>>92
「御恩ねえ……あ、それじゃあ」
(少々苦笑気味に言うが、これは良い機会だと思いジャケットから写真を数枚取り出して相手に見せる。それぞれの写真には幼稚園から中学校までの兄の姿が写っている。)
「この写真に写っている人見たことない?……俺の兄さんなんだ。」
(写真をじっくりと確認するが、自分が覚えいる範囲での記憶には無かった。)
…見覚え御座いませんね。
申し訳ありません。自分から御恩を返すと言っておきながら…
(無力感を感じ、無意識に糖を生み出してしまう。その糖は砂の様にさらさらと服の袖口から流れ出る。)
見掛けましたら、お伝え致します。
(袖から糖が零れている事に気づくと、焦って袖を握る。暫くすれば糖は出なくなっていた。)