「全く、あまり離れすぎると……。
──あっ。ハァ…、クロエの奴め……。」
(せめてもの忠告を、と思い口に出そうとしたが、
その側からクロエはすぐに軽快に歩き出して、
10秒と経たない内からもう悲鳴が聞こえてくる。
なんてサガだ、と呆れながらも声の方へ向かう。)
「あれか。成程厄介そうだが、まぁ雑魚か。
──おい貴様、この娘に手出しは無用だ。
従えぬなら、この場で骸に変えてやるぞ。」
(2人の間に割り入る様に魔術師の男に掴みかかり、
顔を近付け、凍てつかんばかりの圧で脅迫する。
だが魔術師は『やれるものならやってみろ!』と、
男の覇気に気圧されつつも勇ましく言い返し、
周りに居た魔術師であろう者達までもが、
次々とこちらに注目し、空気に緊張が走った。)
「──フフフ成程、どうやら吾もツイてない。
クロエ、確かお前もある程度戦えたよな……。
少しで良い。どうか吾を手伝ってくれまいか。」
(周囲に目線を走らせながらクロエに寄り添い、
背中合わせの形で、相手に頼み事をする。)
>>90 クロエ
>>91 クリフ様
っ……
( 自分と魔術師の間に割って入ってくる相手。クリフ様、と言葉を掛けようとするけれど、喉からはひゅ、と息を呑む音しか出てこない。それもそうだ、王国騎士団の中でも実力の高い人物が今、圧倒的な威圧感で魔術師を脅迫したから。自分に向けられているわけでもないのに足すらすくんでしまう。戦わずともわかってしまうその強者のオーラにひやりとした冷や汗を一筋流した。 )
……ぁ、わ、私ですかっ?
強くないしあまり好きではないけれど…貴方様の頼み、いえ。命令とあれば…!
( 自分の背中に寄り添ったクリフの言葉に、ドキリと苦笑いを1つ。決して私は強くない。それに、また不運を招けば迷惑をかけてしまうかもしれない。でも不思議、背中から伝わるその強さは私を勇気付けてくれるの。__この流れでその頼み事を断れる訳がない。それがわかっているのかな、なんて思いながらスカートをホルスターまで捲ると、華麗な手捌きで銀細工の短剣を取り出し構える。断れない頼みなんて頼みじゃない。メイドという立場とその考えから相手の言葉を『命令』と捉え、先程と打って変わって目付きをギラリと光らせるた。まるで、執念深く食ってかかる往生際の悪い獣のように。 )