「あーあ、やってらんね〜」
閉店から二時間、終電に駆け込んだアタシはガラガラの車内で一人うなだれた。揺れるつり革を眺めて、容赦なくやって来る明日のことを考える。
表参道の大手サロンに就職して一ヶ月。思い描いていた理想と現実の落差に疲れていた。
アタシはもっとこう……お客様とわいわい談笑しながらヘアセットしたりSNSでカリスマ美容師としてバズっちゃったり、時には芸能人なんか来ちゃったりなんてキラキラした仕事を想像していた。
現実は結構地味なものだ。シャンプーを任せて貰えたら良い方で、掃除や受付なんかの雑用で終わる日がほとんど。下積みが大切なのは分かってるけど、締め作業が終わった後の練習時間の残業代は出ないのはキツすぎる。もうやる気が起きない。
「うわ……ひっど……」
ふと取り出したスマホ画面に、やつれた自分の姿が反射していた。
ラプンツェルを目指していたはずの髪はショートになって、干し草みたいにごわついている。朝の数十分でセットした髪は四方に跳ねていた。
今日もオーナーにみっともない、なんて言われたけど、朝早く夜遅いアタシはロングヘアなんて魔物を相手にする気力はなくて、気が付けば数年かけて腰下まで伸ばしていた髪を肩までばっさり切ってしまっていた。また憧れのラプンツェルから遠くなった。
芽がどうこうって時代に何をと思うが
下のスレが書き込めぬ!
君たち今日は学校休みなのかね?
真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ
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