>>477
中川「OK、南東の偽造工場、通気孔、で地下ね。」
狼谷の話した作戦内容、その最も重要であろう部分を幾つか抜き出すように反復する。一回聞けば理解し記憶できるほど丁寧な説明だったが、今回は大一番なので万が一にも忘れることのないよう、念入りに憶えておく。
「ふむふむ、俺と紀ちゃんの二人で斥候か、まあ妥当だな」
下手に人員を増やせばそれだけ動きづらくなり、返り討ちのリスクが付きまとう。それならば自分たちだけで自由に動き回った方が効率的だろう。
「任せてくれ、吉報を楽しみにしてろよ?」
いつも通りの不敵な笑みでインカムを受けとる。
「じゃ、行こうぜ紀ちゃん」
自分と同格の実力を持つ女性へ、言葉短に出撃を促す。
>>479
狼谷
「俺が言えた事じゃないかもしれないけどよ……必ず生きて帰ってこいよ。この作戦が終わったらボスの金で飲み屋にでも行こうと思っているからよ。」
狼谷はこれから何が待ち受けているかわからない、下手すれば侵入して直ぐに十二鴉レベルに囲まれて抹殺されてしまうかもしれない死地に向かおうとしている二人に向けて、もし二人に生きて今回の作戦が終わったら桜空の金(自分の金とは言わない)で飲み屋にでも行こうと言う。
普段の彼は名の通り、狼のように鋭い目付きをして無愛想なのだが、そんな彼が死相を背負う二人に向けて自分が作れる一番の笑顔で見送る。その笑みはとてもぎこちなく、不自然なのものとなってしまっているが、その言葉に嘘は無い。