こんにちは、Rinon(りのん)です!
りのちーという愛称で知られています(そんなことないか)。
『お願いだから、わたしを好きにならないで。』の作者でもあります。
優しい感想等、喜んで受け付けます♡ 厳しい感想…う、受けて立ちます!!
荒らし等はお控えください。もし、あったとしても、スルーします。
では、新たな物語のスタートです!!
>>2 ♡ 登場人物
>>3 ♡ プロローグ
( レス禁です…! )
-登場人物-
〔星川 美藍(ほしかわ みらん)〕
私立紫蘭女子学園中等部に通う、中学1年生。
小学4年生のときに事故に遭い、中途失聴者に。
学校ではいつもひとりぼっち。父・母・兄・姉がいる。
〔水沢 幸(みずさわ こう)〕
公立泉ヶ丘中学校に通う、中学1年生。
明るくて前向きで、とても優しい性格。
どこでも人気者でムードメーカー。父・母・弟がいる。
〔西園寺 玲奈(さいおんじ れな)〕
美藍のクラスメイト。学年一のお嬢様。
リーダー的存在で、美藍との仲は悪くなかった。
でも美藍の耳が聞こえなくなると、嫌がらせを始めて…。
〔綾瀬 莉子(あやせ りこ)〕
美藍のクラスメイトであり、元・親友。
おどおどしていて、控えめな性格。
玲奈に脅されて、美藍と距離を置くように…。
〔佐倉 柚葉(さくら ゆずは)〕
幸のクラスメイト。
さばさばした明るい子で、誰からも好かれる。
-プロローグ-
正直、耳が聞こえなくてもいいと思ってた。
周りの音なんか、聞こえなくて幸いだとも思った。
ピーッというけたたましい音や、ザワザワという音。
嫌だけど、それだけでも構わないと思ってた。
そんなわたしに。
初めて、聞きたいと思わせてくれた音は。
『おれが、美藍を守る』
『美藍の声、誰のよりも綺麗だ』
コウちゃん、きみの声だったんだよ…。
きみは、わたしを泣かせるようなことばっかり言うね。
わたしは目で読み取っているから、涙でぼやけていたらきみが言ったことが分からないのに。
あぁ、わたしは今こんなにも。
きみの声を聞いてみたい__。
おおお、続き気になる!
更新ファイト!
>>4
早速ありがと!頑張るね!!
うん!応援してる!
りのの小説のファンクラブ会長だよ!
>>6
そんな、ファンクラブって。。。
大げさだよ〜〜
-1-
「美藍」
朝ご飯を食べに行こうと思って廊下を歩いているとトントンと肩を叩かれた。
くるっと後ろを振り向くと、お姉ちゃんがいて笑顔でわたしの名前を呼んだ。
「お姉、ちゃん……」
家族の前では声を出していても、恐る恐るとだ。
「おはよう、今日は元気?」
「う、ん……まあ、ね」
わたしのお姉ちゃんは4歳年上の高校2年生で、家族であるわたしから見てもとっても美人さん。
おまけに気遣いも出来て優しくて、頭も良いという完璧な人。
わたし、読話には慣れたからゆっくり話さなくてもいい、って言ってるのに、今でもゆったりとした話し方でいてくれる。
……読話っていうのはいわゆる読唇術のことで、主に聴覚障害をもっている人が唇の動きだけで発話の内容を読み取る、というもの。
わたしが聴覚障害者になったのは小学3年生の頃だから、もう随分慣れたことも多い。
耳鳴りがすること、周りの音が全く聞こえないこと、自分の声すらも聞こえないこと……。
そういうのは悲しいし、辛い。
だけど、それよりももっと嫌なのは……。
「美藍ー?」
はっと我に返ったときには、目の前でひらひらとお姉ちゃん手が揺れていて、それと同時に不思議そうな顔をしたお姉ちゃんも見えた。
「あっ……」
「もー、何ぼうっとしてるのよ、ほら行くよ」
相変わらずゆったりと話してくれるお姉ちゃんの優しさに、涙が滲み出したのが分かった。
-2-
お母さんが作ってくれた美味しい朝ご飯を食べて、お姉ちゃんと学校に行く。
わたしが通っているのは『私立紫蘭女子学園』略して『シラ女』の中等部。
そして、お姉ちゃんはそこの高等部に通っている。
初等部から高等部まで同じ敷地内にあるから一緒に登校できるの。
「おふぁよ〜」
あ、欠伸と同時に来たこの人は、わたしのお兄ちゃんで6歳年上の大学1年生。
国内でも有名な頭の良い人が行ける学校に行ってるんだ。
お寝坊さんだから、いつもわたしたちが家を出る時間に起きてくる。
「おはよぅ……おにぃ、ちゃん」
「おー、よしよし。美藍は今日も可愛いなぁ」
挨拶を返しただけで、頭を撫でられる始末。
子供扱いしすぎじゃないですかね?わたし、もう中学生なのに!
「ちょっと兄貴!汚い手で美藍を触らないでよ!」
「兄貴呼びは直せって言ってるだろ!あと、美藍は俺の妹でもあるから、美紅にどうこう言われる筋合いはない!」
「兄貴が嫌なら、碧空って呼び捨てにしてやるわ!っていうか、“き・た・な・い・て”で触るなって言ってるだけよ!」
お兄ちゃん、お姉ちゃん……!
「こら碧空、美紅!美藍を挟んで言い合いしない!」
どうしようもなくて途方に暮れていた時、お母さんがびしっと言ってくれて、収まった。
でも、いつものことなんだよねぇ……はぁ……。
あ、そうそう『碧空』っていうのはお兄ちゃんの名前で『りく』、お姉ちゃんは『美紅』で『みく』って読むの。
上から『碧』『紅』『藍』と、色が入っているんだ。
1人目が生まれる時、男の子だったら『碧空』で、女の子だったら『美紅』にしよう、ってお母さんとお父さんで話したらしくて。
1人目は男の子で、2人目が女の子だったからちょうど良かったみたい。
そして、わたしが生まれることになって、また必死で考えたんだって。
『みどり』『あか』ときたから、『あお』にしよう、てことで『藍』が入ることが決定。
それからは、『美紅』の『美』を入れて『美藍』になったらしい。
『素直な笑顔で、美しく華のある』子に育ってほしい、というお母さんたちの願いも込められているんだ。
りのちー、読みました‼
これもまた面白い‼
それに同級生の子と名前が同じキャラがいて、(漢字は違うけど)親近感が沸く!
続き楽しみにしてるね!
>>10
わ、ありがと〜
そうなんだ!同じ名前。。。すごい!
うん、頑張るねっ!
-3-
「じゃあ美藍、あたしは今日部活だから、友達と帰ってね」
「……ぁ、うん」
返事が一拍遅れちゃった。
お姉ちゃんを見送って、中等部の校舎のほうに歩いている時に思い出した。
そうだった、何で忘れてたんだろ。
家族には、わたしがひとりぼっちなこと、言ってなかったじゃない。
何気なく、視線を前に送ると。
前を歩いている子たちの姿が見えた。
仲良さげに笑い合っているみたいで、わたしにも友達がいた頃を思い出して懐かしく思っていたその時。
「……あ……」
うちのクラスの玲奈ちゃんたちだ……。
玲奈ちゃんはわたしの学年で一番のお嬢様だけど、高飛車じゃないから人気者なんだ。
いつも玲奈ちゃんの周りには取り巻きが5人いるの。
仲良くしてもらえると、色々自分に良いことがあるからね。
今もその取り巻き5人を引き連れて……って、6人いる?!
「……うそ、だ……」
あの、ボブヘアの子をわたしが見間違えるはずはない。
りこたんだ……。
何で、玲奈ちゃんと一緒にいるの?
本当に、わたしのことが嫌になっちゃったのかな……。
うん!
みらん、こう、りこって子が漢字は違うけど知り合いなの。
あと、私と1文字違いの子がいる(笑)
薫は仮名で、本名になんのかすりもないんだよねー
>>13
ふぇぇぇ!!そんなに…!
まァ、今回は結構いそうな名前にしたからね〜
-4-
りこたんこと綾瀬 莉子は、わたしの親友だった子。
親同士も仲が良くて、初等部のときからずっと一緒にいた子。
いつも控えめで自分の意見は出さないけどちゃんとあって、しっかりしていて。
わたしに『10年後もみらりんと一緒にいたいな』って恥ずかしそうに言ってた。
それなのに、あの子はわたしを裏切ったんだ……。
玲奈ちゃんがわたしに嫌がらせをするようになってから、離れていった。
どうせ、自分がいじめられたくないから、なんだろうけれど。
りこたんのことが、心底嫌いになった。最低だと罵った。
……はず、だったのに。
やっぱり嫌いになれるわけがなかった。
『助けてほしい。一緒にいてほしい』
わたしがそう言って苦しむのは、りこたんだから。
苦しめたくない。笑っていてほしい。
こんな風に思うのは、偽善だと自分でも思うよ。
だけど、りこたんの笑顔をわたしのワガママで奪うのは、それこそ最低だから。
りこたんだって、玲奈ちゃんに脅されて仕方なく離れていっちゃったんだ。
そう思って待っていた。いじめが、なくなるのを。
でも、もうだめなんだ。りこたんは……。
自分の意志であの中にいるんだ。もう、こっちに戻ってきてはくれない。
りこたん自身がいたい、と思ってなければ。
ついこの間まではわたしの前でしか見せなかった、あのふわっとした笑顔は見せないだろう。
もう、手遅れだ。
全てはあの日、事故に遭ったせいなんだから。
-5-
りこたん、りこたん…って、馬鹿みたい。
どれだけ諦めが悪いのよ、わたし……。
女々しいったらありゃしない。
「わっ……?!」
その時、急に誰かに突き飛ばされた。
向こうはぽんと軽く押しただけのつもりかもしれないけれど、何しろわたしは耳が聞こえないものだから、背後から来られたらとっさに反応できるはずがない。
お陰さまで、膝と手を地面に付くというみっともない格好になったわたしがいた。
そして、そんなわたしの視界に誰かの足が入ってきた。
その人を見上げると、わたしの予想通り玲奈ちゃんだった。
というより、こんなことを大々的にする時点で玲奈ちゃんとその取り巻きに決まっていた。
周りを見るとわたしを囲むように取り巻きたちが立っていて、すごい目つきで見下ろされていた。
りこたんは……?
諦めの悪いわたしは、取り巻きの中にりこたんがいるのかが気になって仕方がない。
首が回らない真後ろにいるのかも、と思って後ろを振り向こうとすると、
「莉子は、日直だから先に行ったわよ?」
まるで、わたしの心を見透かしたかのような玲奈ちゃんに、髪を引っ張られて前を向かされた。
「……っ」
いないんだ、良かった……ここに、りこたんがいたら……。
考えただけでも恐ろしい。
「何よ?莉子はもう、こっちの子よ?あんたに構うのが嫌になったんだってさァ」
そう言う玲奈ちゃんの口許を一瞥した後、真っ直ぐその瞳を睨みつけた。
おお〜。
私の名前も、本名にかすってない。
憧れの先輩の名前です…。
りこって漢字同じ子いる!
-6-
「だか、ら……何で、すか……?」
「え?なにィ?聞き取れなぁい!……だって、発音悪いし?」
「……!?」
やっぱり無理だ、わたしは。
こう言われたら、もう逆らう気も無くなっていく……。
「ちょっと、あんた何か言えば?」
「しゃべってもキモいし、黙っててもムカつくし」
「いる意味がないよね」
「もうとっくに存在意義なんか消えてるっしょー」
「ほんとウザい。特別扱いされててさ」
あぁ、本当にもうだめだ。
わざわざわたしの目の前に回ってきて言うから、全て読み取れてしまった。
取り巻き5人の言葉がぐさぐさ胸に突き刺さる。
「もォ、行こ?しゃべらない人形なんか、相手にしてる暇ないわ」
玲奈ちゃんが前に立って、歩き始めた。
そして、その場に残されたわたしは、ぺたんと座り込んでしまった。
わたしを避けながら生徒玄関に向かう人たちを横目で見ながら、わたしはいつしか涙を流していた。
引っ張られた髪はぼさぼさで、コンクリートの地面に打ち付けた膝には痣ができて。
通り過ぎていく人たちの視線を痛いほど感じながら、わたしは迷わず校門に向かって歩き出した。
こんな学校、もうたくさん。
そう思いながら、前だけを見て歩いて行く。
その姿を、教室の窓から悲しそうに見ている誰かがいるなんて、思いもしなかった。
美藍ちゃん、可愛そう…。
20:Rinon◆V6:2017/08/05(土) 11:09 >>17
お、莉子ちゃんいるんだ!!
>>18
美藍に、私を重ねて書いてるの。(ほぼノンフィクション、ちょっと理想)
実際に言われたことかもね〜
-RIKO-
『みらりんには、あたしがいるよっ!』
『みらりんは1人なんかじゃないっ……!』
そう、声をかけることができていたあたしは、一体どこに行ってしまったのだろう。
登校中に今日のいじめのネタを楽しそうに笑いながら考えている玲奈ちゃんたちを見て、ふとそんなことを考える。
「美藍って、キモくね?」
取り巻きのひとり、沙羅ちゃんがそう言った。
「あっそれ、めっちゃ分かるゥ」
「マジしゃべんなっての」
「筆談もおっそいけど」
「それなー!あんなヤツ、待ってらんないって!」
それに乗っ取って、取り巻きたちが話し始める。
『みらりんは、気持ち悪くない!耳が聞こえないのだって、なりたくてなったんじゃないよ!』
その時、そう言えていたら良かったのに……。
あたしは結局、自分が可愛いんだね。
だから、言えなかった。……いや、言わなかった。
……いじめられたくないから。
「ねェ、玲奈〜」
「今日は、何する〜?」
ご機嫌を取るように猫なで声で玲奈ちゃんに話しかける取り巻きを見て、そういえば玲奈ちゃん何も話してないな、ということに気がついた。
「わたしは……」
しかも、言葉に詰まっている。
玲奈ちゃんってもしかして、美藍のことまだ好き……?
「今ちょうど後ろにいるしさァ、転ばせてみようよ」
「手慣らしとして、ね」
あぁ、もうこんな会話聞きたくないっ……。
「あっ……あたしっ、日誌取りに行かなきゃっ!」
逃げたいがために頭をフル回転させて思い出したことは、今日が日直の日だってこと。
「えー残念。じゃ、後でねー」
沙羅ちゃんにそう言われて、去り際にちらりと玲奈ちゃんを見ると、向こうもこちらを見ていて。
『わたしも、こんなことしたくないのに……』
そんなことを思っているんじゃないか、と思うような瞳をしていた。
あたしはその足のまま職員室に寄って日誌を取った後、気になって教室の窓から外を見てみた。
そこには、ぼろぼろになって、でも毅然とした足取りで校門に向かって歩いて行くみらりんの姿があった。
それを見て、何かが込み上げて来て気付くと一筋、頬を滑り落ちるものがあった。
沙羅ちゃんって…。
重ねてるんだね。
りの、応援してるよ!
すごくリアルでいいよ、りのちー‼
りのちーの周りに、耳不自由な子とかいるの?
描写が分かりやすくてすごいよ!
あ、無理に答えなくてもいいからね!
>>22
5人中1人くらいは名前出しといたほうが楽かなって思って。
まぁね。。。ありがとうっ!!
>>23
え、そぉ?ありがと!
実は、私が聞こえないの。小4の時、事故で。
そうかなァ?がんばるねっ!
-7-
学校を出たはいいけれど、家に帰ることも出来ない。
お母さんが心配しちゃうからね……。
幸い、シラ女は無断欠席しても特にお咎めはなし。
お嬢様がいっぱい通ってるから、悪い印象を与えたくないらしい。
「わた、しは……わたし、わたしは……っ」
やっぱり聞こえない。
いや、分かりきったことなんだけれど。
学校、明日からまた行かなきゃいけない……。
本当に、どこか遠くに行ってしまいたい。
誰にも会えないくらい、見つけられないくらい、遠くに。
行き先を決めずにぶらぶら歩いていると、全然知らないところまで来てしまったらしい。
ここの坂をおりてもどこか分からなかったら、来た道を戻ればいいかな。
といっても、通ってきた道が分かるかどうか……。
取り敢えず行こう、前進するのみ!
結構、狭い道だなぁ。
両手を広げればそれぞれの壁に届いちゃいそう。
ここって裏道なのかな、だから人がいないのか……?
そんな、どうでもいいことを考えながら歩いていて、何気なく後ろを振り返った瞬間。
目の前に迫ってくる自転車と男の子がいて、状況を理解する前に足に痛みが走った。
>りのちー
そっか、何か無神経に聞いちゃってごねんね。
でも頑張って!
応援してるね‼いろんな意味で。
でも、わたしたちはこうして文でやり取りして知り合ったから、出来る事でお互い頑張ろうね‼
>>26
え、全然!ガルトメンバーは知ってるし、大丈夫よ!
応援ありがと!こうして、私の小説を読んでくれることだけで、嬉しい♡
うんっ!お互い、頑張ろ!!
うん!わたしも、最初に好きなキャラを言ってくれたの、りのちーで嬉しかった‼
29:Rinon◆V6:2017/08/05(土) 21:25
-8-
「いた……」
バランスを崩したわたしは、男の子ともつれ合いながら坂の下まで転げ落ちた。
「すみません!だ、大丈夫ですかっ?!お怪我はっ?!」
「え、あ……」
初対面だし驚かれるとは思うけれど、筆談のほうがいいよね?
そう思い、一度は開いた口をきゅっと結ぶ。
そして、慌ててノートを取り出し、さらさらと書き込んでいく。
『わたしは大丈夫です。あなたは?』
そう書いたノートを見せると、彼は目を見開いた。
「きみ、どうして……?」
想像以上に驚いている彼を見て、『耳が聞こえないので。』と書いて見せる。
「あっなるほど!って、おれ普通にしゃべってていいのか?あ、えーと、その……」
自問自答しながら、身体全体を使って言葉を表現しようとしている彼を見て、思わず吹き出してしまう。
それくらい、この慌てようは面白いのだ。
『わたし、読話ができるので気にしなくていいですよ。』
彼を落ち着けるために、そう書いたノートを見せて微笑む。
「読話?」
聞き返してくる彼に、読唇術って言ったほうが良かったかな、と思いそのことを説明する。
「あぁ、読唇術!すげぇな、忍者みたいじゃん!」
忍者……。初めて言われたなぁ……。
不思議な感覚してるのかな、この人。
『それより、あなたはお怪我なさってませんか?』
先程呆気なくスルーされた質問をまた繰り返す。
「おれは全然平気!ほんと、ごめんな」
申し訳なさそうにそう言う彼に、軽く首を横に振る。
「そっか……。今思ったんだけど、もしかしてきみの制服ってシラ女の?」
『あ、はい。そちらは、泉ヶ丘中学校ですか?』
「そうだよ……て、ああぁぁぁあ!!!学校!遅刻っ!!」
突然叫び出す彼に、声は聞こえないもののビックリする。
そして、気になったことをノートに書いて見せる。
『さっきの時点で遅刻でしたよね?』
すると……。
「それは、言わないでもらえると助かる……」
急いでいるところを邪魔してしまって、悪かったな……。
『それでは、さようなら。学校、頑張ってください。』
「さよなら、じゃないだろ!また会えるって!おれ水沢 幸、泉ヶ丘の1年!きみは?」
そこを否定されて、固まってしまう。
そして、学校行かなくていいのかな、と思いながらも質問には答える。
『紫蘭女子学園の1年生、星川 美藍です。』
「美藍、な!めっちゃいい名前!じゃ、またな!」
一気に色々なことを言い、わたしが頷くのを見てから倒れた自転車に飛び乗って荒らしのように去って行った。
水沢くんは、また会えるって言ってたけど……もう、会う機会なんかないだろうな……。
ちょっとだけ、寂しいかも……。
その思いはきっと、久しぶりに家族以外の誰かと会話できたから、なはず。
>>28
え!そうだったの?嬉しいって、ありがとう
おっ、幸くん出てきた‼
優しそうでいいね!
これからどう進展するんだろう?
楽しみ!
>>31
おっ、幸くん出しました!!
そうだね、私の彼がモデル♡(彼には内緒だけど)
さァ、どうだろうねェ??
ありがとう!
彼いるんだ!
うらやましい。。。
彼モデルなら、すごくいい人だね。
幸くん。
>>33
いるよ〜v(*´∀`*)v
>>34
そう!いい人なのよ、ほんとに。。。
私には勿体ない。。。
続きファイト!
37:Rinon◆V6:2017/08/05(土) 22:41 >>36
ありがと!!
あ、漢字ミス発見。。。
8の下から4行目
『荒らしのように』→『嵐のように』です。。。
すみません。。。
-10-
学校が終わるくらいの時間になるまで時間を潰し、家に帰った。
お母さんにただいまと言い、部屋に入ってしばらくすると、ドアからお姉ちゃんが顔を覗かせた。
「美藍……」
「お、ねえちゃ……ん?部活、は……?」
いつもはドアのところに立って話して行くお姉ちゃんが、部屋の中に入ってわたしのもとまで来た。
「部活なんか、どうでもいいっ!美藍……友達いるわよね?」
「えっ……」
どういうことなの?
それを聞くことが、部活よりも大切なの?
「正直に言ってほしいの、あたしは。お願いよ、美藍」
お姉ちゃんは、きっと知っちゃったんだ……。
わたしに、友達と呼べる人がいないことを。
「とも、だち……、いない、です」
「……やっぱりね。今日、あたしの友達が言ってたの。中等部の生徒玄関前で美藍が女の子たちに転ばされてた、って」
「あぁ……」
お姉ちゃんの律儀なお友達さんに、見られてたんだ……。
あの、みっともない姿を。
「美藍……友達、いるんじゃなかったっけ……?莉子ちゃんはどうしたの?なんで……っ」
お姉ちゃん……ごめんね、嘘ついて。
りこたんとの仲がとっくの昔に終わっていることを言っていないで。
でも、こればっかりは仕方がなかったんだよ。
わたしを抱きしめて泣くお姉ちゃんをぼんやりと見つめながら、なぜか水沢くんの言葉を思い出していた。
『また会えるって!』
本当に、会えるかな……。
会えたらいいな……会いたいな……っ。
-11-
お姉ちゃんはあの後、
『お母さんには言わないから自分で何とかしなさい、あたしも出来る限りのフォローはするから』
そう言って、部屋を出て行った。
本当にごめんなさい、という言葉しか出てこないよ……お姉ちゃん。
これから顔を見合わせなきゃいけないけれど、どうしよう……。
そうっとドアを開けて、廊下に出る。
「あ……」
すると、ちょうどわたしの部屋の前を通っているお姉ちゃんに遭遇してしまった。
嘘でしょ……心の準備ができてないって!
「おはよう美藍!」
え……?お姉ちゃん……いつも通りだ。
「おは、よう……おねえ、ちゃん」
取り敢えず挨拶を返すけど、戸惑いが隠しきれていないと思う。
「美藍、昨日のことは気にしちゃダメよ」
「え?あ、うん……」
お姉ちゃんはわたしの頭をぐりぐりと撫でると、スキップしそうな勢いで歩き始めた。
「ちょっ……!」
わたしは、慌ててその後に付いていった。
お姉ちゃんのことが大好きだな、わたし!
改めて、そんなことを感じながら頬を緩ませた。
美藍ちゃん、私みたいに言えないタイプだ。
お願い、負けないで!
>>41
『頑張るね、まいちゃん! 美藍』
って書いたノートを見せてきてるよ!笑
わーっ!
私は美藍ちゃんの発音を悪く言わないよ!
話していいよ♪
ありがとうーっ!
頑張ってね!
-12-
「じゃあ、行ってきまーすっ!」
「行って、きま、す!」
お姉ちゃんの元気な声の後に、出来るだけ明るい声を出してみる。
「いってらっしゃい、美紅、美藍」
お母さんは、玄関まで出てきてにこりと微笑んでくれた。
わたしも口角をあげて、笑い返した。
「美藍!なんか、男の子が……」
はい?男の子……?
お母さんから教えられて、くるっと後ろを向くと。
水沢くん……?!
「美藍の家ってここだったんだな!今まで何で会わなかったのか不思議なんだけど、おれん家ここから3軒目のとこなんだよなー」
ビックリしすぎて口をぱくぱくさせているわたしを見て吹き出す水沢くん。
ちょっと、それは酷いのではないでしょうか?
「また会える、って言っただろ!おれ、合ってたよな!」
にかりとまるで太陽のような笑顔を向けられて、目を細めてわたしも笑った。
本当に、会えた……。これからも、きっと……。
思わずそんなことを考えてしまう程、この時のわたしは嬉しさでいっぱいだった。
キャーーー、近い近いぃ!
46:薫:2017/08/07(月) 14:03 わあ、話し進んだー!
幸くんと美藍ちゃんどうなるのーっ(/≧◇≦\)
>>45
「ほんと、近く、て……お、どろいた、の……!」
わ、わ、わ!!みぃちゃん!美藍ちゃんが話したよ!!
きっと心を許したんだね!
>>46
わあ、進んだよー!
どうなるんだろう、;;;;(;・・)ゞウーン
美藍ちゃんありがとう…!
みぃでいいよ。
-13-
今朝は驚いたなぁ……。
まさか、水沢くんに会うなんて。
お陰で今日は嫌がらせとかされても全然、気にならなかったのだけれど。
暇があれば水沢くんのことを考えてしまっているわたし。
そんな自分が恥ずかしくて、頭をぶんぶん振る。
その時、後ろから誰かに肩をぽんぽんと叩かれた。
お姉ちゃんかな、と思って振り向くと。
「こんにちは!美紅の妹の……えっと美藍ちゃん、だよね?」
「は……ぁ」
急のことで、口から息が漏れるのと同時に声も漏れた。
それに気付いて片手で口を塞ぎながら、空いているほうの手でノートを引っ張り出す。
『はい、星川 美藍です。お姉ちゃんのお友達さんですか?』
「……あ、そっか。耳が……。うちには普通に話してもいいよ?絶対、馬鹿にしたりしないし」
すごく、優しい人なんだな……。
「あ、の……お名前、は?」
「あっごめん、まだだったね!うちは、東の雲が咲くって書いて東雲 咲(しののめ さく)」
「咲、さん……」
明るくて、優しくて、どことなくお姉ちゃんに似ているな、咲さん。
「美藍ちゃん、今日美紅は部活あるけど……誰か待ってるの?」
え?お姉ちゃん今日、部活だったの?!
「おっ教えて、くれて、ありがと、うございまっ、す!」
知らなかったよ〜!
咲さんに会わなかったら、ずっと待ってるとこだった!
美藍ちゃん、優しい人がいてよかったね!
あ、リレー更新したよー!
>>50
「ほんと、です……っ!でも、咲さん、は……高校、生なので……す」
きゃっはーーっ!!美藍ちゃんがしゃべってるぅーーっ!!
リレー、書いてきたよ!!
美藍ちゃん、しゃべってくれた!ありがとう‼
「ぜひわたしとも友達になって!」
ってトウナ言ってるよ!多分。
更新、ありがとうね‼
-14-
帰ろうっと。
そう思って校門に向かって歩いて行くと。
「あ、れ……?」
なんか、生徒が溜まってるよ……!何事……?
その中で、誰かが手を振り回している。
誰なんだろう……ちょっと迷惑だな……こんな人ごみを作って。
「美藍ーっ!おれだよ!」
はい?ちょっと、待って何で……ええぇぇぇっ!?
人ごみの中から出てきたのはなんと、水沢くんだった。
「美藍を迎えにきたんだ!」
「ちょっ……!」
いつ、どこで、わたしがそれを承諾したのか。どうして、こんなことする必要があるのか!
しかも……視線が、痛いっ!
「あの子って……」
「耳が聞こえない子じゃない?」
「えー!なんであの子がこんなカッコいい人と……」
全部全部、読み取っているのですけれども。
ぎゅっと目を瞑り水沢くんの手首をむんずと掴んで、走り出す。
水沢くんが何か言っていたけど、今はそんなの知らない!
今日は珍しく、良いことづくしだと思っていたのに!
リレー行ってくるね!
続きもファイト!
-15-
ぐい、と急に手を引かれた。
驚いて後ろを振り向くと、きっとわたしよりも目を見開いている水沢くんがいた。
「美藍!ちょっと待てって!」
水沢くんが、そう言ったのがわかる。
でも、わたしは恥ずかしさで顔を俯ける。
今、冷静に考えると、わたし大変なことしちゃった……。
だって……男の子の手を引いて、全力疾走って……。
あぁもう、嫌われちゃったかな……水沢くんに。
「美藍?どした?」
そんなに優しくしちゃだめだよ。
「おれが行ったの、そんなに嫌だったとか?」
違うよ、ほんとは嬉しかったんだから……来てくれたこと。
また、会えたこと。
「ごめんな、もうしない」
「ちが、うの……っ!」
もう、我慢ができなかった。
わたしが何も答えなかったのが一番の原因なんだけれど。
それでも、水沢くんが自分のせいにしようとすることが、とてつもなく悔しかった。
そしてわたしは、そんな自分に戸惑いを隠せない。
「美藍の声……初めて聞いた……!」
わたしの前には、何故か大喜びしている水沢くんがいて、またもや戸惑いを隠せなかった。
おっ、これからの展開気になる!
幸くんイイ人っ!
美藍ちゃんファイト!
続きが楽しみです!
58:Rinon◆V6:2017/08/10(木) 15:45 私、しばらく葉っぱに来れません。
でも、私の代わりに書きに来てくれる人がいます。
たまに覗くと小説更新されてるかもしれません。
なので、どうか見捨てないでください!
私も絶対、戻ってきますので!!
Rinon
りのちー、絶対見捨てないよ!
信じて待ってるね‼
-16-
「いい声してんな!鈴の音みたいな!」
鈴の音って、どんな声……?
なんとなく水沢くんらしい例えのような気がする。
でも、恥ずかしい……。
「おれの前では普通に話してよ。絶対、バカにしたりしないからさ!」
「あ……っ」
『うちには普通に話してもいいよ?絶対、馬鹿にしたりしないし』
今日、2回目だ。
嬉しい言葉を聞けたの……。
「水沢、くん……。その、ありがと……う」
「おれは、美藍の声が聞ければそれでいい!」
さらに嬉しい言葉。
今日はやっぱり、良い日だったのかな。
-17-
「美藍、これから用事とかある?」
唐突なその質問に、首をぶんぶんと横に振る。
わたしに用事なんてあるはずない。
……病院以外には。
「そっか!おれ、美藍に見せに行きたいとこあるんだけど……行きたい?」
今度は、目を見開きながらも首を縦に振った。
「い、行きたい……っ!」
「では、しゅっぱーつ、しんこーう!」
やたら張り切って拳を上に突き上げる水沢くんの姿に少し笑ってから、歩き出した彼のあとをついて行く。
どこに行くんだろう……?
わたしに見せたいって……なんだろ。
取り敢えず、ついて行こう!
こんなに楽しみなの、久しぶりだな!
-18-
どこに向かっているのかな?
水沢くん、全然教えてくれないんだけど、そろそろ教えてくれてもいいよね。
こんな感じでしびれを切らしたわたしは、遂に聞いてみることにした。
「あの……水沢くん」
「なにー?」
「えっと、どこに、行っている、の?」
思い切って言った。
すると彼はわたしと向き合うような形で立った。
やっと、教えてくれる!
と、思ったら。
「……まだ、教えない」
にやりと笑って予想外の答えを言い、わたしの背後に回った。
頭が「?」でいっぱいになったその時だった。
「へ……?」
視界が真っ暗になったんだ。
まさか、この状態で行くの?うそでしょう?
後ろから押される感覚があった。
「ちょっ……!」
転んだらどうするの、どこに行くの、わざわざこんなことする必要あるの……?
言いたいことが山ほどある中、抵抗してもそりゃあ敵わないわけで。
押されるがままに歩き始めたのだった。
リアル幸くん!(いや、さんと言うべきか⁉)
りのちーの永遠友、薫です!
間接的にりのちーに会ったみたいで嬉しいです!
どうでもいいことをすいません‼
では。
あ、初めまして。りのんの永遠友…!
てか、りのちーって呼ばれてるんですね笑
早くもホームシックになっているらしくて、もう帰りたいとか言ってますよ。りのんが。
どうでもよくはないと思います、大丈夫です。
こんなに早くりのんの小説を読んでくれる方がいるなんて、思っていませんでした。
ありがとうございます。
>>64
わーっ、いえいえこちらこそ!
てか、堂々と愛称で呼んじゃいましたね。
全然知らない土地で頑張ってるりのちーを見習わないと……。
もしまた連絡することがあったら伝えてくださいますか?
わたしたち、応援しています、と。
こちらこそ返信くださり、ありがとうございます‼
-19-
どれくらい歩いたんだろう……。
ここは、どこなんだろう……。
色々な疑問が頭の中で渦を巻いている。
分からないことありすぎて怖いんですけれど……。
きゅっと唇を噛み締め、少し下げていた顔を上げる。
すると、急にぱあっと視界が開けた。
「……わ……ぁ」
そこにあるものを見て、私の口から気が抜けたような声が出た。
色とりどりのお花が隙間なく咲いている、ここは……。
「……お花畑……?」
「そう。美藍に見せたかったんだよなー」
すごく、すごく綺麗……!
私は、大のお花好き。部屋には欠かさず花瓶にお花を挿してを置いているくらい。
「ここ私有地なんだけど、荒らしたり一部の花だけ取ったりしなかったら、摘んで良いらしいんだ!」
な……、何それ素敵すぎる。
ともかく、ここに連れてきてくれた水沢くんに感謝だ。
「水沢くん、ありがとうっ……!」
-20-
天国にでも来ちゃったかと思うよ、私……。
「美藍てそんなに花好きなんだなー」
「うんっ!すっごく好き!綺麗だし、清楚だし……素敵要素が詰まってるもん!……って、あ」
思わず普通にしゃべっちゃった……!イントネーションとか変じゃなかったかな……。
「ごっ、ごめ……っ」
咄嗟に謝ろうと口を開いたところで水沢くんはにかっと笑った。
「謝る必要なんかねーよ。普通にしゃべってもいいじゃん」
「え。でも……発音悪いとか……なんか……その……」
普段、玲奈ちゃんたちに言われていることが引っかかり、素直に頷けない。
すると水沢くんは真剣な顔になって、私の瞳を覗き込んできた。
「それさ、絶対ウソだよ。全然変じゃねーもん」
その言葉に驚きつつ、嬉しさが込み上げてくる。
私の発音……変じゃないんだ……。
「……でも」
それでも怖さからか言い訳をしようとする私がいて、自分でも嫌になってしまう。
「でも、じゃない!大丈夫なんだから自信もてよ」
「……私は、わからない。だって、自分の声すら聞こえないもの……」
するりと口をついて出た言葉に水沢くんは絶句した。
あぁ……やってしまった、かも。なんで私はこんなことしか言えないのかな……。
久しぶりの更新!
……なのに、暗くってごめんなさい。
りのちーhello!
幸くん、カッコいいわ〜
でも、美藍ちゃんの気持ちも分かるかな。
ガルトにもちょこっと書いたけど、私葉っぱに来れない身でして……。
今日りのちーと話せる(というかりのちーが葉っぱにいる)のが凄く嬉しい!
次、いつ話せるか分からないから……
お互い頑張ろうね!
-21-
お互い俯いたまま、気まずい時間が流れる。
何か言わなきゃと焦って考えても、気の利いた言葉は何も思い浮かばない。
ああぁぁ、私があんなこと言わなきゃ……。
「あの……ごめんなさい……」
遂に沈黙に耐えられなくなった私は、顔を上げてそう言った。
水沢くんは一瞬ぽかんとした後、何故か吹き出した。
「なんで謝んの?美藍は何も悪いことしてないじゃん」
「え……いや、でも……私、あんなこと言っちゃったから」
「あれは、おれがいけなかったなって思ってさあ」
水沢くんの言葉に、今度は私がぽかんとする番。
「自分の声が聞こえないんだから大丈夫だって言われても、分かんないし不安だよな。おれ、たまにひとの気持ちとかあんまり分かってやれなくて。でも、本っ当に悪かったって思ってる、ごめんな」
どうしよう……謝らせちゃった……。
水沢くんは何も悪くないのに。
「ち……違うの!私は、その、確かに自分の声は聞こえないけど、聞こえないんだけど……でも嬉しかったの!発音おかしくないって言ってもらえて、びっくりしたけど嬉しかった。だから、謝らないで。あと……ありがとう」
言えた。伝わったかな。伝わってたらいいな。
久しぶりにこんなに長く話した気がするかも。
そんなことを考えると、自然と笑みが漏れてくる。
「……それなら、良かった」
そう言って、水沢くんは微笑むように笑った。
こんばんは、叶です。
りのんちゃんから小説届いたので
更新させて頂きました٩(๑′∀ ‵๑)۶•*¨*•.¸¸♪
-22-
「あのさ……学校でのこととか、もし良かったら話してくれないかな?」
「えっ……学校でのこと……?」
いきなりのことに思わず言葉に詰まった私を見て、水沢くんは慌てだした。
「もちろん、嫌だったら言わなくていいから!」
嫌、ではないかも……。
でもそんな話しても暗くなっちゃうし……どうしよう。
「やっぱ嫌だよな!ごめんごめん、気にしないで」
またもや水沢くんに気を使わせてしまった、と思ったと同時にぽろりと声がこぼれ出た。
「嫌じゃないけど……」
「え」
「嫌じゃないけど!でもその、暗い話だし……水沢くんが嫌になっちゃうかもって思って……」
そう言った途端、水沢くんはすごい勢いで首を横に振った。
「おれは絶対嫌になんないから!大丈夫!」
「そっか……じゃあ、話そうかな……」
何から話そう、と考え始めて一番最初に思い浮かんだのはりこたんのこと。
りこたんのことも話さないとだけど、りこたんが悪く思われたらやだな……。
どう言えばいいんだろう。
そんなことを考えながら口を開いた。
「あのね……」
-23-
「幼稚部のときから一緒で、親同士の仲も良い親友がいたの」
小さい頃のりこたんが鮮やかなまま私の記憶の中で笑っている。
あのときは楽しかったな……。
なんにも考えなくて良くて、ふたりでずっと遊んでいられてて。
障害も、なにもなくて……。
「周りから双子みたいって言われるほど仲良しで、本当にずーっと一緒にいた」
楽しかった。楽しかった、けど。
全部、過去形なんだ……。
「でも私が事故に遭って耳が聞こえなくなってから、クラスの子たちに無視され始めてね。最初はまだ話しかけてくれる子とかいたんだけど……だんだんいなくなっちゃって。でもりこたんは、最後まで私と一緒にいてくれたの。すごく心強かった……」
水沢くんは相槌を打ちながら真剣な表情で聞いてくれている。
「だけど、いつの間にかクラスで一番偉い……というか、一番慕われてる子のところに行っちゃったの。そのときは、さすがに悲しかったかな……」
「あのさ美藍はその、りこたん?のこと庇ってるつもりなんだろうけど」
それまで黙っていた水沢くんが、急に口を挟んできた。
「そいつも、美藍のこと裏切ったんだろ。じゃあ、みんなと同じじゃんか」
それは……そう、かもしれないけど……。
「でもっ……りこたんは、私の、親友なの。私は、諦めが悪いから、まだりこたんのことが好きなの!また私に笑いかけてくれるって信じてるのっ」
これは、ただの現実逃避。自分でも分かっている。
でも、頭では分かっていても、心がどうしてもついていかないの……。
りのんちゃんから、
小説のお届けものです(*´˘`*)♡
ぜひ、読んでください!
また来ます( ᵕᴗᵕ )