このエデル国で生きるには、殺戮人間にならなくては、いけない。
_____それが、私達のすべき事。
私、岡上乃愛。
日本という小国から留学してきた。
このエデル国は、殺戮に事欠かない。
それくらい皆が、殺戮人間なのだ。
上、私です!
4:ゆるるん◆Uo:2017/05/04(木) 21:21 私の”親友“は、パトリシア。
エデル国出身。
金髪と、深緑色の瞳が特徴的。
この国では、日本でいう、夏至頃から、2ヶ月休みがもらえる。
夏休みってやつ?
そのときだけ、この街から音が鳴り始める。
たくさんの雑踏とか。
その休み以外に、この街には、音じたいない。
すごく、静か。
街の人々や、留学生は、一同大きな施設に集められて、特訓という名の、殺戮の練習を受ける。
「パトリシア、今度ショッピング行こうよ。」
「OK。」
パトリシアと小声で喋っても、
教官が気がつく。
「O1、P1、晩ご飯抜き。」
特訓中に喋ったら、罰を受ける。
でも今まで、こんな感じだったから、さほど変わらない。
ちなみに、O1って言うのは、私のナンバー。
岡上乃愛だから。
そんなときに、真純が来たんだ。
prologue…‥…>>2__4
001
「時寺真純でっす!よろしくぅっ!」
真純は、ショートカットの茶色がかかった、黒色の瞳に、ドキリとした。
此処の者では見たことのない、キラキラとした瞳だった。
真純は、そのキラキラした瞳で、私を見つける。
「な、な!アンタも、日本出身でしょ!?」
「う、うん。」
勢いに飲まれながら、私は答えた。
真純は、拳を握った。
「よろしく、N1…本名は?」
真純の番号は、M7だ。
この国には、Mのついた名が多い。
「岡上乃愛…‥…。」
真純は、子犬のように、笑った。
そんな純粋な笑みに、私は羨ましさを覚えた。
この国の殺戮技術は、一体何に役立つのか。
初めて感じた、疑問だった。
場所は変わり___________
エデル国の”支配者“マルグリット・アランは、本をとじた。
背後に、何者かの気配を感じたからだ。
(この私にたてつくとは‥…シュノーは何をしているの)
彼女のお世話係___O1の教官に怒りを向ける。
ここの隣国にも、彼女の噂は広まっている。
むしろ、知らない者はいない。
人を、殺戮機械と化し、扱う天使の顔をした、悪魔を___
王とかはいない。
アラン一家は、数百年ほど前からこの地を治める、セレブ家系である。
上、私です…
8:ゆるるん◆Uo:2017/05/06(土) 17:26 002
その話を持ち掛けたのは、真純だ。
「な!この国から、逃げたくない?」
私と、パトリシアは固まった。
そんな事なんか、考えた事が無かったからだ。
「なん…で?」
パトリシアが、やっと言う。
真純が、呆れたように手を振る。
「えー、乃愛とパトリシアは逃げたくないの?」
当たり前じゃん?と言うように、真純は肩をすくめた。
なんていうの?
分からないけど、真純の気持ちがひしひしと伝わってくる。
「ここの主は?」
「マルグリット・アラン様よ。」
やっと、私は告げた。
「へぇー、そう言う名前なんだ?」
真純は、舌なめずりした…。
それは、獲物を見つけた肉食獣のようだった。
「脱出通路は、もうあるよ。行かない?こんな殺戮地獄から逃げようよ?」
私は、パトリシアと顔を見合わせた。
「うん……」
逃げたいとかじゃない。
ただ、今、真純に従わないと、やられる可能性を感じたからだ。
真純が切り出す。
「日本に、ある組織があるんだ。そこに、来てくれない?」
どんな、組織?
「ボクの話を聞いたなら、入らなきゃだよ?」
真純って、ボクッ娘なんだ。
「その組織の名は、胡蝶蘭」
胡蝶蘭…?
聞かない組織だ…。
「ま、日本に行けば分かるんだけど…」
ニヤリと、真純は笑った。
猫のような、笑みだった。
「勿論、日本に来るよね?」
「行くしか、ないよね」
パトリシアが、私の顔をのぞき込む。
私も、しぶしぶうなずく。
「じゃ、畳の上から退いて」
真純はそう言って、私とパトリシアの荷物をどかす。
畳を上に上げて、見ると、大きな穴が覗いていた。
真っ暗で、光でさえも遮断する、純黒の色。
「案内するから、来てよ」
真純はそう言って、穴に入った。
パトリシアも荷物を取りながら、入る。
私も、続く。
ツンとした、黴臭い臭いが鼻を突く。
「乃愛、パトリシア、少し我慢してて」
真純の声が、側で聞こえる。
だけど、何処にいるのかさえ、分からない。
と…
ボオッと灯りがつく。
パアッとパトリシアと真純の顔が灯りに浮かぶ。
真純は、ニッと笑った。
「ボクの予想じゃ、もうそろそろ外に着いてるはずだよ」
真純の話を信じていいのか、戸惑う。
でも、此処まで来たんだから、後戻りはできない。
私とパトリシアは、顔を見合わせて、うなずいた。
新たなる使命 side ???
『って、事で。ボクたち、そろそろ空港に着くよ。迎えにきてよ』
甘ったるい、キャンディの声。
聞いている此方が、イライラする言い方だ。
『なぁ、シュルツー!』
ケータイが、バキリと音を立てた。
レンナ様に、なんと言おう。
そしたら、レンナ様は、こう言う。
「まぁ、シュルツならしてくれると思っていましたのに‥…」
俺は、溜め息を吐いた。
「レンナ様のタメだからな‥…」
「ホラ、着いたよ!」
真純の明るい声が、響く。
パカッと、真純はマンホールのふたを開けた。
「よっ、と。パトリシア、来て」
私よりも、運動が苦手な、パトリシアを真純は持ち上げた。
「乃愛は‥…出来るね?」
私だって、自分の体を持ち上げることくらい、できるもの。
地上にあがると、目の前は空港。
「今から、日本に行くよ」
「パスポートは?」
真純は、鞄から三人分のパスポートを出した。
「変装して、行かないとだから、偽のパスポートだよ」
空港にて
私の偽名は、高岡紫乃。
職務は、社長秘書。
となれば、真純が社長、パトリシアが部下。
あっけないながら、飛行機に乗る。
エデル国に来る前は、乗ったことがない。
今思えば、何故エデル国に来たのだろう?
物思いに耽っていると。
「乃愛〜、日本に着くまでは、8時間程だよ」
私、着くまで何回寝れるだろう?