アントロギア

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1:鷹嶺まほろ◆XA:2021/11/22(月) 21:35

ファンタジー系の小説やイラスト、キャラや世界観の設定を見せ合うアンソロジースレ!
ファンタジーと見なされるものであれば設定はなんでもOK!
また、他の人の設定を使用するのは自由なのでシェアワールドも作れます!

なお、完成した作品はこのスレに投稿してください。


【ルール】
・荒しは無視
・サイトポリシーを守って書き込む
・雑談はこのスレでは控える(雑談は一日一回スレか専用スレを立ててしてください)
・次スレは>>980が立てる、スレを立てる人はテーマを変えてもよい。

2:山田さん ( ´∀`):2021/11/22(月) 22:07

>鷹嶺さん
どもども( ´∀`)

新スレ用に、悪魔+神+人間が関わる物語をなんとなく考えたりしているのですが…ちょうどプロローグのようなものが書けたので落としてもよいでせう?

3:鷹嶺まほろ◆XA:2021/11/22(月) 22:28

>>2
(どうぞご自由に)

4:山田さん ( ´∀`):2021/11/22(月) 22:30

其の壱.
物語の悪魔と叡智の魔女

大昔、星を覆い尽くす大海原の上に、ひとつの箱庭がありました。海原の青と、空の真白の狭間に浮かぶ箱庭では、総ての生命が等しく神として暮らします。死のない世界では天に星が昇らず、朝も夜も存在することのない概念でした。
──『禁断の果実』より

5:山田さん ( ´∀`):2021/11/22(月) 22:32

次の頁は白紙だった。幾千にも綴られた文字と無機質な白は、区切りがよく丁度半分のところで隔てられている。未だ終わりがないこの物語を何遍も読んでしまうせいか、文字を追うより先に続きが浮かぶようになった。やはり今日も変わりない。「新たなる世界を。」最後の一節を読み終えて、静かに本を閉じる。

「グリモワール、私を呼びましたね」

「さあ、呼んだつもりはないけれど」
「では、あなたの好奇心が呼び寄せたのでしょう」
「唯一腐ることのない感情だからね」
「グリモワール、あなたは知っていますか?」

叡智の魔女は語る。

「なぜ空が色づくのか」
「なぜ星が昇るのか」
「なぜ箱庭が崩れ去ったのか」
「なぜ、天が地に落ちたのかを」

「愚問だね」
「あなたは知りうるでしょう」
「物語の続きは?」

「はい、グリモワール。私は叡智のすべてを知りました。この世に私の知らないことはありません」
「しかし、それではつまらない。あなたが物語に浸るように、私には叡智がなくては生きられない」
「それなら、どうするのかな」

「グリモワール、私は新たなる世界を創ります」
「回り巡る星座や、地に落ちた天や、空に鎮座する人の世がどのように創られたのか、言葉にするのは簡単です」
「退屈なのですよ、グリモワール」

天より深く、星の核に生きる悪魔。魔の世界の上には未だ知らない物語が溢れている。叡智の魔女の姿はない。どこまでも整然と並ぶ悪魔図書館の本棚へ、ボクは『禁断の果実』を戻した。

6:山田さん ( ´∀`):2021/11/22(月) 22:33

通称 悪魔図書館
(ちなみに…)
(神と悪魔と人間と、双方でなにか物語を創っていけたらいいと思いますね)

(>マリンちゃん、各位、募集者)
(また考えませう( ´∀`))

7:山田さん ( ´∀`):2021/11/23(火) 00:08

『999番街』

「殺 人、殺 人、殺 人…ああ、なんてこった」

この世に天国なんてあるもんか。

「こりゃあ酷い、よく聞けよ、そこの坊主。えー、これより貴様に番街判決をくだす」

閻魔大王はひときわ大きなガベルを鳴らした。

「──極めて悪質な重罪により、999番街に決定!」

地獄とは、とっくにおサラバした。

──────────

死者の番街。名の通り死者が住むゴーストタウン。1から999までの番街が存在し、数字が大きくなるほど重罪人が集まり過酷な生活を強いられる。主に生前の行いから照らし合わされ、罪の重さと番街を閻魔大王によって判決がくだされるのだ。──つい先刻、「999番街」の呪印を押されたばかりの少年が最悪の地に足をつけネオンライトの下を歩く。「見ろよ、新入りだぜ!」「なんだ、いかにも青臭いガキだな」「あんな奴がここへ来られるなんざ、とうとう閻魔大王の目ん玉も腐っちまったか」石畳の道際に立ち並ぶ建物…否、牢獄の中から住人が顔を出しては次々に吟味の声を口にする。

「お前の牢は最奥にある」

閻魔から告げられた言葉に従い、野次馬の如く住人の声をすべて跳ね除けながら少年はさらに奥へと足を進めた。ネオンライトから一変し、寂れた西部劇のような荒地に佇む牢獄、空を覆う木々がおどろしく枝を伸ばすまるで幽霊のような街道、二転三転する周りの空気を肌で感じていると、次第に暗雲が轟き始めた。雲の上で稲光が鳴り響く。不穏な雰囲気が重たく渦巻いたこの地が、閻魔のいう最奥の牢なのだと悟った。

「──皆が君の話題で持ち切りだよ、君の名前は?」

鉄の扉を叩く前に、中から声が聞こえた。

「オレに名はない」
「ああ、そう…それじゃあ、罪は?」
「人をやった」
「淡々と、淡々と…けれど、驚いた。君は存外普通の人間なのかもね」

「ひとつだけ、僕から君に覚悟の程を問おう」
「……」

「ここじゃ普通は通用しない。なにせ気狂いばかりが集まる地獄の999番街。心なんて辞書にはないのさ、そうでなければ務まらないからね」

「君は『ゴーストハンター』になる覚悟があるかい?」

──天国でも、地獄でもない。ここは死者が住むゴーストタウンの最奥、気狂いばかりの999番街。地上を脅かすゴーストを討伐する義務が課せられるのは、ひとつだけ。唯一無二のこの牢獄だけなのである。

8:山田さん ( ´∀`):2021/11/23(火) 00:24

>>5
【物語の悪魔】
名称:グリム(グリモワール)
物語の悪魔と契約を交わすと、『対象者の記憶』が本となり、召喚権限を得る。また、対象者は不老不死の力を共有することが可能( ´∀`)

【叡智の魔女】
名称:エバ
かつて、箱庭を崩した叡智の魔女。戦うための力はなく、ただ叡智を宿すだけ…まだ見ぬ叡智のためにグリムと契約を交わした。本の題名は「禁断の果実」( ´∀`)

>>7
【999番街】
死者が死後に住むゴーストタウンこと番街都市では、罪の重い者ほど大きな数字の番街にて生活している。中でも最悪と歌われる『999番街』では、地上に未練を残し怪物と化したゴーストを討伐する『ゴーストハンター』の役割が課せられているそうな…( ´∀`)

9:マリン:2021/11/23(火) 07:48

(最高だろ、好み過ぎるぜw確実参加www)

10:◆Qc:2021/11/28(日) 21:50

(没設定を適当に軽率に投げていく)


────ここは魔法の世界。

××××年のこと。
どこかの大地が唐突に隆起し始めました。そこは1日におよそ2mの高さで上昇していたため、興味をそそられた人々は競ってその大地に登りました。
そしてその1週間後、既にその土地は地面と切り離されていました。······そこにはおよそ1000人程が取り残されたといいます。
彼らは嘆き悲しみました。······するとどうしたことでしょう、天から光が降り注ぎ、人々に『能力』が宿ったのです。一転して彼らは歓喜の渦の中に放り込まれました。

『これで生きていける』『幸い資源も潤沢だ』『自給自足は不可能じゃない』。

しかし、数ヶ月して、地上から1000mのあたりで上昇が止まった時には、
地上は真っ暗に染まっていました。
訳の分からない生き物に完全に占拠されていました。
生きている人は誰もいませんでした。

空島となったこの大地に住む人々は、それを見て何を思ったのでしょうか。······ここを要塞化した程ですから、相当に恐怖を煽られたのでしょう。
人々はその生き物を『アナザー』と呼び、恐れました。




そしてそこから時代は流れます。
地上を占拠した謎の生き物は飛行能力を携えて、ついにここ『アステリオス』の侵略を始めました。
ですが彼らは弱く、空島の防御の前には手も足も出ませんでした。
······それよりも問題なのは、治安の悪化により『犯罪組織』────ルシフェル────と名乗る者らが現れたことです。
彼らがなぜアステリオスに歯向かうのか、その理由は分かりません。アナザーとコミュニケーションがとれる為か、それとも単純に封鎖された環境に対する叛逆か。


ともかく、アステリオスは今や内外の脅威に悩まされています。
内の脅威に加担するか、鎮圧するか、
······それとも、いつか現れるであろう、高度な知能を携えた外からの侵略者となるか、
······どれを選択するかは、あなた次第です。




────さあ、終わらない地獄の始まりだ
 

11:山と田の者:2021/12/04(土) 03:51

愛するなんてロクでもない。血に染まった花束を両手に抱えながら、真夜中に走る列車の一座席で小さく呟いた。一時間半。ずいぶんと遠い片道の距離だって、文通で交わしたペン先のやり取りに比べればなんでもない。あの頃、私が、私たちが、まっさらな紙面に幾数も文字を綴っては、互いに気持ちを伝えあっていたことは紛れもない事実だ。……事実、そう。ただひたすらに事実だけが積み重なっていく。実った結果などありもしないのに。列車が立てる音を耳元へ、小刻みに体を揺らしながら深く目を閉ざす。私の「4人目の恋人」は死んでしまった。

「ねえ……ずっと私の傍にいてくれる?」
「どうして?」
「ううん、なんでもないの。ただ、いなくならないでほしいから」

愛の言葉を囁くと、それは訪れる。愛しい人の声を聞く前に、蹂躙して、跡形もなく消し去って、すべて壊してしまう。潮風の吹き通る街、贈り物の花束を手に持ちながら歩く私の背後で悲鳴は上がった。踵まで広がる血溜まり。理由も原因も知らない、けれども人生を脅かす。「私が愛した人は死んでしまう」決して誰かを愛してはいけない。分かっているのに、運命が愛と死を呼び寄せる。

──きっと、死に愛されているんだ。

ひとり嗚咽を漏らして泣いた。震える私の肩に、黒い禍津がまとわりついて生ぬるい温もりを伝える。


例えるならば、不敗の王者、幸運の持主、世界一の富豪。或いは勝利、或いは運、或いは金、世を導き変えるのは、いずれも愛される者。人はそれを祝福と、時に呪いと呼ぶ。

「賭けをしようか」

男はテーブルに並ぶビールジョッキと変わらない丈のコインを積み上げた。周りから飛ばされる野次や歓声に応えるが如く、自信に満ちた眼差しでこう告げる。

「勝負は一回。オレが勝てば全財産をくれてやる。その代わり、オレの負けならお前さんの有り金を貰うぜ」

「必敗」に愛された彼は、敗北の宣言通りに幾度目か分からぬ連敗記録を重ねた。

この世に潜む、とうの昔に埋もれてしまった祝福者を……人々は知らない。

12:山と田の者:2021/12/04(土) 03:51

概念に愛された祝福者。世を変えた数多の祝福の中に、まだ誰も知らない最悪が混じっている。とある話によると、およそ千年周期で現れる「神に愛された者」を崇拝し待ち続ける集団が、最悪の祝福を忌み嫌い「粛清」と称し捉えているのだとか…

知るかボケナスビ!^q^

13:マリン:2021/12/04(土) 08:01

(マリン自身の設定に少しにてるw)

14:山田:2021/12/04(土) 16:21

そかぁw

15:◆XA:2021/12/11(土) 23:42

(ファンタジー系のキャラなのでこっちに置いときます)

「ボクは通りすがりの“旅人(ボイジャー)”さ」
「星に願いを、人に希望を、そして世界に救済を」

名前:十七夜月 スフィア(kanou sphere)
所属組織:無し
二つ名:星辰の支配者
年齢:???(永遠の15歳)
性別:無し
身長・体重:151cm/37kg
【容姿】
 左眼を眼帯で隠した中性的な顔立ちの美少女、外見は15歳ほどに見える、但し性別と言う概念を持たないため厳密に言えば少女ではない。
 髪型はシルバーアッシュのストレートロングで眼はペールブルー。
 服装は襟が黒い白の長袖セーラー服に黒のミニスカート、セーラー服のリボンは赤色。
 濃紺のロングブーツを履き白い水兵帽子を被る。

【性格】
 超マイペースかつ好奇心旺盛で面白いこと楽しいことが大好き、事あるごとに面白そうなことに首を突っ込みめちゃくちゃにする。
 またかなりの気分屋で何を考えているか読めない、今日は味方でも翌日には敵に回っていることもしばしば、ただ根は善人なため世界に致命的な破滅をもたらすことはしない。

【能力】
『占星術』
 暗黒空間を生成しその内部に疑似太陽系を構築して行うスフィアの占星術は未来予知、因果改編の領域に達している。

『星辰の魔眼(ディアスティマ)』
 眼帯に隠された左目は星々が煌めく宇宙となっている、この眼で見つめられると自分が眼に吸い込まれてしまうような錯覚に陥るという。 
 スフィア曰く“この眼は何処か別の宇宙に繋がっている”とのこと。 
 しかしこの眼の真実についてスフィアは多くを語らない。

【武器】
『星々流転の魔杖セレスティア』
先端部分が天球儀の形状をした杖。
時空を超えるほどの力を宿したアーティファクトであり、人の手によって生み出された物でありながら人知の及ばない領域にあるモノ。
その全力は天体の配置すら書き換えるという。
これさえあれば大体なんでも出来てしまう。
【備考】
 ジョバンニとカムパネルラという名前の使い魔がいる。

16:匿 名子:2021/12/28(火) 22:38

>>7

続き書いてください。

17:山田:2021/12/29(水) 21:34

>>16
忘れちゃったよ、、
名子さんに筆あげます つ✏︎

18:匿 名子:2021/12/29(水) 23:42

>>17
ありがとう ( '༥' )ŧ‹”ŧ‹”
続き思い出したら書いてください。

19:マリン:2022/01/23(日) 08:15

設定考え中

20:◆RI:2022/01/23(日) 16:32

名前:マレ・ラ・クヴェレ

二つ名:最後の海

性別:無性

年齢:不明

身長/体重:不定

容姿:https://i.imgur.com/EKcO3jU.jpg

性格:陸の常識が一切通じない、純粋無垢な子ども、いつもぽやぽやとしながらどこかを見ていて、何を考えているか分からないが、実際特に何も考えていない、海の中であらゆるものに愛されて育った為、危機感、危機察知能力が鈍い、最後の海の子と言うだけあり甘えん坊だが、全ての母と言われる海の性質もきちんと持ち合わせているため、甘やかし上手でもある、包容力カンスト

異能:『深淵にて浮かぶ月(アビスタイプ:ムーン)』
直径1mほどの水面に浮かぶ波紋のような円を複数、自身の背後に浮かべ、そこからタコ足のような禍々しいナニカを召喚する、波紋は海に繋がる異空間ゲートとなっており、ナニカ以外にも海に直接移動できたり海のものを取り出したりできる

武器:トライデント

備考:
・『海』に関するあらゆる概念達が神秘を失いつつある人間世界に干渉するために生み出された楔であり、海から生まれた全てのものの最後の子ども、海に関する全てのものを「まま」「ぱぱ」と呼び慕っている、周りに浮いているクラゲたちは水、もしくは泡でできた形だけのものであるが、それを通じて『海』たちは彼のことを見守っている、彼が望めばクラゲだけでなくイルカやサメなど様々な形に移り変わる

・体が水でできている、血、内臓等はなく、そのため物理攻撃は一切効かない、が、水であるが故に熱に弱く、あまり暑いところにいると蒸発しかけたり人の形が保てず溶けかけたりする、そもそも陸にいるだけでスリップダメージのように体力などを消耗し続けるため、高頻度の水分補給、そして定期的に水の中に入らないといけない。
逆に寒すぎるのも苦手であり、寒さで水が凍るように、彼も凍ってしまう、環境適応能力が皆無な海の王子様

・海に愛された命、能力とは関係なく海そのものや、海に由来する神、生き物たちは無条件に彼の味方をし、力を与える、彼の武器は海の神から、彼の能力は海底に眠る邪神からの加護を借り受けたものであり、海辺・水中戦にて彼に勝てるものはいない

・なぜか陸でも話す度にこぽこぽと吐き出す空気が泡のように口から出てくる、声を出すのが苦手で幼児のように舌っ足らずにはなす

・かの人魚姫のように陸に対して強い好奇心と憧れを持っており、無理を言って陸に上がってきた、普段は空中をぷかぷかと浮いて移動しているが、一応地に足をつけて歩くことも出来る、ただし歩きなれていないため産まれたての子鹿のような状態


・海は知り尽くした、陸には上がった、後は─────

21:◆XA:2022/01/27(木) 18:35

『神秘(ミステリオン)』
魔術、異能力のリソースとなるもの、魔力とも言う。
古来より魔術師はこの神秘を用いて魔術を行使していた。
「神秘の氾濫」以前は魔術師達が神秘を管理しており人目に触れることがなかったが「神秘の氾濫」以降は神秘が地上に満ちて異能者が出現するようになりミステリオンの存在も周知のものとなった。

『異能者』
ミステリオン能力を行使する者。
神秘の氾濫によって誕生した新時代の魔術師とも呼べる存在、但しその異能は魔術とは大きく異なるという。
政府の異能者はトランセンダー、それ以外の異能者は害虫を意味するヴァーミンと呼ばれている。
ヴァーミンはケージと名付けられた異能隔離区域に隔離されている。


『魔人』
世界に存在する七人の規格外。
異能者や魔術師を神秘を使う者とするなら魔人は神秘そのもの。
七人の魔人は能力の性質こそ違いはあるが例外なく世界を滅ぼすほど強大な力を有している。

■■の魔人:
■■の魔人:
■■の魔人:
■■の魔人:
■■の魔人:
■■の魔人:
星辰の魔人:十七夜月スフィア

22:◆XA:2022/02/06(日) 14:12

「僕のことをルー君と呼んで良いのはシェリルだけだ」

「君を幸せにすること、それが僕の贖罪だ」

名前:ルイス・パーシアス(Lewis Perseus)
愛称:ルー(Lou)
二つ名:無し
年齢:17歳
性別:男性
身長・体重:172cm/55kg
所属組織:無し
【容姿】
https://i.imgur.com/d3HT9Pm.png
まいよめーかで作成
口元まで隠れるハイネックのアウターを着たダークレッドの髪の少年。
人前で笑顔を見せることはない。

【性格】
 過去の出来事から他人と関わることを避けており握手などで触れられることを嫌う。そのため他人に対して素っ気ない態度を取る、当然口数も少ない。
 そんなルイスだが唯一シェリルにだけは積極的に頭を撫でたりハグをしたり添い寝をする、いわゆるクーデレ。
 なお、根は優しいため周囲に冷たい態度を取りながらも冷淡に成りきれず何だかんだ周りを気にかけている。そんな性格故にルイスのことが好きだという人間も少なからず存在し、当人はその事に頭を悩ませている。
 元々一人でいることが好きなので、ビジネスパートナーとしてならまだしも馴れ馴れしく話し掛けてくる相手には露骨に嫌そうな顔をする。

 シェリルを幸せにすることが自らの存在理由、生きる意味と考えており、シェリルのことを第一に考えて行動している。
 ルイスが唯一甘えられる相手なだけあってシェリルに対する独占欲は強いが自己評価が低いため自分よりもシェリルに相応しい相手が現れた時はその相手に潔くシェリルを譲ろうと考えている。
【能力】
『狂禍銀狼(ジャガーノート・リュカントロポス)』
 高濃度の神秘を纏い狼と人間の中間めいた姿に変貌する異能。
 発動中は全身が神秘で編まれた白銀の体毛に覆われメインウェポンである鋭い爪が生成される。
 人狼化に伴い身体能力が超強化され瞬間移動めいた高速戦闘が可能に、一瞬で敵の背後に回り込むなどのスピードを活かした戦い方を得意とする。
 さらに全身の感覚が研ぎ澄まされるがその代償に正常な理性が失われ殺戮装置と化す、そのためルイスはこの異能を忌み嫌っており使いたがらない。
 また、高濃度の神秘で編まれた体毛は物理攻撃のみならず相手の異能さえも威力を減衰、あるいは弾くほどの防御性能を発揮する。
 
【備考】
BOUQUET(自警団)の管理するボロアパートでシェリルと同棲している、BOUQUETには恩があるためジャンク屋で働く傍らBOUQUETの手伝いもしている。
ただ、ジャンク屋の仕事は好きだが自警団の仕事はあまり乗り気ではない。
好きなことは自分で修理したコーヒーメーカーで淹れたコーヒーを飲むこと、それと甘いお菓子があれば何も言うことはないらしい。
 その他にはフライドチキンが好物。
【過去】
 14歳の夏のある日、両親が政府側の異能者だったため異能解放戦線に両親を殺される。
 その後半年ほど孤児として路上生活をしていたルイスは政府の極秘研究所の職員に拾われ異能獲得のための手術を受け、政府の異能改造兵士となる。
 異能解放戦線との戦闘中に異能が暴走しシェリルの両親を含む多くの無辜の人々を虐殺してしまったと言う過去があり、惨劇を繰り返すことを恐れて他人と関わることを避けている。
 シェリルの幸せを何もかも奪ったことに強い罪悪感を感じており、残りの人生の全てをシェリルのために使おうと心に決めている。しかしシェリルを幸せに出来なくなることを恐れてシェリルには両親の死の真実と自身が異能者であるということを打ち明けられずにいる。
 全てを打ち明けた時、彼女はいつもと変わらず僕に微笑みかけてくれるだろうか?

23:ヤマーダ:2022/02/08(火) 03:02

@

悪魔帝国。人々はそう呼ぶ。どこからともなく奴らが現れたのは随分昔のことだった。人の世に、そしてこの国に顕現した悪魔達はこう言った。「命を捧げれば勝利を誓おう」と。

「この悪魔野郎め!」

すぐそこの角で子供の声が聞こえる。帰路を歩く内に、声は段々と大きくなってくる。角の先には、複数人の子供と、その子らに蹴られうずくまる小さな悪魔がいた。悪魔は抵抗もせず、「ごめんなさい」そう謝罪を口にしながら自分の身を庇っていた。視界に入ってしまったものだから、引き返すにも、無視をするわけにもいかない。

「やあ、どうも」

私が声をかけると、子供達は驚いて一斉に振り向いた。悪魔への攻撃の手が止まる。

「こんな夜遅くに、どうしたんだい。坊やはねんねの時間だろう?」

なんだお前、と食ってかかろうとした子供を、もう一人が止める。夜の暗闇ですらこの帝国印は目立つようだ。月光を反射しちかちかと光るそれを目にして、流石に気付いたのだろう。相手にするには分が悪い。国に選ばれた国の為の騎士。所謂、帝国軍人。この国では王に近い権力を持っている。

「帰りなさい。このことは秘密だ。何せ、仕事帰りなのでね」

はい、ごめんなさい。子供らは機械的に謝罪を述べ、ひとりが頭を下げるとつられて全員が頭を下げ、上げるや否や返事も聞かずに一目散に去っていく。まるで蜘蛛の子を散らすようだ。不揃いな足音が街の奥へ消えていくのを目で、耳で確認した後、まさに先程まで攻撃の対象だった悪魔へと歩み寄る。

「……大丈夫?」

悪魔はゆっくりと顔を上げる。やがて、その目線も胸元の帝国印へ向いたようだ。人間の少年が驚いたのと同じように、いや、それ以上に尊敬の念を込めてか、やや明るい眼差しで悪魔は私を見つめた。

「ありがとう、軍人さん」
「よかった。無事なようだね」

悪魔の子は少し笑う。はにかむといった方が正しいだろうか。先程まで殴られていたとは到底思えないような顔つきで、胸いっぱいにしまい込んだ喜びがつい漏れてしまうような、そんな微笑みを浮かべたまま話し出す。

「軍人さんは、ぼくらを守ってくれると聞いたんだ。ぼくらがどれだけ人間から毛嫌いされたとしても、この国は、軍人さんはぼくらが好きなんだって」

私もまた微笑みを返す。見た目は違えど中身は普通の少年と変わらない。それどころか、元来この国に生まれ住む少年よりもずっと純真だ。しかし、単に微笑ましいわけではない。何も知りえないことが幸なのか不幸なのか、私には決められない。

「それがこの国の正義ならそうするだけだよ」
「私の目は万能ではない。身近な失くしものですら数日は見つからないというのに、国で失くしてしまえば探すのは無謀だ。君は、この国の、街のほんの一角にいて、そこにたまたま私がいた。ただそれだけにすぎない」
「信仰はいい。しかし、信じることは時に盲目という名の毒を回らせる」

少年は黙って聞いていた。

「覚えておくんだよ」

それだけ言って、目線を合わせる為に屈ませていた膝を立てて踵を返す。少年は最後まで言葉を発さなかった。今度は、私の足音がどこかへ消え去るのを、見つめていた。

24:ヤマーダ:2022/02/08(火) 03:03

A

「勝利こそ正義!」
「勝利万歳! 勝利万歳!」

周りの同志が皆口々に叫ぶ。まるで宗教のようだ。そして、それはあながち間違いでもない。この国は元々宗教国家。神を信じ、神に準ずる人々。それが今や、悪魔帝国と名だたる、神とは程遠い存在へと成り果てたのは皮肉だろうか。

「ほら。君も『勝利万歳』だ」

隣にいたグーテンベルクが私に声をかける。

「言わなきなゃ、大佐になんて言われるか。僕らはまだ普通かもしれない。けど、この国の中枢は皆あんなだ。分かるだろう」

我々軍人は向かい合うように縦に二つの列を作り、その間の先にいる大佐はふてぶてしく足をおっぴろげにして椅子に座っている。目で指差した口ひげの彼らはしきりに勝利万歳、と口にしていた。グーテンベルクが誰にも気付かれないよう息を潜めながら喋るのと同じように、私も小さく答えた。

「十分、目の当たりにしてきたよ」
「だからこそ、勝利万歳だ。敬虔な信徒として思う。これは間違ってる。早くこの戦争が終わってほしいと思うよ」
「では、勝ってほしいか? それとも、負けてほしい?」
「……」
「勝つまで続けるだろう。勝って、勝って、この世から負けが消えるまで。勝利を証明するまで終わらないさ。もうとっくにこの国は魂を売った。そうは思わないかね?」
「思うさ。思うから……せめて、ぼくだけは抗ってみせる。少なくとも悪魔なんかに忠誠を誓ったりはしない」

昨晩、悪魔の少年を助けたことを思い出し、グーテンベルクへの返答に滞る。勝利万歳、小さく呟いた。

「大佐だ。大佐が話す」

勝利万歳、その声が小さくなった。大佐が咳払いをしたからだった。その結果に満足したのか、大佐は不敵な笑みを浮かべて話し出す。

「知っての通り、我が国は悪魔帝国などと呼ばれている。しかし、これは神の意思であり、神のご意向なのだ。我々は天に選ばれた。選ばれた者としての使命を果たさねばならぬ」
「この愚かな戦いの勝者として正義を掲げるのだ。その為の大義だ。ああ、素晴らしき我が国に乾杯。そして勝利を誓わん。勝利万歳!」

大佐が言った。勝利万歳!勝利万歳!小さくなった声は再び勢いを取り戻し大きくなる。この光景は何度目か。もうすっかり聞き慣れてしまった。もはや洗脳だ。言わずもがなこの国は悪魔に魂を売った。王が脳、我々軍人が手足だとするなら、国民とは国の命であり心臓だ。「命を捧げよ」戦争に勝たねばならなかった。攻めあぐね、陥落しかけたこの国は、脳は腐敗していた。そうなれば手足も動かなくなっていく。最後の砦である心臓が停止するのも、あと少し。悪魔は唯一の救いの手であった筈だ。ある意味では命の恩人でもある。だが、それと同時に弱みに付け込まれた我々は完全に魂を失った。神の為の御魂を、国の為の命を、勝利の為に悪魔に捧げた。それが正しいことなのかは分からない。だが、勝てば正義だ。勝者こそが正義になりうる。それだけは揺るがないのだ。

25:ヤマーダ:2022/02/08(火) 03:05

B

城から出ると、既視感のある少年がいた。少年の背には黒い羽根が、頭からは小さな角が二本生えている。悪魔だ。どこからどう見ても。そして、本当は人間が見る筈のない存在なのだ。少年は私を見つけると笑顔で頭を下げた。昨晩の少年だと分かった。

「何か用でも?」

歩み寄り、用を尋ねる。少年は嬉々としながらもたじろぎ、尋ねられた言葉に返す言葉を探していた。特に理由はないようだった。こちらを見上げた後、また地面に目線をやる。これを何度か繰り返し、ようやく口を開いた。

「昨日のお礼を、もう一度、ちゃんとしたくて。ここにいたら会えるかと」
「ありがとう、と。昨晩、確かに聞いたがね」
「それは…夜だったから」
「顔を見ていないと、思って。お礼をする時、謝る時は、その人の顔をしっかり見ないといけないから」

つい、微笑みが零れてしまった。随分と健気だ。話をする気になって、私は膝を屈ませる。昨日と同じように。

「でも、君は昨晩、殴っていた子らの顔を見ずに『ごめんなさい』と」
「あっ…!」

少し意地が悪かった。少年の頬が羞恥にほんのりと赤くなり、羽根が小さくなる。どうやらこの子はいつも自信がないらしい。そして、素直だ。

「ごめんなさい、その…」
「偶然、じゃないなら。ううん、偶然にしたくなかった。あの夜じゃなくて、また、ぼくは…信じていれば、あなたに会えると、そう思っていましたから」
「…悪魔は信仰の毒などお構いなしかい?」
「…いいえ。軍人さんは、少しからかうのが好きですね」

肩をすくめて笑う。少年は、依然として赤い顔のまま。まるで自分の考えを誰かに話すことが初めてとでも言うように。ゆっくり、ゆっくりと言葉を紡ぐ。誰よりも真剣に。

「みんな神を信じています。けれど、ぼくには信じるものがありません。他の悪魔のことも、自分自身のことさえも」
「だからこの国を信じたのです。ぼくに生きる場所を与えてくれた、この国を。どれだけ虐げられても『国は救ってくれるだろう』と。そう、信じたかった」
「ぼくは、ぼくは…もっと、信じてみたいのです。ぼくにも、神のような存在が…ほしいのです、軍人さん」

少年は言い終えると俯いた。きっと主張は支離滅裂だ。だけど、こんな子供が精一杯に、信仰を願っている。願いを、口にしている。無下にする筈がなかった。悪魔は人を支配し、人は悪魔に縋る。ただそれだけだ。虐げられる悪魔を救うのも、今ある力を失わない為。自分達の為。お互いがお互いの利益を失わない為。信仰するには不相応な、利己的にすぎないこの歪な関係性。神などではない。そんなことも知らず、目の前の純真な少年は国に、信仰に想いを寄せている。信じれば信じるだけ、その代償として失望の種は膨らんでいくのに。

「よく伝えてくれたね」
「君の名前は?」

シトロ。少年は答える。遠くの教会では今日も抗議活動が行われている。悪魔反対、神への冒涜だ。悪魔の力を借りて争うなど神への裏切り行為も甚だしい。悪魔帝国は滅びろ。悪魔帝国は今すぐ白旗を上げるべき。私は今から、そんな声を抑圧しなければならない。それがこの国の正義だ。だが、彼らの声もまた正義だ。不義を倒さねば大義も掲げられないこの国で、今や戦だけが権力を象徴するようになったこの世で、勝者だけが正義を謳う。私はそんな不動里の上に立っている。少年は真実を知らない。

「シトロ、君の願いはそれだけか?」
「はい、はい…それだけで十分です」
「では、明日もこうして私を待つのかい」

シトロは首を縦に振る。

「軍人さん、ぼくはあなたのことをもっと知りたいです。だから毎日こうやって、少しの間だけでも話せれば十分なのです」

まるで恋でもしているかのように。この表情をよく知っている。悪魔帝国になる前、皆が教会で神に向けていた顔だ。少し懐かしかった。

「もっと話せると言ったら、どうしたい?」

シトロが顔を上げる。私はにやりと笑った。何に触発されたのか、少年の無垢な笑顔に絆されたか、理由は定かではない。ただ、彼は昔の私に少しだけ似ていた。だから、放っておけなかったのかもしれない。

26:ヤマーダ:2022/02/08(火) 03:06

C

「正義とはなんですか」

シトロは尋ねる。路地裏外の悪魔酒場は賑わっていた。ここでは人も悪魔も混じって、皆盃を交わしながら話のネタを肴に語り明かす。私達は周りの熱気に触れながら、やや高揚した頬で向き合った。シトロは己の足が地につかないことを気にしていない。小さな体の傍らにはジュース、その反対にはワイン。我々は対極をなして異質な空気を纏っていた。そのことを自覚しながら、難しい話をしていてもやはり子供は子供だと、昨晩から今までのことを思い出しては絶えず微笑みが浮かぶ。そうしている間に、シトロは己の問いが抽象的だと思ったのか顎に手を当て考える素振りを見せ、先程の問いに付け加えて再度尋ねる。

「軍人さん。あなたがぼくを助けてくださった時、『これは国の正義だ』と、そう仰っていました」
「正義とはなにか、ぼくには分かりません。だから…」
「シトロ」

真剣な子供の視界に入るように、一枚のコインを取り出して差し出す。シトロは訝しげな顔をして聞いた。

「これは…なんですか?」
「コインだよ」
「知っています、コインだというのは…」
「賭けをしよう」

シトロの目が見開かれる。賭け、という言葉を初めて聞いたのか、それとも知っているのかは分からない。その真意を聞き出す前に話を続ける。これは回答の前触れにすぎない。

「表が出たら君の勝ち、裏が出たら私の負けだ」
「待ってください、賭けなんてできません。ぼくは、知りたいだけです。話がしたいだけです」

お構いなしにコインを指で弾いた。頭上より高く舞い上がったコインは、くるくる舞いながら下へ落ちてくる。落ちながら、シトロの話を遮って、そして、また私の手に戻る。捕まえたコインからゆっくりと手をどける。

「表だ」

シトロが不意に呟いた。私は微笑む。

「争いとは、勝利と敗北、双方を望むものだ」
「私は敗北の味方で、勝利の味方でもある。まるで因果関係だ。裏と表、背中合わせのコインのようにね」

表を向いたコインを、シトロに差し出して、語る。語り続ける。

「私は全てを天に委ねている。コインとなんら変わらない。この国の王が悪魔を皆殺しにしろと命じるのなら、私はそうするだろう。私の正義とはそんなものだ」
「正義という概念は存在しない。正義は常に勝者の味方だ。だから私は、言うなれば正義の味方なのさ」
「賭けは君の勝ちだね。私は今、この場で。君の味方をすることだってできる。それだけだよ」

シトロはしばらく黙っていた。そんな姿を見ながら、私はグラスを傾けてワインをぐっと飲み込む。グラス越しに映るシトロの顔色は、存外悪くなかった。それどころか更に高揚して、赤い瞳を知識欲で染めているように見えた。

27:ヤマーダ:2022/02/08(火) 03:07

D

「私はね、シトロ君。正義よりも真実が好きなんだ」
「私には上に四人の兄がいてね。私の家は普通の家庭とは違っていた。何よりも成績が大事だ。成績だけに留まらず、素行や優等、あらゆる面での完璧さが求められた」
「私は一番年下ながらも家族の中では最上位だったのさ。父はこぞって私を褒めた。しかし、兄達はそんな私が気に食わなかった」
「ある日のことだが、学校で兄が不正に試験問題の答案を抜き出したようでね、私は事実を知るとすぐに問いただしたよ」
「しかし、あろうことか問いただした私に濡れ衣を着せられてしまった。おかげで私は家族の最上位から一変、家族どころか、学校ですらも居心地が悪くなったものだ」
「尊敬していた父は言った。お前は恥だ、秀を欠いた人間には価値がないと」
「信じていたよ。愛されているとも思った。私に向けられる眼差しの暖かさは、『父』という存在の心から生まれる愛そのものなんだと、信じて疑わなかった」
「信仰は常に一方通行だ。だが、真実は違う。真実は事実として、不変であり続ける。信じる余地もない。だから、好きなんだ」
「…私はあの日から、この国の正義を信じたつもりでいるよ」

私のくだらない身の上話をシトロはきらきらとした目で聞いていた。正義、正義、正義。この国を牛耳る、都合のいい皮を被った終わりのない欲望。信じることには責任が伴う。責任を負えないなら、信じなければいい。正義は不正義で隠蔽される。魂を売ったのはこの国だけではない。私もまた、人間でいることをやめたのだ。そんな存在が語る正義などに意味や価値があるものか。そう思って、考えるのをやめて、また思うのを繰り返しながら、酒が回ってふらふらとした重たい頭を上げた先の、興味に満ち溢れたシトロの顔を見れば何もかもが許されるような気がした。

28:ヤマーダ:2022/02/08(火) 04:58

E

悪魔に魂を売った以上、失った魂が戻ることはないと知っている。悪魔が現れたあの日、城に集められた我々軍人という手足を前にして、王は既に覚悟を決めた様子だった。奴らは人間に手を貸すだけの存在ではない。この国に救いの糸を垂らしたこと、この国の命を等価交換の対象としたこと、これらは、対等のようで対等ではない。今も前線で数多くの人間を殲滅する悪魔の力は、一度死にかけた国を支配下に置くなど容易いことだ。悪魔がいるかぎり、戦いが終わらないのなら、平和が訪れることがないのなら。いっそのこと、悪魔に支配されたままの世で新たなる秩序を創り出してしまえばいい。独り言のように話していた王の顔に、あの頃のような、どこまでも広く慈悲に満ちた瞳の面影はなかった。すっかり腐りきっていた。我々帝国軍人の活動ですら、後世へ向けたせめてもの鎮圧処置なのだとしたら、それはもはや脳の司令で自在に動く手足ではなく、単なる脊髄反射の成れの果てにすぎない。

「この世は終わりですよ」

神父が言う。神父は教会の外で懸命に土を掘っていた。肘まで捲りあげた袖の下の両手には、爪の間まで土が入り込んでおり、まるで探掘でもしているかのようだった。神父らしからぬ泥まみれの格好に行動。極めつけには、悲観的な言葉と態度。教会の外でなければ農夫と勘違いするところだ。私の足元で神父はせっせと土掘りに励みながら、途切れた言葉を続かせる。

「あいつらは馬鹿だ、揃いも揃って大馬鹿野郎共ですよ」
「勝利こそ正義、勝者こそ栄光。まるで皮肉だ。奴らは悪魔に魂を売らなければ負けていた。そのくせ、当然のように正義を語るんだ」
「神と共にあの世へ行けばよかったのです。それが正しい神のご意向だ。悪魔に魂を売り、この国と世を見捨ててまで争わねばならない理由とはどこにある? 国中、下手したら世界中、いいや、海や天のどこを探したって答えなんて見つかるもんか」
「馬鹿げてる。こんな国は滅ぶべきです。そう思いませんか、シュヴァルツさん」

神父がようやく立ち上がると、私の目を見てそう言った。息を切らし、肩を上下させる神父の瞳には怒りが沸沸と浮かんでいる。とても正気とは思えない。私は国の人間だ。神を信仰する者が、憎んでやまない悪魔の味方でもある私の目の前で「こんな国は滅ぶべき」だとか、言い放つどころか同意を求め、怒り心頭で震えているのに、並々ならぬ激情を感じる。何とも言えなかった。私はひたすら黙っていた。神父は怒りが収まらないのか喋る口を止めない。

29:ヤマーダ:2022/02/08(火) 04:58

F

「ある日のことです。私は教会の窓から白いベッドシーツを垂らしました。なんだと思いますか? そうです、白旗の代わりです」
「少し誇らしかったのです。神の信徒として、悪魔を祀り上げる国に抗ったことが」
「そうしていたら、帝国の軍人が突然やってきて『あれはなんだ』と」
「『白旗』です。そう答えたら、あれです」

神父は背後の教会を親指で差す。見上げると窓の一部分が割れていた。

「『次は暴発して、お前を撃っちまうかもな!』奴らは笑って、『お前は神を見たことがあるのか? 俺は悪魔ならあるけどな』そんなことを吐き捨てながら出ていったよ」
「もう我慢ならない。もうウンザリだ。こんな国、滅んでしまえばいい」

ふと、あることに気がつく。抗議活動の取り締まりをする最中、教会の中ではいつも悪魔が熱心に祈りを捧げていた。教会はどこも反悪魔主義だというのに、随分と命知らずな奴だなと思いながら、祈りを欠かさない姿勢に感服すら覚えた。そんな悪魔の姿が、なかった。

「神父さん」
「あの悪魔がいないなんて珍しいですね」

今から埋めるところですから。神父の言葉に振り向く。目に見える抗議は抑圧された。ならば、目に見えない抗議を。だが、これを抗議と呼ぶにはあまりに乏しい結果だった。神を信じ、悪魔と生きる帝国を嫌い、何度も蓋をされた憎悪の上に憎悪を重ね、そうして出来た取り返しのつかない憎しみの連鎖。

「悪魔殺しは神の教えですか」
「捕まえるなら捕まえてください。罪を問うならどうか私めに同じ目を遭わせてください」
「私は神と共にあればいい。この腐った世界から抜け出せるのなら本望だ。君には分からないだろう、帝国の犬風情よ」

この国では、全てが人間以下に成り下がった。従順な顔をして悪魔の力を搾取する人間も、憎しみに堕ち悪魔と国の死を希う人間も、傍から見れば皆悪魔。だからこそ、この国が悪魔帝国などという蔑称で呼ばれていることを、中の人間は知らないのである。


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