人目を惹く派手な容姿、それに相応しない頭脳。
彼女はそれを持っていた。
「私、頭にはちょっと自信あるんだよねー」
なんて彼女は言っているが、12歳の知識は遥かに超えている。
本人的は、自分の頭脳を都合が良いとも悪いとも思っているらしいが。
「―――――がさ」
「志麻、それウケるー」
そんな並外れた存在を放っている彼女も、周りの“凡人”を心の中で見下しつつも普通の女子小学生らしく生活をしている。
しかし、天才が完璧に周りと同化することは不可能であり……
―――――志麻ちゃんの言ってることって、分かんなーい。
―――――志麻って、よく分からないよね。
なんて言葉を聞くこともしばしば。
志麻的には理解できる言葉で説明したつもりらしいが、相手は理解してくれない。
天才故に、そのような事に苛立ちを覚えることもあるのだ。
志麻の思う“普通”に話していると、目の前で男子と女子が「足踏んだか踏まなかったか」という足を踏まれてもスルーする志麻にとってはどうでもいい理由で喧嘩を始めた。
「……ふふー」
そんな“普通じゃない”彼女だからこそ、今、目の前で仲間達が喧嘩をしているのを見て楽しんでいる。
……人間の心情の変化は、彼女にとって計算式のように予測できるものでもなく、見ている分には楽しいらしいのだ。
これは、こんな風に喧嘩が勃発するクラスと、それを見て楽しむ天才の物語―――――――――