>>481
「あっはっは! 代金は大将持ちか、そりゃぁいい!」
ちゃっかり自分の懐を痛めないように誘導する狼谷の言葉で笑いが吹き出す。
だがまあ筋は通ってる。これ程の大仕事だ、せいぜい高額品を貪りまくってやるさ。
「さて、時間も差し迫ってるからな、そろそろ行くとしますかね」
あまり駄弁っている暇はない、こうしている間にも桜空が拷問を受けているかもしれないのだ。後ろ髪を引かれる思いながらも前哨基地から出た。
ーーーーー
【数十分後/八咫烏アジト】
「いよっ……と! あ〜狭かったぁ〜!」
通気孔の蓋を外し、通路らしき空間に出る。窮屈な細道から解放された充実感を存分に噛み締める。
自分の能力を使えば、蓋を固定するボルトを、裏側から道具なしで外すことくらい朝飯前だ。
「けどこういうのって映画みたいでワクワクするよなぁ」
軽口を叩きながらも、周囲への警戒は怠らない。そして能力で宙に浮かせていた蓋とボルトを、元の状態に戻す。
「……ここまでは順調だったが、こっからが問題だよなぁ」
何といってもあの八咫烏の本拠地、当然彼らの全戦力が待ち構えていると考えていいだろう。
「大丈夫かい紀ちゃん、足とか捻ってねえか?」
自分に続く形で出てきた彼女を案ずる。かつて物盗りだった彼女の身のこなしなら平気だとは思うが、念のため確認しておく。
【あまり時間をかけ過ぎるのもどうかと思い、勝手ながら『アジトに着くまでは順調』という流れにさせて頂きました】
スタッ・・・・・!
桜空「お見通しだ!!!!!」
ドガッ・・・・・!!
(桜空は予め相手がどのような動きに出るのかを想定していたのか、再び勢いだけで飛び起きると、そのまま今度は相手の顔面へと蹴りを入れ、ダメージを与えようとする・・・・・
ファーストのボスというだけあり、裏社会で生きるためのピンチになった時の抜け道を探すのにはそこそこ長けている・・・・・)
紀「人の心配よりまず自分の心配とよく言うでしょう?」
(それは、遠回しの優しさか、それともただ単に心配されるのがしゃくなのか・・・・・
いすれにしても、自分の体は能力の使用時以外ではこの程度じゃダメージを受けるほどやわではないという意思表示であり、むしろ相手の言うようにここからが正念場だと言える・・・・・)
【了解です!】
>>488