『 人が想像できる全ての事は、起こりうる現実だ 』
_>>2 まえがき
_>>3 序章
ボロアパートの錆階段は、とにかく音が周りに響く。淋しげな金属音が閑散とした街に拡がって、そのまま戻って来ない。小さい頃から嫌いだった。足早に駆け上がって深い緑の扉を開く。久々に帰ってきたというのに、迎えも、挨拶すらない。兄が自室で寝息をたてて寝ているから、手を洗ってその冷たい水を兄の顔に軽く払う。黙って自分も部屋に入る。気分の悪い一日だ。明日からはまた仕事がある。憂鬱を煽る静かな夜だった。
画像|お絵かき|長文/一行モード|自動更新