>>桜空
【八咫烏アジト 神奈川県/厚木市】
相模湾の湾岸にて、霞鴉によって意識を奪われ、神奈川県内にある何処かの建物へ桜空が連行された翌日。
桜空が目を覚ました時には、五畳程の広さの部屋に閉じ込められている。
部屋には幾つか棚があり、そこにはペンチや糸ノコ、バーナーに、多数の縫い針が入れられた針ケースと言った様々な道具が並べられており、鉄製の背凭れがある椅子に拘束された桜空の正面には頑丈な鉄製の扉が見える。
桜空の両手足を結束バンドによって止められているものの、問題はそこではなく、首にはかつて少年院で司が付けられていたものと同じ型……一定の範囲内における異能の使用が封じられる対異能力者用の首輪が付けられており、持ち前の空間移動による瞬間的な脱出は不可能な状態となってしまっている……
周囲に人の気配は無いものの、これだけの広さの部屋であるにも関わらず、窓が一つもなく、桜空の頭上にある小さな照明だけがこの部屋の唯一の明かりとなっている。
そして……意識が戻るにつれて部屋に充満した血の臭いや、肌寒い冷気が感じられるようになり、この部屋が"拷問や尋問を行うための部屋"である事が明白になっていく……
桜空「・・・・・」
《まずったな・・・・・情ねぇ・・・・・にしても、この部屋・・・・・よく一部の警察じゃあ、犯人への取り調べに脅迫や暴行をする奴もいるってのは聞いたことがあるが・・・・・それをさらに酷くした感じだな・・・・・》
(桜空が連れてこられた場所は、尋問や拷問が情報を聞き出すためでもあるとは思われるが、何より悪人ならばどれだけいたぶっても構わないという理屈の元に作られた部屋のようにも見える・・・・・
今にも、悪人に人権なんてない、という言葉が聞こえてきそうな、一切の容赦の欠片も感じられない異様な雰囲気が感じ取れる・・・・・)
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