そこには誰かが居た
人間かもしれない、化け物かもしれない
それは知り合いかもしれないし、赤の他人かもしれない
ただ、ここではそんなものは関係ない
この場所では、世界の仕切りなどない、多重に重なる世界線の枷は、ここでは意味をなさない
数多の世界の訪問者たちが集う場所
“クロスオーバー”
物語には、番外編というものが付き物である
さぁ、“スピンオフ”を始めよう
「「わたしは···双月です」」
(がらんどうとした机椅子の群れを見回して、向き直る)
「「とりあえず、少しの間······よろしくお願いします」」
(そして近くにあった椅子を同時に持ってきて、座る。その動きにラグはない)
「ふふっ、まるで鏡だな、意識しての行動でないなら大したものだ」
(何から何までシンクロする二人の動きに感嘆の声を上げ、席についた二人を目だけを動かし見比べて)
「こちらこそよろしく、ミス・ソウゲツ」