《ギィンッ》
毒鴉
「ほう?なかなかいい反応だ、それだけは褒めてやる。
だが俺は土竜の奴と違って油断も慢心もしない……」
毒鴉は衝撃を逃がしやすい空中であった事を利用して即座に手にした毒剣を立てて盾のようにして振るわれた鉄パイプを防ぎ、そのまま弾き飛ばされる勢いと衝撃を利用して後方へ飛び退くと、上記の言葉を告げる。
隅影の一撃が直撃したにも関わらず、衝撃を空中へ逃した事から毒鴉にも、毒鴉の手に持つ毒剣にもまるでダメージは無く消えていくだけだった攻撃(剛)から防御(柔)へと素早く切り替えた事から剣術(或いは棒術)の腕も高い事を推測することが出来る……
《ドドドドドッ》
毒鴉が距離を取った事で、桜空の追跡に失敗した後、廃工場の物陰に潜んでいた水鴉が鉄板をも撃ち抜く強力な水圧のレーザーが数発撃ち出される……そのあまりにもタイミングの良すぎる攻撃の瞬間からして毒鴉による奇襲はこれを当てるための陽動の意味もあったのだと考えられる。
十二鴉はそのいずれもが一筋縄では行かず、数多の犯罪者を始末して来た実績と経験がある事からその実力の高さも折り紙つきであり、少しでも油断すれば簡単に形勢をひっくり返されてしまうだろう。
桜空「ぐっ・・・・・!?」
(氷華の情け容赦ない一撃に、桜空は一瞬でも意識が落ちそうになるも、続けざまにそのまま空間移動をする・・・・・
が、どこか近くに移動する、というわけではなく、何故か落下してゆく・・・・・
戦いの続行に諦めたか、それとも何かの策か・・・・・
いずれにしても、桜空と氷華とでは、力の差があまりにも歴然である為、じわじわと追い詰められる一方の桜空には到底勝ち目はないのは明白・・・・・)
隅影「そうか、奇遇だな、俺もだ・・・・・」
ダッ・・・・・!
(隅影は、突然猛スピードで走り始める・・・・・
備わっている能力を使わずとも、元々の身体能力の高さも、戦いの場においてはその勝敗を大きく分けることとなる・・・・・
そして、隅影自身、逃げに徹しているわけではない・・・・・)
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