みんなおかしくなっていく。
今までは普通でつまらない日常だった。
───なのに、何で…。
>>2主人公(後からいろいろと登場人物増えるかもです)
〜主人公〜
城田 麗歌(しろた れいか)
クールな高校1年生。
周りがだんだんおかしくなっていくことに気付いていく。帰宅部で、友達は少ない。
目覚まし時計が鳴った後、目をこすりながらもう片方の手で目覚まし時計のボタンを荒く押す。
「お母さん、また仕事か…」
私は机の上に乗ってある冷めたご飯を口にして言った。
いつも通り制服を着て、いつも通りの道で行き、いつも通りの日常を繰り返す…
はずだった。
「おはよー!」
「おはよー」
挨拶が交わされる中、
私はただ無表情のまま席につく。
窓の方では男子がはしゃいでいる。
いつもと変わらない。
寝ようと思った瞬間、静にドアが開き、理科の先生が入ってきた。
「はい、席につきなさーい」
先生は窓の方にまだいる男子に声をかけ、朝礼を始めた。
時間割を学級委員が発表したあと、先生はプリントを束ねながら話し始めた。
「今日はみんなの大好きな、解剖をやるからね」
先生は手を合わせ、笑顔でそう言った。
解剖…?
この前の理科の授業の時、
「次の授業は細胞研究をやります」
って言ってなかったっけ…。
「先生ー、解剖って何を解剖するんですかー?」
クラスのお調子者が手を挙げた。
「うんとねー、それは秘密よ」
先生は笑いながら言っていたが、目は笑ってなかった。
>>4
静かの‘か’が抜けてました…
面白そうずら〜!
続き待ってるずらね♪
>>6
ありがとうございます😭
頑張ります!
いぬきかなこが描きそうなやつやな。面白そう、
9:あまたん(・∀・)◆YQ:2018/05/09(水) 20:19 >>8
面白い小説にできるように頑張ります(`・ω・´)
何を解剖するのかは分からないが、とりあえず足早に生物室に向かった。
「キィ」という謎の声らしきものが聞こえたが、空耳だろうと思い、気にしなかった。
先生はニコニコしながら机にもたれかかっている。やはり目は笑っていない。
それぞれの机には、
30cm程の蛾が乗っていた。
いや、‘それ’には何故か
─────鋭い歯がついている。
‘それ’はキィキィと鳴き、見る生徒を怯えさせる。
一人の女子が震えながら言った。
「先生、もしかして解剖するものって…」
「ええ、‘これ’よ」
先生はメスを一本ずつ生徒に渡し始めた。
その時、‘それ’は女子の一人の手に噛みついた。
手からは血が出ている。
しかし、その子は何も動じないまま、
「可愛い」と呟いた。
私は「危ない」と思い、その蛾のようなものを引き剥がした。‘それ’は床に落ち、必死にもがいた。
先生は怪我をした女子の手を消毒し、包帯を巻く時、
「城田さんは解剖を行って。手当ては私がやるから」
と、私に言った。
解剖って何をやればいいんだ…。
ホワイトボードには
「教科書p121」
と書かれていたので、そのページを開いた。
とにかく鋭い歯を持つ‘それ’の解剖のしかたが載ってあった。
メスを持ち、
‘それ’を切る。
「ギイイイィィィィ!!!」
‘それ’は気が遠くなる程の奇声を発し、動かなくなった。
その時、チャイムが鳴った。
先生は手当てを終えたようで、すぐ職員室に戻った。
私は深呼吸をして生物室を出た。
気になる…続き楽しみにしてます!
13:あまたん(・∀・)◆YQ:2018/05/11(金) 07:16 >>12
ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
頑張ります
6時間目までずっとあの事を考えていた。
解剖のときに見た‘あれ’は何だったのか。
幻じゃないか、と思う自分と、
ありえないい‘何か’がいた、と思う自分がいる。
バックを肩にかけて教室を出ようとしたとき、
後ろから声をかけられた。
中学校から仲が良い結月だった。
結月は口角を上げ、
「一緒に帰ろう!」と言ってくれた。
私には分からなかった、
この後起きることが。
解剖のことは話さなかった。
どうせ話しても信じてくれなさそうだったから。
部活のことについて話していると、
結月が急に立ち止まった。
「ねえ、これ覚えてる?」
何のことかと考えていると、
結月はいきなり
「ドーン!ドーン!」
と叫び始めた。
思い出した。中学のときにやったやつだ。
とっさに私は
「ドンドンだ!ドンドンだ!逃げろー!」
と言い、全力で走った。
‘ドンドン’というのは、私たちがつくった架空の妖怪のようなもので、夕方にどちらかが「ドーン!ドーン!」と言うと、二人とも全力で走る、ということをしていた。
力尽きるまで走ると、すごく気持ちよかったので、昔は結構やっていた。しかし、部活が忙しくなるにつれ、やる回数も減り、高校に入ってからはやらなくなっていた。
結月も私に追いつき、激しく息切れをしていた。
そして、額の汗を拭って、顔を見合わせて笑った。
息切れが治まると、また結月が
「ドーン!ドーン!」
と叫ぶ。
「あは、ドンドンだ!」
と笑顔で私が言った時、
「こらーっ!!」
向こうからお爺さんが怒鳴りながら走ってきた。
いきなりだったので私たちは沈黙になった。
「ドンドンなんて言ってはならん!」
「え…?」
ドンドンは私たちがつくった架空の生物。
他の人が知るはずなんてないのに…。
お爺さんは結月を指差し、
声を落として言い放った。
「あんた…憑かれとるな」
「何言って…」
結月は途中まで言ったあと、
急に地面にしゃがみ込んだ。
「キャハハハハキャハハハハ!!」
すると、結月は白目をむき、
激しく笑いだした。
「いかん、すぐに祓わんと…!」
お爺さんは携帯でお婆さんを呼びだし、
結月を神社へ連れて行った。
私も行こうとしたが、
「あんたには危険だ」
と止められてしまった。
家に帰ると、お父さんが誰かと電話で話していた。
どうやらあのお爺さんらしい。
そして、お父さんが受話器を置いたときに
「結月に何が起こったの?」
と聞いた。
お父さんはお茶を飲んで、
答えた。
「ドンドンの仕業だ」
「え…?」
‘ドンドン’という言葉に、私は驚いた。
そして立ち尽くしている私を見ずに、
お父さんは続けた。
「爺さんはお前がその友達と『ドンドン』と叫び、遊んでいたのを目撃したそうだな。
ドンドンっていうのは、姿も存在も分からないが、呼んではならないやつなんだ。そいつを呼んでしまったから、あの子はあんな風になってしまったんだ」
私が質問しようとしたが、
「もうそれは話すな」と言われた。
昔した結月との遊びは、
一体何だったのだろうか。
私はお風呂に入り、ご飯をあまり食べずに
寝室に行った。
…何かいる。
何か知らないけど机の横に
ヤギの頭みたいなの被り物した人が立ってる…。
「誰…」
そいつは私に気付き、頭を下げた。
「申し遅れました。私、貴方様の住居に居させていただいております」
「へー…悪魔?」
私は少し興味深くなり、質問した。
「はい」
本で読んだことがある。
バフォメットっていう悪魔に似ている。
「貴方名前あんの?」
「ありません」
彼は窓の外を見ながら言った。
「じゃあ、バフォミンって呼んでいい?」
どうやらバフォメットからとったと分かったのか、彼は素直に頷いた。
…眠れない。
まあ部屋にバフォミンがいるからってのもあるけど、なぜか恐怖心が一段と強い。
「…んあー寝れない」
私はついに飛び起きて、バフォミンを置いて
コンビニへ行こうとした。
玄関のドアを開けようとしたとき、
どこからか奇声が聞こえた。
人の声じゃないな…。
コンビニに入ると、
なぜか店員が段ボールを被っている。
不審に思いながら、コーラを手にし、
レジに出した。
店員は何も言わずに会計を済ませたが、
低い声で「…サー…ビスで、す」と言った。
すると、店員は被っている段ボールを開けた。
すると、その中から大量のハエが出てきた。
店員はその場にバタリと倒れた。
私は恐怖のあまり、叫び声も上げずに
ひたすら走り続けた。
もうハエは追ってこなかった。
「あれ、家と逆方向に走っちゃったか…」
またあのハエの軍団に追われるのは嫌なので、少し遠回りをして帰ることにした。
田んぼのあぜ道をゆっくりと歩く。
後ろから「ベタッベタッ」と何かがついてくる。
私が止まったら、その音はどんどん大きくなる。
怖くなり、走って音が消えるのを待った。
「ドーンドーン」と後ろから聞こえてくる。
あれ、
ドーンドーンって…。
その太鼓のような音は次第に大きくなっていく。
振り向くことすらできない。
音が消え、後ろを見ると
何もいなかった。
ほっとして、前を見ると、
黒い顔のようなものが。
「ミツケタ」──────
気がつくと、自分のベッドに横たわっていた。
隣にはお父さんが「心配したんだぞ」と頭を撫でてきた。
私は起きて、バフォミンを探した。
庭にいた。
「ねえ聞いてよバフォミン」
「はい?」
私はバフォミンに全てを話した。
バフォミンはゆっくりと歩きだし、
呟いた。
「やっぱり、この街がおかしいのか…」
私にはその言葉の
意味がよくわからなかった。
朝になった。
そうか、今日は休日だ。
特に用事はないので、近くの山に
行こうと思った。
ポシェットを持って、私は山に向かった。
「特にやることは無いんだけどなあ…」
休日を何もしないまま過ごすのは嫌だったので、
川で遊ぶことにした。
「昔ここでよく遊んだな…ん?」
白いワンピースをした高身長の女の人がいた。
石を拾っては、よく見つめている。
その人は、綺麗な石を見つけると、
こちらに向かってきた。
後ずさりしてしまったが、
女の人は笑顔で歩いてくる。
「この石、綺麗じゃない?」
確かに綺麗な石だった。
「あ、はい」
少し返事をすると、女の人はにっこり笑って、
どこかへ歩き出した。
つられて私も足が動き、
女の人についていった。
特別美人だったわけではないが、
何かオーラのようなものが放たれてる、
そう感じた。
女の人についていくと、
どんどん山の奥の方に入っていった。
これほど奥に行ったことはない。
私は辺りを見回しながら歩いていると、
女の人はある場所で止まった。
祠のようなものがある。
すると、女の人は祠をこじ開けた。
「え、大丈夫なんですか…?」
何のために祠を開けているのか分からず、
後ずさりをした。
何かが入っている。
そっと覗くと、
小さい木の枝で
「ロクソクサマ」
と書いてあった。
>>25
メモ消すの忘れた…
ロクソクサマって何だろう。
誰かのいたずらだろうか、
だとしたら何でわざわざ祠に入れたんだろう。
女の人は、木の枝の文字をバラバラにした。
…嫌な予感がする。
昼なのに、暗い。
不安になっていると、
女の人は、
「おいで」と私の手を引いた。
私は返事をする間もなく、近くの茂みに隠れた。
すると、声が聞こえてきた。
「アァ…ア…」
人の声のようだ。
私が茂みから出ようとすると、女の人が
私の腕を引っ張って止めた。
その声は大きくなっていく。
私は恐怖で目を閉じた。
声は祠の前で止まった。
ゆっくりと目をあけると、3人の誰かの足が見えた。
しかし、何かがおかしい。
少し葉っぱをどけてみると、
3人の足ではなかった。
‘1人の足’だった。
私にも何が起きているのか分からない。
ただ、目の前に
6本足の化け物がいるだけだ。
化け物は、祠を覗いているようだ。
そして、ゆっくりと引き返した。
ほっとしたが、隣の女の人が話かけてきた。
「ねえ、面白いことしてみない?」
女の人はニヤニヤしながら、
ポケットから鈴を取り出した。
「六足様はね、鈴の音に敏感なのよ」
女の人は鈴をぶら下げた。
チリーン…
嫌な予感が当たった。
6本足の化け物は向きを変え、こちらに向かってきた。
女の人は、私の腕を怪力で掴むと、
一気に走り出した。
6本足の化け物の顔を見てみた。
…あれ、この顔どこかで…
「ほら、走って!」
女の人に言われるまま、私は
走っていった。
息が切れ、後ろを振り返る。
あの化け物はもう追ってこない。
「六足様、面白いでしょ?」
女の人は私をまた川に連れて行き、
去っていった。
私は家に帰り、
ご飯を食べながら起きたことを
振り返ってみた。
六足様とは何なのだろうか。
寝室に行っても
バフォミンはいなかった。
出掛けてるのかな。
私は、あの時
六足様の顔を見た気がする。
「誰だっけ…」
思い出すことができずに、
私は眠りについた。
起きて時計を見ると、6時だった。
「今日は…日曜日か」
昨日はバフォミンがいなかったのに
隣に彼がいることに驚いた。
「…びっくりしたなあ」
「申し訳ございません」
バフォミンはお辞儀をした。
リビングに行くと、一枚メモが置いてあった。
「お父さんは今日から出張なんだ。
今日夜に叔母さんが来るから、朝はコンビニのもので我慢してくれ。 父より」
と、書いてあった。
特にお腹も空いてないので、
あの山に行くことにした。
特に理由も無く、
なぜかあの女の人を探したくなった。
川に行ってみた。
女の人はいない。
「あの人は何だったんだろうな…」
そう呟いてから、山の奥へ
走り出した。
祠を見つけた。
あの六足様とかいう化け物が覗いていた祠だ。
祠をのぞき込んで、中を確かめた。
木の枝で、また「ロクソクサマ」と
記してあった。
誰かが戻したんだろうか。
きっとそうだ。
私は祠に背を向け、
山を下っていった。
最初の方に書くの忘れた…。
コメント大歓迎です!
結月の家に行った。
結月のお母さんが「いらっしゃい」
と出迎えてくれて、
ジュースとクッキーを出してくれた。
「ごめんね、麗歌ちゃん。結月はまだ学校に
行けないみたいなのよ」
「え…どうして?」
結月のお母さんは、結月の部屋を
指差した。
結月のお母さんは、真顔で
階段を上がっていった。
私は結月の部屋のドアをノックした。
うなり声が聞こえる。
「結月?」
「ああああ!!」
うなり声から叫び声に変わり、
私は後ずさりをした。
ドアが少し開き、声がした。
「麗歌…?」
ほうっっっっっとうに失礼な質問ですけど、
アマテラスさん、
はずネジ読者だったりします?
>>35
はい、
それを参考に書いております…。
>>36
やっぱり!
なんか読者仲間で嬉しい...♪ (#^ー°)v
この作品、とっても面白いです!
小説板の中で一番すごいと思います!
これからも頑張ってくださーい!
>>37
ありがとうございます😭
褒めていただき嬉しい限りです!
頑張ります(*^^*)
結月が手招きをして、
私は部屋に入った。
部屋は暗く、床には
ノートが散らばっていた。
「私ね…ドンドンを…調べたの」
そう結月は言うと、勉強机に置いてある
一冊のノートを見せてくれた。
「私たちの、ただの遊びだったのに…!」
彼女は泣き始めたので、
背中をさすってあげた。
こうなったのは、なぜなんだろうか。
この町は
なぜおかしくなったのだろうか。
とっさに私は、結月の家を出て、
帰ることにした。
「ねえバフォミン」
「何でしょうか?」
「何で私のスマホいじる必要があんの?」
今私は、彼にスマホを貸している。
どうしても使いたいと言うもんだから、
いじらせてあげているのだ。
「いや…面白いですね、スマホ」
彼は質問に答えず、
私も質問しなかった。
すると、私を呼ぶ声がした。
玄関に行くと、叔母さんが
荷物をおろしていた。
「久しぶり、麗歌ちゃん!元気?」
「え、まあ…」
叔母さんは、ニコニコしながら
荷物をどかした。
「今日ね、久々にハンバーグを
作ろうと思ってね」
「え、やった!」
私は飛び跳ねた。
「うふふ、じゃあ作るから待っててね」
叔母さんはキッチンへと向かっていった。
私は部屋へ戻った。
今まで起きたことは、
一旦忘れよう。
そう思った。
「麗歌ちゃーん、できたわよー」
ゲームをしていたら、叔母さんの
呼ぶ声が聞こえたので、急いで
リビングの方へ向かった。
…何これ。
「これがハンバーグという物ですか?」
私はあっけにとられながら
首をふった。
目の前に、どう見てもハンバーグじゃない
ものがある。
小牛?いや、違う。
‘顔が人間’なのだ。
「あら、麗歌ちゃん。食べないの?」
「いや…いいです、お腹空いてないんで」
「あらそう。じゃあ、冷蔵庫にしまっておくわね」
いや、やめろよ。
私は心の中でつっこんだ。
良きですねぇ、、、。
こういうジャンルは何でも好きなのでとても良きです。
バフォミン、、、
>>43
ありがとうございます!
バフォミン…(°°)
あの、私も最近書き始めたのでぜひぜひ読んでいただけると、、、!( 明らかな宣伝 )
46:アマテラス◆YQ:2018/06/03(日) 20:10 >>45
はい、読ませていただきます!
私は食欲が一瞬で無くなった。
「食べてもいいですか?」
バフォミンが手を伸ばそうとしたので、
すぐに止めた。
私はゆっくりと自分の部屋に戻り、
机に突っ伏した。
「あー…お腹が、おぇぇ…」
吐き気がした。
すると、後ろからガサガサと音が聞こえた。
バフォミンが箱の中から薬を出してくれた。
「いや、いいよ」
彼は戸惑いながら薬を箱に戻した。
優しいな。
私は、なぜかあの子牛を
観察してみたいと思った。
叔母さんに会うのが
怖くなったので、音を立てずに
リビングへ向かった。
子牛がいない。
リビングでは、叔母さんが包丁を
持ちながら、何かを探している。
「あら、おかしいわね。せっかく
‘切ろうと思ったのに’」
私は冷や汗が出た。
叔母さんは、あの子牛を
切ろうとしている。
私は足早に自分の部屋に戻り、
バフォミンを呼んだ。
「バフォミンバフォミン!」
バフォミンはパソコンで
何かを調べている。
もはやバフォミンはド●えもん...
50:アマテラス◆YQ:2018/06/06(水) 21:29 >>49
ド●えもん、ですね…
「何調べてんの?」
私がパソコンを覗き込もうとした瞬間、
バフォミンの横からあの子牛が出てきた。
「わっ!?」
「ああ、これは件というものですね」
私が驚いた後に、バフォミンが答えた。
件…ってなんか聞いたことあるな。
「しかし、件がいるなんて驚き」
「件じゃない」
バフォミンが話し始めた瞬間、件が喋り出した。
私も口を開いた。
「件でしょ?」
「件じゃない」
件、のようなものは、俯いた。
「いや、絶対件だから」
「違いますー」
「You are くだん」
「No I'm not」
バフォミンが首を傾げ、微苦笑しながら
私たちの会話を聞いていた。
私は件に質問した。
「件じゃないなら、貴方は何なのよ」
件は悲しそうに呟いた。
「…なった」
「え?」
「俺の家族、みんなおかしくなったんだ」
件は涙を目にため、
顔を上げて言った。
「俺だって、もとは人間だ。普通に人間として過ごしていた。
でも…でも、ある日から、家族は変わっちまったんだ」
バフォミンは頷きながら
聞いていた。
「何が起こったの?」
件は泣きながら話してくれた。
「いつもは、姉ちゃんと母さん、父さんと暮らしてた。ある日、変な男がやってきたんだ。『この町の山が危険だ』って言いながら」
私は、何かの視線を感じた。
後ろを向いたが、やはり誰もいない。
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない…それで?」
件は号泣し始めた。
私は件の背中をさすってあげた。
「あら、いたわ。『夕食』が」
ドアが開き、
叔母さんが包丁を持って
中に入ってきた。
叔母さんは静かに
近づいてくる。
私は、自分が襲われるわけではないのに、
恐怖を感じた。
「さあ、おいで。小牛ちゃん」
叔母さんは、いつものような明るい声
ではなく、低く籠もった声で包丁を持った手を
振り上げた。
その時───
「アヴァランシェ・ブラスト!『神風竜舞』!」
バフォミンがそう唱えた瞬間、
叔母さんのナイフが飛んだ。
叔母さんは、急に意識が無くなったのか、
その場で倒れた。
「バ、バフォミン…?」
「私の力はこんなものですよ」
バフォミンはニコッと笑った。
叔母さんは、本心で
この件を食べようとしたのだろうか。
──あの声は、叔母さんではない。
そう確信した。