プリズム☆シャイニングプリキュア!

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1:苺ましまろ*◆LM:2016/01/02(土) 01:19 ID:W6s

第一話 真っ赤に輝く希望の光!キュアフランボワーズ誕生!


町の人 「きゃああああああああっ!」
町の人 「に、逃げるぞ!!!」
町の人 「何なのよこれっ!」

町は危機にさらされていた。
建物は崩れ落ち、空は黒い雲に覆われ、大きな灰色の怪物が町を壊して行く。

なのか 「ひぃ!」

そのとき、一人の少女めがけて大きな瓦礫が落ちてきた。

なのか 「きゃあああああ!」
??? 「プリキュア!アロマローズシールド!」

何者かに寄り、なのかの前にシールドが張られる。

なのか 「あ、あなたは…?」
??? 「いいから、早く逃げなさい!ここは危険だわ!」
なのか 「でも…」
??? 「早く!!!」
なのか 「は、はい!
あの……助けてくれてありがとうございましたっ!」
??? 「…!どういたしまして。さ、早く逃げなさい。」
なのか 「はい!」

なのかは全速力で逃げた。

なのか 「あの人に……また会えたら…いいな」

37:苺ましまろ*◆LM:2016/01/07(木) 22:33 ID:W6s

チェリ 「ボスの名前はグラッジ。ダークグラッジ王国の支配者チェリ!」
なのか 「グラッジ…『恨み』…」
チェリ 「人の恨みが大好きな悪い奴チェリ!」
なのか 「人の恨み…!?許せない!!」
チェリ 「落ち着くチェリ!あいつの大好きな恨みの感情は、プリキュアの力を大幅に失うチェリ!」
なのか 「じゃあ、私たちが誰かを恨むと、プリキュアの力が弱まるってこと!?」

38:苺ましまろ*◆LM:2016/01/08(金) 01:17 ID:W6s

チェリ 「プリキュアの力は、希望、正義、優しさ、奇跡で生まれるんだチェリ!だから4人集まらないと、本当の力は発揮出来ないチェリ!」
なのか 「希望…正義…優しさ…奇跡…」
チェリ 「そうチェリ!それにもうすぐでグラッジの封印が解かれてしまうチェリ!」
なのか 「グラッジが復活したらどうなっちゃうの!?」
チェリ 「世界が……世界が闇に覆われ、グラッジに支配されてしまうチェリ!」
なのか 「そんな!どうにかならないの!?」
チェリ 「あいつは物凄い力の持ち主チェリ……4人の光の力と、女王様の力が1つにならないとうち勝てないチェリ……」
なのか 「そんなに莫大な力なんだ…」

なのかは不安になり、両手を握りしめた。

なのか 「でもさ!」
チェリ 「チェリ?」
なのか 「グラッジが復活しちゃう前に、私たちが4人揃って、女王様を復活させればいいんだよ!」
チェリ 「………でも、グラッジの力は計り知れないほどの…!」
なのか 「そんなの、敵いっ子ないかもしれない…でも!
やってみなくちゃ分からないでしょ?運命は私たちの手で変えられる!可能性は0%でも、私たちが100%にしようよ!」
チェリ 「そうチェリ!グラッジなんてメじゃないチェリ!」
なのか 「ええ〜?それは言い過ぎだよ〜」
チェリ 「とにかく、明日マーガレットを探すチェリ!」
なのか 「でも手がかりはないよね…」
チェリ 「全くないわけじゃないチェリ」
なのか 「え?」
チェリ 「あのとき助けてくれた女の子こそ、キュアマーガレットだったんだチェリ!!!」
なのか 「え……えぇえ〜〜〜〜〜!?」

39:苺ましまろ*◆LM:2016/01/08(金) 04:26 ID:W6s

チェリ 「何を驚いてるチェリか!なのかも昔会ったことあるチェリ!?」
なのか 「だって、私が会ったマーガレットはもっと大人っぽい姿だったよ…?」
チェリ 「それは仕方がないチェリ……彼女は記憶と共に中学生の姿を失ったからチェリ」
なのか 「どういうこと!?」

なのかは身を乗り出してチェリーの瞳をまっすぐに見つめた。

チェリ 「マーガレットは……最強幹部のダークジュエルと戦ったんだチェリ…」
なのか 「それで………勝てたの?」

チェリーは首を横に振った。

なのか 「え……」
チェリ 「ダークジュエルの力は強大で、強いマーガレットでも敵わなかったチェリ………そして、力を使い果たしてしまったマーガレットは、子供の姿に戻り、プリキュアの記憶を無くしてしまったチェリ……」
なのか 「そんな……じゃあどうしてプリキュアの姿になれていたの!?」
チェリ 「それは、パートナーの妖精の力チェリ。妖精の力に寄り、プリキュアに変身することが出来るんだチェリ!」
なのか 「なぁんだ………」
チェリ 「でも、変身したときの彼女には、その時の記憶がなくなっているんだチェリ……」
なのか 「え…!?」
チェリ 「ダークジュエルに敗れ、ハートストーンも無くし、彼女は完全に妖精がいないと生きていけない人間になってしまったんだチェリ……」

40:苺ましまろ*◆LM:2016/01/08(金) 16:09 ID:W6s

なのか 「そんな…!じゃあ妖精が居なかったら、彼女はただの心のない人間になってしまうってことなの!?」
チェリ 「………そうチェリ。」
なのか 「しのちゃんにも伝えなくちゃ……」
チェリ 「その心配はいらないチェリ。チップも同じことをしのに説明してるはずチェリ」
なのか 「そっかぁ……」
チェリ 「とにかく、明日公園で集合するチェリ!マーガレットを探し出すチェリ!」
なのか 「わかった!」

なのかは布団の中に潜るが、なかなか眠ることが出来なかった。

41:苺ましまろ*◆LM:2016/01/08(金) 21:36 ID:W6s

翌日、寝坊したなのかは、一足遅れて公園に着いた。

チェリ 「急ぐチェリ!」
なのか 「わ、私…そ、んなに…体、りょ…く………無いんだ、よぉ……」
チェリ 「しのとチップを待たせてるんだチェリよ!?しのも疲れてるだろうに………」
なのか 「分かってるわよ〜!」

なのかはもつれる足でなんとか公園へたどり着いた。
ベンチにはしのと、…見覚えのない女の子。

なのか 「あれ、あの子誰だろ…」

なのかは目を丸くして、足を速めた。

なのか 「おーい、しのちゃん〜!」

なのかの声に気が付いたしのは、ゆっくりとベンチから立ち上がった。

なのか 「ごめんね、待った?」
しの  「ううん、私も寝坊して、今来たところよ。」
なのか 「しのちゃんが寝坊?めずらしいね……疲れてたの?」
しの  「ううん。完璧にしなくてもいいかなってさ。」
チェリ 「まりん、おはようチェリ!」
まりん 「おはよう〜」

女の子はチェリーの挨拶に答え、にっこりと笑った。

なのか 「ん?まりん?…………
ええええええーーーー!?」
チェリ 「紹介するチェリ!
この子は氷室まりん!チップが人間の姿になったときの名前チェリ!
そして…………」

チェリーの体だ赤く光りだし、みるみるうちに大きくなっていく。

さくら 「私は花村さくら!」
なのか 「ええ!?に、人間になれるの!?」
しの  「私もさっき聞いて驚いたわ。」
さくら 「ハートフル王国の妖精は人間になるとみんな可愛い女の子になるんだ!」
なのか 「何そのシステム!」
しの  「すごい…!」
さくら 「話はあとで!さあ、マーガレットを探しに、」
まりん 「レッツゴー!!」

42:苺ましまろ*◆LM:2016/01/09(土) 01:59 ID:W6s

その頃、公園の側の電柱に、小さな女の子が立っていた。太陽の逆光のせいか、表情は読み取れなかった。
なのかたちは彼女には気が付かないまま、公園を後にした。

なのか 「ただ町を歩くだけで何か起こるとは思わないけど……」
さくら 「敵が現れるのを待つのよ!」
まりん 「なんで?わざわざ邪魔者を待たなくちゃいけないの?」
さくら 「なのかたちがピンチになれば、必ずマーガレットが助けに来てくれるよ!」
しの  「わざわざ危険な目に逢わなくちゃいけないの?」
なのか 「えー、そんなの嫌だ〜」
さくら 「世界が支配されてもいいの?」
なのか 「うっ……」
しの  「そうね……彼女のパートナーをまず取っ捕まえて話を聞き出す方がいいと思うわ」
なのか 「そうか!マーガレットを操ってるのは妖精だもんね!」

43:苺ましまろ*◆LM:2016/01/09(土) 02:10 ID:W6s

その頃、ダークグラッジ王国では………
ラピスラズリとガーネットが、黒いオーラをまとった男に膝まずいていた。

瑠璃  「申し訳ございません、グラッジ様……邪魔者が現れました。」
ざくろ 「お前は引っ込んでろ!」
瑠璃  「先にプリキュアを見つけたのは私だ!」
グラ  「黙れ!」

ラピスラズリとガーネットは、その怒声にびくっと肩を震わせる。

ざくろ 「すみません……」
グラ  「いいか、邪魔者が居ようと言い訳は聞かない。一刻も早く世界を暗黒の闇で多い、全ての惑星を我らダークグラッジ王国の支配下にするのだ!」
瑠璃  「……はい」
ざくろ 「承知致しました。」
グラ  「いいか、今日は2人で行け」
瑠璃  「はぁ!?なんで」
グラ  「口出しするな!」
瑠璃  「ひい!す、すみません!!!」
ざくろ 「全力で奴らを倒します…」

一方、なのかたちはブラブラと町を散策し続けていた。

さくら 「ラピスラズリたち、現れないね」
なのか 「もう疲れたしお腹空いたあ」
しの  「もう1時よ…無理もないわね」
まりん 「私たちも人間の姿は負担がかかるから……」

ぽんっというおととともに、さくらとまりんは妖精の姿に戻った。

チェリ 「ぬいぐるみのふりをするチェリ!」
チップ 「ナイスアイディアチプ!」
瑠璃  「ずいぶんと楽しそうだな」
なのか 「!!!ラピスラズリ!」
しの  「ガーネットもいるわ!」

44:苺ましまろ*◆LM:2016/01/09(土) 03:25 ID:W6s

ざくろ 「こんにちは、プリキュア」
瑠璃  「敵に挨拶とかみっともねーよ!」
ざくろ 「いくら敵でも礼儀と言うものがあるのよ…?」
瑠璃  「お前いい子ぶってんじゃねーよ!」
ざくろ 「プリキュアに負けまくったあなたに偉そうな口を利かれる筋合いはないわよ!」
瑠璃  「何ー」

ラピスラズリとガーネットは唖然とした2人の前でケンカを始めた。

チェリ 「今のうちに倒すチェリ!」
なのか 「うん!
いくよ、しのちゃん!」
しの  「ええ!」

なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
しの  「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!」
瑠璃  「ふん、やる気のようだな……」
ざくろ 「ふふふ、あいつがいいわね」

ざくろが指差す方向には、仲が良さそうな親子がいた。

ざくろ 「あなたたちのハートストーンを寄越しなさい」
母親  「なんですか、あ、あなたは!!」
子供  「ママー…」
瑠璃  「人を好く心を無くし、憎しみに苦しんで暴れろ!」
ざくろ 「人を好く心を無くし、憎しみに苦しんで暴れなさい!」
瑠璃  「出でよ、ヘイトリッドグリーフ!」
ざくろ 「出でよ、ヘイトリッドグリーフ!」

親子の体から灰色の液体が漏れだし、ヘイトリッドグリーフへと変貌していく。

フラン 「え、2体!?」
スカイ 「そんな!!」

45:苺ましまろ*◆LM:2016/01/09(土) 03:38 ID:W6s

瑠璃  「てめえ、私が先にプリキュアを倒すんだよ!邪魔すんな!」
ざくろ 「あら、プリキュアは2回倒されるわけじゃないのよ?」
瑠璃  「うるせーー!」
チェリ 「仲間割れチェリ」
チップ 「みっともないチプ〜」
フラン (ヘイトリッドグリーフが混乱してる!今のうちに行くよ、ブルースカイ!)
スカイ (オーケー!)
フラン 「はあああああああ!」
スカイ 「やあああああああ!」

2人はヘイトリッドグリーフの巨大にハイヒールと拳をめり込ませる。
2体は吹き飛び、公園の噴水に飛び込んだ。

フラン 「うあああああああっ!」
スカイ 「たあああああああっ!」

ヘイトリッドグリーフは押され続け、何度も何度も倒れる。

スカイ 「今よ、フランボワーズ!」
フラン 「ええ!…ってわあああ!」

もう1体が、フランボワーズのスキを見て攻撃する。

フラン 「きゃあああああ!」

フランボワーズはヘイトリッドグリーフに持ち上げられ、更に振り回される。

瑠璃  「命令してないのにプリキュアに攻撃しているぞ!あのヘイトリッドグリーフすげえ!」
ざくろ 「どうやら頭脳が優れている人物だったようね」

フランボワーズは気を失いかけていた。

スカイ 「フランボワーズを離して!」

ヘイトリッドグリーフに攻撃するも、簡単に避けられてしまう。

フラン 「よ、酔ったぁ……もうらめぇ………」

フランボワーズはぐったりともつれた。

チェリ 「フランボワーズ!」
チップ 「ブルースカイもピンチチプ〜!」

46:苺ましまろ*◆LM:2016/01/09(土) 18:23 ID:W6s

スカイ 「まずあいつから片付けるわ!」

ブルースカイはうろたえるヘイトリッドグリーフに手をかざす。

スカイ 「ブルースカイ・ジャスティス!」

青い花びらがヘイトリツドグリーフを包み込み、浄化させていく。

瑠璃  「くそー、私のヘイトリッドグリーフが!」
ざくろ 「でも私のヘイトリッドグリーフにはキュアフランボワーズがいるから攻撃出来ないはずよ?」
スカイ 「フランボワーズ…」
フラン 「ブルースカイ、私のことはいいから早く浄化してぇ〜」
スカイ 「わ、わかったわ!
ブルースカイ……」

ラピスラズリが再び浄化技を使おうとしたブルースカイの後ろに回り込み、目から青いレーザーの様なものを放った。

スカイ 「うあっ………」
チェリ 「ブルースカイ!?」
チップ 「どうしたチプ!?」

レーザーを当てられたブルースカイは、そのまま硬直してしまった。全く動かない。

瑠璃  「私のレーザーに当たった者は体が石になるのよ!」
フラン 「そんな………うぅ」

更に締め付けられ、フランボワーズも動けなくなる。

瑠璃  「さあ、次はお前だ……」

ラピスラズリがフランボワーズに目を向ける。

フラン 「もう、ダメ………!」

47:苺ましまろ*◆LM:2016/01/09(土) 22:15 ID:W6s

??? 「はああああああっ!!!」
瑠璃  「うぐっーー!!」

レーザーを放とうとしたラピスラズリに、横から何者かにより攻撃される。

瑠璃  「っつー……お前誰だ!!」
??? 「私の名は_____
キュアマーガレット!!!」
ざくろ 「なに…?」
チェリ 「マーガレットチェリ!」
フラン 「あの人が………?」
マーガ 「覚悟しなさい!!」
ざくろ 「まずいぞ…!」

ガーネットは姿を消し、ラピスラズリとヘイトリッドグリーフが取り残される。

瑠璃  「くそ、あいつ……!」
マーガ 「あなただけでもここで浄化してもらうわよ!」

マーガレットは棒立ちのヘイトリッドグリーフ前で両手を大きく構える。

マーガ 「キュアフランボワーズ、避けなさい!」
フラン 「は、はい!」

フランボワーズはヘイトリッドグリーフの中から抜け出す。

48:苺ましまろ*◆LM:2016/01/09(土) 22:27 ID:W6s

マーガ 「プリキュア・ミーティアフラワー!」

無数の星くずがヘイトリッドグリーフを包み込み、浄化させていく。

瑠璃  「っ………覚えてろ!」

ラピスラズリは悔しそうに姿を消した。

スカイ 「………あれ?私…」
フラン 「ブルースカイ!」
ブルースカイが目を覚まし、再び動き始めた。

チェリ 「マーガレット!
……行っちゃうチェリ?」

ゆっくりと歩き始めたマーガレットに気がついたチェリーが叫ぶ。

マーガ 「……何か用なの?」
チェリ 「クローバーのことは…何か知ってるチェリ?あと、私たちの仲間になって……」
マーガ 「それは無理なお願いだわ」
チェリ 「え!?」
マーガ 「あなたたちはまだ半人前だし、私には仲間なんて必要ないわ。足を引っ張らないでちょうだい」
チェリ 「そんな…!」
マーガ 「クローバーのことも、私は何も知らないわ。」
チップ 「そんな〜…」
マーガ 「今後一切、私には関わらないで……」
フラン 「あの!
マーガレットは……マーガレットのハートストーンは……」
マーガ 「…………そこまで知っているのなら、これ以上知る必要はないはずよ。
私のハートストーンはもうないの。ただそれだけ」

マーガレットは冷たい口調でそう吐き捨てると、真っ赤な夕焼けの空の中に飛び込んでいった。

49:苺ましまろ*◆LM:2016/01/10(日) 00:11 ID:W6s

第七話 私たちはプリズム☆シャイニングプリキュア!2人の新しい力


2人は夕焼けを背景に、公園のベンチに並んで座っていた。

なのか 「はあぁ…」
しの  「落ち込みすぎよ、なのか。
私たちが半人前なのは仕方がないことよ?」
なのか 「でもさ、あそこまで冷たく言うってことはさ、相当嫌われてるんだよね?」
しの  「あれはマーガレットの意思じゃなくて、マーガレットのパートナーの妖精の意思…なんだよね」
なのか 「え?」
しの  「あのとき、妖精はいたかしら?」

なのかは記憶を辿ってみる。

しの  「少なくとも私がマーガレットを見たときはそれらしきモノは居なかったわ。」
チェリ 「そういえば居なかったチェリ!」
チップ 「どうやって戦ったチプ?」
チェリ 「しのが覚醒する前は、妖精はいたチェリ!」
なのか 「じゃあどうして……」
ゆりね 「あれ、なのかちゃん…?」

なのかの友達___御園ゆりねが公園に入ってくる。

なのか 「ゆりねちゃん!?」
チェリ 「隠れるチェリ!」

チェリーとチップが2人の後ろに隠れる。

ゆりね 「あ、しの先輩、こんにちは!」
しの  「こ、こんにちは…」
なのか 「どうしたの?」
ゆりね 「ううん、ちょっとね……」

ゆりねは切なそうな表情で夕焼けの空を眺めた。

ゆりね 「なのかちゃん………私ね、」
なのか 「う、うん……」

ゆりねはしばらく黙って、再び顔をあげる。

ゆりね 「ごめんね、やっぱり今日はやめておく。
また、話すときになったら……」

ゆりねは急に立ち上がり、夕焼けの中を走っていってしまった。

なのか 「ゆりねちゃん、どうしたんだろう…?」

なのかはその後ろ姿を見つめる。

なのか (この感覚、昔にも……)

50:苺ましまろ*◆LM:2016/01/10(日) 05:31 ID:W6s

しの  「あの子、どうしたのかしら?」
なのか 「うん……隠し事するような子じゃないんだけど…」
チェリ 「とっても優しい感じがしたチェリ!」
チップ 「暖かい雰囲気の子だったチプ〜」
なのか 「すっごくいい子なんだよ〜」
しの  「私もよく見かけるわ。毎朝校門であいさつしているし、地域のボランティア活動には毎回参加していて、困っている人を助けているところをよく見るわ。
御園ゆりねさん……よね?」
なのか 「うん…」
チェリ 「もう遅いチェリ、早く帰らないとお母さんが心配するチェリよ?」
チップ 「しのもお家に帰るチプ〜」
しの  「そうね、もう6時になるし…」

しのはいつの間にか暗くなっていた空に浮かぶ時計を見ながらそう言った。

なのか 「そっか。
じゃあね、しのちゃん!」
しの  「ええ。
またね、なのか」

お互いは手を振り合いながら公園を出ていった。

51:苺ましまろ*◆LM:2016/01/10(日) 18:01 ID:W6s

しのは薄暗い路地をゆっくりと歩いていた。

しの  「さっきの子、どうして私の名前を知っていたのかしら……
私も見たことあるってだけで、話したこともないのに…」
チップ「なのかから聞いたんじゃないチプ?」
しの  「ふふ、そうかもね」

その頃、なのかは大きな交差点を渡っていた。

なのか 「ゆりねちゃん、どうしてしのちゃんの名前知ってたのかな?
私しのちゃんのこと話した記憶ないけど…」
チェリ 「きっとあの2人が話したことあるんじゃないチェリ?」
なのか 「そっか!」

なのかは交差点を渡り終え、見えてきた自宅に急いだ。

しのは公園からそれほど遠くない自宅へと着いていた。

しの  「ただいま、お母さん」
しの母 「あ、お帰り、しの」

台所からカチャカチャと何かが触れ合う音と、母親の元気そうな声が聞こえる。

しの  「お母さん大丈夫、手伝おうか?」
しの母 「いいのいいの、しのは手洗って休んでなさい!」
しの  「仕事も疲れてるんだから無理しないでよ?」
しの母 「はいはーい!
全く、しのは本当に世話焼きなんだから」

しのは苦笑いしながら洗面所で手を念入りに洗った。

その頃、なのかは自宅の前でポケットを探っていた。

なのか 「あれ、鍵がないよ〜」
チェリ 「鍵がないと中に入れないチェリ?」
なのか 「うん……どうしよー!」

春とはいえ、外はもう寒い時間だ。なのかは不安と寒さに震えながら何度もポケットを探った。

52:苺ましまろ*◆LM:2016/01/10(日) 18:11 ID:W6s

なのか 「どうしよう……お母さんもお父さんも、今日は買い物とお仕事だし……」
チェリ 「チェリーが中に入って鍵を開けてあげるチェリ!」
なのか 「無理だよ、お母さんは戸締まりにはうるさいし、虫が入る隙間もないよ……」
チェリ 「どうするチェリ?」
なのか 「もし………」
チェリ 「チェリ?」
なのか 「もし、今チェリーが居なかったら私………きっと泣いてたよなって…」

なのかは笑いながら言った。

チェリ 「なのか……」
なのか 「ありがとう、チェリー」

なのかは冷たい手でチェリーを抱き締める。

なのか 「えへへ、暖かいや…」
チェリ 「なのか、無理しちゃダメチェリ!こんなに冷たいのに…」

チェリーはなのかの腕の中からすり抜け、赤い光に身を包み、人間の姿になった。

さくら 「一緒に待ってよう」
なのか 「…うん」

なのかはさくらと寄り添いながら、玄関の前に座り込む。

なのか 「私、今……すごく幸せだな……」

その頃、しのは部屋でノートを開いていた。

チップ 「何してるチプ?」
しの  「勉強よ」
チップ 「休まないチプ?」
しの  「うん。私は学級委員長だもの…、最低限のことは出来なくちゃ」

53:苺ましまろ*◆LM:2016/01/10(日) 18:36 ID:W6s

チップ 「なのかも言ってたチプ!委員長でもやらなくてもいいことはたくさんあるって!」
しの  「うん……でもさ、私はクラスのためだけに勉強してるわけじゃないの。」
チップ 「チプ?」
しの  「これは、私のためにもなるの」

しのはノートから顔を上げ、チップを抱き締めた。

しの  「ごめんね、寂しいよね、私が勉強ばっかりしてたら。
私もわかる……いつも独りでいたから」
チップ 「しの……」
しの  「でも、今はチップがいるから…寂しくなんかない…」

チップは青い光に身を包み、人間の姿になった。

まりん 「私は寂しくなんかないわよ」
しの  「え?」
まりん 「だって、しのは私のことを思っていてくれているから!」
しの  「まりん……
ふふ、当たり前じゃない!」

2人は笑いあった。

54:苺ましまろ*◆RU:2016/01/11(月) 01:18 ID:W6s

2日後、ダークグラッジ王国では

グラ  「非常に不愉快な希望と正義の力を感じる」
瑠璃  「申し訳ございません、グラッジ様……」
ざくろ 「あと一歩のところで、キュアマーガレットの邪魔が入りまして…」
瑠璃  「やっぱり私のレーザーが役に立てたかと…」
ざくろ 「でしゃばらないでくれる?」
瑠璃  「お前なにもしてないだろ?」
グラ  「黙れ!!」

ラピスラズリとガーネットは再びグラッジに膝まずく。

グラ  「いいか、今日はガーネット、お前が行け」
瑠璃  「はあ!?!?」
ざくろ 「……ありがかき幸せ」

ガーネットはグラッジに小さくお辞儀をすると、口をぱくぱくするラピスラズリを睨み付け、ダークグラッジ王国から姿を消した。

なのか 「お母さん、学校行ってきます!」
なの母 「行ってらっしゃい!」

なのかは桜が散る街道をスキップで進む。

なのか (あのあと、お母さんが帰ってきて、無事家の中に入れました!)

なのかは嬉しそうに足を進める。

55:苺ましまろ*◆RU:2016/01/11(月) 05:00 ID:W6s

なのか 「しのちゃん、おはよう!」

なのかは先に教室に着いていたしのに挨拶をする。

しの  「おはよう、なのか」
なのか 「まだ私たち以外は来てないみたいだね」

教室はガランと空いていてとても静かだった。

しの  「なんでだろう、もう7時40分よ?」
なのか 「みんな揃って寝坊かな…」

その時だった。
地響きがして、校舎が大きく揺れた。

なのか 「きゃあ、な、何!?」
しの  「あいつらだわ!」

窓の外にはいつにも増して大きなヘイトリッドグリーフの姿があった。

なのか 「しのちゃん、変身するよ!」
しの  「ええ!」
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
しの  「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!」

2人は窓から外に出て、校庭に着地した。

フラン 「今日のヘイトリッドグリーフ、大きくない?」
スカイ 「いつもの10倍はあるわよ…」
ざくろ 「ずいぶんと早かったわね」
スカイ 「ガーネット!!」
フラン 「一体何を企んでるの!?」
ざくろ 「お前たちの大切なクラスメイトたちのハートストーンで作り上げたヘイトリッドグリーフさだ。」
フラン 「みんなの……」
スカイ 「ハートストーン……!」
ざくろ 「強大なヘイトリッドグリーフの力に、お前たちは到底敵わないだろう!!」
フラン 「私たちは諦めない!
行くよ、ブルースカイ!」
スカイ 「ええ!」

2人は大きなヘイトリッドグリーフへと一直線に向かっていった。

56:苺ましまろ*◆RU:2016/01/11(月) 05:12 ID:W6s

フラン 「はあああああ!」

フランボワーズはヘイトリッドグリーフの巨体にハイヒールをめり込ませる。ヘイトリッドグリーフは後ろに飛び、校舎に激突した。

スカイ 「ブルースカイジャスティス!」
フラン 「フランボワーズレボリューション!」

2人は同時に浄化技を放った。
赤と青の花びらが大きな衝突音と共に破裂する。

怪物  「グリーーフ……」
フラン 「そんな!!」
スカイ 「浄化技が……効かない!」
ざくろ 「そのヘイトリッドグリーフは通常のおよそ10倍の力を持っているのよ…2体で敵わなかったお前たちには倒すことは出来ないでしょ!!」
フラン 「そんな……」
スカイ 「やっぱり私たち…マーガレットがいないと……」
チェリ 「チェリーーー!」
チップ 「チプーーーー!」

大空からチェリーとチップが飛んでくる。

チェリ 「諦めちゃダメチェリ!」
チップ 「でもあのヘイトリッドグリーフには敵わないチプ〜」
ざくろ 「さっさと捻り潰してしまえ!」
怪物  「グリーーフ!」
フラン 「うう…………」
スカイ 「フランボワーズ……私たちが頑張らなくちゃ、地球は守れないよ……」

ブルースカイが立ち上がり、フランボワーズに手を差しのべる。

フラン 「でも……」
チェリ 「フランボワーズが言ってたチェリ!
可能性は100%にできるって…!」
フラン 「私……私………」

フランボワーズはブルースカイの手を握り、立ち上がった。

フラン 「ブルースカイと共に戦う!」

57:苺ましまろ*◆RU:2016/01/11(月) 05:19 ID:W6s

その時、チェリーとチップのリボンが光り出した。

チェリ 「これは何チェリ!?」
チップ 「光が溢れてくるチプ〜!」

リボンから光が溢れだし、ヘイトリッドグリーフを跳ね飛ばした。
その光の中から、2つのステッキが現れる。

チェリ 「これは…!」
チップ 「新しい力チプ!」
フラン 「ブルースカイ!」
スカイ 「…ええ!」

2人はステッキを握りしめた。

58:苺ましまろ*◆RU:2016/01/11(月) 05:34 ID:W6s

フラン 「希望の力と」
スカイ 「正義の力を」
「「今、1つに!!
プリキュア!ホープ・シンパシー!」」

2人の掛け声に合わせて、瞬く花たちがヘイトリッドグリーフを優しく包み込んで、浄化させていく。

ざくろ 「っ………いつの間にそんな力を手に入れた!?」
フラン 「私たちが助け合えば!」
スカイ 「どんな困難も乗り越えられる!」
フラン 「ブルースカイ!」
スカイ 「フランボワーズ!」

2人は手を取り合い、にっこりと笑った。

「「希望と正義の2つの心!
プリズム☆シャイニングプリキュア!!!」」

ざくろ「プリキュアの新しい…力」

ガーネットは小さく舌打ちをして姿を消した。

なのか 「新しい力…!」
しの  「2つの力を1つに……」
チェリ 「2人とも素敵だったチェリ!」
チップ 「かっこよかったチプ!」
なのか 「私たちは……」
「「プリズム☆シャイニングプリキュア!!」」

59:苺ましまろ*◆LM:2016/01/11(月) 21:51 ID:W6s

第八話 2人の秘密?野原と海に揺れる2つの想い!


なのか 「うーん、おはよう〜」
チェリ 「もう9時チェリよ?」
なのか 「まだ9時か〜」
チェリ 「まだって!もう学校の授業始まるチェリよ!?」
なのか 「今日は休みなの〜」
チェリ 「そうチェリ。」
なのか 「しのちゃんと散歩しに行くんだけど〜」
チェリ 「待ち合わせは8時だったチェリよ?」
なのか 「そうそう、8じ……」

なのかの額から冷や汗が溢れる。

なのか 「うああああああああああああああ!」

その頃、しのは待ち合わせ場所である公園の前で時計を眺めていた。

まりん 「なのかたち遅いね…」
しの  「事故かしら…病気……とか?」
まりん 「きっと寝坊してるのよ」
しの  「まさか……様子見てくる?」
まりん 「その間に来たらどうする?」
しの  「そうか……入れ違いは困るものね」
まりん 「私が見てくるわよ?」
しの  「悪いわね、お願いしてもいいかしら」
まりん 「任せてよ!」

まりんが妖精の姿になると、なのかの家に向かって飛んでいった。

60:苺ましまろ*◆LM:2016/01/12(火) 03:04 ID:W6s

チェリ 「そんなに走ったら転ぶチェリ!」
なのか 「しのちゃん待たせてるんだよ!?」
チェリ 「せめて朝ごはんだけでも食べないと…!」
なのか 「そんな暇ないしもうすぐランチだから大丈夫っ!」

その頃、なのかとチェリーは全力疾走で公園に向かっていた。

なのか 「うう、お腹空いた…」
チェリ 「言わんこっちゃない!」
なのか 「うう……」
チェリ 「お弁当は?」
なのか 「はっ!」

なのかは急に立ち止まる。

なのか 「お弁当忘れた……!」
チェリ 「取ってくるチェリ!」
なのか 「作ってないよ〜」

なのかは涙目でそう言う。

なのか (仕方ない、お昼も抜きだ)

なのかは再び走り出した。
交差点を渡ると、いよいよ目的地が見えてくる。

なのか 「はぁ………疲れたぁ…」
チェリ 「散歩する体力は残ってるチェリ?」
なのか 「む、無理かも」
公園に入ると、なのかは肩で息をしながら、顔をあげた。

なのか 「し、しのちゃ……ご、めんね……」

なのかの問いかけに、しのからの返事は来なかった。
それどころか、しのの姿さえもない。

なのか 「しの……ちゃん?」
チェリ 「しのもチップもいないチェリ!」

61:苺ましまろ*◆LM:2016/01/12(火) 22:13 ID:W6s

その頃、ダークグラッジ王国から、ラピスラズリの姿も消えていた。

なのか 「どうしよう〜!」
チェリ 「しのが寝坊なんて考えられないチェリ……怒って先に帰ったんじゃないチェリ」
なのか 「うう、しのちゃん…」

なのかは地面に座り込んでしまった。

しの  「ごめんお姉ちゃん、今友達と待ち合わせしてて」

しのは公園の裏で誰かと電話していた。

しの  「うん。帰ったら電話するね」

しのは電話を切った。

チップ 「誰からチプ?」
しの  「従姉妹のお姉さんよ」
チップ 「どうしたチプ?」
しの  「話があるって。」
しの  (なのか……大丈夫かな)

しのは不安を胸に公園に戻った。

62:苺ましまろ*◆LM:2016/01/14(木) 05:22 ID:W6s

しの  「なのか!!」

公園に入ると、座り込んだなのかの姿があった。

なのか 「あ、しのちゃん……」
しの  「どうしたの、顔色悪いじゃない!」
なのか 「うぅ、お腹空いた……」
チェリ 「朝から何も食べてないチェリ」
しの  「もう、ちゃんと食べなくちゃダメでしょ!?」
なのか 「でも、しのちゃん待たせちゃうし……」
しの  「私のことより自分のことを大切にしなさい!
朝ごはんはちゃんと食べなくちゃいけないの!」

しのはなのかに説教する。

なのか 「は、はい」
しの  「じゃないと目眩がしたり倒れたりするんだから」
チェリ 「そうチェリ!
電話して遅れることを伝えればいいチェリ」
なのか 「だってしのちゃんの番号知らないもん」
しの  「そういえば……」
なのか 「私なんて携帯電話さえ持ってないよ?」
チェリ 「それはいいチェリ!
とにかくどこかで休むチェリ」
なのか 「う〜ん…」
まりん 「私何か飲み物買ってくるわ」

まりんは自動販売機を探しに公園を出ていった。

しの  「気をつけて!」
チェリ 「近くに広い野原があったチェリ!
そこに行くチェリ!!」
なのか 「野原…?」
チェリ 「風通しが良くて気持ち良かったチェリよ」
しの  「良いわね、行きましょ!」

63:苺ましまろ*◆LM:2016/01/14(木) 05:29 ID:W6s

まりん 「スポーツドリンク買ってきたよ」

まりんが帰ってくる。

なのか 「あ、ありがとう」
しの  「野原はどこにあるの?」
チェリ 「未来川の隣チェリ」

なのか (未来川……、この町の名所として有名な川のことだ。水も綺麗で、海に繋がっている……私はまだ行ったことないっけ……)
しの  「ついでに海にも行ってみる?バスに乗ればすぐ行けるわよ」
チェリ 「行くチェリ!」
まりん 「途中でお弁当買う?」
なのか 「楽しみ〜♪」
チェリ 「海に行くの初めてチェリ!」

チェリーは光に身を包み込み人間の姿になった。

さくら 「なのかは私がおぶって行くわ」
なのか 「恥ずかしい…」
チェリ 「グズグズ言わないの!」
なのか 「はい…」
しの  「それじゃあ、出発しましょ」
さくら 「レッツゴー!!」

4人は公園を出ていった。

64:苺ましまろ*◆LM:2016/01/15(金) 00:12 ID:W6s

4人はしばらく歩き、未来川に到着した。

さくら 「う〜ん、着いた!」
まりん 「水も透き通っていてとても綺麗ね」
なのか 「菜の花も咲いてるよ〜」
しの  「風も気持ちいいね」

4人は芝生の上に腰掛け、広がる青空を見上げた。

なのか 「こんなに綺麗な世界、ダークグラッジたちに壊させたり出来ないよね」
しの  「……ええ」
まりん 「そもそも世界征服して何がしたいんだ?」
さくら 「それは私たちにも分からないよね」
なのか 「きっと深い訳がないと… そんなことしないと思うよ」
しの  「…そうね」

65:苺ましまろ*◆LM:2016/01/15(金) 20:52 ID:W6s

その頃、商店街をラピスラズリが重い足取りで歩いていた。

瑠璃  「きっともう、次はないぞ……グラッジ様がお怒りだ…」

何かをぶつぶつ言いながら前を歩く親子を睨む。

瑠璃  「幸せそうだ……忌々しい
お前のハートストーンを………」

手を構えかけて、ラピスラズリの表情が歪んだ。

瑠璃  「ハートストーンが…出てこない」
ざくろ 「それはあなたが用済みのゴミだからよ」
瑠璃  「ガーネット…いつからそこに」
ざくろ 「負け犬が私の名前を気安く呼ばないでくれる?」
瑠璃  「っ…」
ざくろ 「とにかく、グラッジ様はもう帰って来なくていいって」
瑠璃  「そんな…」

66:苺ましまろ*◆LM:2016/01/17(日) 00:44 ID:W6s

瑠璃  「………」

ラピスラズリは光を失った瞳でガーネットの後ろ姿をぼーっと眺めていた。

瑠璃  「プリキュア……絶対に許さない」

その頃、4人は川沿いを歩いていた。

なのか 「しのちゃんって、何か秘密とかある?」
しの  「どうしたの、急に」
なのか 「えへへ。
ただ、一緒に戦っていくのに、隠し事されるのが寂しいって言うか…」
しの  「……」
さくら 「なのかはしののこと信じてないの?」
なのか 「まさか!」

なのかは菜の花の茎を器用に編みながらゆっくりと歩いていった。
風に揺れるしのの髪を眺めながら口を開いた。

なのか 「信じてるから、信じてるからこそ……隠し事はされたくない」
しの  「なのか…」
なのか 「私もしのちゃんに全部言う。嬉しいことも、悲しいことも…」
しの  「私も、私もなのかに何でも言う!」
まりん 「この間まで全く喋らなかった2人……」
さくら 「素敵だね」

67:苺ましまろ*◆LM:2016/01/18(月) 19:23 ID:W6s

しの  「この先何があっても、ずっと一緒に居ましょう」
なのか 「うん…」
瑠璃  「それは叶わぬ約束だな」
なのか 「!ラピスラズリ!」
しの  「どういうこと!?」
瑠璃  「言葉の通りさ」

さくらとまりんは妖精の姿になり、2人の後ろに隠れた。

チェリ 「いつもより…」
チップ 「邪悪な力が強いチプ…」
なのか 「え!?」
しの  「それでも…」
なのか 「私たちは戦う!」

2人はシャイニングストーンを構えた。

68:苺ましまろ*◆LM:2016/01/19(火) 03:21 ID:W6s

なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
しの  「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!」
2人  「希望と正義の2つの心!
プリズム☆シャイニングプリキュア!」
瑠璃  「今日こそお前たちを倒してやる!」
チェリ 「いつもと様子が違うチェリ!」
チップ 「気を付けるチプ〜!」
フラン 「うん…!」

フランボワーズとブルースカイは防御の体制を取った。

瑠璃  「私はもう誰にも頼らない

フラン 「え?」
スカイ 「何…?」

2人は構えていた腕をゆっくりと下ろした。

瑠璃  「ヘイトリッドグリーフも役に立たないし…ダークグラッジ様もあいつばっかり使うし……」
フラン 「あいつって…」
スカイ 「ガーネットだわ」

2人はふらふらとよろめくラピスラズリから少しずつ距離を置く。
いつ攻撃してくるか分からない。

チェリ 「どうするチェリ?」
フラン 「今のうちに…!」
スカイ 「待って!」

ブルースカイがフランボワーズの前に出てラピスラズリをかばった。

69:苺ましまろ*◆LM:2016/01/19(火) 03:34 ID:W6s

フラン 「ブルースカイ…」
チェリ 「どうしてそいつをかばうチェリ!?」
スカイ 「待って…違うの」
フラン 「え…?」

ブルースカイは顔を上げてフランボワーズを涙が浮かぶ瞳で見つめた。

スカイ 「この子は敵じゃない!」
チェリ 「え!?」
フラン 「うそ……」
スカイ 「だから、攻撃しないで」

大粒の涙をこぼしながら、ブルースカイはラピスラズリを見つめた。

瑠璃  「あんた……」
スカイ 「あなたは本当は、私の…」

ズドン!!!
鈍い音と共に、ガーネットが現れた。

瑠璃  「お前……!!」
ざくろ 「グラッジ様が帰れと……」
瑠璃  「だって私には…!」
ざくろ 「それは取り消しよ」
スカイ 「待って!」
ざくろ 「……なにかしら」

ガーネットは冷たい瞳でブルースカイを睨んだ。

スカイ 「その子は渡さない」
ざくろ 「は?あなたはバカ?
こいつはあなたたちの敵よ?我らがグラッジ様の忠実なしもべなの!」
スカイ 「そんなの関係ない!
その子は……その子は……」
ざくろ 「…さっさと行くわよ」
瑠璃  「………」

ラピスラズリは無言でうなずき、ガーネットと共に去っていった。

70:苺ましまろ*◆LM:2016/01/19(火) 22:04 ID:W6s

スカイ 「待って!」

ブルースカイは必死に叫ぶが、既に彼女たちの姿は消えていた。
ブルースカイの変身が解け、そのまま座り込む。

なのか 「しのちゃん!」
チップ 「しの〜〜!」
しの  「お願い、今は一人にさせて……」

しのは顔を上げずに一人で海の方向へ歩いていった。

なのか 「しのちゃん……」
なのか (しのちゃんはラピスラズリのこと、何か知ってるの?
だとしたら…)

71:苺ましまろ*◆LM:2016/01/21(木) 02:58 ID:W6s

しのは息を切らしながら浜辺を走っていた。

しの  「はあ…はあ……」

そのあとをチップが追いかける。

チップ 「待つチプ〜、しの〜!」
しの  「………」

しのは何も言わずにただ走り続ける。

チップ 「急に走ってどうしたチプ?なのかもチェリーも心配してるチプ〜!」
しの  「………」

しのは聞こえないふりをしてひたすら走った。

しの  (まさか……やっぱりあの子は……)
チップ 「このままじゃ追い付けないチプ……」

チップは人間の姿になる。

まりん 「待ちなさい、しの!」

まりんはしのの腕を掴んだ。

しの  「……離して」
まりん 「しの!」
しの  「放っておいて!」
まりん 「ちゃんと言いなさい!」
しの  「……あなたには関係ない」
まりん 「私はしののパートナーよ!?放っておくなんて…」
しの  「パートナーだからって付きまとわれても困るの……」
まりん 「しの……」

しばらく2人は黙って立っていた。

72:苺ましまろ*◆LM:2016/01/21(木) 03:01 ID:W6s

先に動いたのはしのだった。

しの  「ごめんね、ごめんなさい…」
まりん 「謝らなくていいよ!」
しの  「どうしよう……」

しのは泣きながらまりんの胸に顔を埋める。

しの  「ラピスラズリは、私の従姉妹のお姉さんだった」
まりん 「え……?」

浜辺にたたずむ2つの影が大きく揺れ、音を立てて崩れ落ちた。

73:苺ましまろ*◆LM:2016/01/21(木) 03:09 ID:W6s

第九話 しのの思い!ラピスラズリを取り戻せ!


なのか 「えー?しのちゃんが登校拒否!?」
チップ 「声が大きいチプ!」
なのか 「ごめんごめん…」

次の日、なのかの家の前でチップとなのかが話していた。

なのか 「なんで!?」
チップ 「その……」
なのか 「昨日も走って行っちゃったし、ラピスラズリのことかばってたし…どういうこと?」
チップ 「チプ……」

チップは黙り込んでしまった。

チップ 「なのか、落ち着いて聞くチプ。決して聞き流すなチプ!
いいチプ?」
なのか 「う、うん」

緊迫した空気に、なのかは肩に力を入れる。

チップ 「実は、ラピスラズリはしのの………」

チップは暗い顔で説明した。

なのか 「えええええーーー!?
ラピスラズリがしのちゃんのお姉さんーーーー!?」
チップ 「声が大きいチプーーー!」
なのか 「むぐ」

なのかは慌てて口を押さえる。

なのか 「どういうことなの、チップ!」
チップ 「僕も詳しいことは分からないチプ……でも、昨日しのはそう言ってたチプ」
なのか 「どうして急に…」
チップ 「今からしのの家に行くチプ」
なのか 「え!?今から学校…」
チップ 「それよりしのチプ!」

74:苺ましまろ*◆LM:2016/01/22(金) 22:02 ID:W6s

なのか 「私ただでさえ成績悪いのに授業休んだら終わりだよ〜っ!」
チップ 「じゃあこのままでいいチプか!?」
なのか 「うっ…」

なのかはチップの言葉に押される。

なのか (しのちゃんは私のためにプリキュアになって、たくさん励ましてくれた。
しのちゃんが居なかったら、私は今頃ボロボロに負けてるよね…)

なのかは決心したようにチップを見つめた。

チップ 「チプ?」
なのか 「今度は私がしのちゃんを助けるんだから!」
チップ 「チプ〜!
なのか〜!」
なのか 「よし、行こう!」
なの母 「なのか〜!」
なのか 「いぃっ!!」
なのか (お母さん!!)

二階の窓からなのかの母親が顔を出した。

なの母 「何してるの、遅れちゃうわよ!?」
なのか 「うん、分かってる」

なのかは冷や汗をかきながら母親に返答する。

なの母 「ん、何そのぬいぐるみ」

なのかの母親はチップを指差す。

なのか (ギクッ)
なの母 「そんなの持ってたっけ?」なのか 「か、家庭科の授業で作ったんだよ!」
なの母 「ふーん?」
なのか (早く行かせてよ〜)

なのかは涙目で腕時計を横目で見た。
既に8時を回っていた。

なのか (ヤバイ!授業始まっちゃう!)

75:苺ましまろ*◆LM:2016/01/24(日) 06:22 ID:W6s

なの母 「何してるの?早く行きなさい!」
なのか 「うん…」

なのかは仕方なく歩き出した。

チップ 「どうするチプ!?」
なのか 「ん…」
チップ 「なのか〜!」

チップは黙々と歩くなのかに苛立つ。

なのか 「とりあえず学校には行かなくちゃ…」
チップ 「チプ………」
なのか 「しのちゃんのことは私から先生に伝えておく。」
チップ 「…よろしくチプ」

交差点の前で2人は別れた。

なのか 「ヤバイよ、怒られる…」

なのかは急ぎ足で横断歩道を渡った。
やっと白い校舎が見えてきた。

なのか 「門閉まってる…」

校門の横のインターホンを押す。玄関から中年の男性が出てくる。

なのか 「すみません、遅刻です…」
清掃員 「気を付けなよー」

清掃員と見られるお男性は面倒くさそうに校門を開ける。
なのかは申し訳ない気持ちで校門を潜る。

スニーカーから上履きに履き替え、4階まで階段を上った。

なのか 「おはようございます!」

教室に入ると、生徒たちはまだ教室のあちらこちらに散らばっていた。

生徒  「あ、なのかちゃん、おはよう!」
なのか 「あれ?先生…は?」
生徒  「まだ来てないみたい」
生徒  「今日は学級委員会だから海風さんがいないと始められないのよ」
生徒  「しのちゃんはまだ来てないし…」

76:苺ましまろ*◆LM:2016/01/25(月) 05:55 ID:W6s

なのか 「あ、あの……」
生徒  「ん?」
なのか 「今日、しのちゃんは具合が悪くてお休みするみたいなの…」
生徒  「えっ、本当!?」
生徒  「どうする…?」
生徒  「私たちでやるしかないよ?」

生徒たちは混乱したように話し合う。

なのか (どうしよう…しのちゃんもチップも大丈夫かな…)

なのかは不安になり胸を押さえて息を整えようとした。

なのか (やっぱり心配!……ええいっ)
なのか 「私、今日なんだかお腹痛いし、熱っぽい……早退するって先生に伝えておいて!」

なのかは教室を飛び出し、階段をかけ降りた。

生徒  「了解ーーー……」

小さく生徒の返答が聞こえ、少し安心した。

なのか (しのちゃんを独りで悩ませたり出来ない……
一緒にラピスラズリを……しのちゃんのお姉さんを取り戻そう!)

なのかは靴に足をつっかけたまま飽きっぱなしの校門を飛び出した。

なのか 「しのちゃん……しのちゃん……!」

なのかは必死に走った。

77:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/03(木) 21:23 ID:W6s

最近プリキュア書く人多いな〜…*
名前かぶらないか心配なのであげます**

78:雪村悠乃:2016/03/09(水) 14:54 ID:OiI

似たようなスレッド多いですよ
プリズム☆シャイニングプリキュアが
見た感じ2、3こあるんですが・・・
乱立って言うんですかね、
もうあまり立てないほうがいいかと

79:苺ましまろ*◆LM hoge:2017/03/01(水) 05:23

>>78すんごい今更でほかのスレッドは見付けられなかったのですが、注意ありがとうございました~*(。ᵕᴗᵕ。)"
以後気をつけます…*

また書こうかな…*
設定とかは少し残されていたので、前に思い描いてた話じゃなくても書けそう✨

80:苺ましまろ*◆LM:2017/03/12(日) 07:58


http://otameshipost.gonna.jp/novels_ss/novels_ss.cgi?mode=view&id=sakura15ichigo&no=1

こっちで書く*

81:ディアン◆Sw:2017/03/12(日) 13:34

とても面白いです。プリキュアのキャラ達がどれもこれも

82:苺ましまろ*◆LM:2017/03/12(日) 16:16


>>81ありがとうございます~*
キャラクターは結構頑張って考えたので嬉しいです( *ᐢ´꒳`ᐢ* )

83:ディアン◆Sw:2017/03/12(日) 20:33

>>82
プリキュアは最近少しなりきりのキャラ勉強の為に見始めたのですが、面白いですね。ワンプリ(ONE PICEとープリパラのクロスオーバー)のONE PICEキャラと仲良く出来そうです。

84:苺ましまろ*◆LM:2017/08/25(金) 20:38


他の小説サイトで書いていたんですが、なかなか上手くいかず書けてなくて、向こうで更新する前にこのすれでゆっくり書いて修正しながら投稿しようかな、と思います。

なのでまたゆっくりだけど書いていこうと思います。
最初からやり直しですm(*_ _)m


>>83そうなんですね!ワンピースはよく知らないけどプリパラもプリキュアも女の子向けアニメだから少し似てるかもしれないですね~😆🍓

85:苺ましまろ*◆LM:2017/08/25(金) 20:39



第1話 受け継がれし力


__遠い過去の記憶。
あの時、私を助けてくれた黄色い女の子。
あの子にもう一度会いたい。あの時のお礼を言いたい。


『きっと届くよ。あなたのそのキレイな“ハートストーン”があれば...』


 

86:匿名:2017/08/25(金) 22:16

プリキュア!は既存の物語なので、二次創作板で書いた方がいいのでは……?


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