赤い糸

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69:タピオカパン◆VU:2019/07/27(土) 08:41

陽side*★


『大丈夫。』


なんかおかしくないか…?


だって、結菜は教室でお弁当食べてたし、ほとんどの女子は確か教室にいた気がする。


じゃあ、緩莓は誰と…?


そんなことを考えていると、


「あっ陽先輩!!こんにちは!」


ん?


「あっ、新原さん。こんちゃ。」


委員会の後輩(中2)の女子。(保健委員会)


やたらと俺に話しかけてくる。


まあ、後輩に好かれるのは嬉しいし、全然いいんだけど。


「あの、委員会の仕事なくなったらしいです!」


「あ、そうなんだ。」


「…先輩、……一つ質問してもいいですか?」


「?うん。いいよ」


新原さんが立ち止まった。


その目は、緊張しているように泳いでいた。


「……先輩」


俺は黙って次の言葉を待った。













「好きな人いますか?」


リコピン◆z.:2019/08/29(木) 07:37 [返信]


そんなことを思い出しながら、家を出た。


雨が傘に当たって音をたてる。


しばらく傘からつたたり落ちる雫を見つめながら歩いていると、前に見覚えのある姿をとらえた。


新原さんだ。(>>69>>70参照)


どうしよう、声をかけたほうがいいだろうか。


でもそこまでしなくても…


そう考えてるうちに、足音で気づかれてしまったようで、新原さんが振り返った。


目が合うと、新原さんは途端に笑顔になった。


「陽先輩!!」


新原さんは笑顔で駆け寄ってきた。


「新原さん、おはよ」


「おはようございます!!いやぁ、まさか朝から先輩と会えるなんて思ってませんでした」


「いっつもこの道通るの?」


そう訊ねると、


「いや、いつもは別の道使ってるんですけど、今日はなんとなくこっちで行ってみようかなって」


「へー。そうなんだ」


「陽先輩はいつもこの道なんですか?」


「うん」


「じゃあ、これからこっちの道で行こうかな」


新原さんは楽しそうに笑った。


「あ……ところで先輩、彼女さんいるんですか?」


彼女、という響きを聞いて、緩莓の顔が思い浮かぶ。


いや、でも俺達はそういう関係じゃないし……


両思いなだけで…。


「…いないよ」


そう答えると、新原さんは目を丸くした。


「えっ…先輩、いないんですか」


新原さんが足を止めた。


「?…新原さん?」


不思議に思って足を止めると、新原さんはなにか決意したような顔でこっちを見つめた。





「私、陽先輩のことが好きです!付き合ってください!」





考えるよりも先に、口が動いた。



「ごめんね。俺ずっと前から好きな人がいるんだ。気持ちはすごい嬉しいよ。ありがとね」


そう言うと、新原さんはなぜか納得したような顔をした。


「…実は、なんとなく気づいてました。陽先輩は好きな人がいるって」


「え……」


「頑張ってください。応援してます!」


新原さんは、振られたのにも関わらず、明るい笑顔を浮かべてそういった。



すごく強い子だ。


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