暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part5♪

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832:凪海◆L6 (ノ ゜Д゜)ノdice4:2016/05/28(土) 23:29 ID:ySs

>>827

渚side

 海と雪村さんがいない。

「ねぇ、海たちがどこに行ったか知らない?」
「さっき、海岸のほうで花火の片づけをしているのを見たけど……」

 神崎さんにお礼を言って、僕は海岸へ向かった。

「さ、下がれ、あかりっ!」

 海の切羽詰まった声が聞こえた。僕は慌てて走って向かった。

「お前、誰だっ⁉」

 黒いマントを羽織った人が、海と雪村さんの目の前にいた。
 海は日本刀を構えながら、雪村さんを自分の後ろで守っていた。

「海、雪村さんっ!」
「⁉ 渚、来るなっ!」

 騒ぎを聞きつけて、何人かがホテルからでてきた。
 その、一瞬のスキをついて。

「⁉」

 黒マントは海の後ろにいる雪村さんをつかまえ、反撃をしようとした海の首の後ろに手刀をくらわせると、2人をかかえてどこかへ走り去っていった……。
 あまりのスピードの速さに、僕らは茫然と成り行きを見ているしかできなかった。

「今、あきらかに拉致られたよな?」

 誰かの言葉に、僕はハッとした。

「お、追いかけ……」

 僕が走ろうとすると、僕の手を中村さんがつかんできた。

「追いかけるって言ったって、どこに行くのよ」
「うっ……」

 そうだ、黒マントが行った方向はわかるけど、どこへ行こうとしているのかはわからない。

「まずは、せんせーに言わなきゃでしょ」

 中村さんは冷静に言って、ホテルへと走り始めた。

「殺せんせー!」
「おや、どうかしましたか? みなさん」

 殺せんせーは雪村先生、烏間先生、ビッチ先生と一緒にお茶を飲んでいた。
 こ、この異常事態のときに!

「海と雪村ちゃんが拉致されたのっ!」

 中村さんの言葉に、雪村先生の顔が青ざめた。

「中村さん……。それ、本当なの?」
「目の前で、黒マントの変なヤツに拉致されたの。見間違えじゃない……」

 雪村先生は青ざめた表情のままだった。殺せんせーは雪村先生の肩に手を置き、僕らの方を向いた。

「それで、犯人はどこへ?」
「わかんない……」

 どうして、いきなり2人が拉致されなきゃいけなかったんだろうか。狙いはいったい……?
 そのとき、僕のスマホが音を鳴らした。
 こんなときに誰だろう。半ばイライラして電話にでると……。

「渚か?」
「海っ!」

 まさか、電話にでてくるなんて。
 僕の周りにみんなが集まってきた。烏間先生が胸ポケットからペンとメモ帳を取りだし、メモに「ハンズフリー」と書いた。僕はうなずいて画面にあるハンズフリーボタンを押した。

「無事なの?」
「ああ、なんとかな」
「雪村さんは?」

 そう聞きつつ、僕は雪村先生を見た。先生は不安そうな顔を僕のスマホに向けていた。

「大丈夫。隣にいるよ。声を聞かせてあげたいところだけどさ、ちょっと今。たてこんで……⁉ おい⁉」

 海の声が遠ざかる。

「やぁ、聞こえるかい?」
「⁉」

 これは、犯人の声?

「うん?」
「聞こえて、います……」
「今、雪村姉妹の片割れの……海さんだっけ? 彼女に電話をかけてもらうように頼んだんだよ」

 海が簡単に相手の注文に答えるものだろうか。海だったら、もっと抵抗するはずだ。

「雪村あかりさんを殺されたくなければ、私の注文に忠実に答えろと」
「⁉」

 僕はスマホを握りしめた。

「お前の注文には答えただろっ⁉ 早くあかりを放せっ!」

 海の声が遠くで聞こえた。犯人はその声を無視して続ける。

「今から私の指定する場所へ来なさい。時間は1時間後以内。場所はそこから離れた場所にある洋館だ」

 不破さんが律と一緒に調べ始めた。すぐに発見したらしく、僕らに画面を見せてきた。

「もし、時間内に来なければ雪村海の命も、雪村あかりの命もないと思え」

 そして、通話は途絶えた。


凪海◆L6 ホィ(ノ゚∀゚)ノ ⌒dice6:2016/05/29(日) 12:31 ID:ySs [返信]


 海が傍にいるから、心配はないと思うけど……。

「ど、どうすれば……」

 雪村先生が慌てていた。

「落ち着きなさい、あぐり」

 ビッチ先生が雪村先生に声をかけて、僕らを見た。

「どうするの? クラス全員で行くのかしら」
「そうします」

 僕は言った。

「でも、海ちゃんが近くにいるから助かったよぉ。あかりちゃんもきっと無事だよ」
「ところが、そこが問題なのよ」
「どういうこと?」

 海がいると、何の問題があるのだろうか。むしろ、安全だとは思うけど。

「あなたたち、海に聞いてないの?」
「何を?」
「海の弱点よ」

 弱点?



 指定された洋館に着いた。

「ここであってんの?」
「でも、犯罪するにはうってつけに見える……」

 そう、だね。
 指定された洋館は、蔦が絡まっていて、それに森の中にあるし。不気味さが漂っていた。カラスもそこかしこで鳴いている。

「これで月が赤かったらさらに不気味よね」

 不破さんがそんなことを言っていた。


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