>>310
薫
「……………。」
今の彼に自分の声は届かない……だが、彼が自死の言葉を口にしなくなった事で、少なくともその思いを留める事は出来ただろうと思うと、これ以上の声掛けは逆効果になってしまうとわかっている事から、最初の接触はこれで終わりにして、これ以上は何も言葉にせずに彼の前から去って行く……
桜空「・・・・・」
バサッ・・・・・
(桜空は、ベッドへと戻ると、毛布をかぶりそのまままた心の殻に閉じこもる・・・・・
所詮は綺麗事、いつか幸せが訪れる保証なんてのはどこにもなく、そして幸せが訪れたとしても、それを幸せだと認識できるかどうかもわからない・・・・・
だが、ここへ来て初めて自分とまともに接してくれたのも先生だけだった、他とは違って自分を化け物扱いもしなかった・・・・・
桜空は、もしかしたら先生は本当に自分を想ってくれている優しい人なんじゃないかと、幼心に思い始めていた・・・・・)
>>311