幻想郷の日常メインの場所です。
オリキャラはモブだけで、基本は原作キャラだけでお願いします。
それさえ守れれば、多少のキャラ崩壊や、キャラの経歴等で原作に無い事をしてもOKです!
早速来ました!針妙丸で参加希望です!
3:◆3.:2020/11/29(日) 12:51 ありがとうございます!!
勿論OKです!!
では、私は正邪と、モブ妖怪やモブの村人の一部をやりますね!
5:紅白の巫女◆gI:2020/11/29(日) 17:40参加許可ありがとうございます!了解です!
6:反逆者◆3.:2020/11/29(日) 18:17 【輝針城】
正邪
「はぁ……はぁ……くッそ……!!
何とか此処まで逃げて来れたが……ここまでか………」
まだ輝針城が鬼の住まう異界に封じられている頃、打出の小槌の噂を聞いて様々な苦難や死闘の果てに何とかこの城にまで辿り着く事が出来たものの、排他的な鬼によって正邪の左腕には大きな切り傷が出来ており、右目が潰れ、血だらけになり、息も絶え絶えの状態になっている。
最初の目的としては、打出の小槌(小人族以外は使えない)を盗む事を企んではいたものの、これだけの傷を負わされた状態では例え小人であろうとまともに戦えば力の弱い正邪では簡単に倒されてしまう。
それがわかっているのもあり、城内の廊下の壁に背中を預け、息を整えながら、スカートの端を千切って紐状の布にすると、それを左腕の切り傷の上で固く結んで止血しようとする。
体の大きさが全てではないといういい勉強になるわね・・・・・?
(ボロボロになっても尚、何とか逃げ続けながら息を整え、止血を試みる正邪にどこかからか語りかける声が聞こえてくる・・・・・
語りかけてくる声が発する言葉は、正に今の正邪の状況を表すような言葉であり、こういう状況下においては、体が小さい者の方が有利に立てるという証明でもある・・・・・)
正邪
「………!!?
くそッ!こんなところまで……!!
…………って、ん?」
声が聞こえて来ると、まさかこんなところにまで鬼の連中が追いかけて来たのかと思い、口で止血するために用意した紐を固く締めながら、慌てて声のした方に向かって右手を翳す。だが、そこにあったのは鬼の頭でも胸でも無く、思わず頭の上に疑問符が浮かぶ。
どこを見ているの?こっちよこっち・・・・・
(どこに声の主がいるのかわからずに疑問符が浮かんでいる正邪に再び声がかけられる・・・・・
その声はよく聞くと、正邪の足元辺りから聞こえてきている・・・・・
鬼の連中ではないのと同時に、味方かどうかもまだわからずに・・・・・)
正邪
「……!?
小人……?その身なりは……もしかして、小人の姫か?」
これまで自分よりも大柄な者ばかりを見てきた事もあり、足下から声が聞こえ、そこを見ると、自分の膝下ぐらいの大きさの小人の姿が目に入る。
噂ではいかなる願いをも振るだけで叶う"打出の小槌"を守る小人がいると言うことは聞いていたものの、実際には見たことが無かったため半信半疑ではあったため、いざ目の前にして驚く。
しかも、細かい刺繍が施された赤い和服を着ている事から、もしや噂にあった小人の姫なのではないかと思い、聞いてみる。
そ、そうだけど・・・・・
(そう言うと「あなたは鬼、かしら・・・・・?にしても無様ね?鬼の癖してそんなにボロボロだなんて・・・・・で?そんなボロボロになりながらこんなところまで来るなんて、一体何の用かしら・・・・・?」と、自分よりも大きな相手を見上げる形ではあるものの、見下す言葉を放って・・・・・)
正邪
「……お前が小人族の姫であるのなら……もしや、此処には"打出の小槌"が封印されていると言うのも本当なのか……?」
正邪はまさか本当に打出の小槌があるのかと思い、その興奮と期待のあまり、自己紹介をしたり、敬語で話す事を忘れて打出の小槌も本当にあるのかと問いかける。
正邪の口ぶりから鬼であるにも関わらず、ボロボロになってまで、小人族にしか使えないものの、あらゆる願いを叶えるとされる宝具である"打出の小槌"を求めて此処まで来たのだと言うことがわかる。
・・・・・打出の小槌を使って何をするつもり・・・・・?
(会ったばかりで自己紹介も敬語も使うのを忘れるほどに打出の小槌についての話題に対して興味津々となると、今目の前にいる相手の目的が打出の小槌を手にするということだとわかり、打出の小槌を使って何をするつもりなのかと問う・・・・・
しかも鬼が使うとなれば、偏見にはなってしまうものの、あまりいいイメージは浮かばない・・・・・)
正邪
「…………なるほど、どうやら噂は全て本当のようだな……!私は下克上のためならば手段は選ばない!打出の小槌を頂いて行くぞ!!」
正邪は針妙丸の問いに応えること無く、ボロボロの体の何処にそんな力があるのか疑問になるほど俊敏に動き、輝針城の中でも一番魔力濃度の高い城の天守閣に向かって脇目も振らずに駆け出して行く。
名前も素性も不明のままだが、この小鬼の目的は打出の小槌を用いた"下克上"を企んでいるのだと言うことだけはその言動から推察できる。
えっ!?ちょっ、ちょっと待ちなさいっ・・・・・!?
(まさかあんなボロボロなのにこんなにも俊敏に動くことができるとは思っていなかったのか、突然の出来事に思わず焦った表情になって待ちなさいと言う・・・・・
そして「そんなボロボロの体で無茶したら怪我するわよー!」と忠告する・・・・・)
正邪
「はぁ……はぁ……ここ……か………!!」
《バキャッ》
小槌が封じられていた扉を蹴破り、元々の正邪が持つ妖力が弱かった事から、小槌を封じている結界や御札の影響もあまり受けずに木箱の中に封じられていた小槌を取り出す。
だが、妖力が弱く、結界による阻害効果を受けにくいとはいえ、妖怪であることには変わりがないため、伸ばした正邪の右手には激しい激痛が走り、焼けるものの、それを意にも介さずに手に取る。
正邪
「これがあれば……遂に……遂に私の悲願が叶う!!
私の望みは……誰にも負けないぐらいの力をよこせ!!!」
正邪は一心に秘めた願い込めて小槌を振り下ろす……だが、正邪は打出の小槌が小人にしか使うことが出来ないという事を知らなかったため、思わず「……………は?」と呟き、振り下ろした姿勢のまま思わず動きが固まってしまう。
あら、どうしたのかしら?納得が行くまでいくらでも振り下ろし続けてもいいのよ?
(正邪を追ってきた針妙丸は、ぽかんとした正邪に対して納得が行くまでいくらでも振り下ろし続けてもいいと言う・・・・・
小人にしか使えないという事実を知らない正邪と、その事実を知っている針妙丸・・・・・
知らない側の正邪からすれば、傷つきながら命をかけてまで頑張ってここまで苦労してきたのに使うことが出来ないとなれば、この上ない屈辱と悔しさでいっぱいになるだろう・・・・・)
正邪
「嘘だろ……?此処まで来て……いや、これは偽物だな!?本物は何処にある!!?」
正邪は右目が潰れてしまっているため、左目が大きく見開き、小槌を何度も何度も振り下ろし続けるものの、やはり何の変化もなく、封印を強引に破壊した代償として焼け爛れた右手で小槌を凝視している中、後ろから針妙丸の声が聞こえた瞬間慌てて振り替える。
小槌からは強い魔力を感じるため、これが本物であると言うのは紛れもない事実だと正邪は気付いているものの、それを認められずに、針妙丸の方に向かって歩きながら、本物を出せと催促する……
あら、本物はどこか、あなただってもうわかっているんじゃない?
(本物だと気づいていながらも自分には使えないという事実を認めたくないあまりに、この打出の小槌は偽物だ、本物はどこだと迫り来る正邪を見れば、ニヤニヤしながら上記を言う・・・・・
段々心のどこかでからかうのが楽しくなっていた・・・・・)
正邪
「……………………。
……………ちッ!もうどうにでもなりやがれ……!」
正邪は手にした小槌と針妙丸の顔を交互に数回見ると、強く歯軋りをして手にした小槌を床に置き、床に座り込んで後はもう処刑するなり尋問するなり好きにしろと、半ば自棄になる。
既に残っていた体力も使いきった。
右目が潰れ、左腕もまともに動かせず、右腕も封印解除の代償として炭のように焼け焦げてしまっており、満身創痍の自分では小人相手にももうまともに対抗できないと諦めている。
・・・・・哀れね・・・・・種族的には力もありそうなものなのに、打出の小槌目当てに振り回された挙句、目的の物は自分は使えないだなんてね・・・・・
(煮るなり焼くなり好きにしろと言わんばかりの正邪を見れば、打出の小槌目当てにここまでやっとの思いで来たのに結局は自分に打出の小槌は使えないことを知れば、諦めて死を待つのみとなる・・・・・
本来ならば体格差でいえば有利に立てそうなのに、哀れだと思いながら呟く・・・・・)
正邪
「種族的に力がありそうだと?
……なにか勘違いをしているみたいだから言うが、私は"天邪鬼"だぞ?」
正邪は自分を見て"種族的に力がありそう"だと言う針妙丸を怪訝そうに見ながら、右手を自分の平らな胸に当てて自分は天邪鬼だと教える。
妖怪の端くれと言うことで素の身体能力は一般的な人間よりも幾らか上であるものの、妖怪退治を生業とする人間のように霊力や退魔術が使えない事から、生まれついて力の差が大きい他の妖怪よりも遥かに弱い。
あら、てっきり強い鬼の子供かと思ったわ、弱い割には随分と元気じゃない・・・・・
(ここまで来る最中にボロボロになって本来ならばかなりの重症である正邪が、まだかなり体力的には元気そうにしていることからそこそこ強い鬼の子供とでも思っていたらしく、天邪鬼と知ればきょとんとしながら言う・・・・・
そして「で?打出の小槌を求めた理由は何かしら?」と、本題に入る・・・・・)
正邪
「ふん、あんな化物連中と一緒にするな。アイツらみたいに強いなら最初から道具に頼ろうとなんかしない。生憎しぶとさにだけは自信があるんだ。」
ボロボロになり、最早抵抗するつもりも無い正邪は畳の上に寝そべると、皮肉を込めて自分の弱さやしぶとさについて話す。
正邪
「理由……か………。
小人族とは言え、高貴な身分の奴に私のような下民の考えがわかる訳もないと思うが……これが最後の語りになるのなら構わないか。」
正邪
「……私達天邪鬼は……いや、力の弱い妖怪は強い妖怪には敵わない。
力が強い者の気紛れ一つでその命さえ奪われる。人間のように弱者でも庇護されると言うような恵まれた環境なんかは存在しない……」
正邪
「天邪鬼は天邪鬼らしく?弱者は弱者らしく?
そんなものクソくらえだ!そんなものが世の理だと言うのならそんなものぶっ壊してやる!!!」
ゆっくりと天井に向けて右手を伸ばし、この世の理をもぶっ壊すと言うと同時に右手を強く握り締めて拳を作り、小槌の力を手に入れた暁には格上の者達をも打ち砕いてやるつもりであったのだと示す。
これこそが正邪の野望であり、そこに偽りは無い。
・・・・・なるほどねぇ・・・・・結局は力を求め、力に踊らされ、力を得られず破滅する・・・・・虚しくならない?
(結局は力ある者に対抗するために力を求め、力を得られずに破滅するか・・・・・
もしくは、力ない者が力を手に入れたところで今度は今までの復讐と言わんばかりに力に溺れ力を振るうか・・・・・
どちらに転んでも結果的には哀れでしかないと返す・・・・・)
正邪
「……踊らされるほどの力もねぇよ。
それに、虚しいだなんちゃ私は思っていない。自分の信念を貫き通し、消えるんだったら本望だ。」
正邪は寝返りを打つように針妙丸に背を向けて自分は自分のやりたい事をやって終われるのだからそれで本望だと応える。それが天邪鬼らしい嘘であるのか、それとも本心から来ているのか……その真偽については正邪の表情を見られなくなったため、わからない。
正邪
「……お喋りは終わりだ、やるんだったら、さっさとやれよ。」
・・・・・それじゃあ、遠慮なく・・・・・
(もう自分はダメだと思い死を覚悟した正邪に対して、針妙丸はとどめを刺すかのような言葉を突きつける・・・・・
正邪の脳裏によぎるのは、ここまで来て結局は死に場所を時間をかけて求めるという結果になってしまった後戻りできない後悔か、それとも・・・・・)
【正邪の回想】
鬼1
「嘘つきの天邪鬼が!!」
鬼2
「平気で嘘を付き続ける鬼の恥晒しめ!お前などさっさと出ていけ!!」
死が目の前に迫る正邪の脳内には過去の記憶が蘇る。
正邪は様々な村や集落をさ迷って来たが、どこに行っても待ち受けているのは蔑みと暴力の嵐……弱者を受け入れてくれるところなんかなかった。苦痛と屈辱のみが正邪に取り巻いて来た。
正邪
「………けっ!私だって好きで嘘ばかりついている訳じゃない。嘘をつかなくても生きていけるような世界なら……私だって嘘なんかつかない。弱い奴は嘘をつかないと生きていけない……強い奴らはそれがわからない、わかろうとさえしない……」
生傷が絶えない日常、怒りと憎しみだけを原動力とし、天邪鬼としての元々の性質もあったものの、物心が付いた頃から繰り返される苦痛に支配された日常を送る中、より歪んでしまった……
正邪
「こんな世界……全部ぶっ壊してやる!!!」
世界への復讐を誓ったのは何時だっただろうか?
始まりを覚えてはいないものの、自分には親も兄弟も居ない。
一人で生き、一人で戦い、一人で悩んで来た。
なら……一人で消えていくのも道理なのだろう。
悔いが無いかと言われれば、悔いしか無いが、それでも自分の信念を持って消え去れるのであればそれも悪くないと言ったのは本心だ。
・・・・・
(死を覚悟した正邪に対して、針妙丸は打出の小槌を使ってその体中に負ってしまった傷を治してゆく・・・・・
打出の小槌を使うなら、こういう時にこそこういうことに使うべきであると判断したのか、何の迷いもなく正邪の傷を治すために打出の小槌を使う・・・・・)
正邪
「あー……クソッ……つまんねー人生だった………って、あ?痛くねぇ!?それどころかこれは………」
自分の何の意味もない、復讐と屈辱に満ちた人生に対する愚痴を言いながら終わりの時を待っていたものの、これまで見えなかった右目が見えるようになり、更に左腕も自由に動かせる上に、これまで片時も治まることが無かった全身の痛みさえも消えていくのを感じ取ると、困惑する。
正邪
「……何のつもりかは知らないが、感謝なんかしないぞ!」
体が動くのならば寝転がっている必要など無い。
勢い良く起き上がり、左手を床に付けたまま、右手を自由にし、少し屈んだ姿勢で針妙丸を見てはその真意を測ろうとする。
万全に動けるのなら、例え再び小槌によって攻撃されそうになっても一目散に逃げ出して魔力が発動する前に城から逃走する事が出来るだろう。
一体何を企んでいるんだ?
何の力も無い盗人である自分を生かす事にメリットがあるようには思えないが、それでもわざわざ小槌の力を使ってまでも治した以上、何か裏があるのではないかと考えてしまっており、素直に感謝の言葉も出てこない辺り、彼女が歩んできた世界の過酷さの片鱗が見られる……
感謝なんてしてくれなくて結構よ、私の好き勝手でやったことだから・・・・・
(そう言うと「言っておくわ・・・・・復讐心に取り憑かれていたら、いくら傷が治ったところで、また同じことの繰り返しよ・・・・・?」と、正邪が復讐の鬼と化すのもわからなくはないものの、このまま復讐心に取り憑かれたままでは、また傷だらけになって同じ目に遭うと忠告をする・・・・・)
正邪
「…………………。
……鬼人正者、それが私の名前だ。」
見返りを求めず、小槌によって追撃を仕掛ける様子もない針妙丸を見て、少しは恩を感じているからなのか、先ほどは自己紹介前に小槌のある場所へ向かったため、不明になっていた自分の名前について教える。
あら、いきなり自己紹介なんてしてどうしたのよ?さっきとは打って変わってって感じじゃない・・・・・
(まさかこのタイミングで相手側から名乗り出るとは思ったていなかったのか、針妙丸は少し驚くものの表情には出さずに上記を言う・・・・・
そして「珍しい名前ね・・・・・」と小声でボソッと呟いて)
正邪
「……一応命の恩人だからな、それに自己紹介がまだだったからしただけだ。」
正邪はそっぽを向いて自分はあくまでも先程聞かれた時に応えられなかったのもあり、特に深い意味は無いと応えるものの、その心の内には相手に対する感謝の気持ちが込められている。
・・・・・私は当然のことをしたまでよ、体が動かしづらいとかまだ痛むところがある、とかないかしら?
(さっきまでの完全に自分を敵対者として見ていた時の正邪とは違い、自分に心を許し始めているというのが目に見える形でわかるのは、やはりちょっと嬉しい・・・・・
そして「もうわかっているとは思うけど、この打出の小槌は、他の種族には使えない代物なのよ・・・・・」と、改めて説明し)
正邪
「……いや、どこも痛くない、もう大丈夫だ……」
正邪
「(待てよ……?小槌が小人しか使えないと言うのは本当のようだが、これは上手くやれば私の思う通りに下克上を果たせるかもしれないな……!!)」
正邪は自分はもう大丈夫だと応えてゆっくりと立ち上がり、手足を適当に動かしながら、針妙丸を、ひいては小槌の自分の思うがままに使えるようにするための悪巧みをし始める。
正邪
「姫!これまでの非礼をお許しください……!
見ず知らずの盗人であるにも関わらず私の命を助けてくれた事に感謝します……!もし、その小槌が噂に違わぬ力を持っているのであれば……私達のような弱者が見捨てられない世界を作り上げることが出来そうです……!!」
正邪は自分の膝下ぐらいの大きさしかない相手に目線を少しでも合わせようと跪くと、これまでの横暴な態度から一変して謝罪と感謝の言葉を口にする。
な、何よ急に・・・・・気味が悪いわね・・・・・
(急にさっきまでとは完全に真逆とも言えるほどに変わった態度に、気味の悪さを感じながら上記を言う・・・・・
そして「何を企んでいるのかしら?」と、正邪の本心を探ろうとし始めるが、そうそう簡単にボロを出すほど、正邪も頭が弱くはない・・・・・)
正邪
「死の縁に立たされ、助けられた私は考えてみたのですよ……
このお方ならきっと弱者救済に協力して下さると……!」
正邪は自分の胸に右手を当てて、針妙丸に心の底から感謝しており、死の縁からの復活によって心持ちが変わったのだというように、いかにもありそうな話を口にする。
正邪
「……姫は御存知ですか?外の世界では私のような天邪鬼だけでなく、小人達も強者達に虐げられ、屈辱と苦痛の中に封じられてしまっているのです……私はそういった弱者が強者による支配を打ち砕いて自分らしく生きられる、そんな世界にしたいのです!!噂に違わぬその小槌の力があればそれも現実に出来るのです!!」
正邪は弱い者がどれだけ虐げられているのか、苦しい立場にあるのかを語る……数多の嘘で塗り固められてはいるものの、その全てがまったくの嘘と言うわけではなく、正邪の願いは強者の支配する世界を破壊すること、その一点だけは事実であり、強い意思が見える瞳で相手を見る。
・・・・・なるほど・・・・・わかったわ、そういうこととあらば協力しましょう・・・・・
(すべてが嘘ではないものの、どちらかと言えば嘘の割合の方が多い正邪の真剣な表情と語られる話に、針妙丸は正邪が本当に今まで苦労してきたのだろうと、しかも小人達までもが苦労しているのに自分がここでこうして何もしないままではいけないと思い、正邪の言葉を信じて協力することを約束する・・・・・)
正邪
「協力感謝します………!!」
正邪
「(もし、噂が本当なら……この小槌の代償は……いや、こんな事を教えて計画を始動前に潰す訳にはいかない。私はこのまま下克上を成し遂げて見せるぞ……!!)」
協力してくれると言う針妙丸に対して正邪頭を下げて感謝する。
だが……一寸法師の末裔が何故、人間のいない鬼の住まうこの世界に封じられてしまったのか……その小槌の力の代償については教えず、異変を引き起こすための策略を練り上げていく……
にしても驚いたわ・・・・・まさか、小人達までもがそんなことになっていたとはね・・・・・
(正邪の言葉が真実だと信じた上で、針妙丸は小人達までもがそんなことになっていたとは知らずに驚いたと言う・・・・・
そして「そういえば、あなたは小人達とは親しい仲だったりするの・・・・・?」と、何となく質問を投げかけてみる・・・・・
やはり話を聞いた限り、色々と聞いてみたいのだろう・・・・・)
正邪
「月日の経過と共に弱者が強者に支配されていると言う体制はより磐石なものとなってしまうのです。」
良くも悪くも多くの者は現状を不変のものと考えるようになってしまう。
その不変をかえようとすれば多くの犠牲が生じることになり、それを恐れて力無き弱者達は立ち上がり、反抗することさえ諦めてしまう……
正邪
「勿論です、何度か共に立ち上がろうと声をかけた事もあったのですが……ご覧の通り、誰一人着いて来るものは居ませんでした……」
これまで正邪は様々な弱者と呼ばれる者達と接触して協力しようとした……だが、その者達はその多くが強者に逆らっても勝てない、無駄に潰されるぐらいなら大人しく従っていた方が良いと考えている者ばかりであり、ごく少数の者が共に立ち上がった事もあったものの、強者の力を前に直ぐに団結力や覚悟が砕け、バラバラになってしまった。
そんな皮肉を込めて正邪は右手を横に広げて自分以外は誰も居ないと言うことをジェスチャーで表現する。
・・・・・そう・・・・・
(そう言うと「でも、こうしてあなただけでもここまで来てくれたことで、今まで私が知る由もなかった現状が色々とわかったわ、感謝するわ・・・・・」と、弱い者達の為に瀕死になりながらもここまで来てくれた正邪に対して、感謝の言葉を述べる・・・・・
正邪の計画に利用されているとも知らずに・・・・・)
正邪
「………!?」
天邪鬼は人間からも妖怪からも嫌われる。
「嘘つき」「卑怯者」そんな言葉ばかりをかけられ、正邪もまたそんな自分で良いと開き直り、これからも罵り言葉と共に生きて行くのだと思っていたため、不意にかけられた針妙丸の労うような言葉を聞いて思わず素で驚く。
正邪
「……ありがとうございます。では、早速計画について練りましょうか。」
正邪は針妙丸を利用している、自分の計画のために……
だが、正邪の中ではほんの少しだけだが、揺らぎが生じ始めている。
そうね・・・・・強い奴らの陣営は大体どんな感じなの?
(正邪の話を断片的に聞いただけなので、まだ敵側のしっかりとした概要は掴めておらず、早速計画について練ろうという正邪の言葉を聞けば、敵陣営はどんな感じの構成なのかを聞く・・・・・
協力する以上、敵側のこともある程度知っておかなければ、計画が上手くいかないことを想定してのことである)
正邪
「はい、いきなり全世界に宣戦布告しても勝機は無いので、まずはわれわれの賛同者を集め、数でも対抗できるようにするため、最初に幻想郷と言う結界に覆われた場所を制圧しましょう!」
正邪
「幻想郷における我々の敵は沢山います。
紅い館の吸血鬼、妖怪の山の軍団と神々、竹林の月人、向日葵畑の妖……ですがその中でも幻想郷を管理している"賢者"と呼ばれる者達……その代表格であり、幻想郷最強の大妖共に言われている"八雲紫"。」
正邪
「あの鬼ですら勝てないと言われている存在ですが……その小槌が秘めた魔力を解き放てば、充分に勝機はあります!!」
正邪は目を輝かせ、身振り手振りも交えて自分が練った計画について説明する。今、輝針城が存在している"鬼の住まう世界"ではなく、この世界よりも弱者と呼ばれる存在が多数存在していると思われる"幻想郷"にて革命の一歩を引き起こそうと話す。
・・・・・制圧、ねぇ・・・・・
(そう言うと「あなたの気持ちはわかるけど、制圧という言葉の響きは、あなたが言う強者が弱者を支配するやり方にも思えて、いいイメージはわかないわね・・・・・」と言う・・・・・
どんな理由があれ、制圧というやり方は正邪の言う強者が弱者を支配するやり方とそう大差ないと思っているのだろう・・・・・)
正邪
「おっと、これは失礼。我々の目的は"解放"でしたね。」
右手を自分の頭の後ろに当てて、失言した事について苦笑いしながら謝罪して制圧ではなく解放と言い換えて応える。
・・・・・で、どうやって攻める・・・・・?計画が相手側に気づかれては元も子もない・・・・・
(正邪が言い換えたのを聞き、納得するとどうやって攻めるかを聞く・・・・・
一応、いくつかの策もこちら側では考えてはあるものの、まずは正邪の攻めに対する策を聞こうと思い、正邪には策はあるのかとうかを尋ねてみる・・・・・)
正邪
「まずは相手の出方を探るためにも……一度幻想郷を偵察して来ませんか?奴ら強者は我々の事など気にもしていないでしょうし、我々と同じ弱者を見付けて手を組めるかもしれません。」
どう攻めるのかと問う針妙丸の言葉を聞いて少し考えた末、いきなり幻想郷に宣戦布告しても何処を攻め落とせば良いのかや、何処に強者や弱者が集まっているのかを把握しておいた方が良いと考え付き、具体的な策を練る前に下見をして情報を集めておかないかと聞いてみる。
かく言う自分も生き残るので精一杯で、とても様子を見れるほどではなかったものの、小槌の魔力があれば余裕を持って偵察が出来るようになると考えている。
なるひど・・・・・確かに事前に知っておいた方がいいわね・・・・・
(正邪の言葉を聞けば、確かに事前にある程度の幻想郷についてのことを知っておけば、何も知らずに赴くよりも全然いい・・・・・
そして「強者の中にも、もしかしたら協力してくれる誰かがいるかもしれないわよ?あなたがいいイメージを持っていないだけで・・・・・」と、もしかしたら協力してくれる強者もいるかもしれないと言い)
正邪
「……いえ、強者と呼ばれる連中は弱者の事なんか見向きもしませんよ。奴らは持って生まれた力の強さを使って弱者を押さえ付ける最低な奴らばかりなのですから……」
強者は生まれつき持っていた強い力を使って弱者を虐げ、押さえ付ける連中しかいない。これは正邪がこれまでの人生の中で見てきた強者と呼ばれる者達が総じてこのような性格であった事からこの言葉に嘘はない……
「さあ、姫。幻想郷へ案内しますよ」
正邪はゆっくりと針妙丸に向けて右手を差し出して彼女を自分の左肩に乗せて幻想郷まで案内しようと声をかけてみる。
・・・・・その前に、一つ質問してもいいかしら・・・・・?
(今まで歩んできた人生が人生だからなのか、正邪は強者は全員敵とみなしている・・・・・
これはもう仕方の無いことだが、幻想郷へ案内するという正邪の言葉を聞けば、その前に一つ質問をしてもいいかと問いかけてみる・・・・・)
正邪
「……?はい、構いませんが……?」
手を差し伸べ、世界に対する激しい憎悪と害意を内包した本性を隠すかのように優しげな、だか決して慈愛や博愛の感じられない仮面のような笑みを浮かべたまま何を聞いてみたいのかと思い、そう応える。
もし私がその「強者」だったらどうするの・・・・・?
(自身の体がズタズタのボロボロになってでもここまで打出の小槌を求めてやってきた正邪の目的は、針妙丸が把握している限りでは強者への反乱及び弱者の救済・・・・・
しかし、正邪の今までの人生をめちゃくちゃにしてきた強者、種族問わず力を持つ者を憎む正邪に、今正邪が助けを求めている、まさに今目の前にいる自分も、針妙丸も力を持つ者、強者の一人だったならどうするのかと問いかける・・・・・)
正邪
「あっはっはっはっはっ!何を言い出すのかと思いきや……その小槌があるのなら確かに強者に近付けるかもしれませんね?」
正邪は自分の左膝をバンバンと叩いてとても楽しそうに笑いながら、確かに小槌の力があれば強者になる事が出来るだろう。だが、それはあくまでも小槌があって始めて意味を成すものであり、本当の生まれついての強者とは根本からして異なる。
その最たる証拠として、瀕死だった自分の傷を治し、共に協力する事を約束した……正邪のよく知る強者達は、最初から自分の事などまともに見ようともせずに一方的に悪と見なし、暴力を振るい、追い出すと言った者達しかいなかった……
正邪
「それともまさか……いざ強者達と戦うとなって怖じ気づいたのですか?」
そんな中、針妙丸の問いから、まさかいざ戦う瞬間が近付いて来たことから、早くも戦意を失ってしまい、自分を止めるために敢えて今の問いをしたのかと考え、怖じ気づいてしまったのかと聞いてみる。
そうじゃないわ・・・・・もし私が打出の小槌を使わなくても元々強者と同等の力を持っていたら、ってことよ・・・・・
(正邪は打出の小槌含めて強者に近い力を持てるという考えだが、針妙丸は正邪の言葉に対してそうじゃない、打出の小槌も持ちながら元々正邪の言う強者と同等の力を持っていたとしたら、どうするのかと改めて問いかける・・・・・
つまりは、正邪は今協力している自分がもし打出の小槌が無くても強者だった場合はどうするのか、ということである・・・・・)
正邪
「それなら、私は今こうして生きてはいませんよ。
強者と呼ばれる連中は私達弱者の事なんか一切考えない。だからこそ平気で踏みつけに出来るんですよ。」
正邪がこれまで見てきた強者達について察することが出来るような言葉を口にする。それはまるで、足元を這う一匹の蟻について誰も気にしないように、強者にとって弱者など気に掛ける必要どころか、視界にすら入らず、気に掛けると言う段階にすらそもそも至らないということだろう。
力の弱い天邪鬼であると言うことを知った上で自分の話を聞き、同意した相手がそれらの強者と同じであるとは思えず、また邂逅した際に感じられた力も自分と大差無かった事から同じ弱者であり、だからこそ自分達と同じ弱者のために立ち上がれるのだと考えている。
・・・・・そうね、その通り・・・・・
(恐らくはこれ以上言ったとしても正邪の長きに渡る踏み躙られ続けてきた人生経験が、正邪の強者に対する見方を変えることを許さない、言わば呪縛のようになっているのだろう・・・・・
なのでこれ以上は強者の協力ももしかしたら得られるかもしれない、という言及はしないようにする・・・・・)
正邪
「さあ、そろそろ行きましょうか?」
自分を散々迫害し、虐げて来た者達への憎悪が、世界に対する復讐心が、積年の経験から得た固定化した偏見となり、諦めたり退くと言う選択肢を自らを消してしまっている。
だが、針妙丸に向けて右手を差し出した正邪には明確な未来が見えていない。強者と弱者の関係が反転し、強者が飽和する世界、歪ながらもある程度の秩序を成していた理が崩壊した後の世界で"与える事"も"守る事"も知らない正邪が何を成せるのだろうか……
・・・・・もう一つ、聞いてもいいかしら・・・・・?
(弱者が生きやすい世界に・・・・・その芯の部分だけは確かに本物ではあるものの、今の正邪には自分達弱者が行きやすい世界になった後のその後が全く見えていない・・・・・
もし弱者が強者と同じようなことをして、他の者が住みづらい世界になった場合はどうするのだろうか・・・・・)
正邪
「…………はい?
まだ何か聞きたいことでも……?」
正邪は相変わらずの貼り付けたような笑みを浮かべて手を伸ばしたままで首だけを少し傾げてまだ何か聞きたいのかと不思議そうに応える……
正邪自身も自分が空っぽな、下手すればただのテロリスト……いや、破滅願望を抱く狂人のようであると言うことがわかっている……だが、それを誰かに話したり、伝える事はないだろう。
・・・・・もし、あなた達弱者側の誰かがもっと力のない者を・・・・・あなた達から見ても弱いほどの弱者を虐げるようなことがあったら、あなたはどうするの・・・・・?
(核心に迫ろうとしたのか、正邪の顔を見ながら真剣な表情で、正邪の考えを実行に移して弱者の生きやすい世界を作り上げたとして、もしまた同じようなことが起きたとしたら、どうするつもりなのかと聞く・・・・・
正邪の考えを否定するわけじゃない、ただ、あまりにも後先考えて行動しているようには見えない・・・・・)
正邪
「…………!!」
正邪
「……これまで散々我々弱者を虐げて来た奴らに情けなんて必要ないですよ。見下していた弱者に見下されると言うまさに因果応報を体現するようなものなのですからね……!!!」
正邪は針妙丸の問いを聞いて目を見開いて驚くと、少しの間沈黙した後で強者が力を失い、弱者へ転落する事を"因果応報"と呼んで当然の結末であると語る。
正邪
「さあ、そんな事よりも偵察に参りましょう。善は急げと言うやつです!」
正邪は針妙丸が乗るようにと手を伸ばしていたものの、話を中断させようと考えた事で待つのを止めて彼女を自分の左肩に乗せようとする。
・・・・・わかったわ・・・・・
(どんな言葉をぶつけても、恐らく正邪の信念は揺らがない・・・・・
今までの人生経験が、正邪の心身に復讐というものを植え付けてしまったのは仕方の無いようにも思えるが、正邪がしようとしていることが強者と何ら変わりないと思えるのもまた事実・・・・・
しかし、針妙丸は承諾してしまう・・・・・)
正邪
「しかし不思議なものですね?元々は鬼の持ち物であったにも関わらず小人しか使えないと言うのは。」
城の外に向かって歩き出しながら、両手を組んで少しだけ思考に耽る。
打出の小槌は噂や伝承の通りであるのなら、元々は鬼が所持していた宝具であったにも関わらず、端くれであるものの、鬼である自分がまったく使えず、その反面、小人の針妙丸は自在に使える事に少し不思議に思いそう呟く。
色々とあるのよ、こっちにも・・・・・
(そう言うと「何なら、話を聞く・・・・・?」と、正邪の気を紛らわせようもしているのか、打出の小槌についての話をしようとする・・・・・
この話で復讐心が薄れるとは思ってはいないが・・・・・)
正邪
「ええ、是非ともお願いします。」
一寸法師の伝承や噂についてはそれほど詳しい訳じゃない。
小人が鬼を倒してどんな願いも叶う打出の小槌を手に入れたと言う事とその"代償"についてしか知らない。
そろそろ城の外へ通じる扉へ辿り着ける。
だが、不思議にも彼女は"小人の姫"であるにも関わらず、他の小人がだれも居らず、どれだけ城の中を歩いていても誰とも出会うことが無かった……
昔、一寸法師が鬼を退治した際に打出の小槌を手に入れた際、一寸法師は大きな体を手に入れて、その後姫と幸せになったのだけれど、打出の小槌はその行いを正しいと判断したのか、主は一寸法師もとい一寸法師の一族であると判断したらしいわ、だから主以外の願いを叶えることは今後ない、って話を耳にしたことはあるわ・・・・・それ以前に鬼が使っていた時は、打出の小槌は鬼に無理矢理使われていただけだったのかもね・・・・・
(打出の小槌は元々は鬼の物だが、正しい行いをした一寸法師及びその一族を主とみなしたと、針妙丸は語る・・・・・
つまり、それ以前に鬼が使っていた時は、無理矢理従わされて願いを叶えていた、ということになるのだろうか・・・・・
打出の小槌は生き物ではないが、正しい行いをする者=主とみなすように作られた代物なのかもしれない・・・・・)
正邪
71:◆3.:2020/12/26(土) 21:23 正邪
「……なるほどまさに我々、虐げられし弱者によるレジスタンスを成し遂げるに相応しい宝具だ……!」
正邪は針妙丸による打出の小槌の伝承において、弱き者が強き者への逆転を引き起こすと言う自身の考えとも合致する事から自分達レジスタンスに相応しいと応える。
正邪
「さあ……姫。
この扉の先が幻想郷へ繋がると強く念じて打出の小槌を振って下さい……その存在は知らなくとも、願えばその小槌は叶えてくれるでしょう……!!」
正邪は正面入口近くの扉にまで辿り着くと、扉に触れ、針妙丸に打出の小槌の魔力を使ってこの扉を鬼の世界から幻想郷へ繋げるようにと言う。
・・・・・わ、わかったわ・・・・・
(目を閉じ、打出の小槌を両手で持てば扉へ向けて強く念じ始める・・・・・
もうこうなったら、正邪にとことん協力するしかない・・・・・
が、ただただ正邪の復讐を成し遂げさせるつもりもない・・・・・)
扉の先よ・・・・・幻想郷へ通じなさい!!!!!
(そうは言うものの、特に扉に変化が起こるわけでもない・・・・・
果たして扉の先は、幻想郷につながっているのだろうか・・・・・)
正邪
「さあ、それじゃあ開けますよ……!」
正邪は針妙丸が打出の小槌の魔力を扉に宿らせたのを感じ取ると、両手で扉を開き、何処までも広がる綺麗な青空と、鬱蒼と木々の生い茂る幻自然豊かな幻想郷の光景が広がっている。
針妙丸が住んでいた城や、その城から見える光景のどれよりも綺麗で平穏な世界であるものの、空虚な復讐に取りつかれた正邪はその美しい光景を心から憎んでいるようで、強く睨んでいる……
・・・・・どうやら上手くいったようね・・・・・なんて綺麗な景色・・・・・
(復讐心に取り憑かれ、幻想郷の美しい景色を素直に楽しむことが出来ない正邪とは対照的に、針妙丸は幻想郷の自然豊かな美しい光景を楽しんでいる・・・・・
正邪の復讐計画をこの一時だけ完全に忘れるほどに・・・・・)
正邪
「………………。」
城の呪縛から解放され感激している針妙丸の言葉を聞いても尚、正邪は何処までも続く広い世界を呪っているように睨んだまま、無言で幻想郷の地を歩き、そのまま城から森の中へ入り、幻想郷の地を歩き始める……
正邪は元々、この広い世界で生きてきた。
だが、その視野は差別と迫害による闇しか見えておらず、世界の全てを転覆させる事を望む程に歪んでしまっている……
同じ光景を見て、同じ反逆者としての地に立ったものの、この頃から既にその見えているものはまるで異なっていた……
下がっていたので、上げときます。後、それからあけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします
77:針妙丸◆gI:2020/12/29(火) 07:04 ・・・・・気持ちはわかるけれど・・・・・少しはこの素晴らしい景色を満喫してもいいんじゃないかしら?
(正邪と針妙丸の価値観はまるで真逆・・・・・
正邪からすればこの森も、正邪の言う強者達が作り住まう一角でしかないのだろう・・・・・
しかし針妙丸からすれば、強者や弱者は関係なくただただ美しい光景なのだ・・・・・)
【匿名さん、上げありがとうございます!!
そしてまだ今年は終わっていないのですが、明けましておめでとうございます!!】
正邪
「………?そんなに珍しい光景ですか……?」
正邪にとっては鬼の世界も幻想郷も、さほど変わらない、自分にとって生き辛く、苦痛と退屈が永遠に続いていく世界であると思っているのもあり、不思議そうに針妙丸の方を向いて問いかける。
今まで見たことがないわ、こんな綺麗な光景・・・・・
(正邪の問いかけに、今までこんなにも綺麗な光景は見たことがないと答える・・・・・
そして、正邪の方を振り向けば、正邪も復讐心なんてものに取りつかれることがなければ、純粋な気持ちでこの光景を見ることが出来たのだろうかと思えば少し切なくなり・・・・・)
正邪
「……………………。
………そうですね、とても綺麗な光景です。」
少しの沈黙の後、目線を周囲に向けた後、再び針妙丸に視線を戻すと笑顔で確かに綺麗な光景だと褒める。だが、その言葉が本心から来ているのかどうかは定かではない……
そして正邪は視線を針妙丸から幻想郷へ移すと、それなりに距離があるものの、人里の喧騒が聞こえて来ることから自分達に近い弱者の立場にある人間達の里がある方向を見て、そこに向かって歩き始める。
ちょちょちょ、ちょっと待ちなさい!?
(針妙丸は里の方へ向かって歩き始める正邪の手を掴んで急いで止める・・・・・
そして「初めての場所なのにいきなり出向いたら何に巻き込まれるかわかったもんじゃないわよ?どうやら揉めているみたいだし・・・・・」と忠告する・・・・・
が、それは針妙丸が自身の小ささと今まで外の世界を知らなかったことから来る恐怖でもある上に、里の人間同士の喧嘩に巻き込まれたところで、どうということはない・・・・・)
正邪
「……それもそうですね。いざとなれば小槌で逃げることも出来るでしょうが……それでも危険な目に会うのは良くはない。それなら……我々も人間に負けることがないぐらいの力を小槌の力を使って持ちましょうか…!」
鬼達による怒声と罵声が絶えない環境で生まれ育った事もあり、人間同士の喧騒等、まるで恐れる必要もなく、殆ど日常のようなものであったため、まるで恐れる事も無かったものの、確かに姫の言う通り何に巻き込まれるのかはわからないし、下手すれば暴動に巻き込まれてしまうかもしれない……
それなら、そのような暴動が怒っても平気なように、小槌の力を使ってまず人間達に敗れる事がないぐらいの力を与えて欲しいと伝える。
・・・・・わかったわ・・・・・
(たとえ打出の小槌によって力を与えることを拒否しても、正邪は強者への復讐を目論んでいる以上、拒否するだけ無意味なことへ加えて、今は協力するしかない状況でもある・・・・・
が、力を与える前に「自分で争いごとに巻き込まれるかもしれないと忠告しておいてあれなんだけど、天邪鬼って種族は人間にも負けるかもしれないほど力がない種族なの・・・・・?」と、いずれ正邪を止めはするが今は協力しなければならないものの、安易に力を与えるのも早計だと思ったのか、天邪鬼は人間にも負けるかもしれないほど力のない種族なのかと問いかける・・・・・)
正邪
「まさか?妖怪退治を生業にしている奴らならまだしも、ただの人間よりかは強い力を持っていますよ。」
人間よりも弱いのかと言う針妙丸の言葉に対して正邪は軽く手を振ってその掌から小さい矢のような光弾を放ち、数m先の木に突き刺し、その力を示す。正邪はまともに弾幕と呼べる量の光弾を撃つことは出来ないものの、妖怪退治を生業としているような者ではない限り敗れることは無いと答える。
正邪
「……ですが、人間は群れで生きています。二人三人と数に差があればそれだけ此方が不利になります。弱い人間は群れになれる。だけど弱い妖怪は群れになれない……それだけの違いですが、それこそが人間の厄介なところです。」
だが、幾ら個としての力があっても、人間の数には勝てない。
妖怪が群れになる事は、かつて鬼が妖怪の山を束ねていた時のように圧倒的な強者が力付くで支配するか、現在の妖怪の山や幻想郷のように何らかの明確かつ明白な利害関係が無ければ成立しない。
だが、人間は違う。強い力による支配が無くとも、各々の利害関係を超えて互いに助け合い、無償で誰かを守ると言った事が出来る唯一の種族だ。
故に数が多く、団結して挑みかかられれば個として幾ら力で上回っていようと意味を成さなくなってしまう……それこそが正邪や多くの妖怪、神々にすら無い人間の強さと言えるのだろう。
・・・・・確かに、それは一理・・・・・いや、百里あるわね・・・・・弱い種族だからこそ他の種族には成し遂げられない進化をした、弱いからこその身についた強さに特化した、ってところかしら・・・・・
(人間よりかは強いが、それは人間が群れではない場合の話・・・・・
今まで鬼の世界で弱者として生きてきた正邪の言葉だからこそ、言葉に詰まった重みが違う・・・・・
ある意味正邪は人間という種族を一番理解しているのかもしれない・・・・・それこそ、人間よりも人間味があるかもしれない・・・・・)
正邪
「だからこそ群を凌ぐ個の力が必要となるのです……!
そして、それを成せるのは打出の小槌を除いて他には無い!
とは言え、今回はあくまでも偵察の安全保障に必要な程度だけで良いでしょう。あまり強い力を持ちすぎると強者共に見付かってしまいますからね。」
右手を振り上げて拳を強く握り、群をも凌ぐ個の力が欲しい、そしてそれを成せるのは打出の小槌だけだと言うと、針妙丸を見ながら、偵察と護身を両立できる程度の強さを与えて欲しいと言う。
・・・・・わかったわ・・・・・
(針妙丸は承諾すると、打出の小槌を正邪へ向けて言葉を呟く・・・・・
「打出の小槌よ、この者に今この時必要な分の力を与えたまえ・・・・・!」
打出の小槌を振り上げ、そして振り下ろす・・・・・)
正邪
「…………!!」
針妙丸により、自身に新たなる力が与えられると、自分の中でも巨大化していく自分自身の力を前に驚くと同時に早速この力を試してみたくなる。
正邪
「はははは!これは凄い!力が何倍にも膨れ上がっていくようだ!!」
試しに、正邪は爪先で足元にあった1m程の大きさの岩を軽々と蹴り上げ、落下してくるタイミングに合わせて突き上げた拳によって岩をバラバラに殴り砕き、岩を砕いた自分の右拳を見て、予想を超える打出の小槌の力を前に感銘を受けている。
・・・・・感動に浸っているところ口を挟むようで悪いけれど、あまり力に溺れすぎてはダメよ・・・・・?
(針妙丸は正邪が打出の小槌によって力を得たら最初に何をするかをだいたいいくつか予想していた・・・・・
その予想の中の一つに、まずは何でもいいから力試しをする、という予想があり見事にそれが的中する・・・・・
そして得た力によって感銘を受けている正邪に対して、針妙丸はあまり力に溺れすぎてはダメだと忠告をする・・・・・)
正邪
「はい……一旦落ち着き……」
妹紅
「……ん?お前ら何をやっているんだ?」
生まれて始めて得た感覚、圧倒的なパワーを手に入れた事で気分が高揚している正邪を静めるように言う針妙丸の言葉を聞いて落ち着こうと深呼吸をする正邪達の前に、大の大人ですら持ち上げることが出来ないだろう大量の炭を右手だけで持ち、左手はモンペのポケットに入れた妹紅が通りすがる。
迷いの竹林の竹で作った炭を里へ売りに向かっていた最中、正邪が岩を砕く音を聞いて不審に思って来たのだが、二人が幻想郷の転覆を企てていることには気付いていない。
正邪
「ッ!!?
ははは!人間か!姫!見ていて下さい!今の私の力を……!!」
妹紅
「…………?
随分と探しい奴だ……なッ!」
《ドゴオッ》
元々人間1人であれば倒せるだけの力がありながら、更に岩をも砕く豪腕を手に入れた自分は無敵の存在であり、それを証明しようと妹紅を両手を一切使わずに自身の体を少しだけ捻って放った回し蹴りの一撃だけで正邪の頭を側面から蹴り付け、そのまま5m先の大木にまで蹴り飛ばして見せる。
《あ、これ早めに止めないとやばいヤツだわ・・・・・》
あ、あのぉ・・・・・
(気まずそうに、申しわけなさそうに妹紅に近づいては「連れが無礼を働き、申し訳ございません・・・・・」と頭を下げる・・・・・
正邪の後先考えずにいきなり力を試そうと襲いかかるのにも驚いたが、何よりもいきなり大量の炭を片手だけで持ち運ぶ妹紅には驚きというか、理解が追いつかない・・・・・)
妹紅
「……ん?ああ、私は気にしていないよ。
妖怪に襲われるのはこの幻想郷ではそう珍しいものでもないしな。」
妹紅は強化された正邪をも一蹴する程の力を持ちながら、元は弱い人間だった事もあり、誰かを特別見下すような事はしておらず、頭を下げる針妙丸に対して自分は何も気にしていないと応える。
蹴り飛ばされた正邪はと言うと、頭が木に激突した影響で完全に気絶して意識を失ってしまっている。
・・・・・この幻想郷では、妖怪に襲われやすいのですか・・・・・?私達、ここへ来たばかりでまだ右も左もわからないものでして・・・・・
(幻想郷へ来れたのはいいものの、針妙丸からすれば右も左もわからない状況であり、しかも連れの正邪は力を与えてしまったことでさっきよりも更に攻撃的になっているようにさえ思えてくる・・・・・
一応保護者としてこの時点でもう針妙丸はかなり疲れている・・・・・)
妹紅
「んー?お前達も妖怪だろう?」
妹紅はのびている正邪を一瞥した後に針妙丸を見て、正邪は頭から小さいものの二本の角があり、針妙丸は妹紅から見ても膝下程の身長しかないため、一目見ただけで二人とも人外の類いである事がわかる。
妹紅
「たまにだが、連れの小鬼みたいに好き勝手暴れまわる奴もいるけど、基本的には平和な場所だよ。平和すぎて腕が鈍りそうになるぐらいにな。」
この幻想郷では時折、幻想郷を揺るがすような大事件や異変が起こったり、小さな小競り合いが起こったりはするものの、他の世界や場所に比べれば遥かに平和な世界であると応える。
妖怪、というか、なんというか・・・・・
(正邪はともかくとして、自分は妖怪の類に含まれるのだろうかと、少し考え始める・・・・・
そして、幻想郷は平和だということを知れば、尚のこと正邪の復讐計画は阻止しなければならないと思ってか、妹紅に「すみませんが、ちょっとお話があります・・・・・」と、正邪の計画について話そうとする・・・・・)
妹紅
「話?長くなるようならまた次にしてくれ。早くこの炭を裁いてしまわないといけないからな。」
針妙丸の話そうとしている内容の重要さを知らず、右手で軽々持ち上げてはいるものの、優に50以上の家庭の炭があり、これを早く売ってしまわないといけないから話が長くなるようならまた次の機会にしてほしいと応える。
わ、わかりました・・・・・
(正邪の性格もかなり好戦的な感じになってきているため、事態は一刻を争う状況とも言えるが、相手には相手の都合がある・・・・・
正邪の計画を食い止めるためには、なるべく早い内に力を持つ者に事情を話す必要があるが、相手側に事情があるとなればと、針妙丸は「では、炭を裁き終わったら、またここへ来てくれますか・・・・・?」と言い)
妹紅
「ああ、それなら構わないよ。」
プリズムリバー楽団の演奏コンサートのチケット代として炭を売って金銭を稼いでいるため、この炭を売ると言う事を止めて話を聞くことは出来ないものの、売り終えた後でなら幾分か時間に余裕があるため、話を聞く程度の事なら可能だと応える。
ありがとうございます・・・・・
(それなら構わないと言葉を返してくれた妹紅に頭を下げお礼を言う・・・・・
そして、炭を売りに行く妹紅を見送ると、未だ妹紅の一撃を受けたままで伸びている正邪のところまで行きおでこをとんとんと叩きながら「いつまでそうやって伸びてるのよ」と声をかけ)