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《ズッ》
瓦礫を切り裂いて剱の前へ行こうとした桜空の脳裏に強烈な死のビジョンが映る……
剱鴉の大太刀の間合いである2m圏内に入った瞬間に蹴りを出そうとした桜空の伸ばした脚もろとも脳天にかけて一直線に、一刀両断されると言うものだ。
狼谷の瓦礫砲によって吹き飛ばされた事から剱の後ろは壁であり、背後に回り込むことは出来ず、正面から行こうものならものなら、この危険予知した未来が現実となってしまうだろう……
「させるかよォ!!」
それを放っておく隆次ではなかった。適当な大きさの金属板を飛ばし、桜空を押し出すことで致命の間合いから離す。当然金属板は無惨に両断された。
(マジで化け物かよこいつは!! 冗談キツいぜ……)
あれ程の策を講じても尚、僅かな時間稼ぎが関の山とは。
「っと、今助けるぜ旦那ぁ!!」
鎖分銅を形成、すかさず狼谷に巻き付けこちらに引き寄せた。
(このタイミングでの狙撃……いよいよもって王手をかけにきたか!)
しかしこちらも脱出まであと一歩だ。悔いの残る結末にする気など毛頭ない。
【遅れて申し訳ありません! リアルが立て込んでましたので!】
桜空《今のは、マジで危なかった・・・・・》
(即座に脳裏に過ぎった死のビジョン、幻覚などではなく、本当に未来が見えたような、そんな不思議な感覚・・・・・
走馬灯の逆バージョンとも言えるような不思議な現象に理解が追いつかず、中川の助けがなかったら確実に斬られていた・・・・・
中川に礼を言いたいところではあるが、今はとにかく逃げることが最優先だと判断し、咄嗟に
「全員掴まれ・・・・・!」
と叫び、死の斬撃が迫り来る中、アジトへと全員で戻ろうとする・・・・・)
>>651、652、653