キセキの世代×ナミ【黒バス&ワンピース】

葉っぱ天国 > 二次創作 > スレ一覧キーワード▼下へ
1:桜◆kk:2017/10/02(月) 01:44 ID:dN.

私の大好きなナミちゃんを取り巻く、キセキの世代や他のみんなのお話。

とりま帝光から書きます

ナミ
二年前の姿(Fカップやな)
帰宅部だが、キセキの世代と仲良し
桃井ちゃんと色違いの白のパーカーを良く着る(高校では色違いの青)

2:桜◆kk:2017/10/02(月) 01:59 ID:dN.

キセキの世代1人目

私が征十郎と出会ったのは
入学式の日

の翌日である

何故翌日かというと、そこんとこは察してほしい。

寝坊して起きたときにはもう学校が終わってたのだ。

「はぁー…やっちゃったわ。なんで昨日寝坊してしまったのよあたし!そして何で起こしてくれなかったのよノジコ!!」

そんな文句を言っても過ぎてしまったものは仕方がない。

ガラガラと教室の後ろのドアを開けて中に入る。

すると何人かがバッとこちらを振り向いた。まだみんなクラスに慣れてないのか教室は静まり返っていた。

なんか居心地悪いわね…ってかあたし、席がわならないわ

「もしかして、昨日来てなかった子?だったら席あそこだよ」

あたしが突っ立ったまま教室をキョロキョロ見回していたから、不思議に思った女の子が気づいて席を教えてくれた。

きちんとその子にお礼を言って教えてもらった席に行った。

窓側から二番目の列の前から二番目

あんまよくない席だわ…

ちょっとむくれながら席に座ると左隣から視線を感じた。

誰だと思い横を見ると赤髪の少年と目が合った。お辞儀をされたので慌ててこちらもお辞儀を返す。

「君、昨日学校来なかったよね」

「昨日は家庭の事情ってやつで…」

ただの遅刻だ、とは情けないと思われたくないので言えない。

「そうか、俺の名前は赤司征十郎だ。よろしく」

「あたしはナミ!よろしく!!」

よっし!友達1人目ゲットォ!!!

あたしを見ながらこの男の子は優しく微笑んだ。なんかすごくいい人そうね…

ーーーーーーーーーーーー

「ナミさん、昼ごはん一緒に食べないか?」

昼休みになって赤司くんに声をかけられた。やっぱりこの人優しい。

ちなみに今日も遅刻ギリギリだったので、朝ごはんは食べてない。だから腹ペコだ。

「もちろん!食堂行きましょう。あとあたしのことは呼び捨てでいいわ」

「分かった、ナミ」

ーーーーーーーーーーーー

「赤司くんって下の名前何だっけ?」

「征十郎だ。」

「そうそう、征十郎征十郎。」

「ナミは意外と食べるんだな」

「…あんたもね、赤司くん」

ーーーーーーーーーーーー

「あ、教科書忘れた」

「最初の授業なのに何してんだお前は」

「最初の授業だから忘れてもいいのよ。教科書見せて赤司くん」

「ああ」

「…下の名前何だっけ」

「征十郎だ!覚えないと見せないぞ」

「悪気はないのよ」

ーーーーーーーーーーーー

「やっと帰れるー…」

「ナミは部活入らないのか?」

「うん。面倒だから入らないわ。赤司くんは?」

「俺はバスケ部に入る」

「へー…がんばってね!!セイジくん!!」

「おい、がんばったのは褒めてやるが合ってないぞ」

「あんたの名前長いのよ!!覚えにくい!!」

「じゃあ呼びやすい名前で呼べばいい。征十郎だから…」

「だから…征ちゃん!!」

「は?」

「征ちゃん、いいじゃない!かわいい!短い!覚えやすい!!」

「…分かった。またな、ナミ」


「うん!バイバイ征ちゃん!また明日!!」

うんうん
やっぱりこの人は優しいわ

ーーーーーーーーーーーー

「くっ、あの日あの時征ちゃんを優しいと思った自分を殴りたいわ」

「なにか文句あるのか?お前が勉強教えてほしいって言ったんだろ」

「スパルタ過ぎるわっ!もっと優しく教えなさいよ!!」

「その問題解けなかったら、この問題集を今日中にやれ」

「征ちゃんのバカーーーー!!!!」

3:桜◆kk:2017/10/02(月) 08:04 ID:dN.

キセキの世代2人目

これは入学式があって数日後の話

学校が終わってすぐに帰宅したあたしは早急に夕飯を食べて、ソファでくつろいでいた。

「ナミー、アイス食べたくない?」

「食べたい!」

「じゃ買ってきて。お金はあたしがだすから」

家にあるんじゃねーのかよ、と怒鳴りたくなったが、余ったお金でお菓子を買っていいと言われれば黙って従うしかない。

私は歩いてコンビニに向かった

「どのアイスにしようかしら…」

アイスを選んでいたが、先にお菓子を買ってしまわないと溶けることに気がつき、お菓子コーナーへ向かった。

辺りを見回すと残り一つの期間限定まいう棒みかん味があった。

「運がいいわっ!あたし!!」

みかん味ときたら買わずにはいられない。


まいう棒みかん味を手に入れようと手を伸ばす。しかしあと少しのところで横から掻っ攫われてしまった。

「っ誰よ!あたしのまいう棒みかん味を取ったやつは!」

そう叫んで、まいう棒みかん味を持っている手をたどって行くと紫色の髪をした男までたどり着いた。

ってか、何こいつ…デカ過ぎィ!!!

なんとまいう棒みかん味を手にしたのは長身の男だった。

しかもこいつ帝光中の制服着てる

いくら長身の男で同じ中学とはいえ、あたしのまいう棒を奪った罪は重い。

キッと睨みつけてやると私の視線に気づいた彼がこっちを見てきた。

「あらら〜…何でそんなに睨んでんの〜」

身体に似合わないおっとりとした喋り方にたいそうイライラする。

「それはあたしが最初に見つけたまいう棒よ!」

「え〜そうなの〜?あんたもまいう棒好き?」

「好きよ!特にそのみかん味は!!」

「ふ〜ん、そっか〜…じゃあこれあげる」

渡さなかったら一発ぶん殴ってやろうとさえ思っていたのに、あさっさりと譲ってくれて拍子抜けした。


「いいの?」

「うん」

「ありがとう!あんた帝光中の人ね。あたしも帝光中一年のナミっていうの!よろしくね!」

「へ〜ナミちんも帝光なんだ〜。俺紫原敦〜」

「じゃあむっくんで呼ばさせてもらうわ」

急いでお菓子とアイスを買って会計を済ませたあと、なんやかんやで一緒に帰ることになった。

しばらく2人でお菓子談義していると、ふと疑問に思ったことを口にした。

「むっくんはこんな時間まで何してたの?」


「部活〜。で、赤ちん達と帰る途中に俺だけコンビニによった〜」

赤ちん!?誰よその人。変なあだ名だな

「ふーん…そうなの。あ、じゃあ私こっちだから」

そう言ってあたしは自分の家のほうへの道を指差す。

「もう暗いし危ないから送る〜」

子供みたいな性格なのに意外と紳士なのね

「大丈夫アルヨ」

「だめだめ。それにもっとお菓子の話したいし〜」

もしかしてそっちが本音?

「じゃあ送ってくれてありがとう。また学校で」


「うん!バイバイ!ナミちーん」

ーーーーーーーーーーーー

「あたしに触ってんじゃないわよッ!!!!」

「「「ぎゃぁぁああああ」」」

「高校生三人を一発で倒すとか…ナミちん強すぎ…」

4:桜◆kk:2017/10/02(月) 15:28 ID:7ZY

謎にアルヨが入ってる…違うヒロインだ!!すみません、誤字です

5:桜◆kk:2017/10/02(月) 15:51 ID:7ZY

キセキの世代3人目

あたしが大ちゃんと出会ったのは…
いや、出会ったっていうのは少し違う。なんせ、大ちゃんはあたしと征ちゃんと同じクラスだったのだから。

あたしと大ちゃんが仲良くなったのは席替えで隣になったのがきっかけである。

「征ちゃんやったわ!あたし1番後ろの席よ!」

「そうか、よかったな」

「うん!」

入学式からしばらくしてようやくみんなが学校生活に慣れてき日、担任の提案で席替えすることになった。

そして運良くあたしは窓側から二番目の一番後ろの席になった。

隣誰かなとワクワクしながら席を移動させる。

「「あ」」

隣の席はなんとガングロくんだった。最初の席ではあたしの斜め前で征ちゃんの前の席だったガングロくんだが、彼は征ちゃんと話すだけであたしはそんなに話したことはなかった。

「よろしく」

「おう」

あたしたちの会話はそれで終わった

つまらないので征ちゃんはどこかな〜と探すと教卓の真ん前で彼を見つけた

かわいそうな征ちゃん…ぷぷっ

なんて思っていると征ちゃんがこちらを振り向いて睨んできた。

え、何あの人怖い

2時間が始まって暫くしたらなんだか暇になってきた。以前の席なら授業中に板書する手を休ませたら、容赦無く隣の席からシャーペンやら消しゴムが飛んできた。

私はチラッとガングロくんを見る。ガングロくんはぼーっとしなが黒板を眺めている。

こいつは面白くないわ、と思い黒板をもう一度見ると、隣のガングロくんの席から紙をめくる音が聞こえてきた。

さっきまでぼーっとしてた奴が、ベタに教科書で隠しながらエロ本を読んでいた。

「何読んでんの?」

「堀北マイちゃんのグラビアこのおっぱいがいいんだよなー…」

「あたしの方がおっきいわね」

「まじかよ。触らせろ」

「いやよ。10万円払いなさい」

「じゃあ揉ませろ」

「10万」

しばらくそんなやり取りをしていたら、先生に気づかれた。

「ちょっと青峰くん、朱崎さん、うるさいです。ってか青峰くん、教科書で隠してもエロ本読んでるのバレバレです。没収します」

「揉ませろ」

「10万」

「揉ませろ」

「10万」

先生に注意されても暫くやめないあたしとガングロくん。あたしは恐いのでガングロくんの足を踏んづけてやった。

何が恐いってそりゃ教卓の真ん前に座っている赤髪のお方に決まってる。あたしから見えるのは彼の後頭部だけなのに絶対怒っていると確信できる。

「あんたのせいでバレたじゃない…後で絶対征ちゃんに怒られる〜」

「悪かったな、ほらお詫びにコレやるよ」

そう言って彼が渡してきたのは、まいう棒だった。

「いやん、ありがとう!ガングロくん!!」

「おい、やめろよそれ」

お礼を言った後、まいう棒を受け取ろうと手を伸ばしたがガングロくんに頭を掴まれて阻止された。

「くれるんじゃないの!?」

「俺の名前は青峰大輝だ」

なるぼどガングロくんっていうのが気に入らなかったのね

「まいう棒ちょうだい、大ちゃん」

「大ちゃん!?」

「うん。可愛いじゃない」

そう言うと大ちゃんは笑ってまいう棒をくれた。

それからあたしは征ちゃんと大ちゃんと一緒に行動するようになった。

ーーーーーーーーーーーー

「おいナミ、青峰、なぜ怒られてるか分かってるよな?」

「「…授業中に騒いだからです」」

「そうだ。分かってるじゃないか。俺もあまり怒りたくない。反省しろよ」

「「はい…」」

授業後、めちゃくちゃ赤司に怒られた2人であった。

6:桜◆kk:2017/10/02(月) 15:52 ID:7ZY

ナミの苗字は朱崎です!しゅざきなみです!

7:桜◆kk:2017/10/02(月) 16:37 ID:7ZY

キセキの世代4人目

あいつを最初にみたのはいつだったか…

只今ここ帝光中はテスト期間。帰って勉強しようと思ってたところにバスケ部の副主将である赤司征十郎から図書室に来いと呼び出しを受けた。

「何の用なのだよ赤司」

図書室に踏み入って目に入ったのは青峰の隣にいる女。誰なのだよこの女。

最初は桃井かと思ったが、髪の毛の長さと色が違う。取り敢えず赤司のもとへ向かう。

「ああ、よく来てくれたな緑間。さあ、こっちに座ってくれ」

そう言って赤司が自分の左隣の席を引いた。左隣というとあの女の前。しかし赤司に言われては仕方がないので、渋々席につく。

すると女は俺と目を合わせたあと、俺の左手に視線を送った。

「何…その可愛い人形」

「これは今日の俺のラッキーアイテムなのだよ」

「へー、可愛いわね。このマツゲ」

「なんなのだよその名前は!これはそんな妙な名前ではないのだよ!カエルのケロ助だ」

「へー、でもマツゲの方が可愛いいからマツゲね!」

「赤司、なんなのだよこの女は」

隣の赤司の方に顔を向けるとたいそう呆れた顔をしていた。その向かいにいる青峰は腹を抱えて笑っている。

「緑間、彼女は俺らと同じクラスのナミだ。ほら、お前も挨拶しろ」

「…緑間真太郎なのだよ」

眼鏡を押し上げながら自己紹介をした。なんというか、女子は苦手だ。

「あたしはナミなのだよ。よろしくなのだよ」

「真似をするな!」

「お前、似合わなすぎだろ!!ぶふっ!!」

「緑間、悪いがナミの勉強見てくれないか?俺は青峰ので手いっぱいなんだ」

何故俺が…と思ったが自分の勉強にもなるだろうと思い、渋々承諾した。

「よろしくお願いします。いろりまくん」

「緑間なのだよ」

「いろりまて…ぶふぉ!」

「おい、とっとと始めるぞ」

赤司の声をきっかけに早速勉強に取り掛かった

「おい、そこはさっき教えたばかりなのだよ」

「青峰、そこはさっき教えた公式を使えと言っただろ」

どうやらこいつらの頭はそんなに悪くはなく、むしろいい方だが、同じところで間違える厄介ものらしい。

「えー、かぶりまくんの言ってること難しくてわかんないのよ」

「緑間なのだよ」

「さっきの公式ってどれだ?」

はぁーと赤司と同時に溜息をつく。この調子じゃ全く進まないのだよ

「あたし国語じゃなくて理科がしたい〜」

「ダメだ。ナミは国語が壊滅的だから、まずは国語からだ」

「征ちゃんの意地悪…」

「…続けるのだよ」

ーーーーーーーーーーーー

「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか」

赤司がそう呟いて初めて外が暗くなっているのに気がついた。

「「はぁー、疲れた」」

「それはこっちの台詞なのだよ」

「ナミ、家まで送ろうか?」

四人で校門まで行ったところで赤司が彼女にそうきいた。

「大丈夫よ。今日ノジコと外食する約束してるから、もうすぐ迎えに来るわ」

「そうか」

「気ぃつけろよ」

「うん!また明日ね!征ちゃん!大ちゃん!ワトソンくん!」

後ろから大声でそんな声が聞こえてきた。

「…ワトソンくん?」

「ぶふっ!!ギャハハハハ!!!」

「…緑間、明日彼女に会ったら下の名前で呼ぶように言ってみろ」

ーーーーーーーーーーーー

今日のラッキーアイテムはみかん飴なのだが、手に入れることができなかった。

すると後ろから聞いたことのある声がした。

「あー!緑頭眼鏡くん!!」

緑間なのだよ、と言おうとして振り返ったら昨日のナミとかいう女がいた。

が、重要なのはそこではない。なんと彼女の手にはみかん味の袋が握られているではないか。

「お、お前それは…!…そのみかん飴を今日だけ俺に貸してくれないか?」

俺は必死の形相で彼女の肩を掴んだ

「貸すだけなら全然いいけど…」

こうして俺はラッキーアイテムを手に入れた

「お、礼にし、下の名前で呼ばさせてやっても構わないのだよ」

「ほー…じゃあまたね、真太郎!」

「あ、ああ、またな。な、ナミ」

ーーーーーーーーーーーー
「どう?あたしの手作り弁当!うまいでしょ?特別にタダよ」

「…普通なのだよ」

「そこは嘘でもうまいって言いなさいよ!!」

「やめろ!バットを振り回すな!それは俺のラッキーアイテムなのだよおおおおお!!!」

8:桜◆kk:2017/10/02(月) 17:12 ID:7ZY

キセキの世代5人目

これは2年生の春。俺がバスケ部に入る前の話

今日はモデルの仕事があったので午前中は授業を休んで、俺は昼休みの今登校している途中だ

俺の姿を見つけた女達に一応笑顔で手を振る。すると女共は騒ぎ出す。あー、ありがたいけどうるさいっス

心の中ではそんなことを思いながら、笑顔で廊下を歩く。

ガラッ

「じゃあ放課後お菓子持ってくるわね!またブッ」

俺が開ける前にドアが開き女が俺にぶつかってきた。ってか“ブッ”とか女子としてどうなんスか

「いったー!何?誰よ!!」

女が俺のほうを見た

「大丈夫っスか?」

と言いながら女の頭を撫でた。大体の女の子はこれで顔を赤らめる。しかしこの女は違った

「気安く触んないで。誰よ、あんた」

パシッといい音を鳴らせて俺の手を払った。

「俺のこと知らないんスか?」

そう問うとその女は顎に手をあてて考える素振りをした。

「知らない。」

「いや、俺の名前黄瀬涼太ですけど」

「へー」

「……」

なんだコイツ誰だ、とでも言いたげな顔で俺をみてくる女。俺のこと知らないんスね。

「俺モデルやってるから、みんな知ってると思ってたんスけど…あんた流行りとか知らないんスね」

「…なんだ、びっくりした。俺のこと知らないんスか?とか聞いてくるからどっかで会ったことあるのかと思ったわ」

俺の皮肉を全く気にしないでそう言った女は、じゃーね金髪君と言って俺の横を通り過ぎていった。

…変な女

あの変な女に再開したのはそれからすぐのことだった。

あの女に初めて会った日の放課後、特にすることがなくて教室から外を眺めていた。教室には俺1人しかいないのでとても落ち着く。

ガラッ

せっかく心地がよかったのに誰かがドアを開ける音のせいで台無しになった。誰だと思ってドアのほうを振り返るとアイツがいた。

「あれ?むっくんは?」

「むっくん?」

「紫原敦よ」

「あー紫原くんか…もう部活に行ったんじゃないっスか?」

「もー…なんで教室にいないのよ…あれか、体育館まで持ってこいってことか…」

俺のことなんか見向きもしないでブツブツ独り言を言ってる。こんな女初めてだ。

「なぁ、あんた名前なんて言うんスか?」

俺は彼女に近づきながら問う。

「人の名前を聞くときは、自分から名乗るのが礼儀でしょ」

「いや俺昼休み名乗ったスよ!覚えてないんスか!?」

「え?あー、……「黄瀬涼太っス!」

なんなんだこの女

「あーハイハイ。なんか聞いた気がするわ。あたしはナミ!」

くっそイライラする。俺は女の前まできて彼女を見下ろす

「へ〜、ナミちゃんねー。…俺とイイことシないっスか?」

「イイこと?」

可愛い顔してるし、体型だって悪くない。いい遊び相手ぐらいにはなるだろう。俺はナミちゃんの後頭部に手をまわして、ぐいっと引き寄せ、口付けようとした。

「っっ!?いったあああああ!!!!」

もうあと少しで唇が重なるってときに突然男の大事な部分を蹴り上げられた。

「あたしに手を出すなんて100万年早いわ!出直しなさい!」

高笑いしてるナミちゃんを睨みつけたいけど、それどころじゃない。今迄感じたことのない痛みが俺を襲いその場にうずくまる。

「え、そんなに痛かった?ご、ごめん」

ナミちゃんがしゃがみ込んで俺の顔を覗いてきた。かなり焦った顔をしてる。

「はーっ、散々な目にあったっス」

「だからごめんって言ってるじゃない。手加減するの忘れてたわ」

あのあと、罪悪感を感じているのかナミちゃんはシュンっとしてしまった。なんか小動物みたいで可愛い

思わず手がのびてナミちゃんの頭を撫でてしまった。しかし昼休みと違って振り払われることはなかった。

ちょっと嬉しいとか思ってしまった

ナミちゃんの顔をチラッと覗き見ると意地悪が成功したときのように、ニヤリと笑っていた。

…ドキン

胸が高鳴った。これが俺とナミっちの出会い

ーーーーーーー

「ナミっちーー!!!」

「うるさいわよ、駄犬」

「駄犬じゃないっス!!」

「何よ、黄瀬涼太」

「なんでフルネーム!?下の名前で呼んでくださいっス」

「えー…涼太くん?」

「っいいっスねそれ!もぉ、ナミっち可愛い」

「ちょっ、抱きつくなァ!!!」

「グフォッ」

9:桜◆kk:2017/10/02(月) 18:15 ID:dN.

キセキの世代6人目

僕が初めて彼女を見たのは、まだ僕が一年生で青峰くんともまだ仲良くなっていない時

その日帝光中はテスト期間で部活もなかった。参考書を借りようと僕は図書室へ立ち寄った

図書室に入ってすぐに目に入ったのは青峰くんと赤司くん

「征ちゃん!ここわかんない」

すると、女の子の声が聞こえてきた。彼女の方に目を向けると、オレンジの髪が見えた。

「ちょっと待て。今青峰に教えているところだ」

返事をして彼女は疲れたのか伸びをした

そしていきなりこちらを振り返った。一瞬彼女の目が合ったが、彼女は何事もなかったかのように正面に向き直った

これが僕が初めて彼女を見た日だった。僕はあの赤司くんと青峰くと一緒にいた彼女に興味が湧いた

僕が廊下を歩いているとよく赤司くんと青峰くんと並んで歩いている彼女を見かける。どうやら彼女は赤司くんと青峰くんと仲がいいみたいだ

なんて思っているとある時、眼鏡を片手に持って廊下を走っている彼女とすれ違った。その彼女の後を追いかける、これまたバスケ部の緑間くんを見かけた

またある時は、コンビニでこれまたバスケ部の紫原くんとお菓子談義しながらお菓子コーナーに突っ立っている彼女を見かけた

またある時は、我等がバスケ部の主将である虹村先輩にしがみ付いている彼女を見かけた。…先輩に何してるんですか

またまたある時は、不良で喧嘩っ早いと言われている、またまたバスケ部の灰崎くんを引きずりなが廊下を歩く彼女を見かけた

そして二年生になって黄瀬くんがバスケ部に入って、僕がキセキの世代とも仲良くなった時、黄瀬くんに抱きつかれている彼女を見かけた

どうやら彼女はバスケ部の人と仲がいいらしい。でも、マネージャーではないはずだ

ーーーーーーー

ある時僕は具合が悪くなったので、保健室へ向かった

保健室の扉を開けると真ん前に保健室の先生が立っていた。どうやらちょうど保健室を出ようとしてたらしい

「どうした、黒子屋…」

この保健室の先生はロー先生といって、クマが濃くて恐そうな人だ

「具合が悪くて…」

「そうか…悪いが俺は今から用があってここにいられねェんだ」

「たぶん少し寝れば大丈夫だと思うんで気にしないで下さい」

「すまねェ。あ、今ベッド二つ共使われてんだ。けど、二人共仮病だからどっちか叩き起こしてくれて構わねェよ」

そう言ってロー先生は保健室を出て行った。二つあるベッドのうち手前の方にあるベッドのカーテンを開けた

「あ」

なんとそこに寝ていたのは僕が興味を持ったあの彼女だった

「あの」

「うー、ん、もう時間なの?とらおくーん」

取り敢えず肩を揺すったら彼女は目を擦りながら半分寝ぼけて起き上がった

「あれ、トラ男くんじゃない…」

「ロー先生なら用事があるみたいでさっき出て行きました。あと、すみません、ベッドを…」

「あ、もしかして具合悪いの!?ごめん!」

彼女は慌ててベッドから退いて僕の背中を押してベッドに寝かせてくれた

彼女が手を僕の額に乗っけた

「熱はないみたいね。いつまで寝るの?時間になったら起こすわ」

僕は素直に甘えることにして彼女に昼休みが始まる前に起こしてもらうように頼んだ

「時間になったわよ」

「ありがとうございます。だいぶよくなりました」

「いえいえ。元気になって良かったわ」

そう言って彼女は隣にあるもう一つのベッドにむかった

「大ちゃん!起きなさい!!昼休みよっ!!」

「あー、うっせぇな。もうそんな時間かよ…って、テツ!?」

「どうも」

なんともう一つのベッドに寝ていたのは僕の相棒の青峰くんだった

「大ちゃん知り合いなの?」

「まぁな。テツだ。黒子テツヤ」

「テツね。あたしはナミよ。よろしく」

「どうも黒子テツヤです。ナミさん」

「呼び捨てでいいわよ」

「いえ、癖なんで」

ふーん、じゃ!と手を振って彼女は保健室をあとにした

「青峰くん、ナミさんっていい人ですね」

「…ケチで暴力的だけどな」

僕は今日、新しい友達ができました

ーーーーーーー

「テツぅ!!!」

「重いですナミさん。抱きつかないでください」

「レディになんてこと言うのよッ!!!」

「拳を振り回しながら言わないでください」

「黒子っち羨ましいっス」

10:桜◆kk:2017/10/02(月) 18:50 ID:dN.

キセキの世代おまけ1

これはナミが青峰と仲良くなった後、まだ緑間と出会う前の話。

今は放課後。やっと授業が終わって、さぁ帰ろうとしたナミを呼び止めるものがいた。

「ナミ」

「何?征ちゃん」

そう彼女を呼び止めたのはバスケ部副主将の赤司征十郎。

「お前に頼みたいことがあるんだが」

「いやよ」

「まだ何も言ってないだろ」

「絶対面倒くさい」

「引き受けてくれたら昼飯奢ってやる」

「何なりとお申し付けくださいませ、若」

奢られるとなるとすぐに釣られてしまうナミ。そんな彼女の扱いをすでに熟知している彼。

「実はバスケ部の灰崎祥吾という男子を体育館まで連れてきてほしい」

赤司の話によると、その灰崎祥吾という男はサボり癖があってなかなか部活に顔をださないらしい。近々練習試合があるので絶対部活に出させたいということで彼を探して連れて来いということだった。

「俺が連れきてもいいが、その時間が勿体無いから暇そうなナミに頼みたい」

もちろん奢ってもらえるなら、とナミはその頼みを快く引き受けた。

「どこにいんのよ!」

ナミは図書室、保健室、中庭、いろいろまわったが何処にも彼はいなかった。もう放課後だし帰ったのではないかと一瞬考えたが、赤司がたぶんどこかで寝ていると言っていたのでそれはないなと考え直す。

「あっ!屋上!不良といったら屋上よ!」

なんともベタな考えだがあながち間違っていないみたいだ。

「やっぱり!見つけたっ!」

赤司と別れる前に聞いた灰崎の特徴と合致する人が屋上で寝ていた。

「ちょっとー!!起きなさーい!!!」

神楽は灰崎の耳元で大声を出した

「あぁン?うっせーなぁ」

灰崎がガバッと起き上がって耳を押さえる

「誰だテメェ」

そしてナミを睨みつけた

「あんたが…あ、あんたが…っあ!あんたが灰崎祥吾って人ね!」

最初のほうやけにどもっているなと思っていたら、どうやら灰崎の名前を忘れていたらしい。なんなんだ、この女とでも言いたげな顔でナミを見る灰崎。

「あたしはナミ!征ちゃんに頼まれてあんたを迎えに来たのよ」

「はっ、なんだ赤司の差し金か。部活なら行かねーって言っとけ」

そうナミに言って灰崎はまた寝転んだ

「それじゃダメよ!あんたを体育館に連れて行ったらあたし、征ちゃんに昼ごはん奢っってもらえるの!!」

「へ〜……お前赤司の彼女か?」

「違う。クラスメートで友達よ」

「ふ〜ん、その割には結構気に入られてるてェだな」

灰崎がニヤリと笑った

「なぁここ座れや」

灰崎が起き上がって自分の隣を叩く。ナミは警戒せず素直にそこに座った。

その瞬間灰崎に押し倒された

「へ?」

「お前を喰ったら赤司はどんな顔するだろうなァ」

灰崎は片手でナミの両手を頭の上で掴み、もう片方の手でナミの口をふさぐように顔を掴んだ

しかしナミもやられっ放しなわけがない。ガブっと顔を掴んでいる手に噛み付く

「いってェー!!」

そしてその隙に灰崎から抜け出した

「ちっ…」

舌打ちしてナミを睨みつける灰崎

「あたしに手を出そうなんて百年早いわ坊や」

そう言ってファイティングポーズをとるナミ

「テメェ…つーか女がファイティングポーズとるってどういうことだよ」

なぜかドヤ顔のナミに灰崎はなんか自分が馬鹿らしくなった

「はぁー」

「お、部活行く気になった?」

「しょーがねェから行ってやるよ」

「よっしゃ!昼飯代浮いた!!」

早く行くわよ、とはしゃぎながら灰崎の腕を引っ張るナミ

こんな女見たことねェ

そんなナミの様子をみて自然と笑みが浮かぶ

こうしてナミは無事に灰崎を体育館まで連れて行くことができた

「じゃーね、灰崎祥吾!これからはちゃんと部活出るのよ!!」

「呼び捨てしてんじゃねェ!先輩付けろ!!」

「じゃあハサミくん!」

「そんなダッセー名前付けんじゃねェ!」

「うるさいわねぇ…じゃあ崎ピョンね!またね、崎ピョン!」

「変なあだ名つけんじゃねェ!バカナミィ!」

ーーーーーーー

「部活でなさいって何度言えばわかるの!殴るわよ!!」

「もう数発殴られてるわ!つーか俺を引きずんなバカナミ!!」

「口答えしないっ!!」

「もぉー、勘弁してくれ…」

11:桜◆kk:2017/10/02(月) 19:20 ID:dN.

キセキの世代おまけ2

「あー…この学校体育館いっぱいあってわかんないわ」

あたしは今同じクラスの征ちゃんを探している。さっき第二体育館に行ったが、征ちゃんは第一体育館にいると言われた。

そう言えば、今までバスケ部の連中とたくさん絡んできたけど部活しているところを見たことはなかった。

「ま、あたしは見るより自分がする派だから」

見るだけなんてきっと退屈で寝てしまう。

「ここね」

第一体育館に着いて分厚い扉を開ける

「あれ…?まだ部活始まってないの?」

生徒がまばらにいるものの、本格的な練習ではなくて各々好きなようにシュートしたり1on1したりなど自主練のようだ。

「あ?ナミ?」

扉の前に突っ立っていると後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえたので振り返った。

「あー!大ちゃん!!」

そこにいたのは青峰大輝だった。彼は一年生のときに同じクラスだった。

「おー、なんか久しぶりな気ぃすんな」

「クラス離れてからあんま会わないからね」

とは言っても定期的に昼ご飯を一緒に食べることもあれば一緒にサボることもあるのだ。

「てか何してんだ?こんなとこで」

「征ちゃんにノート返しにきたんだけど、いないの?」

征ちゃんから借りたノートを大ちゃんに見せて問う。

「さっきまでレギュラーだけのミーティングがあったからよ、もうすぐ来ると思う」

そう言って大ちゃんはさっき自分が来た方向に目を向けた。つられてあたしもそっちを見たら目当ての人が資料を見ながらこっちに歩いて来てた

「あ、本当だ」

「まぁな」

何故か誇らし気な大ちゃんを一瞥してまた征ちゃんを見る。

「征ちゃん!!」

資料をずっと見ながら歩いているからなのかあたしに気づかないので、頃合いを見て声を掛けた。

「ん?ナミか、どうした?」

声を掛けると資料から顔を上げて少し急いでこっちに来てくれた。

「お前にノート返しに来たんだとよ」

隣りにいた大ちゃんが代わりに言ったのであたしは頷いてノートを差し出す。

「わざわざすまない。ありがとう」

「いやいやお礼を言うのはこっちよ!ノートありがとう!」

それから少しだけ分からない問題を征ちゃんに教えてもらっている(大ちゃんも強制的に教えられている)と聞いたことあるような声があたしを呼んだ。

「ナミっちーーー!!!」

「…ん?誰かに呼ばれた気がするわ」

「ナミっち!!」

「気のせいだな」

「気のせいだね」

「気のせいね」

「ちょっと、酷いっスよ三人共!」

さっきからキャンキャンうるさいこいつは黄瀬涼太。何故知り合いになったかは…忘れた。

「あれ?何であんたここにいんの?」

「なんでって…バスケ部だからっスよ!」

「え、涼太くんバスケ部だったの!?」

「こいつ最近入ったばっかだけどな」

大ちゃんが親指で涼太くんを指差しながらそう言った。

「っていうかナミっち、2人と知り合いなんスね」

「まぁ俺は、今と一年生の時に同じクラスだから。青峰は今は違うが一年生の時にクラスが一緒だったよ」

征ちゃんが丁寧に説明すると涼太くんは納得したみたいに、へーそうなんスかと呟いた。

「お前黄瀬と知り合いだったのか」

「なんで知り合ったかは覚えてないけど」

大ちゃんとヒソヒソ話していたらまたあたしを呼ぶ声が聞こえた。

「神楽ちーーん」

「むっくんんんん!!」

紫色の髪の毛をした長身の彼、紫原敦が手を振ってこっちに来たので、あたしも全力で手を振り返した。

「なんなんスか、この差」

12:桜◆kk:2017/10/02(月) 19:33 ID:dN.

キセキの世代おまけ2ー2

「あ、真太郎とテツもいる!」

「久しぶりなのだよ」

「どうも」

むっくんの後ろにお祭りとかでよくあるりんご飴を持った緑間真太郎と水色の髪の毛をした黒子テツヤがいた。

なにあのりんご飴、おは朝鬼畜かよ…

「ナミっちみんなと知り合いなんスね…」

「まぁね」

そんなことよりもあたしは真太郎が持っているりんご飴の方が気になる。

「ナミ、りんご飴見過ぎだ」

征ちゃんに言われて一瞬テツを見たが、すぐに目は真太郎のりんご飴を捉える。

「ちーっす。遅れましたー」

そう言って現れたのは灰崎祥吾。

なんだかその場の雰囲気が悪くなった気がする。涼太くんの眉間にシワが寄っていた。

「遅刻だ灰崎」

「ワリぃワリ…な、ナミ?」

「よっ、崎ピョン」

「変なあだ名で呼ぶな!あー!俺用事あったわ、帰る」

そう言って彼は逃げるように去った。何なのよあいつ。

「ショーゴ君とも知り合いなんスね」

涼太くんの問い掛けに応えようとしたら、違う人の声に遮られた。

「おいテメェら!!何してんだぁ」

「あー主将だ〜」

むっくんがそう言ったのでバッと声がした方を向く。するとその人と目があった。

「あ?…お、お前「しゅーーーにーーーいーーー!!!!」

勢いよくその人の方に向かって走り、そのまま正面から飛び付いた。

「「「「「え?」」」」」

「…ナミさん、何してるんですか?」

「えー?修兄に抱き付いてる」

「ちょ、お前離れろって!一々抱き付いてんじゃねぇよ!」

グイグイと修兄はあたしを引き剥がそうとするが、必死に食らいつく。

キセキのみんならはポカーんとその光景を見ている。

何分かその攻防戦を繰り広げたが結局修兄が諦めた。

「主将とも知り合いだったんスか!?」

「知り合いっていうか、家が近所なんだよ」

「修兄とがこの中で1番付き合い長いわね。ノジコのことも知ってるし」

そう言いながら降りたら、あー重かったと言われので今度は後ろから飛び付いた。

「ちょっ、首締めんじゃねぇ」

「ナミ、そろそろ降りたらどうだ」

「主将困ってんぞ」

「そうっスよ!」

なんだか若干不機嫌な声になってる気がする。

どうしたのよ、こいつら?

「ナミさん、そろそろ練習始めるみたいなので降りてください」

「ナミちーん、ほら峰ちんの財布あげるから」

「あっ、テメ、紫原!!」

はっっ!!分かった!こいつらも修兄におんぶされたいのね!!!

「くっ…お、お金で釣れるとお、お、お、思わないでよっ!!!」

「思いっきり釣られそうじゃねぇか」

「修兄は黙って!あんたたち、そんなことまでして修兄におんぶされたいの!?」

(((((いや、ちがうわ)))))

(本当に馬鹿なんですねこの子)

(何キモいこと言ってんだナミのやつ、つーかどうでもいいから早く降りろ疲れた)

「訳がわからないことを言うな、先輩に迷惑がかかっているのだよ」

「じゃあ真太郎がりんご飴くれたら降りる」

そう言った瞬間バッとみんなの視線が真太郎にいく。

「ぜ、絶対ダメなのだよ!」

くそ…でもあたしは諦めないわよ。そのりんご飴を取れば真太郎の泣き顔が見れるかもしれないんだから!!!

「はぁー…しょーがねぇ…帰り何か奢ってや「早く練習を始めなさい!!」

奢ってやると聞いて速攻で修兄から降りた。

「まだ最後まで言ってねぇよ。ってか切り替え早ぇし、何で上から目線なんだよ」

13:桜◆kk:2017/10/02(月) 19:39 ID:dN.

キセキの世代おまけ2ー3

「おい、ナミィー」

「う、うぅ?」

あれ…いつのまにか寝てた

「ほら、家ついたぞ」

あたしは修兄におぶられていた。たぶん修兄を待っている間に寝てしまったんだ。

「奢るのはどうなったのよぉ…」

まだ覚醒しきっていない頭でそう尋ねる

「お前が寝てたから適当にお菓子買った。フルーツキャンディでよかったか?」

「にじむーーーー!流石ね!あたしのこと分かってるわ」

「はいはい。あとそのあだ名はやめろ。そして早く降りろ。ノジコがこっち見てる」

今から何処かに出掛けるのか、確かにノジコが玄関の前に突っ立って修造をニヤニヤ顏で見ている。

このままでは修造がかわいそうになってしまうので仕方なく背中から降りる。

「じゃーな、ナミ」


「うん。またね」

ーーーーーーー

「修ちゃぁああああん!」

「おいコラぁ!そのあだ名やめろ!!あと抱き付くな!!!」

赤(別に羨ましくないからな)

青(チッ)

黄(俺にも抱き付いてほしいっス)

紫(俺の神楽ちんが〜…)

緑(あの後結局りんご飴取られたのだよ)

黒(………)

14:桜◆kk:2017/10/03(火) 00:01 ID:dN.

なんか色々、ナミが神楽になってる…笑
ナミさんも好きだけど、神楽も好きなんです。癖でうっちゃうんです。ごめんなさい。

15:桜◆kk:2017/10/03(火) 02:56 ID:dN.

キセキの世代おまけ3

最近、大ちゃんの口から“ナミ”という名前がよく出てくる。

一年生の時に同じクラスで、今も定期的にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られてるらしい。

これは、大ちゃんの幼馴染として、日頃のお礼を言わないと!

さっそく、昼休みにナミさんのクラスへ行ってみる。

「ナミさんいますか?」

「あ、あたしあたし!どーしたの?」

ナミさんはオレンジの短い髪の毛を二つに結っていて、セーターを着てリボンは付けていなかった。

「桃井じゃないか。どうしんだ?」

「征ちゃん、この子のこと知ってるの?」

「ああ。バスケ部のマネージャーの桃井さつきだ。」

「そうなの…あたしは朱崎ナミ!よろしく!」

赤司くんと仲が良いいというナミさん。だからあの愛想のかけらもない、ただただエロいだけのガングロとも仲良くやれるわけだ。

「ナミさん、いつも青峰くんと仲良くしてくれてありがとうございます。」

「何でさつきがお礼言うの?」

「桃井は青峰の幼馴染なんだ。だからだろう」

「あいつと一緒にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られたり…迷惑ばっかりかけて、これからもかけると思いますけど、これからもよろしくお願いします。」

深々と頭を下げる。すると、ナミさんは私の頭を撫でてきた。

「さつきって何か可愛い犬みたい…どっかの駄犬とは違う、賢くて可愛い犬」

…きーちゃんだ、駄犬ってきっと。

「それに、お礼言うのはあたしの方だもん!」

頭を上げると、ナミさんはニヒッと笑って赤司くんの肩に腕を置いていた。

「あたし、征ちゃんと大ちゃんはもちろん、むっくんと涼太くんとテツと真太郎と出会って、中学生活すっごく楽しいの!」

涼太くんには調子乗るから言わないけどね、と付け足しながらも、ナミさんは嬉しそうに笑っていた。

「だからあたしは、みんなにお礼を言うの!」

それ以降私は、ナミさんと仲良くなった。

ーーーーーーー

「ナミさん!このパーカーお揃いで買いませんか!?」

「あ、安いし、動きやすそうだしいいわね!」

「じゃあ私、黄色にします!」

「じゃあ、あたしは白!」

「…女の子っていいっスよね、青峰っち」

「あァ?どこに女の子とやらがいるんだよ…ゴフッ」

「何か言ったかしら?」

16:桜◆kk:2017/10/03(火) 17:36 ID:dN.

やばい。かなりやばい。どれくらいってゆーと、すごくやばい。

「ナミっちと校門で会えるなんて珍しいっスねー!」

「あ、ああ、うん。そうね…」

隣でシャララしてんのは、キセキの世代の1人でモデルをしている黄瀬涼太。

周りの女の子の目が痛い。ヒソヒソと悪口を言う子もいれば、わざと聞こえるように言う子もいる。…気付いてないのか、この駄犬は

「ナミっち聞いてるっスか?そこで青峰っちが〜…」

そこへ、車が校内に入って来た。少し反応が遅れた。すると、涼太くんが腕を引いてくれて轢かれずに済んだ。

「大丈夫っスか!?ナミっち!!」

抱き締められている形になってしまったので、周りからは悲鳴が聞こえる。

「ッ大丈夫だから!!」

あたしは急いで涼太くんを押しのけた。そして、置いて行くようにスタスタ歩く。

「ナミっち、どうしたんスか?悩みごと?」

小走りで追いかけて来た涼太くんは、あたしの頭に手を置いた。

「ッ何でもないわよ!」

歩くスピードを更に上げる。…これ走ってるくね?

「ナミっち、俺怒らせるようなことしたっスか?」

すると、女の子たちが涼太くんの周りにたくさん集まって来た。みんなあたしを睨んでいる

「黄瀬くん、朱崎さんなんか放っといて私と教室行こ〜?」

「何か勝手にキレてるし。意味分かんない」

意味分かんないのはこっちよ、という言葉を飲み込んであたしは本気で走った。

「ちょ、ナミっち!!」

涼太くんは女の子たちを振り払ってあたしを追いかけて来た。あたしも頑張って逃げるけど、やっぱりバスケ部には敵わない。あっという間に追い付かれた。

「ナミっち!!どうしたんスか!?俺、何かしてたら謝るっス!!!」

腕を掴まれて、振り払おうにも振り払えない。これが男女の差か

「何でもないって言ってるでしょ!!?あんたのそのしつこいところ、うざいのよ!!」

言い終わってからハッとした。涼太くんの顔を見ると、酷く傷付いた顔をしていた。

「ご、ごめん、涼太く「ごめんっス、ナミっち…俺、うざかったっスよね。…もうしつこくしないっスから…」

そう言うと涼太くんはあたしを置いて教室に向かった。

あたし、友達を傷付けてるだけじゃない…!最低だわ…

17:桜◆kk:2017/10/03(火) 18:09 ID:dN.

「…先生、お腹痛いんで保健室行って来ます」

その日、なかなか気分が上がらないあたしは、保健室へ向かった。

「トラ男くん、ベッド貸して」

「…先客がいる」

は?誰よ!と思ってカーテンを開けると、大ちゃんだった。…つーか隣のベッド空いてんのにカーテン閉めてんじゃないわよ、不良教師!!

「…大ちゃんあたしね、最低なの。涼太くんのこと傷付けちゃった。うざいって言っちゃった…もう…、嫌われたかな…?」

寝てる大ちゃんに、自分の気持ちを言ってみた。最後の方が、鼻声になる。

「あたし本当は涼太くんのこと、大好きなんだよ…?征ちゃんも大ちゃんも、真太郎もむっくんもテツもさつきも…みんな大好きなのに、何で素直になれないのかな…?」

涙が出て来て、あたしは急いで隣のベッドに潜り込む。すると、大ちゃんの声がした。

「その気持ちを伝えたらいいんじゃねぇの?それに、あいつがうざいのは元からだろ」

大ちゃんの方を見ると、目を瞑ったままで。天邪鬼のあたしに気遣ってくれたんだ。

「…何か、気遣いのできる大ちゃんとか…大ちゃんじゃないみたいで正直キモイ…」

「っテメ、ナミ!人がせっかく気遣ってやったのに「でも、ありがとう。何か元気出た!」

お礼を言うと大ちゃんは少し黙ってから、照れ臭そうに笑いながらおう、とだけ返事をした

「あたし、涼太くんにちゃんと言うわ!自分の気持ち!うざいけど、大好きだって!あ、もちろんあんたたちも大好きだからね!」

そう言ってあたしは、保健室を出た。狙うのは、涼太くんが部活に行く前か、帰る前。

18:桜◆kk:2017/10/03(火) 22:37 ID:dN.

ナミっちに、しつこいところがうざいと言われた。我慢、させてたんスかね?

「ナミっちーーー!!!」

「涼太くん!」

姿を見れば駆け寄って、抱きついたり、普通に喋ったり、試合の次の日で活躍を知ってもらってたら頭を撫でてもらってたり…

全部、むりやり笑顔を作ってやってたんスか?ナミっち…

「先生、気分が悪いので保健室に行って来るっス」

先生にそう言って、保健室に向かう。ロー先生に声をかけて、ベッドで寝ようとした。するとナミっちの声が聞こえたから、カーテンを開けようとしていた手を思わず止めた。

「…大ちゃんあたしね、最低なの。涼太くんのこと傷付けちゃった。うざいって言っちゃった…もう…、嫌われたかな…?」

どうやら、青峰っちに話しかけてるようで、彼女の声は最後の方になるに連れて鼻声になった

「あたし本当は涼太くんのこと、大好きなんだよ…?征ちゃんも大ちゃんも、真太郎もむっくんもテツもさつきも…みんな大好きなのに、何で素直になれないのかな…?」

きっと彼女は涙を流している。布団をゴソゴソする音も聞こえた。

良かった…嫌われたんじゃないんだ。そう思うと、気分が良くなって来た。急いで教室に戻る

ナミっち、俺も君が大好きっス

でも、まだ心の準備ができてないから待ってて欲しいっス

19:桜◆kk:2017/10/04(水) 00:01 ID:dN.

授業が終わって、すぐにあたしは教室を出た。体育館の前で涼太くんを待つ。

「っ!涼太くん!!」

「な、ナミっち!?」

声をかけると、逃げられてしまった。あたしはすぐに追いかける。

「涼太くん待って!待ちなさい!!」

中庭に逃げられたけど、それが運の尽きね。女子たちが騒いでるところに黄瀬涼太よ!!

「涼太くん!!」

女子たちをかき分けて必死に涼太くんのところへ行く。それでも涼太くんは逃げる。

「っ涼太くん…」

あーー!!もうっ!怒った!!!!

あたしは急いで中庭を見渡せる階段へ向かう。そして、思い切り叫んでやった。

「黄瀬涼太ーーーー!!!!!逃げてるんじゃないわよっ!!あんたそれでもモデルかーっ!男かーーっ!!!」

あたしの声は中庭の隅々まで聞こえただろう。涼太くんを囲んでた女子たちも、涼太くんも、部活に行く途中だった人も、みんなあたしの方を見る。

すぐに階段を降りて、女子たちをかき分けて涼太くんのところへ行く。

「捕まえたッ!!」

「ナミっち!!俺は男っスよ!女の子たちがいる前でひどいっス〜!!」

「うるさいわよ駄犬!あんたが逃げるのがダメなんでしょーが!」

「だって〜」

あれ?何だかいつもの感じに戻ってない?あたしは何だかおかしくなって、笑いだした。

「どうしたんスか?ナミっち」

「ふふっ!だって、仲直りできたんだもん!」

「っはは!そうっスね!!仲直りっス!」

しばらく2人で笑い合っていると、女の子たちの中からむっくんがやって来た。

「仲直りおめでと〜黄瀬ちん、ナミちんー。でも部活始まるよー」

むっくんの言葉に、涼太くんはハッとして女の子たちをかき分けて体育館へ向かう。

ーーーーーーー

「仲直りしたから、ハグしようよナミっち!」

「は?調子乗るんじゃないわよ、駄犬」

「ナミちん俺は〜?」

「むっくんんんん!!!」

「差別を感じてるっス!!」

「しっしっ、あっちへ行きなさい。駄犬」

「ひどいっスー!!」

20:桜◆kk:2017/10/04(水) 19:23 ID:dN.

今日は卒業式である。ナミやキセキの世代たちがお世話になった虹村や、逆にお世話をしていた灰崎が卒業する。

「修兄ー!!」

「抱き付くなナミ!涙と鼻水が付くじゃねぇか!」

「だって修兄がいなくなるのよ!?寂しいじゃない!」

虹村に抱き付くのが終わったかと思うと、次は灰崎を探すナミ。キセキの世代は虹村や、他の部活の先輩と写真を撮る。

「崎ピョーン?」

「ナミさん」

「ひっ!…って何だテツか」

背後からいきなり黒子に声をかけられ、驚くナミ

「灰崎先輩なら、屋上にいるそうです」

「は?卒業式なのに?まったく…あんの不良は最後まで世話が焼ける…」

ぶつくさ言いながらも、黒子にお礼を言ってから屋上へ向かう。黒子はいつものポーカーフェイスで、ただナミの背中を見つめていた。

「灰崎祥吾ーーー!!!!」

「うるせぇバカナミ!!…んで、何の用だよ」

「あんた卒業生でしょ?みんなと写真撮らないの?」

「…撮らねぇよ。別にもうバスケ部でも何でもねぇし」

「ふーん…じゃああたしが撮ってあげる!」

持っていたケータイのカメラを開いて、無理やり嫌がる隙も与えずに灰崎と肩を組んで、写真を撮る。

「あ!!ブレてる!何で!!?」

「…ったくしょーがねェなぁ…貸せ」

「きゃっ」

ケータイを奪い取り、ナミを押し倒してその隣に自分も寝転ぶ。

「カメラ見ろ」

「あ、はいチーズ!」

カシャッ

2人の手でカメラを持ち、シャッターを押す。

「あ、ブレてない!!」

「へっ、俺が押したからな」

ナミがカメラロールを確認すると、ムフッと笑った。

「おい、俺に送っとけよ。その写メ」

「ぜーったいいや!じゃぁね〜」

「あ、テメ、バカナミィ!!!」

写真の中の2人は、心の底から笑っていた。

21:桜◆kk:2017/10/05(木) 10:42 ID:dN.

「にじむー!!」

「だからそのあだ名やめろ!!」

崎ピョンと写メを撮って、修兄や征ちゃんたちがいるところに戻る。

修兄は中学を卒業したら、アメリカに行っちゃうから本当にお別れだ。

「修兄、一緒に帰りましょ!」

「…ナミ」

みんなと写メを撮り終わってから、家が近い修兄と帰る。何か話そうと思ったけど、口を開けば涙と鼻水が出そうだから話せなかった。

「ね、ねえ修「ナミ…」

それでも話そうと思ったら、修兄があたしの名前を呼んだ。

「どうしたの?修兄…」

「ん、」

修兄はあたしの肩に顔をうずめた。

「…やっぱさー、あいつらと離れるってなったら寂しいんだわ…」

あたしは抱き締めることも、頭に手を置くこともしない。きっと修兄はそれを望んでないから

「緑間はおは朝占い信者だし、青峰はアホでエロいし、黄瀬は何かうざい駄犬だし、紫原はお菓子ばっか食ってるし、黒子は何考えてるか分かんねぇし、赤司は…、いや、何でもねぇ…」

何で征ちゃんのことは言わないのかは謎だけど、要するに修兄は、みんなのことが大好きなのね

「キャラが濃いやつばっかでさ、退屈しねぇですんだしな…」

それは分かる。みんなといたら、それだけで楽しい。さつきも、崎ピョンも同じぐらい楽しいけど

「いざってなるとさー…不安だわ」

「…ったく、何言ってんのよ。」

修兄の肩を押して、顔を上げさせる。そして、真っ直ぐ目を見つめる。

「あんたがしんみりするって柄じゃないでしょ!あいつらのことは…あたしがあんたの分まで面倒見るから!あんたは安心してアメリカに行きなさい!」

「…そうだな。」

修兄の家の前でお別れ。あたしはバシッと背中を叩いてやった。

「不安になったらいつでも帰って来なさいよね!あたしが背中を叩いてあげるから!!」

「おう!ありがとな、ナミ」

ーーーーーーー

「修兄の代わりにあんたたちの世話を見ることになりました。ナミです」

「ナミさんがマネージャーになるなんて、意外ですね」

「あたしは監督も主将もできないから。さつきと一緒にがんばるわ!」

「ナミさん一緒にがんばりましょうね!!」

「ナミっちー!!マネージャーになったって本当スか!?」

「うっさい駄犬!!!」

「ギャインッ!!」

22:桜◆kk:2017/10/05(木) 11:55 ID:dN.

あたしは帝光中学のマネージャーになった。マネージャーといっても、さつきの仕事のサポートが主な仕事だけど。

「ナミっち!!クラス一緒っスね!」

「俺もなのだよ。」

三年になったあたしたちのクラスは変わり、ずっと一緒だった征ちゃんと離れて、涼太くんと真太郎と一緒になった。

「真太郎、ナミのことは頼んだよ。サボったりしてたら止めてくれ。…殴ってでも」

「あたし死ぬわッ!!!」

変わったのはクラスだけじゃない。

征ちゃんもだ。

初めて違和感を感じたときは、部活の新人かと思った。本当に別人になったんだ。

ーーーーーーー

「あなたは征ちゃん?それとも違う人?」

「…僕の存在に気付いたのは君と虹村さんぐらいだよ。」

修兄も気付いてたんだ…ってことはやっぱり征ちゃんじゃないってこと?

「僕は赤司征十郎。もう1人の赤司征十郎だ。もう1人の赤司が、勝つために僕を作り出したんだ。」

背筋が凍りそう。征ちゃんの“勝ち続ける重圧が歪んだ形で姿を現した姿”がこの赤司征十郎なんだ…

「あんたはじゃあ、征ちゃんのことをどう思ってるの?嫌い?」

「何を言ってるんだ。護るべき対象なだけだ」

「あんたはあたしが知ってる征ちゃんじゃない…けど、あんたも征ちゃんよ。だから、征ちゃんがあんたの中から出てくるまで、あたしはあんたを征十郎って呼ぶわ。」

「ああ。ありがとう。僕は君に嫌われたくないからね。」

全くの別人を作り出した征ちゃん。征ちゃんと征十郎は、どういう関係?征ちゃんは征十郎を知ってるの?

分からないことだらけだけど、唯一分かったことがある。

それは、どっちもあたしの好きな赤司征十郎ってことは、変わりないってこと。

ーーーーーーー

「ナミ、僕のタオルを取ってくれないか。」

「ああ、これ?はい」

「ありがとう。」

「征十郎!」

「?」

「いいプレイ、できてんじゃん!」

「…当たり前だろう。僕は勝者にふさわしい」

23:桜◆kk:2017/10/06(金) 16:31 ID:dN.

今日は部活がないから早急に家に帰って、コンビニに行くと、高校生ぐらいの人が黒飴を買っていた。背はむっくんより少し低いぐらいかな

…にしても黒飴ってチョイス渋すぎでしょ

まあ、いいわ。私はまいう棒の新しい味、黒飴味を食すのだから!!

すると、黒飴チョイスくんもまいう棒に手を伸ばした。しかもそれは、私のお目当の黒飴味。こいつ…できる!!

「あなたもこの味が気になるの?」

「ああ、俺は黒飴が好きでさ。発売初日から気になってたんだ」

「私も!ねえ、ちょっと話さない?」

「いいよ。俺は木吉鉄平」

「私は朱崎ナミよ!よろしくね!!」

木吉鉄平…?どこかで聞いたことがある、ような…あ!むっくんが「木吉鉄平うぜー」的なことを一時期言ってたわね…この人か

「木吉さん、あなたって誠凛の人よね?そこってバスケ部新しくできたんでしょ?どんな感じなの?」

「鉄平でいいよ。んー、監督がすごく怖いかな。でも、俺たち選手のことを考えてくれてるから頑張れるんだ」

「きゃー!監督愛されてるー!!」

監督が女なのか男なのかはさておき、ウチの監督はおっさんだし、髪白いし、あんまり指導しないと思ったらすごい練習ねじ込んでくるし…

「そうだ、ナミさん。さっき黒飴買ったから食べるか?」

「頂くわ!あと、私もナミでいいわよ!あんた先輩だし!」

鉄平さんと黒飴を食べる。黒飴は渋くて大人の味。うん、美味しい。

「ナミは中学生か?」

「ええ、そうよ。もう受験生!」

「そうか。もう高校は決まってるのか?」

「海賊高校行きたいけど、心配なやつが2、3人いるからそっち付いてくかも。でも誠凛も何だか気になって来たわ!」

心配なやつってゆうのは、涼太くんと大ちゃんと征十郎。

涼太くんは女の子に手ェ出しそうだし、大ちゃんは最近不良化してるし、征十郎は二重人格。

でも、涼太くんもさすがにゴミクズじゃないだろうし、大ちゃんにはさつきがいるし、征十郎も何とかやっていけるだろう。

むっくんとテツと真太郎は特に心配はないけど…そいつらも心配っちゃぁ心配

「ま、ナミが最終的に行きたいと思ったところに行けばいいんじゃないか?誠凛はナミを歓迎するよ」

鉄平は私の頭をポンポンと叩いた。この人優しい。

ーーーーーーー

「鉄平さん、あんた掃除してから帰るのよ」

「難しいんだ、これ」

「だからって辺り一面が飴まみれになるまで挑戦しなくてもいいわよっ!!」

「口に入れるまでやりたかったんだ」

「知るかァッ!!!」

24:桜◆kk:2017/10/06(金) 16:34 ID:dN.

「真太郎ー!」

ドスッと緑間の前の席にナミが座る。緑間はハァ、と溜息を吐いた。

「ちょっと聞いてよ!今日校門で涼太くんと会ったから一緒に教室行ってたら、女子に囲まれたのよ!」

「それが何なのだよ」

「囲まれるのは慣れたからいいんだけど、一部の女子に紙とか投げられたのよッ!!おかげで髪の毛がボサボサだわ!!」

チラリと視線を髪の毛に変えると、確かにいつも彼女の髪の毛はキレイに揃えられ、結われているが今日はボサボサで、下ろしていた。

「だいたいねぇ、紙投げるくらいなら石投げなさいよっ!石投げられてこっちが血ぃ出したら反撃できるじゃない!!」

「何がしたいのだよお前は」

「反撃」

「真顔で言うな」

「冗談よ。今日部活オフでしょ?」

「ハァ…お前が言うと冗談に聞こえないのだよ」

「ちょっと手伝いなさい」

「なぜ俺だ?黄瀬に近付くなとでも言えばいいのだよ」

「涼太くんにそれが言えたら楽よ!でも、ぜーーったい傷付くわ!!だから手伝いなさい!」

「ハァ…分かったのだよ。何をすればいい?」

「取り敢えず、涼太くんがあたしに近付いて来たら追い払って。それでも紙投げられたら、容赦しないわ!!」

緑間は今日何度目になるか分からない溜息を吐いた。

25:桜◆kk:2017/10/06(金) 17:20 ID:dN.

授業が終わって帰る準備をして、ナミっちの席の前に急いで行く。

「ナミっち!一緒に帰ろうっス!」

「あ、ごめん涼太くん。今日は真太郎と帰るのよ。」

「え、じゃあ俺も緑間っちと帰るっス!」

「行くのだよ、ナミ。じゃあな、黄瀬」

「あ、はーい!また明日ね!涼太くん」

…は、ハブられたーーーー!!!!!!なんで!?緑間っちはともかくナミっちまで!!ひどい!超ひどいっス!!

「黄瀬くん!一緒に帰らない?」

「今日朱崎さんいないの?」

「ご、ごめん。今日は1人で帰る…」

テンション下がりまくりで、帰り道はずっと下を向いていた。前を見るとナミっちが緑間っちと紫原っちに挟まれて帰っていた。

…紫原っち!?俺は断られたのに紫原っちはいいんスか!!?やばい、まじでハブられてる…

ーーーーーーー

「おい、さすがに黄瀬が可哀想なのだよ」

「今日は何で周りに女子がいないのよ!石でも何でも投げに来なさいっての!!」

「ナミちん鬼みたいだよ〜」

「なんですって!?」

「落ち着くのだよ。紫原もこいつをキレさすようなことを言うな」

すると、路地から紙が投げられた。その紙はナミの頭に当たる。

「っ、また紙!?ってか、涼太くんの周りの女の子が投げてるんじゃないの?」

紫原と緑間はその紙を見てあることに気がついた。その紙は、ぐちゃぐちゃでよく分からないが、紙飛行機らしき形をしていたのだ。

「ナミちんその紙貸して〜」

ゴソゴソと紙飛行機を開くと、中には文章が書いてあった。

「…あなたはこの世に舞い降りた天使です。僕は君の笑顔にハートを撃ち抜かれました。この汚い世界の中で輝くあなたは、まるで僕を助ける為に現れた…」

「君を幸せにする為の計画を立てました。一緒に愛を紡ぎませんか。お返事待ってます…ってこれ、ラブレターじゃない?」

「宗教の誘いじゃないのか?」

「みどちん、宗教が愛を紡ぎませんかとか言う訳ないし。まじ恋愛には鈍いね〜」

「うるさいのだよ紫原!!…これは返事をするしかないのだよ。はっきり断れ」

「えー、でも、この人がお金持ちだったら私が幸せにするわ。」

「金で人を決めるな!!…とにかく、断るのだよ。」

「…ナミちん、これ俺も断った方がいいと思う〜。これ、ぜってー後々ストーカーとかになるタイプだし」

「そこまで言われるのなら…名前書いてないの?」

「汚すぎて読めないのだよ。明日、返事を書いた手紙を紙が飛んで来た方に投げるのだよ」

「分かった。」

26:桜◆kk:2017/10/07(土) 00:03 ID:dN.

「真太郎、おはよう」

「遅いのだよ、ナミ」

朝、校門で涼太くんと会ってもいいように真太郎に家まで迎えに来てもらった。ニヤニヤして彼氏?彼氏?と言っているノジコは無視しよう

「返事は書いたのか?」

「うん。読むわよ。…お手紙ありがとうございます。私はあなたのことを知らないので、お付き合いはできません。さよなら。…どう?」

「いいと思うのだよ。後は今日も手紙が投げられた方に投げるだけか…」

校門につくと、女の子たちが集まっていた。これはきっと涼太くんね

「ナミっちー!緑間っちー!」

「くそ、駄犬が…!行くわよ真太郎!!」

「おい、俺を引っ張るな!」

私は涼太くんを無視して、真太郎の手を引っ張って教室へと向かう。

「っ、紙だわ」

「ッ見せるのだよ」

すると、また紙が投げられた。桜の木の後ろ辺りからだ。真太郎に見せると、これは昨日のものと同じだと言われた。

「早く返事の手紙を投げるのだよ」

「え、ええ」

真太郎に言われた通り、桜の木の後ろ目掛けて紙を投げる。その紙はすぐに拾われた。

「ひとまず、これで大丈夫なのだよ」

「うん!ま、次紙投げて来たら殴るだけだけどね」

私は上機嫌で真太郎と教室に行く。

ーーーーーーー

「すいません、朱崎ナミ先輩いますか?」

「ナミならいるよ。おーい!ナミー!!」

「ん?なに?」

「一年の子が呼んでるー!!」

昼休み中、ナミが緑間と黄瀬と弁当を食べていると、友達に呼ばれた。

「どうしたの?あんたは?」

「あ、あの、僕は佐藤実です!あなたへ書いてた男です!」

「ああ、あなたが。それで?」

「その、話があるんで来てもらっていいですか?」

ナミは直接告白でもされる、と思い緑間と黄瀬に適当に理由を告げてから佐藤実の後を付いて行った。

「…にしてもナミも罪だね〜」

「どうしたんスか?」

「ああ、ナミが一年に告られんの。あの子顔可愛かったし」

「ナミっちは俺の彼女なのに!!」

「別にお前の彼女ではないのだよ。…しかし、嫌な予感がするのは気のせいか…」

緑間は深刻な顔でメガネをカチャッと上げた。

27:桜◆kk:2017/10/07(土) 00:58 ID:dN.

「佐藤くん…だっけ?私に何の用なの?」

「僕、先輩の手紙読みました。ちゃんと返事書いてくれて嬉しかったです。」

佐藤くんにつれて来られたのは、教室から少し離れたもう使われてない教室。告白の場所ではベタっちゃぁベタね

「先輩は僕のことを知らないとおっしゃってましたよね?」

「え、うん。私あんたのこと知らない。」

「今から教えてあげます」

「え、」

ガシッと肩を掴まれた。力が入ってるのだろう。すごく痛い。

「僕が先輩の体に僕を教えてあげます」

「ちょ、何言ってんの?」

そのまま押し倒されてしまった。逃げ出そうにも、力が強くてなかなか逃げられない。

(何コレ…最近の一年生ってこんなに力強いの?逃げられないじゃない…!)

足で股間を蹴ってやろうと思っても、足も固定されて両手も固定される。

(やだ、助けて…誰か…!!)

「僕が先輩に触れる日が来るなんて思ってませんでしだ」

佐藤くんの手が制服に伸びて、第三ボタンまで開けられる。私は力を振り絞って口で髪の毛を引っ張る

「誰か助けて!!お願いっ!」

「来るわけないじゃないですか。今は授業中で、鍵もしてますし。」

もうダメだ、と覚悟を決めた時、ドアが吹っ飛んだ。

「ナミを返せ!」

「…ヒネリ潰すよ」

「ナミっち!無事っスか!?」

「大丈夫ですか?ナミさん」

「やはり、嫌な予感が当たったのだよ…」

「待たせてしまったね、ナミ。」

「…本当、遅すぎよッ!」

我慢していた涙が溢れて来た。

この人たちは、こんなに頼もしいのか。

「大ちゃん…むっくん…涼太くん…テツ…真太郎…征十郎…っ」

助けに来てくれて…、ありがとう

28:桜◆kk:2017/10/07(土) 13:08 ID:dN.

ナミが授業が始まっても戻って来ない。さすがに、チャイムが鳴れば戻って来ると思ったんだが…

「緑間っち、ナミっち遅くないっスか?」

黄瀬も心配している。確かナミは、三年になってから行きたい高校があるからと、サボるのはやめていたはずだ

『ーーーーー、て!』

「黄瀬、今何か聞こえなかったか?」

「俺には何にも聞こえなかったかスけど…」

たーーけ、て

助けて?この声はナミ?まさか、ナミの身に何かあったのか!?

「先生、お腹が痛いので保健室に行ってきます。行くのだよ黄瀬」

「りょ、了解っス!」

1組を通り過ぎた突き当たりには、使われてない教室がある。そこが怪しいと思った俺は、5組の教室からそこへ向かう。

途中、窓から俺たちを見て付いて来たのだろう他のキセキの世代も俺たちと一緒に来る。

「真太郎、必死な顔をしているが何があった」

「ナミが危ないのだよ。かすかにナミが助けてと言った声が聞こえた…細かい説明は後でするのだよ」

「あの声はナミちんだったんだね〜」

「このドア、鍵がかかってます!」

「どいて黒ちん!」

「どけテツ!!」

紫原と青峰がドアに体当たりをして、ドアが吹っ飛んだ。そこには、昼休みナミを呼んでいた一年と、第三ボタンまで開けられたナミがいた

「ナミを返せ!」

「…ヒネリ潰すよ」

「ナミっち!無事っスか!?」

「大丈夫ですか?ナミさん」

「やはり。嫌な予感が当たったのだよ…」

「待たせてしまったね、ナミ」

「…本当、遅すぎよッ!」

我慢していたのだろう涙がナミの目から溢れ出した。一年は怯えた顔をする。

「僕たちのナミに手を出した罪は重い…。覚悟するんだな」

「お前がナミっちに手を…!!!」

黄瀬が殴ろうと一年の胸ぐらを掴むと、ナミが慌てて後ろから黄瀬に抱き付いて止める。

「待って涼太くん!みんな!!」

「ナミっち!止めないで!こいつがナミっちに…!」

「私まだ、何もされてない!!みんなが何かされる前に助けに来てくれたから!だから殴ったりしなくてもいいじゃないっ!!!」

29:桜◆kk:2017/10/07(土) 19:25 ID:dN.

ナミっちの頼みで今回は一年の男を見逃すことにした。一年の男は腰が抜けてるのか、立ち上がらない。…俺は許せないっスよナミっち…

「ナミさん、早くボタンを閉めてください」

「え、もうちょい開けとけよ」

バカなことを言う青峰っちに、黒子っちが何バカなこと言ってるんですか、とイグナイトをかます。

「それにしても、本当にいいの?ナミちん。俺たちがこいつを見逃しても〜」

「あんたたちはいいわよ、何もしなくても。私に手を出したことは、私が後悔させてあ・げ・る♡」

あ、さっきの言葉は撤回するっス。一年の男がかわいそうっスよ、ナミっち。黒い笑みを浮かべながら、一年の男に向かうナミっち。もう気絶してるじゃん

「次、私はもちろん他の子にも同じことしたら…殴るわよ」

「もう充分殴ってるのだよ」

精神的に来る言葉と、たんこぶを何個も作られて一年はもうノックダウン。

「…これ、俺たち来なくても良かったんじゃねぇの?」

「そんな訳ないでしょう!?手足拘束されてたんだから!」

「それより…早く授業に戻るぞ。真太郎と涼太は知らないが、僕たちは何も告げずに教室を出てしまった。」

「え、うそ!私のために?」

「そうっスよ、ナミっち!」

俺が手を広げると、嬉しそうに俺の腕の中に…

飛び込まず、黒子っちに抱き付くナミっち。羨ましいっス、黒子っち…

「ありがとう!みんな!!」

ナミっちの笑顔を見るとやっぱり、この笑顔が奪われる前に助けることができて良かった、と思う。

「そろそろ戻るか。」

赤司っちの声で教室に戻る。俺たちは少し説教を受けたけど、ナミっちはいつの間にか青峰っちとサボりに言ったから、部活前に赤司っちに怒られていた。

ーーーーーーー

「何故叱られているか分かっているな?」

「「…サボったからです」」

「一年の時にも言ったが、授業中騒ぐこととサボることはやめろと、命令したはずだが」

「だ、大ちゃんに心の傷を癒してもらおうと「言い訳は聞きたくない。僕の命令は絶対だぞ。次はないと思え」

「「はい…」」

30:桜◆kk:2017/10/07(土) 23:42 ID:dN.

「テツ、あなたはどうして変わったの?」

「…ナミさん、僕はもうみんなとバスケをすることができません。でも…あなたと出会えて良かったです」

ーーーーーーーーーーーーーー

「ナミ〜、今日も学校行かないの?」

「行かない。お腹痛い」

「…」

テツが部活をやめた。学校にも来なくなった。バスケ部のみんなも変わった。

征十郎が現れて、帝光中学のバスケ部は常勝が当たり前となった。そして、相手を見下したようなプレーをして、勝っても冷めたような顔。

「ナミ、何があったかは知らないけど、今のあんたは逃げてるだけだよ。」

「…分かってるわよ、そんなこと…」

「今日途中からでもいいから学校行きな。寿司食べに連れてってあげるから」

ーーーーーーーーーーーーーー

私は結局、昼休みが終わったぐらいから学校に行くことにした。3日ぶりの学校だ。

「ナミっちー!!久しぶりっス!大丈夫だったっスか!?」

「何をしてたのだよ、ナミ」

涼太くんと真太郎が声をかけて来る。2人とも、普通の時は前と一緒なのに、バスケに入った途端冷たくなる。

「…別に何もないわよ。心配してくれてありがと」

真太郎が別に心配などしてないのだよ!とメガネを上げながら言う。お前はツンデレか

「もうちょっとで卒業ね、私たちも」

「いきなり何を言い出すのかと思えば…」

「ナミっちはどこの高校行くんスか?」

「さあ…まだ分からないわ。」

まだ、ね。私はもう付いて行くやつは決まってるの。そいつからまだ行く高校を聞いてないだけ。

「あんたたちは?」

「俺は海常高校っス!神奈川にあるところっスよ」

「俺は秀徳なのだよ。そして、青峰は桐皇、紫原は秋田の陽泉、赤司は京都の洛山、黒子は…まだ知らないのだよ。」

さつきはきっと、テツか大ちゃんと同じ高校に行くわね。それにしてもこいつらが行く高校って全部、バスケの強豪校じゃない。誠凛も気になるし…

「…鉄平さん」

「何か言ったスか?ナミっち」

「え、あ、ううん、別に!」

ちょっと誠凛まで行って、鉄平さんに会いに行こうかな…?でも、鉄平さんにとってそれが迷惑だったら…ええい!知らないわよっ!今日の放課後、行ってやる!!!

31:桜◆kk:2017/10/08(日) 15:01 ID:TV.

「……」

「とりあえずどこかで喋るか」

今日、部活終わりに誠凛高校に行く前にコンビニに寄ると鉄平さんに会った。あちらも部活終わりっぽい

「で?どうしたんだ?ナミ。」

「うーん、ちょっとね…相談みたいな、?」

「何でも聞くぞ」

ああ、これが大人ってやつなのね…一つしか学年が違うはずなのに

「私、バスケ部のマネージャーなの。だけど、帝光のみんなは勝って当たり前…勝っても冷めた顔…」

鉄平さんは黙って私の話を聞いてくれる。…鉄平さんがいるなら私、あいつに付いて行くのやめて誠凛行こうかな…

「私は相手を見下したようなプレーをするみんなは、見たくない。今のみんなと戦う相手チームを見たくない。だって、本気でやってる人に申し訳ない気持ちになるから…」

これが今の私の本音。誰にも、さつきにも言えなかった本音。

鉄平さんは優しく微笑んで、わたしの頭に手を置いた。そして、少し荒く頭を撫でる。

「ナミの気持ちはよく分かるよ。俺もバスケで色々あってやめようと思ってたんだ。」

…ちょっと違うと思うけど…。でも、鉄平さんもバスケやめようと思ってたんだ…

「でも、仲間のおかげで立ち直ることができたんだ。まあ、これからしばらくは入院だけどな」

「え、入院するの!?」

「そ。一年ぐらい。その間、誠凛バスケ部がどれだけ強くなるか楽しみなんだ!」

鉄平さんはずっと前を向いている。立ち止まったこともあったかもしれないけど、また歩き出している。なら、私もそうしなきゃ

「…ありがとう、鉄平さん。色々話せて良かったわ!」

「お、もう元気になったのか。」

「ええ!私、もう行く高校決まったわ!!」

「そうか。どこに行くんだ?」

「ふふっ、それはねーーーー。」

32:桜◆kk:2017/10/08(日) 16:32 ID:TV.

今日は卒業式。結局、テツが部活に戻ることはなかったけど、学校に来てるからよしとする。

「ナミっちは結局どこの高校行くんスか?」

「秘密よ。すぐに分かるわ。」

バスケ部のみんなと写真を撮って、テツとも撮って、先生と撮ろうと思ったら説教くらって…

「楽しかったな〜、この3年間」

特にバスケ部のみんなといた時間は、楽しかった。

「修兄もいたし、崎ピョンもいた…征ちゃん、大ちゃん、真太郎、涼太くん、むっくん、テツ、さつき…濃かったな、中学生活」

鉄平さんにも出会って、私はみんなのおかげで変わった。いい方に。

最後はバラバラになっちゃったけど、いつかはみんなが笑顔でバスケしてるところを一緒に見ようねって、さつきと約束もした。

「涼太くんと真太郎とテツと大ちゃんはいつでも会えるけど、むっくんと征十郎は会える回数減るなぁ…」

でも、大丈夫。卒業式の時に見た赤司征十郎は、征ちゃんだったもん。優しくて、悲しい笑顔でみんなを見ていた。

「ナミ、卒業式おめでとう。」

「母さんに報告しなきゃ!」

「それにしても、あんた髪伸びたね。切ろうか?」

母さんの仏壇に手を供えようと座布団に座ると、ノジコが鎖骨下まで伸びた髪の毛に触れてきた。少し毛先に癖がある。

「…いい!私、切らない!」

二年生の三学期ぐらいから切ってない髪の毛。このままいけば、私は伸びるのが早いから高校までには肩甲骨下まで伸びるかしら

「へえ…恋でもしてんの?」

「違うわよッ!!」

いつかみんなが笑顔でバスケができるようになったら、切るの。

「胸も育ったね。今何カップ?」

「Iカップ。ノジコはFだっけ?もう大きくならないでしょ」

「育ち盛りだからまだまだ育つね。さ、肉行こうか、肉」

「うん!!」

33:桜◆kk:2017/10/08(日) 17:24 ID:TV.

ナミっちがどこの高校行くか知らずに、入学式の日になった。俺の周りにはたくさんの女の子がいる。

「黄瀬くんがこの高校って知らなかった〜!」

「これからよろしくね!!」

女の子の大群で全然前に進めない。キョロキョロしてると、オレンジの髪の毛の子を見つけた

「……!」

肩甲骨の下まで伸びた髪の毛には、ウェーブがかかっていて、高校生とは思えぬ体型。

その子が桜を見上げると、強い風が吹いて来た。ポニーテールの、あのオレンジの髪の毛が揺れる。

その子はこっちを見て、微笑んだ。

それは、とてもキレイだった。

「…って、ナミっち!?」

何とその子は、中学が一緒でどこの高校に行ったか分からない、ナミっちだったのだ。昔からキレイだったけど、髪型も体型も変わっていて、全然分からなかった。

「ナミっち!待って!!」

歩き出したナミっちを、女の子たちを押し退けて追い掛ける。そして、手首を掴んま

「ナミっち…」

「涼太くん、久しぶり。」

「なんで教えてくれなかったんスか〜!」

「いいじゃない。サプライズよサプライズ」

「…にしても、髪の毛も体型も変わりすぎっスよ〜!全然分からなかったっス!」

「髪の毛は二つに結んでたし、セーター着てたら体型もそんなに分かんないから…ってか、ちょっと来なさい」

俺の手を引っ張って歩いて行くナミっち。後ろの方から、俺を探す女の子の声が聞こえる。そして、体育館裏で座り込む

「何なの?あの女の子たちは」

「俺のファンの子たちっス」

「うっさいデルモ。…このままじゃ式の時間が延びるわ…どうにかして帰らないと!」

「今日何かあるんスか?」

「引っ越し業者がアパートに来んのよ…東京から引っ越して来たし」

「あー…じゃ、ちょっと来て!」

ナミっちの手を引いて、女の子たちの前に行く

「ちょ!」

「みんな、俺はこっちっスよー!」

そして、走って体育館の中に行く。もう座っていた男たちの中から自分の席を探し、ナミっちを席に送ってから、自分もその席に座る。

「続きは式が終わってからっス!」

無事に式が終わった。ナミっちが1人で帰って行く。その後を急いで追う。

「あら、女の子たちの相手は?」

「必死で逃げて来たっス…それにしてもナミっちと一緒の高校って…嬉しいっス!何でここを選んだんスか?」

「…涼太くんが心配でね〜。本当はすごく迷ったのよ?」

ナミっちが小悪魔のような顔をすると、俺の胸がドキッと鳴った。

「でも、大ちゃんにはさつきがいて、真太郎とテツはあまり心配してないし、むっくんと征十郎は遠すぎてムリ。」

「じゃ、じゃあ俺を心配して…?」

「ま、そうなるわね。私がいるから、ファンの子には手出しできないわよ。」

「出さないっスよ!!」

「私に最初会った時はキスしようとした癖に」

「ちょ!それ言わないで!!」

今はナミっちしか興味ないっス!!

34:桜◆kk:2017/10/09(月) 00:02 ID:TV.

「ナミっち!今年もバスケ部のマネージャーしないっスか!?」

「しない。ここのマネージャーしたら、あいつらの敵になるじゃない」

むっ、と頬を膨らませる涼太くん。私はそいつの頬を指でチョンッと潰してやる。

「じゃあ俺だけのマネージャーになって!」

「いやよ。あっちへいきなさい、駄犬」

何を言い出すのか分からないわ、こいつは…しっしっと追い払うと、女の子たちが大量に駆け寄ってくる。

「私が黄瀬くんだけのマネージャーになる!」

「私よ!何でもするわ!!」

「ちょ、ナミっち〜〜!!!!」

女の子の波に連れて行かれる涼太くんを笑顔で見送る。これで静かに本が読めるわ

「ナミっち!!ひどい目に合ったっス!」

「ちっ、もう撒いてきたか…」

5分ぐらいしたら戻って来た。くそ、こいつ最近女を撒くのうまくなったわね…

「とにかく!バスケ部の見学だけでも来て欲しいっス!!」

「だから!いやって言ってるでしょ!この調子なら、あんたの顔ズタズタにするわよ…?」

「いででで!痛いっス!!」

片頬をつねる。思いっきりつねる。赤くなるまでつねる。

「じゃあ、久しぶりに一緒に帰ろう。」

「…それぐらいなら、いいけど…」

「やった!じゃ、帰るついでに俺んチおいでよ!今日姉ちゃんたちいないし!」

「んー、じゃあお世話になるわ。…ん?」

待って。こいつ、バスケ部だから部活が終わるまで待っとかなきゃダメじゃない!!

「騙したわね!駄犬の癖に!!」

「だって!こうでもしないとナミっち、バスケ部に来てくれないじゃないっスか!」

まったく…なんで私にそんなにバスケ部に来て欲しいんだか…

「…見学だけよ」

「ッナミっち大好きっス〜〜!!!」

「ちょ!抱き付くなァッ!!!」

「ギャンッ」

周りの女の子の視線が痛い。私は急いで教室を出た。もちろん、黄瀬涼太を殴ってから。そして、授業開始のチャイムが鳴る。私は屋上でケータイを開いた。

『もしもし大ちゃん?』

『なんだナミか…授業サボんなよ。赤司に怒られんぞ』

『あんたもサボリでしょ。共犯よ共犯。…さつきは?一緒じゃないの?』

『さつきは授業。お前、結局高校どこ行ったんだ?』

『海常。涼太くんと同じところ』

『黄瀬に付いてったのかよ…。…敵になるな』

『私はバスケ部のマネージャーにはならないわよ。あんたたちと敵対したくないし』

『へえ…やっぱおもしれェな、お前』

『あら、お褒めに預かり光栄だわ。…んじゃ、切るわよ』

『ちょっと待て』

『何よぉ』

『あー…今度一緒にマジバ行くか』

『っうん!行く!!』

『また日程決めようぜ。じゃあな』

『うん。またね』

電話を切ると、少し胸があたたかった。

35:桜◆kk:2017/10/09(月) 01:44 ID:TV.

涼太くんと一緒に帰って、涼太くんの家に寄るため体育館の扉の前で練習が終わるのを待つ

中からは女の子達の歓声が聞こえる

ほとんど涼太くんに向けてだろうけど

「はぁー…黄瀬くんカッコ良かった〜」

「ホントホント」

「黄瀬くんと話したぁい」

「そういえば黄瀬くんと同じクラスのナミっていう子、黄瀬くんと仲良いらしいよ」

「は?まじ!?何それずりー」

「黄瀬くんに色目使ってんじゃない!?」

「どんぐらいのブスか今度見てみよーよ」

「いいねそれ」

練習が終わったのか、体育館の中にいた女の子達がゾロゾロ帰って行った。

ってか隠れてて良かったわ。私すごく悪口言われてるし。確かにあの女たちより、可愛いし男子から人気もあるし胸もあるし性格もいいけど♡

別に気にしてなんかないわ。中学からだし。

「ナミっちー!!」

「涼太くん」

お待たせと言って手をブンブン振りながら、走ってきた。そんなに走らなくても逃げないわよ

「あ、あれが黄瀬の彼女?」

「超かわいい…」

「そうでしょ!俺の彼女まじ可愛いんスよ!」

「誰があんたの彼女よっ!!くだらない冗談言ってんじゃないわよ!!」

「ブフッ!」

涼太くんをぶん殴る。すると、1人の先輩が私の肩を抱いてきた。

「これからは君のためにバスケで勝利するよ。 美しいお嬢さん。」

「あら、ありがとうございます」

「森山由孝だよ。よろしく」

「私はナミです。森山…さん?」

「由孝でいいよ。敬語もなし」

バスケ部の人は変人が多いと再認識したわ。そして、涼太くんの紹介でレギュラーの人と仲良くなった。これまた、全員一癖も二癖もある。

ーーーーーーーーーーーーーー

「ナミっち、どうかしたんスか?」

なんか元気ないッスよと私の顔を覗き込んでくる

「な、何でもないわ!」

悪口言われたこと気にしてるわけじゃないけど…なんだか胸に引っかかる。

「嘘」

「へ?」

「ナミっち嘘ついてるっス」

なんでこいつはこういうときだけ勘がいいのよ

「何があったか言わなくてもいいっスから、溜め込まないでよ」

ほら、と言って左手を差し出す涼太くん。これは手を繋げと…?でも、私はその手をパチンと払った。そして、笑顔を浮かべる。

「大丈夫よ。私ってそんなに弱くないから。」

「……」

涼太くんは不満そうな顔をしていたけど、これは本当だから。

私の悪口が言ったやつは、みんな私が何らかの制裁を喰らわすわ。うふふ、楽しみ♡

36:桜◆kk:2017/10/09(月) 02:33 ID:TV.

「おじゃましま〜す」

ナミっちが俺の家に寄る。何度か来ているこの家に、ナミっちはもう慣れただろう。料理を作るために冷蔵庫を開く。

「…涼太くん、スーパー行かない?」

「いいっスけど、何で?食材なかったスか?」

「あるけど、賞味期限切れかけだわ」

姉ちゃんたちのせいだ。いつか料理で使うからと、取ってた食材だろう。

「お金は私が「俺が出すっスよ。ナミっちの手料理をタダで食べれるんスから」

ナミっちをチャリの後ろに乗せて、この辺で1番近いスーパーに向かう。

「このコロッケ食べたいっス!」

「ダメよ。今日はハンバーグなの」

「ナミっちのごはんは何でも美味いっスよ!」

「はいはい、ありがと」

他の人たちから見たら、俺たちはどう見られてるんだろう…?恋人?兄妹?はっ!まさか高校生夫婦!?

「さ、帰るわよ。涼太くん」

「はいよっス」

荷物をカゴに入れて、ナミっちを後ろに乗せて再びチャリを漕ぐ。ナミっちは俺にもたれかかって来た。

「涼太くん」

「何スか?」

「私、海常に来て良かったかもしれない。バスケ部の人たちはみんな優しいし、面白いし」

「じゃ、じゃあ、マネージャーやってくれるんスね!!?」

「それはやらない。」

「何でっスか!!これやる流れっスよ〜!」

「でも…合宿の時なら臨時マネージャーとして出張してあげるわ!」

臨時マネージャー…合宿…よし、笠松先輩に合宿たくさんやるようにと頼んでみよう。

ーーーーーーーーーーーーーー

「笠松先輩!!」

「うおっ!ナミ!いちいち抱き付くな!シバくぞ!!」

「とか言いつつ、顔真っ赤じゃない。先輩」

「うるっせぇ!!」

「羨ましいっス、笠松先輩…」

「同感だ…」


続きを読む 全部 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新