな、頼む」
坂宮が頭を下げる。
ちょっとかわいそうに見えて、隅木田くんと矢本くんと目を合わせて、今回は坂宮の通りにすることにした。

7.美華の暴走
「晴奈ちゃん。仮入部何にしたの?」
今日は仮入部の入部届を出す最終日。
提出忘れは、部分的に苦手な勉強会になってしまうのだ。
休んでいた人は別だけど。
「わたしは、由里歌とテニスやることにする!!!」
晴奈ちゃんも由里歌ちゃんもテニス部かぁ。
わたしと陽茉理ちゃんは、まだ決まっていない。
晴奈ちゃんはさっき提出してきて、仮入部がテニス部に決まった。
「真美と陽茉理だけ決まってない。早く決めないといけないよ!?」
うん…そうだけど。

今日は土曜日。
でも、学校に来ています。
どうしてかというと…

「彦宮学園生徒に連絡します。生徒会の会議により、明日は学校に来てください。月曜日、彦宮時計を守るためです。月曜日は休みとなります。
       児童会長 杉田 ふみ」

「ねえ、真美〜。ふみ会長からメール入ってるわ。明日学校って」
え〜〜!?
ふみ会長、どうしてなの〜?
って!彦宮時計のためか!
なら、仕方ない。学校行くか。

ってことで。
「真美。今日は無理だから、国語また今度教えてね」
「うん、いいよいいよ」
勉強会は後でもいいもんね。
それにしても、本当に彦宮時計いいのかなあ?
「ちょっと、ふみ!」
美華ちゃんがふみ会長を突き飛ばしている。
ふみ会長は、学食の扉にあたり、しりもちをつく。
い、痛そうだよ…
「ねえ、どうして今日学校にするのよ!ねえ!!!」
美華ちゃん、メール見ていないの?
ふみ会長がかわいそう。
でも…
足がふるえる。
どうしよう、どうしようっ!

40:モンブラン:2017/02/11(土) 17:20

「わたし、初等部には送ったはずよ。みんな来てるもの。彦宮先生も知っているはずよ」
ふみ会長、わたしは何になれる?
会長!
「わたし、お母様に行きなさいって言われたから来ているの。来る理由なんて聞いていないわよ」
すかさず美華ちゃんが言う。
でも、ふみ会長はひるまない。
「でも、こうして来ているからいいのよ。月曜日はお休みだから」
すると、美華ちゃんの後ろにいる、ユウちゃんこと優佳ちゃん、ほのこと穂乃果ちゃんも言い返す。
「どうして美華に言い返すのよ!ねえほの。そうよねえ!?」
「ええ。美華に言い返すなんて、どういう頭してるのよ!ねえ、ユウ」
美華ちゃんも優佳ちゃんも穂乃果ちゃんもふみ会長に言い返す。
これじゃ言い返し合ってるだけ。
「彦宮時計のためだから」
ふみ会長はそう言い残すと、学食から出ていった。
美華ちゃんたちも、学食のおばさんたちから隠れて出ていった。
「嵐の吹き回しだよね」
「本当に」
「ねえ」
晴奈ちゃんたちも言う。
本当。
嵐の吹き回しだよ。

41:モンブラン:2017/02/11(土) 19:36

8.怪盗日本からの予告状
「皆さんに連絡します。ただいま、怪盗日本から予告状がきました。皆さんは多目的ホールに集まりましょう」
ふみ会長のアナウンスが入る。
怪盗日本…
多目的ホールに急がなきゃ!
「早く行こう!晴奈ちゃん、陽茉理ちゃん、由里歌ちゃん」
わたしが声をかけると、みんなノートに向ける手を止めて、多目的ホールに向かって走った。
ふみ会長の言葉に、初等部、中等部、高等部が一斉に動く。
初等部と高等部の生徒会長さん、活動が少ないらしいからなあ。
「ちょっと、真美!急いで」
う、うん!
さすがに美華ちゃんもしつこく言ってこないで、多目的ホールに向かって走っていた。
ふみ会長も放送室から出てくる。
「ふみ会長。怪盗日本から予告状がきたって、詳しくどういうこと?」
陽茉理ちゃんが聞くと、ふみ会長はいつものキッっとした顔で言った。
「多目的ホールに集めた理由を考えてごらんなさい。みんなに話すためよ」
陽茉理ちゃんはふみ会長に頭を下げ、多目的ホールに向かってラストスパートを走った。

「初等部児童会長、杉田ふみ」
「中等部生徒会長、森小路なお(モリコウジ)」
「高等部生徒会長、船水琉水(ルミ)」
多目的ホールにこだまする声。
ふみ会長、森小路先輩、船水先輩が前に立つ。
「怪盗日本から予告状がきました。皆さんは多目的ホールで待ちましょう。彦宮時計はここにあります!なので、怪盗日本が引くまで、ここで待機となります」
え、ということは…
100年怪盗日本がここにいたら、100年多目的ホールで過ごすってこと!?
どんどんブーイングの声が大きくなっていく。
「静かに!!!」
船水先輩の声がかかると、急に静かになる。
「食べ物も、漫画も、小説も、何でもありますので、自由に過ごしてください」
ふみ会長が言うと、みんな自由に動き始めた。
漫画を読みまくる子。
小説を読んではジュースを飲む子。
お菓子を食べ散らかす人。
ちゃんばらを始める子。
「これからどうなるんだろうね」
「由里歌、怖い〜」
「わたしも怖いよ〜」
もう、一体どうなるの〜?

42:モンブラン:2017/02/14(火) 21:40

9.矢本兄弟
「ねえ、ふみ〜!もう飽きてきたんだけど」
美華ちゃん、飽きるの早すぎる。
もうちょっと何かないのかな?
「暇つぶしになることないの〜?ふみって会長でしょ?できることあるはずでしょ?」
あるわけないでしょ!
ああ、また足が動かないよ!
わたしって本当に弱いよね…
「真美ちゃん。ちょっと」
誰?誰が呼んだの?
あちこち見回したけど、正体は分からない。
幻覚じゃあないよね?
「真美ちゃん、上を見て」
そのまま上を見上げると、隅木田くんと矢本くんがいた。
なんでこのふたりがいるの?
隅木田くんと矢本くんは、多目的ホールの二階にいた。
すぐ階段で降りてきて、わたしの目の前に降り立った。
「隅木田くんと矢本くん?」
「それ以下誰が考えられる?」
「隅木田と矢本だよ」
このふたりって、彦宮学園に通っていたの〜?
え、絶対目立つのに、気付かなかっただなんて…
「あれ、拓斗兄。真美、こっち」
「陽茉理か?」
あ、そっか。
矢本くんと陽茉理ちゃんは兄弟だもんね。
「ねえ、矢本くん。梨歩佳さんと梨萌佳さんも彦宮学園にいる?」
「もちろん」
矢本兄弟、彦宮学園にいたんだ…
全く気付かなかったな…

43:シフォン:2017/02/14(火) 23:26

すっごく面白いです!入っても良いですか?これからも感想書かせて頂きたいのですが・・・

44:モンブラン:2017/02/17(金) 22:02

>>43
すっごく嬉しいです!
ありがとうございます!
もちろん、入ってください!
感想書いてくださるんですか!?
改めまして、モンブランです。
あと、返信遅れてすみません。

45:モンブラン:2017/02/17(金) 22:19

10.わたしにできること
「真美ちゃん、ちょっと」
隅木田くんに呼ばれて、二階に上がる。一階よりは狭いけど、ホールっぽい空間。
「明スイで、できることないかな?」
「キッチンもないけどね」
ホールなんて、スイーツ作る場所じゃないもんね〜
「中等部2,3年生、高等部の皆さん。隣のホールを空けました。移動してください。お願いします」
隅木田くんも矢本くんも行くよね…
「出入り可能にするから。できたら、こっちに来るよ」
「ありがとうございます」

「ハル、お腹空かない?」
晴奈ちゃんが反応する。
さっき決めたニックネーム。
「え、ヒマお腹空いたの?」
ヒマもお腹空いたんだ。
って!ハルはお腹空かないの!?
「ユリもお腹空いてきたよ〜!!!」
お菓子は空っぽ。
食べられる物なんてちっともない。
わたし、ずっと我慢してるんだよ!
「会長、まだ怪盗日本来ないの!?」
美華ちゃんが暴走しちゃう!
ふみ会長、手がまわらないよ!
わたしでできるかなっ?
「美、美華ちゃんっ!」
「何よ」
「怪盗日本、来ていないから待ってるんだよ。もうちょっと我慢しなきゃ。美華ちゃんの生活で有り得ないと思うけど」
ふみ会長は、目を見張っている。
やっぱり、こんなわたしだもんね…
「わ、分かってるわよ。もう!」
美華ちゃん、伝わったのかもっ。
「マミやるじゃん!」
「言ったね〜」
「これからも言ってやんなよ!」
ハルとヒマ、ユリが背中を叩いた。
エヘヘ、美華ちゃんに伝わった!
「多田本さん。ありがとう」
「いいえっ!いつも助けてもらってるもんね。ありがとう」
なんか…照れくさいっ!

46:モンブラン:2017/02/17(金) 22:40

11.明スイ始動!
「真美ちゃん!」
あ、隅木田くんと矢本くんだ!
進歩できたのかも!?
「マミ、行ってらっしゃい。隅木田先輩が呼んでるよ」
ハル…
行ってこよっと!
「行ってきます!!!」
隅木田くんの方に走っていくと、ふたりとも満面の笑みで言った。
「俺んち、彦宮学園にたっぷり金出してんだよ。キッチン空けてもらって、ガードマン付けてもらった」
お金出してるの?
さすが大きい家のお金持ち。
お坊っちゃまだもんね〜
「坂宮は学校違うから、梨歩佳さんと梨萌佳さんも含めて作ることになったんだけど」
「もちろんやります!」
さあ、何を作るのか決めないとね。
キッチンの冷蔵庫の中は自由でしょ。
材料は問題ないでしょ。
作るもの決めたら作れるね。
「でも、打ち合わせ無しの、研究でいくからね」
打ち合わせ無し…
だけど研究ってことは忘れずに…
「たくさん作れるものがいいよね」
「梨歩佳さんと梨萌佳さん、先に呼ぼうよ」
わたしが言って、矢本くんが呼びに向かった。
お坊っちゃまが、お嬢様を呼びに…
「真美ちゃん。何がいいと思う?」
改めて聞かれると…う〜ん???
思い浮かばないなあ。
「僕の案は、クッキーだけど」
クッキーかあ。
少し時間かかりそうだよねえ。
シュークリームイヤかなあ?
わたしが食べたいだけなんだけど。
「連れてきたよ。梨歩佳と梨萌佳」
「これ、チョーキツいね。早く作ろ。ガードマン呼んできて」
早速キッチンに行くのか!
「わたし、パン作りたいな〜」
「俺はマドレーヌ食べたい」
「僕の案はクッキーだよ」
「わたしはシュークリームがいいと思ったけど」
「わたし、絶対ムースがいい!」
みんなバラバラだよ!
どうしよう、決まんないじゃん!
「マドレーヌ抜きでいいよ、もう!」
「僕のクッキーもいいよ、抜きで」
「わたしのシュークリームも」
明スイメンバーが退いた。
後はお嬢様ふたりだけ。
「パンがいいと思うわ」
「いいえ、梨歩佳。ムースよ!」
パンの方が簡単にできそうだなあ。
「俺は梨歩佳派」
「僕は梨萌佳さん派かな」
「さあ、真美ちゃん/ハニーちゃんはどっち!?」
梨歩佳さん派だけどぉ!
言いにくいよね!?
ふたつ作ればいいんじゃないの?
いやいや、時間が足りないよね。
う〜ん。
ど〜しよ〜う!

47:モンブラン:2017/02/18(土) 09:06

12.合体案
「わたしの案はシュークリーム。隅木田くんの案はクッキー。矢本くんの案はマドレーヌですよね?そして、梨歩佳さんと梨萌佳さんの、パンとムースの案が出ています」
うぅ、ちょっと緊張しちゃう!
「全て作ることは、できないのかと思ったんですが」
シュークリーム、クッキー、マドレーヌ、パン、ムース。
これをどうするのか。
だけど…
「いいと思うわ。シュークリームの中に、クッキーのチッコイの入れればいいじゃん!」
「わたしも賛成。マドレーヌの中に、ムースの生地を入れれば問題ないわ。パンはどうしましょう?」
「シュークッキー、マドレムースって名前でいいよね?」
「パンはパンでよくない?」
うん!バッチリじゃん!

「シュークッキーのクッキー、梨萌佳取って」
「はい、拓斗兄」
わたしの担当は、マドレムース。
ムースの生地を作る仕事。
「真美ちゃん。そこのストロベリーの生地取ってくれる?」
「はい。チョコレートの生地取ってもらってもいいですか?」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
マドレムースのムースの味は、ストロベリー、チョコレート、チーズの三種類。
わたしはストロベリーの生地を作っていたんだ。
「隅木田先輩。チョコレートの生地できましたか?」
梨歩佳さんがマドレーヌを作る手を止める。
「もうちょっと待ってもらってもいいかな?」
「はい!…あと真美ちゃん。真美ちゃんのストロベリーの生地は、梨萌佳に渡してね」
「はい、分かりました!」
ストロベリー、美味しいものにしないとね。
「梨歩佳さん、チョコレートの生地」
「ありがとうございます!…あとさん付けじゃない呼び方で呼んでもらってもいいですか?」
「いいよ。じゃあ、梨歩佳ちゃんで」
梨歩佳さんは赤くなって、マドレーヌ作りに戻った。

48:モンブラン:2017/02/18(土) 09:13

13.謎の音
「完成したね〜」
梨萌佳さんがマドレムースの生地をしっかり入れると、全てが完成した。
やった、できた!
「じゃあ、多目的ホールに持っていこう。僕と矢本は高等部側。真美ちゃんと梨歩佳ちゃん、梨萌佳ちゃんは初等部側に持っていこう」
あとはちゃんと運ぶだけだね。
わたしは、シュークッキーを持って、梨歩佳さんはパンを持って、梨萌佳さんはマドレムースを持って行くことにした。
わたしがお盆を持った瞬間っ!
  ブーッブーッブーッ
な、何の音なの?
「みんな、お盆を置いて机の下に!」
隅木田くんが言って、机にお盆を置いて、机の下に隠れた。
多目的ホールから、悲鳴が聞こえる。
初等部一年生だろう。
これ、何なの〜!?

49:シフォン:2017/02/19(日) 01:10

あ〜読んでるとお腹が空いてきたぁ〜

50:モンブラン:2017/02/19(日) 07:09

シフォンさん、読んでくださってありがとうございます。
それに、深夜ですからね。
お腹空いたなら、何か食べてください!シフォンさんの好きなキャラクターは誰ですか?

51:モンブラン:2017/02/19(日) 07:30

14.怪盗日本あらわる
しばらくしてから、放送が入った。
「ただいま、怪盗日本が見えました。怪盗日本から、呼び出されている人がいます。矢本梨歩佳さん。矢本陽茉理さん。多目的ホール前にふたりで来てください」
呼び出しかかってるの、梨歩佳さんとヒマ!?
何されちゃうの、ふたりとも。
「梨歩佳。絶対怪盗日本の言いなりになるなよ!」
「分かってるって。先、多目的ホールに持っていって。みんな待ってる」
矢本くん…妹だもんね。
梨歩佳さん、ヒマ、帰ってきてね。
「じゃあ、行ってきます」
梨歩佳さんを送り出したところで、作ったものを多目的ホールに運んだ。
「あら。真美ちゃん、スイーツ作ってたの?気楽でいいわねぇ」
「美華ちゃんたちが食べるためなんだから。気楽とか言わないで!」
舞台上にスイーツを持っていって、ふみ会長に言ってもらった。
「皆さん。この多田本真美さん、矢本梨萌佳さん、その他たくさんの人が、スイーツを作ってくれました。ありがたくいただきましょう」
まわりからは、歓声が聞こえる。
作れてよかった…
「梨萌佳さん。よかったですね」
「ええ。高等部の方は大丈夫かしら」
ああ…隅木田くんと矢本くん。
「マミ!」
「ハル!ユリ!…あの、友達来たので、先行きますね。梨萌佳さんも友達のところ行っていいですよ」
わたしがハルとユリの方に行くと、梨萌佳さんが動いたのが見えた。
悲しい目をしていた気もした。
気のせいかな?

52:モンブラン:2017/02/19(日) 07:48

15.怪盗日本が来た!
「マミたちが作ったスイーツ美味しいよ。シュークッキーとか!」
「ユリ、パンが好き〜♪」
わたしが作ったマドレムース美味しいかな?
ちょっと不安な気持ちでいると、小さな女の子グループが来た。
「お姉ちゃんって、スイーツ作った人だよねえ?マドレムース美味しかったよぉ!シュークッキーもパンも今から食べるんだ〜」
気に入ってくれたんだ!
「ありがとう、ありがとうね。たくさんあるから、どんどん食べてね」
わたしがにっこり笑うと、女の子グループたちはニカッっと笑った。
「イヤーーー!」
「キャーーーーーー!」
「大人しくしろ!」
か、怪盗日本!?
梨歩佳さんとヒマの悲鳴?
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。怖い…。会長さんに言ってよ」
「分かった。じゃあ、このお姉ちゃんたちといてね」
女の子グループをハルとユリに預けると、急いでふみ会長に言った。
「皆さんは、ホールの椅子の下に隠れましょう」
ふみ会長が言って、みんなが椅子の取り合いになった。
とりあえず、近くの椅子の下に隠れれた。
「うわぁ〜ん、うわぁ〜ん!」
誰!?
椅子から顔をあげると、わたしに話しかけてきた女の子がいた。
軽く女の子を手招きして、わたしと一緒に椅子の下に隠れた。
シーンと静まり返っている。
「お姉ちゃん。真美っていう名前なの?わたしは、子日向」
子日向ちゃん(コヒナタ)…
「お姉ちゃんは、真美だよ。多田本、真美」
子日向ちゃんは、わたしを見て、またニカッっと笑った。
するとっ!
「ここが多目的ホールかあ。んんん?誰もいないじゃねえか!」
怪盗日本が多目的ホールに来た!
見えないけど…
「お姉ちゃん、何?」
「シーッ。ちょっと静かにしててくれるかな?」
子日向ちゃんはコクンとうなずく。
「もうひとつ多目的ホールがあるはずだ!案内しろ」
高等部の方に行っちゃった!
隅木田くん、矢本くん、逃げて!
高等部からは、まだ声が聞こえるから!しばらくすると、高等部の方から悲鳴が聞こえる。
「もう、いいの?」
「ダメだよ。お姉ちゃんが、いいって言うまで」
子日向ちゃん、ごめんね。
もうちょっと待ってね。
わたし、高等部の方に行ってくる!

53:モンブラン:2017/02/19(日) 17:18

16.戦闘少女3人組
「か、か、怪盗日本っ!」
多目的ホールに入って叫ぶように言うと、怪盗日本が振り向いた。
ん?どこかで見たことがあるような顔だな〜。
「マミ、来ないで!お願い!」
「真美ちゃんっ!どこかへ行きなさいよ!早くっ!」
ヒマ…梨歩佳さん…
でも!わたしは逃げない。
すぐ近くの椅子の下に、中等部の制服の女の子が見える。
この人たちを犠牲にしちゃダメ!
どうにかできる物はないかな?
「ちょっと!怪盗日本、待ちなさい」
え、ふみ会長に美華ちゃん?
美華ちゃん、どうしてここにいるの?
「真美ちゃん、ひとりで行くとか、死ぬ気?死にたいならいいけど、一応…友達でしょう?」
「美華ちゃんっ!」
いつもの、ふみ会長のキッっとした顔が見える。
お、怒られちゃう…
「ふみ会長。美華ちゃん。怪盗日本を追い出そう!」
なんか、戦闘っぽいけど、女の子だからってなめんなよ!?
わたし、空手習ってんだからね!?
ふみ会長柔道やってるし、美華ちゃんはレスリング趣味だもんね♪
合わないけど、戦闘少女3人組って呼ばれてるんだから!
「さあ。かかってきなさいよ!」
怪盗日本はきれて、わたしに襲いかかってきた。
するとっ!

  ピーポーピーポーピーポー

この音って、もしかして!

54:モンブラン:2017/02/19(日) 17:31

17.ハッピーエンド
「こちら、警察ですが」
ケーサツさんキターーーー!
怪盗日本は、あっさり見つかった。
多目的ホールで鬼ごっこしてたんだけど、これまたあっさりふみ会長に捕まった。
「彦宮時計、守れたね」
わたしが言うと、ふみ会長はあっさりした顔で笑っていた?
ふみ会長、いつも強気だもんな。
美華ちゃんは、校長先生に今のことを話していて…
わたしたち、いいことしたかも。

「お姉ちゃん。わたしを助けてくれてありがとう!お姉ちゃんかっこよかったよ!」
子日向ちゃんに、見られてたんだ。
ハルとユリに見られなくてよかった!
空手、わたしがやってたらビックリするもんね。
もうちょっと延ばそっと。
「いたたたた。マミ、ありがとう」
ヒマが小さな声で言った。
「わたしとヒマの秘密ね。怪盗日本と闘ったこと。わたし、空手やってるから。幼なじみのハルも知らないの」
ヒマはビックリした。
やっぱりビックリするよね〜。
ゆびきりげんまんをして、ハルたちと会話に戻った。
「真美ちゃん!」
「隅木田くんですか?」
また上を見上げると、隅木田くんがいた。
「また作り直そう。食べれる状態じゃないよ」
「はい!」
わたしの髪の毛が揺れる。
わたし、スイーツ作りの才能あったりするかも?
「真美ちゃん。美味しいスイーツ、待ってるから。…ほら、早くしなさいよ!待ってる人がいるのよ!」
美華ちゃん…
「ありがとう!!!」
多目的ホールから解放されたわたしたち。
明確スイーツ研究部、学校でも人気になっちゃったりして?

             (つづく)

55:モンブラン:2017/02/19(日) 17:38

あとがき
            モンブラン

皆さんこんにちは。
明確スイーツ研究部!略して明スイの作者、モンブランです。
今回の2巻、いかがでしたか?
怪盗日本という怪盗を作ってみました。作者のわたしも、ぞくぞくして…
怪盗日本怖いな〜

皆さんは、友達関係うまくいっていますか?
わたしは絶好調!
今度の明スイ、友達関係が関わるので、いろんな友達関係など、友達に関わること教えてほしいです。

読んでくれた皆さんありがとう!
明スイ3巻でもよろしくお願いします。引き続き明スイを読んでください。

56:モンブラン:2017/02/19(日) 17:41

明確スイーツ研究部!
〜次回予告〜
真美の友達関係は崩れちゃう?
ハルとわたし、ヒマとユリ!?
どうして分裂しちゃうわけ!?

57:モンブラン:2017/02/20(月) 21:13

『明確スイーツ研究部!3』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

58:モンブラン:2017/02/20(月) 21:34

『明確スイーツ研究部!3』


1.恐怖!ジェットコースター
ハル、ヒマ、ユリと来ているここは!
サマーサマーパーク!
夏限定の遊園地で、小さな子から大人まで、いろんな人が来ている。
「ねえねえ。あのジェットコースター乗ろうよ!思いきって!」
ユリが指差したジェットコースター。
それは…
サマーサマーパーク一番大きいジェットコースターじゃん!
めちゃくちゃ怖いよお。

わたし、多田本真美。
サマーサマーパーク初入場です!

「思いきって…ジェットコースター行ってみますか!」
ハルまで〜。
ユリとハルが、スキップしながらジェットコースターに向かった。
ヒマと顔を見合わせる。
「プッ!」「ワハッ!」
ふたりとも吹き出したりして。
本当、楽しい。
ヒマと一緒に、ジェットコースターに向かうと、ハルとユリはまだスキップしていた。
その場でだよ?
「マミ、ヒマ。これ、二人乗りなの。わたし、ユリと乗っていい?」
「ユリも、ハルと乗りたい!」
ジェットコースター好き同士、意気投合しちゃってる…
ああ、どんどん前に進むよ〜。
ジェットコースターに近づく〜。
「マミって、好き?嫌い?」
「何が?」
「あぁ。ジェットコースター」
好きか嫌いかと言われると…
苦手だけど…怖いから。
でも、それが醍醐味(だいごみ)だから好きな人は…
「わたしは、苦手なだけ」
「ヒマも?わたしも苦手なだけ」
ヒマと似てるとこ、多いなあ。
「お次のおふたり、どうぞ」
「行ってきます!」
あぁ、ハルとユリ行っちゃった!
次がわたしたちだぁ。
すると、ハルの叫び声が聞こえた。
「ヒマ。ハルの叫び声すごいね」
「ホント」
ふたりでクスクス笑っていると、わたしたちが乗るジェットコースターが戻ってきた。
「お次のおふたり、どうぞ」
うぅ、乗らなきゃ…
足がブルブル震える…
「マミ、乗って。わたし乗ったよ」
ヒマ、乗るのが早いよ…
わたしが震えながら乗ると、スタッフの人のアナウンスが聞こえ、ジェットコースターが動き出した。
「ヒマ、ヒマ、ヒマ、ヒマ〜〜〜!」
「イヤァァァーーー!」

ジェットコースターから出てくると、わたしとヒマはフラフラだった。
「マミ、ヒマ。大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
「わたしは大丈夫」
ヒマ、本当に大丈夫なの?
わたしはもういいけど…
「まあ!ヒマの好きな昼ごはん!」
あ、ヒマが楽しみにしていた昼ごはんじゃん!
気を取り直したのか、ヒマはスキップして昼ごはんを買いに行った。

59:モンブラン:2017/02/20(月) 21:50

2.サマーサマーパフェ
「う〜ん、美味しい!美味美味!」
ヒマ、急に笑顔が戻った。
「さあ。毎回恒例にしたいと思っている、陽茉理の食レポコーナー!」
ハルがコーナーを作る。
ヒマも初耳だったみたいで、ヒマが買った、サマーサマーパフェの食レポをするよう、うながす。
ヒマ、アナウンサーになりたいんだもんね。
「ん〜。このチョコレートがとても濃厚で、バニラと混じるんですよね。口の中で、パチパチ弾けるストロベリー、とっても美味しいです!」
「はい、カット!」
ハルがカットをかける。
食レポうまいな〜。
「食べたくなってきたよ!さすがヒマだね。買ってくる!」
ハルが、サマーサマーパフェを買いに行った。
ユリも、サマーサマーパフェを後からハルを追いかけて買いに行った。
「マミは買わないの?」
「わたし、パフェって苦手なの」
「マミ!このパフェ、他のパフェと違うんだから!明スイの参考になるから食べてみて!」
ヒマがそんなに言うなら…
わたしもんハルとユリを追いかけてパフェを買いに行くと、美華ちゃんみたいな人を見かけた。
あの子、美華ちゃんとは別人だ。
友達と一緒に来ているようで、名前が出ることを待つ。
早く名前呼んで!
「聡日はさぁ。陽都くんより思いが強いと思うよ」
聡日さん?陽都くん?
もしかして、坂宮くんのこと?
聡日さんって、幼なじみの聡日さん?
「斬新〜!」
イマドキの子って、すごい格好してるんだ。
「マミ?マミ?」
「ふぇい?」
「本当に大丈夫なの?」
笑ってごまかすと、ハルの微妙な笑みが見えた。
ハル、こういうとき怖い〜。

60:モンブラン:2017/02/21(火) 21:47

3.聡日ちゃんと美華ちゃん
「ねえ。マミ。このコーヒーカップ乗らない?わたしとユリが乗りたい乗り物乗ったし。マミとヒマの乗りたい乗り物乗ろうよ」
ハルが提案して、近くのコーヒーカップに乗ることにした。
ハル、覚えててくれたんだ。
わたしがコーヒーカップ大好きって。
さすが幼なじみ!
「4人乗りだからちょうどいいね」
う〜、楽しみっ!
サマーサマーパークって初めて来たけど、こんなに面白そうなコーヒーカップがあるなんて!
乗らなきゃ損だよね。
「はい、お次の方どうぞ」
やった、入れる入れる〜!
コーヒーカップは8台あるね。
わたしの好きな色は、この中では薄いあのピンクかな。
「とりゃあーーーー!っと、取った!薄ピンク取ったーーー!」
ハルたちも、後からついてくる。
ああ、ひとりで暴走しちゃった。
「マミの以外な一面だから。ちゃんと覚えておくといいよ」
ハルったら〜!
「では、動きます。スタート」
スタッフの人のアナウンスで、コーヒーカップの床が動く。
わたしたちも、コーヒーカップを思いっきり回す。
やっぱりコーヒーカップ面白い!
「マミが回すと怖いよ…ヒマが回してみたら?」
ハンドルがヒマのところにいくと、もっとビュンビュンになった。

「楽しかった〜!ねえ、ハル。ヒマ。ユリ」
みんなを見回すと、あいまいな感じでうなずいている。
ちょ、ちょっと〜!
楽しくなかったって言うの!?
「聡日、何乗る?」
「え?何でもいいわ。美華選んで」
美、美華?
「じゃあ、久しぶりにメリーゴーランドで」
美華ちゃん…
着いてく!

61:みかぜ◆63Y:2017/02/23(木) 22:05

スゴく面白いですね!!

62:モンブラン:2017/02/24(金) 19:20

みか、ありがとう。
これからも頑張って書く!

63:モンブラン:2017/03/04(土) 14:47

4.消えたユリ
っと、その前に。
「みんな、メリーゴーランド行こ!楽しそうだもん」
みんな賛成してくれて、メリーゴーランドに向かった。
もちろん、人通りが少ない道じゃなくて、美華ちゃんと聡日さんに着いて行って。
「ねえマミ。こんな道選ばないでよ!人が多い道を!」
「後から理由を話すから!」
やっとメリーゴーランドのところに行くと、ハル、ヒマ、ユリがいない!
わたしが早く行きすぎたからだ!
「ちょっと、マミ!ユリがいないじゃんよ!」
「ごめん。探してくる!」
あぁ、わたしってなんでこんなことしちゃったんだろう。
「ユリー!ユリー!ユリー!」
メリーゴーランドに行くって言ったから、ユリも来てるかも?
でも、人通りが多い道を選んだし。
「ちょっとマミ!わたし、ユリと一緒にいて、学んだことたくさんあるの!その時間、失いたくないの!だからマミって嫌なのよ!」
えっ!
ヒマ、わたしが嫌?

「ねえ。わたし、まみちゃんといて、利益はないのよ。それに楽しくもないし。本当。」
え?あこちゃん?

わたしのせい。
わたしがどうにかしなきゃ。
もう!
「いやーーーーーー!」

64:モンブラン:2017/03/05(日) 19:09

5.突然の絶交
「うわっ!あ、マミ!」
ん…あ、ユリ!
「ユリっ!ごめんね、本当にごめんね」涙目のユリは、一欠片も怒りを抱いていないようだった。
「気にしないで。それより、ずっと迷子にならなくてよかった」
人通りが少ない道に来ると、ユリはヒマとガッチリ手を繋いでいた。
「マミ。どうして早く行ったのか、教えてもらってもいい?」
「わたし、聡日って子を知ってるの。その子と美華ちゃんが一緒にいたから秘密を探りたくて」
「人の秘密なんて探ろうとしないで!マミの秘密、わたしが探っていい?隠したくないの?それに人のこと考えないなんて許せない」
そうだよ。
そうだよね。
ヒマの言う通りだ。
わたしなんて、友だちじゃない。
人のことを考えなかったんだから。
「ヒマ。でも、もう見つかったことだし、反省してるし、これからだよ」
ハルの言うことも一理…
「マミの味方するんだ。もういいわ。わたしはユリと一緒にいる!ハルとマミのふたりでいて!絶交よ!」
「ぜ、絶交!?」「絶交…」「ヒマ?」

65:モンブラン:2017/03/05(日) 19:26

6.思い出カレー
「ごめんね、晴奈ちゃん」
「いや。わたしも、陽茉理の考え方に反対だし」
晴奈ちゃん…
わたしたち、ニックネームで呼びあっていたけど、4人合わせてだから、名前で呼ぶことにしたの。
「真美、何にする?わたし、久しぶりにカレー食べようかな」
「じゃあ、わたしもカレー」
ここは学食。
カレーなんて本当に久しぶり。
確か、陽茉理ちゃんたちと遊び始めた日も、カレーだったなあ。

「いいですか?キャンプは、4人グループなので。今から4人グループを作ろうと思います」
はぁ〜、キャンプかぁ〜。
6年の始めにある、キャンプ。
わたしは、いつも晴奈ちゃんとふたりで遊んでたから…。
「ねえねえ!陽茉理と由里歌もふたりだよ!あのふたりと組もう!」
晴奈ちゃんの提案でできたグループ。
 キーンコーンカーンコーン
「あぁ。時間になってしまいました!ここで終わります。決まったグループは来てください!」
担任の清水先生が言う。
「これで終わります。礼」
あぁ、お腹空いた。
「えっと、晴奈さん。真美さん。陽茉理さん。由里歌さんね。次」
今日は何食べようかな〜?
学食へ向かう足をなんとか止めようとしていると、陽茉理ちゃんが提案した。一緒に食べようって。
「みんなでカレー食べない?」
由里歌ちゃんもカレー屋さんを指さして提案する。
あ〜、あのときのカレー美味しかったなあ〜。
また食べたい。
でも…。
わたしが自分でなくしたんだから。

66:モンブラン:2017/03/06(月) 21:23

7.児童会室に呼び出し
「ごめん。晴奈ちゃん。陽茉理ちゃんと由里歌ちゃんと遊び始めた日もカレーだった。今日はカレー食べたくないかな」
あいまいな顔でわたしが言うと、晴奈ちゃんもカレー屋さんの列から退く。
晴奈ちゃんも、早く忘れたいのかな?
 ピーンポーンパーンポーン
「お呼び出しを申し上げます。真美さん晴奈さん。児童会室に来てください。繰り返し連絡します……」
え?わたしたち?
「ねえ。何か頼んでからにしない?」
「うん。わたし、和食にするね」
「じゃあわたしも」
和食の列に並んでいると、向こうから坂宮がひとりで入ってきた。
「真美じゃん!呼び出されてんのに。俺が並んでやる。何なんだ?」
「いいの?坂宮」
「もちろん」
「晴奈ちゃんのもよろしくね。わたしは和食定食。晴奈ちゃんは、焼き魚定食ね。よろしく」
学食を出てきたところで、晴奈ちゃんが肩をバシンと叩いた。
「真美の未来のご主人様、優しい〜」
「今日、すごい優しかった」
晴奈ちゃん、坂宮のこと気に入ったのかな?
気に入ったなら、坂宮がくっつくの晴奈ちゃんにしちゃえばいいのに。
「真美。ノックして」
 トントン
「失礼します。多田本真美です」
児童会室を開けると、腕を組んだ陽茉理ちゃんと、縮こまっている由里歌ちゃんがいた。

67:モンブラン:2017/03/06(月) 21:43

8.関わらない
「ふみ会長。お願い」
陽茉理ちゃん、何をやってくるの?
ふみ会長は、軽く咳払いして陽茉理ちゃんの肩に手をのせる。
「わたし、あなたたちが仲良くしないの、どうしてかって陽茉理ちゃんに聞いてみたの。喧嘩したらしいわね。真美ちゃんと呼ぶわ。真美ちゃんが原因でね」
「でも真美も反省してるし」
「晴奈ちゃん!わたしが悪いんだからダメだよ。否定しちゃ」
そう、そうだよ。
わたしに原因という袋が覆い被さっているんだから。
これを脱ぐことは、今できないの!
「あなた…真美ちゃんの配慮が足りないのも、陽茉理ちゃんの強すぎる意思も良くないわ」
ふみ会長の言う通りかも。
わたしはやっぱり配慮が足りなかったみたいだし。
「お互い仲良くやっていきなさいよ。卒業生なんだから。まだ6月だけど」
「わたしたち、行きます。あと、真美さん。お兄ちゃんとお姉ちゃんと関わらないでほしいわ」
「えっ!陽茉理ちゃ…」
え、行かないでよ。
あと、真美さんって呼び方…。
お兄ちゃんとお姉ちゃんと関わらないでって!
明スイやめてってこと!?
「失礼しました」
…って、えええええええっ!!!
坂宮って、彦宮学園生徒だっけ?
だって、学食でお願いしたもんね。
怪盗日本(ジャパン)のときいたっけ?
「おっ!真美ちゃん!梨歩佳だよ〜♪なんか久しぶりな気がする!」
梨、歩佳さん…、、、とも、関わっちゃダメだよね。
遠くで陽茉理ちゃんが見ていたら…。
「梨歩佳先輩、急いでるので失礼します!すみません!」
「ねえ、真美ちゃん!」
ごめんなさい!
梨歩佳先…輩…。
わたし、もう関われません。

68:みかぜ◆63Y:2017/03/06(月) 21:47

モンブランやっぱりスゴいね!見やすくすき間とか開けた方が良いと思うよ!

「やっぱりそう思った?」

○○はニッコリしてとても嬉しい表情をしていた。

フフ…かわいい♪

みたい感じかな。私小説下手だけど意味がわかればいいんだけど

69:モンブラン:2017/03/08(水) 21:06

みか、ありがとう!
アドバイスを生かして書いてみます!
本当にありがとう!

70:モンブラン:2017/03/08(水) 21:18

9.キツい言葉

「真美。坂宮くんのところ行こう」

ああ、学食で並んでたんだ。
梨歩佳さんに心の中で謝りつつ、学食へ向かう足を早くする。

「ねえ。真美。ちょっと」

「由里歌ちゃん?ど、どうしたの?」

急に腕を引っ張られて、2-3のクラスに入っていた。

「ごめんなさい。あの、陽茉理ちゃんが、ふみ会長に言えば味方になってくれるって言うから」

「大丈夫だよ。初めから、悪いのはわたしなんだから」

由里歌ちゃんは、頭を下げたまま動かない。
二年生の先輩も、由里歌ちゃんを遠目に見て避けている。

「でも、陽茉理ちゃんといるべきだから、わたしと一緒にいちゃダメだよ。お願い。陽茉理ちゃんといて」

「でも、わたしは、4人で一緒に」

「お願い!わたしが悪いのは分かっているの!でも、今はふさわしくない!陽茉理ちゃんといることがふさわしいことだよ!」

あ、あ、由里歌、ちゃん…。
わたし、由里歌ちゃんを…。

「いいんだよ。真美。真美が言ったこと間違ってないから。行こ」

由里歌ちゃんごめんなさい。
でも、本当にわたしは一緒にいられないから。

71:モンブラン:2017/03/10(金) 20:44

10.あのふたり
「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

休憩所のドアを開けると、坂宮、矢本くん、隅木田くんがいた。
今日は、明スイで集合がかかったの。
でも、矢本くんと関わらない方がいいっていうか…。
明スイ抜けた方がいいのかな…。

「じゃあ、始めよう。最近、依頼をほったらかしにしているから、依頼に対応しよう」

「聡日の依頼はやめろよ!」

あ、聡日さん。
美華ちゃんといて、どうなったんだろう。

「ねえ。尾崎姉妹あったよね?ふたりとも同時に対応は無理かな?」

矢本くんが提案する。
隅木田くんは、スマホを取り出して、メモのアプリに書き込んでいる。
尾崎姉妹、ねえ。

「これが尾崎姉妹の依頼」

えっと、桃乃さんと桃音さん。
ふたりの性格、すごく違いそうだな。
わたしに合えばいいんだけど。

「ねえ。あの彦宮学園のお嬢様が来るってウワサよ」

「ええ。そのお母様とお父様離婚されたけど、お母様に着いていった美華様も、お父様に着いていった聡日様も来るらしいわ」

美華ちゃんと聡日さん、姉妹!?
なのに、別れちゃったんだ。
でも、明確ゼミで会うことになる。
このふたり、会うほど仲良しなんだ。

「明スイで、尾崎姉妹をやる話に戻っていいよね?」

「あ、いいです」

「作る物とかじゃなくて、場所とか考えよう。どこがいいかな?」

それなりに広いところがいいよね…。
わたしの家は狭いし、人とかたくさん入れないし、うるさいし!
いいところなんてないじゃん!

「俺んちのパーティー会場使う?」

矢本くんの家のパーティー会場!?

72:モンブラン:2017/03/10(金) 21:04

11.初電話
「さあ、美華様。聡日様」

あ、この人、この前の爺だ!
ブスって言った人だ!
何が美華様よ!
何が聡日様よぉ!!!

「へ〜、清潔なのね。あら?真美ちゃん?ここに通ってたの?成績伸びていないのに」

「そんなことないよ!」

美華ちゃん、みんなの前で言わないでほしかったよ!
成績伸びてないとか!

「爺。ここはなしよ。真美ちゃん、伸びてないもの。伸びなきゃ意味がないわ。聡日もやめたら?」

「いや。ここにする。陽都がいる」

聡日さんの目当てそこ!?
でも、坂宮がベッタリしてこないと思えば、楽になれるかも?

「明スイに戻るよ。真美ちゃん」

「すみません!」

「じゃあ、尾崎姉妹でいいね?」

「はい!」

みんな尾崎桃音さん、桃乃さんの依頼を対応することに賛成して、みんなスマホを取り出した。
メモアプリを開いて書き込んでいる。
わたし、スマホ持ってないや。
恥ずかしい気持ちで、メモ帳にメモしていく準備をした。

「えっと、桃音さんが、夏那さんの誕生日を祝いたい。桃音さんの依頼は、ケーキでいいかな?桃乃さんは、亡くなったおばあさんの誕生日だね。これは、ケーキでいいんだよね」

「あの。携帯電話の番号書いてあるじゃん。だから、それ見て電話かけてみたらどう?」

尾崎姉妹に電話するってことだね。
誕生日は、ケーキでいいか。
おばあさんの誕生日のは、何がいいのか。
おばあさんの誕生日はいつなのか。
とかだよね?

「真美ちゃん、女の子と話すんだから真美ちゃんが話したら?」

「わたしですか!?」

「うん。やってごらん」

ん、うん。
わたし、同級生に電話したの、初めてかもしれない。
何て話せばいいのか。

「頑張って。はい」

隅木田くんのスマホを借りて、尾崎姉妹の桃音さんに電話をかける。

 プルルルルプルルルル ピッ

「もしもし。尾崎桃音です。誰?」

73:モンブラン:2017/03/10(金) 21:09

12.大きなお菓子の家
「明スイメンバーの多田本真美です。依頼ありがとうございます」

「明スイ?依頼?わぁ!」

あぁ〜、緊張して声がふるえるかも。
っていうか、もうふるえてる?

「で?で?わたしの依頼通ったの?」

「は、はい。夏那さんの誕生日をお祝いしたいということで」

「やった〜!明確スイーツ研究部って最高だよぉ!」

「ありがとうございます。誕生日ってケーキでいいんですか?」

「悪いけど、お菓子の家ってできる?わたしたちが、お菓子の家に入るの」

えええええっ!

74:モンブラン:2017/03/11(土) 15:06

13.針本早弥花さん
桃音さん、難しい依頼を…
ピッ
電話が切れて、緊張の糸が切れた。

「真美ちゃん、どうだった?」

「桃音さん。お菓子の家を作ってほしいそうです」

みんな、じっと考える。
この…難しい課題をどうしたらいいか。
時間がだんだん過ぎていく。
休憩所の中には、女の子たちの声が聞こえる。
いい案が浮かばない。
お菓子の家なんて作れない。って。

「君たち、明確スイーツ研究部?」

「はい。そうですが」

「私、早弥花って言うの。あなたたちに依頼したわ」

「はい。ありがとうございます。針本早弥花さんですね」

針本早弥花さん。
ああ、マカロンをたくさん食べたいって依頼の人だ❗
たくさんってどれくらい?って覚えてたんだ。
で、針本早弥花さんが何の用?

75:モンブラン:2017/03/11(土) 20:53

14.ジャンルわけ
「針本早弥花さん。何の用ですか?」

隅木田くんが聞いて、早弥花さんはちょっとうつむく。
耳まで真っ赤。
隅木田くんファンかな?

「わたし、マカロンお願いしましたよね?どうなりましたか?」

「すみません。日付が限られている依頼がありまして。その後でもいいですか?」

「はい!」

早弥花さんは、返事して軽い足どりで帰っていった。
早弥花さんなんだったんだろ。
さあ、戻んなきゃ。

「お菓子の家なら、今まできた依頼を全部引き受けたらどう?聡日以外」

坂宮、ひどい!
聡日さんかわいそうだよ!

「聡日さんは、別でやる?」

「それがいいと思います!聡日さんだけは別で!」

坂宮は、そういうことじゃないと言いたそうだけど。
聡日さんも幸せになるし、いいもんね。
「じゃあ、ひとつひとつ書いてみようか。それぞれ願いが違うけどいい?」

確かに違う。
誕生日のケーキ。
おばあちゃんが亡くなって。
自分が楽しみたくて。
これをひとつにまとめるのは無理がある。

「ジャンルわけして、ジャンルごとに会を開いたらどうですか?」

わたしが言うと、隅木田くんは賛成してくれた。
矢本くんもうなずく。
多数決的にも、ジャンルわけすることに決まった。

「ケーキ。誕生日。楽しむ。お別れ。誕生日。ケーキ。ケーキ」

うぅ、ジャンルわけ、キツい。
誕生日が多すぎる。
はぁ。頑張るぞっ!

76:モンブラン:2017/03/12(日) 20:07

15.メンバーを大切にする心
「ねえ。多田本」

それは、ハニーちゃんとか、ハミーちゃんって呼んでくる矢本くんが、多田本って呼び方をしてきた。
矢本くんに近づいちゃダメ。
陽茉理ちゃんに言われたんだもの。

「何?」

「ど、どうしてそんなに冷たいの?」

「冷たくないですよ」

冷たくしてたけど、ダメ!
ダメだよ、真美。
矢本くんとなるべく話さない!
そう言い聞かせて、矢本くんの逆の方を見た。
まるで、わたしの大切な物を失っていくみたい。
なんというか、自分で捨てているような感じ。
心がムズムズする。

「真美ちゃん。ちょっと」

隅木田くんに言われて、休憩室を出る。何を言われるんだろう。
隅木田くん鋭いから、矢本くんのこと避けてることバレてる?
ちょっと行ったところの廊下で、隅木田くんは止まった。

「真美ちゃん、明スイがキライ?」

え?
わたしが明スイをキライがどうか。
これは、みんな知っているはず。
もちろん、大好き。
なのに、大好きに見えないかな。

「明スイのこと、大切に思ってくれてるかな?」

「もちろんです!大好きです!」

「ははは。嬉しいよ」

なんだろう。
隅木田くんの心から笑っていない笑い方。
全然嬉しそうじゃないし。
なんか、隅木田くん変。

「どうしてですか?」

わたしが聞くと、隅木田くんは天井を見上げた。
わたしも、天井を見てみる。
何もない。
何も起こらない。

「真美ちゃん、メンバーを大切にする心がない気がする」

「そんなことありません!」

メンバーを大切にする心?
絶対あるよ!
晴奈ちゃんだって、ずっと大切な友達と思ってるし。
みんな友達としてっ!
…陽茉理ちゃんと由里歌ちゃんはどうだろう。
仲間と言う意識、ないもの。
もう、敵のよう。
これが大切にしていないのかもしれない。
陽茉理ちゃんに言われたから矢本くんから避けている。
矢本くんに申し訳ない。
わたし、ダメだ!
自分らしく生きなきゃ!

77:モンブラン:2017/03/12(日) 20:34

16.昔のサイフ
「確かに、メンバーを大切にする心、今のわたしにはありません。今から、その心を取り入れます」

隅木田くんはにっこり笑って、休憩室に戻っていった。
後に残されたわたしは、ポケットがチャリチャリいうのに気付いた。
さっきから、うるさい。
いい話だったのに。
ポケットを手で探ってみると、サイフが入っていた。
どうしてだろう。
あ、もしかして!

「まみちゃん。美味しいね」

「うん。もう最高に美味しい!」

ここはクレープ屋さん。
あこちゃんとふたりで来たの。
このチョコレートバナナクレープ、美味しい!

「おサイフ、ポケットに入れておけばいいよ。邪魔でしょ」

あこちゃんに言われて入れたサイフ。
確かに、クレープ食べるのに邪魔だしポケットの中に…。

あのときから入れっぱなし、かあ。
サイフを開けると、そのときのレシートとおつり、プリクラの写真が入っていた。
ああ、なつかしい。
でも、もう戻りたくない。
後に悔いが残るだけだから。
あれから、このズボン一回もはかなかったんだもんね。
洗濯、サイフも一気に洗ったのかな?
サイフ、すごくいい匂いだし。

「おい、真美!早く戻れよ」

「はい。今行く」

今楽しいことは明スイ。
あこちゃんたちのことは、早く忘れちゃおう。
いい例がないんだから。

78:モンブラン:2017/03/13(月) 19:21

17.預かる
「真美ちゃん。これ、もう終わったからさ」

隅木田くんが依頼書をわたしの前に出してくる。
綺麗な字で、誕生日、お祝い…。
などと、ふせんで表してある。

「これ、真美ちゃん持っててくれる?僕、いろいろ持ってるの大変で」

隅木田くんは、さっきのことがなかったみたいに接してくる。
何でだろう。
わたし、接し方迷ってたのに。
まあ、楽だからいいけど。

「わ、分かりました。持っておきますね。えっと、いつまで持ってたらいいですか?」

「僕が言うまでいい?」

「はい」


「ただいま」

家に帰ると、ママとパパの声が大音量で聞こえた。
も、もう。
うるさいなあ。
そう思いながら、ふと目にとまった人形を手に取ってみる。
古びていて、茶色のシミがたくさん付いていた。
わたし、使い方よくなかったかな?
ちょっと悲しくなって、人形を抱きしめる。
ひとりっこのわたしが使っただけだもの、わたしの使い方が荒いとしか思えない。
 プルルルルプルルルル

「真美ぃ〜、電話出てぇ」

ママ、めっちゃ酔っぱらってる気がするんですけど!

「もしもし多田本です」

「もしもし。僕は隅木田優斗です。多田本真美さんいますか?」

あ、隅木田くん。
…って、わたし、いつみんなに電話番号教えたっけ?

「真美ですが」

「真美ちゃんだったんだ。あのさ。僕たち、みんなで話し合ったんだけど」

79:モンブラン:2017/03/17(金) 19:44

18.お泊まり!?
「何を話し合ったんですか?」

「みんなの会は次回。尾崎桃乃さんの依頼を先にしよう。天国のおばあさんの誕生日、明後日だから」

明後日!?
何をすればいいのっ?
尾崎桃乃さんーーー天国のおばあさんの誕生日にケーキを渡したいだった。
誕生日が、、、明後日。

「今から、俺たちは試しで作ってみるんだ。矢本の家で。真美ちゃん来れそうかな?」

時計を見上げると、短い針が8に近づいていた。
何て言えば通じるんだろう。
勉強?お泊まり?明スイのこと言う?

「ちょっとお母さんに代わってくれる?いるかな?」

「はい、代わります」

ママに電話を代わって、また時計を見上げてみる。
短い針が8。
長い針が12になった。
ちょっきり、20時。

「本当にありがとうね。隅木田くん。真美、きっと成績伸びるわ。じゃあ、お泊まりお願いしますね」

お、お泊まりっ!?
矢本くんの家で寝るの!?
ママが電話を切って、こちらを振り返った。

「真美。お泊まりの用意しなさい」

えええええ!
本当にお泊まりなの!?
でも、明スイの活動に参加できてよかった。
ありがと、隅木田くん。
お泊まりの用意をしていると、部屋を誰かがノックしてきた。
扉を開けると、そこには陽茉理ちゃんがいた。

80:モンブラン:2017/03/17(金) 19:56

19.仲直り
「真美ちゃん。ごめんなさい」

手を止めて、陽茉理ちゃんと向き合ってふたりで話す。
その時思ったこと。
ああ、どうして今日はこんなに刺激があるの?

「夜遅くにごめんなさい。私、由里歌といて学んだことあるわ。でも、同じくらい、真美ちゃんと晴奈ちゃんといて学んだことあるの」

陽茉理ちゃんも、由里歌ちゃんと同じくらい学んだことあるんだ。
わたしと一緒。
まるで、今まで学んだことが、ケムリみたいにどこかに消えるの。
ポッカリなくなっていて、周りには何も残っていない。

「ヒドイわたしだけど、やり直すことはできるかなっ?」

「わたしもっ!わたしもやり直したいよ。陽茉理ちゃん」

なぜか、自然に涙が出てくる。
きっと、仲直りできないって思っていたわたし。
弱いよね、わたし。
そう思っているから、前に進めないんだもの。
陽茉理ちゃんと仲直りするため、動いたことはない。
わたしこそ、本当にヒドイ人だね。
でも、そんなわたしを受け入れてくれた陽茉理ちゃん。

「さあ。陽茉理ちゃん、帰ろう。わたしも、今から陽茉理ちゃんの家に行くから」

「拓斗兄たちと明スイ?」

「うん!」

陽茉理ちゃんと笑いあって、泣きあっている今。
なんか、とっても嬉しいよ!

81:モンブラン:2017/03/17(金) 20:12

20.試作品作り
わたし、坂宮、矢本くん、隅木田くんに、梨歩佳さんと梨萌佳さん、いきなり参加の陽茉理ちゃんの7人で作ることにした。
お、お菓子の家。
尾崎さん、すごい依頼だなぁ。
これも、ボランティアみたいな感じだから、報酬もなしなんだよね。
あ!報酬ならある。
仲良くなれるし、人の本当の笑顔が見られる!

「床のクッキー担当は、梨萌佳ひとりでできるな?壁一面は、多田本と陽茉理のふたり。陽茉理は普段作ってるだろ。がんばれ!家の中の細かなお菓子を、俺たち3人。梨歩佳はサポート」

矢本くんがうまく振り分けて、お菓子の家の試し作りが始まった。
これ、あくまでも試しだからなぁ。
試作品ってことだ。

「マミ、わたしたちの友情みたいに、うまく壁一面を作ろうね」

「ヒマ、頑張ろうね!」

わたしたち、本当にいいグループだったのかもしれない。
わたしの勝手な行動が、大きな存在を呼んだんだから。

「真美ちゃん、陽茉理、できそう?」

「梨歩佳姉は向こうで待ってて。わたしたちだけでやりたいの」

陽茉理ちゃん、必死だ。
梨歩佳さんは、呆れて違う方のサポートに行った。


「壁一面、完成〜!焼いてる間に作ってたもう一枚の壁も、焼くだけだ!」

「ヒマ、やったね!壁一面完成しちゃったよ!」

き、き、奇跡かもぉ〜〜〜!!!
隅木田くんも、振り返って褒めてくれた。
なかなかの出来映えだよね、これ。

「多田本。陽茉理。ボーっとするな!次は細かなお菓子だ!坂宮と隅木田、壁作りに移動!」

矢本くん、手際いい!
この調子なら、本番もうまくいくかも?

82:モンブラン:2017/03/17(金) 20:19

21.報酬
「全体完成したね〜!すごい!」

梨萌佳さんが、スマホで写真をたくさん撮っている。
小学生と中学生だけだから、かなりすごいと思う、これ!

「おい、これを使ってもいいんじゃないか?本番で」

矢本くんがふとした顔で言う。
確かに、こんなにうまくできたのに、二回目を作る必要ないじゃん!

「拓斗兄。これをホールに運びましょうよ」

陽茉理ちゃんが言って、みんなでお菓子の家をホールに運んだ。
一番近い、矢本くんのホールに。

「皆さん、本当にありがとうございました。おばあちゃんの額縁です。ここに置いてもいいですか?」

矢本くんがうなずいて、お菓子の家の前に、桃乃さんのおばあさんの額縁を置く。
溶けないよう、うまくしまった。
このお菓子の家はすごいよ!

「明スイ、本当にありがとう!おばあちゃんも喜んでいるはずよ!」

きっと今、みんな報酬をもらったと思うな。
桃乃さんの、本当の笑顔。


               続く

83:モンブラン:2017/03/17(金) 20:29

あとがき
            モンブラン

こんにちは!
ここは明確スイーツ研究部!略して明スイ作者のモンブランです!
ついに3巻に来ましたね!
ここまで、無事書けていること、とても嬉しく思います。
ありがとうございました!

さてさて。
今回の明スイいかがでしたか?
陽茉理ちゃんたちと喧嘩してしまいましたね。
でも、新の友達みたいに仲直りできましたね。
みんなは、こんな経験ないですか?
わたしは、微妙に似ています。
こんな経験味わったな〜。
思い出しながら書きました!

それから、みんなに謝りたいことが!
誤字等ございましたらごめんなさい!
そして、>>73の、桃乃さんは、夏那さんではありません!
そして、陽茉理ちゃんが、自分のことをわたしと言っていますが、漢字で私となっているところがありました!
本当にごめんなさい!
以後もっと気を付けて書きます!

次回はですね。
また4人で仲良くしますよ。
明スイは、みんなの会が開かれますので、楽しみにしていてください!
もし、感想等書いてくださったら嬉しいです。
最後になりましたが、明スイとわたしのこと、応援よろしくお願いします。


追伸
昨日、小学校を卒業しました。
無事に卒業できて幸いです。

84:モンブラン:2017/03/17(金) 21:28

短編小説板にたてました。

『莉愛の短編集』

ここではモンブランですが、莉愛という名前でやりたいと思います。
明スイの短編も書く予定です。
ぜひ読んでください。

85:モンブラン:2017/03/18(土) 19:58

『ここは明確スイーツ研究部!4』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。
明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う少年6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

86:モンブラン:2017/03/18(土) 20:15

1.学食戦争
 グ〜
お、お腹空いたよ〜!
っていうか、めっちゃ暑いし!
7月まっただ中。
本ッ当に暑いんだよぉ!

わたしは多田本真美。
暑いの大嫌いですぅ!!!

「学食学食!」

ヒマが言いながら学食に走る。
あぁ、ヒマお得意の食レポかぁ。
将来の夢がアナウンサーのヒマは、たまに食レポを披露してくれる。
このテンションは、きっと食レポ披露間違いなしだ。

「ねえねえ。わたしたちが遊び始めた日さぁ、カレー食べたじゃん?今日、シチュー食べない?」

シチューっ!
カレーの姉妹、シチュー。
汗だくだくになるけど、美味しいからいいもんねっ!

「わたし、ヒマに賛成っ!」

わたしがヒマに賛成すると、ハルもユリも賛成する。
やった!
またヒマの食レポが見れるし、みんな一緒だし!
この前わたしたちはケンカして、絶交までしたほどだった。
なのに、こうしてまた仲良くできる。
あっさり仲直りしたんだよね。

「シチュー4つね。お金ちょうだい。600円。席取りしといて。」

ハルがみんなのお金を回収して、ひとりで並ぶ。
わたし、ヒマ、ユリは、席取りをするんだ。
自分で持ってきたお弁当を食べる子、わたしたちみたいに学食で買う子。
たくさんの子が学食を使う。
とても広いけど、初等部、中等部、高等部の全員で使う場所だから。

「マミ、ユリ、ボーっとしないの!」

はっ!
席取られちゃうじゃん!

「マミ、ユリ。目指すはあそこ。走るよ。…よ〜いっどんっ!」

いつも座っていた24の机。
急げ、急げ、急げ〜!!!

「取った〜!」

「みんな、取りましたよ。」

あれ?
24の机、ヒマともうひとり、誰かも取ってるじゃん!
ここの席以外空いてないよ!
ここが無理なら、屋上の学食スペースに移動するしかないっ!

「あの、どちらが先でしょうか?」

この子、優しそうでも、譲れなさそうな瞳。
こんなに暑いのに屋上!?
絶対イヤだよ〜!!!

87:モンブラン:2017/03/18(土) 20:30

2.屋上の日向でランチ
あ、でも、屋上も空いてなかったら、校庭に机出すんだよね。
教室とかじゃ食べちゃダメだし。
校庭に机出すの、いやだな〜。
だって、重たいし、めんどくさいし。
あと、外って暑いもん!!!
外に置く机は、余分に100個くらいあるから、絶対あるんだ。

「どうする?みんな」

ああ、あの子、本当に譲らない気だ。
学食はクーラー効いてるし。
とても気持ちがいいし。

「あの、あなたたち何年ですか?」

「初等部6年よ。あなたたちは?」

「初等部5年です」

わたしたちの勝ちだ!
あの子たちは、帰ろうとしている。
偉いよ、君たち。
ちゃんとあきらめようとするから。

「あの。君たち、ここ使いなよ。わたしたち屋上行くから」

ヒマァァァ!!!
どうして暑いところ行くの!?
女の子たちは、みんなで見つめあって一言。

「ありがとうございます!」

え、いいんですか?とかないの!?
この子たち、礼儀知らないのかな?
かわいそうかも。
お母さん、どんな教育してるんだろ。
まあ、いいか。

カンカン照り。
暑すぎるよ。
これでシチューなんて無理かも。

「良かったね。屋上の席空いてて」

「でも、日向だよ。暑いじゃん」

「机出すよりいいでしょ」

ユリ、いい子だなあ。
わたし、ちっともそうは思わない。
思わないって言うより、思えない。
絶対にいやなんだもん!

「それにしても、美味しいですよね。この暑い日にシチュー。まるで、シチューが太陽を呼んでいるようです」

あ、始まった。
ヒマの食レポ。
さあ、今日の食レポはどんなのかな?
楽しみっ!

88:モンブラン:2017/03/19(日) 18:59

3.地獄の算数
「ただいま〜」

「お帰り、真美」

 プルルルルプルルルル

「真美、出てくれる?」

「はいは〜い。もしもし、多田本です」
「もしもし隅木田ですけど、真美ちゃんいますか?」

「真美です。隅木田くん、どうしたんですか?」

ちょっと沈黙があって、隅木田くんは話し始めた。
今日、談話室で集合とのこと。
荷物はノートということ。
今日は家に帰るのが遅くなるとのこと。
「ママに、どうやって言えばいいと思いますか?遅れるって」

隅木田くんは、クスッっと笑った。
え、何が笑えるの?

「真美ちゃん、お母さんに代わって」

渋々ママに電話を代わって、ちょっと時間が経つと、ママはすぐに電話を切った。
ちょっと!
わたし、電話中だったでしょ!
それに応えるように、ママはニコッっと笑って言った。

「将来、隅木田くんと結婚しなさい。あの子すごいわ。真美が算数苦手だから、仲良くしてくれているお礼で算数教えてくれるって」

隅木田くん、そんなこと言ったの?
遅くてもいいことはいいけど…。
結婚とか、本当にないからね!
まあ、クラスの野郎と比べて魅力的だし素敵だけど。
結婚とか早すぎだし!

はぁ〜、算数長かった。
永遠に続くみたいで怖かったな〜。

「これで終わります!」

算数の先生ーーー高橋先生が立つ。
みんな立ち上がって、礼をする。
よし、これで終わりだ。
あとは、明スイの集まりだけだね。
ワクワクするし、楽しい。
算数のこの時間が挽回できるんだよね。

89:モンブラン:2017/03/19(日) 19:18

4.書記の仕事
「失礼します。多田本です」

談話室は静かで、落ち着く。
たまに声がうるさい子も来るけど、だいたいがおしとやかだ。

「真美ちゃん、こっち」

隅木田くんが手を挙げたいつもの席には、もうみんなが揃っていた。
わたし、ベリだ…。

「さあ。今回はみんなでパーティだ!頑張ってやっていこう」

パーティパーティ!
みんなの依頼を一気に受けとる。
ケーキや誕生日、パーティなどなど。
たくさんのジャンル分けしたもんね!

「真美ちゃん、紙お願い」

紙は、依頼書のこと。
明スイの集合がかかったら、絶対に持っていくんだ。

「ありがとう。ケーキ担当の、坂宮と真美ちゃん。誕生日担当の、矢本。その他担当の僕と、補助の梨歩佳さんと梨萌佳さん」

隅木田くん、振り分けもしたんだ。
頭の回転速いな〜
っていうか、梨歩佳さんと梨萌佳さんやってくれるんだ。
どうせなら、明スイ入ればいいのに。

「じゃあ、真美ちゃん、ノートに書いてくれる?」

よし、わたしの出番だ!
で、でも、どうしてわたしがノートに書いていくの?
別にいいんだけどね。

「ケーキ担当からその他担当まで書いてくれる?」

えっと、ケーキが坂宮とわたし。
誕生日が矢本くん。
その他が隅木田くん。
カッコの中に、梨歩佳さんと梨萌佳さんでいいのかなっ?

「うん、さすが真美ちゃん。すごく見やすいね」

あぁ、そういうことか。
わたしはこの時、初めて気づいた。
どうしてわたしが書記なのか。
隅木田くんも、明スイのみんなが彦宮学園だから、わたしが拍手に包まれたの知ってるんだ。
隅木田くん、周りをすごく見ているから、頭の回転も速いのかもしれない。
わたしも、もっと周りを見よっと。

「じゃあ、各自その決められた仕事がうまくいくようにね。決めたら、僕か真美ちゃんに連絡ね」

またわたしぃぃ!?

90:モンブラン:2017/03/20(月) 19:26

5.ママが倒れた!?
家に帰ると、ママが苦しそうな顔でフラフラしていた。
何してるんだろ。
酔ったのかな?
ママ、そういうの飲まないのに。
パパは帰ってきてないし、ひとりであんまり飲まないよね。
すると、バタッっと倒れた。
酔いすぎ?
いやいや、全然動かないけど!
さっき苦しそうだったし…。
パパに電話だ!
 プルルルルプルルルル  ピッ

「もしもし」

「パパ?わたし!真美!」

「どうしたんだ、急いで」

パパ、もっと焦ってよ!
わたしだけに焦りを押し付けないで!

「ママがっ!ママが倒れた!」

「すぐ帰る。お母さんに電話して、それから病院に電話しなさい」

お母さんーーーおばあちゃんと病院。
パパが電話を切ってから、すぐ病院に電話した。

「もしもし」

「もしもし多田本と言います。今塾から帰ってきたら、母が倒れました」

「住所をお願いします」

病院の人にもいろいろ行って、すぐ来てもらうようにした。
おばあちゃんに電話しなきゃ!

 プルルルルプルルルルプルルルル

おばあちゃん、なかなかでないっ!
早く出てよお!

「もしもし。どちら様?」

「多田本真美だよ!おばあちゃん!」

「あら、真美ちゃん。どうしたの?」

「ママが倒れたの!わたしの家に来てくれる?パパと病院の人も来てくれるの!お願い」

「今から行くわね」

おばあちゃんが電話を切ると、救急車の音が聞こえてきた。
パパ、おばあちゃん、早くっ!

91:モンブラン:2017/03/20(月) 19:38

6.ママを信じて
赤いランプが消える。
ここは、病院。
静かな感じと、薬品の匂い。
ママ、大丈夫かなっ?

「お父さん。ちょっと」

パパ、行っちゃうの?
どうして?
ママの何かがひどいから?
それとも、死んでしまってないよね?

「真美ちゃん。こっちにおいで」

おばあちゃんが手招きしてくれる。
でも、足も、何も動かない。
口すら。
だから、物を伝えられない。
じっとしていると、おばあちゃんがこっちに来てくれた。
おばあちゃんが、私の肩に触る。
暖かい。
ママのママだから、温もりが似てる。

「真美ちゃん。心配だけど、菜和のこと信じてくれる?」

菜和というのは、ママの名前。
わたしが、ママを信じる。
そう考えると、ママと一対一で話した日が思い浮かぶ。
テストの点が悪くて泣いたとき。
ママは、「真美は伸びる子だから。いつか伸びるわよ。今は、飛ぶための準備中よ。ママを信じて。ママは真美を信じてるわ」って言った。
あのあと、わたしはいい点とれた!
ママを信じたから。
ママもわたしを信じてるし、今回もママを信じよう!
病室から、パパが出てきた。
目頭が熱くなってくる。
パパの顔が、妙だったから。
いつも温厚なパパは、こんな顔しない。
「優樹さん、どうだったんですか?菜和は、大丈夫ですか!?」

パパの名前は優樹。
パパの目からも、涙がこぼれている。
おばあちゃんも、どんどん顔が赤くなって…
涙があふれてきていた。

92:モンブラン:2017/03/20(月) 19:57

7.おばあちゃんがママ!?
「菜和は、妊娠してるらしいんです。ですが、その子が大きくなりすぎていて、苦しくなりやすいって」

に、妊娠してるの!?
わたしに、弟か妹ができるの!?
でも…ママが苦しくなるかわりに、赤ちゃんが産まれるんだ。

「真美。ママは、赤ちゃんが産まれるまで病院にいるんだ。塾は、一旦やめなさい」

明スイの活動も、できないよね。
パパが、家のいろいろをするの?
ものすごく忙しいのに?
わたし、家事ならできる。
でも、明スイはスイーツだし、ご飯の準備は難しいかも。

「優樹さん。空き部屋ありますか?家に。なければ、菜和の部屋空けれますかね?」

おばあちゃん、何を言い出すの?
空き部屋、あったっけ?

「菜和の部屋なら空けれます」

「ありがとう。じゃあ、菜和が退院するまで、わたしがお母さんでもいいですか?真美ちゃんにも、塾へ行かせてあげてください。お願いします」

おばあちゃん、お母さんになるの?
パパもビックリしたみたいで、口は開けているのに何も話していない。

「わたしがお母さんじゃ、足りないと思います。ですが、真美ちゃんにも、優樹さんにも、健康に過ごしてほしいじゃないですか」

おばあちゃん…。
おばあちゃんと結婚したおじいちゃんは、今天国にいるから、おばあちゃんはひとりぐらし。
だから、家を空けることはできる。
でも…

「お母さん、疲れますよ。大丈夫ですよ!僕がやります!」

「いいえっ!わたしがやります!」

ああ、もうどうなってくんだか。

93:モンブラン:2017/03/21(火) 09:24

8.隅木田くんと下校!?
「真美ちゃ〜ん!ご飯よ!」

おばあちゃんの声が、家中にこだまする。
わたしの家ーーー多田本家に、おばあちゃんがママとして来た。
急いで制服に着替える。
彦宮学園は制服登校だから、毎日制服を着る。
公立は、ジャージで登校するって聞いたけど。
制服の方が涼しいよねっ!

「おはよう、おばあちゃん。パパはいないの?」

「優樹さん?今日は早いらしいから、ちょっと早めに行ったわ。さあ、朝ごはんよ」

おばあちゃんのご飯、久しぶり。
トーストに目玉焼き、サラダとみかんが置いてあった。
ん〜、いい香り。

「いただきます」

勢いよくトーストを食べる。
なんか、いつものトーストより美味しい気がする。
やっぱり、おばあちゃんは昔、喫茶店でモーニングやってたからかなあ。
焼き方にも、工夫があるのかな?

「真美ちゃん、美味しい?」

「うん。とっても!これなら、元気よく登校できそうだよ!ありがとう」

おばあちゃんはにっこりして、わたしの前で一緒に朝ごはんを食べてくれた。
もうそろそろ行く時間かな。

「おばあちゃん、行ってきます」

「元気に登校するのよ。行ってらっしゃいな」

ドアを開けると、家の前でブツブツ何かを言いながらウロウロしている人がいた。
誰よこの人。
不気味でならないよ。
おばあちゃんよりわたしの方が強いはずだし、追い払おう!

「あの、すみません!ここの家に何か御用ですか?ここの家の娘、多田本真美です!」

「ちょっと、真美ちゃん。どうしたの?さあ、行こう」

え、隅木田くん!?
行こうって、わたしひとりで行くんだよ!
だって、地味に生きてこそがわたしなんだもん!
明スイ楽しいけど、目立つところがキズだよね。

「真美ちゃん。パーティだけど、日付が決まったよ。1学期の終業式の日に決まった。この辺りは、私立も公立も終業式の日は同じだから」

終業式の日ね。
パーティ…明スイの大イベント。
みんなの依頼を一気に解決!ねえ。

「で、僕がいろいろ家でしたいんだ。紙をもらってもいい?帰りでいいよ」

「では、帰る前に来てください」

「真美ちゃんと一緒に帰るよ。今日は全校下校だろ?」

隅木田くんと一緒に帰るの!?
無理に決まってますよ!
すごく目立つじゃないですかぁ!

94:モンブラン:2017/03/21(火) 09:33

9.ユリのあいさつ
「じゃあね。今日は急がなきゃいけないから」

やっと別れれる。
このまま校門なんて行けないよ。
隅木田くん大好きさんの目が怖いもんね。
ただでさえ目立ってきてるんだから。

「おはようございます!」

校門のところに、ふみ会長が立ってあいさつしている。
今日は、全校あいさつ大作戦日か。
児童会で決めたあいさつ運動。
児童会にあいさつしないと、校内にも入れないんだ。

「おはようございます!」

「多田本さんいいわよ」

やった、一発で通過!
後ろで、ふみ会長があいさつを大きな声でしているのが聞こえる。
何度も、何度も。
本当に必死にやってるな〜。

「矢本さん合格よ」

「マミ〜!合格したよ!」

ヒマ!
校門からヒマがダッシュしてくる。
この前みたいな楽しさ。
喧嘩したの、バカみたいだよね。

「ユリがふみ会長と対決してる」

「ユリ〜!頑張って!」

わたしがユリを応援すると、ユリはものすごく大きく息を吸って…


『おはようございますーーー!』


「あああ…。利等万さん合格!」

ユ、ユリの声、すごい…。
この日、彦宮学園新聞部が、利等万由里歌、あいさつフルパワーという記事を出した。

95:モンブラン:2017/03/21(火) 20:36

10.柚礼菜衣子
「マミ、ヒマ、ユリ!学食行こ!」

やっと算数終わった〜!
四時間目が算数って多いな〜。
お腹が空いて無理だよ。
得意な国語にしてくれたらいいのに。
カンカン照りの日…。
学食の席が取られちゃう!

「ちょっと、マミ?」

「ああ、ごめん。本当に暑いなって思って。席取られちゃう!」

みんなで学食へ走っていく。
結構な子たちが座っている。
四人用の席、四人用の席……。

「見っけ!行こ行こ行こ行こ!」

わたしが席ーーーいつものじゃないけどねっ!に走る。
昨日のヒマみたいに!

「ここの席取った!」

「みんな、また取れちゃったよ!」

き、昨日の譲れない子たちだ!
ヒマと目があって、会釈しあって、目で何かを話しているみたい。
お願い、今日は勝ってよ!

「じゃあね、バイバイ」

えええっ!
ヒマ譲ったの?
それとも負けたの?

「あの子、柚礼菜衣子ってニックネーム付いてるのよ」

ユズレナイコ!?
何その正直ピッタリなニックネーム。

「本当の名前は鍵野愛菜って子」

かぎのあいなちゃん。
どうしてそんなニックネーム付いちゃったの?
なんか可哀想。
心の中で思ったさっきの、取り消したいよ!

「美華ちゃんと調べたのよ。あの子のこと」

あぁ、美華ちゃんっていうのは、ここの彦宮学園校長の孫。
学園内のことは、美華ちゃんならほぼ知っている。

「辛かったのよ。あの時間。まあ、得られたものは名前とニックネームだけだけどね」

でも、柚礼菜衣子可哀想だよ。
何か隠れてる気がする!
こういうとき、隠れてないで出てきてほしいんだよ!

「でも、どうしてヒマは譲ってばかりなの?暑いのに」

ユリがヒマに聞く。

「昨日は、またああなったらわたしたちが譲ってもらえると思ったから。先にわたしたちが我慢したらいいって思ったの。今日は、鍵野さん、悲しそうだったのよね」

悲しそうだった?
わたし、そんな気しなかったけど。

96:モンブラン:2017/03/21(火) 20:50

11.おばあちゃんの気遣い
今日はみんな悲しいのかな?
ヒマは、新しい学食メニュー、彦宮限定焼きそばが入って喜んでたけど。

「ただいま」

「お帰り。真美ちゃん。菜和から電話があって、塾にはお弁当持っていってもいいって?持っていったこともあるのよね?でも、家で食べましょう。間に合うんでしょう?」

「うん。間に合うよ」

おばあちゃんはにっこり笑って、またキッチンに戻って行った。
家事を頑張ろうとしてくれているおばあちゃん。
塾とか、難しくて分からないと思うんだけどな。

「真美ちゃん。今日は塾の日でしょう?お休みの日は何曜日?」

「日曜日と水曜日だよ」

「今日は火曜日だから、明日はお休みなのね。明日はゆっくり食事しましょうね」

おばあちゃん、わたしの健康第一に考えてくれてる。
これだ!
これが明スイの考えるべきポイント!
下校の時…

「隅木田先輩〜!どうしてその子と帰るんですか〜」

隅木田くん大好きさんがすごかったのに、どんどん進んでくもん。
坂宮も怒ってたな〜。

「今取ってきますね!」

おばあちゃんも聞こえないくらい猛スピードで二階にかけ上がる。
紙を取って、また聞こえないくらい早く隅木田くんに渡す。
目立つから、一刻も早く帰ってほしいんだから!
ごめんね、隅木田くん。


「真美ちゃん。宿題あったでしょう?早めにやっておきなさいな」

なぜかママが言うと、はいはい、分かってる。って思うのに。
おばあちゃんが言うとは〜い。って思うのはなぜ?

97:モンブラン:2017/03/21(火) 21:04

11.グレードアップ
「真美ちゃん、待って待って!送っていくわよ。遅れちゃったら大変!」

おばあちゃん、自分が凝ったご飯作ったから?
ママ、絶対歩いて行かせたのに。
歩いて15分でしょう?行きなさい。って。

「歩いて行けるよ!おばあちゃん疲れちゃう。おばあちゃんも倒れちゃったらわたしヤダ!」

「真美ちゃん?大丈夫よ。おばあちゃん強いんだから。運転くらい簡単よ。さあ、乗って」

おばあちゃんの車に乗って明確ゼミに行くのは、5分くらいで着いた。
安全運転だし、話しかけてくれるし、楽だし。
おばあちゃんがママなのもいいね。
やっぱり、ママのママだもんね。

「お母さんは、自慢よ。誰よりもすごいんだから。ママの憧れ」

そうママはいつも言ってた。
おばあちゃんのことを、憧れとも言っていた。
わたしは、ママもおばあちゃんも、憧れかな。
強い、優しいおばあちゃん。
いつでも見守ってくれてたママ。
わたしの一番の憧れは、このふたりなのかもしれない。
そんなことを考えながら、明確ゼミに入っていった。

「真美さん。ちょっと」

国語の立花先生が呼んだ。
わたし、国語下がっちゃった!?
どうしよう、どうしよう!

「おめでとう、真美さん。今のクラスからグレードアップ!」

クラスが上がるってこと!?
どうしよう、嬉しさが込み上げてきちゃう!

「立花先生のおかげですよ!本当にありがとうございます!」

「これからは渋谷先生ね。今まで本当にありがとう」

立花先生から受け取ったプリントを見ながら教室に向かった。
あ、このこと、おばあちゃんに教えてあげよっと。
ママとパパにも!
ママには、お見舞いか手紙で知らせてあげよう!
毎日手紙を書いたらどうかな?
明日レターセットを買おう!
明日から手紙を書くんだ!
そう考えるとウキウキして、次の算数の時間も楽しく受けることができた。

98:シフォン:2017/03/22(水) 01:05

お久しぶりです!返事遅れてすみません(*´-`)
私は主人公ちゃんが好きですね〜
そういえば私も小説書いてるのでよかったら今度見てください(≧∀≦)駄作だけど・・・
題名は『世間知らずな私の初恋!?』です
新体操をやってる主人公のお話です〜
題名に初恋ってある割には恋愛要素は
まだまだ先ですね(笑)

99:モンブラン:2017/03/22(水) 08:45

シフォンさんお久しぶり!
読んで見ます!
あと、ありがとうございます!

100:モンブラン:2017/03/22(水) 09:09

12.海のびんせん
今日は明スイ、集合かかってない。
いつも通り歩いて帰ろうとすると、明確ゼミの狭い駐車場におばあちゃんの車が停めてあった。

「真美ちゃん。こっちよ、こっちこっち!」

おばあちゃんが、車の側から手を振っている。
急ぎ足でおばあちゃんの所に行く。

「お帰り、真美ちゃん」

「ただいま、おばあちゃん」

「今、家に陽子さんがいるの。優樹さんとふたりで話しているわ」

陽子さんは、パパのママ。
ばあばって呼んでる。
きっと、ママの話だよね。

「ちょっと、時間潰しましょう。どこか行かなきゃいけない所、ある?」

「おばあちゃん。ママに手紙を書きたいから、文房具屋に行きたい」

おばあちゃんはにっこり笑って、車にわたしを乗せてくれた。

「真美ちゃんは本当に優しいねぇ。菜和は幸せ者だわ〜」

運転しながらおばあちゃんが言う。
確かに、ママは幸せ者なのかもしれない。
パパと仲良くて、いつも笑ってるし。
新しい子も産まれるんだし。
…わたしのことはどうだろう?
幸せって思ってくれてるのかな?

「手紙セットが欲しいのよね。菜和はどんなデザインが好きかしら?」

「季節に合わせて、海のびんせんあるかな?」

「真美ちゃんはセンスもあるのね」

センス…。
わたしってセンスあるんだ!

「ここの文房具屋でいい?」

わたしはにっこり笑って大きくうなずいた。
本当は明日買うつもりだったのに、今日連れてきてくれて、それに大きな文房具屋に。

「海のデザインあるといいけど。さあ、おばあちゃんも探すから」

レターセットコーナーに行って、海のびんせんを探した。
う〜ん、浮き輪は違うよね。
スイカ、虹!?
すごくキレイだな!

「真美ちゃん、あったわよ!」

「え、ありがとう!どこどこ?」

おばあちゃんが指差していたレターセットは、淡い海のびんせん。

「これ!これがいい!」

101:モンブラン:2017/03/22(水) 09:43

13.明後日!?
『大好きなママへ』

新しい海のびんせんに書く。
やっぱり、『大好きな』が付けたい。

「真美ちゃんどう?書けてる?おばあちゃん特製の紅茶を持ってきたわ」

「ありがとう、おばあちゃん」

紅茶を一口飲むと、口の中に広がるこの味。
おばあちゃんの紅茶、本当に美味しいんだよね。
ママの入れる紅茶より美味しい。
おばあちゃん、紅茶を専門にしているわけじゃないのに。
 プルルルルプルルルルプルルルル

「電話だ。出なきゃ出なきゃ」

おばあちゃんが急いでリビングのすぐ横の廊下の電話機を取る音が聞こえる。
「真美ちゃん!隅木田くんって子から電話よ〜」

「隅木田くん!?」

わたしも急いで電話機に向かって走っていく。
電話機を握ると、隅木田くんが荒い声をあげた。

「パーティが急遽明後日になった!」

「えええっ!」

「俺たちはまた、矢本の家で作ってみることにした。真美ちゃん来れる?」

「行きます!」

電話を切って、おばあちゃんに軽く事情を話した。

「おばあちゃんが送るわ」

矢本くん家、遠いって言ったからかな?

102:モンブラン:2017/03/24(金) 20:29

14.ヤバイ!
「おばあちゃん、じゃあね」

ここは矢本くんの家。
おばあちゃんは矢本くんの家の人にあいさつするらしい。
いつもの方に行こうとしたら、矢本くんにグイッっと手首をつかまれた。
矢本くんは、なぜか家の前にいて、わたしの手首をつかんで奥に歩いていくんだよ。
ちょっと、何してくれるの!?

「今日は、俺と香音、梨歩佳、梨萌佳の屋敷だ。というか、これからそっちになる。ちゃんと来いよな」

矢本くんと久しぶりに聞いた香音さんと、梨歩佳さん梨萌佳さんの屋敷!?

「こんばんは、真美ちゃん。急にごめんね」

「いえいえ。いいんです。ところで、隅木田くん。どうして明後日になったんですか?」

「ああ。全員に声を掛けたら、明後日しか空かなくなった。もう夏休みに入るからね」

そっか。
明スイより大事だよね。
家族の方が。

「で、個数などが決まってきた」

急に坂宮が言った。
みんなの視線は、隅木田くんから坂宮に変わる。
坂宮は胸を張って言った。

「作るもの1。大きなケーキ5つ」

ひいぃっ!

「ショートケーキ27つ」

ひいぃひいぃっ!

「クッキー300枚。オリジナルパンケーキ260枚」

ひゃーーーーーー!

「最後に、オリジナルトリュフ」

ひゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!
何その数と物!
大きなケーキ5つって何よ!
クッキー300枚ってどーゆーこと!?

「やるからにはやるしかない。これも試しはなしでいくしかないか」

隅木田くんが下を向きながら言う。
お試しやりたかったけど、無理だったらしょうがないよね。

「この前のチーム分けはなしとする。ここに、梨歩佳と梨萌佳が補助で入ってくれることとなった」

ケーキのこと、坂宮と話してないや。
どうしよう。
急にこうなると思ってなかったから。
しょうがない?
いやいや、明スイメンバーとしてダメだよね。

「じゃあ、振り分けわたしがしてもいいかしら?拓斗兄、ひとりでオリジナルパンケーキね。坂宮くん、梨萌佳とクッキーお願いね。隅木田先輩は、真美ちゃんとわたしとトリュフでいいですよね?」

梨歩佳さんの振り分けで、わたしはトリュフを作ることになった。

103:モンブラン:2017/03/24(金) 20:37

15.ケーキ作り
「隅木田くん、ちょっとその…ありがとうございます」

「あとは、ここの指示に従うだけですぐできます。ここの味を工夫するだけですが、隅木田先輩できますか?」

「梨歩佳さんと真美ちゃんは別のことやるの?」

「ええ。時間的にそうしようかと」

「いいよ」

「ありがとうございます!真美ちゃんやろう!大きなケーキ作り」

「はい!」

こうして、梨歩佳さんとケーキ作りをすることになった。
えっと、チョコレート味。
工夫するところは牛乳を入れるところでチョコレートの溶かしたものも入れるんだね。
チョコレートの味が増すってこと。

「真美ちゃん。チョコレート溶かしてくれる?」

「はい!」

梨歩佳さんと、初めより距離が縮まっている気がする!

104:モンブラン:2017/03/26(日) 21:19

「さあ。ここは焼くだけ。真美ちゃんどう?進んでる?」

「はい。記事が出来ました。今からチョコレートを溶かします」

梨歩佳さんはにっこり笑って、「チョコレート溶かすから、新しいストロベリー味の生地作ってくれる?」と言ってくれた。

「ストロベリー、ストロベリー!」

ストロベリー味は、わたしの大好物。
ついついつまみ食いしちゃいそう。

「真美。一緒に作ろうぜ。今手が飽いてるから。クッキー焼き中」

「ありがとう、坂宮。じゃあ、ストロベリー味の生地作ってくれる?わたしはストロベリーの溶かさなきゃいけないから」

「いいよ。あと、ひとつ。坂宮って呼ぶのやめて」

え…?
坂宮だけ『くん』が付いてなくてイヤだったとか?

「俺、言ったよね?真美のこと好きって。俺のこと嫌いでも、ちょっとくらい聞いてくれてもいいだろ」

「何を?」


『俺のこと、名字じゃなくて名前で呼べって』


な、名前で呼ぶの?
陽都くん?って?
それとも、呼び捨てで陽都?
男の子の名前を呼び捨ては無理っ!
周りもシーンとなる。


『ハルトって呼べばいい話じゃん。おい、作業戻れよ』


は!?
いきなり言って何よ!
ハルトって呼ぶの!?
無理無理!
坂宮に限って、無理だから!
ハルトに限らなくても!
…って、心の中じゃ、ハルトって言ってるよね?
まあ、いいや。
ハルト。

105:モンブラン:2017/03/26(日) 21:38

16.おばあちゃんの心配
「坂宮だけずるくない?」

「俺も、矢本くんって呼ばれてるんだぜ。」

は!?
隅木田くんと矢本くんまで何言い出すわけ!?
呼び方なんてどうでもいいし。

「ピーンポーン。真美ちゃん!」

「おばあちゃん?」

「真美ちゃんいつまでいる気なの?ご迷惑がかかるでしょう?それに、もうお風呂入らなきゃ」

お風呂?
ああ、この前は隅木田くんの勉強会って説得だったもんね。
おばあちゃんに明スイのこと話したけど、おばあちゃん心配性だから?

「大丈夫だよ。急がなくちゃいけないものだし」

「体調崩したら大変でしょう?みんなも家に帰って休んだ方がいいわ。明日があるでしょう?学校があるけど、また集まればいいじゃない?」

おばあちゃん…。
確かにおばあちゃんの言う通り。
でも、明日は明スイがあるし。

「とりあえず、真美ちゃんは帰りなよ。おやすみ、真美ちゃん」

「真美、おやすみ」

「多田本、明日な」

「みんな、おやすみなさい」

矢本くんたちの屋敷を出て、またちょっと歩いて駐車場に戻った。
普通に車に乗って、ちょっとおしゃべりしながら帰った。

「真美ちゃん。もうこんなに長くかかるのやめなさいね。いくら何でも遅すぎるわ」

「ごめんなさい。もう二度とこんなに遅くならないようにします」

「分かればいいのよ。明日も学校あるんだし、ゆっくり休まないと。ね?」

そうだね。
おばあちゃんの方がよく分かっているよ。
本当に。

「ところで真美ちゃん。明明後日お見舞いに行きましょう。それまでに手紙を書くなら書いておきなさいね」

「はい」

お風呂の準備に部屋に行ってお風呂に入って、今日はもう休むことにした。

はぁ。
今日はいろいろあったな…。
もう眠たいや。
今日はもうすぐ寝よう。

106:みかぜ◆3Y:2017/03/26(日) 21:45

モンブラン、遅れたけど100おめでとう!1000レス行くまで応援してるね!モンブランも小説面白いからはまる!

107:モンブラン:2017/03/26(日) 21:53

17.久しぶりブランコ
「行ってきます」

「真美ちゃん。昨日しっかり寝たから張り切って学校行けるでしょ?行ってらっしゃい」

「おばあちゃん、昨日は声をかけてくれてありがとう。じゃあ行ってくる」

家を出て、学校を目指して歩く。
今日もいい天気。
暑いけど、太陽がバッチリ見えてて、夏!って感じがする。
夏なんだけどねっ!

「マミおはよう。今日はあいさついないみたいだね」

「ハル、おはよう!ユリのスクープは今日ないね」

ああ、叫ぶようなあいさつね。
なんか、昨日のこととかよみがえってきた。
何だろう、この気持ち。
明スイの活動を出てきたわたし。
みんな怒ってないよね?
昨日のこととか、ハルト…に聞いてみよっと。

「ハルとマミ、おはよう!」

「ヒマとユリ!おはよう」

「おはよう!」

またいつもの4人で歩く。
校門を4人でくぐる。
やっぱりわたし、この4人でいるときが一番好きかも。
明スイかな?
一番好きな時間。
まあ、同じくらい好きかな。

ああ、楽しかった国語終わった。
せっかくの楽しい時間って本当に短いよね。

「みんな。久しぶりにみんなでブランコしない?」

急にヒマが提案する。
ブランコ。
中等部へ行ってもできるけど、恥ずかしくてできないブランコ。
今ここで楽しんでおく。ってことだよね?

「もちろん!」

「ヒマに賛成!」

「わたしももちろん!」

みんな初等部用の制服を着ていて、バッヂは6年のバッヂ。
でも、小さいから目立たないよね。
恥ずかしいとも思わないよね。

「さあ、ブランコで楽しむよ!」

ハルが言って、みんなで声を合わせてブランコを漕ぎ始めた。

108:モンブラン:2017/03/26(日) 21:54

>>106
みかぜありがとう!
ここでもコメントありがとね。
頑張って書くよ!

109:モンブラン:2017/03/27(月) 10:03

18.解散!?
今日は、なぜか流れるように一日が終わった。
申し訳ない気持ちが大きいのかな?とも思った。
でも、早く帰って悪い気持ちはない。
わたしは早く帰るんだもの。
人に決められることじゃないしね。

「ただいま」

「お帰り。真美ちゃん。今日は気分よく学校行けたでしょう?」

うんって言うしかないよね。
心の中でモヤモヤがあったけど。
作り笑いで、おばあちゃんに向けてうなずいた。
すぐにリビングを出て、部屋にある明確ゼミのスクールカバンを取る。

「おばあちゃん。今日は授業早いから弁当持っていくね」

「うん。行ってらっしゃい」

「行ってきます」

ちょっと急ぎめで家を出ると、家の前を通っていた梨歩佳さんに会った。
う、会いたくない。
でも、そんな願いは叶わない。

「真美ちゃん。明スイの、もう終わったから」

「ありがとうございます。すみません。続きからいなくなって」

「別にいいわよ。どうせ明スイも解散だしね。とりあえず、明後日のパーティには参加してもらうって」

カイサン?
カイサンって、解散?
みんなバラバラになっちゃうの?

「真美ちゃん。パーティではよろしくね。ドレスは、わたしの家の使っていいから。パーティの前にわたしの家に来てね」

「ちょっと待ってください!」

梨歩佳さんが行こうとしていたのを、わたしは本気で止めた。
だって、解散だなんて。

「どうして解散するんですか!?」

「依頼来てないでしょ?もう活動する意味がないのよ。そう言っていたわ。拓斗兄が」

嘘…。
矢本くんが言ったの!?

110:モンブラン:2017/03/27(月) 10:17

19.重い荷物
パーティ当日。
最後になるものかと思いながら、おばあちゃんに送ってもらって矢本くんの家に行く。

「こんにちは。真美ちゃん。今日もこっちの屋敷で着替えるわよ」

「今日はよろしくお願いします」

この前は矢本くんの棟だったけど、今日は梨歩佳さんの棟に案内された。
ちょっと歩いて、ひとつの部屋に入っていく。

「ここがドレスルーム。あんまり引きずるドレスはやめてね。これくらいのドレスにして」

梨歩佳さんが手で示したのは、だいたい膝くらいのドレス。
わたし、ドレスなんて普段着ないからこのドレスも…。

「さっさと決めてね。真美ちゃんの係は案内なんだから」

「案内ですか?」

「そう。わたしが、ここの屋敷の隣、母屋の屋敷の方から案内するから、ここの屋敷の、パーティ会場の案内をすることが真美ちゃんの仕事」

そんなの聞いていない。
反論しようとしたけど、わたしはふと思った。
ハルトも隅木田くんも矢本くんも、梨歩佳さんも梨萌佳さんも。
みんな学校を休んでいたこと。
きっと、明スイの活動をしていたってこと。
でも、その話題は話せなかった。
自分がメンバーと感じなくなって。
梨歩佳さんと梨萌佳さんは、正式メンバーじゃないのに活動してくれている。なのに、正式メンバーのわたしは活動していない。
自分のことしか考えていない自分が、何だかとても憎い気がしてきた。

屋敷の前にセットされた椅子に座る。
これが、最後の明スイになるんだ。
そう考えると、胸がムズムズした。
やっぱり、みんなに言うべき?
解散はよくないって。
でも、自分勝手なわたしのこと、みんなは聞いてくれる?
聞いてくれるわけない。
きっと、わたしのこと憎いもんね。

「真美ちゃん。お客様が来たら、この紙を渡して案内して」

「分かりました。…あの!昨日はすみませんでした」

隅木田くんにも謝ると、ちょっと笑った気がした。

「梨歩佳さんから聞いたかもしれないけど、解散するから関係ないよ」

「で、でも」

「間にあったんだし、重い荷物まで背負いたくないよ」

重い、荷物…。
わたしが重い荷物ってこと?

111:モンブラン:2017/03/27(月) 10:30

20.パーティスタート
「皆さん。今日はお集まりいただき、ありがとうございました。急な日付変更に関わらず、皆様がお集まりできたことは、とても嬉しいことです。では、ただいまから始めさせていただきます、明確スイーツ研究部、最初であり最後のパーティを始めます」

梨歩佳さんの司会で、周りがザワザワしてきた。
きっと、最初であり最後であるってことだよね。

「まず、ここにスイーツを用意したわたしたちの紹介をします」

さっきのザワザワから、歓声に変わった。
楽しみにしてくれてて嬉しい。
この笑顔は、もう見られないのかな?

「まず、隅木田優斗さん。多くのことをまとめ、オリジナルトリュフを作りました」

『キャーーーーーー!』

『トリュフ食べた〜い!』

女の子たちの間で歓声が最高潮だ。

「ふたり目。矢本拓斗さんです。オリジナルパンケーキ大きなケーキを作りました」

『オリジナルパンケーキ!』

『わたしがたくさん食べるわ〜!』

「次に、坂宮陽都さん。クッキー作りと大きなケーキ作りをしました」

『クッキーのところ、ずっといたいくらいだわ!』

『ケーキ超絶食べて見せる!』

「次に、多田本真美さんです。オリジナルトリュフ、大きなケーキ、ショートケーキを作りました」

辺りはシーンとなる。
こんなに目立つ人たちの中の、地味なわたしだもんね。
これでいいけど、ちょっと傷つく、かな。
もっと頑張るべきだけどね。

「次に、矢本梨歩佳。矢本梨萌佳です。クッキー作り、オリジナルトリュフ作り、大きなケーキ作り、ショートケーキ作りをしました」

『梨歩佳先輩と梨萌佳先輩すごい!』

『どれも素敵ね!』

最後のパーティも、わたしが重たい荷物背負ってるみたい。
期待外れだよね、わたし。
もう、来たくなかったよ。

112:モンブラン:2017/03/27(月) 10:45

21.隅木田くんの気持ち
ワイワイ、ガヤガヤ。
パーティー会場は大盛り上がり。
今、報酬をもらい中。

「真美ちゃん。解散することだけど」

「明スイの活動は最後なんですよね?わたしはもう関係ないんですよね?」

ちょっとキツい言い方で隅木田くんに言っちゃった。
こういうところ、ダメだよね。
ダメじゃなくて、最低だよね。

「解散のことどう思う?」

隅木田くんは、イヤな顔ひとつ見せずににっこり笑って言った。

「解散したくないですよ。みんなの幸せそうな時間、もっと作りたいです。わたしたちの力で」

「僕もそう思うよ。矢本はもうやめるって言っていた。梨歩佳さんと、梨萌佳さんもやめるって」

「梨歩佳さんと梨萌佳さんは手伝ってくれてましたから、問題はありませんが、矢本くん、何か明スイイヤなことがあったんでしょうか?」

隅木田くんも考え込むように椅子に座った。
わたしも隣に座る。
梨歩佳さんは後輩と、梨萌佳さんは友達と話している。
手伝ってくれていたから、ありがとうございました。なんだけど。

「矢本は、イヤなんじゃなくて、やって意味があると思っていないのかもしれないね」

「そうですか」

113:みかぜ◆3Y 特にかくhogeる。:2017/03/27(月) 10:48

え?!どうなっちゃうの?!

114:モンブラン:2017/03/27(月) 11:09

22.お見舞い
 ガラッ
ゆっくり、ゆっくり、歩いていく。
海のびんせんを持って。
また、ゆっくりカーテンを開ける。
笑顔で横になっていたのはママ。

「久しぶり、菜和」

「ママ、会いたかったよっ!」

何となく、笑っていたら目頭が熱くなってくる。
なんか、ママがいない生活が考えられない自分がいた。
わたしは、ママに助けられてきたんだ。改めて、ママの大きな存在に気付かされる。
わたしって、明スイのことも大きな存在なんだよね。
矢本くんは、明スイってどんな存在なんだろう。
わたしみたいに、大きな存在?
それとも、ホコリみたいな小さい存在?どうしたら、明スイを存続されられるんだろう。

「真美ちゃん。海のびんせん」

「あぁ。ママ、手紙」

手紙を渡すとき、ママと手が触れた。
このママの温もりが忘れられない。
温かい、ママが抱き締めてくれる時の温もり。

「真美、本当にありがとう」

「頑張って、元気な姿で赤ちゃん産んで、ママとパパとわたしと、赤ちゃんとおばあちゃんとお出掛けしようね」

「もちろんよ。楽しみにしててね」

まだまだこの生活が続きそうだけど、わたしももっと頑張るもんね!

             (つづく)

115:モンブラン:2017/03/27(月) 11:21

あとがき
            モンブラン

皆様こんにちは。
ここは明確スイーツ研究部!略して明スイ作者のモンブランです!
今回の明スイ4巻、いかがでしたか?
今回の明スイは、最高のパーティーにしたい真美ちゃん。
ですが、ママーーー菜和(なお)が倒れてしまう。
そこにおばあちゃんが来る。
そして、パーティーでは解散!?ということでしたね。
今回も、作者でありながらドキドキビクビク震えております。
何となく、真美ちゃんがラプンツェルに感じてきました!(笑)

今は皆さん春休みでしょうか。
宿題もなく満喫していると思いますが、時間があれば、明スイを読んでくださると嬉しいです。
わたしも、春休みを満喫しながらも、着々と中学校の準備をしています!

次回の明スイはですね。
矢本くんと梨歩佳さん、梨萌佳さんがいない状態で、聡日さんの依頼をすることになります!
さあ、どうなるのでしょうか!

お礼のコーナーです。
いつも読んでくれる方々、本当にありがとうございます!
コメントをくれた、シフォンさんと、みかぜさん!
このふたりには、いつも元気付けられます!
本当にありがとう!
次回の明スイも、よろしくお願いします!

追伸
明スイに関して質問コーナーを開きたいと思います。
キャラクターの誕生日など、いろんな質問待ってます!

116:モンブラン:2017/03/27(月) 11:23

創作板に建てました。
『莉愛の小説を一番早く!』
モンブラン=莉愛。
明スイの短編載せてます。
ぜひ読んでください!

117:モンブラン:2017/04/04(火) 12:13

お久しぶりです!
春休みを満喫しておりました。
ですが、今から新刊書きます!

118:モンブラン:2017/04/04(火) 12:22

『ここは明確スイーツ研究部!5』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

119:モンブラン:2017/04/04(火) 12:34

1.楽しい夏休み!
「あ〜と10分だねっ!」

ヒマがリズムに乗って言う。
ハルもユリも、もちろんわたしも!
ウキウキ気分で並んでいる。
ここは、最近新しくできた遊園地。

「ヒマヒマっ!キャラクターが門の前で待ってるよっ!」

「えっ?どこどこ!?」

確か、ハッピーサマーランドって遊園地だったかな。
この前4人で行ったサマーサマーパークだったっけ?
サマーサマーランド?
まあ、どっちだったか忘れたけど、その前に行った遊園地の姉妹遊園地。
ここにはサマーサマーの方と違って、キャラクターがいる。
小さいディズニーみたいだって。

えっと、わたしは多田本真美。
記憶が薄れてきてるけど、思い出として残ってるからねっ!

ハルとヒマは、背伸びしながらキャラクターを見ている。
わたしは身長が小さいから、背伸びしてもどうせ見えないし。
まあ、諦めてるって感じ。

『皆様、大変お待たせしました。ただいまから、ハッピーサマーランドを開演致します』

アナウンスが入ると、ハルとヒマはぴょんぴょん跳び跳ねる。
ハッピーサマーランド、ずっと計画してきたから。

『では、押さないよう、ゆっくり園内にお入りください』

「やっと入れる〜!」

「2時間並んで良かったね!」

ハルとヒマは、スキップしながら園内に入っていった。
ユリと、目を見合わせる。

「わたしたちも、思いきり遊ぼう!」

「そうだね。今日は宿題も部活も忘れて遊ぼうか!」

わたしたちも、ユリとスキップしながら園内に入っていった。

120:モンブラン:2017/04/05(水) 08:40

2.恐怖!インコップコースター
「まずはプラン通り、インコップコースターだよっ!ここで、わたしとユリでベストリアムシューティングの券を取りに行くよ!」

インコップコースター!
ハッピーサマーランドのメインジェットコースター。
ベストリアムシューティングは、ハッピーサマーランドの主人公。
ディズニーでいうとミッキーにあたるキャラクターのシューティングゲームの券ーーー並ばなくても乗れる券を取りに行った。

「マミ、わたしたちはそのまま並ぶんだから、早く行くよ!」

「うん!」

わたしたちが並ぶと、前にインコップコースターが動くのが見えた。
それにあたり、わたしたちも前に進む。ちょっとすると、インコップコースターが見えなくなってっ!

『キャーーーーー!』

『もームリィーーーーーーー!』

『ギョエーーーーーー!』

さ、叫び声ひどくない?
背筋がぁ!

「マミ、本当にこのアトラクション楽しそうだね!マジ楽しみ!」

「ヒマは楽しみでもわたしはぁっ!」

ヒマは、苦笑いしながら前を見た。
また、前が進む。
ということは?

「インコップコースター動いた!」

ヒマが言って上を見ると、インコップコースターが落ちていった。

『もー止めてぇぇーーー!』

『キャーーーーーー!』

『死ぬーーーーーーーーーー!』

うううっ!
怖すぎるよ!
後ろを振り返ると、楽しそうなウキウキした顔の人たちがズラリ!
もう、イヤーー!

「ただいま!…マ、マミ?」

ハルたちが帰ってきたのも知らない。
もう、そっちのことなんて考えられない。
インコップコースター…!
乗るの無理ーーー!

121:モンブラン:2017/04/12(水) 19:16

3.出発夜の旅
「はい。ではお乗りください」

案内されちゃったよぉ。
ん〜、怖すぎて死にそう、気絶しそうだよ〜!

「ヒマ、隣に乗らない?」

え、ユリ、ヒマを誘った!?
どうしてどうしてっ!

「も、もちろん。って、ユリどうしたわけ?ジェットコースター好きになったりとか?」

「いや。ただヒマと乗りたかったの」

はぁ。
ユリにジェットコースターのレベル抜かれた〜。

「じゃあ、ハル。隣で乗ろう」

「うん!マミと乗るの、久しぶりだから楽しみだな!」

確かに、ハルと乗るのは、ディズニー依頼かな?
四年生くらいにハルと私と家族たちと行ったから。

「皆さん、ご乗車いただきありがとうございました。インコップコースターでは、360度しますので、安全ベルト、忘れないよう心がけましょう」

さ、サンビャクロクジュウド!?
キイテナイゾ!

「360度するんだ!益々楽しみになってきたよ!」

ハル、そういう発言は求めてない。
とりあえず早く終わってっ!

「では、インコップコースター、恐怖の夜の旅を、お楽しみください!行ってらっしゃい!」

うわ、見送られた。
本当に楽しい夜の旅に、なるかなぁ?

122:玲葉:2017/04/12(水) 19:17

面白い!これからも読ませてくださいッ!
真美ちゃん、大好き!

123:モンブラン:2017/04/12(水) 19:21

玲葉さん、ありがとうございます!
自信なくしていたところでした!
ぜひ読んでください!
よろしくお願いします!
では、続き書きます!

124:モンブラン:2017/04/12(水) 19:43

4.天国への道
うぅ、どんどん上がっていく…。
天国への階段みたいだよぉ。
怖すぎるぅ。

「マミ、落ちるよ!落ちる、落ちる!キャーーーーーーーー!」

「もうダメだ〜!」

ヒマとユリも叫んでいる。
もちろん、ハルも私も。
すると、グルンッ!
さ、サンビャクロクジュウドシタ!
ワタシマワリマシタ!

ああ…。
怖すぎて…声…すら…出…ない…ッ!
どうし、よお…ッ!

お…ッ!
終わったゾ〜!
インコップコースター乗った!
私は凄いぞ!

「マミとユリ、お疲れ様」

「うん。ユリも、お疲れ様だね」

本当にお疲れだよ。
こんな疲れるの、考えられないよ。

「大丈夫!マミもお疲れだよね。まだベストリアムの時間じゃないから、ハルハルパークに移動しない?」

ハルハルパークーーーここは、ハッピーサマーランドの真ん中、ハッピーハッピーパーク。
ここのハッピーハッピーパークの右がハルハルパーク。

「いいねえ。ハルハルパークは、写真館があるでしょ?ベストリアムと写真撮らない?」

「賛成!でも、並んでる間にベストリアムのシューティングゲームの時間が来ちゃいそうだし」

「ハル、ヒマ。その問題はないよ。お母さんに言ったら、ベストリアムの写真館は行くだろう。ということで、前売券買ってもらったから。1グループ一枚だから大丈夫!」

ユリ、気が利く!
どうして思い付かなかったんだろ。
ユリはすごいよ!

「ユリ。それ、いつでも使えるの?」

「今日の間ならいつでも使えるわ」

「よかった。じゃあ、写真は避けよ。マミの顔が青っぽいし」

え…。
私の顔が青っぽい!?
ウッソー!

125:モンブラン:2017/04/23(日) 20:45

5.マフィン作り
久しぶりの遊園地も終わり、普通の日常に戻った。
今は、スイーツを作ってるところ。
きっと、矢本くん戻ってきてくれるし、たとえ戻って来れなかったとしても、わたしたちの活動は終わらないはずだから。

「真美ちゃん、本当に手伝わなくていいの?ちょっと心配よ」

おばあちゃんは、心配そうにわたしを見つめる。
手を出してくれるけど、ひとりでやるから、いいよ。って言ってるし。
わたしだって、きっとひとりでできるはずだから!

「おばあちゃんはゆっくりしてて。ずっと動いてちゃダメだよ」

「そんなことないわ。真美ちゃんが作るところ、見ていたいもの」

そう言って、おばあちゃんはカウンター越しにわたしを見ている。
また、マフィン作りを再開する。
夏休み、今までの恩ということで、おばあちゃんと、ハル、ヒマ、ユリにマフィンをプレゼントすることにした。
その練習用。
出来たら、おばあちゃんにはあげないつもり。
完成形しか食べてほしくないし。

「スイーツ作ってる真美ちゃんが、とても生き生きして見えるわ」

おばあちゃんがふとつぶやく。
生き生きして、見える?
私の生き生きした顔ってどんな顔だろう?

「とっても輝いて見えるわ。真美ちゃんの姿、菜和に見せてあげたい」

菜和ーーーわたしのママ。
今入院しているの。
妊娠しているから。
でも、おばあちゃんはスマホじゃなくてガラケーだから、写真送れないよ。

「カメラで撮るわ。菜和が、赤ちゃんを抱いて帰ってきたら、カメラを見せてあげるの」

おばあちゃんのこの顔、生き生きしているのかも。
まるで、夢ではない、遥かかなた、すぐそこじゃない遠くを見つめる顔。
未来を、想像している。

「おばあちゃん、楽しい?」

「おばあちゃん?楽しいわ」

おばあちゃんも楽しいんだ。
私と同じ、楽しいかな?

126:モンブラン:2017/05/01(月) 19:11

6.秘密の真由ちゃん
 ピヨピヨ ピヨピヨ
か、カワイイッ!
マフィンを焼いている最中。
暇なので、お庭に出て気晴らしって感じで休憩に来た。

「真美ちゃん、雀ちゃんが好きなの」

ふふふ。
この子は、普通の雀ちゃんじゃない。
わたしが…秘密で飼っている雀ちゃんなのだから。
名前もあるんだ。

「真由ちゃんって言うの。わたしがつけてあげた名前だよ!」

そう、真由ちゃん。
わたしの名前をつけるとき、真由と迷ったんだって。
この雀ちゃん、わたし第二号って感じで真由ちゃんにしたの。
真美って名前だと、同じで紛らわしいしね。

「そうか。真由ちゃんねえ」

おばあちゃんは、なぜか黙りこむ。
どうしたんだろう。
お腹でも痛いのかな?
心配しているのに気付いたのか、笑って部屋の中に入っていった。

「真由ちゃん。お散歩でも行ってきたら?そうしたら、おやつをあげる」

真由ちゃんは答えたのか、どこかへ飛びたって行った。

「真美ちゃん。菜和から電話よ」

「え、ママから電話!?」

おばあちゃんは笑って、電話機を渡してくれた。
ママからってことは、病院からかけてるんだよね。
わたしと話すために、わざわざ。

「あの、もしもし」

ちょっと緊張ぎみに言うと、ママの、やんわりした声が聞こえてきた。

「もしもし。久しぶりね、真美ちゃん。夏休みは、どう?」

「夏休み?え、楽しいよ!この前も、遊園地に行ったの。ハルたちと」

少しの沈黙があって、ママが言う。

「楽しかったみたいね。きっと真美ちゃん笑ってるわ。真由ちゃんは?」

真由ちゃん?
雀ちゃんだよね。
ママに、真由ちゃんの話したことないのに。
すると、電話の向こうでクスッっと笑い声が聞こえた。

「真由ちゃんは雀でしょ?真美ちゃんが夢中になってることくらい、ママも知っているわよ」

ウソ!
真由ちゃんのこと知ってたの!?
さ、さ、さすが、ママ!

127:絵菜◆8Q:2017/05/02(火) 21:05

名前変えました。
元モンブランです!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

7.真由ちゃん小屋
そう言えば、この前に、矢本くんがやめようとする前。
明スイクッキーをママにプレゼントした時のこと。
明スイのこと話したことないのに、ママは明スイを知ってた。

「真美ちゃんが夢中になることくらい、ママも知ってるわよ」

そう言ってた。
わたしがママになっても、ママみたいになれるのかな?

「真美ちゃんの声が聞けて嬉しいわ。もうそろそろ切るわね。じゃあね」

「うん。バイバイ」

わたしがそう言って切ると、ママの笑顔が思い浮かぶ。
いつもニコニコしていて、周りを笑顔にさせてくれる。
辛いときも、苦しいときも、いつも、笑って過ごしている。

「真美ちゃん。真由ちゃんが帰ってきたわ。おやつあげましょう」

「おばあちゃんに、真由ちゃん飼ってること言ってないよ?」

ママと同じで、おばあちゃんも気付いていたの?
短い期間だったのに?
ま、まさかぁ。

「おやつ、真美ちゃんの部屋を掃除していたら見付けたの。雀用って、真由ちゃんしかいないでしょ?」

おばあちゃん…。
さすがだね。
真由ちゃんのおやつ見付けるなんて。
難しいところに隠したつもりなのに。
ママとおばあちゃんには、全てお見通しなのだ。
隠してもすぐバレるだろう。

「おやつ、あげにいきましょう」

「うん!」

暖かいひざし。
見えないけど、青い風。
澄み渡っている空。
そして、かわいい真由ちゃん。

「真由ちゃん、こっちこっち!」

わたしが声をかけると、チュンチュンと泣いて、おやつを食べに来た。
手のひらから、肩へ移動させる。
完全に、飼ってるっぽいし!

「おばあちゃん!雀の小屋って、いくらするかな?」

「真美ちゃんが作ってあげたら?おばあちゃんも手伝うから」

わたしが、真由ちゃんの小屋を作る?
そんな、無理無理。
器用じゃないし、真由ちゃんかわいそうだもん。
それに、おばあちゃん頼りすぎだし。
そのとき!
 ピーッピーッピーッピーッ

「マフィン焼けた!」

「真由ちゃん。ここにおやつ置いとくから、食べ終わったらここで待っててね。真由ちゃんが食べれるサイズのマフィン持ってくるから!」

そう言い残して、キッチンに戻った。

128:絵菜◆8Q:2017/05/02(火) 21:16

8.砂糖と塩を…
うぅ、美味しそう。
ふっくらしていて、香りもよし!
これなら、あげられるレベルに達しているかな?

「真由ちゃん!これこれ!マフィン!はい、どうぞ」

マフィンの小さいのを、真由ちゃんの前に置く。
トントンしながら、ちょっとずつ、ちょっとずつ食べる真由ちゃん。
かわいい。

「真美ちゃん?おばあちゃんも食べていい?」

「おばあちゃんはダ〜メ!」

なんってったって、おばあちゃんにはプレゼントだからね。
これは、ただの試作品。
本番じゃないんだから!

「まあ、また作ったら食べさせてね。とっても美味しそうなのに」

うふふ。
でも、ごめんね、おばあちゃん。
わたし、サプライズしたうから。

「真由ちゃん、美味しいかい?」

おばあちゃんが、真由ちゃんの顔を覗き込む。
それに答えるように、真由ちゃんはチュンチュンと鳴いた。
さあ、わたしも食べてみよっと。

「いただきま〜す!」

一口。
んんん?
ちょっと辛いんだけど。

「ゲホッゲホッゲホッ!」

「真美ちゃん!?大丈夫!?」

「ん、ゲホッゲホッ!大丈夫ゲホッ!気にしないでゲホッゲホッ!」

多分、多分だよ?
このときだと思う。
この問題が起きたの。


「甘めにしよっかな。砂糖たっぷり入れよっと!」

そう言いながら、倍の量の砂糖を入れたつもりだった。
でも、わたしは多分塩と間違えた。
塩をたっぷり入れたせいで、辛くて咳き込むのだ。

「ゲホッゲホッゲホッ!」

「うがいよくしておいで。これからは間違えないわよ。失敗は成功のモト!いいのよ」

そうだよね!
失敗は成功のモト!だよね!
次からは気を付けよう!

129:絵菜◆8Q:2017/05/21(日) 13:22

9.転校っ!
カーテンを開くと、満月の月が見え、ん?
私の家の前に、男の子がいる。
誰だろう。
パジャマのままだけど、パーカー着てけばいいよね。
お気に入りのパーカーを羽織り、家を出る。

「あ、真美ちゃん。」

「す、隅木田くん?何かあったんですか?」

多いなカバンを提げ、わたしの部屋辺りをジッっと見つめる。
な、何だろう。

「矢本がね、転校することを言いに来ただけ。お父さんと矢本のふたりで暮らすんだって。明スイ、そんなに嫌だったのかな。」

ふたり暮らし!
明スイで、依頼を一気にパパっとやったからいけなかったのかなっ?

「まずは、聡日さんの依頼をやろう。尾崎桃乃さんと尾崎桃音さんいただろ?ふたりが、お礼したいから、明日、明確ゼミのカフェ集合ね。じゃ。」

え、それだけのために?
私の家に、電話をかければ。
そう考えていると、街灯の光に照らされた隅木田くんは、見えなくなっていた。


カーテンを閉め、パーカーを脱ぐ。
明日、明確ゼミでは、全国テストがあるんだ。
勉強はずっとしてきたし、いいよね。

「真美ちゃん、マフィンは、明日の朝作るってことでいい?」

ドアの向こうで、おばあちゃんが言う。マフィンの、本番だよね。

「いいよ。マフィン作り終わったら、配りに行く。ママには、明後日にしようかな」

「そうね。じゃあ、明日はいろいろあるから、早く寝るといいわね。おやすみなさい」

「ん、おやすみなさい」

130:絵菜◆8Q:2017/05/28(日) 21:09

10.ファンっ!
カーテンを開ける。
明るい日射し。
外には真由ちゃんがいるだけ。
今日は全国テストかぁ。
そして、マフィン作り。
パジャマから私服に着替え、顔を洗ってリビングへ行く。

「おはよう。おばあちゃん。パパ」

本来なら、おはよう。おばあちゃん。なんだけど、今日パパがいた。
仕事かと思った。

「おはよう、真美。今日は全国テストだな。頑張れよ。あと、真美宛に手紙がきていた」

わたし宛?
手紙なんて、まともにもらった記憶ないな。
久しぶりにもらうかも。

「これだ」

パパから受け取り、差出人の欄を見てみる。
すると、多田本真美様。
矢本拓斗より。とあった。
矢本くんから手紙っ!
急いで出して読んでみる。

『多田本真美様

今まで、明確スイーツ研究部、ありがとう。俺は、引っ越します。多田本真美さんと仲良くなれたこと、誇りに思います。さようなら。

           by矢本拓斗』

それは、筆ペンで書かれており、短くまとめてあり、かっこよかった。
byってところとか。
でも、昨日聞いたけど、本当に引っ越すことが明らかになってしまった。

「真美も、返事書いたらどうだ?お母さんと一緒に、便箋買いに行ったんだろ?」

あ、お母さんっていうのは、おばあちゃんのこと。
パパは、おばあちゃんのことをお母さんって呼ぶから。

「うん。そうする」

「そうね。じゃあ、朝ごはんにしましょうか」

そう言って、おばあちゃんはトーストが乗ったお盆を持ってきた。
う〜ん、いい香り。

「いただきまーす!」

朝のわたしの発声で、おばあちゃんは席につき、パパま新聞紙を閉じて席についた。


飛ばないように気を付けなきゃ。
今は、マフィン作り中。
特別にだけど、パパにもあげることにしたんだ〜。

「おばあちゃんとパパは見ないで!」

そう言いながら、グイグイ押す。
リビングのソファーに座らせて、キッチンに戻る。

「わたしが、わたしなりに、わたしだけで作るの。だから、見ないで」

言い、またかき混ぜる。
絶対美味しいマフィンにするんだ。
矢本くんにも、渡せたらいいな。
今日は、カフェに来るって言ってたから、その時手紙に添えて。
もちろん、明スイメンバーにも、尾崎姉妹にもねっ!


カバンを提げ、ドアを閉める。
う〜、緊張する。
全国テストと、マフィンを渡すことが。受け取ってくれなかったらどうしようってね。
矢本くんに言われたら、すごくきついよね、うん。
カバンに、マフィンが数通り入っていることを確認して歩く。
明確ゼミへ行く足取りが、重い。
いつもは、行って秀才になれて、行って明スイができて、嬉しいのに。

「あ、明スイメンバーだ。あたし、春山ひかりです。この前のパーティー、出席しました〜!本当に良かったですよ!あたし、明スイの中で、真美さんファンです!ネットで、明スイ話題になってますし、メンバーのファンクラブあるんですよ!あたし、真美さんのファンクラブ副会長です!」

え、嘘!
明スイのファンクラブ!?
それに、メンバーのファンクラブ!?
わたしのファンクラブ!?
ネットで話題!?
ついに、わたしにも話題になる時期が来たのかも!

「ありがとうございます!春山ひかりさんですね。初めまして、多田本真美です。よろしく」

ちょっと気取って言ってみる。
すると、ひかりさんはスマホを取り出した。
何するんだろ。

「メアド教えてください。あと、写真いいですか?」

メアド…。
それって、メールアドレスの略しだよね。
スマホ持ってないー。

「すみません。スマホ持ってなくて。写真は、いいですよ!」

「スマホ持ってないんですね。それくらい明スイに打ち込んでて。素敵〜!では、写真お願いしま〜す!」

う〜!
夢だ〜!

131:絵菜◆8Q:2017/05/28(日) 21:36

11.今日は忙しい
「では、お願いしま〜す」

ひかりさんが写真を撮ると、キャーッっと言いながらスマホをしまう。
これで、良かったかな。

「ありがとうございましたぁ!」

そう言って、ひかりさんは走っていってしまった。
何か、気持ちいい。
芸能人って、こんな気分なんだ〜。
…って、明確ゼミ行かないと!
めちゃくちゃ走って、何とか15分前には着いた。

「ねえ、真美ちゃんだ〜!」

「写真撮る〜!」

「真美ちゃん、こっち向いて〜!」

本当にファンクラブ出来てるのかも!
マジで!?
こっち向いてって言ってくれた子の方を見ると、写真を連続で撮っている。
確か、レンシャってやつ。

「ありがとうございます。通してくれますか?放課後、用事を済ませたらでいいでしょうか?」

「は〜い、いいで〜す!」

この感覚、めっちゃ夢だわ!
どうして言うこと聞いてくれるの!?
みんな通してくれるし。
教室に入っても、いつもぼっちだったのにみんなが寄ってくるし。
わたしが夢見てる暮らしはこれだ!

「真美ちゃんって呼んでいいですか?筆箱にサインしてください!」

「真美さん、全国テスト頑張りましょうね〜!」

「また今度空いてますか?」

そんなにわたしのファンがいてくれてるなんて!
マフィンたくさん持ってきたら良かったよ、本当に。
明日、もっと作って持ってこよ!

「後で受け答えします。みんなで全国テスト頑張りましょう!」

そう言うと、教室中が活気づいた。
よ〜し、国語、数字、理科、地理、歴史、英語。
頑張るぞー!


お、終わった〜!
と同時に、教室の子達が集まってきた。

「筆箱にサインお願いします!」

「依頼してもいいですか?」

「また今度出かけませんかー?」

よーし!
受け答えるぞ!

「サインの筆箱どれですか?出してください。依頼お待ちしてます!いつですか?空いてたら出かけましょう」

飛び交う言葉。
わたしのために。

「この筆箱です〜!」

「はい、サインです、どうぞ」

よし、一人目終わり!
ネクスト!
次は、空いてるか空いてないか?

「明日どうですか?」

「明日は予定あります。明後日はどうでしょう?」

「はい!ぜひ!」

明後日、この人と出かける。
忘れないようにしないと。

「すみません。今から予定あるので、これで終わりにします。失礼します」

今日は忙しい!
マフィン作り、ひかりさんの受け答え、ファンの子達の受け答え、全国テスト、ファンの子達の受け答え、明スイ、ファンの子達の受け答え。
ネクスト、明スイ!

132:絵菜◆8Q:2017/05/28(日) 21:52

12.良かった
初めてカフェに行くので、今は軽い足取りで行く。
真ん中辺りの席にいたんだけど、ファンの子達がいっぱい!

「真美ちゃんも来た〜!」

「明スイ揃ったらカッコいい〜!」

超目立ってるじゃん。
わたしって、目立つの苦手なのに。
こんなに受け答え可能なんて。

「ちょっといいかな?俺たち、集まる時間もできないから、今はいいかな?この用事が済んだらでいい?」

隅木田くんが言うと、ファンの子は笑顔で去っていった。
受け答え、長くなりそう。

「ファンクラブ出来ててビックリだ。本当に」

坂宮がつぶやき、明スイメンバーは軽くうなずく。
尾崎姉妹は、笑いながらうなずく。

「あ、桃乃さん、桃音さん、どうぞ。マフィン作ってきました。坂宮と隅木田くんと矢本くんも」

みんなにマフィンを配る。
顔色をうかがいながら。
尾崎姉妹は、にっこにこ。
坂宮と隅木田くんも。
矢本くんは、無表情で受けとる。

「ありがとうございます!」

「サンキュー、真美」

「ありがとね、真美ちゃん」

良かった、うまく渡せて。
すると、尾崎姉妹が切り出す。

「今日は、パーティーのお礼をしたいと思ってきました!」

何だろう、楽しみっ!

133:絵菜◆8Q:2017/05/29(月) 20:52

13.矢本くんの笑顔
「パーティーを企画してくださった明スイの方々ですが、手紙を書きましたので、どうぞ」

桃乃さんが言い、手紙を4人全員に配ってくれた。
それに、2枚も。
今日だけで、3枚ももらってる。

「あと、真美ちゃんが配ってて、わたし達の何か、ちっこいのですけど、クッキーを焼いてきました。どうぞ」

クッキー!
明スイで作るクッキー以外、食べるの久しぶりだな〜。
いっつも、試食品だし。

「今、食べてください。感想聞きたいので」

目の前で食べられるんだ〜!
嬉しい。

「ん〜。美味しいです。クッキーの甘みが口の中いっぱいに広がって、後味が残るときも、甘みが残ってて素晴らしいです!」

わたしが、ヒマを真似してグルメリポートのように食リポをしてみる。
すると、尾崎姉妹、坂宮、隅木田くんは笑ってくれたけど、矢本くんも笑ってくれたのだ。
明スイの楽しさ、思い出したかな?
まだ、思い出せてないかな?

「ファンの子が待ってるので、わたし達はこれくらいでいいですよ」

あ、いいんだ。
尾崎姉妹って、控えめな印象なかったけど、しっかり周りが見れるいい子達かもしれない。

「今日はありがとね。僕、これを通してこの4人で明スイ頑張ろうって思えたよ。ねえ、みんな」

わたしは、にっこり笑って大きくうなずいた。
でも、矢本くんの反応が気になったんだ。
矢本くんに視線を流すと、矢本くんまでもが笑ってうなずいていた。
明スイ、続けてくれるかな。

「じゃあ、これで失礼」

坂宮が気取って言い、みんなでカフェをあとにした。
矢本くんに話しかけたい。
明スイをどうしていきたいのか知りたいから。
なのに…。
話しかけられない。
この空気を読み、隅木田くんが矢本くんに話しかけた。

「手紙サンキュー、矢本。でも、本当に引っ越すのか?」

「…」

矢本くんは、答えない。
沈黙が広がり、この場に居づらい。

「矢本は、明スイを抜けたいのか」

「いや。引っ越すのも、今日ので心、撃たれたから」

やっぱり、尾崎姉妹の企画、嬉しかったんだね。
それで心を撃たれ、明スイを続ける気になったかな。

「明スイメンバー来た〜!」

ん、いいとこなのにー!
でも、ファンサービスって感じで。
ってわたし、めっちゃ気取ってる!

134:絵菜◆8Q:2017/06/10(土) 13:44

14.わたしのまま
「真美ちゃん、こっちこっち!」

さっきのファンの子達だ。
カフェに来てた。

「真美ちゃ〜ん!さっき約束しましたよね〜?来てくださ〜い!」

「わたしたちも約束しましたよ!」

ファン同士の喧嘩!?
わたしが止められたら…。
隅木田くんをチラッっと見ると、うなずいている。
強そうな瞳で。
よし、わたしが!

「あ、…」

い、言えない。
せっかくファンができたのに、嫌われたらって考えて。
どうしよう。

「真美ちゃん困ってるよ。ファンの子達、やめてあげて」

矢本くん…。
ありがとう、ございます。
ヒマ。
ヒマのお兄ちゃん優しいね。
ひとりっこ…お姉ちゃんになるわたしには、この気持ちまだ分からない。
でも、きっと分かるようになるよね。

「ごめんなさい。真美ちゃん」

ファンの子達、謝ってる。
本当にいい子だね。
…って!
ファンサービス慣れてないから、めんどくさいとしか思えんっ!


ため息をついてドアを開ける。
家の匂いが落ち着かせてくれる。
はぁ〜。

「真美ちゃんおかえり。インターネット開いてたら、真美ちゃんの写真とかコメントがいっぱい。どうして?明スイで?」

「そうなの。だから、明確ゼミでも、前が見てないくらい大勢のファンの子が…」

下を向きながら言うと、おばあちゃんはクスッっと笑った。

「今までの真美ちゃんが好きなのよ。ファンの子は。だから、真美ちゃんは真美ちゃんのままでいないと」

わたしは、わたしのまま?
それって、いつものわたしでいるってことだよね。
…こういうことかな?
いつものわたしのファンだから、何かを変えず、いつものわたしでいる。
ってことは、矢本くんのファンも、抜けることはもちろん。
笑っていたらそれでいいんじゃないのかな。


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