>>540、543
「小さい武器……これでいいか?」
ステンレス製の出来るだけ鋭いナイフを作り出し、紀の手元に飛ばす。
「制限時間については知ってるな? それまでに状況を好転させるぞ」
「それとも、ナイフはお気に召さないか? ダガー、カランビット、十手、釵(さい)、ソードブレイカーも用意出来るぜ。ご注文はお早めに」
百足を横目で冷静に分析しつつ茶化す。
この苦境にあって尚、軽口を止めない。これが中川隆次という男なのだ。
(……さて、タイミングとしては今が最高かな)
厄介な蝗は半数以下にまで減った、虫の男はそれに激昂し冷静さを失う、補充として出した百足も機動力の面では優れていないようだ。加えて、男は補充を行った反動か既に肩で息をしている。
行動に出るなら、この瞬間をおいて他にない。
「ふんっ!!」
鉄球から手を離すと同時に、両足の裏にスプリング機構のジャンプ台を作り出し、鉄球もろとも虫達を飛び越える。そしてすかさず空中で同じことを行い、虫の男をも飛び越えていった。
「いよっ……と。あっぶねぇ〜、天井に頭ぶつけるとこだったぜ」
無駄のない動作で前転着地、すぐさま立ち上がって発電室へ走り出す。
「じゃあ、また後でな紀ちゃん! 死体になって再開とかは勘弁だぜ!」
今度こそ一時の別れを告げる。願わくば、無傷での生還を。
蟲鴉
「ダンゴムシの次はバッタかァ?
お前は生きたまま友達のご飯にしてやる。」
【「音速飛蟲」】
理性も知性も無いような言動や風貌をしている事とは裏腹にある程度までなら戦況の分析も出来るようで、天井の高さを活かして飛び上がり、自分達をも飛び越えた中川を見て、今度は口内から40cm程の大きさの蜻蛉を一匹だけ吐き出す。
吐き出された蜻蛉は通常の蜻蛉よりも二枚多い、四枚の羽根を持ち、血のように赤黒い体色をしている。この蜻蛉が備えた性質は『速度』であり、残像が出来る程の圧倒的な飛行速度を持ち、肉を噛み千切れるだけの顎の力を持った蜻蛉となっている。
鉄球を喰い荒らして無力化させる百足と、水鴉に紀の始末を任せ、自分は中川を始末することで各個撃破を行う事を決め、攻撃を仕掛けることを決める。
紀「では試してみましょう・・・・・貴方方野蛮で下劣な下等生物共と私達・・・・・どちらが勝利を得るかを・・・・・」
(十二鴉ということを強調して言う水鴉の言葉を聞けば、ならばその十二鴉と自分達とではこの戦いにおいてどちらが勝利を得ることが出来るか、試してみようと述べる・・・・・
紀は、発電室の存在に気づいていた・・・・・)
桜空「・・・・・俺は・・・・・生きなきゃいけないんだ・・・・・大切な人との・・・・・約束だから・・・・・」
(素鴉の言葉を聞けば、桜空なりの精一杯の反論をしながら立ち上がろうとするが、体に上手く力が入らない・・・・・
ここで改めて桜空は、自分と相手との戦闘力の違いを思い知る・・・・・
物理攻撃を用いた戦いでは、こんな相手に最初から適うわけがない・・・・・だが、負けるわけにはいかない・・・・・
桜空は、追い詰められていた・・・・・)
>>544
紀「いや、これで上々・・・・・」
(そう言うと、紀は蟲鴉に向けてライフルを向けるようにナイフを遠くから先端を向けて構えると、能力を用いてそのままナイフを蟲鴉の顔面へとめがけて猛スピードで飛ばす・・・・・
小さいものならば、さほど操作しても体力の消耗は抑えられる・・・・・)
>>545、546