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八咫烏の男
「もし、これでお前が只の悪党だったんならあのまま撃って終わりにするつもりだったんだがな、気が変わった……って奴だ。」
男はゆっくりと身に付けていた黒のジャケットを脱ぎ、両手に服装と同じ黒の指無し手袋を付け、もし桜空が只の悪党だった場合は躊躇い無く始末するつもりであった事を教える。
ジャケットの下には黒いノースリーブのシャツを着ており、シャツから出た肩や腕には一切の無駄な脂肪が付いておらず、両腕と首元だけでも優に十を超える大量の刀傷や銃創があり、彼もまた、数多の死線を潜り抜けて来た猛者である事が言葉を使わずともわかる……
素鴉
「俺は八咫烏の主力、十二鴉の一人『素鴉(スガラス)』。
お前がタイマンでこの俺を倒すことが出来たなら、お前が逃げる事を見逃してやる。だが、もし俺に敗れた場合……そのまま粛清する。」
十二鴉の素鴉と名乗るその男は、1vs1で勝負し、その状況でも自分に勝利する事が出来たのなら、桜空の脱走を見逃すが、負けた場合はそのまま殺害することを宣言すると、脱いだジャケットを床に落とす。
すると、床に落ちたジャケットは鈍い音をたて、素鴉の着ていたジャケットだけでも、桜空の体重と同等の重りが入っていた事がわかる……
これは素鴉の与えた最初にして最後のチャンスであり、断ればこの場にいる十人以上の完全武装した鴉達からの猛攻を受けることになだてしまうだろう……
だが、相手は桜空よりも……いや、毒鴉よりも大柄であり、無駄無く鍛え上げられた彼に勝利できる可能性は限り無く低いと言えるだろう。
桜空「・・・・・もし俺が勝った場合、俺を逃せばお前の身も立場も危うくなる・・・・・」
(勝ち目はないと思うが、もし自分が勝って逃げることが出来た場合は、相手の身が危ういと考える・・・・・
拷問を受けた手負いの自分を、こんな大男が逃がすはずもない、自分じゃなくてもわかるし、あの鋭い氷華のことだ、きっと敢えて逃がしたと察知し、氷華は素鴉を粛清するだろう・・・・・
それに、、こんな大男に手負いの状態で勝てるわけがない、狼谷と戦った時とはわけが違う・・・・・)
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