>>545
蟲鴉
「ダンゴムシの次はバッタかァ?
お前は生きたまま友達のご飯にしてやる。」
【「音速飛蟲」】
理性も知性も無いような言動や風貌をしている事とは裏腹にある程度までなら戦況の分析も出来るようで、天井の高さを活かして飛び上がり、自分達をも飛び越えた中川を見て、今度は口内から40cm程の大きさの蜻蛉を一匹だけ吐き出す。
吐き出された蜻蛉は通常の蜻蛉よりも二枚多い、四枚の羽根を持ち、血のように赤黒い体色をしている。この蜻蛉が備えた性質は『速度』であり、残像が出来る程の圧倒的な飛行速度を持ち、肉を噛み千切れるだけの顎の力を持った蜻蛉となっている。
鉄球を喰い荒らして無力化させる百足と、水鴉に紀の始末を任せ、自分は中川を始末することで各個撃破を行う事を決め、攻撃を仕掛けることを決める。
「なっ!? ぐあああっ!!」
一心不乱に発電室へ走っていたため不意討ちに対応できず、攻撃を許してしまう。すんでのところで気付いて腕をかざしたが、コートの布地を容易に食い破り、ほぼ一瞬で素肌に食らいついている。
「う、ぐ……こい、つ……!!」
どんなに腕を激しく振り回しても離れない。やむを得ずナイフで対抗。
頭部に突き立てることで何とか返り討ちにできたが。払った代償は大きい。
「あぁー……くそっ、やっちまった」
傷口から命の赤が滴り落ちる。まだ腕は動かせるが、同じ箇所に攻撃を受ければその限りではないだろう。
後方に気を払いつつ発電室へ走り続ける。