一人の役者にして一輪の花にして一等星
夢を喰らう 希望を奪う そんな少女 魔性の魅力に囚われたらもう最期。
でも仕方ない それはあなた達の罪 と誰かが言う。
つみ ばつ
罪 には 罰 を 罪深い咎人達よ
エゴイスト selfish
其の執行人には ----執行人には
目を付けられない様に生活を送って下さい
( …反射的に身を隠すも… …仕方は、無い と )
「 …さて 白に近いグレー …と、いうのを希望したいね 」
( …裁判を通り越して処刑場へと辿り着く
奇妙なまでに落ち着いた風が通り抜ける… )
「 …ScullFase・レイチェル。…して、そちらは? 」
「 其れは貴方による、最も天秤は必ず片方に傾き、罰は平等に死という結末が訪れる 」
( 続いての罪人は女性、それも大人。側から見たら親子に見えるだろう身長差。しかし視線は冷たい )
「 執行人の名はア・スフクター。役者にして花にして未来。喰人鬼(グール)の種族。組織の1人、だよ。 何か質問は? 」
「 ふむ、…まぁ 長々とは問わせて貰うとしようか 」
( 普段の目線から下に見下ろせる存在
…しかし、風圧に感じる個の重みはまるで違う )
「 さて …まぁ、幾人も同じことを聞いたのだろうが…
一先ずは同じ轍を踏むとしようか、…私の天秤は…
どう傾いているのかな? 」
「 ...時間稼ぎでは無いならば質問には答える。返答が不要と判断した場合、即罰を与える事にする。 」
( 冷たく淡々と、骨山の上から見下ろす。軽く口を開き牙を見せた後に、下を指す )
「 当然有罪。貴女も何か罪を犯しているのに変わりは無い。嘘、暴言、暴力、軽くても重くても、罪は罪。そして与えられる罰は同じ、私が喰らう 」
「 成る程、古く見なくなった食人風習…いや
…生態系的浄化を司る高位捕食者、といった所か 」
( 背筋を伝うような ___見定める"野獣"の視線
…そして 少なからず抱いた疑問を確信にする…
___獣。…懐かしさすら覚えるような"人獣"が持つ眼 )
( 何を間違っても… 人が持てない声色が奏でる恐怖は
"人の形を取る獣"に他ならなかった。…所々、違いはあるが)
「 … …死、即ち断罪か… それが私の罪が量かね? 」
「 少し違う、私達の組織は様々な種族で構成された物。そして私は執行人、罰は私の食事にもなる。罪人は骨を残して消える。世界は平和に近付く、一食三環 」
( 抑揚は一切無い、先程まで少年に湧いていた情は簡単に消えて、ただ冷淡に彼女を見る。いつでも罰を与える事が可能な様に骨山の上にて膝を曲げて腰を軽く降ろす )
( 飢えは無い。しかし腹が満たされる事も無い。執行人を続けると言う事も少女の仕事にして罪 )
「 当然、例外は少年 ...1人のみ。其れ以外皆死という罰を与えた。軽くても重くても、死は平等に訪れて、与えられるもの 」
「 …聞けば聞く程… いや、少し形は違うか 」
( 抱く感情は… 何なのであろうか 恐怖ではない
…懐かしさが混じるも、愉しくも思えてくる
案外 この地が持つ雰囲気は私向けでは無いだろうか? )
「 …見ることが無かったネズミも居ないらしいね
ふむ… 餓鬼道に住まう、…獣… いや、"狩人"か
それでいて … あぁ、とても良い眼をしている … 」
( 僅かに腐れた屍肉の 鼻を突き刺すような匂い )
「 ......さて、質問は終わりかな。ならば私はただ罰を与えるだけだよ 」
( 褒められても何も出ない、何も出せない。頭蓋骨だけでも大きく山が出来る、最近のハマりは背骨のジェンガ。後は骨粉にする事が多い。それをする事で“喜ぶ者”が組織にいるから
そして彼女も変わらない、何も変わらない。同じように死を与えるだけな筈。なのに先程から感じる圧は何だと言うのか )
「 罪人レイチェル、貴女は一体何者。少なくとも人ではないと、私は感じた。 」
「 多少の時を挟むだけだ、まぁ 彩りの少しは
気にしても罪はあるまい。…最も、それ即ち
結果的に罪に問われない事とは言えど…だがね 」
( 濃密な屍肉の ___"気配" 物言わずとも僅かな風に
音にもならぬ僅かな音 "気配" …漂うモノ、このような
……私たちが好む地に満遍なく溢れる ……____ )
「 …難しい事だよ、それは … ……だが、伺い知れる
諸々には答えとなりうる部分はあった …含めるモノは」
「 恐らく 私は… 君と見えるものが同じだろう
…濃密な…"死"の、香りに炙り出される殆どが
血を嗅ぎとり 鋭く 素早い…"獣"、それが一部 」
「 そう、今更何かをした所で過去は消えない。犯した罪を無かった事には出来ない、そして罪人に未来は無い。此処で終わりを告げるのみ 」
( 罪人の事を哀れと思ったり馬鹿だと思った事は沢山ある、不思議だと思った事も、弱いと思った事も。しかし彼女、また不思議な罪人。情を沸かせてはいけない。なのに----- )
「 私と罪人とでは見る世界が違う、罪人は世界を広く見て、罪を知り犯した。私は組織の皆んなと一緒に狭いけれど色んな場所を見た。何方が良いかなんてのは価値観の違い、だけど私は此方が良い。罪人にも怖い奴はいる、物騒な奴もいる ....私と同じ様な罪人も過去に何人か居た、罪人レイチェル、貴女もそう。その台詞も良く似てる 」
「 ...駄目、話が逸れてる。 罰を執行しなくちゃ 」
[ガチャン]
( しゃれこうべの一つが地面に転がり …足元で止まる
風は吹かず …また、動かす術もない ___死の香り )
「 …そうだな、…私は優秀であり有望でもあった
__悪いこと、良いこと 複数の意味を以て…だから
…"狩人"として全てを暴き 探し求め… "世界"
へと駆り出された… "獣狩りの狩人"私のもうひとつ 」
「 …いつか 人は変じて"獣"となるのだと知った
…だが、血溜まりの故郷はそれを迎え入れ
永遠の…"血と骨"、それらが含める繁栄を極めた 」
( ___おぞましい記憶の羅列 …しかし語らう声の
…懐かしさ ___血に濡れた記憶の数々 )
「 その中で… 獣を喰らって血を静めた
…忌みたる"異端の人獣" …私の最後に賜った
血と骨の"証"にして ___"人を喰った"罪 」
( _______今一度 眼を合わせる
互いも 互いの "野獣"の眼。
赤黒い空気の溢れる吹き溜まり …その 底で )
「 …君が懐かしい ___会ったことがない …
しかし 嗅ぎ続けたこの匂い… "血肉の証"を
全身に纏う …故郷の"狩人"が持つ香り 」
「 ...罪人レイチェル、とても惜しかった。もう少し出会うのが早ければ私と貴女は友達として、執行人として隣に立っていたかもしれない。 だから、残念に思う、そこまで重くて深くて私と同じ罪、食べて終わらせなければいけない事を。本当に残念に思う。貴女の髑髏は特別に、此の罪人の山の頂上に置こう 」
( 言っている事全て理解出来る、納得出来る、だからこそ辛い。分からない方が幸せだったろうに。同じ狩人、同じ人食い、同じ“獣” 年齢、経験、体格、全てにおいて差はあるものの、何故か肩を並べて話し合う存在しない未来が脳裏に映る。此処で今初めて会った筈なのに、幼馴染や親友と再会したような気がする。...するだけだ )
「 私は執行人、貴女は罪人。でもお互いに獣。血と肉を欲して、骨に貪り付き、死を与えた者同士。 同じ罪を背負う者。.......でも、分かるよね 」
それが私の仕事にして ....罰 そしてそれが貴女の罰。
「 ……立場、気の持ち方 …狩人も獣も、在り方は違った
しかし互いについての理解は深くあるのが常…… あぁ
…やはり酷く、懐かしい… 君も私も同じ …そう、最後は
……殆ど こうなると決まってしまっている。
______そうだろう? …血と 骨の世界ならば 」
( 右手に …大型の鉈 …染み付いた血の痕 欠けた刃
"木を前に掴むモノではない凶器"。…しかし その意味は
……命への執着ではない 相手を恨むでも決してない )
「 ……聞こう これが…私の意志では最後だ
こんな姿を 何回見たか覚えているか? 」
( …恐らくは 互いに… "同じモノ"を握り締め
心を圧し殺しながら挑んだ姿 ……そう、2人には…
見えずとも … 共ずると分かってしまう )
「 .....無謀にも私に挑んで来た罪人は多数居る、勿論全員敗北した。しかし初めてだよ、レイチェル。貴女の様様な姿を見たのは。あぁ、本当に残念だ。納得して貴女も罰を受けてくれないと言うのなら、私は本気で貴女をやるしか無い。こうして何方かが死ぬまで、と言うのは久しぶりだよ。レイチェル 」
( 少女の手には何も持っていない。しかし幻想が向かい合った彼女と同じ得物を構えている様に見えた、血に濡れて、ボロボロで、それでいて懐かしい。
本気を出そう。いつもの被り物、鋼の一斗缶。口元は綺麗に食い荒らされて鋭く尖った牙のお目見え )
「 どんなに足掻いても、苦しんでも、逃げても、罰は与えられる、それが罪人の_______私達の罪だから 」
( 可能ならば殺し合いたくない、しかし駄目なのだろう。これは逃げられない運命、覚悟を決めなければ、待つのは相手を侮辱したと言う結果のみが残る。そんなのは駄目だ...全力で、敬意を払い、彼女を討つ )
「 遺言は、選んだ。レイチェルも選んだね 」
「 ……"死"に忌避を唱えた事はない … 罪も 罰も…
自分がそうだった、相手も… だから、避ける事は
……決して、無かった ……そうだね? ……最後に…
こう …なった時… …あの感覚を覚えているかな? 」
( …共に歩んだ 共に戦った ……されど最後には ……
___走馬灯のように 鮮明な幻影 …血飛沫の記憶
抵抗ではない …しかし 最後に互いを…深く知るために。
…同じを、歩んだからこそ … 血を 相手の、それを
浴びる度に ___脳裏へ焼き付く"血肉の旅路"…
……知って貰い… 何より 知るために 激しく牙を
剥き出し続けた ……それだけが 互いの救いだった )
( … ……其処からはもう 互いに慣れたモノだったろう
私は右手の鉈を握り 左の手に… "銀のナイフ"を備える
… 生きるも死ぬも 一寸先は誰にも見えることはない
……だから どちらでもいいように …私達は"狩り"あう )
( ______理解は最初からしていた ……恐らくは…
私は此処へ導かれたのだろう …罪 それ以外のモノに )
「 ……安心したよ… …それを聞くのは 1人だからね… 」
"スフクター"
( …静かに 唾の広い黒帽子を被る )
「 とても悲しい、とても悔しい、深く深く、凄く大きな罪だよ、これは。私とレイチェル、とても深くて重い罪。だからお互いに忘れないように焼き付けてしまおうか、脳の底に、もう一度。
今まで私が執行人を続けて来たのは、レイチェルが生きていたのは、全てこの時の為だったんだろうね。
そして今思うよ、情の一言では表せないだろう関係。生まれて来る場所が違うだけで、同じ血が流れるであろうレイチェル。今ここで、罰を与えて終わらせる 」
幸運を、死にゆく者に敬礼を。全てに等しい罰を
“ワタシタチ ”
“ 罪人”に。獄で幸を掴み、またこの世で聖人として生き長らえるように祈ります。....この悲劇が、決して二度と訪れない様に。深くて辛い絶望が消え去るように_______
( 瞳を閉じて向き合う、喰らい終わらせよう。私達の罪を、罰を。血も肉も魂も決してもう残さない。骨も燃やしてしまえ、この山に彼女は相応しくない。全てにおいてこれが......赤い糸はほどけない、絡み合った運命 )
( その名で呼ぶのはもう、彼女しか居ない )
さぁレイチェル、罰の時間だ。悔い無き終わりを、互いにね。
( .......鋭利な牙、少女に似つかわしく無い、剣や槍よりも貫けて、ただ狩る、食う事に特化した得物。両手はガラ空きだが ....まやかしに過ぎない、相手と同じ武器。せめて最期は“楽しもう” その決意が身体を流れる )
「 ………………あぁ 始めよう 」
懐かしき …… 不浄の地 ___救いの僅かな時間を
…通じ合うまま 互いに狙いを定める
振るう言葉は 鈍い得物へ姿を変え
__決まった結果を 僅かに変え合う
( "獣"と"獣"であり "狩人"と"狩人"であり
"友"と"友"であり "罪"と"罪" )
_____全ての清算は 血によってのみ……
( 静かな音を最後… いよいよ以て鈍い鉈は
嘗ての"凶器"へと変貌する …血肉の気配が
骨の山を覆っていく… …私達は… そう )
"呪い"
( 音も無く眼前へ跳躍し
また躊躇いも無く鉈を振り下ろす )
「 私達の罰はこうしてしか拭き合えない、嫌だよね、同じ存在だから全てが分かるよね。だからこそ .....レイチェル、とても嬉しいよ、最期がこれになるのなら 」
ガキィッ!!!
( 鉈を受け止めるのは鉄の一斗缶、被ったそれはしっかりと急所を守るのに適しており、簡単には打ち破れない )
ギギギギ......
( 力任せに踏ん張り押し続ける、牙を剣の様に振っては首筋から切り裂こうと得物を振る )
.....ガサガサガサガサ
( 骨山から探る、彼女を打ち破れるものを、牙だけでは貫けないだろうし、そして本気でやらなければ、彼女に侮辱になってしまうだろう )
[チィンッ][ギィ ギギギギギ]
( 唾是り合いは 空いた手の応酬を以て力任せに続く
…襲い来る牙の得物をナイフで防ぎ、肩目掛け振り下ろす )
( …不安定な骨の山 足場に掛けるは最悪なそれ
だが 静止でさえあれば姿勢も安定する )
ガラガラガラ .... シュピギィンッ!!
( 骨山から取り出したのは本気の牙、赤く血濡れて鎌の様に反りを見せた、ただレイチェルの為に使う。初めて使う付け歯。しかし防御が疎かになり..... )
ザシュッ!!!! ドクッ..ドクッ....
( ナイフにより肩が切り裂かれては赤い滝が滴り落ちる、それでも退く様子など見せずに付け歯とは別の手で奥歯を引き抜き、ナイフを払いながら脚に突き刺そうと振り下ろす。喰人鬼の牙は竜にも匹敵する。そして再生が速く、5秒で乳歯になり15秒で元通り )
( 根比べはまだまだ続く、少女は折れるという事を知らない )
[ズッ] ……………
( 脛を貫く牙の得物 人体を容易に貫通せしめる威力は
誠、衰えずして 肉を掻き分け 骨を欠かせた。 )
[ヒュッ]
( やにわに鉄の被り物を蹴り付け 骨山の下へ飛び降りる
……距離を取った … 数秒だけでも 代償は高く付いた )
「 ……………… 」
( 短期に… 攻めなくてはならない )
ゴォォォォォォンッ
( 鉄の被り物を蹴り付ければ鐘のように響く、重い音色。頭の中まで深く深く、聴こえる痛み。罪人の悲痛な叫び。)
.............
( 今までの罪人よりも深く身体に残る突き刺した血と肉の感覚。重く残り続ける )
カチャカチャ....チャキンッ
( 装着する赤い血塗れの本気の牙。先程の牙よりも痛みが強く、当たればただでは済まない。芯もしっかりとしていて折れない愛用....いや、一番最初の歯にして、一番初めの罪人を捌いた代物 )
「 ……………………… 」
( …僅かな間 僅かな時間が空く すると …血が …
ほんの少し 浴びただけのモノが… 意志と 悲痛な
想いとなって … 己に押し寄せてくる …… )
____"生きている" …それを踏み締めた
嘗ての血に濡れた __あの日々が …
( …… 初めてで 懐かしい。 … 分かり合い
… そして こうするしかない。 … その事実が
血と共に伝わる意志が …今になって 重く…
___数分の以前を 恋しく思わせる )
………もう 終わらせよう
( …心が引き裂かれる前に __もう 結末を得るしか ない
そう 鉈を"両手"で持ち 一瞬の殺傷力を高めるのだ。
__思い切り …両手 それで用いるモノには… 大概、
深く 思い切った意味を含める。… …それでも…
"狩り"に用いるのは ……久し振りだと、そう感じる )
(もし 先があるとしても… …"両手の狩り鉈"は …
… 彼女で 終わるのだろう… ___それを願い)
(震える手を圧し殺し__) 鉈を 握り締める
( 肩から血は垂れ続ける。普通ならば安静にしていた方が良い、深い傷。でももう、治療意味なんか無い。その傷の時点で罪が決まって、罰が来る )
「 ねぇ、レイチェル 」
( そもそも止血なんてものは出来ない、教わっていない。ただ狩る事を、罰を与える事を、それだけが生き甲斐で、自身の罪を払えると信じていた。
なのにもう、終わらせなければいけない。罪人を捌くのに悲しむのは初めてだ、それ程彼女は________ )
.....辛くて、ありがとう
( 一斗缶の中で目から垂れる液体など知らない、もう視界は要らない。位置は気配で感じ取れる。これで終わるのだろう )
_______________トンッ
( 軽々とした足音、翔んで大きく、口を開く。血に濡れて、沢山の罰を与えて、命を奪って....どうしようもなく、汚らわしい口を。
赤い牙を立てて...首筋から噛みちぎろうと飛び込む )
......ガパァッ
( 吐き出す 血。関係無しに、彼女に.... 親友に、ライバルに、噛み付く )
..ギルティ・バイト..
【 罪 喰 ら い 】
( …… それでも 冷静に …… )
___込み上げるモノは数えることなどできない
その暇もない …握る両手…
「 ………… …………君も ………人の子だ 」
手放す
[グゥッ]( 両手を開き …飛び込んで来る"獣"を… )
____肩 … 首 近くを引き裂く牙を受け
小柄な体を抱き締めた
(_________鉈に染みた 血の痕は色褪せ )
心の___ 弱きに …
"負けた"
「 .......私は、私は、喰人鬼だよ、人なんてそんな、愚かで美しくて、高位な“人”にはなれない 」
( ゆっくりと牙を引き抜く、赤さが更に色味を増して、垂れる液体は ....透明と赤色 )
ポタ、ポタ....
( 垂れ続ける、二つの液体、静かに落ち続ける、罰の現れ )
「 でも、そう言ってくれて嬉しい 」
....ごめんなさい、そしてレイチェル、ありがとう
( 執行人失格、これが罰、“獣”の罰。最悪の結末...それが、罰
治す術なんか知らない、人を殺める事しか知らない、だからもう、何も出来ない )
( …手を 離し… 片手で抱き上げたまま …起き上がる )
「 …… …だが …… "獣"の… ___人でなしの心には…
… …染まりきってはいなかった … スフクター…
… 謝るのは… 私だよ。 …意志を鈍らせ… …… 」
…君を …引き摺り下ろしてしまった
( …上がらない腕 骨を貫かれた傷痕… 故__
"狩人" を棄て 残る腕で抱き締める… …
…一瞬 それだけかもしれなくても… "人の心"。
___"獣"が持てるモノではないものを… 得たのだ)
「 …けれど …何故だろう… …それが、酷く…誇らしい 」
「 ....レイチェル、レイチェルの罪は重い、凄く重いよ、こんな所まで降ろして。とても堕落してしまう、此処までの道のりに、感謝を。そして、謝罪を ........此処に罰は、罪人に与えられた 」
( 一斗缶がからんころん、音を立てて転がり落ちる。見られたくないのに顔が見られる。止めたいのに、何でか涙が止まらない。えずきも出て来る。
本当に、本当に、感謝と謝罪しか、降りて来ない。執行者が罪人に与えられるのは“言葉”と“罰”のみ )
「 本当に、史上最低の、罪人だよ、レイチェル......もう、罰は与えられた。平等な罰は与えられた。だから_________生きて?生きて、罪を償う罰を、死ぬまで続けて、ずっと、ずっと 」
( 我を貫き通してしまう、強く抱き締め返す。とても辛い、初めてこの仕事を続けて来て、涙が出た、嫌になった )
.....酷いよ、罪人レイチェル ...本当、酷いよ
( 無言の時間が …辺りを包む …肩の傷は …塞がっても…
…冷たいものが 全て流れ出て行くようで )
「 …これは大いなる"罪"だ
君のものとは違う… "無二の大罪" 」
「 ……その …初めの償いと 罰には… …
スフクター… …君を連れ出さなくてはならない 」
( … …体を通じて …やっと やっと、わかる… そんな
___温かみ…。"獣"を… "狩人"を… 棄ててでしか
…感じることの出来ないもの … …この風は… …
君には 似合わなくなってしまった。… 嘗ての…
… …私と …同じように____ )
「 … … それだけではないな …私は… …
それを… 願っている、望んでいる… 」
「 ......好きにして良いよ、罪人レイチェル。ただし罰を与えるには執行人が居なければ駄目。ずっと隣に、それが私の罰だから
駄目ならば、一週間に一回来て、私と話をする。懺悔でも良いし何でも良い。だからレイチェル 」
________________どうか、死なないで。
( 執行人として言っては駄目な一言。禁句。それを破り、願いを告げる。望みを託す。新しいその未来を掴んで欲しい。もう自由だ、この罪は終わったんだ )
( …肩の痛みは… もう無くなった
__冷たさも感じない … )
「 … 行く宛も… まだ、探しはしていなかった身だ…
だが それで… 君と …君との罪をあがなうのなら
… 何と、可愛らしい罰だろうね … …血も 骨も…
この間には存在しない … それが… 君と、私に__ 」
( 再び上がる両方の腕 …だからこそ 抱き締め )
「 ___"人"にとって… なんと喜ばしいことか!
… …… だから、私は… "人"として産まれて…
良かった。 …そう、いつも思っているよ 」
( … …去る気配も何処か 遠くへ見ゆるような…
______大きな運命の …到達する事のない結末。 )
「 ......初めてだよ、こんな出会いは、こんな罪人 ....いや、“友達”は。組織の誰とも違う。
だからねレイチェル、レイチェルと私は同じ罪。同じ罰を受けなくちゃいけない。
_________これからも宜しくね 」
( 小さく頷く、泣くのはもう止めた。唾を飲んで辛いのも耐えた。獣には出来ない、しない事 )
「 ここまで長かったね、レイチェル 」
( … 小さくも 大いなる気質を感じ … 長く 抱いていた
小柄な体を …離す… ___己から… 狩りの"術"ではない…
醜く凝り固まった …冷たいものが失われた様に感じた )
「 … … 先ほども言ったけれど… 私は居着く場所を
探してはいない__ …ゆえに、此処は… 今、唯一
腰を下ろせる場所とするだろう… …スフクター… 」
( …"人"として ___柔らかく 笑み… 血濡れの失せた
華奢にすら見える左の手のひらで… 彼女の頬を撫でる )
「 … …少し、休もうか … 君も、私も… 」
「 .....良いけれど、此処は私が上じゃない、私も立場的には、執行人はまだまだ下位の位。上には上がいる。此処に滞在する事は別に良い。でも....多分、私の罰は終わらないし、他の位の者達も沢山来る 」
( いつの間にか傷跡も綺麗さっぱりと消え去り、残るのは年相応の、瞳に小さな光を灯した少女。見せる....『 笑み 』 嬉しい、楽しいと言った、少女らしい笑み。人らしい笑み )
「 うん、お疲れ様、レイチェル 」
( ピリピリと張り詰めていた気も消える、少し楽になった。気も軽くなった。彼女にとっての救いとなるならば、罪の償いとなるならば、執行人はいくらでも____甘いと思うかもしれないけれど、平気 )
特別な罪人は二人いる、一人は自身の罪を自覚して抗い続ける少年。
もう一人は似ていて、似ていて、似ている。でも違う彼女。
多分私は__________そんな馬鹿な人が大好きだ。どれだけの罪を犯しても、どれだけ自信が駄目と分かっていても、生きる人達が。
[カチン]
「 良いさ 気長にしているよ… …僅かな可能性さえあるなら…
人は楽観を持てるものなのだからね… ついでに、希望と
自ら変える少しの力を。… 多分、君でも信じられるかな 」
( 鉈を開けた場所の中心へ突き立て …骨の山へ
ゆっくりと背を預け、傷の手当てに取り掛かる
…消毒、補修、包帯… 心得がなければ辛いが
私は人なりの再生と言うものを嗜んでいた… )
「 …いい顔だ 似合っているよ 」
_____僅かな光を受けて …突き立てられた鉈は静かに輝く
血肉のささやきはもう ___聞こえなかった
「 .....レイチェル、レイチェルも気を付けてね。私が付けたとはいえ、傷、とても痛いだろうし。もう治るとは言っても、心の傷は、罪は消えないから 」
カラン、コロン
( 骨山から落ちる髑髏。心が軽くなると同時に、落ちていく。彼女と話しているだけで、少しずつ、少しずつ、静かにこころが安らぐ。
其れでも矢張りまだまだ、足りない、足りない、色々と )
「 ありがとう、レイチェル。色々と、分かった気がする。人について。人が変われるって。罪も罰も、もう少し軽くしても許される、かな。 」
( 脚と 肩に包帯を巻き終わり… 注意深く 後を片付ける )
「 お気遣いどうも。… こう見えても、私は…
結構、頑丈だからね… …すぐに回復するよ 」
[コツンッ]「 うっ 」
( …頭にしゃれこうべが落ち __軽い音が鳴って
状況を理解しながら 私は自分の頭を撫でる… )
「 … … それは難しい問題だよ …スフクター。
在り方に良し悪しが少なからずあるように、
あの在り方にも、何処かで良いものをもたらす
事はあっただろう… …しかし、柔軟に考えるのも
決して悪くはない。… …人、個人では判断しかねるが… ね 」
「 .....私はまだ、78の中。22にも入れない、弱い者の中。組織の中では中の下ぐらい。ねぇ、レイチェル。気を付けてね?私はまだまだ、下だから 」
( 片付けの手伝い。ずっと此処から離れていない。処刑場もとい、遺骨の墓。だから何処に置いてあったかも覚えてるし、誰の骨だったのかも ...覚えてる )
( 少女が突然言い出すのは自分の立場。組織の中には良くあるのだ。まだまだ下位の存在。上にはいけない____そして強さも )
「 極端な事は罪に入るのかな、あれが正義っていう人もいれば、やり過ぎだって言う人もいる。難しいね、考え方って。でも私はね、あれでも良かったって思ってる、老若男女、全てに平等に与えられるものだったから 」
「 …… 心配ない、…とは 言いたい所ではあるが …むぅ
…それが冗談であることを祈る心もまた… …否定…
出来ないね。… …君も、素早かったのだがなぁ__ 」
( …耐える精神、俊敏な牙、野獣の気迫… …少女の
強さたるや 本格的に暴をぶつけ合った事は無くとも
故郷の者共であっても一筋縄では行かぬ事など
初めて見た…あの時より推し量れた。…なのに… )
「 …自然の理、説明には時間を要するので言わないが
喰らい、土に還す事そのものは人間が現れる以前の
当然であって正しいことではあるだろう… …だが
…人とてその内に入るとは言えど… … "人の心"を
持つ、私達にとっては辛いものでもあっただろう… 」
( 姿勢を崩し …片足を投げ出す、
心情に富んだ少女を前に…気が緩んだ )
「 …スフクター … 努力が何であれ… 君を間違っていると
面と向かって言えるものは居ない。…それは確かだ 」
「 ....私はこの場が一番慣れてる、だから一番早く感じた、それだけの事だよ。とても強い、とても凄い人ばかり、私以上の化け物はまだまだ上にいる。其れと、私はただ種族としてのパワーとスピードを引き出してるだけ、まだ成長は多分、出来ると思うよ 」
( 心を許したのは彼女だけでなく、少女もらしい。骨山の上で楽な体勢を取り、話を続ける。
自身も組織の全員に会った事は無いが、其れでも、狂っている様な強さを持つ者が多い。だから不安。もしかしたらなんて言う、嫌な未来、自身が罰を与えるに等しい、最悪の未来 )
「 ただ、平等という店においては私は正しいと思っている、男も女も、少年少女、老人、病人、化物、誰にでも罰は等しく。その教えられた信念はとても正しい気はする、かな。
....ありがとう、レイチェル。私の道が、今まで歩いていた道が間違ってたなら、新しく道を開いて、走って、取り返す。だから、正しさって言うものを考えてみる 」
「 ……イヌと オオカミの差という事か 」
( …少々の羨望を含んだ声… 医と 狩の素養と経験を
積んだとしても人は人。…獣、怪物のフィジカルに
勝利することは ……難しい、そう、証明された )
「 … …長い、長い思案となるだろうね… スフクター…
あぁ、物事というものには… 必ず、側面というものが
存在する… …それによっての …正しい、正しくないも
視点によってはまた違う… ……君が、考ずるのは
そういった物事の中でも、かなり …難しい部類なのだよ 」
「 ......後はやっぱり、組織の上の人は変な力を持ってる事が厄介だと、思った。私達の身体能力とはまた別の、超能力。摩訶不思議極まりない、未だに謎の多い力 」
( でも多分、技術などを含めたら彼女の方が強いと思える。だって動き的には単純、でも其れが速くて攻撃力も高いから対処がしにくいだけ。慣れたら獣は獣でももう牙も無い。狩人に狩られるだけ。)
「 うん、難しい。だから色んな人と関わって、考えてみる。私の見た事の無い、知らない世界を見て、新しく思考、してみるね。でもレイチェル、一番参考になって、一番考えたのは、レイチェルが初めてだよ?だからレイチェルは特別な人、罪人は罪人でも、特別...だと、思う 」
「 …能力? … ふぅむ、…摩訶不思議は色々と見てきたが…
果たして。…その経験が通じるか否か … それに、…君が
…思案するような時が… 来た、として … …その あれだ…
スフクター。…君は … どうするのかね? 」
( … …何度も、その事についての思案に … 或いは
不安に。… 気にし続ける、少女の様子には…
何とも、答えにくい物の聞き方をしてしまった。 )
「 …その言葉は… まぁ、嬉しいが 」
「 ....少なくとも私じゃ手も足も出せない程、謎が多くて変な能力ばっかり。でも多分、レイチェルなら勝てると思う。レイチェル達なら。
.........分からない。考えた事も無かった。決めようとも思ってなかった。組織を裏切るなんて、今の私が裏切った所で、居場所なんて無いし。それに.....その時は私が、死んでるだろうし 」
( 雲一つない晴天を見上げながら呟く。自分の未来なんて、今で精一杯で頭の片隅にも無かった。それにもしこの罰をやめたら存在価値と言うものが消えて、どう生きたら良いかも分からなくなる。でも、少女的には、悔いは全く無い )
「 だって、レイチェルと会えた。クラズマと会えた。特別な、私と言うものを変えてくれる人達に会えた。だから、もう幸せ、だよ 」
「 … …なるようになれ、とは言うが… 限度もある。
… 折角、出来た数少ない友達なのだ…決して、必ず…
… 君をやらせはせんよ。… そう、必ず… 」
( … 少女は まだ… …"外"を知らない。
…殆どが"闇"だとしても それ以外の…
"楽しさ"を少しも、味わっていない。
… … … させるものか …連れ出すのだ。と
空を見上げる少女から目を逸らし …突き立てられた…
陽光に輝く鉈を眺める。… 血濡れの乾いた鉈を )
「 …… 」
「 ....所で、私のこんな何も無い場所に、ずっと居て平気なのかな。レイチェル、暇人か無職じゃないと、何で此処まで滞在しているのか不思議だと思う、よ。そもそも...此処で生活、難しいと思う 」
( 彼女の決意に気付く様子全く無く、今更ながら小首傾げながらどうするのか、と言うのが気になり。此処は骨と微かに残った肉ぐらいで其れ以外は何も無い、骨山の中に少女の仕舞った赤い牙が隠されてるだけ。
ただの断罪の跡、それしか無い )
「 あ、私の食事に関しては心配しないでね。喰人鬼だから、罰を与える事は私の食事にもなるから。基本的に最低でも1人は此処に投降されるし 」
( …"夕焼け"… その、美しさを見上げながら…
鴉の鳴き声に 腰を上げ、突き立てた鉈を眺める )
「 …… そうだね、スフクター… …私も 少しはやるべき
事も… ある。… …ただ …鉈は、置いてて…良いかな? 」
( …脚も、肩も今や問題なく動かせる )
( 完璧に治り始めた傷を見て安心、と言っても罰を与えた事実が消える事は無い。...少し心残りはあるが、それでも心の穴は塞がれていく )
「 勿論、此処にレイチェルがいた証としてこの鉈は置いておこう。でも、無茶だけはしないでね。誰にでもそうだけれど、死んで悲しむ人がいる。私は、貴女を待っている 」
( 何故か残る寂しさを我慢して、また罪と罰を与える生活に戻る )
「 …言いたい事、全てを言わずとも… ふふ。
万感に至る思いだよ… …やはり、私達は…
…いや、長引く話は最後にするべきではないな 」
( …出入り口、なのであろう… 開けた場所から
空が遠く… しかし、よく見える道へ… … )
「 …きっと、戻って来よう。… 君の言葉を、
確かに覚えたよ… …それでは、ね …スフクター。 」
「 ご達者でね、レイチェル。無事で帰る罪人なんか初めてだから他にはどんな言葉を掛ければ良いのか分からないけれど、ちゃんと、また帰って来てね 」
( 左右に隻手をひらひら、長い話の次は、罪の告白は、また次に持ち越しだ )
「 さようなら、またいつかね、レイチェル。大丈夫、必ずまた会えるからね 」
「 今日の罰、終了 .....暇だな、なんだか、寂しいな 」
82:アルスター◆.s:2021/03/01(月) 16:41
_______月光を背 生々しい風を受け
( 再び … 迷い混む者、小さな背丈の… )
__"探求"を胸に歩むもの。
「(…ぅーん、おっかしいなぁ?…地図に…載って、ない…?)」
___今日はその限りではないらしい。
( 入り口の広場、…其処に至り 小娘は首をかしげる )
からん ころん
( 少し不気味に、小娘の目の前に落ちる、髑髏。その髑髏は警告の様にも見える。此処から先、進むべきでは無い、と。)
( 無謀な冒険はお勧めしない、何故なら此れより先に待つのは断罪という名の死のみ。
.......つい“最近”までは、死のみが罰として与えられていた。しかし、執行人は.... )
( ....そもそも、そこに辿り着く迄が面倒なのだが、他の組織のメンバーや下級員もいるし )
( …物事の受けとり方、…意志疎通に於いて最も厄介な部分
例え、落ちる髑髏の意味が"警告の喚起"だとしても
…愚かで しかし聡明な人間には… 疎いものなのだ )
[カコン…]
「(遺骨…? …墓所、にしては… 血肉の臭いが濃い…)」
( 足元へ転がるしゃれこうべに怯むこともなく。
上等な大きい鞄を揺らし、血肉の臭いが先を眺める…)
_______人の… 神の 秘める 『何か』
神秘と呼ばれるモノ ___それらは血肉と
遺骨にまみれた墓所へと身を隠す事を好む
________…
「("偉大な死 ミーダ"、あなたの深みは
…果たして、ここにもあるのかな…)」
( …胸に秘める探求の心と警戒
しかし…求める眼は血肉の門を越えた )
( 入って来た、分かりやすい気配と雰囲気。でも何だろう。この似たような気配と雰囲気。しかし、来るのならば容赦はしない、ただ罰を与えるのみ。処刑を実行するのみ )
「 また一人、咎人が、罪人が来た。誰であろうと、罰は平等...に。いや、罪人によっては執行猶予を...。違う、それじゃあ不公平だ。執行人は誰にでも等しく罪の大きさに関わらず罰を与えるのが仕事、なのに 」
( 何故だろう、やめたいと思い始めている。これをするのが私の罰なのに、逃げたいと感じている。食糧はどうすれば良いの。分からない、分からない。迷いが出来ている )
___________来ないで、近寄らないで
( 今の執行人には考える事で、精一杯 )
_________悩める声 …血肉より響く怨嗟の声
(執行の声を掻き消すように …響き始める)
「(…ここは…違う、…何かが…ある。…けど… … …
死よ"偉大な死 ミーダ"。…あなたとは違う…)」
____視線は… _________怨嗟の声が 覆う一つの遺骸へ
( …怨嗟 血肉より叫ばれる有象無象の声の群れは…
その場所から溢れるように 墓所へ拡がるように見える )
「(……………"殉教者"……"偉大な死 ミーダ"…あなたではない
けれど…… …司るは……… "遺"……遺すもの……残すもの。 )」
______かり かりり
( 軽く掻きむしる、頬、胸、足。分からない、どうすれば良いのか、分からない。どんどん沼に嵌り、今まで捌いて来た罪人達が手招き、足を引っ張って来ているように感じる。少女の精神はもう、限界を迎えていた )
「 会いたいよ、レイチェル 」
( この寂しさが紛らわせるのなら、消えるのなら、もう一度、彼女に逢いたい。我儘で傲慢なのは分かっている。其れでも-------- )
( 押し潰される、今までの罪に、怨みに、全てに。とても重くて痛い、辛い )
「(……………"死の徒"…"マコ=ジャ"…
それは、ダメ。…これは……違う)」
_____…怨嗟は濁流へと 濁流は禍へと
( … 受け付けない 怨嗟を解き放つ"遺骸"…
歩み 寄り、… …在り方を よくないものを… )
変える ために
______糾弾を放ち続ける遺骸を眼下
「("死の徒"…"マコ=ジャ"… …あなたは……もう 見ていない…
………"偉大な死 ミーダ"……此処に 為すべき事を為す……)」
[ィィィィ]
______柄を両手に 眼下の遺骸へ向け… 淡く 剛い …光
( ……英雄がそうして 歴史に残ったように… …淡い光の剣。
遺骸へ光刃を下に 柄を両手に持ち …"神秘"を 其処に顕す )
____…淡い光 …溶けるように 怨嗟は弱まる
「 レイ、チェル .....レイチェル、寂しいよ、会いたい、よぉ 」
( 縋り付く闇が消えれば消える程、少女の想いはより強く、それでいて鮮明にはっきりと。
残る怨みが、消えて溶けて、身体が、心が、軽くなる ...其れでも、その渇きは潤せない )
( 何故だろう、ここまで深く深く、考えるのは。彼女と話してから、罪を与えてから、心のモヤが晴れないでいる
.....そこにいる、罪人の少女。罰を与えなければと、思うも、身体が動かない )
( 当然それを組織の者達は良く思わない )
“ 執行人、しっかりと罰を遂行しなさい。それが貴女の罪でしょう?無理ならば貴女には“地獄”を味わって貰いますから、ね”
空から見下ろす、黒ローブ。
深く被られ目元は隠れていて見えない。
その圧は強い。声も低い。
入って来た少女にもチラリと視線を送るも、直ぐにまた悶え苦しむ哀れな“罪人”を見下ろす
“ スペリオール ”
【 組織の上の者 】執行人の言う “22” 執行人は58の中。合わせて78。 ....トップは2。
“ これが貴女の罪なのです、自覚しているのならばその罪を清めなさい、払いなさい。 私が其れを審査しました ”
( 更に執行人を追い詰める。その言葉は呪いになり、重く重く、心を更に深く閉ざさせる
決して彼女に余計な、無駄な心を持たさせない様に )
「 ん。」
( …声に 僅かな反応 …遺骸へ視線を戻す
…… ……崩れ ___…今にも破裂せんとする 濁流 )
__________… 伏せ
コォォォン________
…鐘の音… ___透き通った音色が空へと響き渡る
光に打たれた遺骸の欠片は …その怨嗟を 手離す
[ピィィィンッ]
( 突如、出し抜けに光刃の衝撃波は黒衣を掠めるように飛ぶ )
「 … ……だれか、呼びました? 」
「 レイ、チェル。 ...辛い、よぉ 」
_________________どてっ
( 最後の最後まで泣き言を、自身の想いを、呪いを吐きながら、ただ鐘の音が鳴れば、一瞬で意識が落ちる。
別に悪い事じゃない、何故なら安心感に身を包まれたまま寝る事になったから。瞼の裏に二人の罪人を思い浮かべて、骨山から転がり落ちる )
___________.....ジュウゥゥゥ
( 掠めた、と言ってもその熱さから少し焦げて、煙も出る。其れを当然良く思わない、22の強者の一人 )
“ 何故貴女は邪魔をする?何故貴女は執行者の邪魔をする?これは丁度良いものでしょう?其れを認めているからこそ、罪と罰が程良く味合う事が出来て、とても清々しく平穏な日常を、生活を送る事が出来るのです。『 度を越さない 』 それが全て綺麗で、調整されているのです。執行者の罰は調整してからですから....困ったものですが、ね ”
( 丁寧な口調が何処か不気味に響き、支離滅裂な発言を繰り返す。管理と言う物はそんなもの。適当で、雑。面倒そうに溜め息を吐き、執行者とそう変わらないであろう見た目の少女を見下ろす )
“ 今引き返せば、先程の無礼を許しましょう ”
(___衝撃を放ち 光を僅かに弱めた剣(あっ 落ちた…)…を
肩に乗せ、小娘は人間的に… 視線を、空へ飛ぶ者に向ける)
「 えぇと。…その、人__ 多分、ねえ様の、処置を受けた…方?
…ですから、ねえ様に出来ない事を あたしがやるんです。」
…そう 小娘は…"この事"の多くを知らない
( …地の考察 別の地より持ち込む"神秘"と "知識"。…
だが 初めて訪れる場所には… … 殆ど、学はないのだ )
「 な の で 、此処は退けません! 」
_______朧気な …"意思" を除いて。
“ ___________ふぅぅうううう ”
( 大きく吐く息、とても嫌そうに見下ろす。面倒極まりない、それもこれも、全てはあの2人のせい。そのせいで歯車が狂ったと、黒衣の者は思う )
“ 私が直々にお相手、してもよいのですが面倒ですし私は忙しいのです。無知と言うものは本当に残酷で、それでいて残念極まり有りません。それが貴女の罰、と言う事にしましょうか ”
( 片手を空に上げれば、小娘に向かい急降下してくる大きな影 )
“ 頼みましたよ、貴女の働きによっては昇格も考えますからね。そこの執行人...いえ、“四之聖杯 ”。執行人についての処罰は後程考えましょう。ですから、此処は貴女の働きに掛かっています。ねぇ?“三之剣 ” ”
( 飛び降りて来たその女性、薄い赤のぼさぼさ短髪。金色の瞳をぎらり、輝かせて獲物を捉えた。腕は鳥の羽となっている。下半身も鳥に近く足には鋭い鉤爪。半人半鳥の怪物(ハーピー) )
「 たまには本名で呼んでくれても良いと思うんスけど〜〜...そこんところどうスか? “ 節制 ” さん。ま、言われたからにはがんばるっスけどね、悪いっスねお嬢ちゃん 」
骨も残らないと思って下さいっス、加減下手なので!
( 既に黒衣の姿は無い )
「(…言うだけ言って去っちゃいましたか。…しかしッ
あえて今、お言葉を否定させて頂きます!)」
("無知とは、それだけで罪とはなりません!")
__不穏が空気を満たしていく… 僅かな間、小娘は眼を閉じる
「(触れぬモノへの知見は無くて当然、共有が生き物の
特徴であれど、"初めて"への知見とは… 直接、誰かが
見て、触れなくては始まらないのです!…其処に…)」
("始めから定められたモノなどが入り込む余地は無い!")
「("未知"が!!触れれば害と為す"暗黒"であるからこそ!
人はそれに触れ!"知り"!越えていかねばならないのです!
……そして この恐ろしき未知の暗闇に___
後へ続く道を切り開く者は!)」
(確たる覚悟を持つものだけですッ!)
________未知、その停滞… それは何よりも恐ろしい
"毒"が "知れば"治すことも出来る様に…
可能を恐怖で潰すのは "人の死"も同意。
故に 小娘は"挑戦"の目付きを以て笑う!
「 …争い事は苦手です…が! 壁を越えるは人の証!
あなたが強く、恐ろしくあろうとも…勝って見せます!
人ゆえに! 」
「 好戦的 ....若いって良いッスね〜〜〜!!だから人って嫌いになれないんスよね、馬鹿ッスけれど挑戦してくる、無謀だけれど頑張ろうとする 素敵ッスねぇ 」
バサッ バサッ バサッ
( 空中で両翼を動かして留まり続ける半人半鳥、少女の宝石の様に光る瞳や、その目付きに何か惹かれる物があったのか ...大きな口から喰人鬼には劣る物のしっかりとした“狩る側の牙”。ソレを少し見せながら舌舐めずりし無謀な勝負に挑む少女を認めた )
「 お嬢さん、名前はなんて言うんスか?最期に聞いてあげるッスよ 骨は残さないッスけど ...その名前、空の墓に刻んでやるッス!
....あ、でも自己紹介はまず自分からッスね、“アンゲスト・エウロス・ロイ” 長いッスけれど覚える必要は無いッスよ? .....恐らくお嬢さんはもう終わりなので 」
(名乗られた"空気を冠する名"の羅列
…刻み込め、せいぜいを越えて闘うために)
「 お名乗りに応じ、あたしもお名乗りいたします! 」
我が名っ!
(____此処で …小娘は一瞬、口上に悩んだ)
「 ………… 探求の徒!"神秘のレイチェル・アルスター!" 」
( 淡い光りの剣を振り上げ 高らかに名乗りを挙げ )
「 ………ですっ 」
( 思わず溢れる笑み )
「 見た目らしく子供らしく、ッスね!名乗り感謝するッスよ、アルスターちゃん!あ、先に言うと自分は初級〜中級レベルの風魔法を使えるッス!!.....まぁ“姉貴達”には全然及ばないッスけれどね、だから何方かと言うなら自分は肉弾戦に優れてるッス! 」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ
( 剣には劣るものの其れでも優れた鉤爪と牙、軽く髪が揺れる程度の風が吹きながら、正直に情報を告げた。これで全然卑怯ではない、だろう )
「 さぁて、遺言は決めたッスか?本当ならばゆっくりお茶会でもしたい所ッスけれど、命令は命令、なんで 悪いッスね、これも生きる為ッスから 」
チャキッ シャキィンッ!
鉤爪に装着される鉄の防護武装
茜色の空に赤髪揺らす半人半鳥の影 憐れみの眼で少女を見詰める
( まだ話は通じる方かもしれない )
( 戦うかどうかは貴女の自由 )
( 風を纏い… 空を舞う 人を喰らうと
高らかに叫び われを見下ろす骨墓場 )
「 残念ながら! あたしは此処で終わる訳には
ぜぇっっっったいにぃっ! 出来ませんっ!! 」
_____されど怯まぬ小娘の瞳
さぁ___今こそ!
「 宣告いたしましょうわが"奇跡"を!
墓場に舞うは死肉いざなう空気の影!
__何処へと消えし人の幸楽を掴めぬ方へ! 」
( 遂に小娘は淡き光の剣を両手で持ち 構える! )
「 あなたの"縁"を!眼の光を曇らせる"運命"を!
…今より 【レイチェル・アルスター】の名のもと! 」
幸福!得て頂くためにっ!
「 われ 淡き"月光"を手に!___断ち切りましょう!
さぁ いざっ! 」
断りの時にございますっ!
( 骨山を軽々と登り 空気を纏う者へと接近! )
「 ....かっこいいッスねぇ....でも、そんな台詞は誰でも言えるッス、重要なのは其れを成し遂げれるか、ッスよ?分かってるッスよね?それに 」
( 小娘とは思えない気迫、ごくりと飲み込む生唾。確かに執行人がああも毒されたのも納得出来る、要注意人物 )
「 アルスターちゃん達の求める“幸福”と自分の求める“幸福”は多少違うッスね!! ...多分ッスけれど!
でも自分はッ!今幸せッス!!!立場的にはまだまだ下ッスけれど、でも!!それでも!邪魔をするんなら.....喰うか喰われるか、ッス-----------よっ!!!! 」
バサッ ______ヒュゥウウウ
( 接近してくる小娘に対して向かい風を送りながら、両翼を動かして、逃げるように後退り。何処かその瞳に“太陽”“月”矛盾した二つの輝きと重さを感じて、思わず垂れる冷や汗。早急にけりをつけなければその光に呑まれる______其れが、良い事か?
_____違う。今の幸せ、其れを壊す者は、敵なのだ )
ガキィンッ! _____ゴォォォッ!!
( そして相手の向かい風は、此方の追い風。鉤爪を立てながら、丁度腹部ど真ん中に突き立てる様に、勢いに乗せて加速した蹴りを入れようと突っ込んだ )
( 逆風にかち合い 小娘は空に姿勢を崩す! )
「 わっ わッ… たァッ!![ヂィンッ!]」
( 咄嗟、一瞬の攻防! 迫って来た鍵爪の前に
小娘は剣を構えて盾とし 防ぐもっ… 此処は空! )
_____今は無防備っ……❗
( 早速喋る余裕も無いのか
小娘はただ剣へと力を込め続ける! )
( そんな隙だらけの獲物を、チャンスを、“狩る側”は逃がさない )
________ヒュォォォォォォォオオオオッ!
空中に留め続けようと、小娘を浮かす程強い風が地から吹き荒れ続ける!
そして、その空気に潜るように降下して行ったハーピー。剣では防ぎ辛い、下からの投石。骨も空気に乗せて、攻撃に使用する。
「 使える物なら、何でも使うッスよ。其れぐらいには本気ッスから!! 」
_____風の刃差し迫る中 小娘は念じ …唱える
:"死の徒 マコ=ジャ":われが至りて沈むモノ:
__来たれ して 見せよ!__
(瞬間 光りの剣に吹き荒れるような紫の業炎が纏わり__
更に激しき起爆の衝撃を以て小娘を斜め下に着地させる❗)
[ボォワァッ] [ガキャッ]
「 っ とぉっ! …成る程!"ネクロパムダー"の力でしたか! 」
(__若干、姿勢を崩しながらも回避し 小娘はまじまじと
紫の業炎を発して煌めく光りの剣を掲げ 眺める… )
「 ...ちょこまかと、良く動くッスね?器用な物ッス。......さっきから変な専門用語ばっか、一体なんッスか!?......ぐッ! 」
[ バサッバサッ ][ ....ドゴッ ]
( 激しく翼を動かし、“大袈裟な程”、剣から発された紫色の業火を躱す。強めの起爆により小石は弾け飛び、軽く羽根に当たる。...幸い打撲程度で済み流血はしていないが、其れでも痛い事に変わらず顔が歪む )
「 ......厄介ッスね、その剣。先程から属性とか転々としてるッス .....便利で羨ましいッスねぇっ!! 」
( 徐々に眼は鋭利さを増し、放つ光も派手に強く。口調も其れでいて荒く。
崩した所、隙を逃さずに羽根を放つ。怪我した場も含めて。 )
[ ヒュンッヒュンッヒュンッ .....ピシッ! ]
( 紙の様に切る程度なので切れ味は弱いが、数が多い。常人は既に羽根の雨に飲まれて体中至る所が小さな切り傷で一杯になる...だろう )
「 (…避け…?)…わぅっ …だだ弾幕っ!? 」
( 対する小娘も打たれた1手を見るや慌て
急ぎ返しの手を叩き出す___ )
( 二の足しっかりと踏み 撫でるように左右へ
紫炎に輝く剣を振り回しては "その業炎"を…
扇の形に散らして己の前方に夜行の鬼火が群れを為す!)
「(……読みが正しければっ)」
___その瞬間 小娘は凝視する…
________ヒィッ!!
( 的中したかの様に、開口一番情けない声。繰り広げられ、開花を始めた紫火の蕾。此方だけにのみ飛来を見せる炎の弾幕を躱す、躱す、飛び躱す、必死の形相 )
( 炎に触れた羽根は勢い良く燃えて、その場で炭となる。風は吹いても吹いても、炎を消せる程の風圧では無い )
「 ....ッ!こっ のッ、ふざけんじゃねぇッスぅっ..!!
一体何なんスかその剣はぁ!? 」
【 エアロスター 】
[ ビュオンッ! ]
( 彼女の今打てる威力が一番高い技。翼で纏めて風を打ち出しても、消せるは炎一塊のみ。全てが消せる訳じゃない。高低の有利は掴んでいる、.....だが 武器 、獲物の弱さ ....其れらが少女と、圧倒的な差を生んでいた )
____読みどおりっ!
「 ふふんっ! 終わった後でなら幾らでもっ 」
( 光りの剣を地面に突き刺し、 …一部の焔を
背中に擦り付け… 弾幕が消えるのを見越し!)
「教えてあげますよぉーーーぅわぁ〰️〰️ぁっ!!!」
[シュドォッ][ドゥンッ!]
( 紫炎の炸裂推力と悲鳴を並びにぶっ飛び突撃ぃっ、
脚を半ばに開いて両手を前に… 鳥を馬乗りにせんと
接敵を強要する押し倒し攻撃ーーーーーっ!!! )
「 ...ッ、馬鹿正直に突っ込んでっ 来るな...ッスゥッ...!!! 」
( 少女の情けない声に呆気を取られた隙に、羽ばたき躱せず、少女の身体が堂々と身体にぶつかる。急に重さが増えた事により、空中での待機もままならず....ふらふらと落ちては、地面に背を打つ )
[ ドゴォッ ]
「 ぅっ..ぐぅぅぅ...ッ!降りろッスこのっ 燃えるっ、燃えるッスから離れろぉっ!! 」
( 軽く内臓に衝撃が伝わり、軽く唸り声を出す。翼に紫焔が燃え移らない様に咄嗟に縮めては、牙を立てて、逆にこの状況をチャンスに噛みつこうと、肩に向かい大きく口を開ける )
「 うっ …ど、どうですか…ひぇっ!?
わ…わぁっ わぁーーーーーっっ!!!?」
[すぅっ][ばっ]
( 想定外の反撃に突撃成功の余韻に浸る間もなく
必死のマウント防戦開始!牙が迫れば悲鳴と回避!
顔を上げられないよう… 腕の付け根を捕りに掛かる!)
「 も、もっ も、も燃えてませんっ、消えましたよぉっ!
ほらっ 背中!ほらっ!?ひいぃーーーっっ!!! 」
( …起爆推力、その時に使い果たしたであろう
紫炎の残り香が僅かに散るのみ… 小娘は必死に伝える )
「 ひっ、燃えるっ、“また”燃えるっ!やめろっ、やめろっスぅっ!ぐっ、離れ───ッス? .......あ、れ?燃えてな..幻覚?いや、違うッスよね、アレは 確かに
...ッうが 分かったから ...は な せ ッス !!! 」
( 気付けば金色の瞳は潤いを持つ..つまり、軽く涙目になっている、それ程炎は怖い。一つの“トラウマ”でも有るのだから
付け根を抑えられ苦しそうに、低い呻き声を上げながら強目に睨みを効かせる。全て手が塞がれたのに対して、もう何も出来ない。今は何も出来ない )
「 ...取り敢えず話ぐらいは聞くッス か、らぁ!!降りろッスっ、重いんスよぉ!!! 」
( 牙を仕舞い不服そうだが、もう戦えない状況にある中生死は相手の掌の中にある事を理解....無理矢理降ろしてもあの紫の炎に焼かれるだけ。
ただ鉤爪を服に食い込ませ引っ張る、降ろそうとする )
「ひぃぃ… … ぁっ!? ごめっ ごめんなっ ごめんなさ… 」
( 間近に怒る声と顔、小娘は怖じ気に腰を抜かし
…情けない様子を晒しながら、鳥人より降りて
地面にぺたと座り込む… )
____んんっ
「 っ… [どやぁっ]ふふーん! 」
( 息つく途端に胸を張り すっと立ち上がる )
「 わたしの勝ちですねっ!…ねっ? 」
「 ....訳が分からないッスね、どうにも。私なんか本当に最弱候補ッスよ?地位的にも、強さ的にも、生かすメリットが少ないッス。
それに私は、一応アルスターちゃんの命を奪おうとしたッス。大抵許される行為では無いッス、よね?話、しても良いッスけれど有益な情報は全く無いッスよ? 」
( 情緒不安定、其れは互いに言えるだろう。今こうして見れば、普通の小娘。不意をついて息の根を止める事等、鳥人と言う種族の瞬発力と筋力からしたら簡単に出来る。其れをしないのは...少し“重なる”から、かもしれない )
「 勝ちで良いッスよ?...謝らなくても良いッス、私も女の子に対して失礼な言い方をしたッスね、つい 」
( 立ち上がり目線的に見上げる形。鉤爪を地面に立ててから腰を下ろして座る形。...先程まで気力に満ち溢れて居た目も少しばかり、彩が薄くなっている様に見える。ボサボサ髪と合わさり、見た目的に宜しく無い様な... )
「 えっあ、…ぁえ… っ! へ、ヘンな事とかは聞きませんっ
ただちょっと!… ロイ、さんの魔法とか教えて貰ったり…
じゃなくて❗えと!…お お話聞いて貰って…でもなくて❗」
( 急に色々喋られてぐるりと頭を回して… )
「そうだっ❗」「 そうだっそうだそうだっ… 」
_____んんんっ!
「 患者さん❗ …そう、患者さん❗…ねえ様の患者さん…
と!ロイさんはこれで落ち着いて… えぇっと、…そう❗
知り合いになれるんですよねっ!? ねっ! 」
( ぴょんと飛び上がって 希望に満ちた…
いや期待に満ちた双眼が鳥人へ向けられる。 )
______あれ____命を奪…う____?
「(……ぁれ ? 今の… ほ、ほんとに コロ… シ ア イ __)」
ぞわっ
[プルプルプルプル]
( …今さらに、青い顔と体の震え )
「 .....こんなちっぽけで、小さな魔法ッスか?ハッ....はは、そッスかぁ。正直そんなの...もっと適任者が居るッスよ、姉貴達とか...ね。勿論何でも聞くッス...よ? 」
( 話を続けようとして違和感に気付く、先程迄の強い心とは本当に違う。何処にでもある一般人の様な弱々しい心と表情。一か八かで、最低限の助言。 )
「 ...アルスターちゃん、悪い事は言わないッス。逃げた方が、良いッスよ。私はまぁ、それらしい骨を見付ける事にするッス。だから、今すぐにでも此処から、離れて下さいッス。そしてもう...来ない事を、オススメするッス 」
( 純粋無垢な眼差し、それ以上に汚れを知ろうとしない...昔の__の様な、その眼差し。向けられたその眼を潰す事は、出来ない )
「 逃す手助けは可能な限りするッス。だから、速く逃げて下さいッス...お願い、ッスから 」
「 (ひぃ!)……っ…はいっ!小さな魔法に… そのっ… 」
( 若干笑顔にひきつりが入る、だがギリで笑顔を保ち
…強まる関心と、探求と 繋がりを求める欲の方向に
とても忠実に!…鳥人へ向ける眼差しは変わらない )
「 …ロイ、さんの個性が乗った独特なあの風っ…!
その"技術"がとっても気になるんですっ!…あ
でもゆくゆくはその"ねえさま"さんにも…っ!」
[チリチリ] [チリチリ]
「へ?」
(「…アルスターちゃん」…と、来たところで…
妙に強く感じる"熱気" "紫火の粉"。
…その後の話を聞かずに振り向けば… )
[ボウゥゥーーーーッ][カチカチカチカチ]
( わやくちゃで拾い忘れた"紫炎の光剣"より広がる
___大炎上❗マッチ一本火事の元❗❗既に火事❗❗)
……わ
「わあぁあぁああああぁああぁぁ❗❗❓️」
「 ...あ〜、もしかしてッスけど私の事、怖 ...いッスよね、そりゃそうッス。さっきまでしっかりと命を賭けた戦闘をしてたッスからね。本当申し訳ないッス。...口先だけなら何とでも言えるし、難しいッスよねぇ 」
( 怯えてない様に振る舞い続ける小娘に、無茶はしなくて良い、という様な優しい笑みを見せる。
変わらない眼差しに緊張感は解れて...やはり、こんな所にいて良い何か思わない )
「 私のなんか平凡極まりないッスよ、まだまだ落ちこぼれッス。....鳥人の恥晒しッス。
姉様達とは住む世界が違うッスよ、本当に ....でも。私はアルスターちゃんを助けたいッス。だから、可能な限 [ メラ メラ ] [ パチ パチ ] り? 」
( 小娘の背後、燃え盛る紫炎。次々と骨を火葬しては広がり広がり、火の海に )
___________っあ
( 落ち着いていた精神も逆戻り )
-------あぁぁぁああああああああああぁぁあッ❗❗❗❗❗
( 重なる大絶叫、汚い悲鳴、頭を抑えてうずくまる )
やめろ、やめろッ、来るな来るな来るなッ❗❗❗燃える、燃える、燃えてしまうッスからぁあああああああ゛ッ❗❗❗❗❗
「 ろろろろっ… ろっ ろぃっ!さ…んんっ!? 」
( 無責任にも思わず助けを求めようとする小娘、は…
鳥人、かの人が 不思議な風を操るアンゲストが。)
_______怯え 恐れ ……叫ぶ姿
…"血筋"は その僅かな時間で。決して多くない情報で
__"今"… 助けを必要としている者を 己のすべき事を示す
「 んんっ…(そもそも…わたしの不始末ッ…)…えぇーーいっ❗」
[バッ]
( 怯えを捨て、恐れを捨て! …蛮勇ならざる、抱くは
"勇気"!
其れを以ち 燃え拡がる紫炎の中心へと… )
「 突っっかぁぁぁぁぁぁーーーーーーんッ❗❗ 」
「 .......は 」
ーーーーーーーーーーはぁああああああああっ❗❗❓
「 何 してるッスかっ、この馬鹿ぁッ❗❗おかしいッスよ❗イカれてるッスよ⁉アルスターちゃんっ、だ、大丈夫ッスかぁ...!? 」
( 炎の中に飛び込む小娘。馬鹿にして、臆病な者には絶対に出来ない...自身と勇気を持った行動に、昔の自分が振り払われる様な、そんな“幻覚”。過去の何も出来なかった鳥人とは違い、未だ年齢は幼い筈なのに...なのに。
心の底から思うは、“守りたい”気持ち。重なる自分とは違う道を歩んで欲しいと思い、ただ、危険から守りたい )
「 ....まっったくもぉ〜〜〜っ、仕方ないッスね!? 」
( 恐怖。トラウマを刺激する炎。未だに身体は震えているが、其れでも小娘の無事と言う物を心配すれば、そんな物はちっぽけだ。 )
[ バサッ ]
( 翼を広げては風を上へ、上へと吹かせる。炎を飛ばす、可能な限り、踏ん張り、力を込めて。...出せる限りの突風で )
「 っ あちっ …っー あち…ッ! 」
( 弱まる炎を突き進む…! しかし熱い!
構わず拡がる紫炎は"人魂"のように骨塚の
山へと漂い初めた…! 小娘は悲鳴と共に急ぐ❗ )
[カィンッ!] とっ… 「 たぁッ! 」
( やっと火事の中心へたどり着き…
手に持ち、掲げるは光りの剣! )
[カチカチ] [パチッ] [ボボボ…]
__だが 既に拡がった紫炎は収まらない…
「 ひッ…! …! ロイっ…さんっ! 」
離れてッ!
___小娘の表情 …再びきりりと結ぶ
「 んなの言われなくても分かってるッス...よぉッ! 」
( 羽ばたく、空高くへ逃げる、飛ぶ、飛ぶ....飛ぶ )
しかし それでも
[ ジュッ ] 「 〜〜〜〜〜〜ッ...!!! 」
( 拡がった紫炎はそれこそ執着するかの様に、軽くだがしっかりと羽根を焼き焦がす。苦痛に顔を歪めては、バランスを崩して______墜ちる )
[ ガラガラガラ.... ] [ ガシッ ]
( 骨山が崩れ落ち始める。辺りにもう何も残らない。ただ燃えて焼けて、灰となる。そんな中....小娘の襟を少し強引に掴む小さな手。
体格はそこまで小娘と変わらないし ....寧ろ脆弱に見える、が ....小娘をお姫様抱っこして .....其の“一斗缶”は跳ねる! )
「 皆んな無茶し過ぎ、だよっ。此処はわたしのテリトリーなのに 」
( 意識を失っていた筈の少女の声今はまさしく一等星 ...
そのまま一度小娘を背中に回させ鳥人を捕まえては ....優しく受け止める )
「 …… ? ? ?… ぅえっ 高っ!? 」
( 早すぎる二人の動きについてゆけない
気づけば抱えられて宙ぶらり… で )
「 ぁっ 此所って患者さん… うん!患者さんの場所
だったんですか!… ぁ、…じゃー …ぇ…えっと… 」
_______燃え盛り続ける紫炎の墓地
( いやな 予感に冷や汗をたらりと流す )
「 私は気にして無いから平気、だよ。此処に残ってた骨達は、罪人達の生きた証。死んだ人達が作った、片道切符だから。... 気にしなくて良いよ、レイチェルの妹さん。で、合ってるよね、間違いじゃ無かったら 」
( 鳥人は軽く気絶に落ちる、火傷の痛みや急激な高低の移動に、身体が少し耐えれてない。精神を消耗していた所に追い討ちで来た為、休息も出来ておらず ...
...結果として、鳥人より小柄な少女に抱えられたまま、地に着く事となる )
「 それより心配なのはレイチェルの妹さんの方だよ、一応ロイは、これでも組織の記号付きだし、傷も浅い ....でも、貴女は違う。炎の中に飛び込んだ みたいだったから 」
( 背後にて燃え盛り灰に還る骨と怨念。何処か鬼火の様に紫に耀き、それでいて無い筈なのに力強い意志を感じる....。
冷や汗を拭いながら顔色を伺う 果たして平気なのか )
( トリップミスだよ )
123:アルスター◆.s:2021/04/22(木) 23:54
( …驚きの連続が小娘をただ 襲って回る )
「(何故分かる!?.此所そういう所!?.罪人!?.高い高い❗)」
__________..
はっ
「[ばっ]はっ はいっ❗…んんっ…そそそそうですっ、
"レイチェル"っ 同じ名を持つねえ様の妹がわたしッ!
…っ… れれ、れ"レイチェル・アルスター"ッ❗…です…っ 」
( 持つ光りの剣を落とさぬようにしっかりと抱え
…溢れんばかりに拡がる紫炎に息を呑み、助かった今に感謝)
________そして木製の"左義足"に燃え移る炎
「 あっ "アルスター"で結構ですっ! …それにしてもっ
やっぱりねえ様の患者さんだったんですねっ、って
患者さんこそ大丈夫ですかっ?お体丈夫そうでは
ありますけどっ… 」
_____..."死に骸は土へと還る"
"火となり燃ゆるを霊と呼ふ"
「 何だか似てないね、レイチェルの妹。テンション、戦闘方法、声色、目の色、他にも沢山。ただ、不思議と罪人って感じがしない、寧ろ此れは何方かと言うなら、聖人に近い様な 」
( ....どうにも、あの姉と同一人物とは思えない、確かに強い、強いがそのベクトルが違う。そして何より感の鋭さ ...現に今も。
三角跳びの要領で勢い良く地面に降りて行く、安全性もへったくれもない )
「 罪人に罰を与える、その分、残りの命は私に加算される。生命力が上がる、つまりは回復力も上がる。だから多少は無茶しても大丈夫。こんな風に 」
[ ジュウゥゥゥウ.... ]
( 左足の義足、燃える火をそのまま手の中に握り締めては酸素を取り込めなくさせて、無理矢理の鎮火。当然火傷はするし痛みも来る、が、傷はみるみるうちに回復をする )
「私が喰人鬼だからって言うのもあるけれど、此の与えられた力って凄く便利。患者って言うのは良く分からないけれど、大丈夫。アルスターがレイチェルの妹なら、私は手助けをする。この力 ...【カーニバル(食人)を、レイチェル達の為に活用して」
亡骸は遂に還る
身が消える、魂は安堵をする
執行人の長い時は ...終わりを告げようとしていた
( /遅くなってごめんなさい、だね。やっと顔を出せたよ )
んなっ___
「 にっ…似てない…とかっ❗ ひャぁ!? 」
( 似てないとか聞くいなや 頬を風船のように膨らませ
__しかし着地の激しさにころりと眼の色を変えて )
「 … … 待って下さい ちょっといろいろ整理しますっ 」
( __小娘は… 知っているようで 知らない。
関係性 詳細 …近くに知るが まるで、今は… )
「(……っ というか…) …あ あのぅ…患者さんの…お名前は? 」
(/遅れに遅れはわたしだって同じですっ!お気に留めず!)
「 ....うん、似てない。レイチェルならいつも...平常って言うか、落ち着いてる。アルスターは良くも悪くも感性が豊かって感じで、見ていて面白い人種に入ると、私は思う 」
( 一喜一憂の激しさ、本当に同じ血が繋がっているのかと疑問に思える様な。....いつかは知るんだろうけど、そのいつかって、本当にいつになるんだろう
.....巡り会える其の時まで、サポートが出来れば良いけれど )
「 ア・スフクター。其れが私の名前。星、花、未来、役者、そんな多い意味が込められたらしい、よ? .....結構、組織の事は知ってる。色んな人と会った事があるから 」
(/そう言ってくれると、此方も助かるよ。今月からはゆっくり出来るから早めに返していく、ね? )
「(っ…っ… ーーーーーーーっ)」
( 図星図星と当てられ尽くして脳内は沸騰
…表情を見れば分かること、子供が怒ってる感情!
に、近いけれどそれが過ぎて判断が出来ない顔。)
「 すっ …スフクター…さんっ…!
聞きようによっては今の失礼ですっ!失礼っ!
ホントに似てないってよく言われますけどぉっ!
堂々と言われたら怒りにくいですっ…ですっっ!! 」
( ___睨んでるのだろうか )
( 光りの剣を抱き締めながら威圧不足の怒り顔 )
「 名前っ… 素敵ですけどっ…素敵ですけどっ…❗ 」
「 あぁ、ごめんね?気分を害したならば、遠慮無く沢山怒って良いよ。私こんな見た目だけれど、多分アルスターより年上だから。
私は正直に思って言ってみたからね、似てない様な気がしたから。でも、似てる所も結構有るよ 」
( その場に座り片膝に肘をつく、じっと見上げる形になり、怒る相手に対し眉一つ動かさない。....ゆっくり、褒める時だけゆっくりと、声を上げる )
「 勇気 」「 優しさ 」「 この辺はとても似てるなって思うよ 」
( 誰でも持てる物かもしれない、だけれど簡単には持てない。
そんな物をこの姉妹は持っていた、其れで、救われた )
「 質問、あれば答えるよ。組織についてとか、色々 」
っ …… ぅ__
( 色々、… 怒りづらい。と 小娘は強く思った )
「 むぅー 、何だかずるいです スフクターさん…
よく分かりませんけど …ねえ様とおんなじくらい… 」
( 渋々、といったようすでその場に正座して
不服な表情 隠せずそのまま、光りの薄れた剣を背負う )
____質問は 考えてる途中
「 それは褒めてるの、かな。良く分からないけれど。まぁレイチェルと一緒って言うのはお世辞だったら、凄く嬉しいけれど、ね 」
( やはり見ていて分かりやすいと感じる小娘の表情、話がしやすく助かる。
先程より薄く輝く剣には警戒を怠らない、不慮の事故が起きた場合一番危険なのは此の子だから )
「 大丈夫、ゆっくり悩んで、もし無ければ無理に聞かなくても平気 」
( 鳥人を降ろしては軽く寝かせつつ、胡座を掻きながらゆっくり待つ。時間はいくらでもある )