解決事務所 パワフル☆ピース

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1:薫:2017/07/31(月) 14:52

初めて小説書きます!薫(かおる)です。
地道に更新していきます!
文章もかなりゴタゴタで読みにくいと思いますが、よろしくお願いします!
また、読んだ感想、アドバイスもお願いします!辛口OKです(荒らしは止めてください)
それでは、『解決事務所 パワフル☆ピース』(略して解フル☆)はじまります!

251:薫+*Yae+*◆xs:2018/03/29(木) 19:58

>>250
うーん…何と言うか…振るとか振られたとかじゃなくてですね…。
大地はトウナのこと好きです。(トウナは、恋愛的にかは分からないけど、まぁ人として大地のこと好きです)
で、大地は告白しましたが、あくまで「自分がトウナのことが好きだと知っていてほしい」という感じで…男女の関係になることを望んでた訳じゃないんです。
だから、お互い自分の気持ちを伝えて「これからもよろしくね」って感じになった…ってことです。
分かりにくくてすみません。

252:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 17:08

L黒いミオウ


その日の放課後は事務所に行って、ララさんから相談者に関する説明を受けた。

「今回の相談者は、崎紅学園の児童会長さんから」

その一言を聞いたとき、ミオウが一瞬破顔した。

「ミオウ」

ララさんが厳しくミオウを呼ぶと、ミオウは珍しく、小さな声で返事をした。

「はい……」

「ミオウ。あなた、児童会役員でしょう。知ってるわよね?」

また小さな声で、

「はい……」

しかし、事務所メンバーは誰も何も言わない。

……わたしも。何も言わずにいる。

そんなことも気にせず、ララさんはテキパキと話を進める。

「名前は菅名茜さん。進路や勉強、テストについて悩んでいるみたいね…ミオウ」

「はぃ」

後半は、消え入りそうな声。

ミオウは、いつだって呼ばれたら堂々と返事をするのに。

パワフル☆ピースのリーダーとして、見逃せない。

……わたしはまだ、そう考える余裕を持っていた。

「ミオウ。1番菅名さんを知っているのはあなたなのよ。協力しなさい」

「…………」

ミオウ。いつだって、問いにはハッキリと答えるのに。

ミオウ……。何か言ってよ、ミオウ……。

「おい、何か言えよ」

(今日は事務所にいる)ソウマが、キツめに声をかける。

人の心の中を読み取る能力を持つソウマ。

わたしの心情を知って……?

それとも、ソウマ自身の思い……?

ミオウの心中を知るソウマだからこその発言だろう。

そして、その後ミオウがどう答えるかも、分かっていたに違いない。

なんとなく、わたしも気付く。

ミオウは、

「嫌だ、協力しない……今回はトウナだけで相談を受けてよ、いいでしょ」

それは、普段冷静なミオウが、心中をあらわにした瞬間だった。

心の奥底に溜め込んで、必死になって押さえ込んでいた、不平、不満、わがまま、欲望……。

「なんで私が相談になんて乗らなきゃいけないのよ!あの人の…あんな人の…私は、いつも事務所に来てあげているの。今は大事なテスト前なのよ⁉なのに…大した仕事もない事務所に、居てやっているのよ‼そんな時期に、よりによってあの人と関われなんて……」

大きな声で。

「私は、絶対にやらないから!」

黒い気持ちをさらけ出したミオウは、事務所を飛び出した。

253: アーヤ◆TQ:2018/03/30(金) 17:11

分かりやすい解説をありがとー

いつも見ているけど、面白いね🎵

254:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 17:16

>>253
ありがとう!こちらこそ、いつもコメント本当に嬉しいよ‼

M意外と普通?

「………」

「………」

「………」

「ミャーオ」

沈黙を破ったのは、ヒンメル。

沈黙と言っても、本当に何も言えないのはわたしだけらしい。

ララさんとソウマは、あえて何も喋っていないようにも思える。

「どうして、誰も何も話さないんだ……?」

「いや?こういう時は雰囲気も大事かなぁって。ほら、漫画とかでよくあるじゃない」

事務所メンバー二人(と一匹)はいつもの調子だ。というか、ララさんなんていつもよりお茶目。

……珍しい。こういう時、1番厳しいのはララさんなのに。

……ってかララさん、漫画読むの?

この雰囲気を楽しむ余裕があるなんて、全く……普通じゃない人達。

しかし、それも一瞬。

「トウナ、あなたはどう思う?」

わたしは……。

255:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 17:29

Nわたしが、頑張る


「本当に、何も言い返せなかった。ミオウの言うとおりだと思う」

そう、最初は。

ミオウは事務所員になりたくないと言っていたのだ。

それは、こういう勉強や進路についても考えていたからじゃないかな。

「最初は、来れる時だけでいいって説明されてたんだし。それなのに…ミオウはいつも来てくれる」

ミオウは、優しいんだ。

わたしが不安な時、悩んでる時、すぐに気付いて寄り添い、支えてくれる。

それなら……

「良いことがある反面、悪いこともあるはず。それなのに……ミオウは文句1つ言わずに……」

仕事は責任を持って、やり遂げてくれる。

これは、事務所メンバー全員に伝わった。

確実に。しかし、

「わたしの事情で、前は大地の相談に乗れなかった。その時も…凄く迷惑かけたし……」

ここで、クスッとララさんが笑った。

何で!?

「ごめんなさい、トウナ。でも…どうかしらね」

「そーだな」

「は????」

何?この雰囲気の変わりよう。

ヒンメルまで、

「ニャーッ」

って笑ってるみたい。

「まあいいわ、トウナ。大丈夫よ」

「え……?」

「この時期にこの仕事をしてもらうのには、訳があるの」

え?理由?

「この前話した通り。あなたにしか出来ない仕事を、ちゃんとしてくれれば……」

ミオウを、支える。

寄り添う。

励ます。

わたしにしてくれたみたいに……!!

「おう。ぜってー大丈夫だ」

「うん…」

ここは前向きに答えよう。

私が、頑張る‼

「そうよ、トウナ。あなたならやってくれる。みんな、信じてるのよ」

わたしが、頑張るんだ!!

256:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 17:35

Oそれから


早くも数週間が経った。

あれから、ミオウは事務所に来ないまま。

でも……みんな何も言わずに、今まで通り接してくれる。

それは……わたしを信じてもらえてるから‼

だから、まずは待とうと思ったんだ。

1度距離を置いてみて、ミオウに考える時間をあげる。

それから、連絡しようと思う。

ララさんも、ソウマも…(ヒンメルも)ミオウを一切責めなかった。

責める理由なんてない。

人間だから…時にこういう事もある。

だから……いいんだ。

大事なのはこの先。

この先、ちゃんとミオウと向き合おう!

大地やモナミや、ララさんが教えてくれた。

向き合おう、って。

それには勇気がいる。

だから、その手助けを、わたしがするんだ……!

ミオウとわたし、ちゃんと向き合って。

257:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 17:43

P驚きの真実!!


しかしどうしても、悩んだり考えたりしてしまう。

だからか、あまりくるるお姉ちゃんやお姉さんと、話せなかった。

そして、今日は修学旅行へ出発する日。

一泊二日の旅行を楽しんでくる。

ここは、思い切り楽しもう!!

でも……帰って来たら、くるるお姉ちゃんとお姉さんはもういない。

新居へ行くそうだ。

「じゃ、行ってきます」

靴をはいて、爪先をトントン。

そして、家を出ようとした……その時。

「頑張ってね」

急にお姉さんが話しかけてきた。

「いろいろ大変なんでしょう。李も分かっているから。無理しないでね」

「………へっ?!」

どういう、意味……?

お姉さんはクスッと笑って、

「なんてったって、わたし達姉妹、元事務所員だからねぇ」

え?

「ええええええ!!」

待って待って待って。頭が付いていかない。

258:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 18:19

「お姉さんとお母さんは、元事務所員………」

「そ。あんまり卒業生がでしゃばるのもよくないかと思って、黙ってたけど、そうなのよ。最近は、ずっとこの辺に住む子がやってるみたいだから……」

近くにもいるかもよ、元事務所員。お姉さんはそう言って、ふふっと笑った。

この笑い方、普段のお姉さんにしては珍しい。少しララさんに似てる。

……なんて、お姉さんのことをあまり知らない私が言うのもおかしいけど。

「わたしが事務所員だって、気付いてたんですね」

「ん、まあね。あなたも卒業したら分かるわよ」

そういうものなのか……来年の楽しみが、1つできた。

嬉しい。純粋に思って、もう一度

「行ってきます」

をした。

「行ってらっしゃい、トウナ」

お姉さんが、トウナって呼んでくれた。

いいこと、1つ、みぃつけた。


《解フル☆6話に続く》

259:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 18:31

《あとがき》

はい!これにて5話完結です!
そしてごめんなさい、急遽この話を5話と6話に分けたので、予告と内容が変わってしまいました。
解フル☆は『短く、読みやすく』やって行きたいので……理解していただけると嬉しいです!
6話では、修旅から帰って来たトウナの話になると思われます。

そして、もう1つ謝らないと行けないことが。
私が葉っぱに来れなくなってしまい、更新が出来ませんでした。
私の予想だと、かなり近いうちに、また来れなくなるのではないかと思っております。
ずっと更新されなかったら、「あぁ、また来れなくなったんだな」と思っていてください。すいません‼
(作者薫と親しくしてくれているそこのキミ‼もしそうなったら、伝言板見てね☆)

そして、お礼。私の葉っぱ復帰を祝ってくれた乙葉(と七瀬ちゃんと夏音ちゃんと紗彩ちゃん)本当にありがとう!
そして、更新の度にコメントをくれたアーヤさん。
本当に励みになります、ありがとう‼
そして、卒業した梨子。ずっと友達だよ、今まで本当にありがとう!
感想、アドバイスはいつでも受け付けていますので、お気軽にコメント下さい。(お気軽にお電話ください…を連想してしまったのは私だけでしょうか)

そして!次回、解フルが節目を迎えます!今までが前編だとしたら、中編に入る、といったところですね。
引き続き、薫共々、よろしくお願いします!

感謝を込めて、薫

※長文すみませんm(__)m

260:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 18:54

《登場人物紹介》パワフル☆ピース


浄坂桃奈(じょうざか とうな)

主人公。通称トウナ。
明るく前向き、ちょっと鈍感な小学6年生。
運動神経抜群で、特技はチアダンス。
今年の事務所員で、パワフル☆ピースのリーダー。


真路美桜(しんじ みおう)

私立の小学校に通う小学6年生。
トップ校のトップで、頭が良い。
ツンデレで不器用だが、根は優しい。
人と関わることが好きではないけれど……?

261:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 19:02

事務所メンバー


ららこ みく

事務所であるプラタナスの木の精。通称ララさん、ミクさん。
基本的に優しくて頼りになるお姉さんだが、仕事に対しては厳しい。
時折、お茶目な一面を見せることも。
事務所員のことを1番理解し、裏方に徹する。


相馬ソウマ(そうま そうま)

自称『聖徳太子の生まれ変わり』で人の心の中を読み取る能力を持つ男子。
おちゃらけているが芯はしっかりしている。
ララさん同様裏方に徹する。
時々、留守にするけれど……?


ヒンメル

事務所では1番賢い(?)黒猫。
事務所員達の癒しの源。
性別、年齢共に不詳。

262:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 19:14

友達


真田唯科(さなだ ゆいか)

トウナと仲が良い、モナミの幼馴染。
事務所での相談をきっかけに、長年ぎくしゃくしていたモナミと和解。
常に優しいが、少し内向的。


神野最那実(かんの もなみ)

ユイカとの和解がきっかけでトウナと仲良くなる。
少々きついところもあるが、基本友達思いでしっかり者。
他クラスの大地に片思いしていたけれど……?


天宮大地(あまみや だいち)

5年生の頃トウナと親しかった男子。
運動会の日にトウナに告白し、今は良き友達。
爽やかな美少年で、周りからの信望も厚い。


長田隼人(おさだ はやと)

トウナのクラスに来た、季節外れの転校生。
何かとトウナに構う。
チャラいけど、いい人……?


伊北成瑠瀬(いぼく なるせ)

トウナのチア友達。
ミオウと同じ学校に通う。
トウナの暴走を止める姿は、誰かに似ている……?

263:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 19:24

先輩の事務所員


春十良乃(しゅんとう らうの)

前代の事務所員。
何かあったら相談に乗ってくれるが、それ以外は姿を見せない謎な人物。
要注意人物、LEOに会ったことがあるらしい。


麻知咲里雲(まちさき りうん)

前代の事務所員。
事務所員の役目を終え、引っ越した。
要注意人物、LEOに会ったことがあるらしい。


浄坂李(じょうざか すもも)

トウナの母。
厳しくも優しい普通のお母さんだが、小学生の頃、姉である杏と一緒に事務所員をやっていた。


浄坂杏(じょうざか あんず)

トウナの従姉妹、枢(くるる)の母。
好みや性格が変わっているが、小学生の頃、妹である李と一緒に事務所員をやっていた。

264:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 21:53

『解決事務所って?』

皆さんこんにちは、ラウノです!
ここでは、『解決事務所って、そもそもなんだっけ〜』という人も多いと思われるため、事務所についておさらいしていきます!
細かいことは1話をみてもらうとして……軽く説明するよ。

解決事務所は、文字通り何かを解決する事務所。
今年、トウナちゃん達はみんなの悩みを解決しようとしてるみたい。
そんな事務所で仕事をするのは、小学生2人と不思議な事務所メンバー。
小学生の事務所員は、学期の始めに先代の事務所員がスカウトするわ。
任期は1年。事務所員は『キービー玉』を使って、秘密の道を通り、プラタナスの木の中にある事務所へ入れるの。
しかし卒業すると、事務所を必要とするまで入れないわね。
秘密の道は、全国各地どこにでもあるわ。
スカウトされたら、その秘密の道へ『つながりのお札』を置いて、事務所にいつでも出入りできるようになるのよ。

ざっとこんなところかしら。
では、『解決事務所パワフル☆ピース』引き続きお楽しみください!

265:薫+*Mio+*◆xs Clarity=明確、明快:2018/03/30(金) 22:42

『今までのお話!』

こんにちは!トウナです!ここではわたしが、今までの物語を要約して説明していくよ!

新学期デビューに燃えるポジティブとチアダンスが取り柄のわたし、(浄坂桃奈)はある日、ラウノさんって人に会ったの。
わたしが呼び出されたお洒落なカフェで、ミオウにも会った。
そこで、事務所員にスカウトされたんだ!
ミオウは断ったんだけど……いろいろあって、一緒に事務所員として活動することに!
『パワフル☆ピース』として、みんなの悩みの相談に乗って、前を向く手助けをするんだよ‼(わたしがリーダー!)
そんな中、沖縄から事務所へ続く秘密の道が遮断された。
事務所を良く思わない、不思議な人物の仕業に違いない!と思って、先輩のラウノさん、リウンさんに話を聞いたの。
そして浮上したのが、吸血鬼LEO!
今はこの問題の解決方法も探しつつ、事務所の仕事をしているよ。

そんな中、新たな仕事の依頼が来た。
ミオウはいろいろな感情があるみたいで、事務所を出て行っちゃった。
ミオウに寄り添い、支え合うのは、わたしにしか出来ない仕事!
ララさん達の力も借りて、頑張ります!

》》》これから始まるよ!

266:薫+*Mio+*◆xs No matter where you are=あなたがどこにいようと:2018/04/01(日) 11:49

1.ただいま!


「浄坂桃奈、無事、修学旅行から戻りました!」

一泊二日の修学旅行を終えた翌日。

わたしは、事務所のドアを開けるなり大声を放った。

「おかえりなさい」

「おかえり」

「ニャ〜」

事務所メンバーがこちらに顔を向け、笑ってくれる。

わたし、浄坂桃奈!小学6年生で、不思議な解決事務所で事務所員やってます!

取り柄といえば、ポジティブで運動神経がいいこと、チアダンスが得意なことくらいなんだけど……。

みんなと協力して、日々生活しています!

そんな大切な仲間を、順番に紹介するね。

まず、ララさん。

この事務所があるプラタナスの木の精で、厳しくも優しいお姉さん。

次に、ソウマ。

自称、聖徳太子の生まれ変わりで、人の心の中を読み取る能力を持ってるの。

最後に、ヒンメル。

みんなの癒しの源である黒猫で、凄く賢い。

そして、わたしの相棒――真路美桜。

が、ここにいるはずだった。

でも、とある事がきっかけで、今は事務所に来なくなっちゃってる。

そんなミオウを支えるのが、わたしってわけ。

「修学旅行も目一杯楽しんで来たし、事務所の仕事、頑張ります!」

ニカッと笑って宣言すると、みんなは目で頷いてくれる。

よし、頑張ろう!まずは、ミオウと話すところから。

「トウナ、元気そうで何より。ソウマが寂しがってたわよ」

「ばっ………ちょっとミクさん!オレは暇してただけで……」

ふふっ。ちょっと和やか。

ララさんは、ソウマのことになると少しお茶目になるって、最近気が付いた。

長年の絆かな?

憧れる!

そんなこんなで、今日も普段と変わらないように思える1日が過ぎていく。

ここに、ミオウがいれば―――

267:薫+*Mio+*◆xs No matter where you are=あなたがどこにいようと:2018/04/01(日) 18:32

2.持久走練習


修学旅行も終わり、次の行事は持久走大会。

わたし、持久走って好きだ。

頑張って練習したら、その分速くなれるから。

逆に言えば、練習をしないとキツいってこと。

だから、いつも授業で練習が始まる前から自主練習を始める。

ここで、運動大好き!なわたしの過去の順位をお教えしよう!
ババン!

1年・・・3位
2年・・・1位
3年・・・5位
4年・・・2位
5年・・・2位

そう!見てわかる通り、最近はあと少しの所で、1位になれていない!

だから今年は、絶対に1位になりたい!!

そのために……1.5kmを走るペースの配分をよく考えていこうと思う。

しかし!ここは頭が弱いわたし。

「とにかく!ずっと速く走れるようになろう!」

……これが1番。ま、ずっとペースを保つの、大事だよね…!

ということで今日は、ダンススクールミサンガや崎紅学園のある、崎澤の方まで走ろう!

お気に入りのジャージに着替えて、最初はゆっくりめに走り始めた。

268:薫+*Mio+*◆xs No matter where you are=あなたがどこにいようと:2018/04/01(日) 18:39

3.変わらないミオウ


最初は身体を慣らすために、ゆっくり。

次からだんだんペースを上げていこう。

そう考えながら、角を曲がる。

わたしの住む律鎌町から、崎澤町へ。

信号がちょうど青だったので、リズムを崩さずに走れた。

車には、注意しないと…。

そして、向こう側から渡って来る人とすれ違ったとき……

「ミオウッ!?」

「トウナ……」

269:薫+*Mio+*◆xs No matter where you are=あなたがどこにいようと:2018/04/01(日) 20:22

そう、すれ違ったのは、ずっと……何週間も会っていなかった、ミオウ。

横断歩道の真ん中だということも忘れて、思わず立ち止まってしまった。

「ミオウ……」

勉強はどう?とか、元気だった?とか。

言いたいことは沢山あるのに、何を言えばいいのか分からない。

「えっと……」

「トウナ。私は大丈夫だから…勉強も、はかどってるから、大丈夫。菅名さんの相談、乗ってあげてよ」

プップー。

車のクラクションに驚いて、慌てて走り出したわたしと、歩き出したミオウ。

「またね、トウナ」

そんな……。背中から聴こえる、女子にしては低めの声。

どうして、ミオウ。

ミオウは、どうして平気な顔するの…

わたしは、そんなに頼りない?

わたしには、本音を見せてくれないの……?

270:薫+*Mio+*◆xs No matter where you are=あなたがどこにいようと:2018/04/01(日) 20:28

4.無かったことにはさせない


それからも考えていたルートを走ったけれど、わたしはどこか上の空だった。

まだ明るい時間帯だったので、その足で事務所へ向かう。

ミオウは……「平気そうな顔」をした。

あのことが、無かったかのように。

271:薫+*Mio+*◆xs No matter where you are=あなたがどこにいようと:2018/04/01(日) 20:42

そんな顔をさせてしまうほど、わたしは、信頼も信用もされていなかった……?

その事実が悲しくて、悔しくて。

認めたくなくて、受け入れたくなくて……。

苦しかった。

ギュッと潰れそうな胸をギュッと押さえて、プラタナスの木の幹にキービー玉をセット。

「こんにちは…」

つい、声が小さくなってしまう。

「こんにちは、トウナ。元気ないわね」

ララさんの目が、鋭くなった。

やっぱり、気付かれてしまう。

わたしが、信頼も信用もされていなかったということに……。

「ララさ…」

「何があったの」

「え…」

急に強い口調で、わたしの言葉を遮って。

ララさんは言った。

「ミオウは、どんな態度だったの?」

「えっと…」

いつになく厳しいララさんに戸惑いつつ、わたしは覚えている限り正確に、語彙力の乏しい頭をフル回転させて……ミオウの様子を伝えた。

「だからわたし、信頼も信用もされていなかったんだなって……」

そこまで一気に話し、下唇を噛んだ。

そこで口を開いたのは、ソウマ。

「お前は、信用も信頼もされてるぞ」

え………。なら、何で……。

「ええ。これは、ミオウ自身の問題ね。トウナがどう思われているかは、関係ない」

それって……。

「無かったことにはさせないわよ」

272:薫+*Mio+*◆xs alternative drive=代替駆動:2018/04/02(月) 10:50

5.ミオウと話そう!


家に帰って、ひたすら考えて。

ミオウに連絡しようって決めた。

今までは、そっとしておこうと思って連絡は一切していなかったけど……。

勉強の邪魔かもしれない。

でも、そこは許してもらう!

そして、スマホに電話してみるものの…ミオウは徹底していた。

スマホの電源が切ってある。

勉強に集中するためか、それとも……逃げているのか。

電話しても、繋がらないのだ。

家の固定電話に電話しても良いかもだけど…それはやめておいた。

ミオウの迷惑になるのではないかと思うと、どうしても………。

ララさん達に相談しようかな。

そんな考えが頭に浮かんで…首をブンブンと横に振った。

これは自分で決断しよう!

ということで…電源を入れたら見てもらえるように、今日はメールだけを入れておいた。

273:薫+*Mio+*◆xs alternative drive=代替駆動:2018/04/02(月) 11:00

6.季節外れの転校生


1時間目から体育。しかも持久走。

そのためテンションMAX!

のわたしは、体操服姿で立ったり座ったりを繰り返していた。

もうひとつ、楽しみなことがある。

それは……転校生が来ること!

「おはようございま〜す!」

松茸先生だ!

ウキウキしながら、

「先生っ!転校生は…」

と手を挙げて立ち上がりつつ言うと、

「あ、今から迎えに行くの〜。ちょっと待ってね」

ズコッ。先生が来たから、廊下で待ってたりするのかなぁ、って思って。

物語でよくある、廊下で待ってて、入ってきて、黒板にチョークで名前を書いて……っていうのは見たことない。

せっかく転校生が来たんだもん。

やってほしいなぁ、なんて思ってる。

すると……

「みんな改めておはよう〜!転校生の長田くんです」

と、松茸先生が再び入ってきた。

……転校生が廊下で待っていることはないらしい。

後ろから男子が入ってきた。

「自己紹介、よろしく」

そしてこちらを向いた男子は……

274:薫+*Mio+*◆xs alternative drive=代替駆動:2018/04/02(月) 11:08

うーん……。

軽そう。チャラい雰囲気がする。そんで、冷たそう。

これが、パッと見の第一印象。

でも、それなりに整った顔立ちで、背は中くらい。

大地が爽やかイケメンだとしたら、少し冷たい感じのする、クールなイケメンだ。

……そしてチャラそう。

「長田隼人。(おさだ はやと)関東から越して来た。よろしく」

………やっぱり冷たそうでチャラそうだ。

「はい、ありがとう。では転校生も来たので、席替えしようと思います。今回はくじにするけど、ちゃんと出来なかったら先生が決めるからね〜」

おっ、席替え!

誰の隣になるのかな〜!!

275: アーヤ◆TQ:2018/04/02(月) 19:52

隼人の隣だったりして、もしかしてのもしかするとだけど…

276:薫+*Mio+*◆xs alternative drive=代替駆動:2018/04/02(月) 20:24

>>275
そこは、お約束的にね……。
言わないでいてくれると助かる

277:薫+*Mio+*◆xs Dark Side Of The Moon=月の裏側:2018/04/03(火) 17:54

7.席替え!

みんながくじを引いて、机を移動させて……。

全員が黒板の見える席になるように、微調整。

わたしは……1番前のど真ん中になってしまいましたっ‼

チビだから、後ろの方だと黒板が見えないから、まあいいんだけど。

1番前だと集中できるしね!

モナミやユイカとも離れちゃったよ〜

………とは、あんまり思わない。

離れたのは事実だけど…そこまでベッタリじゃないんだよね。

そして、わたしの隣は……!

まさかの転校生、長田隼人くん!

なんだろう、この緊張感。

一応、

「よ、よろしく…」

と挨拶をしてみたものの!

切れ長の冷たい目で、ジロジロ見てくるばかり。

話しづらい……

「ええっと!わたし、トウナ。うるさくてバカで、えっと…あ、チア得意!習ってるの。そんでね、えと…」

何か話題はないものかと、自己紹介してみた。

なにか!なにか話題プリーズ!

わたしがあわあわしていると、隼人くんは、ニヤッと笑って衝撃の一言。

「トウナ。お前、気に入った」

278: アーヤ◆TQ:2018/04/03(火) 18:56

こんな人よくいるよね、面白いから気に入ったって言う人。
ギャップとかあるの隼人って?

279:薫+*Mio+*◆xs Dark Side Of The Moon=月の裏側:2018/04/03(火) 19:03

>>278
隼人ねえ…どうかな?
面白いから気に入ったのか……?
アハハ、そのうち分かるよ!

ところで(関係なくてゴメンだけど)アーヤって何年生?(許可なく呼び捨てしてゴメン)

280:薫+*Mio+*◆xs:2018/04/05(木) 09:36

えっ、と……。

気に入った、というのは……?

ものすごくリアクションに困る。

「え、あ、あっと、えっと、ありがとう。よ、よろしく…」

なんだかとっつきにくい人だ。

でも、仲良くなれたら良いな!

281: アーヤ◆TQ:2018/04/05(木) 19:16

隼人ってSとか入ってるの?

隼人の性格が気になってます

282:薫+*Mio+*◆xs:2018/04/05(木) 19:31

>>281
う〜ん…どうかな?
私も良く分からない←

283:薫@ゆず◆xs ハンネ変えました!:2018/04/15(日) 12:33

8.突っ掛かるのは何のため?


そしてそして、給食の時間。

班ごとに机を合わせて食べるので、当然隼人くんも一緒。

「いただきま〜す」

みんなで挨拶をして、食べ始める。

ちなみに、今のわたしたち3班のメンバーは…

284:薫@ゆず◆xs:2018/04/15(日) 12:40

わたし、隼人くん、未乃莉ちゃん、李奈ちゃん、大星。

まあ、名前だけ言っても分からないよね。

とにかく、この5人が今の班員だ。

みのりちゃんはカレーライスを頬張りながら、りなちゃん――りぃちゃんは牛乳を飲みながら。

隼人くんのことを見ている。

285:アーヤ◆PY 母のスマホでやってます&:2018/04/15(日) 17:33

この班は、何かありそうな恋模様がプンプン匂う❗

286:薫@ゆず◆xs RustyHonesty:2018/04/15(日) 17:37

>>285
恋かぁ……。
私、本題をぼかさずにそういう要素入れるの苦手だからなぁ…。
しばらくは出てこないと思う。(ごめんね)

287:薫@ゆず◆xs:2018/04/23(月) 08:46

転校生だもん。興味あるよね。

「ねえ、隼人くんはどこから来たの?」

わたしが訊いてみると、こちらを少し睨んで、一言。

「隼人」

……?

わたしが意味を図りかねていると、もう一度

「隼人だっつーの。名前。俺、隼人くんって名前じゃねーし」

えっと…

「ああ〜。隼人って呼べってことでしょ。全く〜。素直じゃないなぁ〜」

語尾を伸ばしながら、なんだか間抜けな口調で、大星。

というか…会って間もない人をイジれるなんて、逆にすごい。

「じゃあ…隼人は前どこの学校だったの?」

改めて問うと、隼人は

「お前はどこに住んでんの?」

訊き返してきた!

なんか、やりにくいな…。

でも、仲良くなれたら嬉しいよね♪

288:アーヤ◆Z2:2018/04/23(月) 18:04

隼人ってツンデレなんだね、素直じゃあないのと微妙にやりづらいやり取りをしてるの面白い

289:薫@ゆず◆xs:2018/04/23(月) 18:19

ツンデレなのかな?
素直じゃない…かもね。
私自身もよく分かってなくて←駄作者

290:薫@ゆず◆xs:2018/04/28(土) 20:11

9.謎の笑み


そんな1日は穏やかに終わり、放課後がやって来た。

今日も早めに事務所に行く予定。

…ミオウ、来てるかな?

そんな、淡い期待を胸に。

急いで教室を出ようとすると、

「おい」

と呼び止められた。

誰だろう?と思って振り替えると…

それは隼人だった。

「なっ、何?」

給食中の微妙な雰囲気があったから、どう反応すれば良いのか、いちいち考えてしまう。

「急いで、どこへ行くんだよ?」

「え、えと…」

不意にそんなことを訊かれて、モゴモゴとお茶を濁すわたし。

どうしよう…!

また機嫌を悪くさせちゃったかな…なんて思ってたら、そうでもないみたい。

なぜかニヤッと笑って、

「じゃあな」

と教室を出ていった。

なんで笑われたの…??

?マークを沢山頭に浮かばせながら、わたしも慌てて教室を出た。

291:薫@ゆず◆xs:2018/04/28(土) 21:17

10.ララさんご乱心


持久走の練習ついでに、走って家に帰り。

またまた走って事務所へ。

キービー玉をセットして、プラタナスの木の中…事務所内へ入る。

「やっほぉ!今日…も…」

ミオウは、いないね。

少し気分が沈むものも、笑顔を作って…。

ミオウがいないのが当たり前になりつつある、悲しい風景。

ポジティブが取り柄のわたしでも、心がズンと重くなる。

「ね、あのさ!少しずつだけど、ミオウに連絡取ってるの。だから…みんなも、電話とかできるよね?留守電とか、入れない?」

わたしがスマホを見せると、場の雰囲気が少し柔らかくなった。

……いや、頑張って柔らかくしたのだ。無理矢理。

「……そうね。話してみようかしら」

ララさんの、いつもより冷たく淡々とした声音。

ソウマも、

「ああ」

といつもより低めの声で答える。

わたしは、電話は繋がらなかったからメールを入れたことを手短に伝えると、恐る恐る発信ボタンを押した。

292:アーヤ◆Z2:2018/04/28(土) 23:15

謎の笑みが気になるo(^Д^)o
隼人も解決事務所に入るの,分からん謎過ぎて?

293:薫@ゆず◆xs:2018/04/28(土) 23:25

>>292
事務所員には、新年度に先代からスカウトされないとなれないんだよね〜
相談は…どうか分からないけど。

294:薫@ゆず◆xs:2018/04/28(土) 23:31

プルルル、プルルル…

出ない、出ない…

スマホをギュッと握りしめていると…。

ピッ。

急にコール音が消えた。

つまり……繋がった!

みんなに目で合図する。

ミオウが出てくれたよ!

でも…

『……』

ミオウは無言のまま。

もしもし、とも、久しぶり、とも言わない。

「あ、ミオウ。えっとね…」

こちらから、話を切り出そうと口を開くと。

「ミオウ!」
 
ララさんがそれを遮った。

その迫力に、わたしもソウマも少し身を縮こませる。

「ララさん…?」

わたしが口を開くと、ソウマが目で語りかけてくる。

口を開くな、止めるな、と。

295:薫@ゆず◆xs:2018/04/28(土) 23:38

「ミオウ」

厳しい口調。

何を言うのかな…?

と、気になってしまう。

ララさんが声をあらげることなど、滅多にないから。

だからこそ…ミオウがララさんをそうさせていることに、驚いてしまうんだ。

「ミオウ…」

少し落ち着いて。

ララさんはもう一度名前を呼ぶ。

「……変わろうとしなさい」

その一言。一言だけ。

たった一言を、さっきよりも優しく、落ち着いて。

語りかける。

変わろうとしなさい――わたしの心にも、きっとソウマの心にも。

みんなに届く言葉だったと思う。

296:アーヤ◆Z2:2018/04/29(日) 08:25

ミオウに何かあったのかが,もう一度確認して置こうと思っているけどどこからだったかな?

297:薫@ゆず◆xs:2018/04/29(日) 09:30

実は私もこんがらがってたんだ…(駄作者)
>>252の内容かな。
菅名さんの相談に乗りたくない〜ってやつ。

298:薫@ゆず◆xs:2018/04/29(日) 09:47

11.ララさんメッチャご乱心


ミオウが息を吐く音が、電話越しに聴こえる。

お互いに何を話すのか、切っても良いのかを探る時間が流れ…。

「……ミオウ。わたしに話してよ」

ポロッと言葉を漏らしてしまった。

全てとは言わないし、言えない。

でも……少しでも良い。

わたしに本心を見せてほしいんだ。

複雑な胸を押さえ込んで、

「また…」

挨拶をして、電話を切ろうとすると…

「……またね」

ミオウの声。初めて話してくれた。

少し冷たい…何かを押さえ込んでいるような声音で。

――またね、か。

待ってるよ、ミオウ。

299:アーヤ◆Z2:2018/04/29(日) 12:06

言ってくれると良いね……

心を閉ざしたら、すぐには開かないからね。
時間が経つのを、待っているぐらいだもんね!

300:薫@ゆず◆xs:2018/04/29(日) 15:45

そうだね〜
ミオウも良い子なんだけどね。
少し素直じゃないから…

301:薫@ゆず◆xs:2018/04/29(日) 19:04

電話を切ったあとは、クラスに転校生が来た話をした。

「長田隼人って名前の男子で、少し取っ付きにくい感じもするけど、悪い子じゃないと思うよ。隣の席になったんだ」

わたしが給食中の会話について説明をしていると…ララさんが、不意に目を見開いた。

「ララさん…どうしっ…」

たの…。言おうとしたけれど、言えなかった。

カッ…と音がしそうなほどに鋭く大きく見開かれた瞳は……いつもとは違い、真っ赤に染まっていたから。

えっ…??

わたしが混乱しているとララさんは、

「どうかしたの?」

と涼しげな表情…元に戻っていた。

今のは、一体……??

気のせいだったのかもね。

混乱しつつも、わたしはそう結論付けると、また口を開く。

「でね、隼…」

「トウナ」

「はっ、はいっ!?」

反射的に返事をしてしまった。
 
ララさん…いつもと違う。

「その子のこと、詳しく教えて」

302:アーヤ◆Z2:2018/04/29(日) 19:40

ララは隼人のことを知りたいっていうのは、知り合いだから?

303:薫@ゆず◆xs:2018/04/29(日) 20:20

ら、ララさんを呼び捨てにしたのアーヤが初めてかも…。
どうだろうね?そこは何とも言えないなぁ。。。

304:アーヤ◆Z2:2018/04/29(日) 20:32

えっ、呼び捨てしたのって私が初めて!?

305:まつり@ゆず◆Go ハンネ、トリップ変えました!:2018/05/12(土) 18:03

うん、アーヤが初めてだよ〜!

306:まつり@ゆず◆xs ハンネ、トリップ変えました!証拠に前のトリップです。:2018/05/12(土) 18:12

幕間劇.ミオウの話


眠い目を擦って、教科書の文字を視界に入れる。

教科書は一番の参考書。市販の問題集も悪くはないけれど、塾のテキストと教科書が一番分かりやすい。

「あーあ」

脳が文字を拒否しているようだ。

思い切りのびをして、姿勢を正す。

寝る間も惜しんで勉強をしている。

それなのに、上手く行かないのは何故だろう。

……そんなの知っている。

――逃げているからだ。

逃げてばかりの自分が嫌で、それを認めたくなくて、そんなこと思うひねくれた自分が嫌で嫌で嫌で……!

向き合わないと。変わろうとしないと。

そう思いつつ行動ができない私は、すごく卑怯なんだ。 

307:まつり@ゆず◆Go 元薫 クソワロタンバリンシャンシャン依存症:2018/05/13(日) 16:52

12.次の相談者はミオウです


家に帰ってわたしは、布団にくるまりながら考えた。

この先、どうしたら良いのか…。

菅名さんの相談には、やっぱり一人で乗った方が良いのかな。

でも、ミオウのことも考えると……!
 
どうも決断ができないし、良い解決案が思い浮かばない。

今日、少し前進したのかな?

変わらずに現状維持?

前進したと思いたい。

ツインテールをほどいた髪に触れながら、頭をまわす。

「ミオウに、正直になってもらうには…相談してもらうには…」

わたしに、汚い部分も見せてほしい。

改めてそう感じたとき、わたしの頭に光がふってきた!

308:まつり@ゆず◆Go お久しぶりです:2018/06/23(土) 22:06

「ララさ〜〜〜ん!!わたし、良いこと思い付いちゃったっ!!」

翌日。事務所の扉を派手に開け放ち、わたしは叫んでいた。

だってだってっ、浄坂桃奈の今までの人生で、最高に良いことを思い付いちゃったんだから!

「次の相談者はミオウ!決まりっ!!」

わたしのハイテンションボイス&満面の笑みに、ララさんとソウマは二つ返事。

「分かった。相談者として来れるようにしておくわね」

「おー、頑張れよ」

……良かった。ちゃんと協力してくれる。

当たり前なのに…そんな些細なことにもありがたみを感じるようになった。

悪いことではないよね…?

これはきっと、今回の件で新たに学んだことだろうから。

「ありがとう!わたし、頑張りますっ!」

――そう。だからわたしは、それを全力で伝えるよ。

309:まつり@ゆず◆Go @は全角:2018/06/24(日) 18:37

幕間劇U.ミオウの話


学校から帰宅する途中。

ミサンガの近くで、道を見付けた。

いつも通っている…いや、通っていた道。

いいや、違う……もう一度通ることとなる道である。

私、呼ばれているみたい。

初めて通るこの道は、とても不思議な空間だった。

310:まつり@ゆず◆Go @は全角:2018/06/24(日) 19:00

13.緊張の……


……と、実行に移したのは良いものの…。

わたし、ちゃんと話せるかな!?

だってだって、ミオウが相手とか緊張するしっ、これでも喧嘩してる(?)っぽくなってるし!!

ああ…ヤバいよヤバいよ……。

ララさんやソウマは、そんなわたしを黙って見てるのみ。

わたし自身の問題だから、当たり前なんだけど…

「ううっ、緊張で口から心臓が飛び出しそう……」

今までにないくらい緊張している事実。

どうにか頑張ろう、うん。

311:まつり@結珠◆Go:2018/06/30(土) 20:26

でも…普段に増して落ち着きのないわたしは、あっちこっちをうろうろ。

「ヤバい、ヤバい…」

なんて、ブツクサ言いながら。

自分で言うのもだけど、わたしらしくない。

しっかりしないと!!

と渇を入れるため、ほっぺたをペシペシ。思いきり叩く。

「あーあー、あー」

謎の発声練習も。

なんでこんなに緊張してるのかなぁ…?

312:まつり@結珠◆Go:2018/06/30(土) 20:29

「おい、トウナ。トーウーナ」

小声でソウマに呼ばれて振り返る。

「なっ、なにっ!?」

空気を読めないわたしは、当然いつも通りの声量(要するに大声)で聞き返す。

するとソウマは、小さくドアの方を指差し。

「ミオウ来てるぞ。なにやってんだよ」

……小声でわたしに言ってのけた。

313:まつり@結珠◆Go:2018/06/30(土) 21:36

14.やらかした…?


「えっ、あっ、わあっ、ごめん!!」

無表情で立っているミオウに初めて気がついて、テンパる。

……やっちゃった。

「ええっと、すわっ、てっ!ください!!」

そして謎の敬語。おまけにカミカミ。

仕事だから、頑張らないとなのに…!

314:まつり@結珠◆Go 又の名を駄文製造機:2018/06/30(土) 23:26

改めてミオウを見ると。

「……」

無言、だったけど…。   

なんだろう。さっきよりも口角が上がっている気がする。

それに気付いた瞬間、肩の力が抜けた。

すごくリラックスできる。緊張が薄れて。

自然と微笑むことができたんだ。

315:まつり@結珠◆Go 又の名を駄文製造機:2018/06/30(土) 23:30

「ミオウ、久しぶり。えっと…元気だった?」

不自然でない笑顔で話し始めることができて、安堵する。

ただ……ミオウの心境は、どうなのだろうか。

わたしは笑っていて大丈夫かな?

……多分、大丈夫。

笑うことしかできない。笑うことができる。

わたしらしく話を聴くのが、わたしの仕事だろう。

316:まつり@結珠◆Go 又の名を駄文製造機:2018/06/30(土) 23:37

「……元気、だよ。多分…」

意外にもあっさりと答えが返ってきて、少し驚く。

それが顔にも出てしまったのだろうか。

「ずっと、逃げてた……なのに、ここに来ると正直になれる。不思議ね」
 
さらに付け足してくれた。

……微笑んで。

「相談者の気持ち、分かった気がするな」

「ミオウ、今は相談者だからね!」

なんだろう。少し、少しだけ……いつものノリに戻れた気がする。

それに対する違和感があまりにも少なくて。

逆に違和感を覚えてしまうような、そんな雰囲気。

317:まつり@結珠◆Go 眼鏡外すとイケメンだよね:2018/07/15(日) 08:02

15.向き合うこと


「……向き合うことってさ。難しいよね」

不意に。聞こえた言葉が自分の声だと気付いた。

わたしが、無意識に発した言葉。

それは、ミオウも同じで…。

「そう、だよね」
 
噛み締めるようにポツンと言ってから。

「ごめんね。私、あんなこと…本当は、あんなこと思っていないんだ」

その口調があまりにも静かすぎて…。

318:まつり@結珠◆klVAly. 部活@絶賛アオハル中:2018/07/31(火) 19:15

「……知ってた。知ってたよ、わたし……っ」

噛み締めるように、わたしも声を発した。

「ごめんね、トウナ。本当にごめん」

ミオウの声は、あくまで静かだ。

こんなに、あっさりも謝ってくれて。

「私……逃げたかったの。現実から、逃げたかったの…!」

何かを押し殺しているような。

伏せた目も、何かをこらえていて。

319:まつり@結珠◆klVAly. 一周年ありがとう!:2018/07/31(火) 19:16

「…………向き合う、から」

わたしも。

このセリフは、どちらのものだったっけ。


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