誰かを救うためには誰かが犠牲にならなければいけない―――
感想◎ 荒らし× なりすまし×
テストが近くて時間ないので、番外編書きます…。
<番外編>
本当は俺はデスゲームの真相に薄々気づいてる。
確信はない。
でもそうじゃないのかなって……。
みんなも本当は気づいてるんだろ。
自分の罪ぐらいさ。
本当にみんな脱出したいの?
現実の何がいいの。
みんな逃げ出そうとしてたくせに。
―――本当は死にたいんだろ。
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*
この番外編が誰目線なのか、本編が進むに連れて分かるかもしれません。
「何か、心当たりある?」
キョウがヨレヨレな紙を私に見せながら聞く。
「な、ないです!!一体何なんでしょうか…」
【お前たちは誰を殺した?】
これは私たちに向けて書いた言葉なのだろうか。
【お前たち】は一体誰なのか……。
考えても謎は深まるばかりだ。
「さぁ、そろそろ時間だよ〜」
突然、いつものように何処からともなくクマの陽気な声が聞こえてきた。
―――そろそろ時間!?
私は一瞬頭の中が真っ白になったが、すぐに我を取り戻して時計で時間を確認しようとする。
しかし、その前にクマは、
「カウントダウン、スタート!」
と今から楽しいことでも始まるのかと疑うような声色でそう言った。
「この時計がずれてるだけかもしれないけど、残り一分もない…」
キョウは時計を見てそう小さく呟いた。
「うそ…!!??」
私はすぐ近くにあった棚を急いで探り始めた。
もう、既に探索をしたような気もするがそんなこと関係ない。
「ナギさん…!キョウさん…!」
そう声がし、勢いよくドアが開いた。
モモカだ。
「モモカちゃん…!見つかったの!!??」
批評を依頼されたと云うコトで、僭越ながら批評をさせて頂きたいと思うッス!
先ず良いトコロから、
最初に小説を読んだ第一印象は「 シナリオ管理が上手だな 」と云うコトッス!物語の起承転結、まとめ方等が丁寧なので読者が置き去りにされるコトなく読み進めるコトが出来て、迷走感も全体的に少な目に抑えられていると思うッス!
次にッスけどキャラクターの作り込みが細かく、キャラクターの背景事情や過去を素早く把握するので愛着が湧き易いッス!どのキャラも様々な思考や思惑で動いているのが文章内で説明されている為に読んでいて飽きるコトなく思う存分キャラクターに感情移入出来るッス!
次に改善点ですが、
テンポが緩めの作品なので、デスゲーム特有の「 臨場感 」や「 疑心暗鬼 」を感じ辛く打ち消している様に感じられて、正直なトコロ「 飽きも来る 」って話になっていると思うッス。
「 読むのが止まらない! 」と読者に感じさせる様な文章を書きたいならば
この作品で描かれる「 デスゲーム 」はどちらかと云えばサイコポップ的な悪趣味さに浸るコトを重視したモノだと思うので、それなら寧ろテンポは早めの方が雰囲気に合っていると思うッス。
拙いアドバイスッスけど参考になったら幸いッス、それではドロンッ!させて頂くッス!
>>81
アドバイス感謝です😎💖
ねるほど…!テンポ早めだったら中身が薄くなって、面白くなくなるのでは?っと思って
緩めにしていたので、自分では気づくことができませんでした、本当にありがとうございます!!
「ご、ごめんなさい…見つからなかった、です……」
モモカは申し訳無さそうに目を伏せた。
「モモカちゃん…協力してくれて本当にありがとう!」
「でも、ナギさんたちは……」
モモカは今にも泣き出しそうな表情で私を見る。
そんなモモカに私は、
「私たちは大丈夫だから!」
と根拠なく大丈夫だと言いきり、モモカを優しく撫でた。
しかし、モモカも小さな子供ではない。
私たちが決して「大丈夫」ではないことは分かっているようだった。
「じゅー!きゅー!は〜っち!」
クマのカウントダウンがスタートしたようだ。
小さな子どもが鬼ごっこをしているような陽気なカウントダウンが始まる。
その陽気さが余計に不気味さを放っている。
――――諦めよう
そんな考えが頭に浮かんだ。
どうせ数秒しかない。足掻いても無駄だ。
私はつっ立ったままクマのカウントダウンを呆然と聞いていた。
「さ〜んっ!にぃーい!いっち!」
…私、死ぬんだ。
「ぜろーーー!!」
クマの声が部屋全体に大きく響いた。
****
「カウントダウン、スタート!」
部屋中にクマの明るい声が響く。
ついにか。
私は不思議と怖くなかった。
…あと、数秒後に私は死ぬのかもしれないのに。
みんなは鍵、見つけられたのかな。
見つけられてないの、私のチームだけだといいな。
――だって……私、一人だけのチームだから。
私は拘束の解けていない手足の先にいるフウのダミー人形を見た。
それは、生きていた頃の本物の彼女と、姿形が全くもって一緒で、少し不気味だった。
「じゅー!きゅー!は〜っち!」
再びクマの楽しそうな声が聞こえる。
私は探索をしようともせず、ただ呆然とフウのダミー人形を見つめていた。
――また、助けられなくて、ごめんね。
私はフウのダミー人形の頭を撫でた。
……冷たい。
「さ〜んっ!にぃーい!いっち!」
みんな、元気でね。
そして、クマが私に最期の言葉を告げる。
「ぜろーーー!!」
クマの声が部屋全体に大きく響いた。
****
……あれ?
私、生きてる?
つい先程、クマの『ぜろーーー!!』と言う放送を間違いなく聞いた。
「サブ命令で二組も失格となっちゃ困るなぁ…」
戸惑う私にクマがそう困ったように呟く声が聞こえた。
二組…?私たちの他にも一組、命令に従えなかったチームがあるの?
私、助かるの?
「そうだ!!」
クマが何かを思いついたようだ。楽しそうな声だ。
何か嫌なことが起きる予感がする…。
「助けてあげるよ。おれ、優しいからね〜!」
嫌な予感に反して、クマはそんなことを言い始めた。
「命令に従えたイイ子ちゃんたちもメイン部屋に来て。ルール説明をするから!」
ルール説明?一体クマは何をするつもりなんだ…?
突然、強い眠気が襲ってきた。
私は眠気に抵抗することが出来ず、床に倒れこむ。
冷たい床の感触が皮膚に伝わってきた。
そういえば、一日ぐらい寝てないな…。
私はそんなどうでもいいことを考えながら、深い眠りについた。
「おはよう」
決して大きな声ではなかったが、よく響くクマの声に私は深い眠りから目を覚ました。
私は辺りを見渡す。
どうやらメイン部屋に連れてこられたようだ。
他のみんなも起きたばかりのようで、状況を把握するために辺りを見渡している。
「よし、みんな起きたようだね。みんなに報告することがある……」
クマはそう言うと、ワザとらしく溜め息をついて続ける。
「命令に従えなかった悪い子が三人もいるんだ。残念だなぁ…。おれ、失望しちゃったよ」
クマはそう言って、私、キョウ、そして――ツグミを見た。
「サブ命令で三人も脱落されちゃうと面白くないんだよねえ…。そこでさ、おれから提案!どちらか一組助けてあげるよ!」
そして「はい、鍵!」とクマは私たちの方へ一つ、鍵を投げた。
鍵がチャリン、と音を立てて床に落ちる。私はその鍵を無言で見つめることしか出来なかった。
「どっちが使うかは、みんなで決めてね。話し合い、騙しあい、暴力。なんでもアリだよ。
そうだねえ…制限時間が必要だよね。う〜ん、制限時間は10分にするよ。制限時間内に決めれないと全滅だよ。時間を有意義に使ってね!」
クマはそう言うと、いつも通りどこかへ消えてしまった。
「取り合えず、話し合いで決めるのが一番だよな…」
そう言ってヨリタは鍵を拾い上げる。
「ヨリタさん、その鍵…
――こちらに、ください」
そう誰かが言った、次の瞬間、ヨリタの手から鍵は奪われたのだった。
「何故そんなことをするんだ…
――ツグミ」
ヨリタは鍵を持ったツグミに疑いの目を向けた。
「みんなで話し合って、どちらのグループが使うか決めよう。な?
だから、ツグミ…。その鍵はこちらに渡すんだ」
ヨリタはそう言って、ツグミの持っている鍵に手を伸ばす。
しかしツグミは、
「あなたには渡せません」
と言うと鍵を勢いよく放り投げた。
数秒経って、チャリン!と私の足元で音がする。
ツグミは私とキョウの方へ鍵を投げたのだった。
「ツグミ…さん?」
私は状況が飲み込めず、ただ、ツグミを見つめることしか出来なかった。
「話し合いをする必要はないわ。
どうせ結果は決まってる…分かってるの。時間の無駄だわ。
……ナギさん、キョウさん。あなたたちが使いなさい」
「結果は、決まっている…?どういうことだ?
ナギとキョウに渡してしまえばツグミは…」
「よく、考えてみてください」
ツグミがそう言ってヨリタを遮る。
「ナギさんとキョウさんが鍵を使えば、二人が助かる…。
でも、私が使っても助かるのは私一人だけ。私のペアは…もう、いないの」
ツグミはどこか寂しげな声でそう言って、ダミー人形の頭を優しく撫でた。
「た、確かにそうだ。そうだけど、それじゃツグミが死んでしまうじゃないか…」
「ヨリタさん…」
ツグミがそう言って、駆け寄る。
「あなたは出会った頃から強い人でした。あなたなら、私なんかいなくても大丈夫」
ツグミは母親のように優しくて、穏やかな声色でそう言った。
こんな状況だったが、私もなんだか安心できた。
「ツグミ…上司命令だ。
――絶対デスゲームから脱出しろ」
ヨリタのその言葉にツグミは「冷静なヨリタさんらしくないですね」と微笑む。
「ごめんなさい。それは、できないです。
ヨリタさん…。こんな我が儘で、上司の命令も聞けない私の最期のお願い、聞いてもらえますか?」
「ああ…」
ヨリタの短い返事を聞くと、ツグミは満足そうに話し始めた。
「私はもう若い子たちを犠牲にしてまで生きたくないんです。
だから、ここで終らさせてください。
そして、みなさんを宜しくお願いします。絶対、もう犠牲者は増やしてはダメよ」
そして、ツグミは私たちの方へすぐに向き直ると、
「さあ、その鍵を使って!ヨリタさんに止められる前にね!」
と悪戯っぽい笑みを浮かべたのだった。
~かっこいい自己紹介をさせてみたかった~
『命令に従えなかったらどうなるの……?』
【桜木 凪(サクラギ ナギ)】
14歳/陸上部/私/152a/41kg/セミロングの髪型/目が大きく可愛らしい顔立ち
ペア…チヤ⇒キョウ
『……この服装気になる?』
【福積 千夜(フクズミ チヤ)】
16歳/帰宅部/僕/165a/48kg/黒髪でストレートな髪型/中性的な顔立ち/細身な体型
ペア…ナギ⇒ユウ
『私、皆さんのこと信用してみます!』
【宇都宮 琴(ウツノミヤ コト)】
15歳/吹奏楽部/私/155a/43kg/髪型二つ結び/童顔/明るい子
ペア…シュンスケ⇒モモカ
ツグミにそう言われたものの、私は鍵に手を伸ばせないでいると、
「ツグミさん、ごめん」
と言う声と共に床に落ちていた鍵はキョウの手へと移った。
「キョウさん!!本当に…使うんですか?」
私は思わずキョウにそう問いかけた。
「ナギさん…キミは死にたい?死にたくないでしょ?
僕はまだ死にたくない…というか、タヒねない」
私だって、死にたくないに決まっている。
でも、私たちが鍵を使えばきっとツグミは……。
そう考えると、私ははっきりと答えることができず、
「それは……」
と言葉に詰まってしまった。
「誰かを犠牲にしたくない。みんなで脱出したい。だなんて、甘いこと考えないで。
どちらかが絶対に死ななきゃいけないんだよ。
ツグミさんもああ言っていることだし……」
キョウは冷たく、突き放すような言い方でそう言ったが、最後の方は言葉を濁しているようだった。
彼もまだ、鍵を使うことに躊躇いがあるようだ。
「そうよ。キョウさんの言うとおり…」
いつの間にか、隣で話を聞いていたツグミは鍵を手に取ると、無理やり私たちの手首を拘束していた手錠の鍵穴に鍵を突っ込んだ。
「ツグミさん…!!??」
私は驚きの声をあげたが、ツグミは私には目もくれず、手を止めなかった。
ツグミが無理やり、鍵を持った手を右に回す…。
――カチャリ
部屋中に鍵の開く、聞き心地のいい音が響いた。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
しかし、私たちの手首を拘束していた手錠が消えていくのを見て、ツグミが鍵を解除したことを理解した。
「これでよかったの…」
ツグミは私たちを見て、微笑んでいたが、目には涙が浮かんでいた。
「ツグミさん……ごめんなさい…」
言いたいことはたくさんあった…のだと思う。
しかし、言葉に表せず、出てきたのは謝罪の言葉だけだった。
「さぁ、鍵を使ったみたいだね」
静かな空間にクマの声が響き渡る。
「鍵を使えず、命令に従えなかった愚か者のツグミ…失格だ」
クマがそう言うと、ツグミの手首にはめられた輪が、どんどんと小さくなっていった。
ツグミの手首をギリギリと締め付ける。
ツグミは苦痛に綺麗な顔を歪める。
「大丈夫か!!」
そんなツグミを見て、ヨリタがすぐに駆け寄り、ツグミの手を優しく握った。
「ヨリタさん…みんなを、よろ…しく、ね」
ツグミはヨリタを見て、無理やり笑顔を作った。
しかし、次の瞬間、耐え切れない苦痛に顔を歪めた。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」
悲鳴に近い声でそう叫ぶとツグミは床に横倒れになる。
ツグミの手首は既に血だらけで、今にも手首が切れ落ちそうだ。
床がどんどん赤く染まっていく。
私は見ていられなくなって、目を瞑る。
「キャアアアアアアアアアアアア!!」
耳を劈くような悲鳴が聞こえた。
それから、しばらくして音は何一つ聞こえなくなった。
ツグミは……。
私は恐る恐る目を開けた。
そこには変わり果てたツグミの姿があった。
手のないツグミの横には切れた落ちた手と真っ赤な血溜まりが広がっていた。
「ツグミ!ツグミ!お願いだ…返事をしてくれ!!」
ヨリタは必死にツグミに呼びかけ、揺さぶるが、ツグミはピクリとも動かない。
ヨリタの服の袖口が、真っ赤な血でみるみると染まっていく。
「まだ…今なら間に合うかも…!」
そうコトが呟き、ツグミのもとへ駆け寄り、呼吸を確認する。
「ど、どう…?」
私は恐る恐る結果を聞く。
「もしかしたら」と小さな希望を持って…。
「………」
コトは私に悲しげな表情を向けると、無言のまま力なく首を横に振った。
私の小さな希望は一瞬にして砕け散った。
――これが現実なのだ。
「いや、いや…やめて!ああああああああああああ!!」
モモカは怯えた声でそう叫ぶと、膝から崩れ落ちた。
『誰かモモカを頼む』
…いつもならヨリタがそう声をかけてくれる。
そして、誰かが寄り添ってくれる。
しかし、今は誰ひとり、ひとのことを気にかけている余裕なんてなかった。
次は自分が死ぬかもしれない、という恐怖と、仲間が死んだ悲しみに誰も動くことが出来なかった。
この先、私たちはどうなるのか…。
不安はどんどんと膨らんでいく。
「はぁ……」
私は溜め息をついて、自分の部屋の隅に追いやられているベッドに座る。
あれから、どうやって自分の部屋まで戻ってきたのかはあまり覚えていない。
確か、あの場所にいるのが苦痛で、一刻も早く離れたくて、ここに来たのだと思う。
「ごめん…ごめん、ごめんなさい…」
私は気がつくと何かに謝っていた。
…救えなかったツグミへの謝罪?犠牲になったフウへの謝罪?
勝手に涙が溢れ出す。
――コンコン
不意にノックの音が聞こえる。
私は服の裾で乱暴に涙を拭うと「はい」と返事をする。
誰だろう?クマかな?
ガチャ、と静かな音を立ててドアが開く。
「ごめん、一人だと寂しくて…」
そこには少し微笑んだコトが申し訳無さそうに立っていた。
「ううん、全然。私も一人だと色々考えちゃうから…。
どうぞ、どうぞ。入って」
「ありがとう」
私とコトは狭いベッドに腰を下ろすと、しばらくの間話していた。
学校のこと、テレビのこと、オシャレのこと、趣味…そして恋愛のことも。
私とコトの住んでいる街は遠いようで、私の知らないことも、たくさん教えてくれた。
ここに来てから、こんなに楽しく話したのは初めてだった。
時間を忘れてしまうようだった。
「ごめん、ついつい話しすぎちゃったね。私、そろそろ戻ろうかな」
コトがそう言うと、私は急に寂しくなって、
「私は全然大丈夫。むしろ、ここに居ない?」
とコトを引きとめる。
「いいの?じゃあ、ここにいようかな〜。一人だと寂しいしね!」
コトは嬉しそうにそう言った。
この夢から脱出した後も、こうして仲良く出来たらいいな。
一人で寝ても狭いような、小さなベッドに二人で寝転がる。
とても窮屈で寝づらいが、窮屈なおかげでコトのぬくもりが伝わってきて安心することができた。
「おやすみ、ナギちゃん」
そう言って、コトが電気を消す。
ただえさえ、薄暗かった部屋は真っ暗になった。
「うん、おやすみ…」
一人になると色々と考え込んでしまうから、できるだけ早く眠りに着きたかったが、全くと言っていいほど
眠くなかった。
しかし、辺りが真っ暗になり視界が奪われると自然と眠たくなっていくのだった。
そして、私は完全に眠ってしまった。
――ピヨロロロロ、ピヨロロ
何か音が聞こえる。
…鳥の鳴き声?なんで、鳥がいるんだ?
私は不思議に思い、ゆっくりと目を開ける。
どこからか差し込んでくる眩い光に私は思わず顔をしかめる。
少し光に目が慣れると、この光は小さな窓につけられたカーテンの隙間から漏れ出ているものだということが
分かった。
なんなんだ、この光は。まるで、日光のようじゃないか。
しかし、ここは夢の中。
鳥がいるわけがないし、ましてや太陽が存在するわけがない。
私はこの状況を飲み込めないでいると、
「どう?びっくりした?
キミたちが住んでいる世界に似せてみたよ。少しでも気軽に、ここにいられるようにね」
といつの間にやら私の目の前にいたクマが説明した。
…そんな配慮をしてくれるのならば、脱出させてほしい。
私はそんなことを思いながらも「すごいね」と思ってもないことを口にする。
「絶対思ってないだろ」などと、クマに言われると思いきや、意外にも「でしょでしょ!」と嬉しそうな反
応を返した。
「あっ、そうそう。コトはもうメイン部屋に集合してるよ。キミも早く来てね」
クマにそう言われて、私は一緒に寝ていたはずのコトがいないことに気づく。
「う、うん」
私の返事を聞くと、すぐにクマは部屋から出ていった。
<お知らせ>
違う場所で「脱出 〜デスゲーム〜」の訂正版を書き始めました。
始めから読もうと思う方や、ちゃんとしたものが読みたいと思う方などは下のリンク先の方をお読み下さい。
URL↓
http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=5572
訂正版の方でも、もちろん、感想やアドバイス◎です。
宜しくお願いいたします。
私がメイン部屋へ行くと既に、私以外揃っていた。
しかし、ヨリタの隣にツグミはいない…。
「よしよし。全員集まったみたいだね。
じゃあ、今日もゲームを――」
不自然にクマの言葉は途切れた。
クマの横には怒ったような表情をしたコトが立っていた。
「な、なんだい。突き飛ばすんじゃないよ!」
クマは継ぎはぎの体を無理やり動かすようにして、ヨロっと立ち上がった。
「もう満足でしょ!!ツグミさんとフウさんを殺しておいて、一体何がしたいの!
私たちが何をしたって言うの…!?」
「そうか…『あのこと』はナギとキョウにしか言っていなかったね」
「『あのこと』って…?」
コトがそう聞き返すとクマは「みんな聞いてくれ」と言うように、私たちを見渡した。
「キミたちは償いきれない罪を犯している。キミたちに罰を与えるために夢に閉じ込めたんだよ。
そして、罪の重さを理解してもらうためにね」
「罪」というワードに皆、何か言いたげにしたが、クマは間髪を入れることなく続ける。
「自分たちの犯した罪、このゲームの真相を暴くことが出来たら脱出させてあげる。
暴かなくても脱出はできるよ。もちろん、最初に言ったとおり、メイン命令を三回下して生き残っていた者の
勝ち」
クマがそう説明し終わると、最後に私とキョウに問いかけた言葉を再び口にする。
「…キミたちは何も分からずに脱出する。罪も分からずにのうのうと生きるのと、真相を暴いて脱出する。そして自分の罪を理解して償いながら生きるのとどっちがいいんだい?」
「……後者」
少し間があり、チヤがそう答えた。
他の皆は黙ったままだ。目を瞑って考え込んでいる者や、俯いている者もいた。
罪について考えているのだろうか…。
「そうだよね、前者の方ではもやもやするんじゃないかなぁ?
暴くことが出来たら全員で答えを決めて、おれに言いに来てね。期待してるよ。
…じゃあ、ゲームに移っていいかな?」
いつもなら、みんな黙り込み、それをクマは肯定とみてルール説明を始める。
しかし、
「待てよ!おかしいだろ!」
とシュンスケが声をあげたのだ。
私たちはシュンスケの方へ振り向くと、シュンスケの次の言葉を待つ。
「お前、嘘ついてんだろ」
シュンスケはそう言って、クマを鋭く睨み付けた。
クマは「何のことやら」と小さい肩をすくめた。
「どういうことなのか説明してくれないか?」
先程まで黙って、自分の中に閉じこもっていたヨリタがいつもの調子で、そうシュンスケに問いかけた。
彼は強い人なんだな、と私は改めて感心させられた。
「俺らに「罪」なんてないんだよ!」
「どうして?」
チヤがシュンスケに恐る恐るといった様子で説明を求めた。
「だって「罪」って自分で分かってるものなんじゃないのか?
なんで俺たちは自分の「罪」が分からないんだよ!!」
確かに、殺人犯は自分の犯した「罪」が人を殺したことだと分かっている。
窃盗犯は自分の犯した「罪」が人の物を盗んだことだと分かる。
でも、私たちの「罪」が何なのか全く分からない。
「少なくとも、そこの二人は「罪」が何なのか分かってるんじゃないかなぁ?」
クマはそう言うと、キョウを見た。キョウは表情を変えず、クマを見返した。
そして、クマはゆっくりと顔を動かすとユウの方へ顔を向けた。ユウは一瞬、ぎょっとした目になったが、す
ぐにクマから目を背けた。
「何か知ってるのか!?教えてくれ」
ヨリタがすかさず二人にそう聞く。
「な、何も知らないですよ!こいつが勝手に言ってるだけです!」
そう言ってユウはクマを指した。
しかし、クマはユウに反論することなく「教えなよ」とキョウに話すように促した。
「…これかなって思ってるものはあるんだけど、根拠がないから言えない」
キョウはそう言ったものの、私は「罪」が何なのか全く分からない。
「これかなって思ってるもの」とは一体何なのだろう。
「それって何なんですか?気になります…間違っててもいいから言ってみてくださいよ」
コトも私と同じことを思っていたようで、キョウにそう尋ねた。
「じゃあ…えっと――」
とキョウが「罪」を言おうとした瞬間、ユウはポンっとキョウの肩に手を置いて、
「キョウさん。みんなが混乱するかもしれないから止めておきましょう」
とキョウが話すのを遮った。
私にはユウが「言うな」とでも言っているように感じられた。
ヨリタやチヤも少し疑い掛かった目でユウを見ていた。
「そっかそっか、まだ根拠がなかったんだね。ごめんごめん。まぁいずれ分かると思うよ。
それで、他に何か言いたいことある?」
クマはそう言うと私たちを見渡した。
「何も解決できてねぇよ。結局のところ、なんで俺たちは自分の「罪」が分からないのか分かってないじゃねぇか。お前、教える気ねぇだろ。つーか、ヒントぐらいくれよ」
シュンスケがあまりにもまともなことを言うので、失礼なことに私は少し驚いた。
「ヒント?たくさんあげてるじゃないか」
クマは不思議そうな顔で私たちを見た。
ヒントなんてもらったっけ…?
「あ、もしかして…」
そう言ってコトが私を見つめる。
私は一瞬、何のことなのか分からなかったが、少し前にコト拾い、私に見せてくれた紙を思い出し、私はコトを見つめ返し「うん」と頷いた。
私が頷いたのを見るとコトは胸ポケットを探り始めた。
「みんな、これなんだけど…」
そう言ってコトは紙をひろげた。
前と変わらず、しっかりとした大きな文字で【ここに連れてこられたのは偶然やランダムじゃない。お前らには心当たりがあるだろ?】と書いてあった。
「その紙はいつ拾ったんだ?」
ヨリタは紙を見ながらコトにそう聞いた。
「えーっと……メイン命令1が終ったぐらいのときだと思います。自分の部屋に行ったらドアの前に紙が落ちてました」
「そうか…ていうことは俺たちがまだ、連れてこられたのはランダムだと思っていたその時から『ランダムじゃない』と伝えようとしていたんだな…。
他にヒント持ってる人はいるか?」
ヨリタにそう問われ私はサブ命令1で鍵を探していたときに見つけた紙を思い出した。
「キョウさん、キョウさん、あの紙持っていますか?」
私は何となく大きな声で言ってはいけないような気がして小声で尋ねた。
「あの紙?……ああ、あれね。持ってるよ」
「あの紙、見せるんですか…?あの紙の内容を見たら、きっとみんな混乱してしまう…」
私は紙に書かれた内容を思い出す。
確か【お前たちは誰を殺した?】と書かれていたはずだ。
あの時は私たちに向けて書いたヒントだとは知らず、誰に向けて書いたのか、【お前たち】は一体誰なのかとは分からなかった。しかし、これが私たちに向けてのヒントなのだとすると【お前たち】はここにいる【私たち】だ。つまり、私たちが【人を殺した】ということになるのだ。
「見せたほうがいいと思うよ」
キョウがあっさりとそう答えた。
「なんでですか?あの内容、覚えてますか…?」
「覚えてる。【お前たちは誰を殺した?】でしょ?
確かに、これは僕たちが人を殺したって言っているようなものだけど、これは僕たちを混乱させる罠なのかもしれない。信じすぎないほうがいいよ」
罠…。
確かに、このヒントは敵側からのものだ。嘘の情報だってある。でも、私はこのヒントは放っておいてはいけないような気がした。しかし、私は
「そうですね…。人殺しをしていたとすれば、そんな凶悪な犯罪、自分自身も覚えてるはずですよね。私たち、覚えていないのですから…」
キョウにそう言いながら、自分に「私たちは人殺しなんてしていない」と言い聞かせた。
「それじゃあ、みんなに見せましょうか」
そう言って、もやもやとした気持ちを取り合えず押し込んだ。
私の言葉にキョウは小さく頷いた。それから、ズボンのポケットから小さく折りたたまれた薄汚れた白い紙を取り出し、
「ヒント」
と素っ気なく言い、皆の前に紙を突き出した。
「あ、その紙はサブ命令1で鍵を探していたときに見つけました」
私がすぐさま、そうフォローした。
私の言葉にヨリタは「そうか」と言うと紙を覗き込んだ。
「なんだこれ…」
ヨリタは紙を見ると、顔をしかめ、そう声を漏らした。
その反応に、皆は「なにが書かれているのだろう」と、紙の周りに集まっていき、紙の周りには人だかりができた。
私はこの紙の内容に書かれていることを読んで、皆がどのような反応をするのかドキドキしていた。
やはり、最初に「この紙に書かれていることは罠かもしれない」と言っておくべきだっただろうか。
「えぇ!?どういうこと!!」
「僕たちが人殺しをしたって言いたいの…?」
「な、なんで…ころした、なんで……」
紙を見た皆は口々にそう言った。
私はそんな皆を落ち着かせようとして、
「あ、あの、みんな。この紙に書いてることは罠かもしれないから…お、落ちついて」
と言ったが、逆効果だった。
「ふざけんなよ!!罠なのかよ!?罠だったらブチころすぞ!!」
「罠」と言う言葉がシュンスケを逆立ててしまった。
シュンスケはクマの首元を掴み、小さなクマの体をひょいと持ち上げた。
私たちはシュンスケの行動を止めなかった。
いつもなら、ヨリタが止めていただろうが、今はクマの回答が訊きたかった。
ついに>>100レス超えることができました~!
アドバイス、感想など、本当にありがとうございます!
最近、更新が遅いですが、まだまだ続けていきたいと思っていますので、これからも宜しくお願いします💖
訂正版( http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=5572 )
の方も更新していきたいと思っているので、宜しくお願いします~