ごめん、工藤君。私は心の中で呟いた。
もうとっくにアポトシキンの解読薬何て、完成している。
だけど、私はこの関係が、貴方に頼られるのが、心地よくて
彼に解読薬を渡せずにいる。本当は完成したらすぐ渡すつもりだったのよ、と自分の心に言い訳をしている。
「おーい、灰原!居るか?」
突然、彼の声が聞こえた。時計を見れば学校の時間になったようだ。「今行く。」 私は素っ気なく答えた。
「いつもは遅刻しねぇのに珍しいな。」
彼は怪訝そうに私を見た。
「灰原さん、おはよーございます!」
円谷君の声。
続いて小嶋君の声。
「はよ〜!灰原!」
最後に歩美ちゃんの声。
「おはよー、哀ちゃん!」
私はおはよ、と答えた。
彼らは何か話していたみたいだけど、私は上の空。
今日の朝に見た組織の頃の私の夢。
組織の目から逃れる為にひたすら走る私。
組織の幹部に拳銃を突きつけられる所で夢から覚めた。
「聞いてる?哀ちゃん。さっきからボーっとしてるけど・・・。大丈夫?」
歩美ちゃんが私の顔を心配そうに見つめる。
「ごめんなさいね、聞いてなかったわ。」
私は正直に言う。
「だから、仮面ヤイバー展に行くんですよ、皆で!」
円谷君が答える。
「灰原も行くだろ?コナンも行くしよ。」
小嶋君が私に聞く。
「俺はその隣の"シャーロックホームズ展"の方が興味あるけどな。」そう言いながら、ハハッと笑う江戸川君。
「すぐ隣なんだから行けるんじゃない?」私は言う。
「て、事は哀ちゃんも行けるの!?」歩美ちゃんは聞く。
「ええ。誰かさんを見張っておかないといけないし。」
私は江戸川君の方をジロリと見て言う。
「んだよ灰原。」口をとがらせ、彼は言う。
「でも良かったですね、皆で行ける事になって!」
満足気に円谷君は言う。
「じゃーコナン、博士に言っといてくれよ。博士、すぐ忘れちまうからよー。」小嶋君が念を押す。
「わぁってるよ」江戸川君が答える。
「明日、楽しみだね、哀ちゃん!」ニコッと笑って歩美ちゃんが言う。私は楽しげな皆を見てフッと笑う。
次の日。
「横浜の赤レンガ倉庫、って所にあるんだろ。」
小嶋君が言う。
「ああ。ホームズ展、楽しみだな。」
彼はワクワクした様子で言う。
「貴方は本当にホームズが好きね。」
私は呆れた様に言う。
「何も事件起きなきゃ、良いんじゃがな〜。」
博士がハンドルを握りながら言う。
「え?事件?」歩美ちゃんが聞き返す。
「ああ。最近赤レンガ倉庫の近くで爆破事件が起きたみてーだからな。」江戸川君が答える。
私は昨日の事を思い出した。組織時代の私。
組織の幹部に拳銃を突きつけられ、「お前の存在理由などない。」 何て、言われている私。今もあるのだろうか。
もし、江戸川君に解読薬を渡してしまったら、彼は私から離れていくだろう。それが恐くて解読薬を渡せずにいる。
もう慣れてしまった、無邪気な子供の演技。
「おい、聞いてたか。灰原?」小嶋君が言って、我に返る。
「 大丈夫か、灰原。昨日からおかしいぞ。」心配そうに江戸川君が言う。「大丈夫、ただ考え事していただけだから」
私は答える。
「仮面ヤイバー展、楽しかったですね!」
「おう、色々体験スペースとかあったしな。」
皆は仮面ヤイバー展を楽しんだみたいだった。
…誰かさんを除いて。
彼はシャーロックホームズ展に博士と行ったっきり、帰る時間まで仮面ヤイバー展の方に顔を出さなかった。
*その夜*
私は夢を見ない様に睡眠薬を飲んで寝た。
夢を見ない事を願っていたのに、夢を見てしまった。
*夢*
「灰原、解読薬もう出来てるんだろ。隠してたのは知ってるんだよ!」
「違うわ!隠したくて隠してた訳じゃ……。」
「早く、渡してくれ」
私は解読薬を渡した。
「じゃあな、灰原!」
ニコッと笑う彼の隣には蘭さんが居る。
「工藤君、待って!工藤くーーん!」
自分の叫び声で目が覚めた。
真夏ちゃん一人ですか?入ーれて^
自己紹介するね
新崎 月菜 (しんざき るな)
北海道に住んでいます
彼氏も一応いるよ^^
9歳
(4年生)
>>6一人だったので、来てくれて嬉しいです♪
良ければ、私がこのスレで書いてる小説のコメントくれると、
嬉しいです。
「はぁ、はぁ!」
夢、だったのね。
でもいつか、正夢になる。そんな気がするわ。
「おーい、灰原!」
工藤君が呼んでる。
「お前、大丈夫か?顔色悪いぞ?」
工藤君が私の顔を覗き込む。
「別に。大丈夫よ!心配しないで」
「ならいいけど」
すると、どこから出てきたのか少年探偵団の皆が言う。
「灰原、お前うな重独りじめして腹壊したんじゃねぇの?」
と、小嶋君。
「そんな訳無いじゃないですか!?灰原さん、大丈夫ですか?」
と、円谷君。
「もしかして、昨日疲れたんじゃない?哀ちゃん、皆の荷物とか持ってくれたし。」
歩美ちゃんも言う。
「そうかもね。皆、心配してくれてありがと。」
私はニコッと笑ってみせる。
「なぁ、灰原。今日オレに渡したい物ってなんだ?」
そう。私は今日彼に解毒薬を渡す事にした。
今日を逃がすと、もう二度と渡せない気がするから。
だから、渡す事にしたの。
「江戸川君!」
私は勇気を出して、話しかける。
「うん?何だ、灰原」
「ずっと、渡さなきゃって思ってた。でも、渡せなかったの。許して、江戸川君。」
私はそう言って、渡そうとした。その手が震えてる。
「これ!受け取って!」
ついに私は彼に渡した。
「もしかして、これって…?」
彼はその箱を覗き込む。
「そうよ、これは解毒薬よ」
私は涙を一粒落としながら、渡す。
「1つしかないんだから、ありがたく受け取りなさい。」
私は涙をこらえながら彼に言う。
「オレは受け取れない。お前、いつか言っただろ。運命から逃げるなって。オレ、逃げない事にしたんだ。オレはこの姿で生きていく。そう、決めた。」
江戸川君はそう言って、箱を私に返した。
いい話ですね。
11:&◆7. hoge:2018/01/08(月) 21:45 ID:FWIまた、書いてください!
12:真夏ちゃん:2018/01/09(火) 20:12 ID:hxo>>10-11ありがとうございます!こんな話が良いとかリクエストはありますか?
13:真夏ちゃん:2018/01/22(月) 20:15 ID:D9Y 見てるか分かりませんが上げます。
罪 の蘭編です
ごめんね…。コナン君…ううん、新一。
わたしはコナン君=新一って事も、お父さんの推理が新一の物って事も知っている。
だけど、知らないフリをしてるの。
博士の家に言ったと言うコナン君が帰ってきた。
「ただいまー蘭ねぇちゃん。」
そう言って新一が帰ってきた、わたしは自分の考えてる事が悟られない様に
「お帰り!今夕飯作るね」
と答えた。
「今日の夕飯なぁに?」新一が無邪気に聞いてくる。
何だかそんな"コナン君"に騙されてしまいそう。
「今日はカレーよ。早く手洗って、お風呂入っちゃってね。」
「はーい」そんな会話だけ聞くとごく普通の家庭みたいだ。
「ハァー」わたしは、溜め息を付いてボーッとしてしまう。
「おい、蘭。カレー、もう煮えてるぞ?」
お父さんに注意されてしまう。
「あ、ゴメン!今火、止めるね…。」
"コナン君"がお風呂から上がって来た。
「蘭ねぇちゃん。夕飯出来た?」
新一が聞くのでわたしは答えた。
「うん。今出来たわ。ホラ、お父さんも煙草吸ってないでこっち来てよ。」
「おー。なぁ、蘭。何かあったのか?蘭がボーッとする何て珍しいじゃねぇか。」
わたしはお父さんに心配されてしまう。しっかりしないと!"コナン君"にわたしの気持ちがバレたら大変な事になる。
「ううん、大丈夫。平気よ? さぁ!食べるわよー!いただきます。」
>>15はわたしです。
わたしは平気なフリをする。そうしないと着が滅入ってしまいそうだから。
*夜*
「会いたいよ…新一…!」
会える訳無いけどなのに呟く。"コナン君"としてじゃなく、
"工藤新一"としてわたしを見て欲しい。
それはわたしのワガママ?
そんな時、わたしのケータイが鳴った。
「誰だろ…こんな遅くに…」
それは新一だった。
「もしもし、新一?どうしたの、こんな遅くに…」
『よう!蘭、久しぶりだな!こんな遅くに悪いな。ちょっとオメェの声が聴きたくなってな。』
いつもわたしの声聴いてる癖に。新一同様、"コナン君"に話す内容も、言葉遣いも違う。"コナン君"としてじゃなく、"工藤新一"としてわたしに電話してくれた。でも、寂しいのは変わらない。
「元気…な訳無いじゃない!新一が居ないんだから!バカ、バカ!新一のバカ‼どこで何やってんのよ?早く、早く帰って来てよ…わたしだって寂しいの!」
つい、興奮して気が高ぶって涙声になる。これじゃ、新一に心配されちゃうよ。それにどこに居るかは分かってる。近くに居る様で遠くて、どこに居るのか分からない。"コナン君"が本当の新一なのか、"工藤新一"としてわたしに接する新一が本当の新一なのか。もう、もう分かんないよ…
『悪いな、蘭。まだ帰れそうに無いんだ。待っててくれよ?って、オメェ泣いてんのか?バーロ、オレの為に泣くんじゃねぇよ。蘭に泣かれるとオレが困るんだよ。前にも言ったけどな。』
そう新一に言われた。案の定、新一に心配されてしまった。
「な、泣いて無いわよ!いっつも、いっつも帰れそうに無いって言ってばっかりでさ!わたしはこんなに心配してるのにっ!もう待ってらんないよ。新一…帰ってきて!」
つい、言ってしまった。帰れないのは分かってるのに。"コナン君"に新一はなっているのに。もう、どうすれば良いの?
『しゃーねぇだろ?厄介な難事件抱えてんだからよ。』
また出た。新一いや、"コナン君"の言い訳。
「もう、言い訳何か聴きたくないよ!厄介な難事件、厄介な難事件ってそればっか!もう、切るね。」
わたしはこれ以上言い訳を聴きたく無くて、電話を切ってしまった。
*その頃のコナン*
「ったく、蘭の奴勝手に電話切りやがって。」
もう少し、もう少し待っててくれ。いつか、蘭、お前にちゃんと正体を明かすから。その時までもう少しだけ待っててくれ。
わたし、つい新一に本音を言っちゃった。
ごめんね、新一。もう困らせないから…。
*次の日*
今日は学校だ。
「コナン君、車に気をつけて学校に行くのよ。」
本当の子供に言う様に、わたしは言う。
(そろそろわたしも学校に行かなきゃ)
わたしも家を出て、学校へ向かった。
「らーん!おはよー!」
園子が元気良く話しかけて来た。いつに無くゴキゲンだ。
「あ、園子!おはよう!どうしたの?随分ゴキゲンじゃない?」
わたしは聞いてみる。
「あ、気づいた?あたし、実は今週末に真さんと会える事になったのよ〜♪」
どうりでゴキゲンな訳ね。
「へぇー良かったじゃない!本当、園子は良いよね。好きな人とすぐ会えて。よく、手紙や 電話でやり取りしてるんでしょ?わたしなんて、新一に会いたくても会えないのに」
つい、園子にイヤミみたいに言ってしまう。
「蘭…。どうしたの?新一君と何かあったの?」