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【翌日】
司
「やあ、おはよう。」
薫が始めて桜空に接触した翌日。
朝食の号令が出て食堂が開かれた際に、桜空と同時期にこの施設に送られた同年齢の少年……"夜桜 司"がニコニコと感情が読み取りにくい笑顔を浮かべながら桜空へ挨拶をしてくる。
彼は両親と姉の三人を殺害した殺人鬼であり、本来ならば少年院ではなく、少年刑務所へ送還されるのだが、異能社会であるこの世界では異能を用いた未成年者による犯罪率の増加に対応すべく、人員と施設の集中と運営施設の削減、規模の拡張に伴い、少年院と少年刑務所が統一されている。
だが、それでも司のように本来少年院に送られる者は刑務服を着るだけだが、少年刑務所に収監される者は両手足と首に赤いランプの付いた首輪が付けられており、視覚的にも区別可能なものとなっている。
桜空「・・・・・ぉ、ぉはょぅ・・・・・」
(桜空は、誰かと会話をするのもあまり気乗りしないものの、挨拶くらいはちゃんとしなきゃと思ってわずかに聞こえる程度の声で相手におはようと言葉を返す・・・・・
見た感じ、自分と同い年くらいの男の子だし、笑顔だから他人から見れば親しくしやすい感じに見えるものの、桜空は相手の笑顔がどこか不気味に感じ、目を逸らしてしまう・・・・・)
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