“深淵唱詩”

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1:アビス◆wc:2017/10/12(木) 06:11

思いついたら取りあえず書く事に決めた(センスは皆無)。

電柱から覗く君は誰だろか?
私はコソリと確かめゆく
けれども何時もシュッパイする

今日も君はシャッテン延びる電柱から私を見ている
そんな所で見てないで早くお入りよ
けれども君は首を横に振る

レーゲン降る日も
シュタルカー・ヴィント吹く日も
君は只私を柱から覗くだけ

何故かと私は君に聞いた
君は口を開いた
“だって僕はゲシュペンストだから”

2:アビス◆wc:2017/10/12(木) 08:23

誰かに突き落とされ水底に沈んだ私の躰を魚が食む

先ずは皮を剥がされる
血は溢れ水は紅に染まり更に魚が集まり私を食む

食まれて穴の空いた躰に魚がぬらりと入り次にはらわたを荒らされる
美味しいかい?私の躰は?
魚に聞いた
魚は答えた
“美味しくはない 只生きる為に喰らうだけ”

私は笑った
肉を無くし骸となったこの躰で

魚は聞いた
“何故笑う?”
私は答えた
“何時かは貴方達は捕らえられ喰われる”
“そして私の肉を食んだ魚が私を突き落としたあの人の元に食物として届いたらあの人は私を二度“_した”事になるのだから…嗚呼可笑しい”

3:アビス◆wc:2017/10/12(木) 10:14

息絶え人生閉ざした私よ
黄泉比良坂の道を歩め
白の装束纏い白の三角巾を付けて
只々歩め

三本足の烏が道を示す
私が道を外さぬ様に
道を外せば地獄へ落ちると烏が云った

4:アビス◆wc:2017/10/12(木) 11:00

あくる日私は桜の木の下に
“宙ぶらりん”になっている男を見つけた

私は溜め息をひとつ吐き
穴堀金具で桜の木の下に埋める

昨日は女が
其の又昨日は互いの恋叶わぬ男女が

この桜に曰く無く
日増しに桜の下には人が増えて行く

だが其れも今日で終り
私が行くのだから
桜の木は花弁を風に吹かせ喜び舞い踊る

5:アビス◆wc:2017/10/12(木) 12:44

私は道に咲く花を踏み潰す
貴方が“綺麗”と褒めたから

私は篭の中の鳥に手を掛ける
貴方が“可愛い”と云ったから

私を見初め惚れたと云い
私の自由の大半奪い閉じ込めたのは
貴方だ

なのに他に目を向けた
私は貴方の為に自由を手放した
なのに結果はこの仕打ち

貴方が悪い
理由?それは
“私を好き”だと云ったから

私は刃物を降り下ろす
さようなら“貴方”
こんにちは“貴方”

6:アビス◆wc:2017/10/12(木) 16:33

ナハトヒンメルにモーントが浮かぶ
私は貴方と共に其れを見つめる
其処にシュテルンが横切った

私は流れるシュテルンに願う
“貴方と共にずっとこの光景を見れたら良いな”と

貴方は何を願ったの?
貴方は云った
“月が綺麗ですね”

…私は其の言葉に涙した
私の涙を貴方は手を添えて拭って微笑んだ

二人寄り添う姿を
モーントシャインが静かに照らした

7:アビス◆wc:2017/10/13(金) 21:23

“誰か”は友多き
喜しや子

“誰か”は独り
寂しい児

誰かは誰かが羨まし
誰かは誰かが妬ましき
誰かは誰かが憎々し
誰かは誰かが“_している”

8:アビス◆wc:2017/10/13(金) 21:41

夕焼け沈み
“逢魔ヶ刻”が始まるよ
魑魅魍魎が闊歩する

カンラカラカラ笑いをあげる
人通る道は魑魅魍魎の“この世道”

鈴はシャンシャン
太鼓はドン
“宴” “宴”と皆歌う

人間入っちゃいけません
これは魑魅魍魎の宴です
入りたけりゃ“彼方”へどうぞ

魑魅魍魎が“歌う” “歌う”
鈴はシャンシャン
太鼓はドン
血染めの刀 緋色に光る

9:アビス◆wc:2017/10/13(金) 23:36

部屋にあるプッペの螺を回す
プッペは歪な音を立て
ギギリギグルリ踊ってる

プッペは止まったおじぎのまんま
も一度回そう
螺折れた
もういらない

回らないプッペ
役立たず

置いてかれたプッペ
埃を被る

おじぎのプッペ
そのまんま

10:アビス◆wc:2017/10/13(金) 23:39

何か感想が有るなら書いても
良いですよ。

但し
荒し等はお辞め下さい。御願いします

11:アビス◆wc:2017/10/17(火) 01:42

手作り南瓜のランタン持ってゆき
仮装し街を練り歩く

籠にいっぱいお菓子を積めよう
お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ

目の玉抉り
手足の爪を剥がして
端から刻む

12:アビス◆wc:2017/10/20(金) 19:35

くり貫かれた南瓜の気持ちなんて
誰にもわからない

ただ飾りの為に切り取られて
中身をほじられて
何も見えない目と
何も聴こえやしない偽りの口を
彫られて笑う

ケラケラ南瓜は笑う
(お前達も俺と同じ目に遭え)

ケラケラ南瓜は笑う
(痛いだろう?俺も同じ気持ちだ)

ケラケラ南瓜は笑う
(もう笑わないのか?)

13:アビス◆wc:2017/10/20(金) 19:44

なんか書いてみると
暗いなぁ…どうしても暗くなっちゃうんだよなぁ

14:アビス◆wc:2017/10/20(金) 21:24

親の温もりを求める赤子に
機械仕掛けの小箱を渡した親

赤子は喜び小箱で遊ぶ
小箱は色とりどりだ
けど何処か虚無である

赤子はやがて幼子になった
だが親は変わらず機械仕掛けの小箱を渡す

幼子は物云わぬ小箱と遊ぶ

親は幼子に機械仕掛けの小箱を返せと云う
幼子は其れを拒む

親は首をかしげる
幼子は云った
“親はこの小箱だ お前では無い”

15:アビス◆wc:2017/10/20(金) 22:59

鶏の首を絞めよう
そうすれば朝は来ない筈

コケェと甲高く鳴く声を
この手でキュッと絞めて
其の声が無くなるまで

鶏の首は絞めたよ
コケェと鳴く声無くなった
辛い朝は二度と来ない筈

朝日が刺す
私の体を
鶏はこの手で絞めたのに

どうすれば良い
朝が二度と来ない方法

朝が二度と来ない方法を見つけた
紐を掛けたら
朝は二度と来なくなった

16:アビス◆wc:2017/10/20(金) 23:08

私のここに書いた詩
見てくれる方居ませんか?
(荒しや悪口は厳禁で)

17:アビス◆wc:2017/10/21(土) 23:05

林檎が食べたい
私は母にねだった
母は叶えてくれた
次の日居なくなったけど

林檎が食べたい
私は父にねだった
父は叶えてくれた
次の日居なくなったけど

まだ食べたい
私は姉にねだった
姉は拒否した
次の日姉は林檎になった

私の我が儘
皆聞いたら皆居なくなった

まだ足りない
まだ食べたい
まぁるい林檎
赤い液体滴る林檎

次は貴方が“林檎”だよ

18:ねこさと◆pU:2017/10/22(日) 12:59

こんにちは
とても不思議な世界観の詩でとても好きです。がんばってください
待ってます!

19:ねこさと◆pU:2017/10/22(日) 13:12

楽しみにしてます

20:アビス◆wc:2017/10/23(月) 08:14

>>19
ありがとう!
応援してくれて嬉しいよ!
思い付いた時にしか書けないけど
良いかな?

21:アビス◆wc:2017/10/23(月) 09:14

今日も“さぁかす”が始まる
だけど貰えるのは拍手じゃ無い
野次なんだ

観客は口々に云う
つまらない
面白くない
退屈だ
毎日そんな事ばっかりだ

どうすれば良い
何が足りない

そうだ
火の輪潜りをする獅子を

お前がやれば良い

劇場は拍手に初めて包まれた
火の輪を潜る獅子は炎に包まれた

次は何にしようか
そうだ
“水中脱出いりゅうじょん”にしよう

飢えた鮫が泳ぐ水槽に
鎖を巻いた

お前を入れて

観客は喜んだ
良いぞ
良いぞ
もっとやれ

観客は虜になった
狂気の“さぁかす”
今宵も始まる

お代はいらない
誰でも寄っといで
なに
道化師になってくれれば良い

一夜限りだ

怖い事は無い

今夜は
お前は
そうだ
猛獣使いになれ

飢えた獣の餌として

22:ねこさと◆pU:2017/10/23(月) 17:34

>>20
はい全然大丈夫です!
待ってまーす

23:アビス◆wc:2017/10/23(月) 22:06

とある所の灰被り
今日も継母に召し使いの様に使われる

とある所の灰被り
今日は姉二人に使われる

灰被りは泣いている
継母 姉二人は
知るか知らずか高らかに笑う

今日は城の舞踏会
継母 姉達
絢爛に着飾る

だけど灰被りには何も無し
そして何時もの様に召し使い

母の墓に寄り添い泣いた
私も行きたかった
踊りたかった

墓の傍に生えるハシバミの木
白い小鳥が止まってる
持っていたのは
ドレスに
金の靴と
銀の靴

灰被りの娘
ドレスに銀の靴を履き
急いで城の舞踏会
いっておいで灰被り

24:アビス◆wc:2017/10/24(火) 00:17

>>23の続き

舞踏会に間に合った灰被り
中で人が楽しく踊る

その中で
一つ高い所から見下ろす王子
舞踏会を兼ねての嫁探し

王子は溜め息
何処にも居ない
我が伴侶になる者が

そんな時
純白のドレスに銀の靴を着た
灰被りの娘を見た王子
気付けば足が自然に娘の元へ

どうか踊っていただけないか
私と共に
この一晩を

王子と灰被りの娘は踊る
楽しい
もう一晩踊りたい
互い互いにそう願う

二晩目の舞踏会
灰被りの娘は金の靴を履いて
やって来た

待っていたよ
さぁ踊ろう

だけど楽しい時間はもう御仕舞い
灰被りの娘は別れを告げて
急いで帰る
脱げた靴も気にせずに

次の日
王子は従者に探させた
片方だけの靴の持ち主を
国中から

長女は考えた
靴が合うには
爪先を切り落とせば良い

次女は考えた
靴が合うには
踵を切り落とせば良い

だけど血が滲んで
どちらも偽物と見抜かれた

次は灰被りの娘の番
靴はピタリとはまった
従者は云った

王子がお待ちです
さぁどうぞ城へ
貴方様をお待ちです

こうして結婚
灰被りの娘と王子様
国中が祝福の声を上げる中

姉二人 媚びへつらい
娘の両脇に座る
その時娘の両肩に止まった白鳩が
姉二人の両目をくり貫いた

痛みにのたうち回る姉二人を
娘はただ冷たい目で見下ろした

25:アビス◆wc:2017/10/26(木) 21:54

急げや急げ
急げや急げ
女王様に首をはねられる

人の言葉を話す不思議なウサギ
懐中時計を見ながら急いで走る

ウサギを追いかけ木の中転がる
机の上の小瓶を飲んだら
小人になった

森の中
さまよい歩くと
イモムシが

ぞんざいな態度で
質問を

キノコを食べれば大きくなる
キノコを食べれば小さくなる
 大きい?
小さい?
どっちだろう

小さな家の公爵夫人
料理人の振り撒くコショウで
くしゃみが止まりゃしない

夫人の赤ん坊
外に出したら
ブタになった

26:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:04

>>25の続き

森の中
再び歩く
すると今度はチェシャ猫だ

ニヤニヤしている
チェシャ猫さん
  どこに行けばいいの

チェシャ猫答えた
この先行けば
三月ウサギと帽子屋のお茶会ニャ

三月ウサギと帽子屋そして
ネムリネズミが
茶会を開いてる
帽子屋はなぞなぞを出してきた

答えが出ない
そりゃそうだ
帽子屋のなぞなぞに

答えはない

ウサギとネズミも好き勝手
女王に刑の宣告を受けて以来
一人と二匹の時間は止まったまんま

だから好き勝手できるんだ
さようなら
狂った永遠のお茶会
2度と来ない

27:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:10

>>26の続き

最初に戻った大広間
金のカギ使って
小さな扉を開けた

開けた先は
とても美しい
赤いバラの庭

手入れをするのは
手足の生えたトランプだ
チョキ チョキ チョキ
ハサミの音

シャワ シャワ シャワと
水やりの音

突然聞こえた高い声
首をおはね
庭師達の首をおはね

首をはねられた庭師達
何が
癪にさわった?

わからない

いいんです
わからなくても
この世界は

28:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:17

>>27の続き

はぁとの女王様の絶対支配
だから
どんな理不尽も

女王様が云えば
まかり通るのデス

他所の世界から
来た人間ニャ
理カイ不能

そんなこんなで
始まる裁判
被告人は

ハァトのジャック

被告人の罪は
盗み

女王様のタルトを
とったんだ

大それた事を
首をおはねはまぬがれない

それでもジャックは訴える
私はやっていない

29:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:23

>>28の続き

けれども
周りが
ジャックの罪をでっち上げ

それにいきどおる少女
ついに切れた
感情の糸

あんた達なんか
ただのトランプの
クセに

その言葉に
怒り舞い上がる
トランプ兵

少女をトラエロ
首をおはね

悲鳴を上げたら

いつの間にか
姉の膝の上で
眠りこけ

30:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:25

>>29の続き

どっちでもいい
こりごりだ
でも楽しかった


ハァトのジャックの最後は
だぁれも知らない

わからない

31:アビス◆wc:2017/10/27(金) 00:03

次はどんなの書こうかな…?

32:アビス◆wc:2017/10/27(金) 18:53

ふらりふらりと歩く猫
目の前には不思議な館

中は不思議な光景
文字が宙を漂っている
ゆらり ゆらり
ふより ふより
まるで海月の様だ

中に入ったら
さっさと閉めてくれ
文字が鳥になって逃げてしまうから

館の主は云う
文字が友だと

館の主は云う
人が信じられないと

猫は問いかける
他に誰もいないのか
宙に漂う文字と君以外に

33:アビス◆wc:2017/10/27(金) 18:59

>>32の続き

館の主は答える
いる訳がない
此処にあるのは

文字と
私と
そしてお前だ

猫は問いかけた
してはならない
禁忌の問いかけを

君は寂しいのか
それとも満足か
存在するだけで何も意味をなさない

文字が
友達で

館の主は
猫を見つめたまま
黙りこくる

猫は続ける
黙りこくらないで
答えてよ

早く
早く

孤独な館の主様とやら

34:へいと◆NI hoge:2017/10/27(金) 18:59



上手ですね……

35:アビス◆wc:2017/10/27(金) 19:05

>>33の続き

館の主
突如口開く

お前のせいで
文字が幾つか
鳥になった

友が消えた

償って貰おう

猫は云う
問いと答えが
合っていない

館の主は云った
知った事では無い

再び静かになった
不思議の館

館の主は薄ら笑みを浮かべる
友が増えたと
そして新たに漂う文字は

「猫」「赤」「黒」「皮」「臓」

36:アビス◆wc:2017/10/27(金) 19:05

>>34
ありがとう!
嬉しいよ!

37:アビス◆wc:2017/10/28(土) 21:44

雨が降る
ザア ザア
ザア ザア

カエルが鳴いてる
ゲコ ゲコ
ゲコ ゲコ

そんな道中
何が一体
ヒタリ ヒタリと

無気味な音

現れたるは
七つ人影

杖の音も
七つ突く

七人ミサキ
暗雨行脚

我達は
生前皆罪人
清き者なぞ

この列には
有りはせぬ

(まだ、続きがあるよ)

38:アビス◆wc:2017/10/28(土) 21:52

“ 人”
窃盗
騙し欺き
間引き成す

他様々
悪業重ねて
生まれた我達

七人ミサキ

来やれ
来やれ
我達の列へ

成そう
成そうぞ
我が成仏

お前
お前は
新たな七人ミサキ

帰しゃあせん
逝こう
行こうぞ

卒塔婆が其処らに
立つ道を

幽霊花
乱り咲きたる
あの道を

七より増えず
七より減らずの
我達と共に

蛙 鳴く 泣く
下呼 下呼
下呼 下呼

39:モルガナ◆fI:2017/10/28(土) 22:53

タルタロスさんいますかぁー?
「くま」ですが……

40:モルガナ◆fI:2017/10/28(土) 23:01

えーと……
闇竜の騎士……アク禁されてしまったみたいで……
巻き込まれたそうです!

ぇー……だから「もう少し待って」みたいなことを……言ってましたよ!はい……

41:アビス◆wc:2017/10/29(日) 07:55

>>40
うん!わかったよ

42:アビス◆wc:2017/10/29(日) 16:22

一つの葛には
光明を

一つの葛には
おぞまし醜き怪物を

どちらを選ぶ
小さき葛
大きき葛

決めるのは
貴方だ

私じゃない

とある所の
翁と媼の夫妻

片方は欲無き優しさ故に
光明を

もう片方は己が強欲が故に
醜き 醜き
毒蟲
幽霊
怪物と
生きてはいられない戯れを

貴方はどちらを選ぶだろう
小さき葛
大きき葛
選ぶが良いさ

罪人よ

43:アビス◆wc:2017/11/01(水) 21:40

(詩じゃ無いよ)
ノートに今書いてるんだけど
長くなりそう。

44:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:36

(1章)

母山羊は
子山羊達に
云いつけた

良いですか
誰が来ても
すぐに開けてはいけません

たとえ私でも
疑いなさい
でないと

狡猾で
飽食を望む
狼に

喰われてしまうから

母行く後
子山羊達は
各々戯れる

外より忍ぶ
黒影が
皆喰らいをせんと

見ている事も
知らずに

45:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:40

(2章)

狼は望む
己が腹に
満たされる程の

子山羊達を
詰めたい

狼は考える
先ず声だ
似せよう母山羊に

チョオクを食べて

コン コン コン
扉の音
お母さんだよ

開けておくれ

子山羊達は口々に
嘘だ
嘘だ
お前は狼だ

黒毛と
鋭い爪が
見えてるぞ

46:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:46

(3章)

狼は考える
次は毛だ
似せよう母山羊に

白粉を被り
爪を仕舞い

コン コン コン
扉の音
お母さんだよ

開けておくれ

子山羊達は口々に
嘘だ
嘘だ
お前は狼だ

其の黒い足は
何だ
嘘つきめ

狼は鬱屈する
子山羊共
何故騙されん

嗚呼 苛々する

47:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:51

(4章)

狼は考える
次は足だ
似せよう母山羊に

白布を履いて

爆ぜ兼ねなき
感情を抑え乍

コン コン コン
扉の音
お母さんだよ

開けておくれ
お前達

子山羊達は口々に
お母さんだ
お帰りなさい

開けよう
扉を

ギギィと一つ
扉の音

カランと一つ
鐘の音

開けた先は狼が

48:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:57

(5章)

狡猾狼
鬱屈爆ぜる

己が望むままに
飽食を

子山羊達は
逃げ惑う

逃れられない
牙と爪

金切り鳴きが
一つ消え

また一つ
また一つと
声が消え

やがて鳴きは
皆絶えた

ふわり舞う
黒毛白毛

残りたるは
破壊の惨禍

そして
時を刻む台の中で
怯える末の子一匹

49:アビス◆wc:2017/11/02(木) 22:04

(6章)

母山羊見やるは
惨たらしき
己が家の中

何処だ
何処なの
私の愛しき子らは

末の子山羊は
慟哭す

食べられたんだ
狼に

聞こえたんだ
狼が兄姉達を
ゴクリ ゴクリと

飲む音が

母山羊は
泣きじゃくる末の子山羊を
抱きしめ慰める

まだ間に合う
狼の腹を裂こう

持つ鋏に復讐を込めて
心に秘めよう
怨恨の情を

50:アビス◆wc:2017/11/02(木) 22:13

(7章)

木の下にて
惰眠を貪る
狼は

まだ知らない
己に迫る
磨羯による怨嗟の音が

狼を見つけた母山羊は
裁縫鋏で
狼の丸腹を切り裂いた

わらわら出てくる
母山羊の子ら

代わりに何を詰めよう
そうだ石を詰めよう
いっぱい詰めよう

ゴロン ゴロン入れて
ギュウ ギュウ押して
縫い 縫い

縫い合わせて

母山羊達去りし後
眠りから覚めし狼は
気付かない

腹の中身が
子山羊から石に
なっている事を

51:アビス◆wc:2017/11/02(木) 22:17

(終章)

フラフラ歩く狼
石詰め腹を抱え
見つけた井戸

覗いたら

バシャアンと
狼落ちた
水の音

ブク ブク ブク
沈む音

助けを乞う声
井戸の中

沈んだ体も
井戸の中

何も聞こえやしない
井戸の中

52:モルガナ◆fI:2017/11/03(金) 22:20

かっこいい〜☆
流石だぜ☆

53:アビス◆wc:2017/11/03(金) 23:33

>>52
ありがとう!

54:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:26

(1章)
堅実に生きる妻
せっせ せっせと
家の事

現実を見ずの猟師夫
今日もまた
獲物が捕れずの木の実だけ

あくる日
夫が帰ってきたら
其処には妻と握り飯

これは旅人の置き去りし物
妻は妻の親族から
言伝を

あんな奴に食わせるな
家でただ威張るだけしか
能が無い奴なんかに

夫の手には柿の種
何かを思いついた

交換しよう
種と握り飯を

種はいつか実に生るが
握り飯は増えりゃしない
そんな理由で取り上げた

目先の利益に囚われる夫に
将来の利益を得た妻よ

55:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:34

(2章)
そんなこんなで
年月8年
植えた柿の種

立派に木と成り実をつける
だがしかし
夫は変わらず威張ったまま

木の上登り柿の実喰らう
妻は身重で登れない

くれと
くれと
懇願す

夫は知らぬ存ぜぬの
独り占め

くれと
くれと
懇願す

夫は木から降り
この柿は
俺の物だ渡さない

蹴られた妻
其の場で倒れる
下から流るる紅い液

逃げ去る夫
動かぬ妻

56:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:41

(3章)
生まれた子
母無き子
親族は告げる

酷なる事実を

お前の
母は

お前の
父に

“__”された

憎かろう
憎かろう

其の感情は
子が知るには
早すぎた

感情は
子に初めて生を与えた

子は願う

母の敵討ちを

親族は力を貸す
子の復讐の為に

一つの怨嗟と
一つの怨恨
今一つとなる

57:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:52

(4章)
かつての父
今は敵

家の中
入ってきた

子は誘う
敵は追う

遠縁は敵の足に
紐掛ける
敵は転び

床の針に
全身ぶすり

恰幅の良いおば
上から乗す

深く
深く
刺さって仕舞え

おっ母の受けた痛みは
こんなものじゃない

従兄弟と従姉妹は
木棒で
全身叩く

58:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:59

(終章)
吊るし上げの敵は云う
お前は
俺の子だろう

だったら助けてくれ

嗚呼そうだな
おらのおっ父は

握り飯を取り上げた

柿を食わせなかった

家で威張った

おっ母の腹を蹴った

恨み骨髄に徹する程の
恨み言を云い乍
子は鉈を降り下ろす

あの世でおっ母に謝れ

一族の復讐劇
これにて幕を

59:アビス◆wc:2017/11/06(月) 17:18

何回味わった事
口の中の鉄の味

貴方につけられた
赤黒ひ花弁

涙を見せれば
貴方は笑む

光無き瞳
私を映し乍

綺麗だと云い

私の口の中を
貴方の其れで荒しく掻き回す

あぁ!

もっと私を

其の加虐の愛で

歪に

貴方の元へと

堕としてくれ

60:アビス◆wc:2017/11/06(月) 17:25

閉じ込めたい
貴方を
私の冷たひ世界へ

マイナスの
何もかも
真白の凍土

お互いに
朽ちる事は
永遠に無いから

怖くは無いよ

私は
マイナスの世界でしか
生きられない

氷の女王

白の玉座は
骸の塊

逃がしたくないの
だから皆は氷柱の中

待って
待って
私の愛し人

背かないで
御願い
独りにしないで

だったら要らない
貴方の温もりなんて

私の氷で
包んであげる

だって私は
氷の女王

広く孤独な
人の子だ

61:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:00

(1章)
悪戯狸
今日も里の者達を
困らせう

あくる日畑荒し
罠に掛かりて
捕まった

悪戯狸
狸汁にして
食ってやろ

それはやめてくれ
もう悪戯しない
お願いだよ

優しき婆は縄を解く
狸はにたりと笑い
えげつなき事しなさった

爺が畑から帰りて
婆は用意した鍋を
食わせる

爺が鍋の汁一口
そして婆は狂笑す

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

婆を“_”し
皮被り
汁にした

してやったりの悪戯狸
爺は怒りて
追い回す

狸は逃げ去り
いかれた歌を
カンラカラカラ笑い乍里中に響かす

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

爺去る後
飼われていた白兎
何思ふ

62:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:06

(2章)
山の中
悪戯狸
てらてら歩く

茅の束運ぶ白兎
もしもし其処の狸どん
手伝っちゃくれませんか

茅の束背負いて運ぶ
狸どん
後からみょうちきりん音が

カチ カチ カチ
何の音

カチ カチ カチ
かちかち鳥の鳴き声さ

ぼう ぼう ぼう
燃える音

狸の背中も
ぼう ぼう ぼう

熱い
熱いよ
兎どん

63:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:12

(3章)
まぁ大変
塗ってあげませう
この薬

ただれた背に
塗り薬
実は違う

蓼の汁
忽ち火ぶくれの
狸の背

痛い
痛いよ
兎どん

蓼食う虫も好き好きとは
良く云った物で

64:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:18

(終章)
まぁ大変
舟があるから
其れに乗ろう

狸どんはそちらの舟に
私は彼方の舟を

ギコ ギコ ギコ
舟漕ぐ音

ブク ブク ブク
何の音

お前の泥舟が
沈む音さと
兎どん

ずぶ ずぶ ずぶ
沈む音

助けて 助けて
兎どん

掴まって狸どん
そう云い
櫂の棒

ばし ばし ばし
狸を叩く
更に沈む狸どん

遂には
沼の底の
狸どん

65:アビス◆wc:2017/11/08(水) 17:28

(1章)
ピィヒャラピィ

とある國の
とある町
鼠がわんさかいましたと

鼠は運ぶよ
黒の使者

使者の正体
黒“_”病

大人も子供も
皆平等

彼方の世へと
連れて行く
黒の使者

ふらり現る
謎の者

私に任せてくれないか

追い出してみせよう
鼠達
報酬出してくれるなら

66:アビス◆wc:2017/11/08(水) 17:33

(2章)
嗚呼 出してやる
本当に
追い出せたら

約束守れよ
ピィヒャラピィ
ラッパ吹き鳴らす

鼠は群れなして
大行進
彼方の方へお行きなさい

それなのに
何も出しゃしない
大人達

者は鳴らす
ピィヒャラピィ
子供ぞろぞろ

連れて去った

もう一つおまけ
ピィヒャラピィ

67:アビス◆wc:2017/11/08(水) 17:37

(終章)
とある國の
とある町
鼠がわんさかいましたと

そしてとても奇妙です

鼠は運ぶ
黒の使者

大人だけが
皆平等

彼方の世へと
連れ去る
黒の“_”者

ね 奇妙でしょう

子供は何処に行ったのか

わからないから
ラッパを吹こう
ピィヒャラピィ

者とは誰の事
ハァメルン

68:アビス◆wc:2017/11/08(水) 18:13

(作者より)
見てくれる人がいる

楽しみにしてくれる人がいる

こんな私の詩を

ありがとう
ありがとう

私は見てくれた者に届けよう

音無き拍手を

存在して初めて意味をなす
感謝の言葉を見てくれた貴君達に

69:アビス◆wc:2017/11/08(水) 22:18

僕は夢を見る
怪物に喰われたいと

少年は周りにずっと
そう云ってきた
周りは

奇妙な奴だと
少年を疎む

少年は云ふ
だって知りたいのだもの
怪物に喰われるのが

どんな気持ちか

少年はやがて
青年となりても
夢を語る

怪物に喰われたいと

周りは云う
目の前にいるじゃないかと

ぎょろりと血走る眼
垂れる涎
其の隙間から光る牙

70:アビス◆wc:2017/11/08(水) 22:24

>>69の続き

青年は喜んだ
夢が叶う

だってねぇ
夢じゃ怪物に
食べられないもの

幻想怪奇の
主人公に
今なろう

頭からガリゴリ
いってくれ


一つずつ千切られるのも
悪くない

兎に角
僕を喰ってくれ

叶えたいんだ
僕の夢

痛い 痛いと
叫ばせて

助けて 助けてと
命乞いさせて

そして
全て聞き入れず無慈悲に
食べてくれ

71:アビス◆wc:2017/11/09(木) 20:58

>>59の詩の別視点の詩ですよ。

乃公が君に付けた
赤と黒が混じった
印を見る度に

君が乃公の物だと云う事に
綺麗だと云う事に
何時も気付かされるよ

人は思うだろう
其れが愛なのか
おかしいと

だが其の事でしか
愛を確かめる
与える事しか出来ない

彼女もわかってくれている
それで良いじゃないか

リンドウの花が散る迄

加虐の愛を

72:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:08

ねぇ 何がそんなに
嬉しいの

華美な服着て
キラキラ宝石で
飾ってさ

全て私には
偽りにしか
見えないよ

くすんで見えるの
服も 宝石も
そして貴方も

何故だろね

貴方は云ったね
お姫様になりたいの

既になっているでしょうに
何度も 何度も

一夜限りの
王子と共に
踊る姫君に

貴方は一体
何人の王子と
踊ったの

其の度に
棄ててきたね
王子も

そして中のモノも

今は未だ身軽かい
お姫様

汚れた華美な服着て
汚れたキラキラ宝石付けて
貴方は去って行く

行ってらっしゃい
お姫様

しがない魔女
只手を振る事しか
出来なかった

73:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:35

館に
また誰か
迷い込んだ様ですよ

其の館は
とても不思議な
文字が宙を舞っているんだ

冒険心を掻き立てられると
思いませんかね
でも気をつけて

此処の主は
人であって
人じゃない

見つかったら
“_”されて
文字にされちゃいます

そんな事知ったこっちゃ無い
貴方は進む

溜め息溢し

警告はしましたよ

74:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:40

>>73の続き

主とやらが何だ
僕は怖くない
ほら ほら

こんな事しても
怒らないの
此処の主様とやらは

首の欠けた
片足無くした人形を
ブンブン振り回す

其の人形は
主様の大切な
御人形

なんとまぁ
愚かな事を
あぁ ほら

起きてしまったよ

この館の主様が

何をしている
後ろから響く声
振り返る者

75:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:43

文字にはしてやらない
其の代わり
人形のぱぁつに

なって貰おう

主様を
怒らせた冒険者
人形のぱぁつに

なりましたとさ

え 私は誰ですと
まぁ 其れは
後程と云う事で

また会いましょう


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