桜空「・・・・・うるさい」
(僕の何がわかるんだと言わんばかりに一言、掠れた声でうるさいと放つと、体育座りの状態で顔を埋める・・・・・
まだ5歳・・・・・小学生にもなっていないほどの小さな命に、この悲しみを乗り越えて未来へ進もうなどという大人な考えは芽生えておらず、寧ろ誰かに〇してもらいたいとさえ考えるほどに、心が押し潰されかけていた・・・・・
ストレスから髪の毛は数日であっという間に白く変色し、片目も視力を失い白く変色し、体中は惨劇の傷跡が色濃く残る・・・・・
半袖の患者服の袖から出た腕には、一生残る傷跡が確認できる・・・・・
だが、一番深刻なのは、心の傷だった・・・・・)
>>300
薫
「……うーん、ちゃんとご飯を食べないと駄目だよ…?」
自分は医師であり、肉体や外傷の治療は出来るものの、カウンセラーとしての資格は持っていないため、髪の色が抜け落ちる程のストレスを僅か五歳で経験した彼の苦悩や絶望は計り知れない。家族が殺害されたと言う噂もあり、それが本当なら彼は幼い内に自分がこれまで経験したどの苦悩よりも凄惨な体験をしてしまったのだろう……
だが、ここで見捨てる訳にはいかない。折角マスクを外せるようになった事から桜空の頬を両手で包むようにして見て、彼の顔を見て、ちゃんとご飯を食べて健康に気を付けるように言う。