紀「・・・・・中川、何か小さい物で武器になりそうなものは?」
(紀は、このままでは二人してここでやられてしまうと察したのか、小さくも武器として使えそうな物は持っているかどうかを持っているかどうかを尋ねる・・・・・
ある程度の戦歴がある自分達でも、ここまで苦戦するとなると、もういよいよ追い詰められ始めている・・・・・)
>>539
>>540、543
「小さい武器……これでいいか?」
ステンレス製の出来るだけ鋭いナイフを作り出し、紀の手元に飛ばす。
「制限時間については知ってるな? それまでに状況を好転させるぞ」
「それとも、ナイフはお気に召さないか? ダガー、カランビット、十手、釵(さい)、ソードブレイカーも用意出来るぜ。ご注文はお早めに」
百足を横目で冷静に分析しつつ茶化す。
この苦境にあって尚、軽口を止めない。これが中川隆次という男なのだ。
(……さて、タイミングとしては今が最高かな)
厄介な蝗は半数以下にまで減った、虫の男はそれに激昂し冷静さを失う、補充として出した百足も機動力の面では優れていないようだ。加えて、男は補充を行った反動か既に肩で息をしている。
行動に出るなら、この瞬間をおいて他にない。
「ふんっ!!」
鉄球から手を離すと同時に、両足の裏にスプリング機構のジャンプ台を作り出し、鉄球もろとも虫達を飛び越える。そしてすかさず空中で同じことを行い、虫の男をも飛び越えていった。
「いよっ……と。あっぶねぇ〜、天井に頭ぶつけるとこだったぜ」
無駄のない動作で前転着地、すぐさま立ち上がって発電室へ走り出す。
「じゃあ、また後でな紀ちゃん! 死体になって再開とかは勘弁だぜ!」
今度こそ一時の別れを告げる。願わくば、無傷での生還を。