>>684
氷華
「………そう……
やっぱり貴方はお人好しだわ。」
家族を失った境遇から、少しだけ親近感を覚えていたものの、世界にも自分にも復讐の矛先を向けずに、復讐の道を進まなかった事に、自分と対称的なものであると感じ取ると、夜空を照らす三日月を眺めながら、下記を呟く……
氷華
「けれど……貴方のような考え方の人こそ、不条理や不合理な悪に苦しまずに住む世界になって欲しいわね……?」
氷華の理想とする世界はお人好しとされる者達が苦しまず、悲しむことも恨むこともなく、平和に平穏に自由に生きていられる楽園のような世界にしたいと言うものだ。
自分はもう後には戻れない……
復讐の歩みを辞めようとしたところで、自分は取り返しのつかない数の命を奪って来てしまった……引き返すにはあまりにも遅すぎる。
だからこそ、この道の先に、理想の世界が誕生したとしても、自分の破滅は免れない……だがそんな破滅の決まった未来であっても自分には歩みを躊躇するような事は許されていない。
全ては……悪のいない世界を作るために。
夕渚「・・・・・氷華は、どこまでも優しいんだね・・・・・」
(そう言うと
「氷華はさ、優し過ぎるから、少し頑張り過ぎちゃうこともあると私は思うんだ・・・・・だから、たまには少し休まないと、駄目だよ・・・・・?」
と告げる・・・・・
氷華の掲げる信念、悪人に苦しめられることのない世界作りというものに、氷華の言うお人好しというものと同じものを感じたからだ・・・・・
自分もお人好しなら、どこまでも優しい氷華もまたお人好し、と言ったところか・・・・・)
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【現在】
ヒュウウゥゥゥゥ・・・・・
(冷たい夜風が、氷華の髪を撫でるようにして吹き付ける・・・・・
弟の現在、そして脳裏に過ぎる夕渚との会話、色々な感情が入り乱れる今の氷華にとっては、冷たい夜風など何にも感じない程度なのだろう・・・・・)
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