オリキャラ紹介
死神屋 皐月(女)/コア
黒猫のデビルを連れた自由気ままな少女。
エイリアの姫君と最強の少女として知られている。
他人の怒りに触れるような言い方をしてしまう為、マスターランク三チームに嫌われている。
妹の皆月が雷門に居る。
容姿・特徴
・緑色のロングヘアに髪の毛の先が金髪。
・
第45話人格問題〜皐月視点〜
0−0のまま前半戦は終了し、俺は円堂守達にドリンクやタオルを配った。
イプシロンの特徴は確かに相手のFWの動きを封じるがタイミングの正確さ、戦術の正確さ、どれをとっても彼らの得意分野であり、俺もその強さを認めている。
スピードや攻撃や守備はマスターランクには及ばないけど・・・彼らは彼ららしい強さを持っている。
それより俺が心配なのはデザームに何回もエターナルブリザードを出した吹雪なんだけどな・・・。
「吹雪・・・」
「恋姫・・・」
「大丈夫?体力の消耗が激しいよ、アツヤもあんまり挑発に乗っちゃいけないよ」
「大丈夫だよ、きっとアツヤ悔しいんだと思う。エターナルブリザードはこの試合で必要だし・・・」
「・・・・ある人は言いました」
俺の急な物語口調に隣に居た吹雪は不思議な様子で俺を見ていた。
「『同じ人物であれ二重の人格を持った者の力、それは破滅を迎えるかそれとも成長を迎えるか』俺の大切な人が昔教えてくれた。この言葉を受け止めるのは吹雪しだいだよ、このまま破滅を迎えるか成長を迎えるかなんて・・・」
「うん、ありがとう・・・」
吹雪が見せた儚い笑顔・・・それはまるで鏡を見ていた時の自分の笑顔にそっくりだった。すると、吹雪の名前を呼ぶ姉さんがこちらにやって来た。
どうやら攻撃に気を取られ過ぎているからディフェンスに集中しろと言う事らしい。
姉さんってアツヤの事知らないのかな?まあ、でも、アツヤの気持ちを考えたらな〜。
「監督、吹雪先輩をFWにあげた方が良いと思います・・・」
皆月がおずおずと姉さんにそう言う。
まあ、悔しい気持ちが成長にもつながるからね、皆月の言い分も何故か分かる。
鬼道も皆月の意見に賛成で、今は攻撃力が不足していると言った。
「ちょ、うちじゃあかんの?」
「違いますよ、浦辺先輩もちゃんとした攻撃力ですよ。前半の攻撃で判断しました、デザームのワームホールを打ち破るには、吹雪先輩の力が必要だと思います!」
「皆月の言う通りです、今の吹雪は守りに入ってます。ここはリカと吹雪と皆月の3TOPで行かせた方が良いと思います」
「それは分かっているわ、でもこの試合は1点勝負よ。絶対に失点できない」
皆月と鬼道も今回ばかりは自分の意見を折る気は無い様だ。
でも・・・イプシロンを倒したとしても、俺やバーンやガゼルやグランも居る。
「監督、マネージャーである俺が言うのも何だけど・・・どうして吹雪はダメなんですか?」
「吹雪君はDFでも瞬時に攻撃に移れる、イプシロンの攻撃を防いだ時こそチャンスよ。カウンター攻撃を繰り返せば、必ず得点の機会がある」
それじゃあ、吹雪の負担が大きい。
その作戦を聞いた鬼道と皆月は反対の意義を出そうとした時、吹雪が大丈夫だよと笑顔で言うけど何処となく儚く悲しい笑顔でそう言った。
姉さんは本当に知らないの?吹雪の人格の問題を・・・。
結局皆月と鬼道の作戦は受け入れて貰えず、後半戦は開始となった。
開始早々にイプシロンの子達は雷門のフィールドに入って来る。
「吹雪!ブレスをかけろ!」
鬼道の指示にDFになっている吹雪はクリプトにブレスをかけに行く。
「ダメだ・・・此処は僕に任せろッ!『アイスグラウンド』!」
何とかなった・・・。
アツヤを出すのを何とか食い止めた吹雪はクリプトから奪ったボールをすぐに風丸にパスを回す。
「『疾風ダッシュ』!!あッ・・・しまった・・・!」
風丸の必殺技でかわすもボールをイプシロンに奪われた。
だけど、吹雪はすかさずボールを取り戻そうにかかるが、マキュアにパスが回った時だ。
「お前は・・・引っ込んでろ!!」
やっぱり・・・無理だったか。
俺が溜息を吐いた時、またゾクッとした感覚に襲われた、何なんだよ?俺はキョロキョロと辺りを見回すが誰も俺を見てる様子はなかった。
やっぱり・・・気のせいだよな・・・。
続く
第46話円堂守と言う人間〜皐月視点〜
たっく、アツヤも荒れたプレーするな〜。
まるで諸刃の剣、自分を痛めつけてると同じなのに・・・・。
俺達エイリア学園もそうだから、でも、皆・・・そんな物もうないから今の吹雪の状態もアツヤの状態も今じゃ俺しか分からないだろうな。
そのアツヤと言えばエターナルブリザードを放つが、デザームのワームホールによって止められた。
「いいぞ・・・もっと打て!我が闘志をもっと滾らせろ!!」
(治兄さん・・・)
治兄さんがあんな生き生きした姿は本当に久しぶりに見た、でも、アツヤは悔しそうにデザームを睨んでいた。
試合を再開するもイプシロンはすぐに雷門のフィールドに攻め上がってくる、吹雪もすぐにDFに戻るが、アツヤが出そうなのかマフラーを必死に押さえている、吹雪はアツヤで精一杯って所か。
そして、デザームがこう告げた。
「“ガイアブレイク”だ!戦術時間は2.7秒!」
「「「はっ!!!」」」
マキュア、ゼル、メトロンが返事をするとシュート態勢が入る。
ガイアブレイク・・・イプシロンの連携技だ、このシュートはある程度の特訓と練習をやらないと止められない連携シュート。
デザームが出して来たって事は、イプシロンは実力を半分出したって言っても過言ではない。
まあ、デザームは半分ほど本気だけど・・・。
「「「ガイアブレイク!!!」」」
ガイアブレイクは円堂守の居るゴールへ向かう。
だが、小暮がガイアブレイクを止めようと旋風陣でガイアブレイクを止めるが威力で負けて小暮諸共円堂守もゴールに入った。
結構痛いだろうな・・・小暮・・・。
小暮の方を見れば、多分だが自分のせいでと責任を感じている事だろう。
まあ、俺はしょうがないって思えるけどね。
「さぁ!此処で気持ちを切り替えていくぞ!!」
「「「「おう!!!!」」」」
円堂守の一言で雷門の士気はますます上がる。
俺は少し思った事がある、試合をしたり見たりして円堂守を観察し続けた、結果から言おう。
不思議な奴でサッカーバカで仲間を大事にする人だ、それなら皆月が信用して円堂に付いて行くのが分かる。
あいつは“絶望”を知らないのかな?それはきっと・・・父さんも感じてくれるような気がする。
我に返ればマキュアが『メテオシャワー』にを打っていた、メテオが塔子と壁山に当たってマキュアは抜いて行く。
「今度こそ止めてやる!!『旋風陣』!」
「チッ!」
良かったな・・・小暮・・・。
マキュアからボールを奪え返した小暮は嬉しそうだった、そして、すぐにパスを出す。
これが・・・仲間の力って訳か・・・。
俺が皆月の様子を見ていると、皆月に違和感を感じた。
「監督・・・気づいてるんじゃないですか?死神屋皆月の足が怪我してる事・・・」
「「「!!!」」」
「えぇ、入ってくれるわね?」
「しゃあない、今回はやりたくなかったんっすけど分かりましたよ」
俺がそう言うと、姉さんは選手交代と大きく言った。
「死神屋皆月に代わり倭国恋姫!」
「どうして・・・ッ!」
鬼道がそう聞くと、俺は皆月を無理矢理座らせ足の怪我を見せた。
「皆月・・・お前、そのまま」
「すいません、恋姫さんお願いします!」
俺は了解とだけ言っておいた。
イプシロンの皆を見れば、驚いて言葉に出来なかった。
少しから体が鈍っちゃいけないもんね。
続く
第47話黄緑色と金色の目〜皐月視点〜
試合は再開されたけど、イプシロンの子達の目が凄いこっちに集まって来るんだけど・・・。
まあ、いいや!少しだけ本気になれば良いよね、俺はそう思ってボールを持っているクリプトの所に行く。
もちろんクリプトも目を見開いてコアの名前を呼ぼうとしたけど、俺は少し睨む。
「マジカルフローラ!」
俺がそう言うと、クリプトの周りからニョキニョキと大きな花と木が生えてくる。
マジカルフローラは俺のディフェンス技だ、コアの時はブラッディレインだけどね・・・。
俺はクリプトからボールを奪うと、吹雪にパスを回す。
吹雪と言えば、マフラーを握り締めて出て来るなとアツヤに言っているが、アツヤは吹雪の静止も聞かずアツヤの人格が出て来た。
「エターナルブリザード!!」
打てば打つ程威力が上がるエターナルブリザード・・・これでゴールに入ればいいけどね・・・。
だけど、そんな期待もあっさりと裏切られ、デザームによって止められてしまう。
「ハハハハッ!いいぞ・・・もっと打って来い!」
「畜生ーーーーーーッ!!!!」
デザームの満足げな声とアツヤの悔しそうな叫びがグラウンドに響き渡る。
そして、一之瀬とリカが上がって行き、バタフライドリームをやろうと言う事になったがその間に入って行ったのは悔しくてたまらないであろうアツヤだ、アツヤは強引にボールを奪って行くとイプシロンの選手を次々と1人で抜いて行く。
見ているこちら側としたら、何とも危ない荒々しいプレー。
「デザーム、今度こそ吹っ飛ばす!!(アツヤ、よく狙うんだ!)余計な事はするなぁぁぁぁぁ!!」
皮肉なもの・・・人格の問題で技の威力が上がるなんてね。
「『ワームホール』はぁぁぁぁぁ!」
デザームのワームホールが・・・・押されてる!!やっと実を結んだって所かな?俺がそう思った時、ピーッと笛の音が鳴り響く。
1−1の同点・・・もし、この様子をグランが見ていたら俺もちょっとやばいかも・・・。
ここに居る雷門の皆の顔やマネージャー達の顔や交代した皆月の顔も喜んでいて、これじゃあ複雑な気分だよね?俺がそう思っていると、俺の名前が呼ばれた。
「どうした?アツヤ」
「ありがとうな」
差し出された手に俺は握り返した。
アツヤの笑みは本当に嬉しそうでデザームの切り札の技も言えない。
そして、まさかのガイアブレイクも円堂のマジン・ザ・ハンドにより止められた。
凄いと心から思えた、それは俺だけじゃないイプシロンも感じ取っていた。
「止めただと・・・!?そうか、これが燃えると言う感覚か・・・!」
「お前達・・・必ずぶっ潰す!」
マキュアやメトロン、それにゼルも楽しそうだった。
やっぱり・・・円堂守はすごい、グラン達もこうなってくれたら・・・あの日みたいに・・・。
残った時間をどうしようか・・・だが、ボールは俺の方に回ってくる。
たっく、結局シュート決めないといけないのかよ!!俺は一人ブツブツ文句を零していると、隣からおい!と声が聞こえた。
「何?」
「俺に渡せ!」
「・・・点を決められる?」
「やってみせる!」
アツヤの熱い気持ちに負けた俺はアツヤにパスを渡す。
それにしても・・・吹雪のテクニックも凄いけど、アツヤのテクニックも凄い。
けど・・・吹雪達が壊れてしまうのかそれとも二重人格のまま成長するのか、今のままでも何故だか分かってしまうのもまた皮肉、全く儚い花と同じだ。
「これで最後だ!うぉぉぉぉぉぉぉ『エターナルブリザード』!」
また威力が上がったエターナルブリザード。
「来るか・・・ならば、私も応えよう!『ドリルスマッシャー』!」
来た・・・デザームの切り札である技が・・・。
その技を見て、俺を除いた雷門は大きく口を開けていた。
フルパワーのエターナルブリザードは俺の頬を掠って、何処かへ飛んで行った。
「あんな凄い技を持っていたのか・・・!」
円堂も驚いていたが、一番驚いているのはアツヤだろうな。
続く
第48話金属音に似た音〜皐月視点〜
俺はグラウンドを後にし、吹雪を探している。
吹雪の後姿を見たら何故だか昔の俺を見ている様な気がしたから、だから、少しでも相談に乗ってあげようと思い吹雪の姿を探している。
まあ、アツヤがあんなに怒るのも無理はない。
そんな時だった、ガンッと物凄い大きな音が聞こえた、その場所に向かえば男子トイレ。
(行きたくても行けない・・・)
そう思い、少し待つことにした。
凄い叫び声に悲痛な叫び声が聞こえた、そして、やっと吹雪が戻って来た。
「恋姫・・・」
「大丈夫?アツヤも・・・」
「うん、心配してくれてありがとう。僕もアツヤも大丈夫だよ、さあ、早くキャプテン達の所行こうよ」
「あ・・・あぁ」
吹雪の悲しそうな笑顔に俺はどう声を掛ければいいか分からなかった。
俺も吹雪の後を追うとした時だ、耳からキィーン・・・と金属音に似た音が耳の中に響いた。
そして、それと同時にデザームの言った真の実力のと言う言葉が蘇った。
真の実力・・・それはエイリア石の力を100%使うと言う事、いや、それ以上かもしれない。
そんな不安とある“予兆”を持ちながら一夜を過ごした。
翌日、雷門と言えばイプシロン戦が終わったと言うのに特訓をしていた。
(最大レベルまで行ったのに・・・)
俺達の場合は、最大レベルに到達したらそのまま試合って形だった。
「よお!円堂」
「ん?おはよう、恋姫」
俺は円堂の元に行く、円堂と言えば凄い汗を出した。
「ほら、タオル」
「おう!サンキュー!そう言えばさ、恋姫のマジ・・マジ・・・「マジカルフローラ?」おう、それ!凄いな!」
「まあね、昔さ妹が俺の為に考えてくれたんだよ」
俺がそう言うと、円堂はそうなんだな!と言った。
イメージを聞けばいつも植物を大切にしているからという理由らしい、聞いた時はすごく嬉しかった。
俺と円堂が喋っていると、ムーンに引っ掻かれたであろう古株さんがやって来た。
顔が痛々しいよ・・・。
「古株さん・・・その顔・・・」
「ん?あぁ、さっきムーンの奴にやられてな。それより、瞳子監督を知らないか?」
「え?知りませんよ、恋姫は?」
「俺も知りませんね。どうしたんですか?」
「理事長からの伝言があるんだ。」
「「伝言??」」
俺と円堂が声をそろえると、古株さんは円堂を指差して円堂に関係があると言った。
「福岡の陽花戸中学と言う所で円堂大介さんのノートと思われる者が発見されたそうだ」
「「!!」」
ノート・・・つまり必殺技ってとこか。
これは報告しておいた方が良いのかな?俺はそう考えながら、ポッケに手を入れ眼帯を握り締めた。
続く
第49話皐月の体の異変〜皐月視点〜
〜エイリア学園〜
「雷門は只今、福岡へ向かっております。どうやら、陽花戸中で円堂守の祖父である円堂大介のノートが発見されたとの事。コアはこのまま福岡に付いて行き、ノートの内容を確認してたらまた父さんに報告いたす所存です」
慣れない敬語に俺は冷や汗が出る、父さんは有難うございますと一言そう言うと何か言いたそうな顔をしていたが、俺をすぐにキャプテンしか入れない対談室に行くよう言われた、俺的には早く雷門に帰って監視を続けたいけど、父さんの命令じゃ仕方ないかもしれない。
でも、俺の頭の中からまた金属音に似た音が響く。
「早く・・・行こう・・・」
俺はそう小さく呟き対談室へ向かう。
〜対談室〜
対談室に着くと、辺りは真っ暗だったが水色のスポットライトが急に点く。
水色のスポットライトと言えば、ガゼルだ。
俺は咄嗟に誰も居ない場所に隠れる。
「デザーム・・・無様だね。」
「分かっております」
ガゼルの目線の先を見やれば、跪いているデザームが居た。
そう言えば・・・俺達と試合して、引き分けで帰って来ちゃったんだよね。
それにしても、ガゼルの声が凄い低い・・・。
そう思った時だ、ガゼルの隣から赤色のスポットライトが点いた、赤色のスポットライトと言えばバーンだ。
「雷門イレブンと互角の試合だったそうだな?」
「はい、申し訳ありません。我らエイリア学園は、同点は敗北と同じ」
二人の威圧感に俺の額から冷や汗が一筋流れた。
「楽しかったかい?円堂達との試合・・・いや、コアと久しぶりの試合も」
「「!!」」
「コアもどうだった?デザーム達とは久しぶりの試合だっただろ?」
俺は後ろに振り向こうとした時、急に誰かに背中を押され、デザームの隣に行く。
後ろを振り向けば、今度は白いスポットライトが点く、この色は・・・グランだ・・・。
デザームを見れば、声を詰まらせていて俺を少しチラッと見ていた。
それはそうだ、俺達はエイリア学園で楽しむ事でサッカーをしている訳ではなく、世界征服の為にやっているのだから。
「グラン、あんたは黙っててくれ」
「そうだよ、いくら君でも・・・」
二人の低い声に俺の肩はまたビクッと震えた。
俺に言われている訳ではない、頭では分かっていても体が無意識に反応する。
「気に障ったらな許して欲しい」
あれ?俺の目の前がグワングワンする、どうして?そう思った時には、俺の体は完全に傾いていた。
最後に聞こえたのはデザームが俺の名前を呼んだ時だった。
再度俺が目を覚ました時は、雷門のキャラバンだった。
「あれ?俺・・・」
「大丈夫ですか?恋姫先輩、やっぱり気分が悪かったんですよ」
体を起こせば、春奈をはじめ皆が心配そうに俺の顔を見ていた。
俺はどうしてここに居るか聞くと、ある男の子が道端で俺が倒れていた所を運んで来たのだと言う、その子の特徴を聞けば赤毛でオレンジ色のジャンパーを着ていると言った。
グラン・・・ヒロトだ・・・。
「恋姫ちゃん、あんまり無茶しちゃ駄目よ。福岡に着くまで休んでおいて」
「うん、ごめんね。心配かけて」
「いいよ、気分が悪かった事に気が付かなかった俺達も悪いし・・・」
一之瀬の言葉に皆はそれぞれゴメンと謝って来た、いや、俺も倒れたのが悪いしそれに・・・ヒロトにもお礼を言わなきゃ・・・。
「恋姫さんは起きたかしら?」
「はい、監督。出発しましょう」
「そうね」
そして、俺達は目的地である福岡の陽花戸中学校に向かう。
続く
第50話福岡到着!〜皐月視点〜
頭がまだ痛い・・・、具合なんて好調なのにどうして?それに妙に息苦しい。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「どうしたの、恋姫?」
「はぁ・・・ちょっと、息苦しいだけ・・・」
「大丈夫?!背中さすってあげようか?」
吹雪が心配そうに言ってくれるが、俺は気持ちだけ受け取っておくと言って大きく息を吸っておいた。
それに吹雪の事を出来るだけさ支えよう、約束したんだ!染岡と・・・。
俺がいつかエイリア学園の奴だってバレる時まで支えてやるんだ!俺は心の中でそう誓った。
それにしても・・・俺の体、どうしたんだろう?俺は自分の手の平をみながら、何故倒れてしまったのかも考えた。
そして、ようやく陽花戸中に着き、皆は次々とキャラバンから降りていく。
「吹雪、ちょっと手・・・借りて貰ってもいい?」
「え?いいけど、やっぱり具合が良くないんだよ。キャラバンで休んでおいた方が・・・」
「ううん、充分休めたよ。心配してくれてありがとうな」
俺は吹雪の手を借りながら俺はキャラバンを降りると、陽花戸中の校長が円堂と話していた。
隣には夏未も居るって事は・・・夏未の知り合いか?夏未・・・どれだけ顔が広いんだか・・・。
そういや、円堂大介ってイナズマイレブンの監督もやってたんだよな・・・。
俺のサッカーを始めたきっかけは父さんの息子さんの影響でもあり、円堂大介さんの影響でもある。
イナズマイレブンの話を父さんに聞かせて貰った時に俺はサッカーを始めた。
結果、黒猫の舞姫って言う異名も付いてしまったが・・・。
(今じゃあ俺はサッカーを汚してる奴だな・・・)
円堂大介さんや父さんの息子さんは今のサッカーの状況を見たら、泣くかな?いや、サッカー自体が泣いてるか。
取り敢えずの所、円堂と夏未と姉さんは校長先生と話す為、陽花戸中に入って行った。
俺も少しその場を離れ、父さんに報告と言うより剣崎に報告する。
剣崎か・・・うん、嫌だな!俺はそう思いながら、ケータイで剣崎に報告する。
「コアです、雷門は無事福岡に」
『分かりました、旦那様には私から報告します。また、ノートの内容が分かり次第お願いします』
「はい」
俺は通話を切ると皆の所に戻って行った。
〜エイリア学園では(作者視点)〜
「まさか、こんなにも早く狂気の力が働くとはな」
水色のスポットライトがガゼルを照らす、その照らされたガゼルの顔は不機嫌そのものと言えばいい。
「あぁ、倒れた時はビビったぜ」
赤色のスポットライトがバーンを照らす、その照らされたバーンの顔は心配そうな顔そのものだった。
「それ程までに雷門の誰かから狂気の力の根源になる物があった、そろそろ本当に回収しないとコアの体にも異変が出始めてる」
「「!!」」
白色のスポットライトがグランを照らす、グランの言葉にバーンとガゼルは一層に顔を険しくさせた。
「倒れたのも異変の一つさ。多分、これ以上狂気の力を集めるとコアの人格どころじゃない。皐月の人格と一緒に無くなっちゃうよ」
「くそッ!俺達に何か出来ねぇのかよ!!」
「出来たとしてもコアに教えてしまえば、エイリア学園を裏切るだろう」
ガゼルの言葉にバーンは舌打ちをした。
グランは二人に見えない様に何かを企んでる様子で目を細めた。
続く
第51話心配〜皐月視点〜
(ん〜〜、やっぱり皆に迷惑掛けちゃったか)
俺はキャラバンで横になりながら、溜息を吐く。
何で俺がキャラバンに居るかというと先程俺は倒れそうになり、夏未からキャラバンで休んでおけと言われ、気分が良くなるまでキャラバンの座席を使い横になっている。
最近体の調子もおかしいな・・・何故かコアが強制的に出されるそんな感じがするのはどうしてなんだ?まあ今は体をゆっくり休める事を優先しようかな。
「皆そう言えば合同練習してるんだよな」
夏未に聞いたが、陽花戸中に円堂と同じゴッドハンドを使う子が居るって、どんな子だろう?やっぱり、円堂みたいなサッカーバカなのかな?それはそれで笑えちゃうかも。
「暇だから・・・少しだけ歌ってもいいよね?」
まあ、熱唱はしないだろうけど・・・。
俺は誰も居ない事を確認すると、小さく歌い出した。
小さい頃姉さんが歌ってくれたこの曲は大好きだった、寂しくても悲しくてもこの歌があったら元気になれたのだ。
はあ〜、昔の様に戻りたい・・・。
でも、今更思ってしまっても意味なんて全然ないよね。
「〜♪・・・。ん?あ、秋」
「ごめんなさい、素敵な歌だったから」
「あ、いや、いいよ。どうしたの?」
「もう気分は?」
「大丈夫だよ、迷惑掛けたね。ほったらかしてたマネージャー仕事も専念できそうなくらいにね」
「しょうがないよ、恋姫ちゃんって選手も出来るんだから」
そりゃそうっすよ、エイリア学園では選手として鍛え上げられてきましたから。
とは言えず、俺はもうちょっと休んでから行くと言う事にして秋が去ったキャラバンで俺はケータイを弄る。
電話の主は剣崎である、剣崎に電話するのは嫌だが仕方ない。
「もしもし、コアです」
『どうしました?』
「そこにバーンかガゼルかグラン居ませんか?」
『三人ともいますが・・・』
「代わって貰えませんか?誰でもいいので」
俺が言うと、剣崎の声が三人を呼んでいた。
いや、誰でもいいから早くしてくれ。
俺が少しばかりイライラしていた時にやっと誰かと交代したのか、もしもしと剣崎とは別の声が聞こえた。
あ、グランだな。
「グラン?ごめんだけど、部屋に薬なかった?」
『薬?何で?』
「昨日大阪で買って父さんに報告するとき部屋に置いてたの忘れてた。持って来てくれない?」
『もう、分かったよ。・・・体大丈夫?』
「え?」
急にグランに尋ねられ、俺は少しばかり驚いた。
「どうしたの?急に」
『ううん、何もないよ。バーンやガゼルにも代わるね』
「そう『大丈夫か!?コア!!』あ・・・うん」
びっくりした〜〜!!まあ、あの強気で短気なバーンでも心配かけた事をしてしまったのだ、申し訳ない。
バーンって昔からこうだった、誰かが倒れてしまったらいつものバーンではなくなってしまう程心配する。
それは敵であれ味方であれそれは同じ事なのだ、ガゼルやグランでもそれは同じ。
「うん、うん、分かってる。バーンも心配し過ぎだよ、今はそんなに悪くないから」
『そうか?なら、いいけど・・・。あ、わりぃ、ガゼルにも代わるわ』
「うん(これ、全員聞くパターンだったか)」
そう言うと、電話越しでも喧嘩をしている二人の声が聞こえた。
そして、グランの声も聞こえてくる。
『すまん』
「あ、いや、別に。ガゼルにも迷惑掛けたね」
『いや、私は気にしてない。・・・・なあ、皐月』
「何?」
『少しグランとバーンと離れる』
「あぁ、うん」
どうしたんだろう?ガゼル・・・。
続く
第52話一人にしないで〜皐月視点〜
『すまんな、あの二人には少し聞かれたくなかったんだ』
「そうだったんだ」
と言うか、剣崎のケータイを持って来てますよガゼルさん。
俺はそう言えず、ガゼルの次の言葉を待っていた。
すると、急に電話の向こうから嗚咽が聞こえて来た、え!?何!!俺が混乱していると、すまないと言う声が聞こえた、声が震えている。
「どうしたの?風介」
『なあ、皐月。私を一人にしないでくれ』
ガゼルの言葉に俺の頭の中から昔の事が蘇って来た、それは風介がまだ入って間もない頃の事だ。
風介はお日さま園に入って来たはいいが、これがまた誰とも話さずいつも玄関で座っていた。
それには誰も何も言わず、ただ風介を見守っていた。
だけど、俺がどうしてここに居るのか聞くと風介は涙目になりながら俺にこう問うてきた。
“私は捨てられたのか?”と話を聞けば、風介の両親や親戚、お爺ちゃんやお婆ちゃんからにも暴力を振るわれたのだと言う、俺はどう言えばいいのか迷っていると、自分でも分かっていたのだと言う。
だから、俺は風介の友達になって一生の約束をした。
それは・・・。
「風介、一生の約束したじゃん。俺はいつまでも風介の味方で風介を一人にしないって」
『皐月・・・』
「だから、泣かないで。俺も泣いちゃうから』
『あぁ・・・、ありがとう。皐月。ありがとう』
「ほら、もう泣かない。昔と全然変わってないよ!どんな事あっても絶対風介もお日さま園の皆も絶対見捨てない!だって・・・“家族”だもん」
『そうだな、ありがとう。疑ってすまなかったな』
「いいよ、ほら早く剣崎にケータイ返してきなよ」
俺がそう言うと、風介はそうだなと言った。
その後、俺は剣崎と少しだけ話ケータイを切った、俺はケータイをポケットにしまうと雷門の皆の所へ向かう。
俺を見つけた円堂は気分はもういいのか?と尋ねられ、俺は気分は好調だよ!といつものように振る舞った。
「で、円堂の持ってるゴッドハンド使える子って誰?」
「あいつさ!立向居〜!」
円堂が呼ぶと、俺の前には円堂と同じキーパーの子が居た。
おう、可愛いな。
「俺の名前は倭国恋姫、まあサッカーは出来るけどマネージャーだ。よろしくな!」
「お・・・俺、立向居勇気って言います!」
敬語?って事は・・・この子小暮と同じ1年生!?そういやアイシー・・・愛も中学1年生だけど、全然違うな、うん。
「で、練習はどうなんだ?って、円堂・・・どうした?」
「なぁ、皐月。パッと開かずグッと握って、ダンッ、ギュンッ、ドカーン!!ってどういう意味だと思う?」
まず俺に擬音語をぶつけるな!俺はそうツッコむを入れようと考えていると、鬼道が究極奥義の一つ・正義の鉄拳を練習しているのだと言う。
ちょっと待て!何で擬音語!?俺はノートを貸してと言ったら、風丸達の顔がマジかと言う顔になってる。
まあ、いいや!俺はノートを開くと、数秒で閉じた。
「何だこの地獄級レベルの字の汚さは・・・、これじゃあ何が何だか分かりやしないよ。でも、まあ、やれるんじゃない?円堂なら・・・」
「そうか?・・・恋姫がそう言うなら、そうかもな!よぉーし、皆練習に戻るぞ!」
俺は楽しんでる雷門を目にした時、一人苦しんでいる吹雪を見た。
俺はすぐに吹雪の傍まで駆け寄った。
「吹雪、大丈夫?アツヤを抑えるの辛い?」
「大丈夫だよ・・・心配しないで・・・ハァ、ハァ」
俺と吹雪が話していると風丸がやって来て、この前の試合の事を言っていた。
もちろん、風丸はアツヤの存在何て微塵も知らないから吹雪も苦笑いしか出来ない。
俺は風丸に後半戦始まるよと言うと、風丸はハッとしてすぐに円堂達の元へ行った。
「吹雪・・・休んでおく?」
「ううん、大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとうね」
吹雪はそう言って辛そうにグラウンドへ向かって行った。
アツヤも・・・吹雪の気持ちを分かってる筈だ、俺はそう信じていたいよ・・・アツヤ。
皆も気が付いてあげて・・・俺から言えた吹雪もこんな辛い思いをしなくていいのに・・・。
続く
第53話期待と思い〜皐月視点〜
合同練習も終わり、俺は吹雪の姿を探していた。
吹雪の姿が練習が終わった時に居なくなってしまったのだ、俺は嫌な予感がして校舎の中やら色んな場所を探していた、そしてやっと見つけた場所は手洗い場だった。
手洗い場を覗くと、まるで狂ったように吹雪は鏡の中に居る自分に語り掛けていた。
「ごめんね・・・、吹雪」
俺はそうぽつりと呟いた、俺がエイリア学園の人間じゃなかったら吹雪を助けてやれたのに・・・。
そして、雷門に戻って来た時の吹雪の姿を見て俺は一瞬だけ死神の鎌が吹雪の首筋に当たっていた、俺は厳格だと自分に言い聞かせながら吹雪の傍に寄った、少しでもいいから吹雪の辛さを和らげたいから。
そして、夜になり今日は立向居も入れて夜ご飯を食べることになった。
「どうしたの?恋姫さん。顔が暗いわよ」
「夏未・・・、相談に乗ってくれるか?」
「?えぇ」
俺と夏未は秋と春奈に仕事を少し任せ、誰も居ない場所で相談に乗って貰う事にした。
「で、どうしたの?いつも元気なあなたが」
「なあ、夏未・・・。もし、もしだぞ!もし、俺がエイリア学園の奴だって言ったら、お前はさどう思う?」
「・・・そうね。許せないって言うのが残るかしら?」
やっぱり・・・。
「でも、もし貴方がエイリア学園の子だって言うならそれは信じられない。だって、恋姫さん。貴方は“優しい人”なんだから」
「え?」
「私が何も知らないとでも思った?貴方はいつも吹雪君の事を気に掛けていたり、時には厳しい言葉を言って皆を助けてる。私は貴方がエイリア学園の子だって言うならきっと信じられないでしょうね。でも、急にどうしたの?」
「ううん、ほら!レーゼ達が言ってたから」
俺は必死に言い訳をして、早く仕事をしようと夏未に言った。
ごめん、夏未・・・。
俺さお前の期待も思いも全部を裏切るかもしれない、本当にゴメン。
俺は心の中で言えない気持ちを夏未に謝った。
そして、皆が眠っている時間。
俺だけは起きていた、そろそろ正体を明かそうかそれだけを考えて・・・。
「怖い・・・」
『皐月?』
「コア・・・俺、道を間違えちゃったのかな?」
『分からない、でもコアは・・・皐月の思いに従うよ』
そう会話をしている時、正義の鉄拳の練習をしていた円堂の話し声が聞こえた。
キャラバンの下から見やると、そこにはグランと円堂が何やら話していた。
俺は反対側からキャラバンの天井から降り、グランが円堂と離れた所を見計らってグランの元へ行く。
「グラン・・・!」
「あ、コア。はい、薬」
「ありがとう、円堂守と何話してたの?」
「別に、でも明日になったら分かるよ」
え?俺が尋ねようとした時にはグランはもうエイリア学園に帰っていた。
どういう事?明日になったら分かるって?でも、俺は分からなかった。
グランが何を企んでいるのかを・・・。
〜そして、翌日〜
円堂から昨夜の出来事を皆に話していた、ヒロトから試合を申し込まれたのだと言う。
“俺の友達”か・・・、ヒロトの正体を知ったら円堂はどう思うだろうか?今回ばかりは絶望するかな?皆を見れば、エイリア学園の人間と言う疑いをやらずそのまま受け入れてそれぞれの準備に取り掛かっていた。
ただ一言言えば姉さんと皆月だけが顔を強張っていた。
「円堂先輩・・・」
「何だ?」
「その人・・・本当に“ヒロト”って言ったんですか?」
皆月がオズオズとそう聞くと、円堂は不思議な顔をしながらもそうだぞと言った。
そして、12時ちょうどになったその時だ。
辺り一面に黒い霧と言う霧が漂う、そして雷門の皆の顔が変わって行く。
それはそうだ、嫌と言うほど君達は見て来た、これはエイリア学園の証みたいになってるんだから・・・。
「やあ、円堂君」
続く
第54話君自身〜コア視点〜
コアがは今、目の前に居るグランに顔をしかめっ面させている。
理由はグランにある、それは・・・決まってもいない『ザ・ジェネシス』の称号を名乗った事。
コアはそれが許せなくグランがコアに試合を出ろと言わなかったら、コアから監督に頼み込んでいた。
ベンチは皆月でコアと吹雪と浦辺の3TOPのFWとなった。
でも、吹雪はこのまま出したらいいのだろうか?コアは不安でいっぱいだった、何でだろう?昔のコアなら仲間なんて大嫌いでこんな心配しなかった筈なのに・・・。
「見せたあげる・・・コアの悪夢を・・・」
コアは誰にも聞こえない程にそう小さく呟いた、コアが見せる悪夢を誰にも救えない狂気を・・・。
ネロは悪くないんだけどね、キックオフは雷門側から。
でも、今の雷門にはガイアになんて勝てない。
「リカ!」
「任せたで!恋姫!!」
コアはボールを受け取ろうとした時、目の前にアークとクィールがやって来る。
この二人だけには取らされたら終わりだコアの頭の中から忠告が流れ出す、だけど、反応が遅れてしまってアークに取られ、アークはコーマに、コーマはウルビダに、ウルビダはグランに。
そして、グランのノーマルシュートが円堂守の居るゴールに向かう。
止めないと!コアは全力で走ろうとすると、ウィーズとウルビダが不敵な笑みを浮かべながら立ち塞がった。
「此処から先は行かせないぞ、コア」
「その名で今は呼ぶな!!」
コアがそう叫んだと同時にピッピーと点が決まった笛が鳴り響く。
「!入っちゃった・・・」
そんなの決まってるでしょ!そう言いたいけど、誰かに口を塞がれてる様に声が出ない。
どうして!?コアは只混乱する事しか出来なかった、その後も次々と点が決まって行く。
『コア!吹雪は!?』
皐月に聞かれ、吹雪を見るとアツヤを抑えることが精一杯だった。
コアが何とか点を入れないと、じゃないと・・・!コアの頭の中からはボロボロになっている雷門が浮かぶ。
そして、キックオフ開始時なんとしても負担を減らそうとコア一人で突っ走って行く。
「恋姫!パスするんだ!」
「此処は任せて!」
次々やって来るガイアの選手をコアは抜いて行き、ネロの居るゴールまでやって来る。
その時だ、グランとウルビダがコアの目の前にやって来る。
「コアがまさか本気を出すなんてね・・・」
「うるさい!!『ナイトメア』!!」
ナイトメアを出すもグランとウルビダの二人がかりとネロに止められてしまう、嘘・・・。
コアのナイトメアが・・・止められた!?コアが驚愕していると、ウルビダがこう言い放った。
「コアが居ない間私達が何もしていないと思うな!」
「それに・・・コア、君自身も分かってる筈だよ。君のナイトメアが如何して止められたのか、どうしてネロや俺達に止められたのか。」
グランの言葉にコアは後ろを振り返る、それはコア自身も分かってる!でも、雷門の温もりを触れてしまったコアにとっては・・・もう・・・。
だけど、コアが雷門を守れるならコアは大きく深呼吸をして、ボロボロになっている雷門の皆の分も戦った。
でも、シュートを打てばネロに止められてしまう。
やばい・・・皐月の体は今人間になってるから体力が・・・!そして、グランにボールが渡った時だ。
「行かせない!」
「!ウルビダ・・!」
グランが出した方向は右斜め上、コアが呆然としているとグランにまたパスが回った。
「好きだよ、円堂君・・・君のその目!『流星ブレード』!」
グランの必殺シュートが放たれる、そのシュートを見た時コアの頭の中には最悪の結末が思い浮かんだ。
コアが止めに行こうと走った時、DFの吹雪ががむしゃらにグランのシュートを止めようとしていた。
違う!あれは・・・目がアツヤと吹雪になってる!!吹雪の今の現状も考えれば、それ以上の最悪の結末が待ってる。
そして・・・その最悪の結末は変わる事無く決まってしまった。
続く
第55話ふざけるな!!〜コア視点〜
〜エイリア学園〜
「グラン!!!!!!」
コアはグランの胸倉を掴み、思いっきり睨む。
それをあたふたと見ているバーンとガゼル、そしてデザーム。
グランと言えば、自分が何したかを分かっていない様な顔で何?と聞いてきた。
「ふざけるのも大概にしろ!!コアの怒りをどれだけ買えばあんたは・・・あんたは・・・!!」
「落ち着け、コア。イプシロンも見ているんだぞ」
「でも・・・!!」
バーンとガゼルに止められ、コアはグランを突き飛ばすような形で胸倉を掴むのをやめた。
あの後、吹雪は病院に搬送されてしまった。
ジェネシスを名乗った事は此処では言えない、バーンやガゼル、プロミネンスやダイヤモンドダストが居るのだから。
「グラン、貴様・・・前に言ったはずだぞ」
「勘違いしないでほしいな、俺はただ円堂君と試合をしたかっただけさ」
「“だけ”?あれが!?ふざけるのも本当に大概にして!!!!」
殴り掛ろうとするのを今度はデザームに止められる、コアは近くにあったサッカーボールを本気モードでグランに目掛けて蹴る。
だけど、そのボールは容易くグランに止められてしまった。
それにはバーンやガゼルやデザーム、いや、この場に居た全員が驚いただろう。
なんたって、グランはコアの本気モードのボールを一度も止めた事がないんだから。
「コア、どうして俺が止められたか知ってる?・・・それは、君が完全に雷門の空気に馴染んでしまってるからさ」
「!!」
「そんな事はないって顔してるけど、本当だよ?現に君のナイトメアを止めた。そろそろエイリア学園に帰って来た方が良いじゃない?」
グランはそう言い残すと何処かへ行ってしまった。
コアは悔しくて何も言い返せなかった、全てが本当だったから・・・全てが嘘ではない事実だから・・・。
その後、エイリア学園を後にして吹雪の居る病院に向かった。
〜病院(皐月視点)〜
「吹雪!!」
俺が病室に入ると、そこには円堂達が居た。
姉さんは何処行ったのか聞くと、土門は怒りが混じった声で何処かへ行ってしまったと言った。
「恋姫、お前は吹雪の過去を知っていたのか?」
「・・・あぁ」
俺がそう言うと、秋はどうして試合をやめろと言わなかったのかと言われた。
「俺だって吹雪をこれ以上辛い思いさせたくなかった!だけど・・・だけど・・・!!」
涙は溢れて来て、俺はすぐに病室を出た。
こんな顔見せれる訳がなかった、吹雪や皆を傷つけた俺が皆の前で笑える資格なんて何一つないんだからさ・・・。
〜皐月が居なくなった病室(皆月視点)〜
「恋姫先輩、泣いてましたね」
春奈ちゃんの言葉にその場が重くなる、その時だった。
夏未先輩が気まずそうに口を開く。
「吹雪君の様子も変だったけど、恋姫さんの様子もおかしくなかったかしら?」
「え?」
「恋姫さん、何かとジェネシスにマークされていたわ。恋姫さんと何か喋ってる様子だったし・・・」
夏未先輩の言葉に当たりがザワザワと騒ぎ出す、土門先輩が冗談紛れにまさかエイリア学園か?と言うが夏未先輩はそれは分からないと言う。
確かにあの時、ベンチで見ていた私には恋姫さんの様子がおかしい事は分かっていた。
だけど、そこまで見ていなかったから、夏未先輩の観察力はすごいと思ってしまう。
すると、鬼道先輩がやはりかと小さく呟いた。
「やはりってどういう事だ?」
「俺は恋姫にある疑いを持っている」
「ある疑い?」
続く
第56話疑いと風丸の離脱〜皆月視点〜
「あぁ、皆思い出して欲しい。恋姫と初めて会った時の事を」
そう言われ、私は初めて恋姫さんと会った時の事を思い出した。
確かあの時は奈良でレーゼ・・・緑川と皆に捕まってしまい、人質状態とされて出会った、だけどこれの何処がおかしいんだろう?それは後から入った人には分からないが、その時まで居た人たちは首を傾げていた。
「レーゼ達に人質にされていたんだろう?それの何処がおかしいんだよ?」
「“人質にされていた”・・・そこに目を付けてくれ」
「・・・まさか!あれは演技だった・・・」
「あぁ、皆月の言う通り。もし、恋姫がエイリア学園だと思うならそう言う可能性も高い。これは俺の推測だが、恋姫は元々エイリア学園でレーゼ達より上の者だと考えれば、レーゼ達も仕方なくその演技を買って出ただろう」
それが出来るのは多分、イプシロンかお姉ちゃんか後は・・・ヒロト・・・。
まさか・・・お姉ちゃんなの?そんな訳ないと思うけど、この可能性もあり得る。
あの時見せたマジカルフローラは私がお姉ちゃんの為に考えた技だ、だから、誰かが持っているって事は絶対にありえない。
「でも、真・帝国学園じゃあ恋姫のあの作戦が無かったら・・・」
「そうでやんす!それに俺達の為に厳しい言葉も言ってくれたでやんす!」
「俺も疑いたくはないが監督なら何か知っている筈だ。後で俺は聞こうと思う」
鬼道先輩がそう言うと同時に小暮君はこう言った。
「俺さ、恋姫が宇宙人でも俺は信じたくない!」
「小暮君?」
「俺、恋姫のおかげなんだよ・・・俺に人を信じろって言ってくれたのは!それに・・・俺と同じ環境の人だから・・・」
その言葉を聞いた時、春奈ちゃんと鬼道先輩の眉がピクッと動く。
その時、風丸先輩が静かに病室を出て行った、風丸先輩を私は追いかけようとするが私を横切って追いかけて行ったのは円堂先輩だった。
〜皐月視点〜
はあ〜、かっこ悪い。
後で秋には謝っておこう、俺はそう考えている時円堂の声が聞こえた。
俺は声のした方を見れば、風丸と円堂がそこに居た、俺はこのまま行けばいいのか行かない方がいいのか分からなかった、そんな時だったこんな会話の内容が耳に入った。
「すまない、円堂・・・。俺は、お前や恋姫みたいに強くないんだ・・・」
その言葉を聞いて俺は分かった、グランだけじゃない風丸に闇を与えてしまったのは俺だったのだと。
俺は風丸のを追うと風丸が入って行ったのは、キャラバンだった。
「風丸!!」
「恋姫・・・」
「どうして!どうして・・・風丸が降りるの?」
俺がそう聞くと、風丸は消え入りそうな声でこう言った。
「俺はお前が羨ましかった・・・、いつも強くて円堂みたいで・・・けど、お前はあの時の試合でジェネシスと同等に戦えていた。俺は、お前に追いつこうと必死だった・・・。けど、思ったんだ。俺には“無理”だったんだって・・・」
風丸のその言葉に俺は何も言えなかった、そんな俺に風丸は小さくゴメンと呟き、俺を横切った。
「うわぁああああああああ」
俺の泣き声が虚しくもキャラバンに響いた・・・、そして翌日。
風丸が昨日キャラバンを降りて行ってしまった事を姉さんは皆に伝えた、俺はと言うと一人離れた所でその話を聞いていた。
続く
第57話キャプテンの試練〜皐月視点〜
俺は一人キャラバンの中に居る、円堂はサッカーをしないと言った。
それは敵である俺は本当ならば喜ぶべきなのだ、だけど、喜べなかった・・・。
昨日の風丸の顔や言葉を思い出すと、罪悪感とどうして今まで気が付けなかったのかと言う後悔の念が押し寄せて来る、俺は一人キャラバンの座席で横になっていると、恋姫ちゃんと俺の名前が呼ばれた。
「秋・・・」
「大丈夫?・・・昨日はごめんね、私、恋姫ちゃんの気持ちも考えずにあんな事言っちゃって・・・」
「ううん、俺も昨日はごめん。秋の言う通りだったよな、監督に反対されても吹雪を試合に出さなかった方が良かったんだよ。そう言えば、円堂は?」
俺が聞くと、円堂は屋上に居ると秋が教えてくれた。
俺は雨の中、一人屋上に向かっていた、途中で鬼道達に会ったが俺は気にも留めず円堂の居る屋上に向かう。
屋上に着くと、雨に打たれている円堂が居た。
その雨はまるで今の円堂の気持ちを表しているかのように見えた。
「恋姫・・・」
「鬼道・・・」
「少し、話そう」
そう言われ、俺と鬼道は誰も居ない場所で一緒に喋る事になった。
雨に濡れない為校舎で話す事にした。
「どうしたの?」
「昨日の試合を気にしているのか?」
「まあね、俺があんな勝手な行動しなきゃ風丸は・・・キャラバンを降りなかったのに・・・」
「自分を責めるな、これはチームの問題だ。俺も吹雪の事を早く気が付けばよかった」
「鬼道・・・お前は優しいんだな。チームの事を誰よりも考えてる」
「いや、チームの事を考えているのは・・・」
鬼道は言葉を詰まらせると天井を見上げた、俺も同じように天井を見上げる、多分だけど鬼道が言いたいのは自分より円堂の方がチームの事を考えていると言いたいのだろう。
この雨は・・・円堂の涙なのかもしれない、俺はそう思えた。
〜翌日〜
青空が晴れ渡る今日は俺は陽花戸中のグラウンドを一人歩いていると、立向居が何かの練習をしていた。
「練習頑張るね、立向居」
「あ、おはようございます!恋姫さん。俺、円堂さんみたいになりたくて今『マジン・ザ・ハンド』の練習してるんです!」
「そうか・・・」
この言葉を円堂が聞いたら喜ぶだろうな、でも、今の円堂はサッカーの事に触れて欲しくないだろうな。
「そう言えば、円堂さん知りませんか?」
「・・・それは・・・」
俺は何も言えないのが分かったのか立向居は伝言をお願いして貰ってもいいかと聞いた。
俺は分かったと言うと立向居は伝言を残して去って行った、俺は今でも屋上で落ち込んでいる円堂を見ながら悲しい気持ちでいっぱいになった。
その後、俺は皆の練習を見たがいまいち皆の練習を見ても何も思わなかった。
無意識の内に俺は円堂がいつも居たゴールを見る、そこにはいつも目が合ったら笑ってくれる円堂は居なかった、最初はなんだこいつって思ってたのに・・・。
「屋上でも行くか・・・」
俺はそう言い、春奈に此処を任せて屋上へ向かう。
屋上に着く前に夏未が泣き出しそうな顔をしながら俺とすれ違った、その後も、泣き出しそうな秋も俺とすれ違った。
屋上に着くと、そこには目に光が宿っていない円堂が居た。
「円堂・・・」
俺が名前を呼ぶもいつもなら元気で対応してくれるも今はそんな対応すらしてくれない。
俺はただ円堂の隣に座って円堂を見る事しか出来なかった、それでも円堂は俺に話し掛けて来なかった。
その日、俺は鬼道と一之瀬が呼びに来るまで俺は円堂の傍に居た。
だけど、現実は残酷にこんな円堂にまた更なる試練を与えた・・・。
続く
第58話決めた〜皐月視点〜
円堂が練習を参加しなくなった4日が経とうとした時だ、俺は明朝に誰かがキャラバンを降りて行くのを見た、俺は急いでその降りて行った人物を探した。
そして、俺はキャラバンから少し離れた所でその降りて行った人物・栗松を見つけた。
俺は栗松を呼び止めると、栗松は歩みを止め俺の方に振り返った。
「栗松!」
「恋姫さん・・・」
「お前・・・まさか、降りるのか?」
俺がそう訊ねると、栗松は自分はもう限界だと呟いてキャラバンを降りて行った。
俺は何も励ます事も出来なかった、風丸の時の様に俺はエイリア学園の人間で誰かに闇を与えてしまったのだ、そう“二人も”・・・。
俺はただ自分に対しての怒りしかなかった、グラン・・・ヒロト達に会いたかった。
でも、そんな願いを俺が願っちゃいけないだと自分に言い聞かせて、涙を拭いた。
今は誰にも会いたくなかった、そして、俺は決めた。
“エイリア学園の者だと明かそう”と・・・でも今は、円堂を立ち直らせるのが先だ。
「皆の所に戻ろう」
コアとして次の旅で皆に明かそう、俺は陽花戸中へ向かいそう自分で決めた。
そして、陽花戸中に着けば姉さんが円堂を仲間から外すと言っていた。
「監督・・・」
「何かしら?」
「俺からもお願いします、風丸や栗松が降りて行った原因は俺にもあります。確かに今の円堂じゃあ監督にとっては役には立たないと思います!けど・・・、明日まで待っていただけませんか?お願いします!!!」
「「「「恋姫/先輩/ちゃん/さん」」」」
「・・・明日、此処を立ちます。誰も付いて来ないなら、新しいメンバーを連れて行きます」
姉さんはそう言って、何処かへ行ってしまった。
素直じゃない俺はそう思えたが、それは俺もだ、俺は円堂の居る屋上を見上げる。
円堂・・・君にはまた残酷な現実を与えそうだね、君とのサッカー楽しかったよ。
そう最後は言えたらいいけど、言えない・・・。
「あ、皆さん」
「ちょうどいいや」
ちょうどと言うかタイミング良く立向居がこちらにやって来た。
俺は秋達に此処を任せ、俺は円堂の元へ行く。
教えてあげようかな?と言うか思い出してくれ、円堂・・・。
君が大好きなサッカーを・・・君が愛したサッカーを・・・。
俺は屋上へ着くと、そこにはやはりサッカーを見るのが辛いのかフェンスの下で行おうとしている立向居の特訓に目を向けていない、それに未だに目に光が灯っていない。
「円堂、見てよ。あれ・・・立向居の姿を・・・」
「ぇ・・・」
やっと反応を示した、円堂は少しだけグラウンドに目を向けて、始まった特訓に目を向けた。
「『マジン・ザ・ハンド』!」
「マジン・・・!!」
ガシャンとフェンスを掴む円堂に俺はこう言ってやった。
立向居が出した青い魔人は鬼道が蹴ったボールをガッチリと止めた、それに俺は小さな笑みが零れた。
「円堂、立向居を見たでしょ?立向居はあんたに憧れて、あの技を挑戦した。あんただって、お爺さんに憧れてあの技を完成させたんじゃない?世宇子では、その技を完成させて世宇子の技を止めた」
「・・・・」
「それに、あんたも立向居もどうしてあの技を完成させたのか分かるかい?それは・・・」
「「諦めなかったから・・・」」
俺と円堂の声がハモる、俺は円堂と目を合わせる様にしゃがみ円堂の肩に手を置く。
「円堂・・・諦めるな!!」
「ッ!・・・そうだな、恋姫の言う通りだ!俺、エイリア学園を倒すまで諦めない!いつか、風丸と栗松が戻って来るのを信じて!!」
ようやく円堂が戻って来た、そして・・・また絶望の底へ誘うかもしれない。
そんな複雑な思いを持ちながら俺は円堂と一緒に屋上へ下りた、グラウンドに円堂の姿を見つけた鬼道達は嬉しそうに円堂と話していた。
夕方、円堂は監督と皆に前でもう迷わない事を話した。
皆は当たり前の様な顔でキャプテンは円堂しか居ないと言った、まあ、円堂の他に誰が居るのか俺も想像出来ない。
「でもね・・・、円堂・・・。俺達舐めないでね?プロミネンスとダイヤモンドダストそしてガイアを・・・」
続く
第59話沖縄へ!そして・・・裏切りの一歩〜皐月視点〜
そして、立向居も新たに雷門イレブンの一人として加えられた。
翌日は青空が晴れ渡っていた、次の旅で俺はエイリア学園の奴だと皆に明かそうと昨日の夜決めた。
剣崎達には報告はしていない、したらしたで多分グランを連れて来るから・・・只今、コアはグランの事で不機嫌で俺の話も最近聞いてくれない。
「恋姫さん、気分は大丈夫?」
「あぁ、心配してくれてありがとうな、夏未!それより・・・吹雪来るかな?」
「さあね・・・」
俺と夏未が吹雪の事で喋っていると、ただいまと聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると、元気?そうになった吹雪が姉さんと一緒に居た。
皆は練習や自分達の作業を一旦中止し、吹雪の周りへ集まる、俺もすぐに吹雪の所に行くが吹雪の様子に俺はどこか違和感を持った。
「もう・・・大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫さ。迷惑掛けたね」
「そっか・・・!んじゃ、これからも頑張ろうな!」
「うん・・・」
そうか、分かった。
俺は一瞬だけだったけど、見えた。
吹雪の目が『オレンジ色』に変わる所を・・・まさか!俺は2年前の起きたエイリア学園での事件を思い出した、あれは俺とコアの時の様だった。
その時だ、ケータイの着信音が聞こえて来て、俺は誰にも見えない様にチラッとケータイを見るが俺じゃなさそうだった。
「響さん・・・?はい。!そうですか、分かりました」
姉さんは自分のケータイで響さんと話していたが、驚いたような表情で話を聞き電話を切った。
皆は首を傾げながら姉さんに何の用件だったのかを聞いていた、そして、姉さんが発した言葉は俺にとって最後の旅になる場所だった。
「沖縄に“炎のストライカー”と呼ばれる人が居るそうよ」
「“炎のストライカー”・・・豪炎寺!」
その言葉を聞いた円堂達は嬉しそうに騒いでいた、ただ・・・俺を除いて・・・。
これが最後の旅になる、沖縄に着いたら俺は・・・エイリア学園の者だと言わなければならない。
でも、せめて皆と少しでも居たい・・・。
わがままだな・・・俺・・・。
「行こう!」
そして、沖縄に行く事になった。
俺達は陽花戸中の皆と別れ、沖縄に行く為に船に乗っている。
うえ・・・吐きそう・・・。
「うぅ・・・」
「大丈夫か?まさか、恋姫が船に弱いとはな」
「船から降ろして〜早く〜」
土門に背中を撫でられながら、俺は悠々と動く船に訴えかける。
うえ・・・本当に吐きそう、俺が口元を押さえた直後違う所からバシャンと海に何か落ちる音がした。
俺は音のした方へ走って行くとまさかの目金が海に落ちていた、あんた・・・何したの?俺はパーカーを秋に預けようとした時、誰かが沈んだ目金を抱えながら上がって来た。
そして、バシャバシャと何処かへ行ってしまった。
〜船は無事到着〜
「お前・・・バカか?興味本位で海を覗くなって誰かに教わらなかった?」
俺は目金を正座させながら怒っていた、目金はもう涙目ですが俺は許す気なんて全然ありません。
まあ、鬼道と春奈にそこまでにしとけって言われたから大目に見るけど・・・。
円堂と言えば目金を助けた男の子にお礼を言っていたが、溺れかけた目金はと言うとお礼じゃなく・・・。
「そうですよ、僕だって泳げるんですから」
この野郎・・・!俺は一発拳骨をお見舞いさせた。
「「バカ野郎!海を甘く見るんじゃねぇ!!」」
え?俺は隣を見ると目金を助けた男の子も一緒に怒鳴っていた、父さんから昔教わった事がある。
海は命をくれるものだって、だから俺は海で命を落とすなんて事して欲しくない、それはこの男の子も同じらしく凄い剣幕で目金に怒った。
目金は充分に反省したのかシュンと縮こまりながら、すいませんと謝った。
「まっ、とにかくさぁ無事で何よりだ!じゃあな!」
嵐みたいに現れて嵐みたいに去って行った。
俺はそう思いながら、男の子の去って行った方を見た、そういやさっきあの子サーフィンボード持ってた。
近くでサーファーしてるのかな?俺はそう不思議に思ったが、考えるのをやめにした。
続く
第60話問題と脅威〜皐月視点〜
「はい、分かりました。近々、エイリア学園の者だと雷門に明かすつもりです」
俺は練習する雷門の皆と離れた所で電話をしていた、今回は剣崎ではなく父さんに報告だ。
父さんはその報告を聞くと満足そうな声で分かりましたと言い、電話を切った、それにしてもこんな炎天下の中よく練習するとか言ったよな、円堂も・・・。
男の子が去った後で分かった事だが、此処では船が1日1便なのだと言う。
ふざけんな!!って俺は思ったが、心のどこかでホッとした。
「はあ〜、『上手くやれるだろう?』か・・・。そういや、小さい頃に聞いた歌でそんな歌詞があったな・・・」
上手く演じて見ようかな?仲間のフリを・・・。
俺はそう思いながら、皆の所に行くとそこにはあの時目金を助けた男の子が居た。
そう言えば、塔子とリカがバタフライドリームを習得している最中だったんじゃ・・・。
俺は秋の隣に行くと、秋は電話は終わったのかと聞いて来たので俺は笑顔で終わったよ!と言った。
「バタフライドリームはどうなんだ?」
「ダメみたいね、それより恋姫さんは誰に連絡を?」
「え”!あ、えっと、お父さん!と言っても、血は繋がらないけどね」
俺がそう言うと、春奈を除いた夏未と秋は目を見開いて驚いた、何故か夏未は俺に謝って来るが俺は別に気にしている物ではないから俺は許した、まあ、父さんの事バカにした瞬間許してませんよ。
〜エイリア学園(作者視点)〜
「面白かったか?グラン」
赤色スポットライトに照らし出されたバーンは、白いスポットライトに照らし出されているグランを見ながら楽しそうに言う。
「何の事だい?」
「とぼけちゃってよ〜」
「雷門とやりあったみたいだね、『ザ・ジェネシス』の名のもとに・・・。コアがブチ切れるのも分かったよ」
水色のスポットライトに照らし出されたガゼルは大きな溜息を零し、グランを睨む。
三人の顔はまるで唸る獣である、目は眼光を鋭く自分達のライバルを見ていた。
「あれはただのお遊びさ、まあ、コアがブチ切れるのは想定外だったけど・・・」
「ほう・・・」
「気にならないかい?2年前の事件で心を閉ざしていたコアを再び心を開いた雷門イレブン・・・円堂守、彼は面白いよ」
グランの言葉にバーンは軽く捻り潰した奴が?とグランに問うた。
「君も戦えばわかるさ」
「確かに今は君達「ガイア」が栄光ある『ザ・ジェネシス』の座に就いているが油断はしない方がいい。それにコアも・・・ね・・・」
「忠告として聞いておくよ」
「ハッ!すぐに俺達『プロミネンス』がその座を奪ってやるぜ、コアも俺達のチームに入れる」
「それはどうかな?我々『ダイヤモンドダスト』も引き下がるつもりはない、コアは私達のチームに入れる」
二人がそう言い争ってる中グランだけは静かに何かを考えていた。
(二人には負けるつもりはないけど・・・ちょっとやばいかな・・・。コアにはもう仲間意識を持ってる、雷門に入って本当に変わったよ。皐月の姿で何度エイリア学園で出入りしているか・・・、これ以上コアを雷門で好き勝手にはさせられないね・・・)
グランを余所にガゼルとの言い合いは終わったのかバーンもまた怪しい光を帯びた目で誰にも聞こえないくらいの小さな声でこう言った。
「コア・・・待ってろよ・・・」
〜再び戻って沖縄(皐月視点)〜
「やっぱりそう簡単には出来ないな・・・」
俺はリカと塔子の特訓に付き合いながらそう言った、リカはそりゃそうや!と俺に詰め寄りながら怒鳴った。
何で俺怒鳴らなきゃ行かないんだ?俺は頭の上で?マークを踊りながらそう思った、そして、またもう一発ボールを蹴るが、塔子がまた焦ってしまったのかボールはまた海の方へ。
今日はやけに海に行くなって俺が思っていると、さっきのサーファー少年がボールを蹴り返して来た。
そのボールは俺の頬を掠め立向居の所に行く。
「あ〜・・・びっくりしたぜ」
こいつ・・・サッカー経験あり?俺はそう思ったが、円堂がそのサーファー少年にサッカーはやった事があるのか?と聞くとサーファー少年はやってない!と断言した。
やってなくてあの威力・・・!?普通ならド素人がやればあんな威力は出ない、こいつ・・・色んな意味で雷門に入れば脅威になるかも・・・。
続く
第61話本当の気持ちと嘘の気持ち〜皐月視点〜
サーファー少年こと綱海条介とサッカーをしていた、いや〜、あいつやっぱり才能あるんじゃない?まあ、パスやドリブルはまだまだだけどね・・・。
でも、まあ、考え方として良かった。
え?何の考え方だって?それはね、綱海はドリブルがめんどくさいが為にシュートを打ったのだ。
それも俺が見たかった才能でね・・・、技は『ツナミブースト』で超ロングシュートだ。
「凄いじゃん、綱海!」
「そうか?やっぱ簡単だな、いや〜俺って天才!」
自分で言うか!俺は誰にも聞こえ無い様な小さな声でツッコんだ。
すると、またゾクッとした感覚に俺は襲われ後ろを振り返るが誰も隠れて見ているような気配はない。
「???」
「どうしたんっすか?恋姫先輩」
「あ、いや、何にもないよ」
壁山に聞かれ、俺は何もないと言っておいた。
その後、しばらく綱海と皆でサッカーをした。
そして、近くの小屋で俺達は泊まる事になった、皆はおしゃべりしたりトランプしたりとしているが俺は一人外に出て銀色に光るペンダントを見た、ペンダントの中身を見れば不気味な色をした紫色の光を放った石があった。
(エイリア石なんかなければ、円堂達とは違う出会い方をしてただろうな・・・。それだけじゃない、ヒロト達も父さんも変わらなかった・・・)
悔しい・・・自分の無力さに自分のちっぽけさに・・・。
そう思っていると、誰かに肩を叩かれ振り返れば・・・カジキ、カジキですか〜ってはあ!?カジキって歩かないよね!?え?俺が混乱していると、よぉ!と聞き覚えのある声がした。
「綱海・・・」
「お前か!えっと〜、確か〜恋姫だっけ?」
「あ、うん」
「いや〜、良かったぜ。あいつらに会う前にお前に聞きたい事があったんだよ」
「聞きたい事?」
俺がそう首を傾げると、綱海は急に真面目な顔でこう問うた。
「あんた、自分の気持ちに嘘ついてねぇか?」
「!」
「今日、ずっとお前の事見てたけど・・・サッカーで笑っている顔や驚いた顔も全部何ってんだ?ん〜〜、嘘に見えんだよ?何か、円堂達と一緒にまだ居たいって笑顔だったぜ」
見破かれている、この島で初めて会った子に・・・。
俺が何も言えなくなっていると、綱海は頭をガシガシと掻きながら俺の肩に手を置いてこう優しく言った。
「まあ、恋姫の好きに生きろよ。お前の人生はお前の物なんだから」
「あぁ・・・」
俺の人生は俺の物か・・・。
俺はその意味を考えたが、俺の人生は今は父さんに支配されていると自分なりの納得をし、その考えをやめた。
だけど・・・ほんの少しでも願いが許されるなら、このチームと一緒に旅をしたいかな・・・。
少し遅れて小屋に入れば、円堂達が多分だけど綱海が持ってきたカジキを刺身にして食べていた。
「あ、恋姫!お前も食えよ!」
「うん!」
ムーンを見やれば、これは食べられる物なのかと確認していた。
そういやデビルはムーンと違って刺身が大好きだったな、俺はその反対で刺身はあんまり食わないけどね。
俺は刺身を一口食べると、今までの刺身とは違いこの刺身はとてもおいしかった。
いや〜、鮮度が全然違うね。
「小暮君!」
ありゃ、また悪戯かな?俺がそう思っていると、小暮は俺の後ろに隠れた。
春奈は1年生で俺は2年生の為、俺の所に行けば怒られないと踏んだのだろう。
現に春奈は怒りたいけど怒れないと言う顔だ。
「小暮、後で壁山に謝っとけよ」
「は〜い」
俺が軽く叱ると小暮は悪戯の笑みで返事をして自分の席へ戻って行った。
「先輩!小暮君を甘やかしちゃいけませんよ!」
「あはは・・・つい、そう言えば綱海って歳いくつ?」
「俺?15だ!」
へえ〜、15か・・・え!?俺は口に運ぼうとした刺身を落としそうになりながら、もう一度綱海を見た。
そりゃなんか大人じみてるなって思ってたは思ってたけど・・・まさか、俺より1つ上何て!!そうなれば綱海は中学3年生だ、先輩・・・。
それは全員分かったのか円堂達はバッと立ち上がった、おぉ、凄い息が合ったぞ。
続く
第62話南雲晴矢〜皐月視点〜
「あ、えっと・・・すいません!知らなかった・・・もの、ですから・・・年上だったとは、綱海・・・さん!」
うわ、敬語と日本語が固いよ・・・まるでロボットだな、おい。
綱海と言えばそんな堅苦しいのはいい!とめちゃノリで言って来た、いやいや、一応あんたは先輩だから円堂達もかしこまったんだって、それを言う暇もなく円堂も戸惑いながら綱海と握手していた。
「改めてよろしくな、綱海!」
「おう!」
その夜、俺は皆と離れた所で寝ている。
明日・・・明かそう、豪炎寺が見つかり次第絶対に明かそう俺はそう決めた、これ以上コアをマスターランクの恥にさせたくないから、これ以上俺やコアの心が許す前に・・・。
そして、翌日。
俺達は沖縄に着き、俺にとっては最後の場所となる沖縄。
「恋姫・・・」
「どうしたの?吹雪」
「なんか顔が暗いよ?どうしたの?」
「気のせいだよ、豪炎寺が見つかるといいね!」
「うん、僕は初めて会うから楽しみだよ」
吹雪は嬉しそうにそう話した、けど、吹雪とはもう居られない・・・染岡との約束も守れない。
キャラバンはある場所に止まり、皆はぞろぞろとキャラバンを降りていく。
俺も皆の最後にキャラバンを降りると、俺は微かに匂った事のある匂いがした。
誰だろう?そう思ったが、まずは豪炎寺を探す事を優先した。
円堂に俺は手分けして探そうと提案しようと円堂を見れば、円堂は何処かへ行ってしまっていた。
早〜・・・。
「それぞれ手分けして炎のストライカーを探そう!」
「「「「おう!!!!」」」」
と言う事で俺と吹雪と土門は海側の方を探す事になった、暑い〜。
俺は暑い為、いつも着ているパーカーを腰に巻いて探している。
「吹雪、暑くないの?マフラー外したくないのも分かるけど」
「暑いって言えば暑いかな、でも大丈夫だよ」
あんたの周りだけ涼しい風が吹いてると思ったのは俺だけかな?そんな茶番?もやりながら豪炎寺探し。
吹雪と土門が喋っていると、何処からか口笛が聞こえて来た、俺はそんな口笛も気にも留めず豪炎寺を探すがある声によって俺の動きはピタッと止まった。
「そのジャージ、雷門中だろ?」
(この声・・・!!)
「そうだけど・・・」
俺は勢いよく体を起こし、その声の主を見た。
やっぱり・・・何で居るんだよ・・・、今日に限って何で来てるんだよ、晴矢・・・。
その後、まあ、晴矢ことバーンがめっちゃ手加減しながらサッカープレーを吹雪と土門と一応俺にも見せていた。
そして、円堂達に紹介だ!って事になって俺は吹雪と土門の後ろに居る晴矢の所に行く。
勿論、どうしてここに居るか聞くためだ。
「バーン、何で居るんだよ」
「うお、そんな睨むなよ。まあ、用は二つでこっちに来てんだよ」
小声で喋っているとやっと円堂達の所に着いたが、一つツッコミを入れていいかな?割烹着来た男誰だ!?そして何故割烹着ながらこっちに居る!?色んなツッコミをしていたが、俺は晴矢がエイリア学園の奴だってバラさないか心配だ、と言うか・・・こいつプロミネンスの皆に言ってこっちに来てんのか!?それはない、うん、絶対ないって信じよう。
「俺は南雲晴矢、まあ、俺の隣に居る倭国恋姫の従妹だ」
「「「「従妹!????」」」」
そりゃそうっすよね、俺も驚いていますよ。
俺は誰にも見えない様晴矢を殴ってやろうかと考えたが、まあ、やめておいた。
「恋姫ちゃんの従妹なの!?」
「あ・・・あぁ、まあね・・・。後、こいつが炎のストライカーだって」
俺がそう言うと、皆は少しだけショックを受けていた。
皆さんご安心ください、こいつはエイリア学園の奴です、俺と同じ。
そして分かった事、このバカは自分から売り込んできたのだと言う、本当にバカじゃねェのか?お前、エイリア学園裏切る気かよ。
「恋姫ちゃん?怖い顔してるけど、南雲君がどうかしたの?」
「え”!何でもないよ〜。小暮、どうしたんだ?顔を険しくしちゃって」
「あいつ・・・嫌な奴の匂いがする」
正解だよ、小暮・・・。
でもね、俺もその嫌な奴なんだよ・・・。
続く
第63話バーンとグランとそしてコア〜皐月視点〜
「で、いきなりテストっておかしくない?」
「しょうがないわ、彼が言ったんだもの」
俺の言葉に夏未も不服そうな顔をしながら、晴矢を指差して言った。
あいつったら、必殺技を見せないといいけど・・・いや、無理か・・・。
俺は大きな溜息を吐くと、急に晴矢が来たと思ったら急に立たせられた。
「こいつも入れてくれよ、最近一緒にやってねぇんだよ」
(この野郎〜〜〜!)
と言う事で、俺は嫌々晴矢の言うテストに参加した、ゴールキーパーは立向居がやる予定だったが晴矢が円堂の実力=雷門イレブンの実力が見たい為、今回は立向居はベンチへ。
俺も手加減でやるか。
「準備は出来てるか?」
「んなもん最初から出来てるよ!円堂、覚悟しな!それに・・・恋姫、お前もだぜ!」
「へいへい」
俺は適当に返事を返し、晴矢を見据えた。
晴矢は空中戦が得意でボールを空中に投げられたら最後、もう敵なしと言えばいいだろう。
まあ、俺も晴矢と同じように空中戦も得意だ。
そして、笛の音が鳴ると同時に晴矢はすぐにボールを空中に投げる。
「へぇ〜、やるじゃん」
「お前よりはな!」
俺と晴矢が跳んでいる事に驚く雷門の皆、仕方ないよね、うん。
相手が晴矢って分かれば何か手加減したいけど、出来ない。
まあ、ちっとは手加減するけど・・・。
「さっきの言葉訂正させてあげるよ、晴矢。と言っても、俺もこれ以上派手には出来ないけど・・・」
「そうかよ、なら、行かせてもらうぜ!」
たっく、俺が加減した途端調子に乗る所も変わってないな、あいつ・・・。
俺はグラウンドに戻って来ると、すぐに晴矢を追いかけた、これはエイリア学園の実力で言うならば10分の1だ、多分・・・バーンもそれぐらい手加減はしている。
そして、あっという間にバーンはディフェンスも破り、またもや空中に居る。
「紅蓮の炎で焼き尽くしてやるぜ!『アトミックフレア』!!」
やっぱり見せました・・・。
円堂はマジン・ザ・ハンドで対抗するもアトミックフレアは止められず、ゴールに入った。
晴矢は俺の方を向いて、どんなもんだと言う顔をしていた、パワーもスピードも以前に試合した時より上がってる、さすがだな。
俺?俺はと言うと端っこでポツーンと立っている、いや、まあ、バーンが此処でさ俺の正体バラさないか心配なんだよ。
「どうだ?」
「すっげー!さすがだな、南雲!」
「当たり前よ、俺が居れば宇宙人なんていちころだぜ!」
ガゼルに聞かせたらお前・・・一発でノーザンインパクトだぞ。
円堂はバーンをチームに入れる気満々で姉さんにバーンをチームに入れていいかと尋ねていた。
「大きな戦力になる事は認めましょう。でも、この子と恋姫さんに質問よ」
「いいぜ、恋姫もいいだろ?」
「えぇ、監督が言うなら」
「これから戦っていく以上、私には貴方達の身柄を預かって行く責任があります。貴方達は“どこの学校”なの?ッ!」
姉さんの質問に俺とバーンは姉さんを睨みつけた、一番されたくなかった質問をされた。
その重い沈黙を破ったのは、バーンと俺と同じランクであり福岡で試合をした人物だった。
「エイリア学園だよ!」
「ヒロト!」
本当・・・最悪な一日だったな〜、円堂達と過ごす最後の日にこれってさ・・・。
電灯に居るヒロトをバーンは睨みつける、俺はただ大きな溜息を吐いた。
「待て!円堂・・・。どういう事だ、恋姫!お前は・・・エイリア学園なのか!!」
鬼道の言葉と同時にヒロトの肩からヒョコとデビルが現れた、俺は小さな笑みを浮かべデビルに降りるよう指示をすると、デビルは嬉しそうにこちらへ飛んできた。
俺はしっかりキャッチし、デビルをいつもの様に肩を乗せた。
「その猫・・・思い出した!コアが持っていた・・・」
「正解、俺の名前は倭国恋姫じゃない。エイリア学園マスターランク・・・コアだよ」
突然の砂煙に円堂達は顔を隠した、そして、砂煙が晴れると俺はコアになっていた。
続く
第64話コアは悪魔?それとも・・・堕天使?〜皐月視点〜
「まあ、コアは良いとしようかな。それで・・・バーン、雷門イレブンに入って何をしようとしてたんだい?コアなら任務で入って居るのは君も知っているだろう」
グランの声が少し低くなる、うん、ちょっと怒っている証拠だ。
バーンはそれを知ってか知らずか不敵な笑みを浮かべている。
「俺はあんたのお気に入りがどんなのか見に来ただけだし、コアを連れ帰る予定だったんだよ」
「ふ〜ん、まあ俺もその用事で来ただけなんだけど・・・」
グランはそう言うと、持って来ていたエイリアボールをバーンに目掛けて蹴った。
本当二人の喧嘩はあんまり見た事ないけど・・・これはこれで危ない。
だけど、バーンはグランが蹴ったボールを余裕綽々とした態度を取っていた、だけど、すかさず円堂がグランのボールを止めようとするが、それ程俺達も甘くはない。
「ぇ・・・!」
円堂の上を飛び越えたバーンは、ボールを腹で受け止めると砂嵐が巻き起こる。
そこから現れたのは南雲晴矢ではない、プロミネンスのキャプテンであるバーンだ。
「あれは・・・!」
「エイリア学園・・・!!」
「言ったでしょ?南雲晴矢・・・バーンもコアと同じエイリア学園の者、まあ、実力は君達より上だから」
俺はコアのフリをしながら、バーンとグランの蹴り合いを見続ける。
俺が退屈しそうな時にやっとの事で蹴り合いが終わり、バーンは地面にボールを叩き付け俺の方に来た。
「南雲・・・お前・・・」
「俺か?これが本当の俺、バーンってんだ。覚えておきな」
「バーン・・・」
「コアと同じマスターランクでエイリア学園『プロミネンス』のキャプテンだ」
バーンの紹介が終わると、姉さんと皆月の顔が歪む。
いや〜、猫耳付きのフードを着るのは何ヶ月ぶりだ?俺はデビルを撫でながら、円堂達を見る。
皆の顔からチームは一体いくつあるのかと言う顔、まあ、俺を合わせて後4チームぐらいはある。
ダイヤモンドダスト、ガイア、プロミネンス、そしてチームに所属していない俺。
バーンとグランの会話が聞こえるが、俺は聞こえないフリをする。
その時だ、グランが凄い勢いで着地してきた。
「それは得策じゃない、ねえ?コア」
「強い奴を仲間するって奴?まあ、コアは今回バーンの意見に賛成。強い奴なら潰す、コアもそう言う考えだもん」
「じゃあ、今から俺が雷門を潰すって言ったら・・・コア、前みたいにブチ切れるでしょ?」
その言葉を聞いた円堂達はあり得ないと言う顔で俺を見る、めんどくさい事最後にさせないでよ・・・。
余計に雷門から離れたくなくなるじゃん・・・。
「・・・あんた、本気でいい加減にしろよ?これ以上、コアを傷つけりゃガゼル同様俺も許さねぇからな」
「分かってるよ」
「そうだ、お前らに一つ教えといてやるよ。豪炎寺って野郎もな「おしゃべりが過ぎるぞ!」あんたに言われたかねぇな!」
喧嘩になりそうな所を俺は自分のエイリアボールで二人を強制的に帰す、これ以上喧嘩させられたらこっちがたまんないよ。
「ふぅ〜「恋姫・・・」
俺は雷門の方に向き直る。
「うちの連中が失礼したね、それじゃあ」
「ちょっと待てよ!」
塔子に言われ、俺は動こうとした足を止め、また雷門の方を見る。
そんな顔で・・・そんな悲しい顔で見るなよ・・・。
「嘘だろ?恋姫がエイリア学園だなんて・・・」
「嘘じゃないさ、財前塔子。これが俺の本当の姿、今度会う時は敵同士だよ」
早く帰ろう・・・俺はその場を早く立ち去り為、エイリアボールでエイリア学園に帰って行った。
ある言葉を聞きながら・・・。
「貴方は悪魔?それとも・・・堕天使?」
皆月・・・俺は悪魔だよ。
続く
第65話皐月の笑顔は?〜皆月視点〜
やっぱり・・・恋姫さんは、私のお姉ちゃんだった。
霧がやっと晴れると、そこにはお姉ちゃんの姿が無かった。
「まさか、まだチームがあったなんて・・・」
「でも、まさか恋姫がエイリア学園だったなんて・・・」
一之瀬先輩の言葉に周りの皆も暗く沈んだ、それもそうだ、お姉ちゃんは雷門の中じゃあ皆に厳しい事を言って成長させてきた、誰にでも優しくて誰にでも厳しいそんなお姉ちゃんが雷門で見れたから・・・。
「染岡が知ったら・・・」
「あの二人、なんだかんだ言っても仲良かったからね」
でも、あの時去り際に見たお姉ちゃんの顔は悲しそうな顔をしていた、ううんそれだけじゃなかった!お姉ちゃんまだ雷門に居たいって顔もしてた。
本当は・・・お姉ちゃんだって分かってる筈だ、これがいけない事だって、雷門を見て分かった筈だ。
すると、小暮君が口を開く。
「皆は・・・恋姫が悪い奴に見える?」
「当たり前よ!恋姫さんはどんな時でも私達とピンチを一緒にしてきたわ!」
「裏切られたのに?」
「それは・・・」
夏未先輩は言葉を詰まらせる。
「俺さ、バーンって奴の嫌な奴の匂いはしたけど・・・恋姫は違うかった。優しい匂いだった、俺は恋姫なら信じられるって思えるんだ!それに恋姫・・・何か一人で抱え込んでる様に見えたんだ」
〜その頃のエイリア学園(コア視点)〜
やっと帰って来れたけど・・・、コアは今キャプテンしか入れない会議室に居る。
それにしても、この席に座るのは久しぶりだな〜・・・最後いつ座った?と言う記憶もない程久しぶりだ。
まあ、コアにとっちゃこのフードの方が久しぶりだけどね〜。
「で、何でここに集められたの?コア眠いんだけど・・・」
「あはは、コアは相変わらずだね。まあ、そうだね・・・コア、父さんに報告は?」
「まだ、それが?」
「別に、この後プロミネンスとダイヤモンドダストの試合だから一緒に見ない?」
グランから誘うなんて珍しいから鳥肌が立った、まあ、久しぶりにバーンとガゼルの試合が見れるんだから別にいっか。
「いいよ〜、じゃあコアは父さんに報告して来るよ。あ、そう言えば、バーン」
「何だ?」
「あの時何て言おうとしたの?」
「あの時?」
「豪炎寺の野郎がなって所」
コアが言うと、バーンは戸惑いながらすぐに分かるとそう言った。
まあ、いいかコアはそう思って対談室を出る。
〜コアが居なくなった対談室では(作者視点)〜
「それにしても、コアも変わったな」
ガゼルの声にグランとバーンは肩をビクッと動かした、ガゼルはその様子を見て大きな溜息を吐く。
「見て来たんだな、コアの様子を・・・」
「あぁ、雷門じゃあコア・・・皐月は笑ってた。エイリア学園じゃなくて雷門でな」
「あれはさすがに傷ついたかな、まさかエイリア学園の姫君が・・・」
二人はそう言うと、ガゼルは二人には見えない様に顔を背けこう思った。
(コア・・・皐月の心を動かした雷門か・・・。面白い)
続く
第66話殺伐空気〜コア視点〜
「間に合った〜、って!グラン居ないじゃん」
全くグランから誘っておいて居ないってどういう事!?まあ、いいや。
コアは大きな溜息を吐きながらプロミネンスとダイヤモンドダストの試合を眺めた、目の前の光景ではバーンもガゼルもそれぞれ指示を送って、攻めていた。
さすが、キャプテンだとこの時は本当に思うのよね〜。
「あ、プロミネンス1点取った」
これでプロミネンスが先制点取った、ガゼルを見れば凄い悔しそうな顔をしながらチームメイトに声を掛けていた、うわ・・・此処から荒れるんだよな〜この二人の試合って・・・。
そして、案の定前半戦だって言うのに二チームとも凄い殺伐とした雰囲気で試合をしている。
後半戦もこりゃ殺伐戦だね、コアがそう思った時に前半終了の笛が鳴り響く。
得点は3−3、うん、殺伐戦だなこれは。
「お疲れ〜」
「あ、コア様。帰ってたんですね」
「うん、バーンもガゼルもお疲れ〜」
「おう!ってお前いつ居たんだ?」
「ん〜〜〜、二人が殺伐とした雰囲気出す前から」
「言い方が気になるが前半戦は見てたんだな」
そりゃもちろん。
「そういや、ヒート。お前、前半戦の途中から様子おかしかったぞ」
「え”!」
ヒートは驚いたと同時に左足をチラッと見た、そういや皆月も試合の時こうして・・・まさか・・・。
「ヒート、ベンチに座って」
「え!?」
「早く!!」
「はい!」
ベンチに座らせ、ヒートには少し悪いが左足の靴下を取って足を見れば腫れていた。
怪我だね、多分・・・ゴッカからフローズンスティール喰らわされた時か・・・。
「ヒート・・・怪我してるなら、バーンに言えばよかったのに・・・」
「迷惑になると思って」
「言わない方が迷惑になるよ、ヒートは後半このままやりゃ2,3日は真面に動けないね」
バーンにコアはそう言った、ヒートはバーンの指示で後半はベンチで休む事になったが、此処で問題発生。
プロミネンスは後半ヒートが抜ける為10人でやる事になる、それは点をあげてしまうじゃないかと言う話になってプロミネンスはどうするか話していた。
コアはヒートの足の怪我の治療中・・・。
「すいません、なんか騒がせてしまって・・・」
「そう思うなら今後はちゃんと言う事、それにそろそろ後半も始まるし・・・」
ダイヤモンドダストも気を遣っているのか何も言って来ない、多分だけどガゼルが黙らせていると思う。
いつもなら迷惑だとか絶対文句を言っている、さすがガゼルだ。
「おい、コア」
「何?」
「お前って暇だろ?」
暇って言えば暇だ、コアはそう言うとバーンはこう提案した。
「ヒートの代わりにお前出てくれねぇか?」
「は?いやいや、それガゼルやダイヤモンドダストの許可も貰わなきゃいけないじゃん」
「私は構わないが」
早っ!と言う事で、コアはヒートの代わりとしてプロミネンスのMFをする事に・・・。
バーンにはお願いしてフードはこのままにさせて貰った、これって本気でやればいいのかな?コアはそう思いバーンをチラッと見るとバーンもコアの視線に気が付いたのかこう言った。
「加減はいらねぇぞ」
じゃあ思いっきりさせて貰うね!キックオフはプロミネンスから、と言うかその場のノリでデビルも一緒にさせちゃった!そう気づいた時にはコアにパスが回っていた。
しょうがない!このままやろう。
「コア!上がれ!!」
「分かってるって!」
バーンの指示にコアは上がって行く、誰かの指示に従うのは嫌いだけど・・・仕方ないか。
「デビル、ちょっと高く跳ぶよ!」
「にゃ〜!」
続く
第67話久しぶりの感覚〜コア視点〜
「さすが、エイリアの姫君って言われるだけあるな。ディフェンス!」
ガゼルの指示でダイヤモンドダストのディフェンスは動く、コアは着地すると取り囲まれたようになってしまった。
「これで上手くいくとは思って無いよね?『マジックイリュージョン』!」
コアがそう言うと、ボールは三つに増えると偽物の二つはまるで風船みたいにパァンと割れてしまい中から光が溢れる、それに目を覆い隠すディフェンスをコアは抜かし、上がっていたバーンにパスを回す。
「決めてやるぜ!『アトミックフレア』!」
「アイスブロック!くっ・・・うわぁ!!」
ベルガのアイスブロックを破り、ボールはゴールネットに突き刺さった。
「前に見た時より上がってない?」
「まあ、コアの見てねぇ所で練習してんだよ!おっし!もう1点取るぞ!」
バーンの言葉にコアを除いたプロミネンスの子達は返事をした、何だかその様子を見ていたら何故か小さな笑みをが零れる、するとコアが一歩足を踏み出した時グラッと目の前が揺れた。
目眩?そう思ったが、その現象もすぐに無くなりいつも通りの視界に戻った。
「コア、試合が始まらん」
「!ごめん・・・」
そして、試合は再開。
此処からは攻防となり何故だか楽しいとそう思えた、負の感情であるコアはそんな感情絶対に持たないってずっと思っていた感情を・・・。
そして、気づいた時には後半戦は終わった。
終わると同時にふにゃと体の力が抜け、コアはその場に座り込んでしまった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
妙に疲れる・・・何で?コアはそう思った時、今度は視界が真っ赤に染まった。
え?そう思ったが頭から血なんて流れていないし・・・コアは目を数回瞬きすると、司会はいつも通りの色を取り戻した。
「コア様、そこに座り込んでどうしたんですか?」
「え?あ、なんでもな・・・っ!」
ボニトナに言われ、コアは立とうとした時足に力が入らなくなってその場に倒れてしまった。
「コア様!」
「あはは・・・ごめん、ちょっと足に力が入らなくなって・・・」
「そうですか?お手・・・貸しましょうか?」
「ありがとう、ボニトナ」
コアはボニトナの手を借りてベンチに戻る、ベンチに戻って来るなりバーンがコアの今の有様を見て驚いていた、まあ、驚き過ぎて煩かったから1発殴ったけど。
「コア、大丈夫かよ?疲れてんのか?」
「別に・・・。それにしても、今日は楽しかったよ。たっく、それにしてもグランは最後まで来なかったじゃない!」
「また何かの用事だろう、いつもの事だ」
まあそうだけど・・・。
そして、何分かコアはプロミネンスの子達やダイヤモンドダストの子達と話して自室に戻った。
そう言えば・・・アイシーこんな事言ってたっけ・・・。
『コアって変わったね、何だか優しい感じがする』
やっぱり雷門に行ってコアの考えもやり方も性格もすべて変わってしまった、そう思った時チャリとコアのズボンのポケットから聞こえた、その音のした物を取り出すと眼帯。
そう言えば、いつ着けようか迷ってたや・・・。
コアは眼帯を握り締め、自室にある洗い場に向かう、洗い場に着くとコアは手首にあるゴムで髪の毛を右に寄せながら括り、鏡の中に居る自分を見る。
「おかしいの・・・」
コアはそう呟いて眼帯を左目に着ける、不思議とコアには似合っていた。
「デビル、似合うかな?」
「にゃ〜」
「そう・・・嬉しいな!」
決めようかな?コアは雷門に惑わされないって・・・。
続く
第68話4人で試合〜コア視点〜
翌日、コアは髪の毛を括ったり眼帯を着けたりと朝から忙しくなってしまった。
昨日今日で慣れたらコアは本当に天才だと思っちゃうよ、髪の毛を括り終わり眼帯も着け終わるとデビルを連れて部屋を出る。
「あ、おはようございます。コア様」
「おはよう、クリプト。って、どうしたの?目を丸くしちゃって・・・」
「いえ、コア様が髪の毛を括るなんて思わなくて・・・」
「あぁ、眼帯つけるのにちょっと邪魔だったから」
「そうですか、では私は練習に・・・」
クリプトと別れコアはやる事が無くグラウンドに向かう。
本当雷門に居た時はうるさい程で暇さえなかったのに、雷門を離れると暇で暇で仕方がない。
暇で仕方ない為、デビルとグラウンドで遊ぶ事にした、まあグラン達に見つかったらま〜た文句言われそうだけどね。
グラウンドに着くと即に先客がいた。
「あ、コア。おはよう、髪型変えたんだね」
グランに何故か驚いているバーンとガゼル。
「何で朝っぱらからグラン達が居る訳?」
「居て悪いかな?」
「別に、それより今日何であんた達が本当にいる訳?」
「ほら、昔みたいに“4人”でサッカーしたいな〜って」
“4人”と言う所を強調するグランにコアとバーンとガゼルは言った本人であるグランを睨む。
コアはそれに参加するのは却下だ、皐月に交代しようと考えたが・・・出来ない!?コアの頭の上に?マークが出て来る、皐月と会話もできないし何でだろう?そう思って、グランに聞こうと思ったがやめておいた。
「で、チームどうするの?」
「コアも入ってくれるんだ!」
「暇だからね、それにレベルが上がってるあんた達のスペックを確認する事も出来るし」
「コアの口からそんな事が聞けるとはな〜、しゃあね!やるか」
「本当に珍しい事だな、あのコアの口からそんな事が言えるなんて・・・。私もやろう」
この二人が敵チームになったら、本当にサッカーでぶっ潰してやろうかな?コアはそう考えた。
そして、何とも小さい頃にやりそうなじゃんけんでチームを決めることに・・・。
決まったはいいけど、グランとチームなんて納得できないよ。
「何でグランなの?」
「えぇ〜、酷いな。コアと組めて俺は嬉しいよ」
まあ、宣言通りガゼルとバーンをぶっ潰せるならそれもいいかも。
「貴様とやるのか・・・チッ!」
「俺だってあんたとやるなんて負けたみたいなもんじゃねぇか!」
もうこれチームじゃないぞ、この二人は即に喧嘩腰になりながらお互いを睨んでいた。
デビルは・・・クララに渡しとこう、コアはクララにデビルを任せFWのポジションに就く。
「これ、本気でやるの?」
「ん〜〜、コアにとってはスペック確認なら本気は出さないでいいと思うよ。それじゃあ、試合開始」
グランの一言でコアはグランにボールを渡して試合はスタート。
「たっく、負けた試合かよ」
「貴様と組んだ時点でそうなるだろうな、まあ、私は勝つつもりだ」
「んなの俺もだよ!(これ以上・・・コアの泣いてる姿なんて・・・)」
〜ベンチでは〜
「あの4人の試合久しぶりに見た・・・」
クララの声に見ていたプロミネンスとダイヤモンドダストも口喧嘩をしながらも攻防を繰り返している自分達のキャプテンとコアとグランを見た。
「それに・・・コア、皐月があんなに笑ってる姿ってそれさえも久しぶりよ」
「でも、あの眼帯を着けているって事は・・・」
ヒートはその先の事を言わなかった、それは誰もが知っている結末を迎えてしまうからだ。
だが、グラウンドではまるで今自分達は敵ではない昔の頃の仲が良かったあの4人の楽しそうな表情でボールを蹴り合っていた。
続く
第69話久しぶり〜コア視点〜
「おかしいな、すぐに試合が終わると思ったのに・・・」
コアがそう言うと、ガゼルが無言でコアの頬を抓って来た。
痛い!!痛いですって!!コアはバシバシとガゼルを叩くと、ガゼルはやっとのこさ頬を抓るのをやめた。
グランとバーンを見れば、何とか笑うを耐えているのだろう、顔が引き攣っていた。
この野郎・・・。
「笑いたきゃ笑えば?二人にそんな度胸があるなら・・・」
「ご・・・ごめんって、二人のそのやり取り久しぶりに見たから・・・」
「そうそう・・・」
コアはイラッとしたので、近くに居たバーンの頬を抓った。
この野郎・・・バーンからギブアップの声が聞こえるが、コアはさらに強くする。
「痛い痛いって!!悪かったから!!」
「たっく・・・」
「まあまあ、それよりコア知ってる?」
「何が?」
「イプシロンが雷門に挑むんだって」
いや、何故コアに尋ねるんでしょうか?おかしいでしょ。
「あれ?反応が薄いね」
「それはそうでしょ?雷門に正体明かしてるんだし、何より此処に帰って来てる時点で敵だから」
「さすがコア」
褒められてるのかな?コアは首を傾げながら、もしイプシロンが負けた時の事を考えて見る。
もし、イプシロンが負ければ残るはマスターランクであるコア達だ、まあコアは負ける気なんて全然ない。
コアはそっと眼帯に触る、何でだろう?最初は不気味で愛おしいとさえ思わなかったのに・・・今では愛おしくて仕方がない物になってしまった。
「コア?」
「え?何?」
「あ、いや、ボケッとなんか眼帯触ってから」
「ごめんね、そう言えばイプシロンっていつ試合があるの?」
「え?ん〜〜、明日・・・だったかな」
「そう・・・(見に行ってみようかな)」
雷門が勝つかイプシロンが負けるかそれだけを見にだ、まあ、豪炎寺が戻って来なきゃイプシロンの勝ちだけどね・・・。
そして、マスターランクのキャプテンによる試合は引き分けとして終わり、コアは自分の部屋に戻ってベッドに寝転がった、明日・・・行ってみよう。
翌日、コアは雷門に居た頃と同じ服装をしながらエイリアボールで沖縄に向かう。
沖縄に着くと、コアはデビルを肩に乗せながら雷門の居場所聞こうと思った時だった。
『今から大海原中で宇宙人と雷門とのサッカーの試合が始まるぞ〜〜!!』
大海原中・・・此処からそう遠くないわね。
まあ、イプシロンの皆のとこに行った方が早いよね、これ。
コアはそう考えて、誰も来ない路地裏に入りまたエイリアボールでイプシロンの居る大海原中へ向かう。
〜大海原中グラウンド(皆月視点)〜
私達がイプシロンことイプシロン改に試合をしないと言ったその時だ。
上空からイプシロンとは違う真っ黒なエイリアボールがグラウンドに落ちて来た、砂埃に私達は顔を覆い隠した、砂埃が無くなり顔を上げるとそこには見た事ある人物が居た。
「「恋姫!/コア様!」」
「もう〜、デザーム達も酷いな〜。こんな楽しい事、どうしてコアに教えてくれなかったの?それに・・・円堂守率いる雷門イレブン・・・久しぶり!」
お姉ちゃん・・・。
目の前でニコニコと人良さげな笑みを浮かべているお姉ちゃんに私は数歩後ろに下がってしまう。
何故だろう?正体を明かした時のお姉ちゃんと全然雰囲気が違う、なんて言うか・・・怖い。
「あれが恋姫か?」
「正確に言えば、エイリア学園マスターランクのコアだそうだ。流石と言うべきか前と会った時より強さが滲み出ている」
ベンチで綱海先輩と鬼道先輩の話し声が聞こえた。
「なんて言うか・・・怖いですね。一緒に過ごしてきた恋姫先輩の時と全然違います」
「あぁ、でも!この試合で恋姫にサッカーの事を教えてやろうぜ!」
「「「おう!!!」」」
続く
第70話究極奥義〜コア視点〜
「ん〜〜、やっぱりベンチで見るのは最高だね。それにしても・・・負けた姿を晒すなんて・・・」
頭がおかしいのではないか?そう思ったが何も言わない事にした。
雷門の方を見れば、吹雪がFWからのスタートではなかった。
アツヤの事だろうな・・・、でも、コアはもう雷門に惑わされないって決めたんだ。
イプシロンからのキックオフからのスタート、さすがエイリア石の力をフルパワーで使ってるイプシロンだ。
浦辺をあっという間に抜き去って行く。
「前よりスピードも上がっていますよ!」
「メテオシャワー!」
必殺技の威力も・・・コアは大きな溜息を吐いた時、エージェントの姿が目に入った。
エージェント達の目の先には土方と・・・オレンジ色のフードを被った奴・・・。
まあ、それはそれでエージェントの仕事だしコアは気にしないでおこう。
コアがまたグラウンドに目を向けた時には、パワーが上がっているガイアブレイクが打たれていた。
「今です!円堂さん!」
(今・・・?)
「行くぜ、じいちゃん!究極奥義!!」
究極奥義!?完成したのか・・・確か、擬音語ばっかりで思い出せないや。
「正義の鉄拳!!」
円堂の右手と同時に黄色の大きな拳がボールを止めに入る、ガイアブレイクは究極奥義の正義の鉄拳によって点は入らなかった。
ふ〜ん、コアが見てない所で成長はしてるんだ・・・。
隣のベンチを見ると円堂の究極奥義を見て絶賛している、姉さんの顔は小さな笑みが浮かべられていた。
グラウンドではただ一人を除いて、皆の表情もやわらかい。
ただ一人・・・立向居勇気を除いて・・・。
「円堂先輩に負けてられませんね!」
「あぁ」
雷門の皆の勢いも増した、それからの雷門と言えばイプシロンの攻撃を封じた。
でも、デザームにとっての楽しみは・・・吹雪だ、いや正確に言えば吹雪の中に居る吹雪アツヤ。
だって、浦辺のシュートも興味がなさそうにして吹雪に興味を示している。
「気にするな、吹雪。お前は、お前らしいプレーをしろ」
鬼道の言葉に弱々しそうな顔をしている吹雪はお礼を言っていた、結構気に掛けてんだ。
だけど・・・ボールを持って上がると、吹雪の様子は一変した。
「初めからそのつもりさ!!」
コアはこの時に直感的に思った、『吹雪士郎と吹雪アツヤは壊れる』と・・・。
残念だな・・・吹雪と一度試合をしてみたかったのに・・・。
「何だ・・・今のは・・・?」
デザームの顔が変わった、何かを感じ取ったそんな顔・・・。
デザームだけでもいい、吹雪の事を誰か感じ取ってあげて・・・何故そう思ったのかコアには理解不能になってしまった、だけど、助けたいそう思えた。
そして、何回も何回もエターナルブリザードを打つ吹雪の技もデザームはドリルスマッシャーも出さなくなった。
「デザーム・・・、どうしたの?」
「いえ、少し感じたのです。何の感じだったのかは分かりませんが・・・」
コアはデザームの所に行き、そう訊ねた。
あ、審判には一時試合中断にして貰ってだ。
「そう・・・なら、聞くわ。その感じって言うのは覚悟?それともプレッシャー?」
「・・・どちらかと言えば少し難しいですね」
「分かったわ、エイリア学園のコアとして命じます!この試合、吹雪士郎を出さない様にしなさい!」
「「「「はっ!!!!」」」」
コアはイプシロン全員を集めてそう言った、イプシロンの子達は少しばかり驚いたがコアの意図が分かってか跪きそう言った。
吹雪・・・貴方には悪いけど、貴方には此処でゲームセットにさせて貰うね?
続く
第71話崩れてしまった人格〜コア視点〜
コアがベンチに戻ると、試合は再開された。
雷門にボールが渡れば、イプシロンはすぐにボールを奪い、雷門のフィールドに上がって行く。
だけど、シュートをさせまいと雷門も全力で止めに入ってパスを回している。
一人を除いて・・・その一人が・・・アツヤ。
「エターナルブリザード!!」
「ワームホール」
それにデザームもドリルスマッシャーを出さず、アツヤが一度破ったワームホールを出してエターナルブリザードを止めた。
そして、またもやアツヤはイプシロンからボールを奪うとまたエターナルブリザードを打つ体制に入る。
「俺は、完璧にならなきゃいけないんだぁぁぁぁぁぁ!!」
完璧・・・ね・・・、完璧になっても得られない物もあるんだよ?士郎・・・アツヤ・・・。
何度目かのエターナルブリザード、そのエターナルブリザードはデザームがとうとう技を出さずに片手で止めて、氷は砕かれる。
「そんな・・・バカな・・・っ!?」
「楽しみにしていたのに、この程度だったとはな」
デザームはボールを外にだし、吹雪に背中を向け氷のように冷たい目でこう言い放った。
「お前はもう・・・必要ない」
デザームの一言に吹雪の顔がドンドン青ざめていく。
『必要ない?・・・士郎としても』
『アツヤとしても・・・必要ない』
『『じゃあ、俺は/僕は・・・!俺は/僕は・・・・!!なんなんだぁぁぁぁぁぁ!!!』』
ドサッという力の無い音が聞こえた、その音は吹雪が力の無く倒れ込むように落ちて行った音。
吹雪の周りに雷門の皆が集まってくる、デザームの方を見るとデザームはコクッと頷く。
これで吹雪はゲームセットになった、コアはもう一度イプシロンを集めこう言い放った。
「吹雪が居なくなった今がチャンスだ、エイリア学園は敗北は許されない!いいな!!」
「「「「はっ!!!!」」」」
吹雪を見れば、力の無くなった目をして言葉も発せなくなっていた。
まるで人形だ・・・。
姉さんは顔を歪ませながら、吹雪に代わって目金を入れて来た。
終わったね、この試合・・・。
吹雪が居ない雷門イレブンなんてあの時の雷門イレブンと一緒だ、まあ、豪炎寺が戻って来なきゃの話なんだけどね・・・。
「吹雪、お前は此処で見ていてくれ。俺達皆で、お前の分まで戦い抜く!」
円堂がそう言うと、コアと目が合った。
面白い・・・、でも、デザームを楽しませてくれる人って居るのかな?デザームって楽しませる人が居ないと潰しにかかるからね〜。
雷門イレブンを見れば吹雪の事情を知ってか弱音を吐かず勝つ事を目指していた。
それで・・・何人チームを離れたか・・・。
試合は再開され、雷門は吹雪の分まで攻撃をし尚且つ守っていた。
「ガニメデプロトン!」
「正義の鉄拳!!」
円堂が弾き飛ばしたボールはゼル達が拾い、ガイアブレイクを打つ。
それでも円堂は諦めずに止めていた、でも、トラップミスも目立って来ている。
それもそうだ、攻撃よりも守備を優先しているのは何よりも疲労が重なる。
それにこの試合では前線でボールをキープする人物が必要だけど、吹雪はこの通り何も発さない人形のようになっている。
「姉さん、この状況・・・貴方はどう対応する?」
全く・・・何処まで成長できたか見に来たけど、やっぱ吹雪が居ないと何もできないのね。
グラウンドに目を向けるが、全てのシュートはデザームによってすべて止められてしまう。
このまま見ていてもつまらないから・・・久しぶりにデザームを動かしてあげますか。
「デザーム、ポジションチェンジよ」
「分かりました」
「ポジションチェンジだと!」
コアの発言に鬼道の驚いた声が聞こえた。
「審判、デザームとFWになっているゼルをポジションチェンジさせるわ」
此処からが・・・イプシロンの本気だ、見せてあげなよ?君達の強さを・・・。
続く
第72話イプシロンのエースストライカー〜コア視点〜
「試合が止まっている時、審判に交代を告げ尚且つユニフォームの交代をすれば、ルール上は問題じゃない。これ宇宙人のコア達でも分かる事だから。まあ、これは滅多にない事らしいけど・・・」
デザームがFWのユニフォームに着替え終ると、コアの隣に来てゴールに居る円堂を指差して言い放った。
「あの男が居ない今、興味があるのはお前だ」
「俺・・・?」
「宣言する、お前の正義の鉄拳を破るのは・・・この私だ!」
デザームの宣言に円堂は目を見開いた、コアは適当に暴れていいとデザームに言ってベンチに座り、隣のベンチに座っている吹雪を見る、精神は崩れていてまともに話しかけても反応さえ示さないだろう。
あの時の・・・円堂みたいに・・・。
そして、デザームがFWでゼルがGKで試合再開となった。
鬼道がボールを受け取りキープするけどデザームが背後からボールを奪う。
さすが、イプシロンの“エースストライカー”・・・。
「なんてパワーですか!!」
実況さんはこれがゴールキーパーだとは信じられない!って言ってるけど・・・。
「あれ?コアがいつデザームはイプシロンの正ゴールキーパーって言ったっけ?」
そうコアもデザームもイプシロンの皆もそんな事一言も発してもいない。
そして、デザームはあっという間にゴール前。
本当さすがだよ・・・デザーム。
「覚悟はいいか?」
デザームはそう言うと、シュート態勢に入る。
「グングニル!」
「『正義の鉄拳』!ッ!なんてパワーだ・・・!(でも、じいちゃんの究極奥義が負ける訳がない!)」
「ふんっ」
「何!?」
さすがデザームのシュート技、宣言通りデザームは1回で正義の鉄拳を破って見せた。
雷門の顔は信じがたい光景を見て口が半開きだ。
「どう?イプシロンの“エースストライカー”の力」
「エース・・・ストライカー・・・?」
「あれ?コア・・・言ってなかったっけ?デザームの本当のポジションはFWで“エースストライカー”だって・・・」
コアの発言にまたもや雷門は驚きの表情を見せて、デザームを見る。
鉄壁は崩壊した、そこで前半戦終了となった。
「コア様・・・ガゼル様達には此処に来ることは・・・」
「言ってないよ、ただ興味本位で今回は見に来ただけだし・・・。それに面白い事が起きそうな予感がするからね」
「面白い事・・・?マキュア、分かりません」
「それは当然だよ、コアだって分からないもん。まあ、後半は皆の好きなように動きなよ。コアは命令とか出さないからさ」
コアはそう言うと、後半が始まろうとしていた。
デザーム達はすぐにグラウンドに行き、コアは一人エージェントを見ていた。
一体何を企んでいるのか?どうして土方とあのオレンジ色のフードを被った子を見ているのか気になった。
「まあ、後で聞けばいい話か。コアはこの試合を見ておこうかな」
今後マスターランクの敵になるなら・・・尚更ね。
そして、またデザームのシュートがゴールに入り2点目を取った。
「恋姫先輩!こんな事もうやめてください!!」
春奈がコアに向かってそう言う。
「そうだ!こんなサッカーに何の意味がある!!恋姫!!」
鬼道の声も・・・、あぁ、もうやめてよ・・・。
雷門の声がコアの耳の中に入っては頭の中でループして来る、コアは小さく舌打ちをして雷門を見る。
「恋姫?コアはマスターランク、恋姫なんて偽名に決まってるじゃん。デザーム、雷門を片っ端から潰していきなさい!!」
「承知しました」
〜皆月視点〜
「恋姫?コアはマスターランク、恋姫なんて偽名に決まってるじゃん。デザーム、雷門を片っ端から潰していきなさい!!」
お姉ちゃんの声がグラウンドに響く、どうして?お姉ちゃんならこんな事言わない筈なのに・・・。
「恋姫・・・」
「恋姫先輩・・・」
それにどうしてそんな悲しそうな顔でそんな事を言うの・・・?私には、お姉ちゃんが何考えているのか分からないよ・・・。
続く
第73話復活の爆炎・豪炎寺修也〜皐月視点〜
俺が目が覚めた時には周りは暗くて誰も居ない孤独の世界を表している黒い世界だった、あぁ、そうだった。
円堂達に正体を明かしてコアと交代しちゃったんだ、俺が一人ぼんやりとする頭で納得していると何処からか声が聞こえた、その声は悲鳴にも歓声にも近かった。
「何だ?」
俺が呟いた時、光の場所へ行ってみるとその中に映っていたのはボロボロにされていく雷門イレブンの皆に逆にイプシロンは勝ち誇った様な笑みを浮かべていて、FWを見れば治兄さん!!ベンチに目をやれば、吹雪が
力なくそして目に光がなかった。
俺が居ない間に何があったのかは分からない、けど、治兄さん達が居るって事は試合をしているのだ。
吹雪のとこに行ってやりたい、行ってやらなきゃ!そう思ったけど、俺に何ができる?裏切り者と分かった俺に・・・。
『そう、貴方は何もできない』
「誰!?」
『私だよ、私・・・』
「・・・俺?」
その声は聞き飽きてしまった自分の声で自分に言われたと思うと、ただ俺は何もできない奴だと分かった。
そうか・・・だから、誰も守れやしない・・・。
父さんも、ヒロト達も、晴矢達も、風介達も、治兄さん達も、リュウジ達も、姉さん達も、そして雷門の皆も誰も救えないんだ・・・。
それなら一層・・・俺なんて“イラナイ”。
『やっと絶望に堕ちてくれたね、皐月』
「俺は・・・イラナイ、なら、全部、全部壊す・・・」
〜一方グラウンドでは(コア視点)〜
何?心が苦しい・・・!コアは誰にも見えない様に呼吸を整える。
呼吸を整え終わった後、ケータイから連絡が入る。
「はい」
『コア姫様、申し訳ございません!豪炎寺修也を仲間に入れることが失敗しました』
「そう、なら・・・コア達が潰すまでよ」
コアは剣崎にそう言い電話を切る、剣崎が何か言っていたがコアは何も聞かなかった。
それにしても、よくやるよ・・・。
自分達の体を犠牲にしてまで点を入れさせないなんて、まるでジェミニストームと戦った時みたい。
そんな事を続けたせいで雷門はとうとう立ち上がれなくなってしまった、頑張った結果がコレ・・・。
弾いたボールはデザームの元へ転がって行く、これでもう雷門は勝てる確率を失った。
その時だった、コアの耳からこんな声が届いた“円堂!”と・・・。
「(究極奥義は未完成)ライオン・・・子供・・・、そうか!」
円堂は何かヒントを得たのかさっきとおんなじ体制を取る、けど、さっきとは違う気配を感じた。
「(そういう事だったのか、爺ちゃん!究極奥義が未完成って言うのは、完成してないって事じゃない!ライオンの子供が大きくなるように、急遽億奥義も常に進化し続けるって事だ!)うりゃぁぁ!『正義の鉄拳』!」
やっぱり・・・人は進化するのね、技と共に人は成長する。
それが円堂守・・・。
潰し甲斐あるじゃん・・・。
すると、フィールドの外に出たボールをオレンジ色のフードを被った子に行く。
そして、その子はフィールドに入ってきた、まさか・・・此処で来るとは予想だにしなかったよ。
「豪炎寺・・・修也・・・」
表情や顔を確認するのに時間なんていらない、それには雷門も同じでフードを取った瞬間皆分かったのだ。
彼が・・・彼こそが自分達が探していた豪炎寺修也なのだと。
続く
第74話ガゼル登場〜コア視点〜
「今更戻ってくるなんて、コアびっくり」
コアは目金と交代してフィールドに行こうとする豪炎寺にそう言った、豪炎寺は歩めていた足を止め、コアの方を見る、この目は嫌いだ。
何でもかんでも見破られそうで・・・。
「お前は雷門に何も感じなかったのか?」
「は?どういう意味?」
「お前は・・・本当にエイリア学園が正しいと思っているのか?」
豪炎寺はそう言うと、フィールドに入って行った。
そうなんの間違ってるなんて昔から分かっていた、だからって、どうなるの?逆らえって言うの?コアにはそんな事出来ないよ・・・。
皐月を守るならエイリア学園に入るしかなかったんだから・・・。
それに、豪炎寺修也が来た事でこの試合の勝敗は見えてしまった。
この試合は、イプシロンが負けるのだとそうコアは悟った、でもデザームは勝つ様子だった。
「また離れちゃうのね・・・レーゼ達みたいに・・・」
〜ベンチ(作者視点)〜
「夏未さん、秋さん、見てください!恋姫先輩」
「何が・・・ッ!」
夏未と秋は言葉に詰まった、なんとコアは一筋の涙を流していたのだ。
3人は何も言葉を発する事なくコアの涙の意味を理解した、コアはイプシロンが居なくなる事を悟ってしまったのだと・・・。
〜コア視点〜
そして、ゼルのワームホールを豪炎寺修也のパワーアップしたファイヤートルネードによって破られた。
デザームが次に興味を示したのは豪炎寺だった、デザームはGKに戻ると審判に言い、豪園児を指差してこう言った。
「そして、お前を止める!」
ねえ、デザーム・・・ううん治さん。
皐月の事を理解してくれてありがとう、コアは小さく呟いた。
「爆熱ストーム!!」
でも・・・皐月にはもう会えないよ・・・。
だって・・・。
「止める!必ず止める!『ドリルスマッシャー』!!」
この眼帯がコアと皐月を狂気を貰う事なんて最初から分かってたんだもん・・・。
コアがそう思った時、試合終了の笛が鳴り響いた。
姉さん・・・凄いよ、まさか貴方が豪炎寺を救うなんてさ・・・。
「デザーム・・・」
「コア様!申し訳ありません!!」
「いいの、貴方達の試合良かった。それに今まで皐月の事を理解してくれてありがとうね、“治さん”」
「「「「!!!!」」」」
コアがそう言うと、デザームは驚いたような顔をしてコアを見ていた。
すると、円堂がこちらに近寄って来た。
「地球では、試合が終われば敵も味方も関係ない。お前らがやった事は許せないけど、俺はサッカーの楽しさをお前達に分かって欲しいんだ」
円堂・・・。
デザームは少し躊躇ったが円堂の笑顔でデザームもつられて笑顔になり、次は必ず勝つとそう言い握手を交わそうとした時だ。
空からその握手を邪魔させようと降り立った奴が来た、見なくても分かるよ、この光でさ・・・。
「ガゼル・・・」
「ガゼル様!」
そこから現れたのは冷気を纏いながら現れたダイヤモンドダストのキャプテンのガゼルだ。
続く
第75話ダイヤモンドダスト〜コア視点〜
「私はマスターランクチーム『ダイヤモンドダスト』率いるガゼル。君が円堂か・・・、新しい練習相手が見つかった。今回の件で、イプシロンは完全に用済みとなった。それに・・・コア、君もいつまで雷門に未練があるんだい?」
「別に未練なんてないわ、今日はたまたま興味があってこの試合を見てただけ」
コアがそう言うと、ガゼルは目でこっちに来いと訴えて来た。
あ、これガゼルに怒られるパターンだ。
こうなるなら誰かに言って試合を見に行けばよかったよ、コアは一人後悔しながらガゼルの隣に行く。
ガゼルは右手を上げ、イプシロンを見定めると右手を下げた。
水色のボールはイプシロンに向かって飛んでいき、水色の光を発しながらイプシロンはエイリア学園へと瞬間移動をした、コアとガゼルもそれに紛れてエイリア学園に帰って行く。
ガゼルはこう言い残して・・・。
「円堂守、君と戦える日を楽しみにしてるよ」
〜エイリア学園〜
只今、グラン、バーン、ガゼルの三人の文句と説教を同時に聞いている。
わぁ〜やだやだ、コアは半ば聞いてるふりをしながらデビルの背中を撫でていた。
「まあ、いいや。コア、今度から誰かに行って何処かへ行ってよ?」
「は〜い」
グランに言われ、コアは適当に返事を返した。
でも、ジェネシスの称号を得られるチームは1チームだけ。
コアか、グラン率いるガイアか、バーン率いるプロミネンスか、ガゼル率いるダイヤモンドダストかこの中から選ばれる。
だから、これ以上・・・仲間ごっこはしちゃいけない。
〜その頃の雷門では(皆月視点)〜
「恋姫・・・」
「ガゼルはマスターランクと言っていた、つまりコアとは同等のランクだな」
「これで残るチームはジェネシス、プロミネンス、ダイヤモンドダスト。そして・・・」
秋先輩の言葉で雰囲気は暗くなって行く、つまり、コア・・・お姉ちゃんも入って居るのだ。
ヒロト、晴矢、風介、お姉ちゃんの誰かと試合をしなくていけない。
だけど、エイリア学園では敗北は許されないそれを目の前で知らしめられた、治兄ちゃんも・・・緑川と同じように追放されたのだから。
「もし、恋姫と戦う事になった時は・・・」
「その時はお互い敵同士なんだよな・・・」
「でも、ちょい待ち」
「どうしたんですか?浦辺先輩」
「恋姫の顔・・・ごっつい寂しそうな顔してたんや。なんか、誰かに助けてを求める様な顔やったわ」
誰かに助けを求める・・・。
そんな言葉をずっと考えながら、今は夜。
そう言えば親に捨てられた時もお姉ちゃんとこうやって星を眺めては、星座の事や月の事をいっぱい話していた、だから誰よりもお姉ちゃんは星が好きなのだと分かった。
それはサッカーだって同じだった、お姉ちゃんは私よりサッカーはすごく上手くてよく父さんにも褒められていた。
「ロリポップヒップホップ・・・」
この技はお姉ちゃんが私のイメージに合わせて作ってくれたドリブル技だ、だから、お姉ちゃんと試合をする日になったら使うとそう決めた。
私は1人深呼吸をして寝ようとした時だった。
「強さと引き換えに何かを失った気がする・・・」
「そうか・・・」
何か・・・か・・・。
〜エイリア学園(コア視点)〜
「ガゼルってさ〜、円堂と戦うつもりなの?」
会議の途中ふとコアはガゼルに向かってそう言うと、グランとバーンとガゼルの目つきが変わる。
ありゃ・・・これ、言っちゃいけなかったかな?コアは3人を見ながらそう思った。
「あぁ、それがどうしたんだ?」
「別に♪ただ・・・、忠告がてらにさ言っておくけど・・・ガゼル達の試合嫌な予感するよ。先に帰るね〜」
コアはガゼルに向かってそう言い、自室へと帰って行った。
続く
季節編HAPPY HALLOWEEN!〜コア視点〜
「何この服?」
「何って、仮装用の服」
そりゃ見ればわかるって、コアは目の前に押し付けられた服を見る。
うわ・・・この服、露出高くない?肩も見えるし・・・足も見えるよ・・・。
そして、何故コアの部屋が女子の更衣室みたいになってるのかな?コアが大きな溜息を吐いていると、キーブがこっちにやって来た、キーブの服を見れば魔女・・・似合ってる・・・。
元々スタイル良いもんね・・・。
「何・・・ですか・・・?」
「何って、コアも着なきゃ!」
「え?いや?コアは部屋で「ウルビダ〜」う”!」
「何だ?」
「コアの着る服手伝って」
誰も参加するとは言ってないとキーブに言おうとするが、目の前にウルビダが現れて言うにも言えない。
そして、コアは無理矢理仮装を着せられ絶叫しそうなくらい恥ずかしいです・・・今・・・。
ウルビダの仮装?ウルビダの仮装はね・・・ドラキュラ、すっげー似合ってるんだけど。
コアの仮装何て・・・コアの仮装何て・・・。
「終わった〜?」
「えぇ、ちょうど終わったわよ」
「ほら、行くぞ。コア」
もう何も言いません。
〜食堂〜
最悪最悪最悪・・・コアは1人皆と離れた所でそう思っている。
え?コアの仮装?それはね・・・露出度高めのアリスの格好、何か服は黒いけど・・・。
それを見たバーンは何か爆笑されたし・・・、あ、爆笑したバーンはこの後きっちりボニトナ、バーラ、レアンと言う女の子達を敵に回して怒られていた。
「何この服?まあ、デビルも楽しんでるからいいけど・・・」
コアは皆と離れた所でジュースを飲んだ、バーンとガゼルが狼男って言う線はなかったな〜、うん。
グランはウルビダと同じドラキュラ、似合い過ぎでしょ?コアなんて・・・はずかs区手今ここで死んでも構わないんだけどな〜。
「はあ〜「どうしたの?コア様?」ヒート・・・」
「バーンが笑った事なら俺から謝りますよ」
「いいのいいの、元々コアってボーイッシュな服ばっかだったし、バーンが笑うのも無理ないって」
「似合ってますよ?レアンから聞きましたけど、そのイメージってアリスみたいですよ」
だろうね、でも・・・何で服の色は黒なんだ?コアの好きな色だって事はレアン知ってたのかな?いや、黒猫に黒い服着てたら分かるか。
「ヒートは・・・猫?」
「はい、似合ってますか?」
「うん、似合ってるよ。なんて言うか・・・チェシャ猫みたい」
「アリスに出て来きますもんね、それならアリスも一緒に参加しませんか?」
ヒートはそう礼をして、コアに手を差し伸べた。
コアはびっくりしたけど、たまにはこんなパーティーもいいかなと少し思いヒートの手を取る。
「やっとコアも参加する気になったんだっぽね」
「別に!ただまあ・・・こう言うのもいいなって思っただけだし!」
「意地は良くないわ」
雪女の仮装をしているクララに言われて、コアは意地を張ってないと言っておいた。
だいたい誰なのかな?この露出度高い服にしたのは・・・!コアはそう思いながら、皆を見る。
まさか・・・皐月がまた余計な事でも言ったのか!まあ、別にいっか・・・。
コアはそう思い、レアンに渡されたカップケーキを見て一口だけ口に運ぶ。
(あ・・・美味しい・・・)
負の感情のコアがこんな楽しい思いなんてしていいのかな?
続く
季節編HAPPY HALLOWEEN!〜コア視点〜
「トリック・オア・トリート」
急に狼男の仮装をしているガゼルがそんな事を言って来た、?マークが出る。
いやいや急に何だ、そして、なんだその手は・・・。
コアは疑心しながらガゼルと差し出されているガゼルの手を見る。
「何?急に・・・」
「お菓子」
「は?」
「君の耳は悪いのか?お菓子をくれと言ったんだ」
其処は聞き取れてます、コアが知りたいのは何故お菓子をくれと言っているのかだ。
「ごめん、今持ってない」
「そうか・・・なら、悪戯だな」
「悪戯って何するの?」
コアがそう言うと、ガゼルは急に抱き着いてきた。
急な事でコアの思考回路は追いついていない、此処が廊下で本当に良かった、食堂とか皆が居る場所でやったら1ヶ月は絶対ネタにされる。
「悪戯・・・」
「悪戯にしては軽くない?」
「皐月に戻ったな」
「あ、バレた?」
〜皐月視点〜
「と言うか、急に抱き着くな!びっくりするわ!」
俺はアリスみたいな服を着ながらくっ付いてる風介を見る、風介はお菓子をくれるまで離れないと断言した。
あのクララ達を敵に回すのでやめてくれないか?本当に・・・。
「お菓子欲しいの?」
「あぁ・・・、君が作った奴」
「何で知ってんだよ!」
「毎晩毎晩お菓子を作って居ればバレるに決まってるだろう」
風介はそう言うと、俺の服を掴みながらトコトコと歩く。
そう言えば、小さい頃から風介は俺にくっ付いていたっけ?理由を聞けば、離れたくないからと言う理由らしい。
「可愛いな、その仮装」
「バーンと同じなのが気に食わないが」
「いいじゃん、風介も気に入ってんでしょ?」
「うん・・・」
俺に寄りかかって来る風介の頭を撫でてやると、風介は嬉しそうな顔をしてさらに寄りかかって来た。
たっく・・・いつまで経っても風介は風介だな、風介は周りには冷静を装っているが本当は寂しがり屋で俺と居る時だけ甘えたりとしている。
これもその一つだ・・・、まあ、俺にしては別にいいんだけどね。
弟が出来たみたいで妹はいるけど・・・。
「可愛い弟みたい」
「私は君と同い年だ」
「あはは、ごめんって。拗ねんなって」
俺はポンポンと風介の頭を軽く叩く。
ムッとした風介は急に止まったかと思うと、俺の首に顔を埋めて来た。
その瞬間に何かチクッとした痛みがしたが、その痛みもすぐに消えた。
風介は俺から少し離れると急に絆創膏を出すは、俺の首筋に貼って来た。
「急にどうしたんだ?」
「絶対絆創膏を捲るな、いいな?」
「はいはい」
でも、これこそが風介のトリック・オア・トリートかもしれない。
だって・・・絆創膏を貼った理由は風介のキスマークがついているから、それを知るのは風介と俺だけ。
続く
季節編HAPPY HALLOWEEN!〜皐月視点〜
「ハロウィンも大詰めだな、そろそろ」
俺は部屋に籠りながらそう言った、膝を見れば膝の所で丸くなって眠っている魔女の帽子とマントで仮装しているデビルがぐっすりと眠っている。
ふぅ〜、体がクタクタだよ・・・。
俺はデビルを猫用のベッドに置いて、自分もベッドに寝ようとした時だ。
「皐月〜」
「んだよ、ネッパー」
「何やってんだよ?姿がないから探したぜ」
「俺寝る」
「早ッ!」
俺が布団を被ろうとした時、簡単に剥ぎ取られた。
この野郎・・・、俺はジトッとした目を親友である夏彦を見る。
「たっく、まあいいや。俺も疲れたし」
「って言うか何で俺の部屋で寝んだよ、意味分からん」
「減るもんじゃねぇだろ、あ、言い忘れてた」
「何を?」
「ほれ」
夏彦は無愛想な顔をしながら投げ渡して来たのは、板チョコ。
こいつ・・・何でチョコなんか持ってるんだよ?俺が不思議に思っていると、ハロウィンだからかと納得した、だって夏彦がこうやって誰かにあげるのって珍しいんだよな〜。
「あ、美味い」
「太「あ”ぁん?」悪い」
「なら、俺もあげるよ。ハッピーハロウィン」
「お前が言えば寒「何か?」何も」
俺は所々のネッパーの言葉を遮って、ポッキーをやる。
チョコ味ですけどね、本来なら悪戯も仕掛けたいですがねお菓子貰ったからさ。
「そうだ」
「何だよ、今度は」
「時期は早ぇけど、ポッキーゲームしないか?」
「ぶッ!!ふざけんなッ、んな恥ずかしいゲーム誰が!!」
「あ、棄権なら俺の命令に従って貰うからな」
「はあ!?」
ぜってーそれは嫌だ、と言う事で売り言葉に買い言葉で俺は夏彦と時期が早いポッキーゲームをする事に。
後、誰か来るのは嫌だからドアをロックしておく。
「本当にやんのか?」
「今更やめんのかよ「やめねぇよ!」そうこなくっちゃな」
お互い端をかじるとゲームはスタートなのだが、俺は一向に進めてない、いや進められない。
だってさ、あれだよ?夏彦の顔が目の前にあるんだよ?夏彦それを余所にサクサクと言う音共に進んでいる。
顔が目の前に来るとさすがの俺でもびっくりして、ポッキーを離す。
「はい、皐月の負けな」
「あ”!」
「んじゃ、悪戯って訳で・・・」
「な・・・!その服は絶対着ないからな!!」
「さっきポッキーゲームで負けたの誰だっけかな?」
痛い所を衝く夏彦に言い返せない、仕方なく俺は夏彦に手渡された服を見る。
うわ・・・何だこのミニスカートのメイド服、着てみたはいいが凄いスースーする。
「で・・・出来たぞ」
「案外似合ってんな」
「案外は余計!なあ、もう着替えていいか?なんか落ち着かない」
「ん〜、もうちょっと待て!」
「えぇ〜、もう無理ってうわぁ!」
俺の今の現状ですか?夏彦の膝に座っている状況、それもお互い顔が見える。
バンダナで瞳の奥は分からないけど・・・こいつも成長してるんだな〜。
恥ずかしさの余りに俺は夏彦の首に顔を埋める。
「どうしたんだよ?」
「恥ずいんだよ!お前の顔・・・、その・・・真っ直ぐ見てたら」
「ふ〜ん」
夏彦がそう言うと急にまた俺とまた向い合せみたいになってる、もう死にたいんだけど・・・俺。
俺がそう思っている時に、夏彦は俺の耳元で何かを呟き頬にキスを落とした。
『ハッピーハロウィン、皐月』
終わり
第76話忠実なるロボット(コア)〜皆月視点〜
沖縄を離れて稲妻町に向かうキャラバンの中では、お姉ちゃんの話題で沢山だった。
「恋姫先輩、何だか怖かったですね。まるで何もかも捨てたような目もしてました」
春奈ちゃんの言葉に、綱海先輩は確かにと小さく呟いた。
でも、私はそれだけじゃないかった、何だか泣いてる様にも見えた。
そして、やっと稲妻町に着くと円堂先輩は大声で帰って来たぞー!と伝えた。
だけど、此処で問題なのだが綱海先輩をはじめ遠くから来た人もいる。
私はキャラバンの中とかで寝れるけどね、だけど、此処が円堂先輩の良い所でもあるのか皆泊めてやると笑顔で言った。
「皆さん笑顔ですね、?吹雪先輩」
吹雪先輩に話していると、吹雪先輩は何かを感じ取る様に上空を見る。
私も上空を見ようとした時、上から降ってきたボールは水色の閃光を放った、その色は見た事がある。
風介だ・・・。
『雷門イレブンの諸君、我々ダイヤモンドダストはFFスタジアムで待っている。来なければ・・・黒いボールを無作為にこの東京に打ち込む』
(無作為・・・!?)
その言葉を聞いて私の頭の中には黒いボールで東京が滅茶苦茶の姿が浮かぶ。
そして、私達はFFスタジアムに向かった、風介・・・覚悟しててね。
FFスタジアムに着き、私達は姉さんの話を聞いていた。
「相手がどんなチームか、全くの謎よ。どのような攻撃をしてくるか分からない、豪炎寺君、早速だけどFWを任せるわ。死神屋さんはベンチよ」
「「はい!!」」
「豪炎寺君は間違いなくマークされるわ、彼にボールを回す事も大事だけどチャンスがあればどんどんゴールを狙いなさい!」
「「「「はい!!!!」」」」
私は最初ベンチか・・・、まあ、豪炎寺先輩が居れば大丈夫だろう。
私はそう信じる、すると、豪炎寺先輩と目が合いお互い頷き合った。
隣のベンチを見てみるが誰もやって来ない、それには壁山君と目金先輩も話していたが、目金先輩と来たら自分の力に恐れをなしたと胸を張っている、いやいや貴方には多分誰も恐れてませんって。
私が少し呆れていると、あの時と同じ水色の閃光が放たれる。
「フッ」
「「ひぃぃぃぃ!!」」
今更驚く壁山君と目金先輩。
「マスターランクチーム『ダイヤモンドダスト』だ」
冷気を発し、そしてチームの誰もが不敵な笑みを浮かべている。
正直に言えば怖い・・・。
「マスターランク・・・やっぱり、恋姫と同じ・・・」
「君達の言う恋姫はそろそろ居なくなる」
風介の発した言葉に私達は?マークを浮かべる、そろそろ居なくなる?どういう意味なんだろう?それには風介も呆れた様子で私達にこう言った。
「言い方が悪かったようだね、君達が言っている倭国恋姫の人格は無くなると言っている。無くなれば、エイリア学園に忠実になる、“人間の感情”に“人格”を捨てるんだからね」
「ッ!どうして・・・どうして、そんな事が出来るんだ!!恋姫はお前達の仲間じゃないのかよ!!」
「仲間?バカな事を言うな、彼女はジェネシスの称号を争う敵でしかない。まあ、それは良いとしよう。円堂守、君に凍てつく闇の冷たさを教えてあげるよ」
「熱いとか冷たいとかどうでもいい!サッカーで町や学校を壊そうとする奴らを俺は許さない!そして、お前達を倒して恋姫を取り戻す!!」
円堂先輩の言葉にダイヤモンドダストの子達はクスクスと笑う、浦辺先輩は何がおかしいのかと大声で言うとクララが口を開く。
「もし、私達が勝ってもコア様は貴方達の所には戻りませんよ。それはイプシロン戦で証明された筈ですがね・・・」
「そういう事だ、まあ、精々頑張る事だね」
風介達はそう言ってベンチに行ってしまう、だけど、風介は私を見るとキッと私を睨んで試合の準備をし始めた、絶対勝って見せる!私はお姉ちゃんを取り戻す!私は心にそう決めた。
続く
第77話現れた神と舞い降りた白猫の舞姫〜コア視点〜
「ふわぁ〜」
コアは観客席に座りながら大きな欠伸をする、バーンとグランからガゼル達ダイヤモンドダストが雷門と試合をすると聞いて、コアは見に来ている。
白猫の舞姫さんは今回はベンチか・・・、案の定吹雪もベンチだしね。
楽しくなさそうな試合だ・・・、まあ、豪炎寺が入ってるだけでもマシか・・・。
「あれ?コア、来てたんだね」
「コアが居て悪い?グラン」
「いや、デビルは寝てるんだね。最近よく寝るね〜、それにしてもガゼルってばさすがだね。」
「あぁ、早い指示に行動。さすがダイヤモンドダストのキャプテンね」
「けっ」
コアの言葉にグランの隣に居るバーンは機嫌を悪くした、あんたもあんたで良いキャプテンだと思うけどね。
ダイヤモンドダストのスピードや行動に惑わされないのは精々コアか白猫の舞姫となった皆月だけ。
皆月がその異名を隠すのには理由がある、まあ皐月もその異名を隠すにはちゃんとした理由がある。
それは『自分達が猫の力を借りないと何もできない』そう思われない為に、自分達が誰かに勝ちたいと思った時しか使わないと約束した。
「つまらん試合だ」
「バーンに同意」
バーンの言葉にコアも同意だ、だってさ、今の流れはダイヤモンドダスト。
つまらな過ぎて欠伸が出そうだ、出たけど・・・。
「どうかな?見ててよ、円堂の熱さが分かるから」
唯一楽しんでるのはグランだけ、円堂の熱さは雷門の潜入時によく見ていた。
だから、知っている。
だから、つまらないのだ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
「!リカ!!」
悲鳴で我に返り、観客席から立つとゴッカのフローズンスティールで足を押さえているリカが目に入った。
リカの元に行きたいけど、行けない・・・。
自分はエイリア学園の者だと明かしたではないか、今更行ってどんな顔をして会えばいいのだろう。
「それが闇の冷たささ」
ガゼルの吐き捨てるような言い方に何故か無性に腹が立った、謝ればいいのにそう心が言っている。
だけど・・・もう遅いんだよ。
試合に目を向ければ、ガゼルのノーマルシュートを塔子と壁山が止めていたが、二人で止めるので精一杯。
コアと戦っていれば、塔子と壁山は大怪我は間違いない。
そして、ボールは観客席に・・・。
「ぇ・・・!」
だけど、ボールはグラウンドへ戻って行く。
同時に誰かが空から華麗に着地する、その人物にコアは見覚えがあった。
そう、FF決勝戦で雷門の対戦校だったキャプテンだ。
「アフロディ・・・」
雷門の皆は驚きで開いた口が塞がっていなかった、それはそうだ、相手は神のアクア使ってサッカーを汚したのだから。
でも、何だろう?初めて見た時より何故か悪い気配が全然ないし、その反対で誰かの助けになりたいと訴えているように見える。
とりあえず、会話を盗み聞きしますか。
「また会えたね、円堂君」
「・・・何し来たんだ?」
いつになく真剣な円堂、あんな円堂を見るのはコアは初めてだ。
それはそうか、試合は見たけど円堂にとっても見ていた人にとっても良い思いでなんて何一つない。
「戦う為に来たのさ、君達と・・・」
「ッ!!」
円堂はアフロディを睨む、だけど、アフロディの言葉から出たのは驚きの言葉だった。
「・・・君達と共に、奴らを倒す!」
「何っ!?」
まあ、びっくりだ。
コアがもしあの場に居たら理由を聞いてたね、うん。
そして、姉さんは足を負傷したリカを交代してFWにアフロディをそして土門に代わって皆月を入れて来た。
だけど、グラウンドに来た皆月の様子が違った。
「出たね、白猫の舞姫さん」
「何か言った?コア」
「べ〜つに!」
見せてよ、君が成長した実力を・・・。
続く
第78話新たな力〜皆月視点〜
私は覚悟を決めた、風介に私の覚悟を見せてやろう。
だから、ずっと嫌っていた異名を使おう、膝に座っているムーンを肩に乗せて姉さんを見る。
「監督・・・私を出させてください!」
「・・・分かりました」
姉さんは私が何をするか理解したのか頷き、土門先輩と代わった。
「頼むぜ、皆月!」
「はい!」
土門先輩と交代し、グラウンドに入る。
風介達を見れば、睨んでいて今にも文句を言われそうな状況だったけど、私は負けない様にニコッと笑い、自分のポジションに就く。
「皆月、ムーンを乗せて大丈夫なのか?」
「はい!大丈夫ですよ!アフロディ先輩、よろしくお願いします!」
「あぁ」
私はポジションに就き、風介を見る。
風介は前髪を弄りながら、アフロディ先輩に向かってこう言い放つ。
「世宇子中の敗北者か・・・、人間に敗れた神に何が出来る?そして、お前達が出るとはな・・・」
「・・・私達が出て、何か問題でも?」
「いや、君だけは私は許さない。皐月を傷つけた君だけはね・・・」
ガゼルはそう言った、見せてやる!コアはそう決めた。
お姉ちゃんを傷つけたのは確かに私だ、でも、本当にそうなの?私だけがお姉ちゃんを傷つけたの?風介、よく考えてよ。
そして、試合は再開。
上手い具合にパスをカットするけど、皆はパスをアフロディ先輩に渡さない。
「やっぱり・・・まだ・・・」
信じ切れていない・・・、私はムーンと顔を見合わせる。
そして、ダイヤモンドダストのカウンター攻撃で風介のノーマルシュートを円堂先輩はガッチリと止める。
さすが、円堂先輩!私も頑張らくちゃね。
「やるじゃないか。だが、チームはかみ合ってないようだ、崩すのは容易いな」
確かに・・・疑念と言う感情はアフロディ先輩に向いている、だからこそ、パスも回せない。
(お姉ちゃんならこの時どうするだろう・・・)
お姉ちゃんなら、どうしてただろう?そして、私はある事に気が付いた。
私は自分が困った立場になると絶対お姉ちゃんに力を貸して貰っていた、それじゃあダメなんだ。
自分で考えて行動しなくちゃ!私はいつもお姉ちゃんに頼ってた、だから、自分の思い通りのゲームメイクも出来なかった。
そして、遠いぞ!と綱海先輩の声で我に返る。
「やばい!」
私も走るが間に合わない、そして、風介の指示で綱海先輩は囲まれてしまった。
だけど、綱海先輩の行動に雷門の動きは変わる。
「へっ!ちょうどいいぜ、アフロディ!!」
「!・・・行くよ」
やっとパスがアフロディ先輩に回った、私も同時に上がる。
「お手並み・・・拝見だな」
ガゼルの言葉に徹と愛がアフロディ先輩を止めに入る、だけど、此処でアフロディ先輩の技が出る。
「ヘブンズタイム!」
アフロディ先輩のヘブンズタイムで動きが止まる、そして、愛と徹を抜き、また色を取りも出した。
「「キャア!/ウワァ!」」
「堕落したものだ、君を神の座から引きずり下ろした雷門に味方をするとは・・・」
風介が立ち塞がって、アフロディ先輩にそう言う。
アフロディ先輩は気にする様子もなくこう言った。
「引きずり下ろした?違う!彼らが、円堂君達が僕を悪夢から目覚めさせてくれた・・・新たな力をくれた!」
「君は神のアクアがなければ・・・何もできない!」
「そんな物・・・必要ない」
アフロディ先輩は私にパスを回す、そして、風介を抜いたアフロディ先輩に私はまたパスを回す。
そして、新たな力を打つ。
「ゴッドノウズ!」
続く
第79話絶対零度の闇と狂気の赤〜皆月視点〜
「ゴッドノウズ!」
パワーアップをしたゴッドノウズが一角が居るゴールに向かう、これが・・・円堂先輩によって出来た新たな力・・・凄い!私はそのシュートを見て興奮した。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ゴールが決まって、先制点は雷門が取った。
アフロディ先輩はこちらに来ると、ニコッと優しい笑みで微笑み、私も笑みを返す。
「昔は昔!今は今だって訳だ!」
「いいぞ!皆!!このユニフォームを着れば、気持ちは一つ!皆で同じゴールを目指すんだ!!」
「「「「おう!!!!!」」」」
「やるじゃないか、これが雷門と・・・円堂守と戦って得た力だと言うのか・・・。叩き潰してやるよ!」
完全にキレている風介に円堂先輩達は気づいていない、そして試合は再開。
立向居君が上がった時、風介の手が上がる。
「見せてやろう・・・・絶対零度の闇を!!」
「ッ!立向居君、こっちにパス!」
「え!は「フローズンスティール!」うわぁ!!」
パスを回そうとした立向居君に寒太郎がフローズンスティールでボールを奪う、そして超ロングパスで風介に渡る、これはヤバい!私はそう直感した。
風介の技はエイリア学園でどれ程強化されたか・・・私はこの目で瞳子姉さんと見た事がある。
「ノーザンインパクト!!」
「『正義の鉄拳』!くっ・・・うわぁぁぁ!!」
究極奥義が破られた、進化した正義の鉄拳を破ってボールがゴールに突き刺さる。
点は1−1、そこで笛が鳴った。
「この程度とは・・・がっかりだね」
そう吐き捨てる風介はダイヤモンドダストに戻って行った、そして前半は幕を下りる。
〜ベンチ(ガゼル視点)〜
ベンチに戻って来ると、デビルを肩に乗せるコアがニコニコと笑って立っていた。
「機嫌悪そうだね」
「君のせいでね、一体何の用だ?」
「バーンとグランが連れて来いって」
コアの笑顔でグランとバーンに何言われるか予想がついてしまう、私は軽く舌打ちをして案内するように言った、チームの皆は心配するがこれは私の問題だ。
私はコアの後に付いて行くと、壁に凭れているバーンとグランを見つけた。
「互角ってんのは恥ずかしんじゃねぇの?」
壁に凭れて私にそう言い放つバーンに言い返す言葉もない。
「勝てるよね?円堂君に・・・」
グランの言葉とバーンの言葉で私の押し殺していた怒りが湧く。
「私は負けない!あいつにも絶対に・・・!ダイヤモンドダストの名に懸けて!!」
「コアから何か言う事ないの?」
「・・・狂気」
「え?」
「あ、いや、何もないよ!」
コアの慌て様に私とグランとバーンは首を傾げた。
私はベンチに戻ろうとした時、ふとコアを見た時、コアの体に異変が起きたと分かった。
何故分かったかはコアの目は・・・あの金色の瞳じゃなく“赤色の瞳”になろうとしていた。
続く
第78話そう思っているのか?〜コア視点〜
その後、ガゼル達の流れは悪い方向へと流れていく。
「同点になったね」
「このまま終われば、あいつらはジェネシス候補から落ちちまうな」
冗談めいて言ったのかそれとも本気で言ったのか分からないが、バーンはそう言った。
グランもまたそうだねと笑顔で言った、この二人は何とも思ってないの?レーゼ達やデザーム達みたいにガゼル達も追放されると言うのに、それにそろそろレーゼ達の特訓も終わっても良い頃だと思うのに・・・。
コアが大きな溜息を吐いた時、また目の前が真っ赤になった。
(何なのよ、これ・・・!)
コアは何度も瞬きをしてやっと普通の景色が見れた、さっきもガゼル達が話している時に目の前が真っ赤に染まった。
一体なんなんだろう?この眼帯のせいかな?狂気を集めるって言うのはもう分かったけど・・・。
「ダメだ!ペナルティエリア外だぞ!!ハンドになる!!」
鬼道の声でコアはまた試合を見る、ゴールはがら空きだ。
これって・・・どうぞ、点を入れてくださいって言ってる様な気がするんだけどね〜。
ガゼルのノーザンインパクトが徐々に円堂に向かう、これで終わりかコアはそう思って本部に帰ろうとした時だった、目に入った。
何と、あろうことか円堂はヘッドでノーザンインパクトを止めようとしていた。
無理に決まっている・・・コアは今度こそ帰ろうとした時、グランとバーンの驚いた声が聞こえた。
もう一度グラウンドに目を移すと、今度こそコアも驚くような光景が目に入った。
「ガゼルのノーザンインパクトを・・・止めた!?」
コアがそう言ったと同時に笛が鳴り響く、そしてダイヤモンドダストは此処で用済みになる事が確定された。
同点・・・それも2−2のだ。
「グラン、何処行くの?」
「ガゼルの所さ、コアも行く?」
「・・・そうさせてもらうわ」
コアはグランの後に付いて行き、ガゼルの所に行く。
「そこまでだよ、ガゼル」
「ヒロト!それに・・・恋姫」
円堂の言葉に雷門全員もグランからコアに移る。
「恋姫・・・」
「何?前も言ったけど、コアは恋姫って名前じゃ「お前、本当にこのままでいいと思ってんのか?」!」
綱海の言葉に頭を掻いていた手を止める。
「あんたに何が分かる訳?」
「あぁ、分かるさ。あんたがこの方法が間違ってるって思ってる」
「バカ言わないで、そんな事否定しているならコアは自分自身を否定してる」
本心をバラしては終わる、コアの頭の警告音がそう鳴り響く。
「恋姫、あんたホンマに雷門に戻らへんの!?」
「ッ!」
「恋姫先輩!私、恋姫先輩が戻って来るって信じてますよ!小暮君だって!」
やめてよ・・・、コアはそう言おうとした時その場が凍りついた。
後ろを振り向けば、ガゼル、グラン、バーンそしてダイヤモンドダストの皆が雷門を氷より冷たい目で睨んでいた、それには言葉を出し掛けたコアも口を噤む。
「コアを仲間として思う気持ちがあるなら、コアをこれ以上傷つけないでくれるかな?」
「ふざけるなよ!お前らが恋姫を傷つけてるじゃねぇか!!」
土門の怒鳴り声が聞こえる、仲間と思っていてくれている本当は有難うって言ってエイリア学園に帰りたい。
でも、そんな言葉を言えばコアは皐月も救えずに捨てられる。
「それじゃあ、またね。円堂守」
「恋姫・・・!!」
コアは最後にそう言うと、水色のエイリアボールが光り出す。
「円堂守・・・!次こそは必ず、君達を倒す!!」
ガゼルは怒りと悔しさが混じった声でそう言うと、一気にエイリア学園へと帰って来た。
「コア「今は話しかけないで!」分かったよ」
グランの言葉をコアは声を荒あげてそう言った、自分の部屋に戻るけどまだ雷門の皆の声が頭に残る。
こんなコアや皐月を仲間と認めてくれる人が居るのだと何処か嬉しく思えた。
だけど、惑わされないそう決めたから・・・。
コアは気持ちと頭を落ち着かせる為、部屋を出て屋上に向かう。
続く
第79話パスワードと幼い合言葉〜コア視点〜
「ふぅ〜」
屋上に向かう途中だった、コアは大きな溜息をまた零して閉じていた眼を片目を開けた時、エージェントが沢山のご飯をワゴンで運んでる様子が目に入った。
あれ?もう研究者達は帰った筈なのに・・・、コアは不思議に思い気づかれぬようにエージェントの後ろを付いて行く。
やっと止まったかと思った時、何もない壁が開いた。
「嘘っ!いつも通ってるのに・・・」
カモフラージュする程隠したいものって何?エイリア石?いや違う。
それよりもっと隠したい事って何?コアはワゴンに目をやると、22人ぐらいのご飯がワゴンに置いてあったのだ、エイリア学園では11人チーム。
追放されたのはイプシロンにジェミニストームだけ・・・。
まさか・・・コアは嫌な予感がした、そして、やっとエージェントがその場を去るとコアは誰も居ないかを確認してさっきの場所へ行く。
「あった!って!!パスワード!?」
驚きのあまり大きな声が出てしまった、コアは両手で口を塞ぎまわりを確認した。
良かった・・・誰も居ない。
「えっと・・・パスワード・・・パスワード・・・」
色々と打つけど、全部間違った。
こうなったら、皐月の記憶も使ってみよう。
そして、ある記憶が蘇る。
〜お日さま園(皐月(コア)9歳)作者視点〜
「ヒロト〜!」
「あ、皐月!」
サッカーボールを抱える小さい頃の皐月と庭で集まっている小さい頃の緑川、治兄さん、ヒロト、晴矢、風介が居た。
「サッカーしようよ!」
「君、そう言いたいならスカートはやめなよ」
「俺は穿きたくて穿いてる訳じゃない!まあ、別に気にしないけど!」
皐月のあっけらかんとした言葉に5人は呆れた溜息を吐いて、じゃんけんをした。
チームが決まると6人は楽しそうにサッカーボールを奪ったり蹴ったりしていた、この6人のサッカーはお日さま園内でも有名で見ている子達も楽しい気持ちになるのだ。
やっと終わると、皐月は良い事考えた!と大きな声で言った。
「何々?」
「大きくなったら、皆でまたサッカー出来るかな?」
「出来るよ!サッカーが好きならね!」
「緑川の言う通りだな」
「だからね、皆で合言葉決めない?」
皐月の提案に5人は顔を見合わせた。
「合言葉って何するんだよ?」
「サッカーしようぜ!」
「早ッ!」
「早い方が良いよ、ね!どう?」
「ん〜、良いと思うよ!じゃあ、皆の約束!」
ヒロトの手に皆の手が重なった、そして6人は空に向かって叫ぶ。
「「「「「「サッカーしようぜ!!!!!!」」」」」」
そして、この数日後6人はエイリア学園の人間となった
〜回想終了(コア視点)〜
コアはその合言葉の通りパスワードを打つと、ドアは自動に開いた。
「行かなきゃ!」
コアの足はそのドアの向こうへと動く、もし、もしこの合言葉をレーゼかデザームが考えたとすれば二チームは絶対この先に居る。
コアはそう確信した。
そして、階段を降りていくと光はポツポツと点いてるだけだった。
何だろう・・・自室や廊下みたいに近未来的じゃない、此処は何と言うか西洋の牢屋みたいだ。
「大丈夫、確かめるだけだ!」
コアは一人そう納得して階段を降りて行った。
続く
第80話明かされた本当の事実〜コア視点〜
やっと階段の最後の段を降りた、廊下みたいに続く道を歩いていると泣き声らしき声が聞こえた。
コアは急いでその場所へ行くとある所で足を止めた、そのある場所は2つの“牢屋”にデザーム率いるイプシロンとレーゼ率いるジェミニストームが居た。
どうして?特訓部屋に行ったんじゃなかったの!?コアの頭の中が混乱する。
「コア様!!」
「ディアム!これ、どういう事?!」
「それは・・・」
ディアムの顔が曇る。
「そのままの意味さ、コア」
ディアムや牢屋に居るジェミニストームやイプシロンの誰でもない声が響く、声のした方を睨む。
「一体どういう事?!コアはこんなの知らないわ、グラン、バーン、ガゼル!!」
「とうとう見つかっちまったな」
とうとう?その言葉に違和感を持った、まさか・・・こいつら!!ずっと知っててコアに黙っていたの!?コアの考えていた事が分かったのかグランがこう言った。
「コアに教えたルールは嘘が混じってる」
「嘘?」
「そう、本当は負けた者は追放と言う形で閉じ込める。それも永遠にね、まあキャプテン責任って事でデザームとレーゼはそれぞれ特訓を行ったけど」
デザームとレーゼを見ると、二人の顔や足や手には痣が沢山あった。
「どうして・・・どうして、コアには!「父さんに口止めされていたんだ」え?」
「コアがもし此処の本当のルールを知ればエイリア学園を離れていく」
「そんなの決まってるじゃない!」
「だからさ、父さんはガイア、プロミネンス、ダイヤモンドダスト、イプシロン、ジェミニストーム全員に口止めされたんだよ」
グランの言葉がそれを事実だと語っていた、コアが早く気づいていれば・・・!コアに後悔の念が押し寄せて来る、だけどそれと同時にある事が浮かぶ。
もし、コアがジェネシスになればと言う考えが・・・。
「グラン、もし、もしコアがジェネシスになれば今まで追放された子達は解放されるの?」
「コアが望めばね」
グランの目が妖しく光る、このやり方しかない・・・。
コアは牢屋の前でしゃがみ、ディアムとゼルにレーゼとデザームにこう言ってくれと頼んだ。
「コアがジェネシスになるから少しの間待ってて」
コアと入れ違いにダイヤモンドダストの皆が横切った、その前にはガゼルも居た。
そして、分かった・・・。
ガゼルが居たのは此処に入れさせるためなのだと、コアは牢屋に入って行くダイヤモンドダストを見てごめんねと小さく言った、届いたかは分からない。
けど、届いて欲しかった・・・。
「ガゼル達の追放は知らない間に決まっていたの?」
「あぁ、さっき会議でね」
牢屋の部屋から出て壁に模したドアは自動に閉まって行く。
「そう・・・」
「まあ、次は誰が入るのかは父さんしか分からないさ」
淡々と語るグランの話を聞きながら、少し空を見る。
夜空が広がっていた・・・でも、その夜空は雲に覆われていた、まるでコアの今の心の中みたい。
〜ある部屋(作者視点)〜
その部屋では今、総理大臣、瞳子、理事長が居た。
話はどうやらエイリア学園の事だった。
『最近はエイリア学園による中学校の破壊もピタリと止んでいるよ。これも雷門イレブンのおかげだよ』
「ありがとうございます」
瞳子は軽く頭を下げてモニターを見る。
『一方ではこう言う考えも出て来ている。エイリア学園の狙いが、雷門イレブン潰しにあるのではないかと』
「なるほど、侵略の為にも最大の敵となった雷門イレブンを排除しようと動き出した。敵も相当焦っているのかもしれませんな」
『いや、楽観は出来ないぞ。それに・・・それに基山ヒロト、南雲晴矢そして倭国恋姫と言う少年少女の存在だ。』
「実力ある人間を宇宙人によって操られている可能性もありますね、瞳子監督はどう思いますか?」
理事長に聞かれた瞳子は何ともと小さく言った。
すると、財前総理はふとこんな事を言った。
『あの倭国恋姫、そして今雷門イレブンに入って居る死神屋皆月。何処かで見た事がある様な気がするんだが・・・』
続く
第81話ネオジェネシス計画〜作者視点〜
〜国会議事堂(財前総理の部屋)〜
(倭国恋姫・・・そして、死神屋皆月・・・)
財前総理は部屋でコアと皆月の事を調べていた、理事長と瞳子の会話を終わり昨夜からずっと部屋に籠ってその二人の事を調べていた。
机には倭国恋姫の姿をしたコア、そして皆月と肩に乗っているムーンの写真が置かれていた。
「何処か出会っているんだ、あの二人に・・・」
財前総理は机を叩きながら、写真に写っている二人を見た。
そして、写真を手に取り、眉間に皺を寄せた。
〜一方エイリア学園では(コア視点)〜
「これぐらいかな・・・今日の練習は・・・」
コアはサッカーボールを手に取り、今は使っていないダイヤモンドダストのグラウンドを後にする。
さっきガゼルに許可を貰って使っただけなのだが・・・。
自分の部屋を出た時、ふとマスターランクしか使えない会議室のドアが開いていた。
部屋を覗けば、バーンと本来ならば牢屋に居る筈のガゼルが居た。
「聞いたか?ガゼル」
「あぁ、まさかあのお方がジェネシスをガイアに選ぶとはな・・・」
嘘でしょ!?昨日ガゼル達が追放されたばかりなのに・・・!コアは驚いていると、ポンッとサッカーボールが落ちてしまった。
「「!!」」
ヤバイ・・・!!コアはそう思って、その場を離れようとボールを取ろうとした時、扉がまた開く。
「コア!」
逃げようとした時、ガゼルに手を掴まれ、会議室へと強制的に入らされた。
「コア、聞いていたのか?」
「ジェネシスがガイアに選ばれた所だけは」
「絶対認めねぇぇぇぇ!!」
バーンは黒いボールを柱に向かって蹴る、それにコアはビクッとなった。
そして、跳ね返って来たボールをバーンは今度は手で弾き返す。
まあ、バーンは認めたくないのも分かる。
バーンはまだ雷門とも試合した事がない、けど、ジェネシスに選ばれなかった原因は一つだけある。
沖縄の時に勝手に雷門に潜り込もうとした時だと思う、でも、何でコアも候補から落とされたんだろう?全然分からない。
「コア、ガゼル、どうだ?大暴れする気はないか?」
「私と組もうと言うのか?「そんなもんじゃねぇ」?」
「あのグランに思い知らせてやるんだよ、上には上が居るって事をな・・・」
「いい考えじゃない、まあ、コアも雷門と試合したいと思っていたのよ」
「利害が一致したな」
コアとバーンとガゼルは手を重ねてこう言う。
「グランを倒し、ジェネシスの称号を奪い取ってやる!」
「そして、ジェネシス計画に相応しいのは誰かあのお方に示すのだ!」
「雷門イレブンに絶望を・・・そして、ジェネシスの称号を!」
「「「ネオジェネシス計画を・・・此処に発動する!!!」」」
〜帝国学園(皆月視点)〜
私達は帝国学園に来ている、円堂先輩の技メガトン・ヘッドも完成して尚且つ鬼道先輩、土門先輩のデスゾーン2も完成させた。
凄い・・・!凄いよ・・・!私は湧き上がる興奮の熱が治まらなかった。
そして、どうしてデスゾーン2が完成できたかそれは帝国学園のチームカラーは全員の意思統一、雷門はそれぞれの個性のぶつかり合いなのだと言う、あ、これは佐久間先輩が言っていたの。
「凄いですね!アフロディ先輩!先輩?」
私がアフロディ先輩に話を振ると、アフロディ先輩は上空を見ていた。
私も上空を見ようとした時、赤と青の黒いボールがこちらに落ちて来た。
紫色の煙が巻き上がる。
「これは・・・エイリア学園!?」
円堂先輩がそう言った時二つの影が見えた、間違いない・・・晴矢と風介だった。
「バーン!ガゼル!」
「「我らはカオス!!」」
「猛き炎プロミネンス!」
「深淵なる冷気ダイヤモンドダスト!そして・・・」
風介と晴矢が真ん中を退くと、後ろに居たカオスのメンバーも不敵な笑みを浮かべ真ん中を退く。
そして、現れたのは黒い猫耳のフードを纏いそこから見える赤と青のユニフォームそして肩に黒猫を乗せ、口には棒付きのキャンディーを加えた見知った女の子が居た。
続く
第82話決別〜皆月視点〜
「「「「恋姫!/恋姫先輩!恋姫さん!/恋姫ちゃん!」」」」
「狂気を操るエイリアの姫君コアが融合した」
「「「最強のチーム」」」
三人がそう言った、そしてこの場に居る誰もが理解したのだお姉ちゃんと・・・恋姫さんと戦わなければいけないと理解してしまった、知りたくなかった事をお姉ちゃんは私達に教えた。
「我らカオスの挑戦を受けろ!」
「宇宙最強が誰なのか証明しよう!」
「ちょっと待て、コアは宇宙最強じゃないのか?」
鬼道先輩がそう聞くと、お姉ちゃんは数回瞬きをして大笑いし始めた。
「あははは、違うって!もし、コアが宇宙最強になってるなら君達なんて最初から叩き潰してるからね?ねえ?バーン、ガゼル」
「あぁ、全くだぜ」
「まあ、コアの実力を知ればそうはなるだろうけどね。で、どうするんだい?受けるのかい?」
風介の言葉に円堂先輩はお姉ちゃんを一度見たが、すぐに風介と晴矢に受ける!と言い放った。
そして、お姉ちゃんは場所と日時を教えると晴矢と風介そしてカオスのメンバーを率いて去って行った。
カオスが居なくなったが、沈黙が広がる。
「恋姫ってあの時戦ったあの女の子か?」
「あぁ、本当の正体はエイリア学園のマスターランクのコアだ」
「とうとうこの日が来てしまったっすね、俺・・・恋姫先輩と戦いたくないっす」
「それは皆同じや、だけど、受けてしもうたもんはしょうがないやん」
浦辺先輩の言う通りだ、受けてしまった物は仕方ない、この試合でカオスに勝つしかない。
すると、円堂先輩がぽつりと呟いた。
「恋姫がいつもの恋姫と違ってた」
「どういう意味だ、円堂」
「なんて言うか・・・難しいけど、ダイヤモンドダストで会った時のコアはまだ恋姫のままだったんだ。けど今日会った時、いつもの恋姫じゃなかった」
「何か・・・ありそうだな」
鬼道先輩の言葉にお姉ちゃんについて皆は疑問を持った、そろそろお姉ちゃんも本気を出す頃かな?黒猫の舞姫としての実力でこの試合に挑むなら、私は白猫の舞姫になって戦おう。
〜エイリア学園(作者視点)〜
「じゃあ、夜に練習ね。」
「あぁ、グラン達や父さんには言うなよ」
バーンの注意にコアは分かってるってと幼さを残す笑顔で言った、バーンはその笑顔が昔のコアの笑顔と重なり罪悪感が押し寄せた。
「バーンってば、バーン!」
「うわぁ!」
「どうしたの?ボーっとしちゃって」
「え?いや、わりぃ。練習メニュー考えてた!」
「もう、考え過ぎはよくないよ!チームの皆も心配してるんだから」
「おう!(悪い事しちまったのかな?俺達・・・)」
バーンは去って行ったコアの姿を見ながらそう思った、だがこの計画は隠れているウルビダに聞こえていたとはコアもそしてバーンもガゼルも知らなかった。
だけど、彼らは自分達の計画の為にそんな事を調べなかった・・・。
〜またその頃、財前総理は〜
「やはり・・・資料がない・・・」
財前総理は椅子に凭れながら、そう言った。
SPのスミスは少しは休んだ方が良いと勧めるが、財前総理はそれは出来ないと断った。
そして、また体勢を立て直した財前総理はあるニュースの記事を目にした。
「『白猫の舞姫、黒猫の舞姫が消息不明』。!この写真は・・・!?今すぐ死神屋皆月を呼んでくれ!」
スミスにそう言うと、スミスは急いで瞳子に連絡を取った。
そして、その数時間後に皆月がやって来た。
「スミス、席を外してくれ。この子と二人で話がしたい」
「はい!」
スミスは部屋を出ると、財前総理は皆月に目を向ける。
皆月は大きな溜息を吐き、財前総理の机にある記事を見てこう言った。
「知ったんですね、私と恋姫さんが白猫の舞姫で黒猫の舞姫だっていう事を・・・」
「あぁ、一体どういう事なんだ?」
「消息不明にさせたのは私達はその日に決別をしました。お互い赤の他人だと」
続く
第83話スイートドリーム〜皆月視点〜
『君達は一体何者なんだ?』
昨日の財前総理との会話を思い出す、財前総理とは小さい頃に会った事がある。
まあ、色々と容姿も変わっちゃったから相手は私がその時に会った小さい子だとは思っていなかった。
私とおねえちゃんが何者かなんて人間だ、けど、そんな事が言えず時が来たら分かると言った。
そして、今日。
明日にはカオスとの試合がある為、皆で練習をしていた。
「皆月ちゃん!」
「はい!『ホワイトキャット』!」
白い猫がグラウンドを駆け巡り、ゴールに入る。
ホワイトキャットの威力も上がっている、これならきっと蔵人のバーンアウトにも勝てるかもしれない。
「やったじゃん、恋姫!また威力が上がってるよ!」
「はい!」
「だが、相手も技の強化やスピードを上げているだろう。なんせ相手は俺達の技や癖を知り尽くした恋姫が居る」
そうだ、私の技も一度見られてしまっている。
だけど、まだ見られていないシュート技が一つそれが『スイートドリーム』。
意味は甘い夢、お姉ちゃんのナイトメアとは対なる技だ。
「あの、皆さん」
「何だ?」
「皆さんには黙っていたんですが、私、まだ恋姫さんに見られていない技があるんです!」
「それ、本当なんか?でも、なんでわざわざ「嫌いだったんです、自分の技」え?」
「でも、技を隠したまま試合をしたらきっと勝てません!だから、私ずっと隠してた技出そうって思うんです!」
私がそう言うと、豪炎寺先輩はその意気だと言った。
そして、時間は流れて夕方になって練習はやっと終わった、スイートドリームの威力も豪炎寺先輩達のおかげで短時間で上がった。
そして、私は一度行ってみたい場所へ足を進めた。
そこは稲妻町のシンボルである鉄塔の所へ行く、そこにはタイヤを蹴っている豪炎寺先輩と綱海先輩、そして何かを話し込んでいる鬼道先輩と円堂先輩が居た。
「ん?皆月か」
「先輩たち何してるんですか?」
「綱海と豪炎寺は見ての通りだ」
「そうですね、パワー勝負とさっき言ってましたから」
「なあ、皆月、円堂」
「「何ですか?/何だ?」」
「グランの事を・・・どう思う?」
グラン・・・その単語を聞いて、福岡の事を思い出した。
ヒロトは父さんに忠実だ、いや、父さんの実の息子さんに似ている。
だから、ヒロトは自分の居場所を失くさない様に父さんに従っている。
「グラン・・・ヒロトの事か?」
「あぁ」
「どうって・・・分からない」
「私も分かりません」
「そうか・・・「でも!!」ん?」
円堂先輩の方を鬼道先輩と私は見る、円堂先輩はやっぱり分からないとそう言った。
そして、綱海先輩に誘われ私達は日が暮れるまで鉄塔広場に居た。
翌日、カオスとの試合の日・・・。
帝国学園では帝国学園のサッカー部の人達、そして私達しか居ない。
皆はそれぞれウォーミングアップをしている、私もまたウォーミングアップをしていた。
ムーンもね、だって、ムーンも後半から出ることに私は決めているから。
「よしっ!」
「気合十分だね、皆月ちゃん」
「アフロディ先輩、それもそうですよ!今日は全力で行かないと相手はマスターランクですよ?」
「そうだね、それより彼・・・大丈夫かな?」
アフロディ先輩の目線の先には吹雪先輩が居た、私はきっと大丈夫だと信じている。
「大丈夫です!信じましょう、吹雪先輩を!」
「そうだね」
その時だった、上空から黒いボールが落ちて来て紫色の煙が巻き上げる。
煙が晴れるとそこに居たのは、カオスのユニフォームに身を包んでいるお姉ちゃんと晴矢と風介そして茂人達が居た。
続く
第84話短期間のパワーアップ〜皆月視点〜
「おめでたい奴らだ」
「負けると分かっていながらノコノコ現れるとは・・・」
「でも、それが円堂守率いる雷門イレブン。そこだけは褒めてあげるよ」
三人揃っての嫌味発動ですか、だけど、此処で引き下がるつもりなんて円堂先輩達はきっとない。
だからこそ私達は此処に居る、すると、お姉ちゃんは私を見つけるとクスッと笑う。
クスッと笑う時の仕草・・・忘れてなかった、口元に手を当ててそう笑う癖。
「何が・・・おかしいの?」
「いや、久しぶりに白猫の舞姫さんとも戦えるとなると黒猫の舞姫であるコアも嬉しいからね」
白猫の舞姫と黒猫の舞姫と聞いて、鬼道先輩は驚いたように私とおねえちゃんを見る。
黒と白、それは対なる形でそれと同じようにお姉ちゃんは攻撃を私は守備をといつも決めていた。
「白猫の舞姫が・・・皆月!?」
「まあ、そうなるかな。ガゼル達の時は、本気も出していなかった」
お姉ちゃんがそう言うと、ガゼルの顔が歪む。
正解だ・・・。
「これはコアの推測だけど、コアがいつか試合に出る時白猫の舞姫の状態で尚且つ本気モードで行くつもりだった。どうかな?」
「全部当たりですよ、さすがエイリアの姫君ですね」
「こっちも色々と調べてるんだよ、まあ、今回はお互い本気でやろうね。白猫の舞姫さん?」
そう言うお姉ちゃんの瞳は真っ赤に染まった、まるで血を連想させるように・・・。
私とお姉ちゃんの会話が終わると、ガゼルはキッと私を睨みながら円堂先輩も見る。
「円堂守!宇宙最強のチームに受けた事・・・後悔させてやる!!」
「負けるもんか!俺にはこの、地上最強の仲間がいるんだ!」
「皆月!てめぇも覚悟しとくんだな!!」
「受けて立つわ、あんた達こそ覚悟しとくのね!」
「勝負だ!!」
試合が始まる、ダイヤモンドダストとは一度戦った事あるけど・・・プロミネンスは晴矢しかない。
お姉ちゃんは・・・ベンチ!?それは私だけじゃない、円堂先輩達も驚いていた。
てっきりお姉ちゃんは入って居ると思っていたが、お姉ちゃんは真剣の様子でカオスを見ていた。
そこで分かった、お姉ちゃんは司令塔としてベンチに居るのだと。
でも、どうして?そう思ったけど、ふと帝国でのデスゾーン開発時の佐久間先輩の言葉が頭に過る。
『此処から見ていたらよく分かるんだ』
そういう事か・・・。
そして、私は白猫の舞姫の状態で出る。
試合は開始、晴矢と風介を見れば凄い気迫だ・・・。
それ程までに目指したいものって一体・・・。
雷門のキックオフ、私は土門先輩に代わって入って居るから前半戦はデスゾーン2が打てない。
豪炎寺先輩は一之瀬先輩に、一之瀬先輩は塔子先輩にと順番にパスを回していく。
徹が上がって来た、此処で誰もが思っただろう・・・抜けるとそう“抜ける”と。
「お前なんかに取られるかよ!」
「フっ」
お姉ちゃんがニヤッと笑った、そして、それと同時に徹は塔子先輩からボールを奪った。
前は・・・かわせたのに・・・。
「皆月!」
「はい!」
私が立ち塞がるが、徹はそれを難なくとかわした、そして目が合った時徹は不敵に笑って上がって行く。
(一体・・・この短期間で・・・スピードを!?)
壁山先輩が行くもそれをもかわす徹、そして、お姉ちゃんの崩れない不敵な笑み。
まさか・・・技も強化してるんじゃないの!?それじゃあ、今の立向居君には・・・!もし、これが当たっているなら先制点は間違いなくカオスだろう。
(絶対に勝つ!ジェネシスの称号を手に入れる為にも、そして、何よりコア様を・・・皐月を助け出すには!!)
「任せろ!」
徹に向かう綱海先輩、すると、徹はチラッと横を見た。
そこには風介、やっぱり私も止めに入るが相手も分かったのかすぐに風介にパスを回す。
「しまった!あいつ、いつの間に!」
「今度こそ教えてあげよう、凍てつく闇の冷たさを!『ノーザンインパクト』!!」
間に合わない!そして、立向居君のマジン・ザ・ハンドでノーザンインパクトを止めようとするが、やっぱり私の予想が正しかったのか技は強化されていて、ノーザンインパクトがゴールネットを突き刺さる。
こんな短期間で技もスピードも上がる物なのだろうか?お姉ちゃんを見ると、まるでこれは序の口だと言いたそうな顔をしてこっちを見ていた。
続く
第85話実力〜皆月視点〜
「立向居!」「立向居君!」
私と円堂先輩は急いで立向居君の所に駆け付ける、やっぱり・・・技も強化されてる。
多分・・・晴矢のもそして今居るカオスの皆の技も全部が強化されてる筈だ、もし、技の強化やスピードを短期間で出来るとしたらお姉ちゃんの練習に入れた可能性が高い。
「これが我らの力!」
「宇宙最強のチーム、カオスの実力だ!」
二人は私達にそう言い放った、確かに凄いし完璧だ。
だけど、まだ始まったばかりだ!絶対に勝たないと、ジェネシスには勝てない・・・。
そして、点を取りに行く事を私は集中して試合は再開。
「豪炎寺!」
「いけぇ!豪炎寺!」
豪炎寺先輩にボールが渡る、その時だ。
「フッ」
晴矢が不敵に笑った、それと同時にクララと寒太郎に囲まれてしまう。
凄いタイミングの良さ、誰も指示を出してないのに・・・。
豪炎寺先輩はすぐに後ろに居たアフロディ先輩にボールをパスする、アフロディ先輩はすぐに上がるが・・・。
「いかせねぇ!」
夏彦が居た、でも、ヘブンズタイムでならボールは取られない。
「『ヘブンズタイム』!付いて来れるかな・・・?」
そう、誰もが思っただろう・・・。
アフロディ先輩なら突破できたと・・・。
「フッ!」
「!?」
「なッ!!」
「ヘブンズタイムが・・・」
「破れられた!」
一度も破られた事のない言わばアフロディ先輩の唯一無二の技は、夏彦によって簡単に破られてしまった。
アフロディ先輩自身も一体何が起こったのか分からない様子だった。
「ネッパーか・・・、プロミネンスも中々やるじゃないか(いや、皐月の考え・・・と言えばいいか)」
〜ベンチ(コア視点)〜
「さすが、ネッパー。コアの目に狂いはなかったって事だね」
そう、ヘブンズタイムの破り方を教えたのは紛れもなくコアだ。
それは昨日の練習の後だった。
〜昨日の練習〜
「ネッパー!」
「ん?なんですか?」
そう、コアはネッパーの実力を見込んでヘブンズタイムを破る方法を教えようと思った。
「ネッパーって雷門に負けたくないよね?」
「それはそうでしょ、いきなりなんですか?」
「そんなネッパーに教えたい事があるんだけど・・・今日の練習終わったら少し残っててね」
「?はい」
〜回想終了〜
「にゃ〜」
「デビルも出たいの?それもそうか、ムーンが居るんだから・・・」
コアも負けない様にしないと・・・ね・・・。
多分今日でコアの人格は乗っ取られちゃうもん、誰にって?そんなの簡単じゃん。
『狂気』の自分に・・・だよ・・・。
続く
第86話伝わるなら〜皆月視点〜
昔、親に虐待されて挙句の果てには使い物にならないと判断されて捨てられた、だから私はお姉ちゃんしか信じられなかった、父さんやお日さま園の皆や瞳子姉さんに会うまでは・・・。
雷門イレブンに会った時も本当にエイリア学園を倒せるのだろうかと心の何処かで信じてはいなかった。
けど、今は・・・どうだろう?円堂先輩達は諦めず時には降りる人も居た、だけど諦めずにエイリア学園と戦って来て、今はお姉ちゃんと同じランクのマスターランクとさえ戦えている。
(ボールをパスされる時、皆の声が聞こえた。負けたくない!って言う言葉が・・・)
お姉ちゃんにも分かるよね・・・?その気持ち、教えてあげる。
「一之瀬先輩!」
「!皆月」
一之瀬先輩にボールを貰うと、ディフェンスがやって来る。
「ロリポップヒップホップ!」
ボールをリズムよく蹴ると蹴った場所から光の音符が現れてディフェンスに取り囲む。
ディフェンスはその音の煩さに耳を塞いでその場に蹲る。
私はその間にディフェンスを抜く。
「早い!」
激や華を抜いて蔵人が居るゴール前にやって来る。
「行け!皆月!」
「はい!(伝わって!私の思い!)『スイートドリーム』!」
白い蝶がボールを包み込みながらゴールへ向かう、届いて!その一心のシュートだった。
「『バーンアウト』!ぐッ・・・・なんてパワーだ・・・!」
バーンアウトが破れ、ゴールに入ろうとした時、ある人物がまた止めに入った。
「行かせるか!」
「絶対・・・止める!」
「晴矢!風介!」
二人の思い・・・そして、私の思い・・・きっと思う気持ちは絶対に違う。
「いけぇぇぇぇぇぇ!!」
「「ッ!うわあぁぁぁぁ」」
ボールがゴールネットに突き刺さる、私はその場で放心状態になった。
夢だろうか?私は頬を抓って見ると、夢ではない事が分かった。
入った・・・入ったんだ・・・!私は自然に笑顔になった。
「やった!1点取れた!」
「さすがだぜ、皆月!」
「はい!!」
伝わったかな?私の思い・・・。
〜バーン視点〜
「あれが・・・白猫の舞姫の力か・・・」
ガゼルの言葉に俺は皆月を見る、皆月は困った様に円堂守達と笑っていた。
「そのようだな、侮ってたぜ」
だけど、あの時技を止めた時何か聞こえた気がした。
(間違ってる・・・か・・・。んなの、最初から分かってるよ)
そう、エイリア学園が出来た時からずっと・・・分かっていた。
それはガゼルも同じだ、でも・・・もう逆らう勇気はないんだよ。
続く
第87話見える物〜皆月視点〜
「よぉし!皆月が取った1点だ!俺達もどんどん点を入れていくぞ!」
「「「「おう!!!!」」」」
私達は拳を高く突き上げる、何とか私の技で同点まで持ち越せた。
カオスをチラッと見れば信じられない様な顔をしていた、それもそうだ、私があんな怖い顔をしたのは生まれて初めてだと思う、カオス一人一人の瞳でそんな私の顔が分かった。
そして、試合は再開。
流れは雷門に少しずつ傾いている、何処まで傾けるだろか・・・。
そんな時だった。
「選手交代!死神屋皆月から土門飛鳥!」
監督からの交代、これも作戦の内だ。
瞳子姉さんは後半にはお姉ちゃんが出るそう考えて私を後半戦に向けての体力回復を狙っている。
「土門先輩!見せてくださいよ!」
「任しとけ!」
私は土門先輩に代わりベンチに座る、お姉ちゃんは点を決められた事そして私が交代した事には予想外だったのか少し冷や汗が出ていた。
「これが円堂の力・・・、グランをも惹きつけた円堂の力だと言うのか・・・!」
「だが、それも所詮悪足掻き」
その後もプロミネンスのディフェンスやダイヤモンドダストのディフェンスに悉く止められてしまう。
皆の目を見るけど、何も伝わってはなかった。
ただ伝わっていたのは・・・お姉ちゃんだけだった。
試合には出ていないお姉ちゃんだけが伝わった私の思い・・・。
でも、それで良かったのかもしれない・・・。
「それにしても、ボールがカットされますね」
「多分ですけど、円堂先輩がGKの時は超防御型でした。けど、リベロに上がれば・・・」
「GKの時は前線で攻撃したらゴール前がガラ空きだったわ。まさか!」
「それと同じような物です、円堂先輩がリベロとなれば超攻撃型になります。ですけど、それには欠点が一つだけあるんです。それが・・・」
「相手に点を許してしまう・・・」
そう、だから上がろうにも上がれない状況。
鬼道先輩も困ってる様子だった、良い方法が見つからない。
完璧と言う言葉はこの為にあるのか?でも、カオスにも何処か欠点がある筈!私は必死にカオスを見る。
得点差は9点だ、これ以上の失態をカオスは犯す筈がない。
「どうしたら・・・ッ!!」
その時だった、急に皆の声が聞こえた。
『どうして・・・どうして・・・ヒロトだけ!!』
『俺達だってあの人に尽くしたのに・・・!!』
『憎い・・・』『助けて・・・!』
聞こえた・・・カオスの皆の声!そう言えば、お姉ちゃんが昔こんな事を言っていた。
『人の声ってんのはどうにかしたい!そう思う時に俺は聞こえる』
そうか、昔は理解が出来なかった。
だけど・・・今なら出来る・・・。
「皆も苦しかったんだよね・・・」
私はムーンの背中を撫でる、伝わる毛並みの暖かさに私は後半戦誰が相手だろうと全力を叩きこむ事にした、それがカオスの皆の声が少しでも聴けるように・・・。
すると、ふと風介と晴矢とお姉ちゃんの言葉に違和感を持った。
『『『最強のチーム』』』
福岡の時、ヒロトは最強のチームだと私は密かに会って聞いた。
それなら本当におかしい、最強のチームが二つもある筈もない・・・。
「見えたな、この勝負」
「俺達こそが真のジェネシスだ」
真の・・・?まさか、お姉ちゃん達・・・!ヒロトからジェネシスを奪う気なの?じゃあ、あの時ヒロトはどうしてジェネシスと言ったのかな?そんな事を考えていると、カオス全員の足並みを見る。
そう言えば、沖縄で音村先輩が鬼道先輩と私に教えた事がある。
『そこに2ビートが入れば、8ビートになる・・・。面白考え方だ』
『だから、私達の動きも・・・!』
『そう、でもそこに16ビートを加えれば?』
『『右の守りが甘くなる・・・』』
『ビンゴ、簡単な事なのさ。この世はすべてリズムで出来ている』
そうか、簡単に考えれば分かる事じゃない。
続く
第88話仲間割れ〜皆月視点〜
リズムを取る、すると、一つだけ音のずれを見つけた。
「ネッパー!パスだ!」
「・・・ヒート!」
やっぱり、夏彦は昔から頑固だから今もその性格が変わってなかったらと思っていたけど、その性格は営利学園でも変わらなかったらしいね。
パスをお願いした徹も目を丸くしている、何だろうな・・・後半戦が荒れそうな気がする・・・。
そして、また夏彦にボールが回る。
「ネッパー!」
「・・・バーラ!」
これじゃあガゼルはいいとしてダイヤモンドダストの皆が早く気づきそうだ。
その後の夏彦の暴走は続く、プロミネンスの皆も夏彦の暴走に続かなきゃいいけど・・・。
仕舞いには夏彦は横で走っている徹に鼻で笑う始末、あぁ、もう〜これ敵を回してるようなもんじゃん。
いやいやカオスの味方はしないけど・・・これを見たお姉ちゃんの顔が想像出来てしまう。
そーっとお姉ちゃんを見てみれば、眉間に皺が寄っていた。
(後半戦・・・どうなるのかな?)
そして、夏彦が茂人にパスを回すが鬼道先輩がそれを阻止。
来る!デスゾーン2!!私は祈る様に上がる鬼道先輩と円堂先輩と土門先輩を見る。
「デスゾーン?」
「残念だけど、違う!帝国学園が意思統一ならデスゾーン2は個性のぶつかり合い!デスゾーンが足し算なら・・・あのデスゾーン2は・・・掛け算!」
「「「デスゾーン2!!!」」」
私が言ったと同時にデスゾーン2が打たれる。
「『バーンアウト』!ッ!おわぁぁぁぁ!!」
そして、2点目。
私は春奈ちゃんと手を取り合いながら喜んだ、出来た!出来たんだ!!一度味わった興奮が治まらない。
雷門の皆も喜びながら、茫然としているお姉ちゃんを見ていた。
お姉ちゃんは片手を顔に覆い隠すと、クスッと笑い出した。
「フン、たかが1点で雑魚共が調子に乗るなよ」
試合は再開、バーンが一人で上がって行く。
翻弄する動きで鬼道先輩をかわして、誰にも届かない様なジャンプをしてかわした。
「立向居!」
「アトミックフレア!!」
「(此処でゴールをやる訳には行かない・・・!雷門のゴールは・・・俺が、守る!!)『ムゲン・ザ・ハンド』!!」
え?その時に起こった光景に私は開いた口が塞がらなかったが、立向居君の手の中にあるボールで正真正銘のムゲン・ザ・ハンドが出来たのだと物語っていた。
そして、それと同時に前半終了の笛が鳴る。
皆は大喜びしながらこっちに来た、それもそうだ、練習に練習を重ねて来たムゲン・ザ・ハンドが出来たんだから!やってない私も嬉しいほどだ。
「休止符?」
作戦会議中、私と鬼道先輩は同じ考えをしていた。
「あぁ、音村風に言えばな」
「さすが鬼道先輩ですね!さて、皆さんまずあのミッドフィルだーを」
私が言うと、皆は靴紐を結び直している夏彦を見る。
「どんな完璧にも穴があると言う物だ、あのミッドフィルだーはダイヤモンドダストを完全に無視している。プロミネンスだけで勝てる所を見せたいんだろう」
「大量得点で欲が出て来たって事ね」
「はい、ですから簡単に言えばネッパーを中心にして攻めれば、カオスに逆転できる可能性が高いです」
「ただ俺達より早く気づいた奴もカオスにいる」
そう、お姉ちゃんだ。
お姉ちゃんは何かカオスの皆に話してる様子だった、会話の内容は聞き取れていなかったけど、晴矢の俺達が大丈夫じゃない!と少し涙声の怒声が響いた。
お姉ちゃんは笑顔で大丈夫だと言っているが、反面悲しそうな顔をしていたが、私達を見ると私達の前まで来て円堂先輩を指差してこう言った。
「後半戦、コア一人だけ出る!あんた達なんかに・・・絶対に負けない!“禁断の技”を使っても!!」
お姉ちゃんはそう言って踵を返してカオスの所へと戻って行った。
続く
第89話見てしまった物〜コア視点〜
「お疲れ様」
ベンチに戻って来たカオスの皆にコアはそう言う、まさかデスゾーン2やムゲン・ザ・ハンドそれにスイートドリームが来るとは予想が出来なかった。
考え直すか・・・。
「次の作戦はどうする?」
「そうね・・・、まずあの三つの技ね」
「デスゾーン2とムゲン・ザ・ハンドとスイートドリームか・・・。その二つは良いとしてムゲン・ザ・ハンドも警戒しなくちゃいけないのか?」
「えぇ、まずムゲン・ザ・ハンドが最初から出来ていたらガゼルのノーザンインパクトやノーマルシュートも最初に止められてた。だけど、何かヒントを得たのかバーンのアトミックフレアを止めた、警戒は充分にしないと・・・。?どうしたの」
ふと皆の顔を見れば、何故か全員が真っ青な顔になっている。
コア・・・何か悪い事言った?いやいや言って無い、今回は言って無い筈だ。
コアは?マークを出しながらさっきの言葉を思い返していると、やっと我に返ったバーンが何もないと言ったのだ。
真っ青な顔されて、何もないわけがない。
コアはそう思った。
「本当?」
「!」
「狂気の事なら、心配しないで。そもそもこの眼帯が狂気を集める物だって事も・・・」
そうだ。
「バーン、ガゼル、頼みがある」
「「??」」
後半戦・・・本気、見せちゃおうかな?コアはそう思いながらその頼みの内容を二人に話した。
「おま!それ本気なのか!!」
「じゃないと、言わないし。それに大丈夫だよ!」
「俺達が大丈夫じゃねぇんだよ!!」
コアは何度も大丈夫だと言うと、雷門の方に行ってこう言った。
「後半戦、コア一人だけ出る!あんた達なんかに・・・絶対に負けない!“禁断の技”を使っても!!」
そう禁断の技を使っても・・・雷門に勝たなきゃ、コアはレーゼやデザームやそれに・・・カオスの皆やダイヤモンドダストの皆、プロミネンスの皆を助けられない。
そして、後半戦が始まろうとしていた。
「デビル、おいで」
「にゃ〜」
コアはデビルを呼び、グラウンドへ向かう。
ふとバーン達の顔を見ると心配そうな顔をしていた、それもそうだよね。
あんな頼み・・・聞きたくなかったよね。
『禁断の技を使わせてほしい』
って・・・。
〜グラウンド(皆月視点)〜
「宣言通り、1人でやるつもりか」
「コアが嘘つきとでも?コアは自分で言った事は実行する。例え、体が壊れても・・・」
お姉ちゃんはそう言って、ニヤリと不敵に笑った。
さあ、波乱の後半戦が始まる。
続く