混ざる或生命

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1:深河春淵◆wc:2020/02/04(火) 23:29

戻ってきました
先刻にも書いた通り
「アビス」と呼んでくれて
構わないですよ

閲覧は自己責任で
御願いしたいです

猫も食わない生魚の戯言は
聞き入れる心算は御座いません

2:深河春淵◆wc:2020/02/04(火) 23:35

ちか ちか ちか ちか
夜の顔の目が光り

ぼくを見ているよ
これは何かな
何の生き物の顔だろう

わからないよ
猫が屋根の上で欠伸する

3:深河春淵◆wc:2020/02/04(火) 23:40

私の手のひらには
生鮭の切身が
乗っています

そして朝ごはんとして
目玉焼きを
作ろうと思うのですが

手のひらの切身が
邪魔であられるので
作る事ができません

私は目玉焼きが
食べたいのです
どうしてもと云う程

ですが切身は
自分を焼いて食べてくれと
云わんばかりに

クリスマスのモミの木に飾られる
電飾並みに
エレクトリカルキラキラに輝き

激しい自己主張を
繰り返しているのです

4:深河春淵◆wc:2020/02/04(火) 23:42

背中あわせの
貴方は誰ですか?

人間の様な
頭を持っていて

人間の様な
手を持っていて

人間の様な
足を持っている
貴方は誰ですか?

5:レミング◆yc:2020/02/05(水) 04:27

おかえりなさい。
深河春淵という名も素敵だと思いますが、
やはり今まで通り、アビスさんと呼ばせていただきます。

詩の雰囲気も少し変わりましたね。
それでも、素晴らしい作品ということには変わりない。
新しくもアビスさんらしい、またそんな詩が読めると思うと胸が高鳴ります。

6:深河春淵◆wc:2020/02/05(水) 21:25

私の庭に
生命は無い

種を与えられた
お前の庭はあまりにも
寂し過ぎるからと

蒔いて埋めても
種は花を咲かせるどころか
芽吹きすらもしない

7:深河春淵◆wc:2020/02/05(水) 21:33

路上を歩く人間を
私はカァテンの
隙間から見ている

人が怖くて仕方がない
何時でも自分を見張っていて

今にも彼処の扉から
私を中傷する言葉の

羅列が綴られたる手紙が
投函されるかもしれない

顔の無い人間が好きだ
顔のある人間はどうにもいけない

顔のある人間は私に対して
面と向かって話せと
がなり立てるからだ

他人と話そうとするだけでも
私は足がすくみ

其の他人が
世にも恐ろしい
怪物に見えてくる

8:深河春淵◆wc:2020/02/07(金) 20:30

あたしと同じ顔
あたしと同じ手
あたしと同じ足

きれいに並べられて
あたしは掴まれて
目玉をはめられて

服を着て
化粧して

箱に入って
トラックに乗って

売られて
あなたに買われて

いっしょに遊んで
捨てられた

9:深河春淵◆wc:2020/02/10(月) 23:32

小さな歯車がありました
なんの為に作られたのかは
わかりませんでした

歯車には仕事があります
他の歯車と合わさって
回り続ける事です

ですがこの小さな歯車は
他の歯車とどうしても合わなくて

いつも工具箱のすみで
ひとりぼっち

小さな歯車は
見上げるだけでした

他の歯車が
人間の手に
つまみあげられて

カチッとはめられて
ぐるぐるカチカチ

楽しそうに
回る姿を

ある日小さな歯車は
つまみあげられました

そして落っこちて
わずかなすき間に
すべり込んでしまいました

小さな歯車は
ホコリを被っています

小さな歯車は
外に出ました

外では雨が
ざあざあふっていました

小さな歯車は
段々さびていきました

小さな歯車は
もうなんにも
役に立ちません

10:深河春淵◆wc:2020/02/12(水) 23:07

種を蒔かなかったら
そりゃ咲く物も咲かない

だからあんたの鉢植えは
いつまでも土のまんまさ

種は蒔いたと?ほう
ならば何故あんたの
鉢植えの花は咲かない?

11:深河春淵◆wc:2020/02/14(金) 20:06

ビスケット
今日は僕達が
人間に食べられる

仲間のチョコやケーキは
先に行って食べられた

人間は二人いる
小さい男の子と女の子

二人は仲良く分けあって
僕達を食べた

僕達が一個
男の子の口の中へ

僕達が一個
女の子の口の中へ

入っていって
サクサク歯で
かみくだかれていく

僕達に
人間みたいな
内臓があったなら

ポロポロこぼれる
僕達のカスはさしあたり
肉片なんだろねと

僕達のひめいを聞き乍
思っている

僕達は食べられて
僕だけになった

男の子と女の子は
どっちが僕を食べるかで
もめている

僕達を作った人が
半分こしなさいと云ったので

僕は割られて
ふたつになった

僕は二人に食べられて
のみこまれて とけた

12:ゆかり:2020/02/15(土) 12:13

うわあ

13:深河春淵◆wc:2020/02/15(土) 21:39

彼は嘆いている
自分がこんなにも

身を粉にして
安い賃金で働いて
いると云うのに

其の全ての金が
親に管理されていて

自分の自由に
全くならないと

彼は何を
云っているのだろうと思う

彼には優しい
叔父さんがいるらしく

ゲーム機だったり
テレビだったりと
其の他色々くれると云う

私は彼が
正直愚かに見える

気付いていないのだ
彼は自分がどれだけ

恵まれた環境に
いるのかを

14:深河春淵◆wc:2020/02/17(月) 22:42

或る所を走っている女がいる
後ろを振り向き乍

女は何かを恐れている
其の様を
森を作る木々が見ている

草を薙ぎ辺りを見回し
息を荒くして何かを探している

男か女か定かでは無い
人の影が

人の影は右手に
鉈を持っている

持つ手から伝わるのは
其の何かを探し出し×すと云う
明確な意思

15:深河春淵◆wc:2020/02/19(水) 23:07

ひゅー ひゅー
落っこちる

塔から少女が
落っこちる

ひゅー ひゅー
落っこちる

塔から少年が
落っこちる

きれい キレイに砕けた
少年と少女の体は

ふわぁーって飛んだ
空へと飛んでった

淀む空をいろどる
星になるよ

魚がやってきて
星を食べようとする

逃げるのだけれど
大体逃げられなくて
食べられる

チカ チカ チカ チカ
星はまばらに光る

星座は
結べない

ひゅー ひゅー
落っこちる

塔から男が
落っこちる

ひゅー ひゅー
落っこちる

塔から女が
落っこちる

汚い 汚いに砕けた
男と女の身体は

星にはなれずに
塔へとなるよ

少女と少年は
そこを昇って

ひゅー ひゅー…
ひゅー ひゅー…

落っこちる

また

16:深河春淵◆wc:2020/02/22(土) 22:08

はーっ…ああぁぁ…

惜しかった…
君の事をもう少しで
絞め×せそうだったのに

なんで起こしたのかな 君は
なんだ 僕が涙を流していたから
起こしたのかい?

愉しい夢だったよ
苦しんでいたからね 君が

段々青ざめていくんだよ 顔が
そして白っぽくなるんだ 次は

そんな君を僕は
笑って見ていたんだ

流石に声までは上げないよ
其処まで異常では無いし
抑々僕は普通の人間だ

17:深河春淵◆wc:2020/02/22(土) 22:22

失敗したって良いじゃない
誰かが助けてくれるんだもの

今の世の中はそう云う感じ
誰か一人が失敗しても

皆が助け合えば成功する
なんとまぁ素晴らしい
世の中なのでしょう!

それだったらもう
足の引っ張り合いをしたって
バレやしませんものねぇ

誰がやらかしただの
こいつがやらかしただのって

犯人を探す必要なんて
ありゃしない!

あーっはっはっはっ!
責任を負わなくたって
良いのだものねぇ!

18:深河春淵◆wc:2020/02/23(日) 16:47

彼女は妬ましいのです
幸福なる全ての者達が

生命に満ちた彼の地に住まう
生き物達が全て呪われ息絶えるよう

何時でも地の底で
そう願っているのです

19:深河春淵◆wc:2020/02/23(日) 17:09

右手と左手を合わせよ
瞳を形作れ

そして見るのだ隣人を
隣人もまたお前の事を
見ているのだから

思想を持つ無かれ
思慮は罪なり罪は思慮なり

平凡なる幸福のみを求めよ
身の丈に合わぬ幸福は
邪なる罪への入口なり

絞首台に立つ罪人に
憎悪せよ群衆共

刑に処され命絶つ者へ
狂喜の歓声を上げよ

罪人を処し刑を執行せし者へ
惜しみ無き賛辞の拍手を送れ

我々が定めし規則には
順守せよ

規則を破る者あらば
其れはこの世にいては
ならない罪人故に

其処彼処にある
我々の耳と眼に
密かに告げよ

それが例えお前の
両親、兄弟、姉妹等の血縁者や
友人、恋人であろうとも

躊躇う無かれ

躊躇うならばお前もまた
其の者と同じく罪人故
首に縄を掛ける身となるだろう

群衆共よ知るが良い
安寧たる日々は
我々が作り出している事を

偉大なる我々は
行き交う人々の中にいる事を

我々の目は
常にお前達を見ている

我々の耳は
常にお前達を聴いている

我々の口は
常にお前達を語っている

我々の足は
常にお前達を追っている

我々の手は
常にお前達を捕らえている

20:深河春淵◆wc:2020/02/28(金) 00:51

何時まで君は
愛されていると
思っているのだろう

表の言葉に隠された
裏の言葉の真実に

君はまだ
気が付か無いんだね

21:深河春淵◆wc:2020/02/28(金) 00:53

ねぇ 君は幸せ?
本当は辛い?

生きていればそのうち
良いことがあるのかな?

少なくとも君を取り巻く環境に
そんな要素は無いと
思うのだけれど

22:深河春淵◆wc:2020/02/28(金) 00:55

光に夢を
見ないでよ

君はもう
闇にいるのに

深すぎる闇はね
呑み込まれている事を
悟られ無いんだよ

23:深河春淵◆wc:2020/02/28(金) 17:39

みんな逃げたよ
僕がこの姿になってから

家族も 友達も
僕の知っている人達
みんな逃げちゃった

怖いんだって 僕の事が
近寄るな!化け物めが!とも
云われたっけ

何でだろうね
僕は僕のままなのに

確かに体は
こんな怖い
化け物だけれど

でも心は
僕のまんまなんだよ

まぁ良いや
みんなの事なんて

まとめてぷちっと
つぶしちゃえば良いよね

人間が虫を
歩いて踏んじゃうようにさ

24:深河春淵◆wc:2020/02/29(土) 18:55

(1)
かあさん
あれを取って
くれませんかねぇ

そう それです
貴女の右目を突き刺した
そのハサミを

次は
左目を刺したいんです

痛いでしょうね 右目
ドクドクドクドク
流れてますもの 血が

かあさん
貴女は今 どんな表情を
しているのですか

教えて下さいよ
口の糸は
切ってあげますから

ねえ ねえ
違うのですよ かあさん

今貴女から聞きたいのは
ボクに対する罵倒の
言葉では無いんです

…アレ?何でしたっけ
貴女から聞きたい言葉は

まぁ良いです
かあさん貴女を

後何回か刺せば
思い出すでしょう

それまで ねえ かあさん
生きてて下さいね

25:深河春淵◆wc:2020/03/02(月) 00:02

(2)
ボクは悪い子じゃ
ないでしょう?

いいこでしょう?
かあさん ねえ

かあさんは
虫がだいきらい
だったから

いつもボクが
たいじしたんだよ

それでね
ほめてもらいたくて
みせてたの

羽なしちょうちょとか
まっぷたつのいもむしとか
それを両手にいっぱいのせて

そしたら かあさんは
可哀想だから
庭に埋めておやんなさいと

おばけやら なにやら
そう云う類いを見る様な

こわぁい目をして
ボクに云ったんだ

なんでかあさんは
あんな目をしたんだろと

思いつつ
庭に埋めたっけ

埋めてもまだ
手にはちょうちょの
羽がついてたよ

ねえ かあさん
何故うごかないのです?

ねえ ボクは
何故 こんな所に
いるのですか?

26:深河春淵◆wc:2020/03/02(月) 20:17

いいあらそい
どっちが悪いか
どっちが正しいか

わからない

そんな二のけんかに
まき込まれたんです

一方が一方を
指指して云います

あいつが悪いんだ
僕が正しい と

一方が一方を
指指して云います

あいつが悪いのよ
私が正しい と

知りませんよそんな事
だってその場に

居合わせた訳では
無いのですから

ですからどっちが
正しいだの 悪い だの

知ったこっちゃあ
ないんですよ

無責任!無責任!と
責められましてもね
事実なんです それが

ぎゃいぎゃい
わいのわいの

やかましい
三の
いいあらそい

27:深河春淵◆wc:2020/03/05(木) 00:47

お前を許さない 絶対に
お前に私の苦しみが判るまで
私はお前を苦しめ続ける

28:深河春淵◆wc:2020/03/05(木) 00:59

主は星震を用いて
災いをもたらさんが為に
暗黒の宇宙より飛来せり

29:深河春淵◆wc:2020/03/05(木) 21:31

或る願望を持っていた
愛する者の腹の中で眠りたいと

まだか まだかと
思っていた
彼女が寝る時を

となりで寝ている
彼女を置いて

台所へと向かい
彼女の腹を裂く為だけに

新しく買った包丁を
取りに行く

包丁はわずかに
カァテンの隙間から
漏れ入る月光により

刃の先が
鈍く反射している

静寂な夜だ
階段を昇る時の

踏んだ足の木の音が
いつもより良く響く

起こさない様に
ドアを開け
物盗る人の様に近付き

躊躇っている間なぞ無いと
繰り返し云い聞かしては

両の手に握った包丁を
彼女の喉に

降り下ろした

包丁とベッドは瞬間
血に染まり

声を発する事無く
絶命した

包丁を彼女に刺したまま
子供の時にした

解剖の授業よろしく
喉から腹の辺りまで
包丁を滑らせた

滑らせて見えたのは
彼女の内臓と骨

腹の中で眠りたい願望を持つ
私にとってはそれは
邪魔な付属品でしか無いので

素手で彼女の開けた腹の中を
グチュグチュこねくり回しまくり

臓物を千切って骨を折り外し
彼女の腹を空っぽにした

彼女の空いた腹に
丸まって入る

やわい皮と温かい血が
全身を包み込んで

この上無い安心感だった
彼女が生きて私の事を
愛していた時よりも

猛烈な眠気が
襲って来たので

そのまま彼女の腹の中で
朝を迎える事にした

何処からか来たか
判らない蝿の複眼が

此方を見ている事に
気付かずに

30:深河春淵◆wc:2020/03/05(木) 22:10

或る願望を持っていた
愛する者の腹の中で眠りたいと

まだか まだかと
思っていた
彼女が寝る時を

となりで寝ている
彼女を置いて

台所へと向かい
彼女の腹を裂く為だけに

新しく買った包丁を
取りに行く

包丁はわずかに
カァテンの隙間から
漏れ入る月光により

刃の先が
鈍く反射している

静寂な夜だ
階段を昇る時の

踏んだ足の木の音が
いつもより良く響く

起こさない様に
ドアを開け
物盗る人の様に近付き

躊躇っている間なぞ無いと
繰り返し云い聞かしては

両の手に握った包丁を
彼女の喉に

降り下ろした

包丁とベッドは瞬間
血に染まり

声を発する事無く
絶命した

包丁を彼女に刺したまま
子供の時にした

解剖の授業よろしく
喉から腹の辺りまで
包丁を滑らせた

滑らせて見えたのは
彼女の内臓と骨

腹の中で眠りたい願望を持つ
私にとってはそれは
邪魔な付属品でしか無いので

素手で彼女の開けた腹の中を
グチュグチュこねくり回しまくり

臓物を千切って骨を折り外し
彼女の腹を空っぽにした

彼女の空いた腹に
丸まって入る

やわい皮と温かい血が
全身を包み込んで

この上無い安心感だった
彼女が生きて私の事を
愛していた時よりも

猛烈な眠気が
襲って来たので

そのまま彼女の腹の中で
朝を迎える事にした

何処からか来たか
判らない蝿の複眼が

此方を見ている事に
気付かずに

31:深河春淵◆wc:2020/03/05(木) 22:12

…おや、
同じ物を載せて仕舞った様だね…。
久々にやらかしたかな

32:深河春淵◆wc:2020/03/07(土) 23:24

(1)
僕はね
ある時まで

幸せと云うものを
感じた事がないんだ

ある時と云うのはね
気紛れに他人と公園で
遊んでた時なんだけど

その子がね
大事にしてた人形を
無くしちゃって

僕もいっしょに
さがしたのだけれど
結局見つからなくって

その子が泣いちゃって
家に帰って行った時かな

その子が公園から
いなくなって

夕日が沈んで
影も映さなくなった頃

僕は笑った
その子の人形を持って

心の底から
笑った様な気がした

それまでも笑った事は
いくつかあったんだけど

表面的なだけで
ひとりになってから

なんであんな下らない事で
笑ったんだっけって自問してた

この時から
理解したんだ

自分は他人が
不幸になる事でしか

幸せになれない
人間なんだって

33:深河春淵◆wc:2020/03/12(木) 00:18

(2)
その時から僕は
皆の前では今以上に
良い子になって

その陰では
皆が作った物を壊したり

皆で飼ってた動物の餌に
毒を混ぜて歿なせたりして

皆が泣いてたり
怒って犯人は誰だって
云ったりしてるのを見て楽しんでた

不幸なんだろうなぁ この人達は
その中でたった一人だけ

僕は幸せだって
喜びをこっそり
噛み締めてた

危なかった時も
あったけれど

基本は誰も
僕を疑わなかった

だって僕は
自分の感情に素直なだけの

良い子だもの

34:深河春淵◆wc:2020/03/12(木) 00:28

星に願う 破滅を
宇宙より飛来する
彗星よ 来たれ

大気圏なぞと云う
地球を包む

穴だらけの脆弱なヴェールを
摩擦により燃え尽きる前に突き破り

空を 割れ
地上を 燃やせ
海を 蒸発させよ

あまねく生命に
終焉を もたらせ

35:深河春淵◆wc:2020/03/12(木) 21:38

散文の何が悪い
高尚な文を紡ぐ事が
良い事だと思うな

ナンセンスだって良いだろ
ハイセンスかぶれ共が

36:深河春淵◆wc:2020/03/12(木) 21:40

あおぞらのねこのことなど
わたしは知りません

わたしが知りたいのは
いま めのまえでしんだ
いぬのことなのです

37:深河春淵◆wc:2020/03/14(土) 18:36

少しだけ
眠らせてくれ

世界に希望を
抱く事が出来たなら
また私は目覚めるから

38:深河春淵◆wc:2020/03/15(日) 01:09

皆が笑って
私を崖に
追い詰める

そして私を
数多の手で突き落とす

黒虚底を背に
落ちていく私を

皆は追い詰めた時と
変わらぬ笑顔で見ている

助けてくれる訳が無いのに
私は何故か手を
皆に伸ばしている

39:深河春淵◆wc:2020/03/15(日) 02:24

勇気をひとつ持ったら
後の事は 考え無い様にしよう

空を見よう
きっと青い

白い雲は偽の綿飴
鳥は歌を歌っている余裕はないや
翔ぶ事に必死でそんなこと

思い出してみよう
良い事も 悪い事も

思い出しても 悲しくならないで
これから起こる事をすれば

なにもかも 全部
消えるよ

40:深河春淵◆wc:2020/03/16(月) 00:33

私がいない方が
皆にとって
清々するかもしれない

だって誰も私の事をもう
気にかける必要なんて
無くなるから

嫌だったに違い無い
私と接する事が
我慢していただろうな

現実は勿論
最近は電脳世界の貴方達も

私の事を画面の向こうで
冷たく嘲笑しているのではと
思えてきた

頑張らなきゃいけないのに
そうでなきゃ私は誰にも
見て貰えないのに

41:深河春淵◆wc:2020/03/16(月) 00:43

努力らしい努力をしないで
他人に見て貰えるのは

可愛い人と 綺麗な人と
格好いい人と 面白い人

そのどれかを
持つ人のみです

42:深河春淵◆wc:2020/03/16(月) 19:18

その世界は
別の世界

そんな世界に
私はいた

行きたくなかったが
無理矢理
連れて来られた

其処は
食い物と飲み物と

人の声が
混じる場所

皆は楽しそうだ
だが私は何ひとつ
楽しくなぞ無い

好かないからだ
元来そう云う場所は

少し目の前の冷たい
肉だの寿司だの食べて

約一時間後に来たる
ケェキを待つ為

喧騒より離れた場所で
持参したゲェムをしていた

少しすると
私と仲が
良いなんて騙る

私が勤める職場の
同僚女がとなりに来て
何か話しかけていた

何かを話しかけているなと
聞こえてはいたが

内容までは
聞いていなかった

その内同僚女は
私と会話するのを

諦めたのか
向こうへと行き

他の同僚と
話を始める

それで良いんだそれで
お前は綺麗なんだから

こんな可愛気の無い
私なんかと話すよりも

他の同僚と話でもして
チヤホヤされると良いさ

43:深河春淵◆wc:2020/03/16(月) 19:26

(1)
ある川原の土手で
男をハンマーで殴る

牛の刻ドンが鳴り
働く人間達が

昼餉を食べようと
ゾロゾロ出てくる時間に

其の男は
知らない男である

其の男は歿んだ
頭からダラダラダラダラ
血を流して

其の男は背が高く
メガネをかけていて
痩せている

まるで羽の無い
蜻蛉の様だった

何故殴ったのか
男の歿体を見詰めて
じっと考える

其の間も
男の頭から

流れる血は
止まらなくて

土手の青い草は
赤く染まっていった

44:深河春淵◆wc:2020/03/17(火) 22:23

(2)
もっと近くで見てみれば
判るかもしれないと思い
歿体の側でしゃがんだ

殴った頭の箇所からは
皮がベロンとめくれて
脳味噌が見える

ずいぶん強く
自分は殴ったのだと

少しだけ
口角が上がる

45:深河春淵◆wc:2020/03/17(火) 23:49

(3)
酉の刻になって
辺りが暗くなり始め
人が影の朧となろうとも

私はずっと
男の歿体の側に
しゃがんでいた

漂う血の匂いを嗅ぎ付け
引き付けられたのか

野犬が涎を垂らして
男と私を見ている

男の脳味噌が
見える箇所には

ブゥゥン…ブゥヴン…と
蝿が飛びかよい

脳味噌に
時折止まっては

口で肉を
ちびちび喰い

臀部の穴から
白っぽい蛆虫を
プリプリ産んでいる

なんだか見てると
どうだって
よくなってきた

なので川に蹴落とした
男の歿体は流れて

それを魚が
追従していった

46:深河春淵◆wc:2020/03/19(木) 01:33

上司や同僚が求めているのは
今休職している自分じゃなくて

病まずに出勤して
仕事をする自分なんだ

頑張らなきゃいけない
早く直さなきゃいけない

でないと自分は役立たずだ
何処にも居場所が無くなるんだ

47:深河春淵◆wc:2020/03/21(土) 22:37

(1)
いなければ良いのに
あいつがいるせいで
何かと比べられる

容姿だって
勉強だって
運動だって

あいつは優秀で
周りもあいつを
褒めるばかり

一方の私は
何をやっても駄目で

周りの誰もが
私を罵る

何故あっちは出来るのに
お前は出来ないのか等…

私だって何かひとつ位
出来たかった

あいつよりも秀でた所が
欲しかった

だけども叶わなくて
どうすれば良いのか判らなくて

其の結果が
いなくなれば良いと

妬みから来る
あいつへの憎しみだった

48:深河春淵◆wc:2020/03/26(木) 02:44

(2)
そうして私は
あいつを憎む

あいつの一挙一動一声が
気にくわない

なんて苛々
するのだろう
ひっぱたいてやりたい

お前ばかり
お前ばかり
お前ばかり…

…調子に乗るなよ

49:深河春淵◆wc:2020/03/26(木) 02:56

おー ばー ど うず
おー ばー ど うず



白い楕円と丸
今飲んでいる

薬の形

これを飲むと
嫌な事が消えて

嫌な事を
考えられなくなる

おー ばー ど うず
おー ばー ど うず

崩れていく心を
薬が直してくれる

口に含んで
水で飲み込む

すると私は
たちまち常人に

なる

おー ばー ど うず
おー ばー ど うず

薬が
楽しみ

50:深河春淵◆wc:2020/03/29(日) 11:01

いじわるな子供がいました
その子はいつも

みんなにイタズラをしかけては
困らせて
笑っていました

ある日の事です
その子がイタズラを

考えながら
歩いていると

その子の足下に
突然大きな穴が開き

落ちてしまいました

その穴は
深くてとても一人では
出られやしません

おーい と声を
上げました

けれども返事が
返って来る事は無く

辺りは暗く
なるばかり…

その子は泣きました
わんわん泣きました

すると突然
雨が降ってきて

その子の
入っている穴を
水で埋めつくして

その子は溺れて
歿んでしまいました

51:深河春淵◆wc:2020/03/30(月) 02:34

貴方にされた悪き事
それをどうして
忘れられようか

元よりこの心病んでいます
それが貴方の所為で
殊更病みました

赤い布端縫い付けて
ぬいぐるみを貴方に例え

こうなれば良いと願い乍
ぬいぐるみの腹を裂き

ワタを引きずり詰め込んで
残りのカワもバラにして

これが貴方 未来の姿と
呟きたく存じます

52:一真:2020/04/04(土) 02:03

アビス、すげぇ…

53:深河春淵◆wc:2020/04/04(土) 19:21

>>52
見てくれたんだね、ありがとう。
そう云ってくれるのは嬉しいですな。

54:深河春淵◆wc:2020/04/04(土) 19:33

私が悪う御座いました
貴女の了承を得ずに

勝手に夕餉を
食べてしまったのは

今 私は貴女のぶちまけた
飯だった物の上に

頭を垂れて
後頭部を貴女の

飯の汁にぬったくられた
素足に踏んづけられております

それは貴女の足の
匂いではないのだけれど

これもこれで悪くないと
思います

後頭部の足の感触が
ぬるぬるしていて

私はある衝動に
駆られております

舐めたいのです
貴女の足を

後頭部をひっくり返して
顔面に足がある状態にして

私の舌の味蕾で
味わいつくしたいのです

気持ち悪いと
思われるかもしれません

そう思われたのなら
どうぞこの卑しい私めを

貴女の口から出てくる
モザイクがかかりかねない

酷き言葉でどうか
罵倒して下さいませ

55:深河春淵◆wc:2020/04/11(土) 21:42

呪われちまえ

お前なんて
 お前なんて
お前なんて

誰も彼もが

お前のせいで
 お前のせいで
お前のせいで

俺の事を馬鹿にするんだ

つらい つらい つらい
 つらい つらい つらい
つらい つらい つらい

苦しい

笑うな 笑うな 笑うな
 笑うな 笑うな 笑うな
笑うな 笑うな 笑うな

聞きたくないんだよ

56:深河春淵◆wc:2020/04/11(土) 21:46

森に出口は無い
あるのは入口だけ

持っているのは薬と水
自分を証明する物は
持っていない

呼んでいる
誰かが

行かなきゃな
早く

何処へ?
何処だろう
何処でも良いよ

57:深河春淵◆wc:2020/04/11(土) 22:01

あの空の雲よ
あの空の雲

あの空の雲より
発行される券は

お星またたく宇宙より来たる
機関車に乗る為に
必要な物なのです

若し無くしてしまったなら
あの空の雲は
意地が悪いですんで

ずい分とこちらを
焼きもきさせてから
渡しに来ます

機関車の乗客は
あなた地球人だけじゃ
ありません

火星人の乗客もいます
水星人の乗客もいます
木星人の乗客もいます

金星人の乗客もいます
天王星人の乗客もいます
土星人の乗客もいます

まぁとどのつまり
地球人が認知している星体の

者達は全て
乗っている訳です

線路は星ですよ
地球人が
天ノ川と呼んでいる物の事です

織姫や彦星なんて
そんなロマンチカルは
存在しません

乗るにあたりお客様には
守って欲しい事がありまして

それは決して
窓を開けては
なりません

窓を開けられますと
放り出されて
宇宙の亡者となりますので

あれの事です
右に見えます
あの物体です

星の帯の一部に見えますが
あれは昔この機関車の窓を

注意も聞かずに開けて
身を乗り出し

星を取って
家族へのお土産にすると
云い出したから

止めたんですよ?一応
でも聞かなかった

お客様が悪いと
今でも此処を通る度に
思いますね…

さて そろそろ
出発しましょうか

58:深河春淵◆wc:2020/04/11(土) 23:52

カレンダーを見る
時計を見る

刻々と時計が
針を進める音がまるで

処刑台の一番上まで歩く
自分の足音の様に思えてくる

後何分かすれば
忌々しい“誕生日„と云う
物がやって来るからだ

歳をとる
それは別に構わない

人間だから
歳をとるのは
当たり前だ

それよりも
恐ろしい事がある

祝われないのだ 私は
誕生日と云う物を 迎えても

誰からも

プレゼントなんて
何十年前にもらった以降
記憶が無い

おめでとうなんて言葉も
聞いた事が無い

だのに私の家族は
己が仕事先から
プレゼントを貰える

私だけが 祝われない
ぼっちだ 友達いないから

なんだか 目から
温い水が出てきた

59:深河春淵◆wc:2020/04/21(火) 21:18

渦巻く妬みは
くちなわと化し

吐き出される嫉みは
毒炎となりて

輝く生命を蝕み
とこしえに癒えぬ
禍恨の傷を残す

60:深河春淵◆wc:2020/04/22(水) 20:17

恨んだって良いじゃないか
許せないんだから

謝ったからって
お前の罪が
消える訳じゃないよ

しつこい?何を云っている?
お前の謝罪に
誠意が無いからだよ

謝って終わり?
其の考え方 嫌いだわ

丸く収まってたまるか
何時何時だって論(あげつら)って

お前の眼前に突きつけて
覚えるまで脳味噌に
捻り込んでやる

61:深河春淵◆wc:2020/04/24(金) 23:57

私は誰よりも
愛に飢えているのかもしれない

気がつくと
目で追っている

幸せそうな家族を
幸せそうな恋人を
幸せそうな友人を

私は一人
何をしているのだろうと
自問する

私は一人
ゲームをしていると
自答する

私は寂しい
何時も泣いているのだ

誰か助けて
くれないかと

誰か私を
見てくれないかと

62:深河春淵◆wc:2020/04/24(金) 23:59

布団の上で眠る私は
自らの周りに

火の点いていない
白く短き蝋燭の幻をみる

63:深河春淵◆wc:2020/04/30(木) 23:59

やり場の無い怒りと
行き場の無い悲しみは

其々炎と水になり
私の胸中に渦巻く

本来ならば炎と水
相反する二つの属性は

交わる筈は無く
どちらかが消えるが必定

だが私の胸中にある
炎と水は其に逆らい

互い互いに融合し
炎が水を消す度に
水が炎を消す度に

怒りとも云えぬ
悲しみとも云えぬ

混沌めいた感情の
水蒸気を発生させた

水蒸気はやがて
黒雲となる

黒雲は雷を放つ
雷は胸を貫き

暴れ狂いて心を
憎悪に焦がさせる

憎悪に焦がされた心は
標的を求めんとする為
嫉妬の血眼を見開き 彷徨う

64:深河春淵◆wc:2020/05/03(日) 20:46

虫がいる
否 正確にはある

其の虫に名は無い
どの著名な図鑑にも

其の虫の姿は
載っていない

虫の姿は小さい
人々が其の虫を
踏み潰しても

誰も気付かず
誰の靴にへばりついても
気にも止められない位の

虫は自分が
何を食うべきか
判っている

それは人間
だが外部からでは無い

人間の人体に開いている
穴と云う穴から入り

内部を巡る血をすすり
臓物を小振り乍も

金物屋の先に並ぶ
何も斬った事が無い

新品の刃物の様な
鋭き正三角の歯牙で

動物が動物の肉を
噛み千切る時のあの

ぶちぶちぶちと云う音を
立てて 食べる

65:深河春淵◆wc:2020/05/08(金) 21:19

気に食わない お前がな
何か私に別に
した訳じゃないが

見ているだけで
何か 苛々する

笑顔 泣顔 怒顔
どの顔も私の癪に
触れるにゃ充分だ

お前ばかりが褒められる
お前ばかりが味方される
お前が善人だから

それと真反対の私は
お前の扱いの
真反対の扱いをされる

私ばかりが怒られる
私ばかりが敵にされる
私が悪人だから

知らないんだろうぜ 皆はな
お前の秘密

私が今云ったって
悪人の虚言だと
誰も意に介さんが

電脳でなら
どうだろな?

誰も気付かない
噂の発信元は 私だと

真実として
伝わるのも良いが

尾鰭が付いた方が
どうせなら得だ

曲がりに歪んだ
原型の無い噂

そっちの方が
お前を苦しめられる

お前を好きな皆が
お前を攻撃する
これ程愉快な事は無いね

66:深河春淵◆wc:2020/05/09(土) 21:42

いっその事
くたばっちまえと
素面で酒を呑み

酔払の状態で
空瓶を持ち乍
看板ネオンを練り歩く

夜の匂い特有の
甘い女に手を引かれ

淫湯の一夜を過ごせども
素面ではあらぬので

隣で眠る女は誰ぞと
腕を組んで首をかしげる

其の内女も起きだし
うどんをすすれば

金の無ェもんに
用は無いぞと追い出され

くたびれた財布を
投げつけられる

開いて数えようにも
数えるべき銭は無く

あの女 全部取りやがったと
毒吐く様に呟いて
己が家への帰路を行く

67:深河春淵◆wc:2020/05/12(火) 21:56

何故貴方は
他の人を見るのです?

目の前に
恋人たる私が
いると云うのに

そんなに私より
あの人の方が良いのですか?

あの人の方が
良いと思うのならば

付き合いたいと
思うのならば

今すぐ私など
捨てらっしゃい

汚れた床を拭いた
ボロ雑巾の様に

私など
捨てれば良いよ

そしたら私は生卵の卵殻に
貴方の名前と生年月日を

書いて庭に
埋めてやろうね

68:深河春淵◆wc:2020/05/16(土) 21:19

ぼんやりとした
この思考の内に
詩でも書こう

今なら聞こえる様な気がする
何が 嗚呼 それは
正体は不明です

ですが音が聞こえます
それは声にも似るのです

69:深河春淵◆wc:2020/05/16(土) 21:25

亡霊の瞳は
恨みに満ちている

亡霊の恨む相手は
この世に既にいない

この亡霊が取り殺した…
ずっと背に張り憑き

怒りを孕む声色で
決して聞こえない
呪いの歌を歌った

それでも亡霊からは
恨みは消えない
強く…深く…増していく…

70:深河春淵◆wc:2020/05/16(土) 21:45

今日はお前に
こっぴどくやられたから

お前ん家の庭に
海月を撒いてやったよ

ぷるぷるの感触を
お前の足の裏で
ぶにぶに踏めば良い

ちなみに撒いた海月の名前は
鰹の烏帽子(かつおのえぼし)

お前に呪いをかけた
特に理由はないけれど

なんかお前の顔が
浮かんできて

太陽系の様に
ぐるぐる回るから

こっちまで
目が回ったんだ

だからお前は一日に十回
箪笥の角に足の小指をぶつける

ざまぁみろ
小指を骨折しちまえ

71:深河春淵◆wc:2020/05/17(日) 23:44

バラバラにしたっていいじゃない
此処はおとぎの國だもの

居眠りしている
おばあさんをたたきおこして

魔法を使わせたら
あっというまに
もとどおりだもの

私でも戻せるけど…
嫌よ 疲れるもん

大丈夫よ大丈夫
貴方は他の子たちといっしょに

部屋の中に
入っていれば良いの

72:深河春淵◆wc:2020/05/21(木) 20:35

楽しい夢を見た
自分が巨大な

獣や竜になって
世界を壊している夢

その時の私は怒っていた
何が何だか判らなくなって

でもとにかく目に留まる物全てが
自分を苛立たせてしょうがなくて
破壊せずにはいられなかった

瓦礫になる建物
燃える街並み
歿んでいく人間…

それ等を見ていると
気持ちが昂って

もっと壊れろと
暴れ狂いたくなってくる

戦車や戦闘機なんて
目じゃない

払い除ければ
いつの間にか
無くなっているのだから

73:深河春淵◆wc:2020/05/26(火) 22:28

ふと 可笑しくなる
花瓶を割った

良いじゃないか 別に
お前の命より安いんだから

74:深河春淵◆wc:2020/05/26(火) 22:30

吐けよ煙突黒煙を
空から青を亡くす為に

75:深河春淵◆wc:2020/05/26(火) 22:32

ふとお前の事を
思い出した

生きた鶏肉を
解体している時に

76:深河春淵◆wc:2020/05/26(火) 22:37

飛べない蜻蛉が
階段に這いつくばってた

何故だかそれが
憎らしくなってきて

何処ぞで拾った木の枝で
複眼の部分を突き刺した

77:深河春淵◆wc:2020/05/29(金) 21:49

ピピコピコ
ピピコピコ 電子音

暗い部屋の中
ゴミだらけの部屋の中
何かを打つ音だけが 響く

社会から拒絶された 自分
世界から隔絶された 部屋

此処なら自分を誰も
非難しない

外からの声は
耳を塞いでいれば良い

昼夜の世界 逆転してる
外では太陽が
出ているらしいけど

自分の世界は月だ
いつまでも夜だ
布一枚がそうしている

周りの三次元は
結婚しているけど

自分はその前に
二次元と結婚している

二次元なら
三次元みたいに
裏切ったりしない

自分の世界は
此処だけで良い

見聞を広める
必要なんて無い

誰かの泣き声が
聞こえたような
気がしたけれど

きっと
気のせいだ

78:深河春淵◆wc:2020/06/06(土) 23:47

希望を抱いたの
だけど
何も変わらなかったの

悲しさが
増すだけだった

辛さが
増すだけだった

苦しみが
増すだけだった

誰も
判ってくれない

誰も
見てくれない

ここに
いるのに

誰も
気付いてくれない

79:深河春淵◆wc:2020/06/06(土) 23:52

報われぬ彼の者の為に
其の純潔な心が

世の中の汚れた者達に
蝕まれない様に

私は彼の者の事を
天国へ導こうと思う

80:深河春淵◆wc:2020/06/06(土) 23:57

(1)
生きている
家族の姿を見ると

どうしても
歿んでいる姿を

思えずには
いられません

ある日の母は
台所に立っています

料理をしているのですが
包丁を持っており

其れをうっかり滑らせて
自分の胸に
突き刺してしまうのです

母は歿にました
ですがこれは
私の想像なので

現実の母は歿んでおらず
料理を続けておりました

81:深河春淵◆wc:2020/06/13(土) 18:21

(2)
或る日の兄は
今日も今日とて

運動らしい
運動をしておらず

食っちゃしては
部屋の中で
グースカ寝ています

夕食が出来て
私が呼びに行くのですけど

いくら呼んでも
ウンともスンとも
云いやしない

それもそうでしょう
だって兄は
歿んでいたのですから

原因は云わずもがな
兄自身に溜まった
こえこえとした脂肪です

ですがこれも
私の想像上の
出来事なので

誠に残念乍
現実では
歿んでおらず

グースカと
寝ているのです

82:深河春淵◆wc:2020/06/16(火) 02:40

小さい子 可愛い子
キレイにしようね

髪をとかそうね
私のお膝の上で

服を着せようね
さぁ バンザイして

靴を履かせようね
おろしたての 赤い靴だよ

キレイになったね 小さい子
さあ 頭から順番に
噛み砕いてあげようね

83:深河春淵◆wc:2020/06/16(火) 02:43

星 星 ぴか ぴか
夜空に あがる

星 星 ぴか ぴか
夜空で ひかる

星 星 ぴか ぴか
宇宙から やってくる

星 星 ぴか ぴか
地上を 滅ぼすよ

84:深河春淵◆wc:2020/06/22(月) 23:52

貴方のノートが
真黒に染まりますように

貴方の見る景色が
真赤でありますように

貴方の未来が
閉ざされますように

85:深河春淵◆wc:2020/06/22(月) 23:59

苦痛よ きたれ
悲しみよ きたれ
今こそあの者に試練を

彼の者は幸福に満ち過ぎた
我は彼の者に
不幸を与えねばならぬ

運命は常に寄らず離れず
禍福平等であるこそが定め

だが彼の者の天秤は
幸の方へ傾いている

平等を是とする我としては
看過出来ぬ事

ならば与えよう
今こそ嘆きを

彼の者の最も愛し人へ歿を遣わせ
彼の者の親しき友へも歿を遣わせ

彼の者を
孤独と空虚へ導こう

86:深河春淵◆wc:2020/06/27(土) 21:00

つのばさみ しょっきりん
紙だって布だって何だって

自慢とうたうつのばさみで
しょっきりんよ

87:深河春淵◆wc:2020/06/27(土) 21:04

おとなりさん
いつもニコニコ

今日も今日とて
ニコニコしていたよ

おとなりさんの旦那さん
それはもうひどい人

お酒を飲んじゃ
つらく当たる人

それでもおとなりさんは
ニコニコしている

ある日
おとなりさんの旦那さんが
消えたって

おとなりさんは
ニコニコシャベルを持って
話してくれた

88:深河春淵◆wc:2020/07/01(水) 21:31

私は「彼」を許すまじ
「彼」は此処まで私を

傷付かせておいて
のうのうとしている

あの面に何発位
握りしめたこの拳を叩き込めば

「彼」の顔は
トマトのように
腫れ上がるのだろうか

89:深河春淵◆wc:2020/07/10(金) 02:57

あの子は いつも ひとり
あの子は いつも ひとり

ゆうがた いつも
ぶらんこで あそんでいる

ゆら ゆら ぎし ぎし
ゆれて ゆれて 
赤い そらが ちかい

ふくは よごれて ボロボロで
いつも したを むいていて

なにを いわれても
白い 歯を むきだしに
わらっている

にぎり つぶした
かわいい ちょうちょを 片手に

あの子が あそんでいると
だれかが いなくなる

ひとり ふたり さんにん
四にん ごにん ろくにん

かぞえていたから わかるんだ
だれが 消えたのか

ぼくだけが 覚えていて
みんなは しらない

あの子の 事も
この子の 事も

○○ちゃん こんどは
あの子も いれて 遊ぼうね

あの子 いつも
ぼくたちを みているから

90:深河春淵◆wc:2020/07/11(土) 19:04

ある日 突然
でっかくなった

両手がでかい
ぷちっという
音が聞こえた

両足がでかい
下で爆発音がして
なんだか少し熱い

怪獣!怪獣!と
ぼくを見て
みんな叫んで逃げていた

にんげんなのに
なんでこうなったのか

自分にも
よくわからないのに

みんな みんな
石をぶつけてくる

でかくなっても
痛いものは 痛いよ

やめてよ みんな
みんな やめてよ

そんなことするなら
ぼくにとっての
小石を 投げるよ

みんなに
ぶつけるよ

泣いたって
怪我したって
しらないから

91:深河春淵◆wc:2020/07/19(日) 22:51

さふさふと云う
木の葉の音

人が踏む
木の葉の音

さふさふと云う
木の葉の音

木の葉と云う歿骸の
砕かれる音

92:深河春淵◆wc:2020/07/19(日) 22:52

海の幽霊の
一団となれば

愛し憎き貴方を
足つかぬ深き底へと
誘えるか

93:深河春淵◆wc:2020/07/19(日) 22:54

歿に体である
我が耳に
蚯蚓が入りて

うねうねよじり
臓府を見る

94:深河春淵◆wc:2020/07/20(月) 23:10

一つの木に
二人の男と女

一つの木は
新たなる別れと出会いを
見届ける

95:深河春淵◆wc:2020/07/20(月) 23:11

飲まねばやってられぬ
人に酒の力で
当たらねばやってられぬ

我が勝手なるこの心を
憎しと思う
二日酔いの朝よ

96:深河春淵◆wc:2020/07/20(月) 23:13

生活(ライフ)に充実せし者よ
爆発四散すれば良いと

青空の下
空想す

97:深河春淵◆wc:2020/07/22(水) 00:39

今だけはこの空の
太陽よ影れと願う

太陽さえ出ずらねば
深き眠りにつける故

98:深河春淵◆wc:2020/07/23(木) 21:26

詩が書けぬと
泣き事を云う我を

見えぬ者が
お前は才など無いと
責める声

99:深河春淵◆wc:2020/07/23(木) 21:29

許しを乞う者の背を
鞭にて更に呵責したくなる

地獄に住まう
獄卒が如く

100:深河春淵◆wc:2020/07/23(木) 21:30

愛に永遠など無い
誓うなかれ 君よ

それだから君は
そんなにも私に対して
苦しんでいるのだ


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