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「そいつぁ買いかぶりってもんよ、旦那」
双眼を閉じ、柔らかに彼の言葉を否定する。
「けど、そう言われて悪い気はしねぇな……OK、後は任せてくれ」
だからといって、他に適任がいるかと言われれば疑問が残る。紀は組織への忠誠心などが自分よりも欠けているので、消去法的にこうなったのだろう。
これからあの直情一本気リーダーの尻拭いをやらされると思うと、気が滅入ってくる。
(けれども……何だろうな)
不思議と、それを投げ出す気にはなれなかった。
「じゃあな。地獄(あっち)でまた会おうぜ」
それだけ言い残すと、踵を返しその場を後にした。
一人の漢を見送るのにそれ以上の言葉は要らない。きらびやかな虚飾も必要ない。
ただひとつ、何があろうとも曲がらぬ意思(たましい)を示せばよいのだ。
桜空「・・・・・」
(中川の言葉を聞き、心の中で思う・・・・・
そうか、自分達は悪人だ、もし死後の世界というのがあるならば、死後は地獄に堕ちる・・・・・
自分が死後地獄に堕ちるとしても桜空は今までの人生、地獄を見てきたからか今更地獄に対する恐怖なんて薄れている、本当の恐怖というのは、失うこと・・・・・
願わくば、狼谷には天国で安らかに眠ってもらいたい、そう思っていた・・・・・)
夕渚「・・・!氷華・・・・・」
(消灯時間になり、一人で気持ちが沈んでいた時、月明かりと共に姿を現した氷華に驚くも、夕渚も珍しく精神的に追い込まれていたのか、いつものように常に笑顔で接する夕渚とは違い、疲れたような表情で喋り始める・・・・・
「・・・・・私、とうとう入院しちゃった・・・・・なんか・・・・・ちょっと怖くてさ・・・・・これからのこととか・・・・・」)
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