じわり夏めく
足元のくっきりした木漏れ日
じわり夏めく
日焼け止めを塗るようになる朝
じわり夏めく
肺に広がる夏のそよ風
じわり夏めく
腕まくりをするあなたの手首がみえる
じわり夏めく
夏めいてゆく
闇夜を照らす
あなたの微笑み
その輝きを閉じ込めた幾億の宙が
今夜もあなたのためだけに歌う
星々の瞬き 交響曲
それらを指揮するのは私
あなたという光に導かれて
無粋に彷徨う陽光は
やがて喪われるのでしょう
白夜の微睡み
永遠の彼方
繰り返す音色に身を委ねて
朝の来ない儘
夜に囚われた惑星で
いつまでも
あなたを歌っていられたなら
狂える綺羅星の煌めきに
網膜を焼かれた者同士ならば
あなたの創る私の旋律が
この宇宙の全てを彩る
目が覚めるといつもと違う景色に身震いした。
部屋の壁が真っ黒、カーテンも真っ黒、薄ら寒い。
意識は少しぼやけている。
恐怖を感じて急いでベッドから起きようとするも起き上がれない。
そこでようやく意識がぱっとしてきた。
ベッドに拘束されていたのだった。
経緯をゆっくり思い出そうとして目を閉じた。
やっぱりだったんだ。
激しく暴動起こして叫んだり奇行を繰り返したことから薬を打たれて眠らされて拘束されたんだ。
明るい外の世界から遮断された。
未来が一瞬で消された。
この真っ暗な部屋に。
それならそうと人生に諦めがついたことも悟れる。
そんな無力な自分が今ここにいる。
Black Room