__人には誰にでも、心の奥に輝く宝石を持っている。
※若干グロ注意です。
心臓が止まるその瞬間まで、私は戦い続けなければいけない。そういう運命なんだから…。
既に新たな敵は戦闘不能状態だが、一応トドメを刺さなければならない。死んだふりも有り得る。
戦いとは、全神経を一点に集中させ、全ての思考を統一させて行う、いわゆる真剣勝負だ。
少しでもよそ見をすれば、命取りになることだってありうる。
私はひくひくと震える敵に近付き、そいつの真っ赤な体を見下ろし、マジカルロッドを振り上げた。
そして少しだけ開いた唇の隙間から、絞り出すように声を漏らした。
「お休みなさい」
今回もとても弱かった。あんなの敵じゃない。私一人で充分だ。
スキだらけで攻撃も甘く、バリアさえも張れない雑魚。
私はこんな戦いに興味はない。もっと楽しい戦いをしたい。
私には戦うことしか出来ないんだから、それくらいの望みは叶えてほしいわ…
第一章
「人の心」
人は何故笑うんだろう?
人は何故人を裏切るんだろう?
人は何故悲しむんだろう?
私には理解出来ない。
だって私には感情がないから。
だって私には…「心の宝石」が無いから。
私は、博士に寄って造られた、人間型ロボット。
人と同じように、動いたり、喋ったり出来る。
ただ、完璧な博士にも造れないものがあった。
「『人の心』は……造れないな。」
人の心の仕組みなんて分かる筈がない。博士は完璧な自分以外認めない性格だったから、それから狂ったように「人の心」を造る研究を重ねた。
そんな博士に私はこう言った。
「博士、博士ノ感ジルコトヲ機械ニ記録シテ、ソレヲワタシノ中ニイレレバ…」
「黙れ!お前のために私は『心』を研究しているのだ!馴れ馴れしく喋りかけるな!
しかもそれじゃお前の『心』じゃない、私の『心』だ!」
私は博士に『心』が欲しいなんて頼んでない。何かを望んだこともない。
だって私には、『心』がないから。