桜空「・・・・・俺は・・・・・もう、失いたくないだけなんだ・・・・・だが、それがお前達にとっての足枷になっていたのかもしれないな・・・・・」
(中川の言葉を書けば、小声で呟く・・・・・
思い返してみれば、失ってばかりの人生だった・・・・・
普通の幸せな日常、両親、姉との楽しい日々、薫先生、そして今この時も・・・・・
だが、それは客観的に見てみれば、足手纏いにもなりかねないほどの守護心だったのかもしれないと、気付かされる・・・・・)
>>640
桜空「・・・・・」
《ふざけんな・・・・・今のうちに行けだと・・・・・?それじゃあお前はどうなるんだ・・・・・?》
(桜空の体は、気づけば自然と動いていた・・・・・
桜空の考えは、揺るがず生き残った全員での脱出・・・・・薫先生からの教えもあるが、それとは別で桜空自身には命が一番大切なモノであるということをわかっていた・・・・・
ふざけるな、お前も一緒に逃げるんだ、帰ったら命と引き換えに俺たちを逃がそうとしたことを愚痴ってやる・・・・・
そう思っていたその時・・・・・)
紀「馬鹿が!!!!!逃げるなら今でしょうが・・・・・!!!!!」
ガッ・・・・・!
(少し前に意識を取り戻していたが、ここで戦闘に参加すれば他の三人の足手纏いになる上に、能力のデメリットも大きい自分では役に立たないと思っていた紀が、満を持して動き出し、桜空の服の首の部分、中川の腕をを掴んで三人で脱出口へと向かう・・・・・
狼谷が作ってくれたこの敵を足止めする為の一分、無駄にするわけにはいかなかった・・・・・)
>>641
狼谷
「……ああ、すまねぇ……」
気絶から回復した紀がこの場に残ろうとしていた桜空と、中川の二人を連れて出口に向かい始めたのを見て、狼谷は優しく微笑みながら、三人に謝る……
だが、狼谷の胸中に悔いは殆ど無い……
八咫烏に入ったその時からまともな死に方が出来るとは思わなかったし、数多くの同胞や戦友達が息を引き取る瞬間を幾度と無く見てきた……
こうなる事は始めから予想できていたのだが……
叶うことなら……桜空の理想が叶った世界……
八咫烏が変わった後の世界を見てみたかった事だけが心残りだ……
三人は動きを封じられている剱鴉の傍を通って敷地外へ出ることに成功する……