>>60
氷華
「それを語る必要は無いでしょう?
なにせ……その物言いなら既に私の正体は知っているでしょうし……ね?」
氷華は押し寄せる氷塊と化したバルーンを見て、周囲を一掃するために発動したこともあり、バルーンの軌道は不安のいる場所だけでなく、自分の居る場所も含まれているため、空中に飛び上がり、ビルの屋上から飛び降り、自転車を追いかける際に使用したものと同じ小さな氷の足場を空中に作り出し、それに乗って空中へ移動する事でバルーンによって圧殺される事から逃れていく。
直接触れた場合ならばその内部にまで凍結させる事が出来るものの、その凍結は体表を覆うものに限定されてしまうため、その内部に刺客が潜んでいた場合、せいぜいその異能を内部に封じ込める程度しか効力は及ばない。
相手の言葉がブラフであろうと無かろうと敵対者の人数を削る、或いは対象の異能を推察する考察材料に出来るのならばそれでいい。商店街の一角が破壊してしまうことになるが、悪を削ることが出来るのならばそれでいい。絶対的な正義を執行するためには犠牲が出てしまうのも仕方がない。
「YESって言ったのは、そのバルーンのことだよ...『私服刑事』」
「そん中にはMY お消しゴムが入ってる...大量に!!!!」
何かに期待するようにそういった瞬間、バルーンは複数の氷塊をまき散らして破裂する。
「その氷、冷却能力を強化した...MY THINGと融合したことによって必然的にその氷はMY THINGになった...」
「中に詰め込んだ消しゴムを...ひとつ残らず爆発させるために...」
氷塊で崩壊していく商店街、血の海に消え去る逃げ遅れた人々...この場所はもはや「地獄」といって差し支えなかった。
その様子を見てもなお、テンションを一切変えずに女性に語り掛ける。
「はっきり言いなWOMAN、警察だろぅ????名前を知らない...それにその攻撃が正義だとは片腹痛い!-3.33点!!」
そういうと、再び自転車を担ぎこんで構え、女性へ近づいていく。周りの瓦礫から舞う『炎の海』は夜の闇を照らしていた。