時を駆けて、初恋*します。

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1:リリカ@恋歌◆JA:2017/09/03(日) 16:18


*プロローグ*

出逢えたら良かった。
でも。

「私たちは出逢ったらいけなかった。すぐに、もとの世に戻れ」

私たちは逢ったらダメだった。
彼は、そう言った。

653:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 21:09

>>652
ありがとう!
咲さん、かなり強いよ(笑)
男っぽくて良いよね(*^^*)   

654:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 21:23

6,認められない!?

「だっ・・・そんなんじゃ・・・」

照れてしまって、大声を出してしまう。
咲さんは、にっこり。

「そんなんって・・・?俺、わかんないよ」

あぁぁ、S!!
咲さん、Sだあぁ!
私は、こっそりと言った。

「沖田さん・・・との両想い・・・って事!!」

咲さんは、わざとらしく大声で、

「総司と恋仲!?」

ひいぃっ!
咲さん・・・!!
何を言っちゃってるんですかぁっっ・・・!!土方さんが眉間に皺を寄せる。
怖い!
ところが。

「咲っっ!!それは、本当か!?」

ほへ、近藤さん!?
なぜに・・・。
咲さんは、飄々とうなずく。

「夏音!総司は止めとけ!」

ええっ!?
認められない!?
何でよ!
近藤さんは、土方さんの背中をぐいぐい押す。

「歳の方が、良いぜ!これでも、何人も女を落としてるからな」

いやいや、そんなキラキラと言わないで・・・。
しかも、なぜに土方さん?

「はやく妻をもって、局長を安心させろ」

あぁ!
親心ね。
咲さんも、にっこりと耳元で囁く。

「恋敵が減るな」

腹黒い!!
そんな簡単に、諦めれないし!

「俺の養子にして、歳の嫁に出してやる!」

ええっ!?
近藤さん、いい加減に諦めてください。
沖田さんはにこにこ。
でも、目が笑ってないような・・・。
咲さんが、助け舟を出す。

「風呂、入ってこよう」

私は、藁にもすがる思いで、うなずいた。                                                                         

655:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 12:29

7,お風呂でガールズトーク

私と咲さんは、着物を脱いでお風呂へ。
体を洗っていると。

「夏音さぁ。総司のどこが、好き?」

ほへー?
どこって・・・。
考えて、

「優しいところです」

無難な答えを口にした。
咲さんは、柔らかく微笑んだ。
美少女の微笑みって、スゴいんだよ。
同性でも、うっとりしちゃう。

「やっぱり?・・・私も、そこかな」

「えっ・・・。一人称、本当は“私”なんですか?」

咲さんは、ころころ笑った。
それは、花が咲き誇ったような感じで。

「ん。局長とかの幹部以外の前では、“俺”。一応、男になってるから」

へええ!
スゴいなぁ・・・。

「私も、“俺”にしたほうが良いですかね?」

咲さんは、にっこり。

「そっちが良いかもね。ここの野郎たちは、女に飢えててよく遊郭に行くから」

飢えてるの!?
それは、なんかドンマイ。
あっ。
咲さんに聞きたい事がある。

「菊乃さんの事、知ってましたか?」

沖田さんの元恋人の。
綺麗な印象を受けたっけ。

「・・・風の噂程度に、聞いてた。見たことは、なかったけど」

風の噂になってたんだ!?
発信元はたぶん、永倉さんあたりでしょ。
咲さんが、聞く。

「私に、勝てる?」

えっ・・・?
私は、風呂に浸かる咲さんを追って、入った。

「・・・自信、ないです。正直」

私は、顔をうつむかせた。                
            
                                                  

656:アーヤ◆PY:2017/11/19(日) 13:17

咲さんはSの腹黒なのに,やっぱり1人称は私を使っているのは良いけど近藤さんは少し親心が有ってビックリだね😅

657:アーヤ◆PY:2017/11/19(日) 13:21

咲さんはSの腹黒なのに,やっぱり1人称は私を使っているのは良いけど近藤さんは少し親心が有ってビックリだね😅

658:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 14:33

>>656
>>657
ありがとう!
咲さん、Sなんだよね。
意外に(笑)
土方さんが心配で心配で・・・(笑)   
  

659:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 14:39

「ふうん」

咲さんが、私の顔をのぞき込む。

「じゃ、私が奪うからね」

ええっ!?
それも何か・・・。
やきもきするよ。
でも、咲さんはにっこり。

「恋敵としても、隊士としてもよろしくね」

咲さん・・・!!
嬉しい。

「風呂は、一緒にこの時間帯に入ろう。他は、隊士たちが使う。女と知られても、困るだろう」

確かに。
私は、咲さんと仲良くなれた気がして、あったかい気持ちになった。
お風呂でのガールズトークは、その後もかなり続いた。

「お前ら、はやく上がれ!入るぞ!」

と言う、土方さんの脅しが聞こえるまで。                                     

660:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 16:00

8,色気のなさ

ふうう。
暖かかったなぁ。
暖まったし、微妙に頬が熱いのがわかる。

「なんか、熱いね」

咲さんの頬も、赤い。
でも、咲さんの赤い顔が、さらに色気を増してるんだけどっ!?

「よぉ、咲」

原田さんが、咲さんに声をかけて、私と一瞥する。
何?!

「夏音と比べたら、咲の方が色気あるな」

むぅ!
どーせ私には、色気がありませんよっ!
永倉さんも来て、

「色気のなさは、天下一品だな」

と、貶す。
ふんっ!
知らないっっ!
原田さんが鼻の下を伸ばして、

「お梅さんの色気、すごいよな。ぱっつぁん」

永倉さんも、うなずく。

「大人な感じだよな。艶っぽくて」

お梅さんの事、そんな目で見てたの!?
芹沢さんに、怒られますよ?                                     

661:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 17:28

9,お酒の力

「うめぇ!」

あれ、斎藤さんかな?
酔ったような声だけど・・・。
永倉さんと原田さんの目が、ピカーン。

「酒!」

はやいな、スゴい素早い。
咲さんとついて行けば、酔っている近藤さんと土方さん、沖田さんに斎藤さん、源さんが。
顔が、赤いね。

「酒臭い・・・」

咲さんの言うとおり、スゴイ酒臭い。
ツーンと鼻について、嫌な臭い。
いつだったっけ・・・・。
あっ。
信長さんや茶々ちゃんと会ったときだ。
あのときも、酒宴で・・・。

「お酌しろ〜・・・」

斎藤さんが、ベロベロに酔ってる。
稀だな。
銚子を持って、斎藤さんのところへ。
うっ・・・。
酒臭い・・・・。

「夏音〜」

はいはい。 
スゴイ酔ってんなぁ〜。

「夏音〜」

はいはい・・・って!
土方さんじゃない。
小童呼び、なくなって良かった。

「夏音さん・・・」

はいはい。
次は、沖田さんですかね。
半分疲れながら、向かう。
咲さんがお酌したほうが、 良いんじゃないの?
卑屈に思ってしまう。                                      

662:アーヤ◆PY:2017/11/19(日) 20:29

久々の斎藤さんに、久々の土方さんの夏音呼びきた〜

あとS差では土方さんと咲さんの二人だったらどっちがドがつくSですかね教えて下さい

663:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 21:15

>>662
ありがとう!
確かに、斎藤さん久しぶりだね(*^^*)
うーん。
土方さんがドSかも(笑)
咲は、腹黒いかな(笑) 
    

664:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 21:23

「咲に何か言われました?」

ひょえっ!
沖田さん、鋭いよっっ!
うーぬ。
これは、何か言われたって言った方が、得策かな?
でもなぁ・・・。
不安にさせたくないし、さして嫌なことじゃないし。

「何にもありませんよ」

沖田さんは、ちょっと私の顔を覗き込んでから、安心したように微笑んだ。

「良かった」

きゅん!
胸が高鳴る。

「八木邸で、新見さんとかに何かされてませんか?」

しーちゃんの事か。
えっと・・・。
うん、何にもない。

「大丈夫で〜す」

沖田さんが、私の髪に触れた。
仕草とか、全部にうるさいほど反応する私の心臓。

「悪い虫なんか、付けませんから」

お酒の力なのかな・・・?
スッゴい沖田さんが、ピュアな気が。
率直に心配されて、嬉しい。                                         

665:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/20(月) 19:00

10,恋する乙女のトーク

八木邸に戻ると。
お梅さんが、ぴったりくっついてきた。
何?

「あっちで、旦那様の噂、何か言われた?」

お梅さんは知ってるの・・・?
芹沢さんの悪評を・・・。

「いいえ」

答えると、お梅さんの顔が柔らかくなった。
安心したみたい。

「旦那様の悪評はなくて、良かったわ」

ズキッ。
嘘、言っちゃった・・・。
お梅さんが、私に向かってにこにこ。

「夏音は、誰が好きなの?」

ひえぇぇ!
突然!?
此処で!?

「夏音の部屋でしましょ」

そこは、良かった。
廊下でしーちゃんとすれ違った。
しーちゃんの目が、わずかに見開かれる。
お梅さんが隣にいるからだろう。                              

666:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/20(月) 21:11

「で、好きな人は?」

部屋に入るなり、お梅さんが聞く。
あのぅ・・・。
お梅さんの目が、めっちゃ輝いてるんですけど・・・。

「藤堂さん?可愛い人が好きなの?」

ちがーうっ!
確かに、可愛い人は嫌いじゃないけどさ・・・。

「あっ。咲?色気あるわよね」

咲さんでもない!
私が、男だったら惚れてたかもだけど。

「思い切って、土方さん?」

絶対ない!
あり得ません!
ってか、お梅さんかなりいい線言ってるけどなぁ・・・。

「あっ、沖田さんね」

そうですよっ!
お梅さんが納得したように、

「確かにね。優しいから、惚れるのね」

ん!
優しさが一番。
ドSは論外!!
でも、お梅さんは意味深な笑顔を浮かべていて。

「あの人、意外と意地悪かもよ?」

ええっ!?
・・・んーん。
でも、隠れSなら。
むしろ、魅力的かもなぁ・・・。

「思い切り、惚れてるのね・・・」

お梅さんが、クスリと微笑む。
綺麗だなぁ・・・。
こりゃああの変態コンビが噂するのも、わかる。
恋する乙女のトークは、深夜まで続いた。                    
                            

667:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/21(火) 18:26

11,かんざし

ふわわぁ〜。
眠い〜。
だって昨日、深夜まで恋する乙女のトークは続いたんだよ。
あくびをかみ殺しながら、居間に行くと。
あれっ?
何で隊士の人たちが・・・?

「夏音!はやく飯を!」

斎藤さん!?
何で私が、ご飯を・・・。
でも、隊士の人たちはマジメな顔で、

「城里。お願いだ!」

と、頼むもんだから。
仕方なく、台所に。
何で、私なんだろ?
私の心を知ってか、藤堂さんが言う。

「咲の料理は、腹痛がよく起こるからな」

ええっ!?
咲さんの手料理、そんなにヤバいの!?

「はーい。できましたよ、朝ご飯」

隊士の人たちが、早速食べ始める。
そんなに我慢してたの・・・?
しーちゃんが、目を丸くする。

「・・・夏音、すごいな」

へへっ。
そうですかぁ?

ガタッ

「城里。此処に、隊士たちが・・・居たな!」

咲さん!?
咲さんが、にっこり微笑む。
でも、心なしか黒い笑顔。

「俺が用意した物を、食べろよな・・・?」

「ひいぃっ!」

隊士たちが、悲鳴を上げる。
逃げ回っても、無駄。
咲さんが刀を抜く。

キラッ

白刃が閃く。
隊士たちが避けるけど、咲さんは追いかける。

「総司は食べたのに、お前らは食べねえのかよ!?」

ええっ!?
沖田さん、食べたの!?
姿を見せないって事は・・・。
咲さんがキョトンと、首を傾げながら、

「なぜか、厠に飛び込んだけど」

・・・ご愁傷様です・・・。
土方さん、近藤さん、変態コンビもかな・・・。                         
                                                            

668:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/21(火) 19:47

修羅場(?)な、朝ご飯も終わり。
なんかヒマ。
前川邸にいる、誰かに遊んでもらおっかな。

「・・・で?何で俺だっっ!」

土方さんが、吠える。
まあまあ。
そんなに、怒らなくても。

「ヒマですもん〜」

だだをこねてみる。
本当にヒマだし〜。

「団子でも買ってこい!」

えーっ。
お団子ぉ!?

「何なら、咲と行ってこい」

咲さんなら、沖田さんと出かけた。
かんざしを買って貰うとか。
うぬぬ。
妬ける!!
何時、そんな関係になったの!?

「わかりましたよ!しーちゃんと、行ってきます!」

叩きつけるように、言ったら。
土方さんが驚いたように、私を仰ぐ。
まっ。
良いや。

「しーちゃん。お団子買いにいこっ!」

「おっ、おいっ!」

戸惑うしーちゃんの腕を組んで、私は外に飛び出した。                                        

669:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/22(水) 17:53

12,デート阻止作戦

ふんっ!
私は、内心憤る。
咲さんめっ!
油断も隙もない。
不安なのは、咲さんが美形で、沖田さんとお似合いだからで。

「で?どこの団子屋に・・・?」

しーちゃんに突っ込まれて、私は、ハタと気づく。
そう言えば。
んんっ、団子と関係ないけど、京都だし私は、行きたいところがある。

「清水寺に行きたいな・・・」

「じゃ、行くか」

しーちゃん!?
あっさりと承諾され、驚く。
まっ。
良いか、気晴らしにでも・・・。

「清水寺に行きたい」

おっ。
私と同じ考えの人、いるんだ。
少し嬉しい。

「そうしましょう」

ぬっ!?
聞いたことがあるような声が・・・。
気のせいかな。                                  

670: アーヤ◆TQ:2017/11/22(水) 19:07

咲さんの手料理ってどれ程……なんだ?
デート気になるね

671:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/22(水) 19:35

>>670
ありがとう!
咲さんの手料理・・・ある意味必殺技(?)になりそうかも(笑)
剣じゃなくて料理で敵を倒す・・・みたいな?
デートで夏音はどう暴走するかな〜(他人事かよ)      
        

672:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/22(水) 19:50

「わあぁ!綺麗〜」

思わず、叫んだ。
周りの人たちが、何事かとこっちを見る。
やっちゃった。
てへっ。
しっかし・・・。
あそこの恋人(かな?)がスゴイ気になる。

「非番は少ないからな。来れて良かった」

「明日から、また隊務がありますし」

隊務・・・?
聞いたことが、あるな・・・。
女の人の方も、聞いたことがある・・・。
うっすらお化粧していて、頬を赤らめている綺麗な・・・。

「あーーっ!・・・モガガ!」

叫びかけた私の口を、しーちゃんが手で塞ぐ。
また周りの人が、怪訝そうに見る。

「しーちゃん。あれ、沖田さんと咲さんだよっ・・・!」

しーちゃんが、私の指した方を見て、うなずく。

「間違いないな」

ひえぇぇ!
こんな所で一番見たくないヤツ!
ちゃっかりと言うか、咲さんの武家の娘風に結った髪に、かんざしが。
絶対あれは・・・。

「あいつら、恋人らしい感じだな」

しーちゃん・・・。
トドメの一言を言わないでえぇ。
ぬうぅ。
咲さんのデート阻止してやる!
グッと力を込めて、欄干をつかむ。
手汗(?)なのか、手が少し滑った。

「ひゃあぁ・・・!!」

怖いよ!
落ちたら、ひとたまりもない。
しーちゃんの着物の袖がはためき、私の手を引き寄せる。
ふうう。
助かったぁ!

「ありがとう、しーちゃん!」

ぶわっと、しーちゃんの顔が赤くなった。
よぅし!
デート阻止作戦、実行だ!                    
                                                                 

673: アーヤ◆TQ:2017/11/22(水) 22:12

デート阻止ってやり過ぎだけど土方さんとデートする夏音も見てみたい

674:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 08:29

>>673
ありがとう!
いいね(笑)
そのときの夏音、どうなるかな?(笑)   

675:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 08:43

13,禁句

屯所に戻ったときは、くたくた。
精神的に・・・ね。
デート阻止するために、わざと咲さんにぶつかったりしたんだけど・・・。

『お前が見苦しくなるから、止めろ』

と、しーちゃんに止められた。
確かにね・・・。
私が、ヤキモチで見苦しくなる気がするし・・・。

「歳から聞いた!団子は!?」

近藤さん・・・。
ああ!
団子買い忘れた!!
まあ、団子屋には行ったんだけど・・・。

『やけ食いしてやる!』

って言って、やけ食いしてきちゃった。
結果、団子五本は食べた。
近藤さん、がっくし。
何か・・・・すみません。

「お前、やけ食いしただろ?」

ひゃあぁ!!
土方さん!?
わいて出てきた!!

「人を虫みたいに言うな!」

ひえぇぇ!
わかったから、鬼みたいな顔をしないでよぅ。

「って。何でやけ食いしたことを・・・?」

聞くと、土方さんはサラリと、

「口に団子のかすが、付いてる。その様子じゃ
五本食べたな」

ドキドキイッ!
当たってる・・・。
そこまでは言って良かったけど、土方さんは要らない一言を。

「太るぞ」

ひどい!
と言うか・・・。

「女に向かって、『太る』は、禁句です!ひどい!」

反論すれば。
土方さんは、唇の端を歪めて笑う。

「お前は、女のうちに入らん」

むっかあ!
失礼な。
そりゃ、自分でも女みたいとは言えないけど。
そんなにはっきり言わないでよ!

「そう言や、総司は?」

沖田さん・・・。
急にしょぼくれた私を見て、土方さんは大方察したらしい。                                                                           

676:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 10:49

14,思い遣り

「端から見れば、衆道だな」

「衆道?」

何それ?

「男同士の恋愛だ」

要は、ホモなのね!
ホモ要素はないけど、咲さんが女だと知らなかったら、そう見えるよね。

「・・・まあ。お似合いですよね・・・」

私なんかより。
卑屈だな。
私。
見苦しくなっちゃうよ・・・。
土方さんが、真顔で、

「じゃ、今度俺と出かけるか?」

わぁ!
嬉しい。
思い遣りだと思うけど、なんかキュンとなる。何やかんや気遣ってくれるし。
さりげない優しさが、沁みる・・・。

「はい!お団子、おごってください!」

「お前な・・・」

呆れたようだけど、なんだか嬉しそうに見える。

「帰ったよ〜」

咲さん。
沖田さんと手を組んでいる。
ふんっ!
知らん顔で私は、土方さんに笑いかけた。

「お団子だけじゃなくて、お饅頭も食べに行きましょうよ〜」

世の中、甘いものは別。
土方さんの財布が軽くなろうが気にならない。
おごられるからね。
私は、唖然とした顔の咲さんと沖田さんを放って、前川邸を出た。                                             

677: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 11:27

夏音と土方さんのデートどうなるのか気になるよ!
でもって、やっぱり土方さんが奢るんだねまあ男だから当たり前……かな?

678:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 14:32

>>677
ありがとう!
確かに、いろんなアクシデント(?)がありそうだし。
おごるのは当然だね(笑)     

679:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 14:45

15,妬かせるのも恋のテクニック?

八木邸に帰ると。

「旦那様ったら〜・・・」

お梅さんと芹沢さんの笑い声。
仲良いなぁ〜・・・。
今の、咲さんと沖田さんみたいで。

「夏音。お帰りなさい」

「お梅さん、ただいま」

にっこり微笑むお梅さん。
オトナの女の人は、私と違うなぁ・・・。
余裕があるって感じで。

「どうしたの?何か、あったの」

お梅さんが、覗き込む。
私、どんよりした顔だったかな?

「ええっと・・・。今日、沖田さんと咲さんが二人だけで出かけてて。妬いたって言うか・・・。ヘンな気持ちになったんです」

答えると、お梅さんがまた微笑む。
オトナだからか、何でも相談できるな・・・。

「・・・それは、ヤキモチね。恋をすれば避けては通れぬ道よ」

へっ?
そうなの・・・?

「それより、夏音。沖田さんを妬かせましょう!」

ほへー?
沖田さんを妬かせる・・・??
お梅さんがにっこり笑う。

「夏音ばっかり妬くより、あっちに妬かせないと。押してだめなら、引いてみるのよ」

ふうん。
それも、恋のテクニックなの?

「何か、今度予定ある?」

予定ねぇ〜・・・。
あるっちゃあるね。

「土方さんと出かける事、ぐらいです」

お梅さんの目が、キラーンと光った。

「思い切りイチャイチャしなさいよ。間違いなく、妬かせる事ができるわ」

へっ?
そんな事で?
まあ・・・お梅さんが言うんだったら、そうなんだろうけど・・・。                             
                                               

680: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 15:04

梅さんが言っている押して駄目なら引くをやるんだったら、夏音と土方さんの二人がイチャイチャするのであれば…逆に土方さんの甘い言葉が欲しいって思うよ🎵

夏音の思惑を通り越して先行きが見えない、逆に夏音が土方さんのエスコートに胸キュンして欲しいって思うよ❤
小説は更新しましたので👼

681:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 16:11

>>680
ありがとう!
ツンデレ・・・最近、ツンツンばっかりだったからね(笑)
ここでデレが出るかな?(笑)
胸キュン絶対出すよ!(*^▽^*)
読んでるよ〜!
スゴイ楽しみ!       

682:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 16:24

16,ドキドキのデート?

翌日

ふわわぁ。
眠いけど〜・・・。
今日は、土方さんとデート(?)だったっけ。
時間遅れたら、後々うるさそうだし。

「私が、髪を結うわ」

お梅さん。
おはようです〜・・・。
お梅さんの腕は、確かだった。
綺麗な武家娘風に、結われていて。

「夏音、似合うわ!後は、土方さんからかんざしをさしてもらうだけよ!」

ええっ!?
かんざしを・・・!?
うーん。
失礼ながら、私にかんざしをあげる、土方さんの姿が思い浮かばない。

「お梅さん。私に、甘い言葉を囁く土方さん、思い浮かびます?」

「ううん・・・」

だよね。
そんなの、ヘンなキノコを食べたら起こりうるかもだけど・・・。

「さっ。この着物を着て」

お梅さんが、綺麗な着物を私に着せる。
わぁ・・・。

「行ってらっしゃい!沖田さんには、私から言っておくわ」

お梅さんの笑顔に見送られ、私は八木邸を出発。
前川邸へ。

「土方さん〜。団子とお饅頭、食べに行きましょう!」

声をかけたら、うるさそうに土方さん登場。
目の下に隈があるような・・・。

「行くか」

まあ良いや。
お団子とお饅頭、食べにlet's go!                                                                 

683: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 16:53

絶対に絶〜対に夏音とのデートが楽しみで眠れなかったパターンだよねきっと!
何かシチェーション無いかなぁ、土方さんの時に絶対お約束の邪魔者が来るから今回は、来ないで終始良い雰囲気にデートを楽しんで欲しいからkY来ないでね

684:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 17:44

>>683
ありがとう!
恐らく、狂喜乱舞してた(笑)
もはやお約束に定着した、永倉さんor原田さん(笑)
KYは、出ないよ(*^^*)       

685:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 18:07

17,新撰組のそばに居させて

はぁ・・・。
私は、恋文をもらってる土方さんを一瞥。
こんな時なのに、モテるんだ・・・。
呆れかえってしまう。

「お団子、食べに行きますよ!」

半強制的に、土方さんの腕を引っ張る。
デート(?)なのに、京美人をはべらせるなんて!
憤慨しながら、団子を食べる。

「おいしい!」

甘くて、それでいて食感も良いし。
この世に、こんなおいしいモノがあるなんて!

「あと、六本はいける!」

宣言したら、土方さんがため息。
はて?

「饅頭は・・・?」

あぁっ!
お饅頭があったんだ!
うーん。
まだまだ食べたいけど。

「”太る”から我慢します」

ちょっと皮肉る。
おっ。
土方さんの頬が、ひきつった。
そっちが言ったんだからね!
・・・とまあ。
お団子も食べたら、満腹。

「散歩してくか?」

「はい!」

なんかさぁ・・・。
今まで、永倉さんとかがいたから、イイ雰囲気になれなかったけど。
本当、今はイイ雰囲気。
再びの清水寺。
欄干に掴まりながら、京都の街を見下ろす。
─────この街で、人が斬られているのか。なんだか悲しくて。

「・・・新撰組は、この街をどうしたいですか・・・?」

質問になってるか、怪しいけど。

─────そのときの土方さんの顔は、ずうっと忘れられない。

真面目な顔だけれど、気負ってる感じでもない瞳で。
此処ではない、何処かを見ていて。

「守り抜く。・・・お前も、だけど」

えっ・・・。
さりげなく、スゴイ事を言われたような。
私が今、願うのは・・・。

「私は、新撰組のそばに居させてほしいです」

現代に今は、帰りたくなくて。
涼しい風が、私の頬を撫でた。
この先の新撰組を思うと、胸が切なくなる。
でも。
私は、そばに居させてもらいたい。
たとえどんな別れがあっても。


しかし。
その別れは、もう近くまで来ていた。                                                                                                                  

686: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 20:38

キャー土方さんが初めての凄い台詞を言い放ったんだけど…、夏音を守るも付け加えたけど本人も「えっ👀⁉」になったけど……
やっぱり夏音の人生観が始めから今では、成長しているけれど夏音にとってはもうかけがえのない人になっていつでも傍に居たい願いってことよく伝わるよ!

もう終盤ってことになるのかな、別れってことは?
切ないけど夏音と新撰組達はどうなるの夏音と土方さんの平和にして守るが戦争に思えるよ………

687:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 21:14

>>686
ありがとう!
ものすごい発言したよね(天然ぽい(笑)
最初は、最悪だったけど今は、大切な人かな。

まだ終わらないよ〜(*^^*)
一応、戊辰戦争まで書こうかと(マニアなヤツ)

この別れは、夏音と仲良くしてる人たちで・・・。
   
最後のストーリーは、どうなるかな(無責任な)      
          

688:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 21:25

18,永遠の友達

ふふん〜。
楽しかったな〜・・・。
ルンルン気分で、土方さんと手を組んで帰ると。

「副長・・・っ!?」

ありゃ。
藤堂さんが、目をむいた。
まあ、端から見ればおかしいよね。

「総司〜、副長がついに、夏音に手をっ・・・あれ。どこ行った?」

藤堂さん・・・。
素直で可愛いけどさ。
沖田さんどこ行ったの?
でも、土方さんの顔がサッと強張った。

「藤堂!行くぞ。夏音、屯所で待ってろ」

ええっ!?
何が、あったの・・・!?

「はーい」

なんて答えたけど、ソッと後をつける。
気付かれないように。
そして・・・。
私は、見てしまった。
しーちゃんが、綺麗な人と、歩いていて。
隊士が、声をかけ。
スッとしーちゃんは、目線をあげた。
私、見つかった・・・?
しーちゃんの顔が、あどけなく崩れ。
そのまま、隊士の人たちと、何処かへと歩いていく。
追いたかった。
でも────────────。
足が、縫いつけられたように動かない。

「しーちゃん・・・」

あの瞳は、何だったの・・・?
覚悟の色が見えたけど。
嫌な予感を感じながら、屯所に戻った。


それが、私の見た、しーちゃんの最後の姿だった・・・。                                                       

689: アーヤ◆TQ:2017/11/24(金) 16:56

しーちゃんどうしたの?

あと一番気になることがあります、>>1プロローグの「私達は出逢ったらいけなかった。すぐに、もとの世に戻れ!」は誰が言うのか今からドキドキワクワクします。
沖田さんか土方さん辺りって思っていますけど発言的には土方さんが言うのかなぁ……なんて?

690:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/24(金) 17:25

>>689
ありがとう!
実は、しーちゃんは・・・。
プロローグの真相は、もう少し後かな(後回しすんな)
さて、どっちの発言でしょ?(笑)
今日、予定があってこのあと更新できないかもです(´-ω-`)              

691: アーヤ◆TQ:2017/11/24(金) 17:25

分かりました明日楽しみにしてます!

692:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 17:14

>>691
ありがとう!
やっと落ち着いて更新できます(*^^*)
  

693:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 17:28

「・・・なぁ。夏音。ちょっと、来てくれない?」

藤堂さんから呼び出された。
何・・・?
告白?
だったら、断るけど。
ちょっとウキウキしながら、藤堂さんの近くに行くと。

「来て」

それだけ言われて、手を握られた。
あれ?
このシチュエーションは・・・!?
若干のドキドキ感を隠せなかった。
屯所の裏。

「・・・実は。よぉく落ち着いて、聞いてくれ」

えっ・・・?
重苦しい雰囲気。
必死に絞り出そうと言葉を選んでる、藤堂さんの顔を見ていたら。
嫌な予感・・・。

「夏音の言うところの・・・しーちゃん・・・新見さんが、切腹した」

しーちゃん、が、切腹、した・・・。
頭の中が、真っ白になった。
クラリと軽いめまいを感じる。
嘘だ・・・・・・!
でも、藤堂さんの表情が、全てを物語っていた。
嘘じゃなくて・・・。

「ば、かぁぁ・・・・。しーちゃんの・・・」

そこから先は、言葉にならなかった。
あのときの。
あどけなく、澄んだ瞳が意味するのは。

『自分の死』。

嗚咽した。
こみ上げてくる涙を止められなかった。
なんで・・・。
切腹したの・・・!?

「おーい。平助、夏音を泣かせたな〜」

気楽な永倉さんの声。
聞きたくなかった。
藤堂さんは、それを無視して、私に紙を渡す。

「それは、新見さんから預かった文だ。夏音に渡せって」

しーちゃん・・・。
私は、ソッと礼をした。
ホッとした顔の藤堂さんを見てから、私は屯所に戻る。
パサッと広げた紙には、読めない字が。
お梅さんに読んでもらおう。
涙を拭って、空を見上げると。
綺麗な青空が広がっていた。                                                
                          
                  

694:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 21:16

お梅さんに読んでもらうと。
内容は、

『もうそばには居られない。少しだけだが、夏音と居られて良かった。俺が行った事は許されない。だが。俺は、夏音とずっと友達でありたかった。
俺は、お前が』

そこで手紙は終わっていた。
そこから後は、何を書きたかったのか。
大方わかっていた。

「旦那様も、大荒れだわ・・・」

お梅さんが、悲しそうにつぶやいた。
芹沢さんが、しーちゃんを失って悲しんでいる。
それは、わかっていた。
酒のなくなりがはやいから。

カラン

えっ・・・?
手紙から、何かが落ちた。
それは・・・。

「まあ。綺麗な真珠のかんざしじゃない」

お梅さんが、驚いたように拾う。
確かにそれは、薄桃色で、綺麗な真珠のついたかんざしだった。

「これって・・・。しーちゃんが・・・」

私に、遺してくれたのだろうか。
また涙が、こみ上げてきた。

「夏音に、似合うわ」

お梅さんの言葉で、私は、そうっとかんざしを受け取った。
光を反射し、真珠は一層美しく見えた。

『さしてあげたかった』

そんな、しーちゃんの言葉まで聞こえた気がして。
頭の中に浮かんだしーちゃんは、強く笑っていた。

「しーちゃん・・・」

何度泣いたのだろうか。
しゃくりあげる私の背を、お梅さんが撫でてくれた。                                                                    
            

695: アーヤ◆TQ:2017/11/25(土) 22:36

悲しい別れだったんだ……

696:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:27

>>695
ありがとう!
うん・・・。
切ないと言うか、悲しいんだよね。゚(゚´ω`゚)゚。  

697:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:35

「うっ・・・うっ・・・ひっく・・・」

お梅さんには、大丈夫と言って、八木邸を出たけど。
青空が悲しく見えた。
もう二度と、しーちゃんとは空を見ることができない・・・。

「・・・しーちゃん・・・うっ・・・」

ギュッと、かんざしと手紙を持った手に、力を込める。
私と、しーちゃんは永遠に友達なんだ、って。もう会えないだけ・・・。
泣くつもりはないのに、涙が溢れる。

「夏音さん・・・」

沖田さん・・・。
ごめんなさい、今は、誰とも話したくない。
沖田さんの目が、かんざしに視線を向けている。
ん・・・?

「誰からもらったんです?」

「そ、れは・・・」

言えない。
しーちゃんがくれた事。
ゾッとするほど、沖田さんの目は、暗く光っていた。                               
                

698:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:49

19,恐怖

「・・・なんで教えないんですか?」

えっと・・・。
これは、ヤキモチなのか・・・?
普段の沖田さんだったら。
私は、喜んでいたけど。
今は・・・。
何だか怖かった。

「・・・良いじゃないですか。・・・関係ないですし」

しーちゃんの想いを、教えたくないから。
私は、フイッと顔をそらす。

「関係ない・・・?」

ヤバい。
そう思ったのは、本能で。
逃げよう。
でも、もう遅かった。

「貸してください」

「ムリ・・・!!」

何となく、今の沖田さんに渡しちゃダメ。
そんな気がした。
ガッと音がして、壁と沖田さんの間に挟まれて。
いわゆる、壁ドン状態。
でも、ぜんぜん嬉しくない。

「やっ・・・!」

ドンッと、私は、沖田さんを突き飛ばした。                                   
 

699:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 11:28

怖かった。
やるせなさそうで、切なく、暗く冷たい瞳が・・・。
私は、必死で逃げた。

ドンッ

誰かにぶつかってしまった。

「夏音・・・?」

斎藤さん・・・!
私は、恐怖と悲しみを交えた涙を流す。

「どうし・・・た!?」

驚く斎藤さんをよそに、私は抱きついた。
今は、誰かの胸にすがりつきたかった。
落ち着きたくて。
この気持ちを、整えたくて。

「大丈夫・・・か?」

戸惑う斎藤さんの顔が、涙でぼやけて見える。
ポンポンと、温かい斎藤さんの手が私の頭を撫でた。
優しい・・・。
嬉しい・・・。

「ありがとうございます・・・」

見上げると、赤くなった斎藤さんの顔が。
ふふふ。
可愛いな・・・。
やっと、私は、笑えた。
しーちゃんが切腹したり、怖い沖田さんを見たりで泣いていたのに。

「で、なんで泣いてたんだ?」

心配そうな顔で、斎藤さんが聞く。
私は、しーちゃんの事から、沖田さんの事まで話す。

「そっか・・・。夏音、泣きたいときは、俺の胸を貸すぞ」

マジですか。
なんだか、笑いがこみ上げてくる。
素直に嬉しかった。
優しさが、沁みる。

「じゃ、今度もよろしくお願いしますね」

私は、涙を拭って笑った。                                                                    

700:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 11:35

20,部屋割り

その夜。
私は、土方さんに呼ばれた。

「失礼しま〜す」

一応、挨拶(?)をして部屋に入ると。
熱心に、文机に向かってる土方さんの後ろ姿が見えた。
はて?

「何、書いてるんですか?」

気になるなぁ。
もしやのラブレター??

「あぁ・・・って!いつ、入りやがった!?」

入りやがったって・・・。
挨拶したんですけどねぇ・・・。

「で、話って何です?」

用件によっちゃあ、すぐ帰りますけど。
土方さんが、真面目な顔で、

「お前は、八木邸じゃなく、こっちに泊まることになった」

ええっ!?
なんで、急に!?

「いや、芹沢さんがいつお前に乱暴するかで、心配だからだ」

ひぇ、乱暴!?
そんなのないハズだけどさぁ・・・。
部屋割りは?

「それを、今から考えるんだ」

なんだ、今か。                                      

701:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 12:39

祝、700!
コメントくださった皆様、ありがとうございます!
これからも頑張ろうと思います!(1000いけたら良いなぁ。1000いっても終わんなかったらどうしよ←)

───────────────────

よって、呼ばれたのは。
斎藤さんに、沖田さん、山南さん、藤堂さん。原田さんと永倉さんがいないのは、私が即却下したから。
誰だって、却下するよ。
あの変態コンビは!

「で、夏音はどこの部屋に・・・」

「俺の部屋に決定!」

土方さんの言葉を遮り、斎藤さんがしゃしゃり出る。
にっこり私を見て、斎藤さんは笑った。

「いつでも、貸せるようにな!」

何を、とまでは言わなかったけど。
さっきのだな。
んー。
でも、私、さっきスゴイ気になる物を見ちゃったしなぁ・・・。

「土方さんの部屋にします!」

ギョッとしたような、顔をしたのが一名。
土方さんだ。

「さっきの、何書いてたのか気になるから!」

それと、安全面でもしっかりしてるだろうし・・・。
今、沖田さんと気まずいのもあるし・・・。

「あっ、私、寝相悪いんで。気をつけてくださいね!」

それを言うと、土方さんの顔が、少しだけ青ざめた。
なんで?
ハテナマークを浮かべながら、その日は終わった。                                                                           

702: アーヤ◆TQ:2017/11/26(日) 19:02

壁ドンは沖田さんだったけど夏音にとっては恐怖の壁ドンだったね、それにしてもある意味で怖いよ沖田さん色んな感情が出ていてだけど斉藤さんに抱き付いた夏音が悲しい感情に恐怖の感情が混じって安心させて頭ポンポンって逆に良いね慰めだから。
それにしても土方さんのアレはなんだったのか気になるから土方さんの部屋に決めたんだね、で変態コンビはね……ちょっとだけれど夏音と土方さん二人っきりってこれって密室じゃあないの!?

二人だけだから何かあるよね部屋中でシチューエションが、あって欲しいキスとか手紙みたいなのを見てみたいって奪い合いをしてハプニングって感じかな?

703:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 19:47

>>702
ありがとう!
今のところ、ちょっと微妙な感じになっちゃったよね。
夏音と沖田さん。
斎藤さんは意外と、慰め役に徹すると言うか・・・(´V`)♪
確かに、密室だね!
いろいろハプニングが起こりそうだよねo(^-^)oワクワク              

704:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 19:56

21,寝言にドキドキ

布団を敷いてっと・・・。
よぅし。
あとは、寝るだけだ〜!
でも、その前に・・・。
そーっと文机に忍び寄る。
どこにあるかな・・・?
ラブレターがでてきたら、どうしよ!
そのときは、そのときで言い訳しよう。
あさり始めたとき。

「何を探してる・・・?」

ギャーッ!
鬼だぁ!
妖怪だぁ!
ぬうっと、土方さんが姿を見せる。
ひゃあぁ・・・。

「何でも!別に、机をあさるつもりは・・・」

「あったんだな」

ひぃぃ!
バレたぁ・・・。
私は、諦めて手紙とかんざしを枕元に置く。
お守り代わりに。

「おやすみなさいっ!」

私は、布団を頭からかぶった。
思えば、密室じゃん!
二人きり・・・。
なんか起こりそうで、スゴイ緊張する・・・。まあ、土方さんの事だし、ヘンな事は考えないだろうけど・・・。
ちょっと、恥ずかしいような、緊張するような。                                               

705: アーヤ◆TQ:2017/11/26(日) 20:40

まあ緊張するからって油断は出来ないからね。
お互いに二人の寝顔が見えたり?
土方が寝言を言っていたり気になるよ

706:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 21:10

>>705
ありがとう!
寝顔チャーンス!だね(笑)
夏音にとって、願ったり叶ったり(?)だよね(*^^*)       

707:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 21:20

うう・・・。
私は、そうっと布団から顔を出す。
スースー眠っているであろう、土方さんがいることを意識してしまう。
よって。
わぁぁん。
寝れない・・・!!

「ヤバ・・・目が冴えてきちゃった・・・」

暗い部屋にも慣れてしまい、なぜだかドキドキする。
そうだっ・・・。
寝顔見るチャンスじゃないか。
よぅし。
寝顔を、拝ませてもらおう。

「マヌケな顔だったりして・・・」

若干のニヤニヤを抑えきれず、土方さんの布団に忍び寄る。
端から見れば、変態だよね・・・。
んー!
でも、見たい。

「どんな顔かな・・・」

ソッとのぞき込むと。
スゴイ穏やかな寝顔。
私に、あれこれ言ってるときと、別人みたいな。

「夏音・・・」

ほひゃ!?
バレたのかな!?
でも、目は開いてない。
寝言か・・・。

「離れる、な・・・」

えっ・・・?!
胸が、異様に高鳴る。
キュンとなって、頬が火照る。
照れてしまって、私は、自分の布団に潜り込んだ。
明日、どんな顔をすれば良いの・・・!?                                                       

708: アーヤ◆TQ:2017/11/26(日) 21:49

予想外に土方さんではなくって夏音から、土方さんの布団に忍び込んで来たのは予想外だったけど土方の寝顔を見てからの寝言も聞いてドキドキするかなぁ夏音

709:リリカ@恋歌◆JA 今日は、休みだ〜!イェイ!  :2017/11/27(月) 09:17

>>708
ありがとう!
夏音的にも、スゴイドキドキしてたと思うよ(笑)
夜這いしてるみたいだよね(笑)         

710:リリカ@恋歌◆JA 今日は、休みだ〜!イェイ!  :2017/11/27(月) 09:34

22,歯がゆさと愛しさ ※沖田side

「・・・しーちゃん・・・うっ・・・」

泣きじゃくる夏音さんに、声をかける。
そのかんざしは、誰からもらったのかと。
答えにつまっている。
苛々が溜まり、歯がゆかった。

「・・・良いじゃないですか。・・・関係ないですし」

その言葉に、胸が痛くなった。
拒絶された気がしたから。

「貸してください」

自分でも、ぞっとするほどの冷たい声だった。かんざしを貸してもらって、壊したい衝動に駆られる。

「ムリ・・・!!」

潤んだ瞳が、見上げる。
愛しさを感じる反面、嫌がられて困っていた。
力ずくで取ろう。
壁に押し付ける。

「やっ・・・!」

突き飛ばされたあとの事は、あんまり覚えていない。       
 
                          
          

711:リリカ@恋歌◆JA 今日は、休みだ〜!イェイ!  :2017/11/27(月) 16:46

23,私が男色!?

翌日

ううう・・・。
眠いなぁ・・・。
よぅし。
二度寝をしよーっと!
暖かい布団にくるまり、私はごろりと寝返りをうった。
だけど、寝返りをうったら・・・。

「ギャーッ!」

悲鳴をあげてしまった。
理由??
そんなの簡単。

「はやく起きろ!」

土方さんの顔が、近いから!
・・・って。
ここ、もしやの・・・。

「俺の布団を取るな!」

土方さんの布団!?
私、どんだけ寝相が悪いんだろ。
土方さんが、ギッと私の向こうを睨む。

「てめぇら・・・!!」

へっ!?
てめぇら・・・?
後ろを見ると、咲さんをはじめ、斎藤さんや変態コンビ、沖田さん、隊士たちが部屋をのぞき込んでいた。

「副長が・・・!」

「城里と男色!?」

へっ!?
もしや、ホモかと疑われてるの!?
私、男色しないし!
・・・ってか、私は、女だし。

「城里、副長と恋仲なのか〜?」

咲さん・・・。
絶対、知ってて言ってるよね・・・?                                
   
                   
         

712: アーヤ◆TQ:2017/11/27(月) 17:51

まさか夏音がそんなに寝相が悪いとは思わなかったよ……
でも顔の近さで「ギャっー」て悲鳴をあげたけど、夏音らしくってやり取りが二人らしいよ🎵
起きても夏音が土方さんの寝言を、どう受け止めるか気になるよ《冗談半分》とか思わないで土方さんに覚えているかって言って欲しいよ🎵

なので,土方さんsideを見てみたい

713:リリカ@恋歌◆JA   :2017/11/27(月) 18:06

>>712
ありがとう!
確かに、二人らしいよね(*^^*)
土方さんside、書くよ〜(*´ω`*)     

714:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 18:21

24,アイツの寝顔 ※土方side

「ギャーッ!」

アイツが、悲鳴をあげた。
何だ?
朝っぱらからうるさい。

「はやく起きろ!」

急に、アイツの顔が真っ赤に。
まだ知らないのか。
と言うか、寒い。

「俺の布団を取るな!」

怒鳴れば、やっと気づいたらしい。
ん・・・?
視線を感じ、戸に目をやると。

「てめぇら・・・!!」

咲たちが、覗いている。
勝手に人の部屋を・・・。
変な噂をたてる、隊士を見て、アイツがまた真っ赤になった。
それを見ながら、アイツの寝顔を思い出す。



目を擦りながら、布団から起き上がる。
目が覚めてしまった。

「おい・・・」

思わず、つぶやいてしまう。
なぜなら。

「んにゃぁ〜・・・。いちご大福だぁ〜」

拳を固く握り締める。
アイツが、俺の布団に入り込んでいるからだ。
寝顔は、よだれが出そうなほど口が開いており、マヌケだった。

──────可愛いなどと思ったのは、秘密だ。                                     
                          
 

 

715: アーヤ◆TQ:2017/11/27(月) 18:30

土方さんが夏音の赤面の意味が分からないって、以外に土方は鋭いのにどこか鈍いんだね😃
それに土方さんらしく秘かにツンデレ出しているし、夏音の寝言も可愛いらしく思うよ🎵
やっぱり夏音色気っていうより食い気だね(*≧∀≦*)

716:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 20:01

>>715
ありがとう!
うん、鋭いような鈍いようなだね(笑)
久しぶり(?)のツンデレだよ(笑)
確かに、色気より食い気だよねぇ(*^▽^*)         

717:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 21:17

25,拉致からのタイムスリップ!?

あー。
朝から疲れたよぅ。
みんなの誤解を解くのが、ね。
特に、近藤さんが難しかった。

「そうか!良かったなぁ、歳。晴れて、嫁がもらえるなぁ」

もぅ!
勘違いは、怖いよぉ。
朝ご飯を食べた途端、私に訪問者が。

「きゃっほー☆久しぶり♪夏音。タイムスリップするわよぅ」

そう・・・。
よりによって、お母さんだったのよ!
タイムスリップ!?
そんなのしたくない。
この時代で、過ごしたいのに・・・。

「晋作、よろしくねっ♪」

えっ・・・!?
今、問題発言が・・・。
桂さんが、好きなんじゃ・・・?

「わかったぜ!すまんな、夏音」

高杉さん・・・。
謝られたけど、わからないな・・・。

ゴツッ

あ・・・。
ヤバい・・・。
意識、が・・・。
恐らく鳩尾を殴られた、と思う・・・。
呆気なく、私の視界は真っ暗になった。                       
              
    

718:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 21:25

ん・・・。
ハッと、気がついて目を開ける。

「夏音さん。目、覚めましたか?」

沖田さん!?
そんな、に、顔が近いと・・・。
胸がキュンキュンして、ヤバいですって!!

「此処は・・・?」

私の問いに答えたのは、お母さん。

「タイムスリップマシーン内よ♪」

私を、拉致って?
タイムスリップしようとか、考えてるの!?
絶対反対!

「今まで、私に迷惑を被ったのは、どこの誰よ!?」

張本人は、キョロキョロ。
わざと・・・?
ああっ、腹立つ!

「だから、タイムスリップなんて・・・」

私の言葉は、そこで止まった。
なぜか。
それは、お母さんがタイムスリップマシーンのボタンを押したから。
激しい風圧で、私は、必死に沖田さんにしがみついた。


(Iへ続く)                                               

719:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 21:33

あとがき

H完結です!
スゴイ嬉しいです!
回を重ねていくごとに、感慨深さが深くなっていくような・・・(笑)

さて。
今回は、切ない友情をテーマ(?)にしてみました。
夏音と、しーちゃん(新見さん)です!

史実通り、しーちゃんは切腹するのですが・・・。
夏音としーちゃんの絆の回、少なかったですけど、書けて良かったです。

文で、しーちゃんの夏音に対する、想いを描けて楽しかったですね。

恋も、進んだ気が。
ツンデレが書けて楽しかったし、良かったです(笑)

Iの舞台は、1000年前(平安時代)の日本です。楽しく書きたいなぁ〜。

いたらない点もありますが、よろしくお願いいたします。

コメントをくださった皆様、ありがとうございます!
語彙力はないに等しいリリカですが、これからもよろしくお願いいたします。

では。            
                          
             

720:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/28(火) 18:01

『時を駆けて、初恋*します。』I

登場人物

城里 夏音
本作の主人公。
明るく、しっかり者。
沖田さんが好きだけど・・・。

沖田 総司
新撰組隊士。
優しく、温和。
夏音と両想いだけど・・・?

土方 歳三
新撰組副長。
夏音に想いをよせる。
最近、接近してるけど・・・?

近藤 勇
新撰組局長。
大食いで明るい。
夏音と土方さんをくっつけようと、画策中。 

永倉 新八
新撰組隊士。
酒大好き。
夏音には、変態と認識されている。

藤堂 平助
新撰組隊士。
優しく、料理上手。
苦労人。

原田 左之助
新撰組隊士。
大食い。
夏音に変態と認識されている。

山南 敬助
新撰組隊士。
知性派。
みんなのストッパー。

斎藤 一
新撰組隊士。
明るい。
夏音大好きで、一途。

井上 源三郎
新撰組隊士。
穏和。
癒し系で、喧嘩もやんわり止める。

彰子
藤原道長の娘。
一条天皇に嫁ぐ。
夏音と出会って・・・?

紫式部
彰子に付き従う。
源氏物語の作者。
引っ込み思案だけど、夏音と出会い・・・?                                                   
        
    
      

721:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/28(火) 18:06

1,1000年前の日本!?

「着いたみたいですよ」

沖田さんの声。
私は、慌てて背中を掴んでいた手を離す。

「やった〜☆1000年前の日本に来ちゃった〜♪」

1000年前の日本!?
嘘でしょ!?
タイムスリップマシーンを出ると。

「わあぁ・・・」

思わず、溜め息。
うっとりしてしまう。
景色は、あんまし変わってないと思うけど、1000年前の日本だと思うと、感慨深いんだよね。

「場所、変えるわね☆」

へっ!?
私は、慌てて戻る。
また、風圧を感じて・・・。                            

722:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/29(水) 18:26

2,彰子さんと紫式部さん

「彰子さま。女官を呼んできます!」

誰・・・?
彰子さん・・・?

「此処に、突然現れるなんて。怪しいですわ!」

『彰子さん』に注意していた人の声。
わっ!?
私の顔をのぞき込んでる!?

「そぉ?紫、私、この子気に入ったわ」

別の声。
別の人が、私を抱きしめる。
艶やかな黒髪に、おっとりしたような感じの、優しい目。
気に入ったの、私なの!?

「彰子さまが、そこまで言うのなら・・・」

彰子さんと違う、人。
紫さん?
黒髪で、綺麗な目。

「私は、紫式部。あなたがたの名は?」

紫式部さん!?
社会の時間に、習った。
国風文化だっけ・・・。
源氏物語を書いた人なんだよね!

「私、城里夏音です!こっちの人たちは・・・」

全員を紹介。
彰子さんが、私の肩を抱く。

「夏音、可愛いわぁ・・・」

嬉しい。
そんなに、可愛がられるなんて。                       
              
                             

723:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/30(木) 18:22

3,女の嫉妬は怖し

ところが・・・。
ちょっと照れてる私を、紫式部さんが睨むんだよぉ・・・。

「彰子さま。やはり、宮中にこんな身なりの者たちを連れ込むのは・・・。道長さまに、怒られますよ」

途端に、彰子さんはむううっ。
ふくれっ面で、

「紫は、いっつも父上父上・・・。父上がよほど好きなのね」

そしたら、紫式部さんが真っ赤になった。
あれ、図星?

「私は、夏音さえいればいいの」

彰子さんがまた、微笑む。
えっ・・・とぅ・・・?
どう対応すればいいの?
間違ったりして、紫式部さんの怒りをかうのはヤダからね。

「夏音〜・・・」

紫式部さん!?
そんなに、睨まないで・・・。
女の嫉妬は怖し!                                              

724:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/02(土) 20:03

4,ナルシスト系道長さん

「彰子〜」

御簾?の向こうから、男の人の声。
そのとたん、彰子さんの顔がげんなり。
対して、紫式部さんの顔が、明るくなった。

「父上・・・」

「開けるぞ!」

って、言いながら勝手に開けたし。
のぞき込んできたのは、ちょっとぽっちゃりだけど、ハンサムな人。
うぬぬ・・・。
土方さんの方が、カッコイいわ!

「なんだ、コヤツらは!」

コヤツら!?
ひどくない?!
彰子さんが、庇うように、

「父上。この者たちは、私の知り合いで・・」

道長さんが、彰子さんを一瞥した。

「なぜ、私以外の美男がいる!?」

指した先には、土方さん&沖田さん、藤堂さんに山南さん。
代わりに、近藤さんや原田さんが、がっくり。

「こいつ、自分以外の美形、認めないの?」

斎藤さんが、引いたように言う。
だよねぇ・・・。
完全な、ナルシスト系だ。                                
                   

725:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/03(日) 13:01

うーーん。
私、ナルシスト系と、変態は嫌いなんだよね。

「変だなぁ」

「キモいですよねっ!」

私は、斎藤さんとひそひそ。
ところが。
紫式部さんが、私たちの前に仁王立ち。

「道長さまに何てこと!」

ほへっ!?
”さま“!?
ギュインッと目を吊り上げた紫式部さんが、

「時の権力者に!」

ええっ!?
そんなに、惚れてるのかい!?

「よいよい。小童の戯れ言じゃ」

むううっ。
紫式部さんをたしなめてるように聞こえるけど、さり気なく私を、けなしてるよね!?
土方さんでさえ、言わなくなった”小童呼び“!?

「ひどいです!小童って!」

私が反論すれば、沖田さんが私をたしなめる。

「夏音さん。落ち着いて」

は、はいいぃ!
沖田さんの顔が、近いぃぃ!
よしっ。
けなした道長さん、許してあげようじゃないか〜!                                               

726:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/03(日) 16:06

5,恋い慕う

紫式部さんが、ポッと頬を染めた。
恋い慕う気持ちが、すごいわかりやすいなぁ。

「源氏物語、できました・・・」

おずおずと差し出したのは、本。
もしや!?
源氏物語!?
道長さんの顔が、パッと明るくなった。

「おお!借りるぞ」

紫式部さんの許可を取る前に、奪い取る。
私たちも、後ろからのぞき込むと。

「何これ!?」

読みにくい!
ってか、字なのかこれは。

「式部、次はどうなるのじゃ!?」

それを聞いたら、ダメでしょ。
紫式部さん、照れたように笑う。
ちょっと、はにかんでる。

「・・・秘密でございます」

道長さんが、大口を開けて笑った。
雰囲気が、近藤さんぽいぞ。

「続きが気になる」

言われた途端に、まぁた紫式部さん、真っ赤に。
恋い慕う気持ちが、だだ漏れだよ〜。
紫式部さんが、私を見る。

「夏音ほどではないわ」

えっ!
私も、だだ漏れなのかい!?       
                                        

727:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/04(月) 19:44

6,恋する乙女同盟

「何なら、伝えて・・・」

「ちょおおっ!」

私は、薄く笑んでいる紫式部さんの、着物の裾を掴む。
ダメでしょう!
そりゃ!

「私が、自分で伝えますから!」

紫式部さんが言ったら、勘違いが起こりそうだもの。
・・・とは言え、いつだったか沖田さんに、告白しそうになったよね、私。

「それよか、道長さんのどこが良いんですか?」

理解不能なんだけど。
紫式部さんが、頬を赤く染めた。
初々しくて、可愛い。
幸せですよオーラが、わいてる。

「優しいし、私なんかを気にかけてくれて・・・」

へぇ。
ナルシスト系なのに、優しいんだ?
ただ単にチャラいのでは?
でもなぁ・・・。
私は、紫式部さんを応援したくなっていた。
恋する乙女として、ね。

「紫式部さん、互いの恋に協力するのは、どうでしょう?」

そしたら、互いにとって、良いよね。
紫式部さんが、こくんとうなずく。
恋する乙女同盟が成立だ〜っ!                  
                                  

728:リリカ@恋歌◆JA 米がないと困るけど、コメントもないと生きてけない>_<病みリリカだぞ☆        :2017/12/04(月) 21:21

7,翳り

わきゃわきゃしてる私と、紫式部さんの背後から(!)彰子さんがぬううっ・・・。

「夏音〜・・・」

わひゃ!?
抱きつかれても、困るんだけど!

「好き〜・・・」

ガチですか?
私、そっち系の趣味ないんだけど・・・。

「って、あっちの男たちが言ってたわ〜」

えっ!?
指した先には、沖田さんたち!?
本当ですかね・・・。
みんな、照れたように目をそらしてる。
怪しいな〜・・・。

「俺は、夏音が好き!」

斎藤さん!?
後ろから、抱きすくめられるとは、予定外だよ。
まぁ。
斎藤さんは可愛いから、許そう。
まっすぐ想いを伝えてくれて、嬉しいしさ。

「斎藤さんは、人斬りにはならないですよね?」

純粋に聞くと、斎藤さんだけでなく、みんな一斉に目を翳りを浮かべた。
私は、あえて見ないふりをした。                                                     

729:リリカ@恋歌◆JA 夢に捕らわれたいの…。永遠の夢に。醒めることない、永遠の夢に。          :2017/12/05(火) 19:50

8,幸せになりたいから・・・

「父上。なぜ、私が帝に嫁がなければならないのですか!?」

急に、彰子さんが声を荒げる。
どうしたの・・・?

「夏音や、紫は幸せになれるのに。何故、私は・・・」

当然の事だった。
普通の女の子なら、誰もが望むこと。
それなのに・・・。
いきなり、妃になるとか、考えられないだろうに。

「仕方ないだろう。藤原家のためなのだからな」

ブチッ

何かが切れる音。
何よ!
家のためだとか!!

「そんな事・・・!!」

反論しかかると。
彰子さんが、私を制す。
きっ、と道長さんを睨み上げて。

「父上のもとになど、帰りませぬ!」

それだけを言って、部屋を飛び出した。                                      

730:リリカ@恋歌◆JA 私は、要らない人…。       :2017/12/05(火) 21:16

私は、スッと立ち上がった。
沖田さんが、立ち上がる。
私は、それを制す。

「女同士の、話ですから」

私は、ひらりと御簾を押し開けて出た。
彰子さんは・・・?
近くの、女官にたずねる。

「彰子さんは・・・?!」

女官は、戸惑ったように、先の廊下を指す。

「あちらに・・・」

「ありがとうございます」

簡単に礼を言って、駆け出す。
この際、廊下を走るな!のルールは、無視ね。                           

731:リリカ@恋歌◆JA    :2017/12/05(火) 21:25

走っていくと、泣きじゃくる彰子さんを発見。
重たそうな着物なのに、案外素速いんだね・・・。
彰子さんが、クルリと振り返る。

「・・・夏音・・・」

そう言って、私の腕の中にダイブ。
私は、恐る恐るその震えている背を、抱きしめるように撫でた。

「幸せに、なりたいのに・・・」

胸が、どっくんと跳ねた。
この人は・・・。

「幸せに、なりたいから・・・」

抱えきれないほどの、悩みや怖さを抱えている・・・。
幸せになる資格なんて。
みんなあるハズなのに・・・。

「そーだっ!入れ替わりますか!?それとも、私が帝に嫁ぎましょうか?」

そうすれば、彰子さんは幸せになるし。
彰子さんが、ふんわり笑った。
そこいらの花より、綺麗で。
淡くて、儚い。

「少しだけ、お願いできる?」

もち!
大丈夫です。
どうか、1日でも彰子さんが救われたら。
私は、にっこり微笑んだ。                                                     

732:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/05(火) 21:30

9,十二単

「重い!」

私は、思わず悲鳴をあげた。
だってさ・・・。
十二単が重いんだよ!
これで、素速いって・・・。
彰子さん、すごいよ!

「夏音、似合うわ〜」

えへへ。
嬉しいな。       

733:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/06(水) 21:19

ふふふーん。
鼻歌を歌いながら、歩いていると。

「彰子さま!」

誰だ?
束帯姿の、貴族と思しき男性が。
ううむ。 
土方さんの足下にも及ばないな!
しいて言うなら、近藤さんあたりかな。

「道長さまに、よろしくと・・・」

はぁ?
媚びるためなの?

「私は、父上の犬ではございません。では」

興味なく言って、立ち去ろうとしたら。

「彰子さま!ずっと恋い慕っておりました!」

別の男性が現れた。
えっ・・・?!
恋い慕って!?
と、思ううちに。                             

734:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/07(木) 16:51

10,私は誰の物!?

ドンッと壁に押し付けられ。
ほへ・・・!?
怖いのに。
声も出せない・・・。

「彰子さま!」

嫌だ・・・。
気持ち、悪い・・・。
と。

「・・・人の物に、手を出しましたか?」

わぎゃあ! 
沖田さん・・・。
大魔王が降臨してます・・・!!

「・・・斬ろうか」

土方さん!?
恐ろしいよ・・・。
二人を怒らせたら、この人の命が吹っ飛ぶよ!

「夏音!無事か!?」

斎藤さんまで・・・。
ってか、私、バラしたっけ・・・?
おわっ・・・。
大魔王が一気に、三人に増えたよ!?
ご愁傷様・・・。

「斬ります」

笑顔が!
超!怖いよぉ・・・。 
                       

735:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/07(木) 21:06

「逃げた方が・・・」

私が、そっとささやくと。
この人、斬られて天国行っちゃうよ!?

「彰子さま〜」

ほひゃ!?
抱きついたら、逆効果だって!

「んもう!止めて」

それを言っても、やめてくれない。
仕方ない。
こういう時、時の権力者の名は役に立つ。

「父上に申しつけますよ」

道長さんの名前を使ったら、やっとその人は逃げていった。
ふうぅ・・・。

「夏音〜!!」

大魔王の顔を崩して、斎藤さんが抱きつく。
嬉しいよ。
しかもさ、可愛くて。
萌えちゃう!

「あれは、何だったんだ?」

土方さんの言うとおり。
何だったの、あれ。

「ともかく、“私の”夏音さんが無事で、良かったです」

さりげなく、問題発言をさらっと・・・。
案の定、斎藤さんと土方さんがかみつく。

「いつから、総司のだよ!」

「俺のだ」

えっと・・・??
別な意味で、修羅場かも・・・。                                         

736: アーヤ◆TQ 体調が悪かったコメ出来なく&:2017/12/08(金) 14:29

沖田さんに土方さんに斉藤さん達が魔王になったよ!
そして夏音が単純な性格だって分かったよ……、沖田さんの恐ろしさで避けたのはどこに飛んで行ったのやら❔

737: アーヤ◆TQ:2017/12/08(金) 14:30

あと、明日小説更新せれたらします

738:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 17:20

>>736
お久しぶり!
体調、大丈夫!?
最近、風邪が流行ってきたよね・・・。
魔王化した三人を止めれるのは、夏音くらいかも(笑)
良くも悪くも、単純なんだよね(*^^*)
確かに。
どこへ飛んでいったんだろ?
宇宙の果てかな(笑)

>>737
楽しみにしてる!!
すごい気になるもん(*^▽^*)                 

739:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 17:28

無意味な押し問答が続いてて。
その間、私は、どんな顔をしたら良いんだろう?

「私のです!」

「俺のだ!」

「違う!俺のだよ!」

あはは・・・。
苦笑するしかないね。

「だから!」

聞いてるうちに、すごいイライラが溜まってきた。
私が誰の物かって・・・。
私に、拒否権とかないのか!

「あのぅ・・・!」

とりあえず、此処で喧嘩するのはやめよっ。
貴族たちの視線が痛いから・・・!
喧嘩してる三人の背中を押して、彰子さんと紫式部さんのいる部屋へ戻ると。

「書けない!私、『源氏物語』書けないわ!」

ヒステリックな、紫式部さんの声が届いた。
何!?
私は、三人を押しのけて、入ると。
そこには・・・。                                               

740:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 18:47

11,代筆!?

ペタンと座り込んでる紫式部さんが。
よよよと彰子さんに泣きついてる。
あれ、主従関係だよね・・・?

「紫が、『源氏物語』を書けないと・・・」

彰子さん、戸惑ってる。
当たり前だよね。
ようは、ネタが尽きたって事ね。

「夏音〜・・・。私の代わりに、代筆して〜・・・」

ええっ!?
ダメでしょ!?
あとさ、私、『源氏物語』読んだことがないしさぁ・・・。

「それでもいい!お願い」

ええっ!?
嘘でしょう!?

「無理でしょ!?紫式部さんが、考えたストーリー・・・話どおりにいくか、わかんないよ」

第一、道長さんをモデルにしてるんだったら、無理だよ。
道長さんの良いところばっかり、書けるわけない・・・。                                       

741:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 21:28

12,反則笑顔

「って事で、無理です!頑張ってくださいね」

そうじゃないと、社会の教科書に載らないからね。
困っちゃうよ。

「お願い!」

だから。
それが無理なの!
押しが強すぎるな・・・。

「やってあげたらどうですか?」

ぐぬぬぬ・・・。
好きな人に、それを言われたら。
女子なら、反対できないよ!

「し、仕方ないですね!」

あっ。
私、ツンデレ化してしまった?
紫式部さんが、にっこり笑った。
さっきの泣きついてたのは、何なのよ!!

「よろしくね」

あぁぁ・・・。
断れない・・・。              
       

742:◆5YQ:2017/12/09(土) 09:57

3人には段々と呆れるぐらいに独占欲に1人占めがあって、夏音病にもなったね

743:◆0pk:2017/12/09(土) 09:59

上の私です
パソコンからです

744:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 13:25

>>742
ありがとう!
夏音病・・・(笑)
確かに、発症してるね(*^^*)
独占欲がスゴいよね(笑)

>>743
了解でっす!     

745:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 13:34

「何なのよ!」

私は、思い切りグチる。
誰だってそうでしょ。
嫌な、わかりもしない物語を代筆しろなんて言われたらさ。

「道長さまぁぁ!」

と、萌えてるのは紫式部さん。
ちょっとさ・・・!
私に押しつけといて、勝手に萌えるのはやめてよね!

「って言うか。恋愛でしょ、これ。私、光源氏みたいな人いないよ。付き合ったことすらないし」

12年間、彼氏いないし。
逆を言うと、お母さんのせいで彼氏を作れないんだけど。

「少しは、協力を・・・」

しかし、紫式部さんは聞く耳を持たず。
彰子さんに至っては、けらけら笑うばかりで。こんな中で、書けるかっての!!

「しますよ」

協力しますよ・・・?
沖田さん!?
嬉しいけど、心臓がうるさくなるよ。

「どういう事をすれば?」

いやいやいや。 
その笑顔、ヤバい!
反則笑顔だよ!!
・・・なーんて思う私は、恋の病にかかってるかも。                                                                       

746:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 15:05

13,私が遊女?

「そう思えばさぁ」

なぁに?
斎藤さん。
さっきの大魔王が消え去っていて、良かったよ。
子どもっぽいから。

「夏音って・・・」

何々?
ためないでよ。
ドキンッとするじゃんか。

「遊女に変装できそうじゃない?」

遊女!?
って。
そんなに、まじまじと見ないでよ。
恥ずかしい・・・。

「幼女趣味なら落ちるぜ」

ロリコンを落とせる!?
そんなの、確定しないでよ!
しっかし、なぜかみんながうなずいてる。

「監察方に加わってもらいましょう」

ひょえ!?
沖田さんまで?

「“野良猫”以上の仕事をしろ」

むうう。
しつこいなぁ、土方さん。
いつだったかの、からかいを蒸し返さないでよっ。

「あっち(幕末)に行ったときですよ」

マジでやりたくないけどさ。
鬼気迫ってる勢いを、斎藤さんから感じたから、くぎを差した。                                          

747:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 16:31

14,恋する乙女は強い

「道長さまぁぁ!お慕いしておりますうぅ♡」

あはっ。
そんなに、道長さんが好きなんだ。
オタク化してるよ・・・。

「父上を呼ぶわ」

彰子さん、ニヤッ。
途端に、紫式部さんが赤くなる。
代筆を頼んどいてえぇぇ!!
思いつかない物書きほど、怖い物はないよ。

「これだから、書けないんじゃ?」

我ながら、当たってるよね。
道長さんの一挙一動にキュンキュンしてるようじゃ、書き進まないよ。

「道長さまが、かっこいいからよ♡♡」

当たりだぁ!
恋する乙女は、強いと言うか。
物思いにふける事が多いし。

「清少納言さんに、負ける・・・」

言い掛けたら、強い殺気を感じる。
殺気を発してるのは、紫式部さん。

「清少納言・・・・・??!!」

あわわ。
マズいこと、言っちゃった・・・??                                                        

748:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 18:12

15,好きになってほしいから

でも、違った。
少し涙を浮かべた、紫式部さんが私に言う。

「・・・はは。皆、私より・・・。清少納言が好きなのね・・・。皆・・・」

えっと・・・??
どういうこと・・・。

「帝も・・・。清少納言の仕えた、定子さまが一番だと」

そんな。
垣間見えた、紫式部さんの闇。
宮廷に入ったとたん、言われたんだろうな。

『清少納言がいた頃が、懐かしい』

とか。
皆が知ってて、自分が知らない。
比べられているように、思えたのだろう。

「・・・だから。『源氏物語』も書けない」

っ!
それは、違うのに。
なのに、紫式部さんが吐き出す闇を否定できなかった。

「・・・里に下がらせていただきます」

「それは・・・!!」

彰子さんの瞳が、揺れる。
私は、もう黙っていられなかった。

「それで良いんですか。道長さんに、好きになってもらわなくて」

僅かに、瞳が揺れて。

「私も、好きになってほしいから、頑張ってますよ。私なりに、だけど」

空回りになったり、だけど。
にっこり、笑う。
それに、さ。
決めたじゃない。

「『恋する乙女同盟』、破棄するんですか?」

紫式部さんが、私に抱きつく。
おわっ!
ただでさえ、自分の十二単で重いのに、紫式部さんのもかかってきて。

「『恋する乙女同盟』って、何です?」

あわわっ!
沖田さん・・・。
それはですねぇっ・・・。
無理です!
言ったら、パーになっちゃうし。
第一、恥ずかしいですよぅ。                                                                                                    

749:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 21:26

16,大好き

紫式部さんと、顔を見合わせて、笑いあう。
可笑しくって。

「代筆、しなくて良いわ。私、自分で書くから」

良かった!
紫式部さんが、自分で書くと決意したから。
歴史が変わることも、なくなるね。

「道長さまの事も、頑張ろうと思うわ」

うん!
私も、恋する乙女として、応援するから。
彰子さんが、

「着替えたらどうかしら〜」

のんびりと言う。
確かに。
いつまでも、十二単着てるの、辛いから。

「似合うと思うんですけどね」

ほひゃ!?
そ、そんな無邪気な笑顔で見られたら・・・。沖田さんへの恋心、当社比、一・五倍増したよ!

「き、着替えるんで、あっち向いててください!」

ちょっと照れたように、私は言った。
みんなあっちを向いたから、彰子さんと紫式部さんに手伝ってもらって、十二単を脱ぐ。
あぁ、軽くなった。
服に着替えて、みんなに戻って良いと声をかけた。
にしても・・・。

「さっきの・・・」

無邪気すぎて、胸がキュンキュンとしてしまうよ!
ヤバい!  
心臓、持たないよ〜・・・。
好きなんか通り越して。

「大好き・・・」

改めて口にすると、頬にじんわり熱を感じる。
本当に、大好きなんだよね・・・。
私は、沖田さんが好きで好きで・・・。

「仕方ないんだね」

出逢う前には、絶対なかった。
こんな、温かくて切ない感情。                                                                     
                    
    

750:アーヤ◆PY:2017/12/09(土) 22:42

時代が同じ時代だったら良かったのにね、本当に切なく想う

751:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/10(日) 08:29

>>750
ありがとう!
だよね・・・。
時代が時代なだけに、末路がわかってしまって、切ないんだよね(*_*)
       

752:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/10(日) 08:37

17,君がいて良かった ※沖田side

夏音さんが着替えてる間、少し俺は切なくなった。
菊乃のときから、ずっとそばにいたから。

「思えば、不思議だな」

一さんが、言う。

「俺らが夏音に出逢ったのって・・・」

確か。
夏音さんの母上の何かとかで。
突然、現れたっけ。
そして。
心引かれるのもあっという間で・・・。

「いろんな所に、行きましたね」

「そうだな」

今、振り返れば可笑しな話だ。
でも。
何度だって思う。
君がいて、良かった。

「こっち向いて、良いですよ〜」

振り向けば、明るい笑みをたたえた、夏音さんがいた。
この笑顔を、忘れることはないんだろうな。                                                   


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