〜今宵の月は恋暦〜

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12:匿名:2015/06/01(月) 12:44 ID:CS2

 颯は数学はギリギリ合格したが、理科のテストが補習らしい。
 関係ない生徒は教室から追い出されるので、廊下で本を読みながら待った。
 所詮塾の本棚、と甘く見たら大間違いだ。
 洋書、訳書、日本文学、図鑑などは勿論、なぜかラノベと絵本まである。
 私が本棚から手にとったのは、『The Catcher in the Rye』だった。
 主人公が成績不振で退学になって飛び出るお話。

 10分程待っただろうか。
 もう本では主人公が学園を飛び出ていった所まで読み終えた。
 それと同時に、颯とその他の男子女子の笑い声が聞こえてきた。

 なんか――……

 虚しい――……

「帰ろ」
 ぶっきらぼうに本をパタンと閉じ、棚に戻した。

 何、やってんだろ
 どうせ待っていたって、見向きもされないんだから。
 すれ違うだけで、彼は正面を向いているのだから。
 
 私と彼の視線は、交わらない⊥(垂直)みたいなもので。
 
 絶対に彼の棒が横になって、並行になることはない。
 絶対に彼の棒が横にずれて、垂直になることはない。

 もう、やめちゃえばいいんじゃない――?


美響:2015/06/01(月) 12:44 ID:CS2 [返信]

上の>>12私です
匿名になってました><


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