長らく御待たせしました。お久しぶりです。アポロです。いろんな小説をたくさん掛け持ちさせていただいております。今回のお話は『テニスの王子様にヒロインがトリップしちゃいましたよ!?【2】』の続編となります。
そういう訳で、【2】の方が完結するまでここのお話は始まらないかもです。いや、ちゃんと書きますけど! 書きますけど、しばらく時間を置くだろうと思います。身勝手を御許しください。
ヒロインちゃん達は変わりません。相変わらずです。ちょくちょく画像も貼っていこうと思うので、よろしくお願いします。
綾side
私は唖然とする赤嶺さんに苦笑いを浮かべた。
それもそうだ。いきなり対戦相手として送り込まれてきた子がこんなことを言うんだもの。
私は、今回のテニプリ編を含めてこの対戦式神様のゲームに強制的に連れてこられたの、実際には三回目なんだ。
一回目のダイヤのAでは持たざるもの側で負けた。理由は簡単だ、私達にとって命にも変えがたいバグ人物が最期まで見つからなかったのだ。
実を言うと、バグ人物は勝利への道を手助けしてくれる、まぁ、言っちゃうとあっちはあんなにたくさん味方がいるのにこちらには一人はちょっと可哀想、と言うお情けでバグが出るようになっている。その時も人数は他校に合わせてあった。
二回目のハイキューでは、バグ人物は案外すんなり見つかった。開催地は烏野、音駒、梟谷、青城。
自校、烏野には菅原さんと大地さん、音駒には研磨、黒尾さら。青城は及川さんと国見。
一番キツかったのは梟谷だ。何せバグが全校生徒で赤葦ただ一人。
開催地に合わせてこちら側、四人あちら側四人。
なんとか打ち勝てたが、女の子はやはり怖い。
味方四人とはもう、そりゃもうその世界で命を狙われたことあるから、すぐに仲良くなったけど。
相手側はあそこまでバレー部を駄目にした。何せそこらの雑魚い高校のバレー部に惨敗するほどにダメになっていたんだ。
私にはどうしてああまで、私達を傷付けてまでキャラクターのお姫様になりたかったのか理解できない。
だから、今回も強制的にここに連れられ、再びゲームをさせられる事と、自分自身が補正側に回ったことに絶望した。
そして今回も変わらないゲームの終わらせ方。
相手をこの世界の人物として殺さなければならない。
ダイヤのAで負けた私達持たざるもの側は全員殺されたから負けた。
まぁ、流石神様のゲームと言ったところだろうか。
ゲームと言う辺り、その世界で死んでも私達が元々いた世界ではちゃんと生きている。
殺されるときの恐怖と痛みは消え去らないのに。
だから、私は終わらせる。こんな悲しいゲーム。
この、人を人とも思わない神様のゲームを、終わらせてやる。
『__……そう誓ったの。』
私が話を終えると、赤嶺さんは肩まで掛かる茶髪を髪になびかせながら、「苦労してんだな」と労いの言葉を私にくれた。
そして、とんでもないことを提案してきた。
「……三回もこのゲームを体験して、しかも一度負けてるお前となら、俺達持たざるもの側の俺達と共同戦線が張れそうだな」
私はうつ向かせていた顔をバッとあげて「何を言っているの?」と声を出す。
赤嶺さんはそれにこう返した。
「俺達となら、このゲームを終わらせられるかも知れねぇって言ってんの」
赤嶺さんには……敵わないなぁ……
私は頬に一筋涙を流した。
.
綾ええ子!めっちゃええ子やん!補正とか関係無しに!大変な思いしてたんやな…
続き待っとる!頑張ってね!応援してるから!
画像格好いいな…!男勝りというかなんと言うか…赤髪良い!!ww
絵が上手くて羨ましい限りでございまする……。。。w
白雪ありがとおおおおお! 絵を褒めてもろたことあらへんからホンマ嬉しい!
あ、いきなり神戸弁出たゴメン。
続きを更新しますた。
伊織side
対戦相手側の転校初日、俺のクラスに転校してきたのは、まぁ……なんと言うか、ものっそいおどおどした子だった。
「天宮、自己紹介してんかー?」
「はへぇっ!? あ、あわわっ。はひっ!
えと、あ、えとっ、わっ、わたっ私!
天宮 咲(あまみや さき)と言いますっ!
あ、えとっ、えと、あ、はぅ、へぁっ、よ、よろっ、よろしくお願いしましゅっ!」
あ、最後噛んだ。盛大に噛んだ。
なんだか好感を持ってもーたんやけど、どないすんの?
アガリ症っちゅうのは分かったんやけど、演技かもしれへんし……そもそも望んで来たんやろ? 相手側は。
俺はマジでテニプリを知らずに連れてこられたんですが。
そして天宮の席は俺のとなりとなった。「ぎゃああっ(涼風君の隣!)」「ずるい!(伊織の隣!)」「良いなぁ(伊織君の隣)」等々奇声が女子から上がる。ごめんなさい、俺なんかがこんなみんなに取ってカワエエ女の子の隣で、ホンマすまん。
まぁ、ゆるふわっとしててちょっと守りたくなるようなその天宮は、クラスに溶け込み、みんなと仲良くなった。
なんか、彼方は俺を完璧に男だと思っておられるようで。
他の男子よりめっちゃどもるし、噛むし慌てるし逃げてまうし……嫌われたんとちゃうやろな、俺。なんやしてもーたんやろか……。
そして逃げてしもた天宮を見てクラスのみんなはなんや温かい視線向けてくるし、なんやねん!
それはそれで都合は良いんやけどな……なんちゅーか、罪悪感パないねんっ!
そして天宮が来て数日が過ぎ、俺がテニス部のマネジメント中、教室に忘れ物をしたと言うことで、蔵に許可を貰い、忘れ物を取りに向かう。
ぱたぱたと廊下を駆け足で歩く。え? なんで走らんのかって? いやいや、走ったあかんて言われとるやん。あれ? もしかして俺が間違っとん!?
そして教室のドアをがらりと開ければ、机に伏せて腕を枕代わりにして寝ている天宮さんが居った。
『……天宮さん?』
声を掛けてみるが応答なし。こりゃ寝てるな。
そして物音を立てずに荷物を取りに行こうとすると、「……、」と何か聞こえてきた。
天宮さんの寝言だろうか? 耳を澄ませば、飛んでもないことが聞こえてきた。
『……うそん』
ひぐっ、ぐすっ。微かな嗚咽が、ゆるゆると俺の鼓膜を震わせた。
__……家に、帰して…
.
えっ!そうなの!?あんなに絵上手いのに!?私からしたら羨ましい限りなのに!
アポロは兵庫県民なん??私は伊予弁こと愛媛県民やで!私の友達に転校生で兵庫県民がおるんよ〜その子とアポロが友達やったら笑えるよなぁ!ま、ないやろうけど!
相手側のトリッパー、もしかして自分から望んでなかったりする…??
出てくる子、出てくる子、皆いい子過ぎて…!!なんか、こう、迷う!!←((何がだ!ww))
続き楽しみにしとります!あ、たまには絵も描いてよ!アポロの絵私好きやから!…うん、つまり自己満…なんてツッコみは心にしまっといて…私の為に……ww
そう! 俺様兵庫県民の神戸市在住! っていうか歳お互いに知らんね……。
こっちは今年で中2になる13歳やー。www
よし、白雪のためにもイラストもちゃんと上げてやるぜ!(頑張る! 特に財前!)
そうだ、白雪にひとつ頼みたいことが有るんだけど、衣御ちゃんだけイラストイメージ湧かないんだよね……良かったらこんな感じがいいなーって言うのをイラストで挙げてくれない? そしてそれを元にこっちが作画する!
出来そうだったら頼むね! 出来そうになかったら大丈夫だよ!
それと、対戦相手側は望んで来た子と、強制的に連れてこられた子の二種類が居るよー。
今日はネタが出ないから次更新するー。
え!!マジで!?私も今年中2になる13歳やで!!うおー!マジか!めっちゃテンション上がるんやけど!え、何かすんげー嬉しい!!
…はい、落ち着きます。すみませんでした。ww
衣御ちゃんのイラストイメージ…そ、そんな大役私に頼んでもいいの!?
アポロ、ありがとー…!どんな形でもアポロの小説に関われるなら凄く嬉しい!!
んじゃあ…
・いおりちゃんに似て、赤髪!
・いおりちゃんよりは長めの髪(1つに縛れる位。)
・瞳の色は薄〜い黄色で。
パッと思いついたのはこんなもんかなぁ…あんまり役に立ってないかもだけど、良かったら描いてやってww
んじゃ、次回の続きに期待しとるよ!
オッケー! 衣御ちゃんのイラスト任せれ! と言いたいけど、髪の毛の色は衣御ちゃん茶色なんだよね。
多分作中で出てきた。
頼んだのにゴメンね、あ、でもそれ以外はちゃんと書くよ! 結構遅くなるだろうけど頑張る!
**
実砂side
『……けほっげほっ』
あまりに呼吸が出来なくて咳き込む。口の中は鉄の味で、口端から唾液と血液の混ざった液体がパタタと滴り落ちた。
ここは裏庭。ひとが寄ってこないと定番の場所。
数人の女の子に囲まれて暴力を際限なく振るわれ続けている。
まぁ、理由は昨日白石と忍足を(いろんなことで)説教していたのを見て気分が悪くなったんだって。なんて自分勝手だ。
リーダーは昨日転校してきた対戦相手、榑栖(くれす) まりも
口は悪いわ態度はでかいわ、男子にだけ人気で、女子からの人気は無いに等しい。
でも、女子にも少し好かれているらしく、現に榑栖の手助けで私をリンチにおしやった。
あいにく黒魔術の本は教室の鞄の中だ。
ズドンと腹に蹴りを入れられ、唸る私に榑栖は言った。
「私、今日からテニス部マネージャーやるから、よろしくね、ブス」
それを最っ高の笑顔で言ってのけたその子に「ブスはそっち……」と小さく呟いた。
それを聞き取った榑栖はどこからか、金属バットを取り出した。あ、ソレは本気でヤバい。
「私に口答えすんじゃないわよ! 生意気な!」
ブンと振り下ろされた金属バットは私の足を狙って下ろされる。
ビュンと風を切る音に覚悟した。
直後、バキッと鈍い音が辺りに響いた。
.
いーやぁー!!実砂ちゃんっ!!足!足ぃ〜!!
ごめん。赤髪じゃなかったのネ。じゃあ言い方変えてブラウンで!(キラン!)つまり茶色で☆
つ、続きよろしく…実砂ちゃぁあああん!!
謝る必要なんてないよー! 言い忘れてたこっちも悪いから!
実砂side
私は歯を食い縛ってやって来る痛みに耐えようとした。が、いつまでたっても痛みは来ない。
固く閉じていた目を恐る恐る開ければ、そこには見慣れた背中があった。
「った〜……」
ブリーチで色を抜いた髪に、ヒヨコっぽい髪型。
利き腕ではない左腕で勢いづいた金属バットを受けている彼はあまりにもいつも通りだった。
『謙也君っ!?』
間極まって名前を呼んでしまったがそこはおいといてほしい。
……なんだろう、私の目が可笑しいのだろうか。今の忍足超カッコいい。
そんな私の心中はいざ知らず、忍足は私に声を掛けた。
「実砂ちゃん大丈夫かいな、ぼろっぼろやん」
『……前言撤回かな、うん』
「? なにがや?」
『いや、なんでもないよ』
なんか、犬の耳と尻尾みたいなのが見えたから急激に株が下がったよ忍足。
榑栖はいきなりの自分の一番のお気に入り、忍足の登場に狼狽えている。なんか、スカッとする。
取り巻きも狼狽え、逃げていった。情けなさすぎる。
「けっ、謙也君!? どうしてここに……」
「なんでて、榑栖サン。
俺、せんせーに資料頼まれた帰りにこことおらなあかんかってん。そしたら榑栖サンの叫び声聞こえてくるやん? 何事かと思て見に来たら榑栖サン金属バット握って俺の実砂ちゃん殴りよーやん。
流石にそれはあかんのんとちゃう?」
そういった忍足の迫力は凄かった。なんと言うか、威圧みたいなのが。
っていうか。
『忍足、腕! ボキって言ったよね!? 大丈夫!?』
「ん? え……あ、なんか……いだああああああ!? ちょっ、実砂ちゃんなんで思い出させんの!? 忘れとったのに!」
忘れてたんかい!
補足。
忍足の犬の尻尾と耳みたいなのは「褒めてくれオーラ」によるもの
……wwww
.
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30:アポロ◆A.:2016/02/01(月) 21:26 ID:eG2 白雪
衣御出来たよー! 気に入ってくれたら嬉しいかな!
アポロありがと〜!!めっちゃいい絵やな!凄く気に入った!保存しちゃったよ!素敵過ぎる絵を本当にありがとう!
謙也、な、中々かっこいいな…wでも、尻尾と耳…あー想像できる。出来すぎて困るww
てことは謙也はこっち側の仲間なのかな??続き楽しみにしとくね!
実は謙ちゃん、実砂ちゃんにとんでもないことを言っちゃってました。
実砂side
「け、謙也君は騙されてるのよ! その子は……」
「ええ子やけど? ちゃんと俺らのこと見てくれとる」
「そんなことっ」
「有るんや」
榑栖が必死に私の印象を悪くしようと言うが、忍足がそれを止める。
忍足の腕を盗み見るが、目立った外傷は無い。
よくよく見れば金属バットの方が凹んでしまっている。忍足お前どんな腕してんの?
と、私が見ているときに幾分か話は進んでいたみたいで。
「実砂ちゃん、大丈夫か?」
『あ、うん。大丈夫だよ』
忍足の前につったっている榑栖はわなわなと震えている。忍足ってば何言ったの。
「今に見てなさいよ加川実砂!」
いきなり私を見て指差しながらそういう榑栖に溜め息を吐く。なんてお馬鹿なの。
「何する気や」
いきりたつ榑栖に忍足の目付きが鋭くなった。
それに私も、もちろん榑栖もびくりと肩を揺らす。
忍足はその雰囲気を変えず、そのまま続ける。
「榑栖。
__今度俺の好きな子になんかしたら許さんからな」
その言葉におじけついた榑栖は走っていってしまったが、私にとっては大ダメージを受けましたよ!?
『忍足、何いってるの? あ、嘘! 嘘よね、うん。榑栖を追い払うための……』
私が忍足の後ろでおろおろしていると、忍足は私に顔を向けた。
その顔は嘘を言ってるようには思えなくて。
「嘘やと思うか?」
ここで嘘だと言えたら勇者かな。
『嘘には見えないなぁ……』
「嘘ちゃうからな」
『それは告白に受け取っても良いのかな』
「マジやからな」
『……返事はこのゲームが終わってからってことで』
これはもう、忍足にゲームを話すしか無いかなぁ。
伊織side
『天宮さん、起き。もう下校時間やで』
俺はあのあと、部活が終わった後に様子を見に来ようと決め、今に至る。
そして、なんやら昼休みに何かあったらしく謙也が実砂ちゃんに付きっきり。
そして、四天宝寺テニス部のバグが判明した。
白石蔵ノ介、忍足謙也、財前光。
この三名やったで。
俺は今、天宮さんの肩を掴みながら揺さぶっている。っていうか、熟睡やな。
「ん? ……あ、れ? 涼風く、」
『おん、おはよー。っちゅうても明るい夕方やけどな』
夕日が教室を照らすなか、天宮さんは起きた。そして、
「えっ、き、」
『き?』
「き、」
『?』
「きゃあああああああああああああ!!」
俺の顔を見て叫んだ。え、なんで!?
『え、どないしたん!?』
「か、顔が近いよぉおおおお!」
『へぇ!? 女同士やから別にかまへんのとちゃう!? えええええ!?』
「女同士……え?」
『え?』
「涼風く、……女ぁ!?」
『え、俺おんn……やってもたああああああ!』
「『えええええええええええ!?』」
.
叫ぶだけwwww
続きカモーーン!!ヤバイな叫ぶだけって…伊織、やっちまったなww
ふ、不覚にも忍足にトキめいてしまった…格好いいじゃねーか!男らしいじゃねーか!
ちなみに今、頭痛あーんど微熱で学校休んじゃってます☆
白雪
嘘、大丈夫!? しっかり休みや!? お姉さん超心配なってきたわ……(汗)
**
あとあと事情を話せば「涼風君が……女……」となぜかショックを受けていたが大丈夫やろか? 天宮さん。(気付かないいおりん)
『んで、多分……あたしが天宮さんの対戦相手やねん』
「そっか……。敵なんだね……」
『でも、強制的に連れてこられた子はこのゲームを一生終わらせるためにあたしらに協力してくれとる』
「そっか……」
うつむきながら悲しそうに笑う天宮さんに、心は痛むが質問してみる。
『なぁ……家に返して、って……やっぱり天宮さんも無理矢理?』
あたしの言葉にびくりと肩を揺らす天宮さん。しばらく間を置いてこくりと頷いたかと思えば、糸が切れたように泣き出してしまった。
そして、途切れ途切れに話出す。
「私っ、家に居たらっ……神様が来て、「お前はゲームに参加する駒としてテニプリ界にいってもらう」って……お母さん達とも言葉っ、交わせなくて……。
こっちに来て、家も一人で……寂しくてっ」
わあああ、と再び泣き出す天宮さん。ばふん、あたしの胸に飛び込んできた天宮さんを受け止めて頭を撫でると、嗚咽を漏らしつつ、緩やかになる。
『なー、天宮さん。あたしらとこんなゲーム、ぶっ壊さん?』
「……」
あたしが告げた言葉に天宮さんは小さく頷いた。
.
きゃー!伊織イケメーン!男前〜!本当に男子やったら何人の女子を落としてくんだろうね…ww
心配してくれてありがとー!昨日平熱に下がったと思ったら、今日になってまた微熱になったんよー。
昨日が金曜でよかったわー。部活も休みになったし。
はぁ〜アポロ姉さんに心配して貰えるなんて、私は幸福者だなぁ〜ww
アポロねーさぁーん!病院いって検査したら、インフルエンザのB型だってー!あはは〜!
38:匿名さん:2016/02/07(日) 10:35 ID:eG2 白雪
いやいや、笑い事ちゃうって。ちゃんと休みや!
更新!
翌日、部活時に二人の新入マネージャーが入ってきた。
榑栖まりもと天宮咲。
榑栖を見た謙ちゃんが即座に実砂ちゃんを庇うように背に隠した。なんでや?
「榑栖まりもでーす。千歳君と偶然出会って勧誘されました! よろしくお願いしまーす!」
「あ、ああ、天宮咲ですっ。えっと、涼風く……涼風さんの推薦で、マネージャーをすることになりますた!
よろしくお願いしますっ!」
天宮咲、咲ちゃんカワエエぇぇ……。
そして部員はみんな二人を見てうおおお、と盛り上がる。うん、補正の力ってすごい。
「いおりちゃん、天宮さん勧誘ってホンマ?」
『うわ白石キモい、ちゃん付けすんなしキモい』
「いおりってばひどくないか?」
白石がわざとらしく、しゅんとした。そしていきなり真剣な顔に代わる。
そして小さな声でこう言った。
「エエんか? あの子、天宮さん。補正側なんやろ?」
白石は知っている。あたしたちと補正とのゲームを。そして、あたし達がトリップしてきたトリッパーだと言うことも。うん、話したからな。
ちなみに光には話していない。好き、言うてくれたからな。
『大丈夫や。あの子はこっち側やねん。強制的に連れてこられた子の一人や』
「ならエエよ、カワエエ子は大歓迎や」
白石はそう満面の笑みで笑う。そして、声色を変えずに耳打ちしてきた。「実砂ちゃん、敵の榑栖まりもにリンチられたらしいで。気ぃつけや」と静かに告げる。
『……ふぅん。実砂ちゃんをなぁ』
にやりと笑うあたしに白石は蒼い顔をして「いやー、きーつけやー」と行ってしまった。うん、どないした。
すると、背中にドンと重みが。
「いおりさん」
『光か……お前重いわ、痩せろ』
「え、ひどないっすか」
『ひどぉないねん』
最近光からのスキンシップが激しくなってきた。いや、可愛いからええんけど……後ろからのオーラが……怖い。
「おいこら財前。いおりちゃんに触らないでよ」
財前の肩をがしりと黒い笑みで掴んだ実砂ちゃん。なんか、ゴゴゴ、とか聞こえてきそう。こえぇ。
「ざ、財前君……」
その実砂ちゃんの後ろに咲ちゃんがおどおどしながら立っていた。そして、先程のおどおどした体(てい)が消え、無表情になって光に告げた。
「離れよっか」
あたし、思うんやけど……ふんわりした女の子の方が怖いかも知れん……。
ゴメン、上のこっち。名前書くん忘れとった……。
40:アポロ◆A.:2016/02/07(日) 19:14 ID:eG2 実砂side
放課後の部活にて。
「あ、ユウジ! お疲れ様〜。はいドリンク! 小春ちゃんも!」
「おぉ、きぃきくなまりも!」
「まりもちゃんありがとぉ!」
満面の笑みで私達三人で作ったドリンクをさも自分で作ったように渡す榑栖。
それにたいして私はとてつもない怒りを覚えた。あぁ……黒魔術は“まだ”掛けないから安心して?
「財前君! ドリンk「いおりさん、俺まだ練習するんで見てくれません?」……え……ちょ、財前君!」
「おん、別にかまへんで。けど何でや? 榑栖さんドリンク渡してくれとるのに。受け取っとき、倒れんで」
「……むぅ。……いおりさんが言わはるんやったら。
……どうも」
わぁ、財前ってば超不服そう。すっごい不機嫌な顔してるよ、財前。ちょっとざまぁみろ、って思ったのは許してほしいなぁ。
榑栖さんは榑栖さんでいおりちゃんを睨み付けてる。うーん、怖い。
「……実砂ちゃん? どうしたの?」
『んぇっ、あ、咲ちゃん。なんでもないよ?
さ、洗濯しにいこ?』
「う、うん!」
「行くやったら俺らもつれてってんか?」
「謙也の言う通りやで。
男子が居る方がええやろ?」
『はは、ほざけ』
私が笑いながらそう言うと、ぶーぶー膨れながら文句を言う部長とヘタレに黒魔術の本をちらつかせる。
途端に黙って練習しに行くんだから笑っちゃうよね。
**
いおりside
「ねえ、あなたなんなの?」
『何がかな?』
ただいまの現在地は体育倉庫内。榑栖さんに呼び出しをくらったかと思えば、先程の財前との会話が気に入らなかったらしい。
「とぼけないでよ!!」
『いや、だからなんのっ!! ってぇ……』
あたしがへらりと笑ってかわそうとすれば、直後、バァァンっと鋭い音が体育倉庫に谺する。あ〜、左頬ひりひり、びりびりするわ。いってぇ。
榑栖さんの右手を見てみると、何かが握られていた。
よくよく見れば、部室にあるお盆だった。そらいてぇわぁ。
「あなたの全てがムカつくの! キャラクター達のヒロインは私達補正側! なのに、何で!」
『そら、エクスタピアスがバグ人物やったからやろ』
「……そんなわけ……」
『そう思うんやったら思っとけや』
自分でも雰囲気が変わるのが分かった。あ〜、あかんって。
『ゆーときたいんやけど、あたしをこういう風にするんは構わん。けど、実砂ちゃんをリンチするんは許さんからな』
あたしはそういって体育倉庫の扉を開けて、勢いよく閉めた。
あ〜、あかん。左頬、腫れとるわ。
.
い、いおりちゃんかっけー…。ほ、惚れちゃう☆なんか忍足に少しトキめいてしまってた時が阿呆らしいわ…!
まりも嫌いだ。てか好きになれんよなーまぁ、あっち側で?思い込みの自己中じゃあしゃーないかな。今後の変わりよう(え、変わるんかな?)が楽しみっス!
財前久々の登場やな!嬉しい!限りなく嬉しい!アポロの書く財前本当好き!続きの更新楽しみにしとくなー!
あ、インフル完治したで!部活内でもらったんかもね。心配してくれてありがとーねー!ちゃんとゆっくり休めたよ!アポロ姉さんの御加護は天下無敵やなーww
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そんなこと言っちゃウチの謙也さん泣いてまうわーwww
そうかな? 俺様過保護? っていうかインフルエンザ治って良かったなぁ!
**
あたしは腫れた左頬を冷やしに保健室いくべく、白石のところへ。もちろん、許可を貰う為である。
『しーらいしー』
「おん? いおり? ……なんやそのほっぺ」
白石の迫力がいきなり増し、一歩あとずさる。うぅーん、こえぇ。表向きはぶつけたってことにしとこう。
『いやー、さっきちょっと足元狂って壁にぶつかってもーてん。あたしの凡ミスやわー、あははっ! 保健室いってええ?
(榑栖にやられたわ)』
「あ、あぁ! ならエエよ。いってきー(榑栖かいな。ホンッマに……)」
よし、白石との会話は出来た。保健室にレッツゴー!
そうばたばたと慌ただしく飛び出した。だから気付かなかった。
誰かがあたしのあとをつけていた、ということに。
**
保健室にて。保健の先生もいないと言うことで、あたしは自分で冷蔵庫から氷嚢を取り出し、頬を冷やしていた。
ベッドに座りながら窓の外を見れば、グラウンド。野球部やサッカー部が頑張っている。
そんな時、気付いた。
『……誰や。扉の外に居るんは。入ってこい』
不意に扉の外に人の気配を感じてそう言えば、がらりと扉が開いて姿を見せた。
あたしはソイツに溜め息をつく。
『……光』
あたしが伏せがちにしていた目を光に向けると、光はずんずん歩いてきて、あたしの目の前で立ち止まる。
そしてあたしの目線まで屈み込んでズイと顔を近付けてきた。いや、普通にビビるわ。目付き悪いなコイツ!
「……いおりさん、足元狂わせて壁にぶつかる、て嘘っすよね」
『いやいや、ホンマホンマ』
……なんや妙に鋭いな。まさか見とったんか? あたしが殴られたとこ。いやいや、無い。それだけは。
『……逆に聞くけど、なんでそうやて、おもうん?』
「簡単ですわ。運動神経のエエいおりさんが、体感もエエいおりさんが転けるはずないし、仮に転けたとしても壁にぶつかるんはありえへん。
やっていおりさん、壁に手ぇついて三角バク宙跳びしはるやろ」
光の目に、光の正論に、光の雰囲気に、否定は出来なかった。が、ここで譲る訳にはいかない。
譲ってしまえば事情を話さなければならない。
「……ホンマに、怪我した理由はなんですか」
『……そりゃあ光にもいえへんなぁ』
「……むぅ」
あ、頬膨らましてムクれた。カワエエなー、なんて思ってるうちに、なんでやろ。
マウントポジション取られとる。簡単に言えば、押し倒されてる的な。
「……なんでいえへんのですか」
『……悪い。それも言えん』
「なんでっすか」
『やから……』
「そんなに俺は頼り無いか!!!」
光に叫ばれたのはこれが恐らくはじめてやわ。びくりと跳ねるあたしの肩を光はガッと掴んだ。小刻みに震える光の肩。顔を伏せっぱなしの光の今の表情は読み取れない。
「……そんなに、頼りないんすか」
ゆるゆると上がる光の顔。目には涙が溜まっていて、いつもの表情からはかけ離れた情けない顔をしていた。
そのままぽすんとあたしの胸に顔を埋めた光に居たたまれなくなってあたしが折れた。
.
アポロ、謙也は泣いてなんぼの人物やけん、大丈夫!☆
ざ、財前ー!!いい子!いい子過ぎる!ちょっと私ガチで泣きそうになった!感情移入激しいからなぁ…
いおりちゃんと報われるように頑張れ!
続きまっとーよー!(待っとるよ!)
せやね! 頑張れ浪速のヘタレスター!
こうしーん♪
**
「……そないな事があるんすね」
『やろ? やから言いたなかってん』
あたしが腫れた頬に湿布を光に貼ってもらいながら話を終えると光は態勢を動かさず、そう呟いた。っていうか、そろそろはなしてほしいかな!
『光、もうええやろ? あたしを解放して』
「……もー、ちょっとだけ。っていうか、抱き締めさしてくださいすんません」
あたしの返事を聞く前にギュウッと抱き締めてくる。なんだか可愛くなって光の背中を撫でた。あたしは、この世界の人間では無いから光の気持ちに答えてあげられるかどうかはまだ謎だけど、今は。
「いおりさん」
『ん?』
「好きです」
『知っとー』
「ホンマ、好き、大好きです」
『知っとーって』
「……愛してますから、別に俺の気持ちに応えてくれんでもエエから……こっちに居る間は頼むから俺の側に居ってください」
『……まぁ、頑張るわ』
「……はい」
非常にかわいい。なんだコイツは。頭をがしがしと撫で回すと、光の腕の力が強くなって首が絞まる。苦しい苦しい。
『光、苦し』
「……そんなもん知りません。好きです」
『知っとるって。解っとるから』
「……ん」
今日今この瞬間の財前光は、ツンデレのツンとデレの割合9:1のデレが漏れ出てるんか?
めちゃくちゃ甘えてくるんやけど。めちゃくちゃかわいい。
.
やっべ!この…財前めっちゃ好き!てかアポロの書く財前って凄く新鮮で…うん、結果やっぱりめっちゃ好き!!かわいぃぃぃいいいい!!!財前、私が愛してやるー!!
ごめん、落ち着くわww
続きまっとるけんねー!
あ、忘れとった…アポロ、遅くなったけど、
ハッピーバレンタイン!私の大好きの気持ちをプレゼントしちゃう♪ww
ハッピーバレンタイン!!! 後でイラストを書くよおおおおお!!!!
あと、財前は渡さん!!!! イヤマジであかん。
イラストは財前といおりちゃんのペアでいくよーー!
https://ha10.net/up/data/img/6752.jpg
イラストおお!!!! 喜んでくれれば嬉しいな!
アァァポォォオロォォオ!!!イラスト、読み込めんくて見れんかった!!悪いけど、もう一回上げてくれんかな??
それと私も財前は渡さんよ!!あかんよ!『純情ピュア少年ツンデレ率9:1』は私のモンやでぇえ!!
…ん?…財前は、ピュア…なのか…?
まぁ、いいさ!あっはっはっはっはー!!
いや、ホント財前はダメ。ツンデレ財前最高。財前だけはダメ。ひかるんあいらびゅー。ダメ。
画像アップするよおおおおおおお!
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リトライしますた。あとで小説のせるよおおおおおおお!
ゴメン、名前間違えた。変換し忘れっすわ。
いおりside
翌日、今日は朝練が無かったので、普通に校内へと向かえばそりゃもうなんだか学校全体からあたしが睨まれてしまった。
昨日、イラついてあたしの根も葉もない噂を尾鰭背鰭付けて流したんだろう。本当に性格が悪い。
人も人だ。バグ以外があたしを見てコソコソと悪口を掻き立てる。面倒臭い。
パカ、と下駄箱を開ければ生臭い。生ゴミと、ヘドロ。どんなとこからヘドロとか持ってくんねん。執念かこら。
とりあえず、上履きは使い物になりはしない。なので、スリッパを借りた。そしてこうなるだろうと踏んで、靴を入れる袋を持ってきていてよかった。
がらりと扉を開ければ一氏にぎろりと睨まれた。
「……お前、よお学校来れたな」
『そりゃ来るやろ? っちゅーかなんでこんなぴりぴりしとん?』
「っ、お前!!!」
ガコンと顔を殴られた。おいおい、曲がりなりにもあたし女なんだから。昨日榑栖にお盆ではたかれたところをストライク。いや、あんた左利きじゃないか。右手で殴っても痛かねぇわ。
「しらばっくれんな! まりもにあないなことしよってからに!」
『あぁ¨!? あないなことってなんやねん! みんなして意味わからんわボケ! みんな何言うとん!?』
「はぁ!? シラ切るんやないわ! お前昨日保健室にまりも呼び出してカッターで右の頬切ったやろがボケ!」
『ユウ……ちゃうな、一氏。一時間目終わったらあたしんとここい。結構重大なお話や』
「ああ!? 行くわけないやろくそアマ!!!」
『来い』
あたしが一氏を真っ直ぐ見据えた。一氏は少したじろいで負けじと睨み返す。
「なんでお前の自分所に来い言う“頼み”を聞かなあかんのや!」
『ちゃうわ』
「はぁ!?」
意味がわからないという顔でこちらを見る一氏。
そうだ、これは頼み事ではない。
『コレは__
命令や』
その言葉に一氏はぶわりと冷や汗を掻き、「……」とその場を去ってしまった。
あれは、後でちゃんと来る証や。
.
なんか、遂に来ちゃった…って感じやな。そんでもって、いおりちゃん、かっけー!かっけーよ!
一氏、嫌いになりそうやった…。まぁ、私の中では脇役より上の階級には永遠に上がらんけどな!アッハッハッハー!!
それと、素敵なイラストをありがとう。即・保存☆したよ!私だって財前は渡さんぞー!!
続きまってまーす!
財前はイケメン、そしてこのまま論争しても意味がないと言うことを理解したので財前はイケメンと言うことで。www
イラストはいおりんをもっとイケメンにしたかったのだよ……失敗に終わったけどww
一時間目が終わり、一氏は素直にこちらに来た。うん、もとの世界じゃ『天帝』と呼ばれてたんだから、逆らうことは許さないよー。……ハッ、なんか黒子のバスケの赤司みたいだな。うん、今更やな、今更。あたしオヤコロズガタカとか言わへんし。……言わへんし!
元々目付きの悪い一氏は相変わらず睨むと恐ろしいね。うん、ゴメン。精市の方が遥かに恐怖を覚えるわ。
「なんやねん、涼風」
『少し訂正を加えたくてな』
「は? 訂正?」
『せやで』
訂正、と言う言葉に反応した一氏が眉間にキツく皺を寄せる。お前はどこの不良だよボケ。
『まず、あたしが榑栖を「保健室に呼び出してカッターで頬を切った」いうたな?』
「ゆうたけど、なんやねん。今更謝罪なんて聞かへんで」
『まぁ待ちや。訂正ひとつ目、まず、謝罪する理由が無い』
「あぁ¨!? おまっ」
『聞けよ。二つ目。あたしは昨日保健室には確かにいたけど、光も居た』
「……見えっ見えのハッタリ噛ますまでお前は落ちぶれたんか」
『やから聞けって。そこは光に聞いたらわかるやろ。
三つ目な。そもそもあたしは学校にカッターを持ってこない。ほら、筆箱にも入ってへんやろ?』
「ばれるおもて家においてきたんやろが!」
『お前、覚えてへんの? 毎日の様にあたしの筆箱金色と一緒にあさっとったやん』
「……」
『最後の訂正五つ目。あたしはそんなことをしていないから。訂正ひとつ目の謝罪する理由が無いのはこれと繋がっとるからや』
「……」
『理解の速いお前や。この意味、わかるやろ?』
あたしが一氏の目を覗き込めば、唖然とした顔をしている。
「そ……れは、つまり、まりもが俺らに嘘ついたんか!?」
『そー言うこっちゃ』
「でも、お前のハッタリでもある可能性もないわけとちゃう」
『せやね。でも、今から話すことを聞けば納得するやろ。
まず、あたしは昨日体育館倉庫に向かった、そこはお前……みとったやろ?』
「あぁ、みとった」
『そのあと榑栖が入ってきて、……まぁ一方的に言いたいことぶつけられてんよ。
そんで、お前昨日みんなとさわいどったよな、お盆が無くなっとる! てな』
「さわいどったな」
『あたしはそのお盆で左頬を叩かれた。おかげで頬は腫れるわ“鼓膜”は破れるわ、散々やったわ』
「……今は腫れてへんやろ?」
『めっちゃ頑張って冷やしたからな。でも、左耳は聞こえん。試しに右耳塞ぐからあたしがブチギレする様なこと言ってみ』
あたしは右耳を手で頑丈に塞いで言葉を待った。そして、回りの音が聞こえなくなる。いきなりシンとした空間に放り込まれた感じだ。
そして、一氏が口をパクパクと動かす。分からないから苦笑いをしてみれば、一氏が心底驚いたような顔をする。
あたしは右耳を塞いでいた手を離し、「ほらな」と笑ってみる。
「……信じて、エエんやな?」
『まだ信じられへん、言うならもう一個。榑栖の頬は右頬が切られたんやろ? あたしは右利きや。
右利きやのに、右頬は切られへん』
「……榑栖まりもの、自作自演……」
『そうや』
あたしがそういった瞬間、一氏は目にも止まらぬ速さで土下座してきた。そりゃもう、スライディーング。
.
『!?』
「すまんかったああああ!」
『!? !?』
ただいま、ユウジにスライディング土下座をしてもらい、あたしの目は点になっていることでしょう。
「いや、ホンマ悪かった。こんな俺を許してくれええええええ!」
『(……単細ぼu((あかん)いやエエって! 分かってくれたんならエエから! 頭あげて! あたしの方が恥ずかしいわ! な? やめて? ちょ、やめて!? マジやめろ!!』
無理矢理ユウジを起き上がらせて顔を覗き込めばえぐえぐと男前な顔をぐしゃぐしゃにさせてダダ泣きしていた。なんて涙脆いんやコイツ!
**
そのあと、しばらくして落ち着いたユウジは鼻をズズッとすすった。
「よし、3-2に乗り込みに行ってくるわ」
『やめなさい単細胞』
あ、単細胞って言っちゃった。っていうか、金色は? あいつ榑栖側じゃ……。
「小春はお前側や」
『なぁお前なんなん? 読心術でも使えるん?』
「声に出しとったわ」
『マジでか』
っちゅーか金色はなんでこっち側なん? そう聞くとユウジは語り出した。
金色曰く、榑栖を視界に入れると鳥肌が立ち、声を掛けられると吐き気がするらしい。……完っ璧にこっち側やん。
よぉ隠し通せたな。あたしも気ぃつかんかったで。
「とりあえず、3-2に行くで!」
『あっ、おい待ちやボケ! ユウジボケええええええ!』
教室のドアをバンと激しく開いて駆け出したユウジの後を追うべくあたしも走り出した。
**
『……?』
「?」
あたしらは3-2の教室の前で立ち尽くした。可笑しい。
だって……窓と言う窓が綺麗にガッチリ閉められていた。うん、前後の扉にある小窓には布が掛けられている。
着替え……四天は更衣室やな。あたしの中学校は二つのクラス合同体育、例えば1,2組やったとしたら、男子は1組教室で女子は2組教室、てな感じやったから。
これは明らかに可笑しい。人通りもここだけ少ない。8組と2組の教室って離れてるからよく知らないんやけどや。これは、異常や。
あたしはユウジに自分の口元に人差し指をおしあてシーと合図をするとユウジもこくりと頷いた。意味は理解したみたいだ。
あたしが教室の扉に耳を押し付けると、中の会話が聞こえてきた。
.
ちょっ……っ!!気になるやんけーーー!!!!!そして一氏の涙脆さ!イイヤツやったんだな!見直したよ!小春ちゃん、こっち側で良かった…小春ちゃんがおったら百人力やなぁ!
まさかのいおりちゃん、鼓膜まで破れてたの!?病院行った!?行ってなさそうだよね!?アポロ、ちゃんといおりちゃんを病院に行かせてねっ!!
うん、財前はイケメン!それが結論やな!それと、イラスト、失敗作なんかやないよ!私一発で気に入ったし!上手いよ!凄く!色使いとか細かいところまでさ!
続き待っとる。凄く待っとるよ!
続き待っててくれてありがとう!
あと謙ちゃん(謙也)と白石もカッコエエやんなぁ。エクスタピアスいっちゃん愛してんでええええ!
(プリガムレッドだって捨てがたい……あと菊丸も)
あと白雪って好きな声優居る?
こっちは細谷佳正さんと小野大輔さんと石川界人さんと……福山潤さんと岡本信彦さんと逢坂良太さんと神谷浩二さんと諏訪部順一さんと皆川純子ちゃんと鮎置龍太郎さんと木村さんと花江さんと宮野さんと緑川光さんと梶さん! あとは黒バスの黒子の声してる小野さんと火神の声してる小野さん!
小説更新!
聞き耳をたてれば、聞こえてきたのは。
「ぅわぁっ!」
「実砂ちゃん!」
「きゃあっ!」
「大丈夫か!?」
「実砂っ!」
耳に届いてきたのはガタンと倒れ込む音と、上から実砂ちゃん、謙也、咲ちゃん、白石、あと細谷佳奈ちゃんの声。細谷さんはこちら側みたいや、良かった。なんか、榑栖は無理矢理咲ちゃんとクラスを変わってもらったらしく、あたしのクラス所属やねん。なんて迷惑。よお学校も認めたもんや。や、学校もあっち側やからか、くっ。
あたしは僅かに開いていたカーテンの隙間から覗いてみると、そこは惨劇だった。
クラスメイトにカッターで切りつけられる実砂ちゃん、それに駆け寄る以下四人。くそっ、あのアマ! 実砂ちゃんには手ぇださんいうたやんけ!
とは言えここであたしが出ていったら状況はより過酷になる。出ていかない方が得策だろう。
「大丈夫か実砂ちゃん!?」
「白石……うん、腕に掠り傷だけだよ」
「ちょ、実砂!? 掠り傷なん!? そうは見えんで!?」
「細谷さんの言う通りだよ!! 掠り傷どころかカッター腕に突き刺さってるよ!」
「咲ちゃんツッコミ意外と勢い凄いな!?
くっそ、とりあえず応急処置や! 誰か実砂ちゃん保健室つれてけ!」
「おん、分かったで白石! 実砂ちゃん、たてるか?」
謙也が実砂ちゃんの顔を覗き込み聞いた。実砂ちゃんはこくりと頷く。
実砂ちゃんの利き腕ではない右腕には最大まで出された刃が半分くらい突き刺さっていて、絶えずドプドプと耳を塞ぎたくなるような音をたてながら勢いよく血が流れ出している。
座り込む実砂ちゃんの制服を赤く湿らせながらじわじわと地面を侵食していくそれに咲ちゃんが倒れた。
実砂ちゃんの様子を見てけたけたと心底面白く笑っている男女クラスメイト。
先日まで実砂ちゃんの周りで一緒に笑っていたのに、補正の榑栖のせいでここまで壊れるやなんて!
実砂ちゃんは謙也ににこりと笑うが、顔は真っ青、蒼白い。
机を借りて立ち上がろうとすると、男子から蹴りを入れられた。
「俺の机に触んなよ加川。お前なんかに触られると汚れるっての」
「ぎゃっはは!! ちょ、それ言い過ぎwww」
なんて酷い男たちだ。
実砂ちゃんは白石の肩を借りて二足でやっとのこと立ち上がるとふらりと足が絡まる。それを反射で真正面から受け止めた白石。
実砂ちゃんの顔を見れば顔面蒼白、気絶していた。
「あかん、血ぃが出過ぎたんや。謙也!! お前のスピードが活きるで! 実砂ちゃん連れて走れ!!」
「任し! すまん実砂ちゃん」
白石の指示に勢いよく頷き謙也は実砂ちゃんに一言謝ってから横抱き__お姫様抱っこ__をして目にも止まらぬスピードで駆けていった。
あたしと謙也がすれちがう瞬間、あたしはこう呟いた。
『すまん、あの男子蹴る』
そうしてブチギレ間際の一氏を置き、あたしは教室に駆け込み、そのまま勢いに乗り、「だらあああああ!」と雄叫び、にも聞こえる叫び声をあげながら実砂ちゃんを蹴った男子の顔に飛び膝蹴りを炸裂させた。
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猫の日なんでイラストを載せたぜ! 出なかったら言ってな!
すまん、アポロ。また画像読み込めんかったっ…!
好きな声優ねぇ…うん、黒バスのW小野さんは私も好きだよ!梶さんとか、あと森久保さんだっけ?赤也やシカマルの声してる人!が、好きかなぁ〜!
続きまってんで!飛び蹴り食らわすいおりちゃんが目に浮かぶわぁ…うん、かっけー。ここまで飛び蹴り似合う女子のキャラ、そうそう居らんと思うww
実砂ちゃん大丈夫!?カッター半分とかっ…!!…えげつない…け、謙也はよぉせぇや!!ぉぉおおおぉお!!
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出なかったと聞いて猫の日記念イラストおんなじの再び乗せました! にゃんこ白石!
ふぉ、ふぉぉおおおおぉお!!!ありがとう!アポロ!!めっちゃテンション上がる!!猫だ!白石だ!にゃんにゃんだぁ!似合ってるよ!相変わらず上手いね!!猫の日作った人ありがとう!そしてアポロもありがとう!
こんなに猫の日に感謝したのは生まれて初めてやわww
学年末テスト、死んでしまった。数学が壊滅的すぎて…一問に対する配点が高いんだよっ!
国語はよかったのにぃ!!
アポロのとこは学年末テストまだ??
うーん、こっちの学年末は24日(水)〜26日(金)やからもう終わったで! あと、テストが終わって家帰ってきてから高熱出した。病院行ったらインフルエンザ! テスト終わった後でよかった。あと学級閉鎖にもなってもたwww
今回英語と理科死んだ。れっつ飛び降り!
今度は謙也のイラストを……って謙也の誕生日もうすぐやん!!
イイイイイインフルだと!?もしかして私のが移ったか!?学級閉鎖って…わぁお……。かなり流行ってるんだね…。お大事に〜無理はしたらいかんよ!
私の先輩のクラス(3年生)も学級閉鎖になったんだよ。でも学校ではそこのクラスだけ!まだ良かったと思っていたい……。
謙也のイラスト楽しみにしとるよー!誕生日近いから、バースデーイラストかな??
学年末テスト、国語は96点取れたのに、数学が…ろ、ろろろくじゅうにぃぃいいいい……やっべぇ!!マジやべぇ!!
まぁ昨日はもう元気になったで! A型やったし! 家でのんびり過ごしとった!
マジか! 国語96……。すげぇな。(真顔)
こっちテスト前勉強全くせんからなー。まず根本的にやり方が不明やっちゅーねんwwwww
やから平均点うろちょろしとるわーwwwww((
**
謙也side
実砂ちゃんを抱えながら走る。俺の腕に実砂ちゃんの血液が伝い、ぴちょんと滴った。
早く連れていなければと慌てる俺はなにもないところで足を絡ませ転け掛ける。
『どわあっ!!! ……おっと、あぶなー』
バランスを取るのが苦手な俺だが、今回ばかりは転けてなど居られない。自身の真っ白な制服に赤い液体が付着したのを目に入れるも、そんなの気にしないように再び加速する。
医者の息子の俺はまぁそれなりに知識はある方だ。「「コイツになんか負けられるか!」」と幼い頃侑士と共に本を読み学んだ事は白石も知っている。知識の使いどころはここだ、と言わんばかりに白石に目配せされ駆け出したものの、パニックに陥ってしまった。そんな俺をパニックから冷静へと引き戻したのは、意識を取り戻した実砂ちゃんだった。
「忍足……焦りすぎ」
額に脂汗を浮かべ、すっかり血色の悪くなった顔に苦笑いを浮かべる実砂ちゃんに俺は、視界は広がったような感覚を覚えた。今ならいつもよりもう一段階早く走れるかもしれん、的な。
やっとのことで辿り着いた保健室には幸い先生もおらず、苦しげに息をする実砂ちゃんをベッドに寝かせた。
『実砂ちゃん、ちょお痛いかも知れんけど我慢してな』
「構わないよ」
俺は実砂ちゃんの目を見て告げると、そう返ってきて、実砂ちゃんの腕に深く刃が突き刺さるカッターへと手を伸ばした。
傷口を見て、グッとカッターを握る。その瞬間「った!」と顔を歪めて目に涙を浮かべる実砂ちゃん。
慌ててばっと手を離す。
「具、ぅっ、いたっ。刺さったときよりひっこぬくときの方が痛いよね」
『……すまん』
「いいよ、刺さっててもいたいし。ちゃっちゃと抜いちゃって」
実砂ちゃんにそういわれ、カッターを再び握る。「ほら勢いよく!」と急かされ、深呼吸。そして力強く引き抜いた。
「いぁぁっ、だっ、うあぁっ!」
『実砂ちゃん! 今すぐ応急処置の手当てするから待って! これ終わったらおとんに連絡するわ』
「んっ、ぅうっ」
涙ながらに力なく頷き、その様子に俺は包帯を巻くスピードを速めた。あっという間に出来上がったそれを見て、おとんに連絡を入れる。何科やって? んなもん今はどないでもエエわ!
連絡をし終わり、すぐにつれてこいとのことで。なんやねんこのおとんは。鬼畜か!
『実砂ちゃん、立てるか?』
「っ……ぅ、まだ、ちょっと無理みたい」
『ならしゃーないな。背負ってくわ、乗り』
「……セクハr『ちゃうわ!』……分かったよ」
渋々、と言ったように背中に乗る実砂を確認し、完全に乗ったのを見て、全力ダッシュで保健室を飛び出した。
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うん、今回のテスト、国語は奇跡だと思う。(真顔)私の得意なところばっかやったけんかな?助かった。マジで…ww数学もある意味奇跡やけどなww
A型やったんやな。治ったなら良かった!でも、無理は禁物やからなー?
部活の先輩凄いんで!今年に入ってから、イルフルA型→肺炎→インフルB型 で、今日復活してた。本当、厄年かって位病気になってんだよw決して体が弱い訳じゃないと思うんだけどね…皆、心配どころか呆れ返ってるよww
な、なんやねん、謙也格好ええやないか!財前の次に!実砂ちゃんは大丈夫なん!?はよぉ走れやこのスピードバカー!!
続き待っとるよ!
追記
私もスレッド作ったよ〜!良かったら、遊びにきてね!アポロは原作、てかこの漫画知らないかもだけど…。
あ、主にはこっちのスレに来るから!あくまでも遊びに来てってだけだから!
小説を指摘してほしいなーなんて!感想とか。
題名は、
【妖精の尻尾〜星霊界の危機〜】
だよ〜!
えええええっ、知ってるよ知ってる知ってる!
漫画全巻と公式ファンブックとアニメーションと小説とCDと画集と月刊フェアリーテイルマガジン全巻持ってるよ! 大好きだよ! 真島先生を崇め称えてるよ! スティングとグレイとジュビアとリオンとウルとゼレフと12のみんなを愛してるよ!
マジか、見に行ってくる!
マジで!?色々マジで!?私はアニメではまって、小説も好きで…やっぱ一番最初はナツルーにはまったなー!今もちょっとナツルーブーム再燃しそうww意外とゼレフとメイビスのカップリングも好きやなぁ!
おう!見にこい!見にこい!てか、本当に来てたね!
白石side
その後はバグ側であった宮原飛鳥さんと言う実砂ちゃんの友達が連れてきた先生によって実砂ちゃんを刺した男子生徒は停学処分となった。
謙也からの連絡によれば実砂ちゃんは出血多量だが無事だとのこと。俺はふうと溜め息を吐き、今回榑栖まりものみんなからの反応などを含めてどういうことかと聞いてくる人物が二人。言わずもがな細谷さんと宮原さんである。
「白石君! どないゆうことなん!? 男子はみんな榑栖が可愛え言うし女子も実砂イジめよるし!」
「ちょ、ちょおストップ! 俺もそないはよ答えられへんて!」
「答えんとちゃうくて大人しく説明しや! アホ白石!」
「はい! 大人しく説明します!」
宮原の剣幕に見事にビビった俺はピシッと敬礼していおりや実砂ちゃん榑栖まりものトリッパーから神様同士喧嘩しとる言うことまで詳しく話したら「何やそれ私らもいおりくんに協力する」と二人共瞳の中にいおりに頭を撫でられる光景が映っていたが割愛。
「実砂ちゃんは無事やし、いおりも落ち着いて教室帰ったし、一旦山は越えた感じやな」
「でも一旦やねんよなぁ……」
「なら青学ゆう所はどうなっとん? 連絡一切ないんやろ?」
「それが問題やねん、倉間さんと朱李ちゃんがなぁ」
せやねん。合宿まであと残り数日なのだけど青学のマネージャーからの連絡が途絶えている。いおりの方にも連絡は来ていないらしいし、何かあったんやろか……。
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