幻想郷の日常メインの場所です。
オリキャラはモブだけで、基本は原作キャラだけでお願いします。
それさえ守れれば、多少のキャラ崩壊や、キャラの経歴等で原作に無い事をしてもOKです!
正邪
「うーん……
……………ど、何処だ!?」
《ガバッ》
妹紅が立ち去り、針妙丸が声をかけること5分、漸く気絶していた正邪は意識を取り戻し、正気に戻ると直ぐに起き上がって周りを見渡し、妹紅は何処にいるのかと探し始めている。
どうやら記憶が飛んでいて自分が一撃でKOされたことには気付いていないため、何処かに潜んでいるのかもしれないと考えている。
あの人なら、あなたがここで伸びきっている間に行っちゃったわよ?
(ようやく意識を取り戻したと同時に妹紅がどこかにまだ潜んでいるかもしれないと警戒する正邪に対して、あの人なら正邪が気絶している間にとっくのとうに言ってしまったと説明する・・・・・
針妙丸的には一撃で正邪が気絶してくれたおかげで大事には至らずに助かっていて)
正邪
「負けたのか!?あれだけの力があったのに!?
そんなバカな………姫!私にもっともっと力を下さい!!!」
漸く見返すことが出来る。漸く差別や迫害の無い、自由で過ごしやすい世界を作れると思っていた矢先、たったの一撃で打ち倒されたと言う現実を前に強い拒絶反応が起こり、針妙丸の両肩を掴んでもっと自分に力を授けてくれと懇願する。
当初の目的であった人間の里の視察や幻想郷の偵察と言う目的は完全に忘れ、ただただ力のみを求め続けている……
ダメよ?
(正邪がもっと力をくれと懇願してきたのに対し、針妙丸は即答でダメだと返す・・・・・
自分の思った通り、正邪はただただ力を求め続けるだけになり始めている・・・・・
このまま力を与え続けたら、今よりもっと自分を見失うに違いないと針妙丸は思っている・・・・・)
正邪
「!!?
何故ですか!?強化された私を一撃で倒すような奴がいては我々の望みは叶いません!我々が倒されたら……いったい誰が弱者のために立ち上がると言うのですか!?」
少し大袈裟なまでの身振り手振りを交えて自分達の理想を叶えるためにも、弱者救済のためにも自分をもっと強化しなければならないのだと熱弁する。
・・・・・それじゃあ、言わせてもらうわ・・・・・私の偏見も混ざってるけど・・・・・
(そう言うと「あなたは力を手に入れた途端自信を持ち始めたのだろうけど、同時に周りが見えていないわ・・・・・言ってること、わかる?」と、もっと力をくれと求めてくる正邪に言葉を放つ・・・・・
妹紅に襲いかかったのも、妹紅ほどの実力者じゃなければ死んでいたかもしれないことを考えると、尚のこと力は与えられない・・・・・)
正邪
「ツッ〜〜〜!!
わかりました……」
確かに力に溺れかけていた事もあり、返す言葉が見付からず、反論しようと開けた口からは何の言葉も出せず、ただ一言だけ了承の言葉を口にするとそのまま大人しく引き下がる。
やはりこの小人は変に機転が効きすぎる。
弱者のために立ち上がるような気概もあまり感じられない……
なら……第二の案を考えておくしかない。この第二案はより強行的で自分の破滅も確実だが、確実にこの幻想郷を破滅させる事が出来るだろう。
やはり、他者は信頼できない。
誰も自分に協力しないと言うのならば……全てを壊してしまえばいい。
どの道、自分は弱者だ、失うものなどなにもかも無い……
まぁまぁ、そんな顔しない、力を与えられない理由はもう一つあってね・・・・・
(針妙丸は何かを思いついたのか、口を開いて上記を述べれば続けて「打出の小槌は一度使うと、3日ほど時間を開けなきゃいけないのよ・・・・・それに、一気に力を与え過ぎると体が耐えられなくなる・・・・・やみくもにやったらあなたの計画だって進まないわよ?」と、思いつきで打出の小槌を使う上での決まりを言い)
正邪
「わかりました……ですが使えるようになったらまずは私の強化をお願いします。」
打出の小槌の使用にクールタイムが必要だと言うことは知らなかったため、再度使えるようになったら自分の強化を一番に行って欲しいと伝える。
えぇ、約束するわ・・・・・
(そう言うと「私は疲れたから少し寝るわ、あなたも今の内に体を休めておきなさい・・・・・」と、近くの草を抜いては一箇所に集めて敷き、ベッドのようにする・・・・・
小人の針妙丸が寝るには丁度くらいの大きさになると、針妙丸は寝そべる・・・・・)さ
正邪
「そうですね……下手に動き回るよりも今日は一旦休みますか……」
今此処で小槌を奪ったところでその力を使うことは出来ない。
もし、完全に針妙丸が離反したり、決別するような事があれば、最後の手段を取らなければならなくなる……この手段は全てを滅茶苦茶にする方法であり、全てを巻き込んだ自滅であるため、この方法を使わないでおきたい。
大人しく針妙丸の言葉に従い、自分は近くにある木の根に周囲の落ち葉や土をかき集めては被せ、軽くクッションのようにすると、そこに座り、背中を木に預けて眠りに入り始める。
【夢の中】
おらおら弱っちぃ天邪鬼がぁっ!!!!!
バチィッ!!!!!
(夢の中・・・・・夢とは思えないほどに鮮明でリアルな過去の屈辱・・・・・
夢の世界に佇む正邪の目の前に広がるのは、小さな正邪が強者に体にムチを叩きつけられながら強制労働させられている過去の恐怖・・・・・
強者の顔は黒い霧のようなもので隠れ、弱者を虐げることに快感を感じている時のいやらしい口元だけが見えている・・・・・)
正邪
「(……また……この夢か……)」
おそらく、これは自分の過去の憎悪が生み出した悪夢であると言うことは直ぐにわかった……これを俗に言うと明晰夢と言うのだろう。実際には鞭で打たれる事も、強制労働をさせられた事もない。
鞭で打たれるほど何が出来るとは思われず、
強制労働をさせれるほど成果が出せるとさえ思われなかった
取るに足らない脆弱かつ軟弱、卑怯さだけが取り柄の鬼の恥さらし、そう呼ばれ、常に迫害と差別を受け続けて来た……
正邪
「(夢とはわかってはいても……何度見ても胸糞悪いな……)」
実際の正邪は両親の顔どころか名前も知らない。
物心がついた頃から一人だった……一人で力の弱い者が生きるためには手段など選べるような余裕も、嘘をつかずに誠実に生きる等と言うことが出来なかった。それは種族だけの問題ではなく、圧倒的強者である鬼が住まう世界を生きるために必要な技術だった。
誰からも期待などされない。
誰からも信じられない。
誰も信じられない……
これも全ては強者が世を支配しているからであり、それを根底から覆し、これまで強者として胡座をかいて自分を見下している奴ら全てを踏みつけ、世に混沌をもたらし、強者が弱者になり、苦痛に喘ぐその瞬間を見てみたい。そうして始めて、生まれてからずっと続いてきた心の渇きを満たす唯一の方法であると考えている。
ハハハハハハハハァアアッ!!!!!何の役にも立たない天邪鬼があっ!!!!!
バチィッ!!!!!バチィッ!!!!!
(夢の中の鬼は、幼い正邪をムチで叩きつけながら楽しそうにしている・・・・・
この世界は強者は上、弱者は下という風に成り立ち、逆らえば罰を受け、最悪の場合は死に至る・・・・・
正邪が強者に抱く憎悪が、夢にまで反映されている・・・・・)
正邪
「(ふん、生憎私には過去に想いを馳せる等と言う感情はない)」
鞭で打たれる幼い頃の自分に背を向ける。
強者は弱者を支配し、搾取する。
これはどの世界でも自ずと成立している法則だ。
過去の自分にも今更思うところは無い。最初の頃は苛立ちを覚え、悪夢の中で怒声を上げていたが、今となってはそんな事でさえ些末な事に感じられるだけの理由が出来た。
正邪
「(私は誰よりも強い力を得てこの世界そのものをひっくり返してやるぞ!もう私は地べたを這いつくばらない。これまで遥かに上から私を見下してきた連中を地へ引きずり落として踏みつけてやる!!
それが出来るだけの力があの小槌にはある!)」
針妙丸が持つ打出の小槌。
里では人間に一撃でやられてしまったが、私はまだまだ強くなることが出来る筈だ。あの力があればそう遠くない内に私は誰よりも強い存在になれる。そうなればこんな悪夢も見なくなるし、これまで強者だった奴らを今度は私が踏みにじってやる!
正邪
「(……だが、小槌の魔力には副作用がある……このまま小槌を使い続ければやがてはアイツは…………いや、私は何を考えているんだ。私は私が良ければそれでいい筈だろ……?)」
復讐が成された時に針妙丸が存在しているのか……そんな他者への心配と言うこれまで考えたことも無かった考えが脳裏を過る……あの小人はこれまで誰からも見向きもされなかった自分の傷を治し、この計画にも協力してくれた。小槌の力を使い続ければやがては針妙丸にその反動が返り、彼女の身を滅ぼすことになってしまうかもしれない……
これまで、自分は自分さえよければそれ以外の誰がどれだけ苦しもうと、悲しもうと関係無い。そう考えていた正邪の心に少なからず躊躇いが生じている……
・・・・・
(正邪の夢の世界は、正邪が針妙丸の身を案じた瞬間、突然針妙丸と幻想郷へ来て最初に出た森の中に場面が移る・・・・・
が、辺りの木々は薙ぎ倒され、ところどころ炎が草木を焼いており、先ほどまでの穏やかな雰囲気の幻想郷の光景とは似ても似つかない・・・・・)
正邪
「おいおい、幾ら夢とは言え場面が突然切り替わるとか異常だぞ?」
かつての自分と現在の自分、その二つの考えや、芽生えつつある感情に対して少し動揺を覚えていたところ、突然周りの空間が変わったのを見て、夢の切り替わりが強引すぎると呟く。
正邪
「今度は何を見せようって言うんだ?まさかアイツ(針妙丸)についてか?……だとしたらこれはさながら針妙丸が死亡したものか?」
後頭部を掻きながら半ば呆れたように呟くと、夢の内容が変わった原因として考えられる針妙丸について心配する心があった事から、針妙丸が死亡した後の未来が夢になって現れるのではないかと予想してみる。
だが、今の自分にとって針妙丸と言う存在は、自分を勘繰っていたり、完全には信用していないような感覚があり、打出の小槌で傷を回復してもらったと言う恩しか良い印象はないため、かけがえの無い存在と言うわけでも、信じられる友と言うわけでもない。
これがもし、針妙丸が自分の言葉をそのまま信じて疑うこと無く着いてきていたのであればこの罪悪感もより大きなものになっていたと思われるが、そんな事は無かった。
《どうすれば、あの復讐心を取り除いて楽にしてあげられるのかしら・・・・・》
(どこかからいきなり針妙丸の声が聞こえてくる・・・・・
その言葉の内容は、正邪の復讐心を何とかして取り除けないものかというものであり、針妙丸は復讐心を取り除いてやることによって正邪は初めて楽になれると思っているようだ・・・・・)
正邪
「復讐心を取り除く……か。生憎、私には"復讐心"と呼べるほど確固たる信念なんか持ち合わせてなんかいない。」
夢の中であるのならば遠慮はいらないだろう。
正邪は自身の考えを包み隠す事無く言葉にしていく。
正邪
「私の反逆は別に憎しみや怒りから来ているものじゃない。
ただ純粋にこの幻想郷に!この世界に!強者と弱者が反転し、あらゆる理や常識が覆された混沌をもたらす!これこそが天邪鬼(私)の性(さが)であり宿願だ!!」
自分は生粋の天邪鬼であり、かつての忌まわしい記憶や過去はそれに拍車をかけるための起爆剤に過ぎないと考えている。だからこそ、計画が幾ら失敗しようと諦めることも挫折すること無く、何度でも立ち直り、あの手この手を使って目的を達成しようとするのだろう。
《・・・・・私は、今のこの平和な幻想郷であなたと過ごすのも悪くは無いと思っているのに・・・・・》
(針妙丸からすれば、正邪は止めなければならない存在でもあるが、同時にほっとけない存在になりつつもあった・・・・・
が、これは所詮夢の世界・・・・・
針妙丸の本音かどうかはわからない・・・・・)
正邪
「………幻滅したか?
だが、どうせお前も私を信じていなかっただろう?」
正邪は誰も信じず、誰からも信じられること無く、嘘を付いて他者を騙し、欺き続けるしか生き残る術しか無く、自分もそうである事から、どれだけ綺麗事を並べようと結局は針妙丸も自分を信じてなどいなかったのだと諦めにも似た言葉を口にする。
他者を疑い、嘘をつき続けて来た結果、他者の嘘や偽りに対して見抜く事が得意になったものの、その反面、誰かを心から信じることが出来なくなってしまっている……
《・・・・・ても、時間はたっぷりあるわ、打ち解けるにはまだまだ道は長そうだけどね・・・・・》
(針妙丸は正邪と打ち解けるには道は長そうだが、時間はたっぷりあると言う針妙丸・・・・・
針妙丸は正邪とは違い、諦めるという考えはないようだ・・・・・
幻滅どころか、寧ろ打ち解けることに対して積極的になっている・・・・・)
正邪
「………………………。
あーあ、こんな夢を見るなんて私も日和ったか?」
挑発するような軽口も言葉にせず、ただ黙り込んで
夢の中だから遠慮無く本心を口に出来るし、口にした筈だ。
だが、ずっと空っぽだった心の片隅に小さな感情が芽生えていた事に気付く。
それはまだ小さく、人格に影響を及ぼす程度ではなく、その表現方法すら存在しない小さなものではあるが、これまでに抱いたことの無いその感情がささやかな迷いを生む。
自分が本当は理解し合える友が欲しかったのか?
他者と手を取り合いたかったのか?
嘘をつかなくてもいい、騙されも騙しもしない関係が欲しかったのか?
そんな疑問が泡のように浮かんでは消え、また浮かんでは消えていく……
《あら、夢を見る権利は、誰にだってあるのよ?》
(これは夢・・・・・のはずなのに、正邪に考えさせるほどに影響を与える・・・・・
針妙丸にとっては、正邪は幸せになるべき対象、であるが故に夢を見ることもその内の一つとも言える・・・・・
所詮夢、とも言いきれないほどに鮮明なのが、正邪を困惑させる・・・・・)
正邪
「……馬鹿馬鹿しい、所詮は夢だ。」
迷うなど自分らしくない。
今抱いている感情も一時の気の迷いに過ぎない。
たかが夢に一喜一憂する事ほど馬鹿らしい事はないと言い、夢の中でも心を閉ざし始める。
《そう思っている内は、あなたはまだ未熟者ね・・・・・》
(夢の中の針妙丸は、意味深な言葉を放つ・・・・・
すると、正邪の夢及び睡眠が浅くなり始める・・・・・
どの道夢とはいえ、正邪からすればあまり心地よくはないだろう・・・・・)
正邪
「…………あー?」
夢の中で意味深な言葉を言う針妙丸……と言うよりもその声が似ているだけで別人である事も考えられるものの、その言葉の真意について聞こうとしたところで眠りから覚め、まだ日の出前であるにも関わらず目が覚め、そのまま針妙丸が寝ていたであろう場所へ振り向く。
・・・・・
(針妙丸は、相変わらずな感じですやすやと眠っている・・・・・
打出の小槌を持っているというだけで、それ以外は本当に無防備な上に、針妙丸は恐らく護身の為に打出の小槌を使ったりもしないだろう・・・・・
もし打出の小槌が針妙丸以外にも使えるのであれば、今なら奪いたい放題使いたい放題ではあるのだが・・・・・)
正邪
「……無防備な奴だな……」
正邪は眠っている針妙丸を見て、彼女が持っていた小槌を手にして軽く少し振ってみるものの、やはり何も起こらずに自分では使うことが出来ないと再確認する。
自分では小槌の魔力が使えないとわかると再び彼女の元へと戻し、少し針妙丸の頭を撫でてみる。自分でも何を思ってこの行動をしているのかはわからない。
・・・・・んんん・・・・・
(頭を撫でられれば、心地よさそうな表情をしながら寝返りをうつ・・・・・
正邪は自身の心の影響を少し反映したような夢だったが、果たして針妙丸はどんな夢を見ているのだろうか・・・・・
案外、正邪と同じような夢かもしれない・・・・・)
正邪
「……お前もいずれ私を嫌い離れていくんだろう。
………それまで私はどれだけ利益を得られるんだろうな……」
心地よさそうな顔をして寝返りを打つ彼女を見て、正邪は呟く。
針妙丸もやがては自分から離れ、何処かへ去って行くのだろう。
自分は天邪鬼だ。他者に嘘をつき、偽りの面を見せ続けるしか無い、そんな自分に着いて来れるような者も、それを理解できる者もいないと半ば諦めているのだが、他者の前では決して見せることの無い、何処か寂しそうな表情をする……
矛盾した二つの考えを持ち、本心とは異なる言動を取る。
それこそが正邪の中にある天邪鬼の気質だ。
・・・・・んん?
(少ししてから、針妙丸はゆっくりと目を開けて眠りから覚める・・・・・
眠りから覚める前は眠りが浅くなるということが多いが、針妙丸は正邪の言葉をわずかながらに聞いていたのか・・・・・
それとも・・・・・)
正邪
「ああ、起きましたか?今朝御飯を用意しますよ。」
正邪は少しの間、里に出てまだ閉まっている店に侵入して朝御飯の材料となる肉や野菜、魚を何時もの手付きで盗み取ると、それを抱えて目が覚めた針妙丸のもとへ戻って来る。
スリや盗みは正邪がこれまで生きていくために身に付けた技術の一つであり、店主が気付く頃にはもう正邪と針妙丸はまったく別の場所に移動している時だろう。
・・・・・なんだか悪い気がするわね・・・・・気づかれるかもしれないリスクを背負ってまでやらずとも、木の実やきのこを採って食べる、でもよかったのよ・・・・・?
(盗みを働くのは、常習犯であろう正邪とは違い、針妙丸は罪悪感がわいてしまう・・・・・
そして、人気のない場所まで移動してくると「結構色々と盗ったわね・・・・・今頃里の方は結構な騒ぎになっているんじゃない・・・・・?」と言い)
正邪
「構いやしませんよ。やがては全ての私達の物になるのですから……!」
目が覚めた針妙丸と共に人気の無い森の中にある小さな開けた場所に出ると、盗んできた食糧を椅子代わりにもなりそうな倒木の上に置き、側に落ちている乾いた木の枝を一ヶ所に集めその中でも大きめの枝を数本を手に持つと、それを擦り合わせて火を起こそうとし始める。
・・・・・私にもやらせてくれるかしら?
(何を思ったのか、自分にも火起こしの手伝いをさせてくれないかと言い出す・・・・・
幻想郷のような自然豊かで美しい光景を見るのも初めてならば、こうしたサバイバル術を目の当たりにするのも初めての針妙丸からすれば、正に好奇心がわいてくるのだろう・・・・・)
正邪
「………?
私は構いませんが……わざわざ姫がされる程の事でも無いと思いますよ。」
相手は小人族の姫であり、打出の小槌を使える小人の英雄の末裔だ。
雑用は全て自分がやるつもりだったためか、火起こしを手伝うと言う針妙丸を見て、手を止めて不思議そうに相手を見る。
・・・・・結構、難しいわね・・・・・
(正邪とは違い、サバイバル術の心得がない針妙丸は、火起こしにかなり苦戦する・・・・・
しかも、体の大きさも含めて、小人族からすれば大変な作業の一つでもあるだろう・・・・・
が、それでも一生懸命続け)
正邪
「火起こしには少しコツがありまして、例えばこの辺りに削るように力をかけて……」
針妙丸が火起こしをし始めるのを見て、正邪は小さい針妙丸をフォローするように火起こしのコツや、こうすると効率良く火を起こせると言うように、正邪自身の経験や知識を元にやり方を教え始める。
へえぇ〜・・・・・ただ力を込めればいいってわけじゃあないのね・・・・・
(正邪は今までの境遇が悲惨だった反面、こういったサバイバル術に繋がったのに対し、針妙丸は正に箱入り娘ともいうような感じで幻想郷のような外の世界を知らずに生きてきた・・・・・
針妙丸はまじまじと正邪の火起こしを見ながら、ただ力を込めればいいというわけではないということも学ぶ・・・・・)
正邪
「まあ、これは慣れないと難しいと思いますね。」
火起こしが出来た事で燃え始める木を、傍で積み上げていた枝の山に乗せてその火が枝の山全体に広がっていくのを確認しつつ、これは慣れないと難しい事だと応える。
外の世界を知らず、鬼の世界に封じられ、鬼の世界の中でも輝針城に閉じ籠っていた針妙丸に正邪は何処までも続く美しい外の世界を見せ、教えた。だが、正邪にとってこの世界は破壊の対象であり、美しいとも、良い世界であるとさえ思ってはいない……
あなたは慣れているのね、凄いと思うわ・・・・・
(自分は外の世界も、そのほかの色々なことも知らなすぎるのとは対照的に、正邪はやはり色々なことを知っているからなのか、正邪の計画を止めるためとかではなく、普通に感心する・・・・・
このまま考えを改めてくれれば尚感心するのだが・・・・・)
正邪
「独りで生きていくためにはなんでも出来るようにならないといけませんでしたからね……」
城にいるだけで、かつての小人一族の長が作り出した九十九神のような従者達が殆どの雑用や支度をしていたため、このように火起こしなどをしなくとも済んでいたと思われる事から、正邪は対照的な生活をしていた事がより明白になっていく……
・・・・・独り・・・・・
(ずっと外の世界を知らないまま生きていくのも酷ではあるが、ずっと虐げられ続け、理解してくれる相手もいなく、孤独の中嘘と共に生きていくことはもっと辛いだろう・・・・・
針妙丸は、正邪の強者に対する憎悪が、段々と理解出来てくる・・・・・)
正邪
「さあ、出来ましたよ。熱い内にどうぞ。」
正邪は嘘なのか本心からなのかがわからない笑みを浮かべながら、焚き火によって焼いたばかりの肉を同じく盗んできた木の器に入れて差し出し、熱い内に食べて欲しいと勧める。
ありがとう、いただくわ・・・・・
(嘘なのか、それとも本心なのか、判別できない正邪の笑みを見れば、複雑な気持ちになりながら器を受け取り、食べ始める・・・・・
ふーふーと息を吹きかけて少し冷まして口に入れる、すごく美味しい・・・・・
だが、正邪の場合はこんなにも美味しいものも、復讐心を胸に秘めていては純粋に楽しめないだろう・・・・・
そう思うと、自分はどうするべきなのか、今一度悩み始める・・・・・)
【博麗神社 境内】
霊夢
「この季節は掃いても掃いても落ち葉が積み重なるわ……いっその事天狗の誰かに頼んで境内から吹き飛ばしてもらおうかな。」
正邪と針妙丸が人里から少し離れた森の中に潜んでいる中、霊夢は風に吹かれて境内に散乱している落ち葉を面倒そうに手にした箒で境内の外へと掃き捨てながら、風を操る事が出来る文がいれば境内中の落ち葉を吹き飛ばして直ぐに片付くのにと愚痴を溢している。
【文ちゃんやります!】
ほうほう、なるほどなるほど・・・・・それじゃあお望み通り吹き飛ばしてあげましょうか?
(偶然通りかかった時に霊夢の呟きが聞こえていて声をかけたのか、それともスクープを狙っていた時に霊夢が自分の名前を出したからタイミングよく登場したのか・・・・・
文はニコニコしながら登場する)
霊夢
「噂をすればなんとやら……ってやつ?
それなら助かるわ。掃いても掃いてもキリがなかったから。」
箒を掃いていた手を止めて文を見ると、丁度天狗の話をしていた事からタイミング良く姿を見せた相手に対して境内の葉っぱを吹き飛ばして欲しいと言うことを口にする。
たーだーし!条件があります!
(文は人差し指を立てて頬に当てながら条件があると言う・・・・・
文のことだから、何かしらスクープを得る為の聞きこみ調査の協力を求めることか、それとも博麗の巫女に手伝ってもらって何かしらのスクープを作る・・・・・言わば「捏造」か・・・・・)
霊夢
「はぁ……アンタならそう言うと思ったわ。
小鈴ちゃんから借りた本がまた残っているからあんまり面倒な事は嫌よ?」
あの文の事だから何かしらの条件を出してくるだろうと予想は出来ていたため、嫌な予想通りに条件を提示して来ると、ため息を一つにつく。
自分は風を操ったり、落ち葉を簡単に片付けられるような術や技は無い。単純に吹き飛ばすだけならやり方は幾らでもあるが、それは神社や境内そのものにもかなりのダメージを付けてしまうため、そうなれば紫や賢者連中、幻想郷の色んな奴らからの折檻は免れない。
しかし、落ち葉の掃除もかなりの手間がかかるため、文に助力してもらえるのならばかなり助かる。そのためなら多少の労働は仕方がない。面倒な範囲でなければ、条件を呑むと応える。
大丈夫ですよ!ちょっと協力してもらいたいだけです!
(そう言うと「実はさっき、人里上空を飛んでいたら、何やら店から色々と盗んでいる輩がいましてね・・・・・しかもこの辺りじゃ見たことない顔だったんですよ、そこで!霊夢さんがその盗っ人達を懲らしめてそこを私が大スクープとして取り上げる!これで完璧です!」と、ほぼほぼ霊夢が苦労しそうな条件で)
霊夢
「へぇ、アンタの事だからてっきり何か捏造記事を作るための協力をさせられるのだと思っていたのだけど、案外まともな内容じゃないの?それなら私に任せなさい。」
てっきり紫や結界に関する噂のようなものを流そうとしたり、幻想郷内で新しい妖怪が現れたとか、珍しい外来人が訪れたなどのゴシップの裏取りやその辺りに関する情報提供を求めてきたのかと思いきや、ただの噂話のネタではなく、里に現れた盗人を捕まえると言った良識的なものである事に驚く。
ともあれ、里で実際に被害が出ているのであれば此方としても動かない理由はない。その盗人が外来人か妖怪であればなおのこと。
文の依頼を快諾すると、箒を肩にかけて左手を口許に当てて少し欠伸をする。
私だってスクープの種を見つければそっちを最優先しますよ、ってか、それじゃあまるで私が嘘ばかりの記事書いてるみたいな言い方じゃないですか?
(普段、特に大きなスクープに巡り会えることもなければ、小さくも目が止まるようなスクープに巡り会えることもなく、多少の間違った情報は気にしないものの、それが捏造記事になっていても自覚がないらしい・・・・・
文からしたらせっかくのスクープということもあり、尚のこと今までの捏造記事などについてはそっちのけである)
霊夢
「ま、何はともあれとっちめるためにも犯人の居所に見当は付いているの?」
文に背を向けて箒を肩にかけたまま本堂の方に向かって歩き出し、犯人の居所に見当はついているのかと聞いてみる。見当がついていたり、逃げた先や、潜んでいそうな場所が掴めているのならば良し、そうでなくても聞き込みや文が集めた情報を元に居場所を推測すれば良いと考えている。
それならご安心を!当人達は気づいていませんでしたが、森の中で盗んだ食料を食べているところを写真に収めました!恐らくそこを拠点にしているものかと!
(そう言うと、結構高い上空から撮った写真ではあるものの、文が言っている盗っ人と思われる人物二人の姿がハッキリと写っている・・・・・
姿と居場所の検討は文もついているようだ・・・・・)
霊夢
「へぇ、流石はブン屋、お手柄よ。
……ふーん?この様子から見て二人とも新しく幻想郷に流れ着いた妖怪?」
一人は普通の人間に比べて明らかに小柄で、もう一人は頭に小さな角があるのが見える事から、小人と小鬼の二人であると言うことを文の見せる写真から見抜くと、二人とも見たことの無い存在である事から新しく幻想郷に流れ着いた者達なんじゃないかと考える。
その可能性は高いですね、それに鬼の方は、なんだか盗みに慣れているようにも見えました、常習犯だったとしたら成敗したら盗人確保と妖怪退治とで大手柄ですよ!
(文自身は写真のこの二人がどういう性格だったり立場だったりするのかはまったく知らないものの、鬼の方は見た感じ盗みに慣れているように見えたことから常習犯である可能性が高いため、もし捕まえたら盗人退治と妖怪退治で二つの意味で大手柄になると答える、文としても大スクープが手に入るということから、ウィンウィンである)
巫女様巫女棒で叩いて
160:博麗神社◆5w:2021/02/28(日) 23:10 霊夢
「はあ……幻想郷に来たばかりの連中はどうしてこうも面倒事ばかり起こそうとするのかしらね?……ま、面倒だけれどもっと面倒になる前に手早く終わらせて来るわ。」
肩に乗せていた箒を縁側の近くに立て掛け、靴を脱いで縁側から居間へ移動してテーブルの上に鈴奈庵で借りた本三冊の隣に重ねて置いておいた御札の小さな束とお祓い棒(大幣)を手に首をコキコキ鳴らして気だるそうにしながらも、直ぐに向かおうと応える。
腕が鳴りますねぇ!決定的なスクープの瞬間をカメラに収めなければ!
(博麗の巫女の大活躍はスクープになる、退治しなければいけない相手はハッキリ言って小物ではあるものの、盗っ人である上に妖怪であるということを踏まえると、大スクープにならないわけはない・・・・・
文は向かう前の時点の霊夢を既に撮り始める)
霊夢
「………そういえば謝礼とかって出るの?」
無愛想なままではあるものの、期待されていると言うのも悪い気はしないため、自分を撮ることを拒んだり阻止しようとはせず、ふと、盗人を捕まえたり懲らしめた際には何かしらの謝礼金が出るのかという事が気がかりになり、聞いてみる。
えっ!?そ、それはぁ・・・・・
(考えていなかった、と言うよりかは、目前のスクープに気を取られて霊夢の物欲をすっかり忘れていた・・・・・
もしこのまま何も出ないとなれば、スクープはお預けになってしまう・・・・・そう思った文は「も、勿論ですよ!ご期待に添える謝礼をご用意致します!」と、なんとかしのごうとする)
霊夢
「そう?それなら良かった。
この件を片付けたら久し振りに里で食事をしたかったから。
さ、それじゃあ行くわよ?」
写真に映っていた場所や位置については詳しくは知らないものの、近くの木の高さや草の広間等からだいたいの予想を付けて飛ぶ。
詳細な位置を知らずとも、だいたいの目星をつけて飛んでいればそこまで情報収集をしなくとも勝手に現場に行ける。
これと言って強い願望や欲求は無く、大金を手に入れたとしてもやっぱり普段と同じ生活をするであろう霊夢だが、盗人を懲らしめた後は久し振りに人里で少し豪華なものを食べてみたいなと思っている。
《やばい・・・・・何かしら感謝の品を用意しないと、盗っ人の次に消される・・・・・》
(文はさっきまでのウキウキとは打って変わって、冷汗ダラダラで何とかせねばと頭をフル回転させる・・・・・
が、これといって思いつかず、しかも霊夢は里で食事もするつもりらしい・・・・・
盗っ人を懲らしめさせてはい終わりではタダでは済まない・・・・・)
霊夢
「何処に行こうかな。野菜系や茸料理は何時も食べているから良いけど、肉や魚もいいわね。あ、でも滅多に食べられない甘味も良いかもしれない……でもお酒の美味しい酒場も良いかも?」
妖怪退治の専門家であり、相手が野良妖怪ならばこれまで戦ってきた大妖怪や勢力に比べれば慣れ親しんだ簡単な仕事だ。そう考えると思わず頬が緩んで少し上機嫌になり、文の心配を他所にこの後の事を考え始める。
霊夢
「ねえ?アンタは里の美味しい料理店とかって知ってる?」
正邪達が潜む場所に向けて空を飛んでいる最中、記者である文なら有名な人里の店も知っているかもしれないと思い、何かよさげな店を知っているかどうかを聞いてみる。
ま、まぁ、知ってはいますけど・・・・・
(こうなったら自腹で霊夢に奢るしかないと決意を固めれば、知ってはいると答える・・・・・
どこの店が美味しいかどうこうよりも、霊夢が一体どれほど食べるつもりなのかという、所持金関係の不安が募るばかりである・・・・・)
正邪
「さて!食事も終わった事ですし、人里を偵察しながら隠れ家に出来そうなところを探しますか。」
茶色のボロ衣のようなローブを羽織った正邪は食事を終えて立ち上がると、焚き火に土をかけて火を消し、灰の混ざった土を足で払う事で完全に消化すると同時に自分達の足跡を少しでも隠そうとする。
人里の廃屋やら使われなくなった蔵や倉庫を探してそこを幻想郷潜伏のための仮の活動拠点にしようと考えている正邪は移動しようと言う。
正邪
「……………!!」
だが、移動しようとした矢先、東の方向から何か強い力を持った存在が二つも此方に向けて真っ直ぐに飛んできている事を察知するとすかさずそちらを見て身構える。
・・・・・?どうかしたの?
(強い力を持った存在が近づいてきたことで身構える正邪とは対照的に、針妙丸は特に何も感じていないらしく、身構える正邪を見れば不思議そうに見つめてどうかしたのかと問いかける・・・・・
もしかして、誰かが正邪の計画に気づいて止めに来てくれたのだろうかと希望も抱き始める・・・・・)
正邪
「ちッ!もう勘づかれたか……
しかたがない。姫はそこの茂みに隠れていて下さい。」
正邪は手元を隠しやすいと言うボロの羽織りマントの特徴を活かすべく、両手を地面に付けて左手で沙を、右手に小さい石を持ってマントの下で握り、到着するであろう猛者達を相手取るための準備を整える。
ちょ、ちょっと、大丈夫なの・・・・・?
(確かに正邪は打ち出の小槌によって力は上がったものの、幻想郷という場所に住まう者達の力がどれほどなのかはよくわからない上に、実際来たばかりで妹紅に簡単に気絶させられていたのを思い出せば、とてもじゃないが太刀打ちできるとは思えない・・・・・)
正邪
「なぁ〜に、適当に逃げ切ってやりますよ。
私が注意を惹き付けるので、逃げ切ってからまた此所に迎えに来ますよ。」
先程の妹紅との戦いで正面から挑んでも勝ち目が無いというのは身に染みて感じた。だが弱者には弱者なりの戦いかたと言うものがある。それを用いることで注意を惹き付け、囮となって逃げることで針妙丸だけでも無事でいられるようにしようとする。
簡単に言うけどねぇ・・・・・
(しかし、自分が立ち向かったところで毛頭勝ち目はない・・・・・
そう思えば、正邪が自ら囮になるこの作戦を無駄にしないように、針妙丸も見つからないよう近くの草むらへと体の小ささも活かして隠れる・・・・・)
正邪
「……おいおい、随分と駆け付けるのが早いじゃないか。この世界には空や地面にも目が付いてんのかぁ?生きづらい世界だな!」
霊夢
「………もう一人はどこに言ったの?二人いた筈でしょ?文。」
挑発するように言う正邪の軽口を無視しつつ、相手が一人しかいない事を疑問に思い、地上に降り立つと文の方へ首を向けて確か二人いた筈だろうと聞いてみる。
正邪
「ああ、アイツなら私が追い払ったよ。私にも食い物をよこせだとか言ってきたんだが、少し分けてやったら満足してどっかに行ったな。ま、私には関係ないがな。そんな事よりも……何か用があって来たんだろ?」
霊夢の口調から二人いた事が既にバレているとわかると、針妙丸は無関係なただ巻き込まれただけの存在だと言うように敢えて辛辣な言葉を口にすると、脱力して戦意も闘志も見えない霊夢とは対照的に身構える。
霊夢さん、この子鬼嘘言ってます、私はもう一人と店を襲撃して盗みをしている瞬間を見ました・・・・・
(霊夢に聞かれ、正邪の言葉を聞けば、正邪が嘘を言っていることを霊夢に告げる・・・・・
そもそも文は二人して盗みをしている場面を目撃した、言わば当事者・・・・・
正邪の嘘は毛頭通用しない・・・・・)
【名前はミスですすみません!】
177:反逆者と巫女◆3.:2021/03/10(水) 12:35 正邪
「(……なるほどな、あの黒い翼と感じられる妖力の強さからしてアイツは"天狗"だな。だが、アイツも一つ嘘をついているな。私は騒ぎにならないように盗みはすれど、下手に襲撃をしかけて存在をアピールするような馬鹿な真似はしない)」
正邪
「おいおい待てよ。私は一度たりとも襲撃なんかした事は無いぞ?」
正邪は文の様子や、特徴的な黒い羽根、そして感じられる妖力の強さから相手が天狗であると知り、巫女と一緒にいる事から自慢のスピードを活かして自分達を見付けたのだと察するとボロボロのフードの下で鋭い歯を見せて笑いながら、自分は襲撃をした事など無いと言う。
実際に針妙丸が目覚める前に里で盗みをしてはいたものの、襲撃して奪った訳ではないため、嘘にはならないだろう。それに、こう言うことで霊夢の疑惑や注意を少しでも文に向けようとする。
へぇー・・・・・そうですかそうですか・・・・・♪
(文は何やらニヤニヤしながら上記を言う・・・・・
何を言われても言い返せる自信があるのか、正邪が襲撃なんかしたことはないと言っても自信あり気な表情で腕組みをしながら仁王立ちしている・・・・・)
霊夢
「はあ……どっちでもいいわ。
被害が出ていることには代わりは無いんだし、手っ取り早くアンタを退治して終わりにするわ。」
正邪
「へッ、随分と命に対する執着の薄い巫女だな……とッ!!」
霊夢は大幣を肩に乗せたまま首を左右に倒してコキコキと音を鳴らしながら正邪を見据えて退治(正邪にとっては殺害宣言)すると言うと、正邪はボロボロのマントの下に隠していた両手を出し、霊夢に向けては砂を、文に対しては拳程の大きさがある石を投げて二人に対して不意打ちを仕掛けようとする。
っとおっ!随分野蛮ですねぇ?
(文は正邪が何かしらの攻撃を不意打ちで仕掛けてくることも想定して、石を投げられれば即座に避けて回避し、霊夢の方へと投げられた砂に関しては力を上手く加減しながら吹き飛ばす・・・・・
そして「あなたも吹き飛ばしてあげましょうか?」と挑発する)
霊夢
「さっさと降参して退治されないよッ……と。」
《シャッ》
正邪
「ととと、野蛮なのはどっちだろうな!私は人間を食った事も襲ったこともない、ただ少しばかり食糧を分けてもらっているだけの善良な妖怪なのにな!!」
文が石を避け、砂を吹き飛ばしたと見ると、霊夢は気怠げに御札を投げる。すると正邪は紙一重でそれらを避けて近くの木の枝へ向かって飛び上がり、そのまま曲芸しのように体を一回転させて跳ね上がり、掴んだ木枝の上に乗ると、自分はあくまでも殆ど人に危害を加えていない善良な妖怪だと口撃してみる。
そうですか、それじゃあその食料を分けてもらう際に、了承は得たのでしょうか?
(文は正邪の自信満々な無実の訴えを聞けば、それじゃあその食料を分けてもらう際に、了承を得て分けてもらったのかどうかを問いかける・・・・・
危害を加えるという行為は、何も人間を食べたり襲ったりするという行為のみに留まるというわけではないということの主張でもある・・・・・)
正邪
「了承を得る、だぁ?
下等妖怪がそんな人間みたいな事が出来ると思ってるのか?」
了承を
金生産力が無いが故に人間のような賃金を得ることも金銭を持つことの出来ない妖怪に馬鹿馬鹿しいと言った様子で
これまでの正邪は時折他者から食糧を盗むことはあったものの、基本的には森の木の実や野生動物の肉を喰う事で餓えを凌いで来たのだが、今日は姫(針妙丸)に少しでも良いものを食べてもらおうと思っていたそれが仇となったか……と内心歯軋りをする。
《バチッ》
正邪
「なッ!?」
霊夢
「はあ……あんまり手間はかけさせないでよ?」
先程確かに避けた筈の御札が正邪の後方で方向を変えて再び正邪に迫っていたためか、正邪の背中に御札が直撃して枝の上から落ちて地面に倒れ込み、御札の効果によって正邪は指一本動かせない状態で動きが止められる。
勝負あったみたいですね・・・・・
スタッ・・・・・
(正邪の動きが霊夢の御札によって止められると、勝負に決着がついたと判断して地面に降り立つ・・・・・
そして「いやぁ〜お手柄ですよ霊夢さん!新聞の見出しは「博麗の巫女!盗っ人妖怪を成敗する!」ってところですかねぇ!」と、パシャパシャとカメラのシャッターを切る)
霊夢
「褒めても何も出ないわよ?
ま、何はともあれこれで終わりね……」
正邪
「く……そ……ッ!!」
逃げる暇も無く簡単に攻撃を受け、身動きが取れなくなってしまったにも関わらず、正邪はもがき続け、なんとかこの場から離れようとするものの、そこを歩いて近付いて来た霊夢に追い付かれ、手にしたお祓い棒を高く振りかざすのを見て強く歯軋りをしながら睨み付ける。
当の霊夢にとって退治=消滅ではなく、ある程度お灸を据える事であるため、正邪が消滅しない程度に霊力を大幣に込め始めているだけなのだが、それを知らない正邪は消滅させられると言う不安や怒り、憎しみ、恐れから何とか逃れようともがき続ける。
まぁ、これに懲りたらこれからは少しは改心することですねぇ?大丈夫ですよ、霊夢さんは何も命を取るまでのことはしませんから・・・・・
(必死にもがき続ける正邪を見て察したのか、霊夢は命を取るまではしないということを告げ、これに懲りたならこれからは少しは改心するようにと忠告をする・・・・・
この程度で改心したら苦労はないのだが・・・・・)
正邪
「ぐぎぎぎ……
………わかったわかった。もう人里に手出しはしないよ。」
殺気も覇気も何も感じない霊夢の様子から、今度の文の言葉には嘘が含まれていないとわかると、下手に足掻こうとするよりも素直に人里から手を引いて雲隠れした方が良いと判断し、反省したような言葉を口にする。
そうそう、素直に身を引いた方がいいですよ?霊夢さんは怒ると鬼よりも鬼ですからね・・・・・
(もう人里に手出しはしないと言う正邪に対して、霊夢は怒ると鬼よりも鬼らしいという、さらなる忠告をする・・・・・
これが人間の言うことならまだしも、妖怪が言うことだから尚のことタチが悪い・・・・・)
霊夢
「私は面倒な事が嫌いなだけよ。
幻想郷に移住したり、単に人を襲うのなら別に構わないけど、ちゃんと此処のルールには従ってもらうわよ?」
霊夢は頭を面倒そうに目を瞑って溜め息をつきながら振り下ろそうとしたお祓い棒を肩にかけて幻想郷に移住したり、妖怪の存在意義を保つために人を襲うのなら構わないが、そのためのルールはしっかりと守るように言う。
まぁ、窃盗に関しては幻想郷だけでなく、場所問わず御用になりますけとね・・・・・
(霊夢の言葉を聞けば、ルール以前に窃盗に関しては場所を問わずにどこででも犯罪になると苦笑いをしながら言う・・・・・
そして「にしても、あなた一体どこから来たんです?幻想郷に元々いた妖怪じゃあないですよね?」と、正邪の方へと視線を移して聞いてみる)
霊夢
「ギクッ
そ、そうね……」
少し前に名無しの本読み妖怪から本を奪い取って香霖堂に売り払ったと
言う過去があるため、強く当たれない霊夢は目を泳がせながらも体裁を保つために文の言葉に便乗するものの、後ろめたいことがあるのだということを正邪は見抜き、少し呆れる。
正邪
「ああ、私は鬼の世界から来た妖怪だ。」
霊夢
「鬼?その割には角も小さいし随分と弱かったけど?」
正邪
「ほっとけ!!」
正邪の体の動きを封じていた御札を霊夢は手元に引き寄せ、拘束を解除すると、文の問いかけに対して自分は鬼の世界から訪れたのだと答えるが、それを霊夢は少しからかう。
まぁまぁ、鬼にだってめちゃくちゃ強いのもいれば小動物並みに弱いのだっていますよ!霊夢さんだって人間なのにほぼほぼ化け物なんですから!
(冗談なのか、それとも本気で言っているのか、正邪をフォローするつもりではなった言葉は遠回しのディスりになり、霊夢のことを例える言葉も遠回しのディスりになる・・・・・
しかもそこそこの笑顔で・・・・・)
霊夢
「だーれが化物よ?まあ、これアンタもで懲りたでしょ?
ルールについて知らないのなら今度私の神社にでも来れば教えてあげるから、もうするんじゃないわよ?」
霊夢はその気になれば何時でも完全に消滅させる事が出来たにも関わらず、それをせずに正邪に背を負けて空を飛んで里の方に向かって飛んで行く。
それを見て正邪は背後から不意打ちをしかけようかとも考えたものの、異様なまでに勘の鋭い霊夢に不意打ちは通用せず逆に今度こそ本当に消滅させられると言う確信を抱いてしまい、歯軋りをしながらも何も妨害をせずに見おくる……
あ!待ってくださいよ霊夢さーん!
(そう言うと、文も霊夢の後から飛んでついてゆく・・・・・)
ガサガサ・・・・・
終わったようね・・・・・
(草むらに隠れながら一部始終を見ていた針妙丸は、霊夢と文の二人が飛んでいったタイミングを見計らって、草むらから出てくる・・・・・
そして、上記を言えば続けて「無茶しすぎよ、今回はまだ良かったけれど、相手があの二人じゃあなかったら今頃あなたはどうなっていたことやら・・・・・」と呟いて)
正邪
「くそッ!くそッ!くそォッ!!!」
《ガンッ》
情けをかけられるのは慣れている。自分は弱いから……その自覚は充分にあった。敗北にも慣れている……正邪が激しい苛立ちを感じているのは、小槌の力で遥かに強くなったにも関わらず、霊夢達にとって自分など排除すべき脅威にすらならない、矮小なものであると言うことをまざまざを見せつけられた事だ。その事がたまらなく新しい怒りを、憎しみを生み出してしまっている……
ちょっ!?お、落ち着いて落ち着いて・・・・・
(これはまずいと思ったのか、針妙丸は怒りに燃える正邪に近づいてなだめるように落ち着いてと言う・・・・・
打ち出の小槌を使ってまで上げた戦闘能力を、妖怪退治に慣れている人間が相手とはいえここまで簡単に勝敗をつけられてしまったのだから無理もないとは思われるが・・・・・)
正邪
「………姫……此処は一旦退きましょう……
今の我々では同志を見つけ出すことは愚か、まともに活動することもままならないでしょう。城に戻って力を蓄え、それから下剋上を果たしましょう……!」
落ち着くように言う針妙丸に対して霊夢に何の脅威としても見られていなかった事への怒りに任せて近場の木を殴った正邪は固く握った拳を震わせ、一度城に戻って力を蓄え、頃合いを見計らって下剋上を果たそうと言う。
・・・・・少し落ち着きなさい・・・・・力力って言うけれど、力を蓄えすぎたらあなたの体がその負荷に耐えられなくなる・・・・・
(針妙丸は、正邪の復讐心をなんとか和らげる、願わくば取り除いてやりたいと思っているのだが、正邪は霊夢達と対峙して自身が排除するまでにすら至らないほど、脅威として、強者として見られていないという事実に怒りを覚え、出会った当初よりも更に文字通りの復讐の鬼と化してしまっている正邪を危惧する・・・・・)
正邪
「……何を言っているのですか?革命を成すためであればこの命、喜んで捧げる覚悟です。」
思い返せばあの巫女や天狗だけじゃない、どいつもこいつもそうだった。
私を大した力の無い、小狡いだけの弱小妖怪だと見下しやがって……!
だが私は私を見下した全ての奴らを"ひっくり返して"私が見下すようにしてやる。そのためにはまだまだ力を得なければならない。
現状では力の反動による負荷やダメージ等は感じられないし、まだ力に順応できるだろう。
正邪
「それに……何の成果もなく帰るわけではありません。
里で盗みをしていた時に"使えそうなもの"を幾つか見付けまして。
それらも使った計画を練るために帰ろうと言うわけです。
さあ、城へ戻りましょう。」
人間の里で盗みをしていた際に、様々な建物の中の様子を伺ったのだが、その時に古びた物がどこの建物にも多数存在していた。これを小槌の魔力を帯びさせる事で付喪神に変えて下剋上のための戦力にすればいい。これまで使われるだけで破棄されるのを待つだけだった物であれば喜んで下剋上に協力してくれることだろう。
どの程度コントロール出来るのかも、付喪神になる具体的な数もわからない。だが、小槌の魔力による影響は間違いなくこの幻想郷に広まり、数多の付喪神が誕生し、自分と同じように強者に不満を持った弱小妖怪達も強化してこちら側に引き込めるようになる筈だ。
そんな考えを持って輝針城に戻るために転送して欲しいと言う。
・・・・・わかったわ・・・・・予め言っておけど、私にもどうなるかなんてわからないからね・・・・・?
(正邪のやろうとしていることは、もはや協力するとはいえこの先どうなるか、どれほどの被害が出るかもまったく予想ができないほどにスケールがでかくなり始めている・・・・・
それに、正邪の体にかかる負担もどれほどになるかもわからないが、正邪自身が力を求めるのならば、傍若無人に暴れまわる前に本人の希望に添えておいた方がいいだろうと判断し、輝針城へ転送しようとする・・・・・)