桜空「・・・・・」
バサッ・・・・・
(桜空は、ベッドへと戻ると、毛布をかぶりそのまままた心の殻に閉じこもる・・・・・
所詮は綺麗事、いつか幸せが訪れる保証なんてのはどこにもなく、そして幸せが訪れたとしても、それを幸せだと認識できるかどうかもわからない・・・・・
だが、ここへ来て初めて自分とまともに接してくれたのも先生だけだった、他とは違って自分を化け物扱いもしなかった・・・・・
桜空は、もしかしたら先生は本当に自分を想ってくれている優しい人なんじゃないかと、幼心に思い始めていた・・・・・)
>>311
【翌日】
司
「やあ、おはよう。」
薫が始めて桜空に接触した翌日。
朝食の号令が出て食堂が開かれた際に、桜空と同時期にこの施設に送られた同年齢の少年……"夜桜 司"がニコニコと感情が読み取りにくい笑顔を浮かべながら桜空へ挨拶をしてくる。
彼は両親と姉の三人を殺害した殺人鬼であり、本来ならば少年院ではなく、少年刑務所へ送還されるのだが、異能社会であるこの世界では異能を用いた未成年者による犯罪率の増加に対応すべく、人員と施設の集中と運営施設の削減、規模の拡張に伴い、少年院と少年刑務所が統一されている。
だが、それでも司のように本来少年院に送られる者は刑務服を着るだけだが、少年刑務所に収監される者は両手足と首に赤いランプの付いた首輪が付けられており、視覚的にも区別可能なものとなっている。