つけ組シンデレラ

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121:箕犁:2017/09/03(日) 19:47

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エリエゼル王国あれこれ。


ここエリエゼル王国は、最古の魔法使いが、三人の仲間と共に築いたとされる国。
そこに深く関わったとされている
エリエゼル、ロシャス、オルコック
の家名は、国の象徴とされている。

ただ、国に最も深い関わりをもちながら、存在した記録すら消された人物がいる。
それが、膨大な魔力によって闇の存在を統治していた、影の支配者
エンジュ・ライオット。

圧倒的な力と美貌を持ち、更に全く
衰えることのない彼を、三人は人間として見ることが出来なかった。
にこにこ笑う笑顔が、出会った時から。信頼し合えたあの日から。国を築いた時から。そして、今も。
何十年と時を重ねても、彼だけが。
あの時と何も変わらない容姿で笑っている。

友人として接してきた彼は、おそらく
魔物の一種だ。

偶然と言えばそれまで。たまたま時期が悪かったのだと。
けれど、その『偶然』は彼を殺した。

エンジュに従わないタチの悪い魔物達が、国の民を襲ったのだ。
そして、視察で農村に訪れていたエリエゼルの妃が、魔物から子供を庇って死亡した。
彼女につけていた護衛の人選も、今回の視察の行き先も、全てエンジュが決めていた。

『お前が仕組んだんたろう』『所詮貴様も魔物か』『殺してやる』
彼は散々な言葉を浴びせられ、更には
打ち首刑にまでなった。
しかし、いくら首を落とそうとしても
その肌には傷ひとつつかない。
『魔力は治癒力に直結する』
魔力量の劣る者は、自分より多く魔力
を持つ者に攻撃できない。
傷はすぐに塞がるし、酷いときには傷をつけることすら出来ない。
国にエンジュを殺せる人間は、誰一人としていなかった。


最悪の扱いをしたエンジュの復讐に
怯えた三人は、ロシャスは右目。
オルコックは右腕。
そしてエリエゼルは右足を差し出し、
自分達を殺しても構わないから、人間に近づかずに暮らして欲しいと頼み込む。

そんな三人を嘲笑ったエンジュは、
ある条件を提示し、三人の頼みを気まぐれに了承した。

それは、村娘の一人を生け贄に差し出せというもの。
エンジュには純人間の恋人がいたの
だが、『人間に二度と関わるな』と
言われては、恋人にも近づけない。
少女を贄に寄越せというのが、彼のただひとつの望みだった。
それが最小の犠牲だと信じた三人は
娘を差し出す。
こうして国の最重要人物の一人だった
エンジュは、日のあたる場所から姿を消した。


時が過ぎ、娘も喪った。
娘との子供は別の男の元に嫁ぎ、後にその男は爵位を賜り貴族となった。
家名はカレルド、位は公爵。

カレルド家の子供が、代々受け継ぐものが2つある。
1つが、他言禁止の『ライオット』の真実。
そしてもう1つが、エンジュと同じ、鮮やかな桃色の髪。

不思議なことに、桃色の髪で産まれるのは、カレルド家を継いだ者の子供だけ。

長男が継げば、次男の家庭に子供を授かろうと、桃の髪では産まれない。
歴史から消されたライオットの血は、
未だ受け継がれている。


箕犁:2017/09/10(日) 10:37 [返信]

>>121必読、本編です


光は男の体を包み、ゆっくりと
何かを溶かす「はぁ!?」

……前に、跡形もなく消え去りました。
魔法が効かない、それは相手が自分よりも多く、魔力を持っているという事になります。
世界最強のはずの、魔王よりも。


「あーやっぱ魔王くんもダメかぁ…」
「お前何か知ってんの?」


シンデレラは、顔をしかめている魔王様に、「えーっとねー?」と、呑気に
語り始めました。
国の成り立ちと、歴史から消されたライオットの事を。




「……で、それがこの男と何の関係があるんだよ?」

長い長い、作り話かと疑うような国の真実を聞いて、皺をさらに深めた魔王
様。
「うん。これは私の予想だけどね?」

そこまで言うとシンデレラは、牢の中の奴隷を指さしました。


「この人さぁ、エンジュ・ライオットだと思うんだけど。」



「…………」
「魔王くんの魔法弾いたし、家宝のエンジュの像に瓜二つだし」
「………………」
「だからね、多分、何かの術で髪色隠してるんだろうなーと思って、解除魔法かけたけど効かなくて…」
「……………………」
「でもでもやっぱりエンジュさんにしか見えな……あれ、魔王くん?」

魔王様、フリーズ。

「ままままままま魔王くん?具合悪いの、どうしたの??」
「子煮えお不ぃ怨v祖;胃のwg時青gjp和m場卯ぇ時g日おw車」
慌てるシンデレラと、固まったまま言葉にならない言葉を発する魔王。


「っふ………!!!!」

に、堪えきれないと声を漏らしたのは
牢の中の男。

「あ、聞いてたなら教えて下さい、エンジュさんですか?」
「ffiああああlfもeudflぬめすtgkねむhjcるeにくwめmめiyl…」
「ひっははははははは…!!!!!!!」
「笑ってないで教えて下さいよー」
「agむk5jct3見tn部mkojぬ寝sdhko」


「ははははは…あー笑った笑った…
久々に面白かったし、教えてやるよ」
「やっとですかぁ…」

「ぶはっ……拘束術式、解禁…」

笑いながら男が声を発すると、
黒かった髪と瞳が、光に包まれ
鮮やかな桃色に変わっていきました。

「あーほらやっぱりー。」
「んなっ…………………………」

正気を取り戻し、驚きに目を見開く魔王様。
「あたり」と薄く微笑むシンデレラ。


「よく分かったな嬢ちゃん、正解。
俺が、国を作った魔王のエンジュ・ライオットだ」
「いやー、昔住んでた家に飾ってた
肖像画に瓜二つだったんで」
「ん?つぅ事は…」
「ええ。まぁ訳ありですけど」
「…………ほぉ」

訳のわからない会話に、置いていかれる魔王様。

「ちょっ………いやその、貴方は何なんですか?」
「魔王だけど?」
「一応、俺も魔王なんですけど…」
「冥界とか魔界の統治してるの俺だもん。君は国のシステムだろ?」

まあ、本気出したら俺より強そうだけど。と付け足して、エンジュはため息をつきました。

「しっかしエンジュさん…凄い美形ですね、魔王くんがいなかったら惚れてました。」
「おお、そうだろ?」
「シンデレラ待て、お前にも聞きたい事があるんだ」
「へ?」

「何でお前が、カレルド家のみに伝わる話を知っていた?」


「あー。気づいてないのね?」
「大体話の流れで分かるよなあ。」
「うん。まぁいいか…えいっ、禁術かいきーん」

ぐちゃっ、と何かが潰れたような音がした後、シンデレラは。

「挨拶し直しかな?
カレルド家三女のアヤノ・カレルドだよ。まぁ訳あって絶縁されてるけど…血筋は確か!」

エンジュと同じ、桃色の髪を揺らしながら笑いました。


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