>>597、600、601
「ヒューッ! 信じられねえぜ、あのデカブツが沈んじまった!」
想定外の大金星をあげられたことに、思わず口笛を吹く。とりあえず今回ばかりは桜空の行動力に感謝だ。
「うぉっ!? っとっとぉ、危ねえ危ねえ」
蜈蚣の最後の意地なのか、のたうち回っての打撃が襲いかかる。
「そうは、いかねえよ!!」
ガントレットの要領で、右腕に鋼を纏う。
そして掌をかざし、打撃が当たる瞬間に、円形の壁を作るように掌を一回転させた。
回し受け。
空手の基礎的な防御技術。あらゆる受け技の基礎とも称される。円の動きをすることで、衝撃を分散させることが出来る。
「ぐおあああっっ!!」
鋼の腕で受け流した甲斐あって、一撃での粉砕を免れ、10m程吹っ飛ばされるだけで済んだ。
「あぁ〜っつつつ……ったく、やってくれるぜ」
ふらつく頭を押さえながら立ち上がる。
「! あいつは……ありゃ?」
ふと視界に水の男を捉え、第2ラウンド開始かと思いきや、桜空と言葉を交わした?直後逃げ出してしまった。
(いや、それよりも……)
放置された紀が気がかりだ。そして蜈蚣が暴れた影響で建物自体が崩壊を始めている。彼女も回収し脱出しなければ。
「……っと、おやぁ〜大将? 美味しい役回りですなあ?」
自分が動く前に、桜空が救出してくれた。そんな彼を茶化しつつ、後を追う形で走り出す。
桜空「今はここから逃げることに集中しろ!!!!!」
(自分を茶化してくる余裕を見せる中川に、とりあえず今はこの場から逃げることだけに専念するようにと忠告する・・・・・
そして、ここから逃げ出したとしてもまだ課題はある、紀、狼谷、その他多くのファースト構成員の安否だ・・・・・
見たところ、紀は数分間水に囚われていた為か呼吸が停止しており、肌も青白くなっていて危険な状態であることがわかる・・・・・
それに、狼谷と合流するにも、今相手がどこにいるのかもわからない・・・・・
このアジトの敷地内のどこかにいるのはまず間違いないが・・・・・)
>>602、603