「おい、烏丸ナメクジ。聞いてんのか」
聞いてません聞いてませんなにも聞いてません。
というか聞こえません。本来聞こえる筈のない声なんでなにも聞こえません。
私が全力で無視を決め込んでも、幻聴はしつこかった。
いつまでもいつまでも「烏丸ナメクジ」「烏丸」「ナメクジ」……
あ、やべえ眠くなってきた。
一種の催眠術だろうか。
一定のリズムで「烏丸ナメクジ」「烏丸」「ナメクジ」と順序良く言われ続ければ、きっと誰でも……そう、不眠症の人でも眠くなれる筈。タブンネ。
私の場合それが好きな人の声なんだから、尚更………
「愛佳!」
「うぃっ!」
突然大きく呼ばれた自分の名前に驚いて奇声を発しつつも、伸びてきた腕を咄嗟に避ける。
腕は、私の頬を掠めて机の角に当たった。
痛みに、悶えのたうちまわる幻覚。
よし、今のうちだ!
私はメモ帳をしっかり握りしめて、極秘スキル「逃げる」を選択した。
普段このスキルは、つまみ食いがばれた後などの命の危険に陥っているときにしか使わないのだけれども。どうやら私の五感は無意識のうちに相手から放たれる殺気を目敏く察知したようだった。
休み時間とはいえ、大きな物音は結構人の目を引く。
ので私は素早く、音を立てないように椅子を引いてすぐさま走り出した!
背後でも私と全く同じ行動をしている幻覚さんがいて、私は幻覚さんの執念深さに恐怖を覚えた。
え?待って私本当になんかした?
因みに私には足の速さはないが、持ち前の瞬発力というものがある。
それのおかげか、今は其れこそ風のように校舎を跳ね走っている。
先生たちもびっくらこいて、皆同様に「ざ、残像だ………」などと口を開けたまま突っ立っている。こらこらダメじゃないですか、お口を開けっ放しにするなんて。せんべい入れますよ?
上手くスタートダッシュを切れなかった幻覚さんは、机たちに阻まれて今まだ教室を出たばかり。
ふっ、甘いね。私のように障害物(机)を飛び越えて行こうとは思わなかったのかい?
背後に幻覚さんの影を捉えながら、私は必死に走った。
「ふぅ………はあ、ふっ……」
膝に手をついて、呼吸を整える。
ここまでくれば、幻覚さんはもう来ない。
壁にもたれかかって、上を見上げる。
_____ふと、つい先ほどまでのことが頭に浮かんだ。
教室を出る前、追いかけっこがはじまる前。
私が微睡みの中で考えたこと。
あの時私、なんて思った?
『____好きな人の声なんだから』
「……まじか」
ようやく、この思いに終止符が打てたと思ったのに。
思いを封じ込めて、2人を応援しようと思えていたのに。
『愛佳!』
激しい運動とは明らかに別の理由で、心臓が動悸する。
理由もない尿意。
熱くなる頬。
そっか、私は………
「まだ、好きなのか………」
猫又◆pwさま
様々なご指摘と嬉しいお言葉、ありがとうございます。
>>11のところは、なかなか痛いところを突かれたっ………!と思っております。
私は文の書き方に癖がありまして、ご指摘いただいた通りの………まあ要は突然話がぶっ飛んでしまうという………なんとも、読んでいる方には読みづらい書き方をしてしまいます。
ので、突然話がぶっ飛ぶ時は追記の通りになんらかの記号(?)をつけるようにしてみます。
それから、BGOは(バッグ音声)という意味になります。
ので、文章は「明らかにリア充なBGO」ですね………今書いてて自分でも意味がわからなくなりました……スミマセン。
昨日の夜中から今日の朝にかけて、>>9まで一気に書きました。なので、文がよくわからない点も多々あると思います。
これからはちゃんと文を見直してから書いていきたいと思います。
それから誤字脱字、読みにくい点などありましたらドンドン教えて頂けると嬉しいです。
こんな拙い駄文ですが、読んでいただけていることに感謝します。
あったかいコメントを、本当にありがとうございました。