>>478
>>479
狼谷
「俺が言えた事じゃないかもしれないけどよ……必ず生きて帰ってこいよ。この作戦が終わったらボスの金で飲み屋にでも行こうと思っているからよ。」
狼谷はこれから何が待ち受けているかわからない、下手すれば侵入して直ぐに十二鴉レベルに囲まれて抹殺されてしまうかもしれない死地に向かおうとしている二人に向けて、もし二人に生きて今回の作戦が終わったら桜空の金(自分の金とは言わない)で飲み屋にでも行こうと言う。
普段の彼は名の通り、狼のように鋭い目付きをして無愛想なのだが、そんな彼が死相を背負う二人に向けて自分が作れる一番の笑顔で見送る。その笑みはとてもぎこちなく、不自然なのものとなってしまっているが、その言葉に嘘は無い。
桜空「・・・・・」
グォンッ・・・・・!
バキィッ・・・・・!!!!!
(桜空は、激痛で気絶しそうでできないという地獄のような状況の中、体を思いっきり捻って椅子に丁度刀の刃が直撃するようにする・・・・・
相手が本気で振り下ろしたこともあり、椅子は簡単に破壊されると、桜空は両足が自由な状況になり、あまりの勢いに一度尻餅をつくものの、すぐさま腹筋運動のように体を動かして立ち上がる・・・・・)
紀「言っておきますが、私はこの作戦が終わったら、帰らせていただきますからね・・・・・あなた方のようにお気楽に呑んだくれているほど時間に余裕が無いので・・・・・」
(紀自身は、なんと言われようと桜空を救出する為ではなく、八咫烏を潰すということを目的としてこれから動くため、もし万が一救出の作戦が成功したとしても、自分はそのまま帰ると言う・・・・・
ここへ呼ばれたことに対する不満は、一応本心のようだ・・・・・)
>>481
「あっはっは! 代金は大将持ちか、そりゃぁいい!」
ちゃっかり自分の懐を痛めないように誘導する狼谷の言葉で笑いが吹き出す。
だがまあ筋は通ってる。これ程の大仕事だ、せいぜい高額品を貪りまくってやるさ。
「さて、時間も差し迫ってるからな、そろそろ行くとしますかね」
あまり駄弁っている暇はない、こうしている間にも桜空が拷問を受けているかもしれないのだ。後ろ髪を引かれる思いながらも前哨基地から出た。
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【数十分後/八咫烏アジト】
「いよっ……と! あ〜狭かったぁ〜!」
通気孔の蓋を外し、通路らしき空間に出る。窮屈な細道から解放された充実感を存分に噛み締める。
自分の能力を使えば、蓋を固定するボルトを、裏側から道具なしで外すことくらい朝飯前だ。
「けどこういうのって映画みたいでワクワクするよなぁ」
軽口を叩きながらも、周囲への警戒は怠らない。そして能力で宙に浮かせていた蓋とボルトを、元の状態に戻す。
「……ここまでは順調だったが、こっからが問題だよなぁ」
何といってもあの八咫烏の本拠地、当然彼らの全戦力が待ち構えていると考えていいだろう。
「大丈夫かい紀ちゃん、足とか捻ってねえか?」
自分に続く形で出てきた彼女を案ずる。かつて物盗りだった彼女の身のこなしなら平気だとは思うが、念のため確認しておく。
【あまり時間をかけ過ぎるのもどうかと思い、勝手ながら『アジトに着くまでは順調』という流れにさせて頂きました】